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ぷちます!いじめ・虐待専用スレの避難所 九匹目

1名無しさん:2015/09/22(火) 17:44:22 ID:zFF6o5tI
ぷちますキャラ(ぷちます版アイドル・P含む)の精神的・身体的・性的ないじめ、虐待、陵辱、拷問、虐殺、四肢切断、スカトロなどなど、
本スレ、キャラスレ、エロパロスレに書けないような妄想を垂れ流す隔離系スレッド(通称:ぷ虐スレ)の避難所です。

虐待以外のぷちますSSは事前にスレ住人と相談の上で投下の可否を決めてください。
虐待ネタが嫌いな方は見ないで下さい。
気に入らないネタがあっても非難せずにスルーしてやって下さい。
ぷちます以外のアイマス系いじ虐の話題は別スレで。

盗作君が出現しているのでSS作者はトリップ推奨。
書き溜めは可能な限り。他人の投下中の割り込みは避けましょう。


ぷちます! 隔離スレ・SSまとめwiki
ttp://putimaskakuri.wiki.fc2.com/m/

ぷちます!隔離スレ まとめwiki (消滅?)
ttp://putimasisolation.wiki.fc2.com/

本スレ
ぷちます! いじめ・虐待専用 十五匹目 [転載禁止]������2ch.net (dat落ち)
ttp://peace.2ch.net/test/read.cgi/motenai/1416056096/

個別スレ
ゆきぽ いじめ・虐待専用スレ 二匹目
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/16471/1419767659/

前スレ
ぷちます!いじめ・虐待専用スレの避難所 八匹目
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/16471/1424818790/

666ゆきぽ師匠のギャグ三連発 ビギンズ:2016/02/18(木) 17:50:19 ID:q5uIaMPQ
ss投下します。先日投下させて頂いた、ゆきほ師匠のギャグ三連発の前日譚です

667ゆきぽ師匠のギャグ三連発 ビギンズ:2016/02/18(木) 17:51:26 ID:q5uIaMPQ
雪歩「あの……お話って何でしょうか」

P「いきなり呼び出してすまない。本題に入る前に、ベ○キーが芸能活動を自粛する話は知ってるか?」

雪歩「不倫が原因ですよね?アレ悪いのはどう考えても男の人の方ですぅ。やっぱり私、男の人は苦手ですぅ」

P「はは……まあその辺はさておき、ベ○キーはテレビのレギュラー番組9本、CM10本、ラジオ1本の売れっ子だったんだ」

雪歩「私なんてラジオ番組1本なのに……すごいですぅ」

P「この仕事がほぼ全部違うタレント達に割りふられる事になりそうだ。ベ○キーには同情するが、生き馬の目を抜く芸能界じゃ仕方のない話だ。765プロももちろん、この動きに乗じるつもりでいる。そこで、だ」

「雪歩、バラエティアイドルを目指してみないか」

雪歩「ふえっ?!私が、ですか?で、でも……それってそんな簡単な事じゃ……」

P「雪歩はラジオ番組持ってるし、ウチの他のアイドル達よりも多少は喋りの仕事に心得があると思うし、それに、今回これから話す売り出し方は、雪歩にしかできない。取りあえず話だけでも聞いて欲しい」

雪歩「わ、分かりました。それで、その売り出し方って?」

P「ゆきぽとコンビでお笑いをやってもらいたい」

シーン……

雪歩「……失礼します」スッ

P「待って!行かないで!話だけでも聞いて帰って!」ギュッ

雪歩「……言っていい冗談と悪い冗談がありますぅ。今のは完全に後者ですぅ。百歩譲ってお笑いやるのはまだ分かりますぅ!何で相方がゆきぽなんですか!他のアイドルの誰かじゃダメなんですか?!」

P「まあまあ、おって説明はするから、座って座って。……アイドル同士でのコンビも当然考えたよ。でも、コンビって、コンビ内格差ができてしまう可能性があるだろ?そうなると格が低い方は最悪芸能界からフェードアウトしてしまう。それは避けたい。ゆきぽならその点、踏み台にして雪歩がのしあがっても何の問題もない」

雪歩「う……確かに、他のアイドルとコンビを組んだら、置いて行かれるのはダメダメな私の方だと思いますぅ。で、でも、相方がゆきぽは抵抗がありますぅ」

P「雪歩はゆきぽの事、そんなに嫌いか?」

雪歩「嫌いと言うか、存在自体が許しがたいですぅ」

P「そんなにもか」

雪歩「だって考えても見て下さい。私にソックリな外見で中身はダメダメな私のダメダメなところだけをじっくりコトコト煮込んだような生き物なんて好きになれるわけないじゃないですか」

P「お、おう」

雪歩「単体なら、まだ諦めもつきます。でもぴよぴよなんて見て下さい。音無さんとソックリなのは見た目だけで、中身に音無さんのダメ大人ぶりは全く反映されてません。コレ一体どう言う事ですか?唯一似てるところは養ってくれるパートナーが不在なところくらいですぅ。それもぴよぴよは引く手あまたで音無さんは……」

P「音無さんをディスるのはやめなさい。……まあ、雪歩がゆきぽの事をどういう風に思ってるのかは分かった。でも、最初に話したように、今芸能界は女性のバラエティアイドルに追い風が吹いてる。この機会を逃したくない。雪歩とゆきぽが並んでるだけで絵的に既にちょっと面白い上に、そんなにゆきぽが嫌いなら躊躇なく踏み台にできる。悪くないチャレンジだと思うけどな」

668ゆきぽ師匠のギャグ三連発 ビギンズ:2016/02/18(木) 17:52:29 ID:q5uIaMPQ
雪歩「うーん……で、でも、ゆきぽとコンビでお笑いなんて、どうやって?」

P「少しは話を聞いてくれる気になったみたいだな。取りあえずコンビ名は『萩原ゆきほ・ゆきぽ』にしようと考えてる」

雪歩「……アレに『萩原』を名乗られるのは気分が悪いですぅ」

P「まあまあ。一応候補として『ダブルゆきぽ』とかも考えたんだが」

雪歩「私がゆきぽを名乗るのなんて、もってのほかですぅ!」

P「だろうな。関西出身の女性お笑いコンビ名は海原性が多い。『海原や○よ・と○こ』とかな。あの上沼恵○子さんもデビューは『海原○里・○里』だった。それにあやかって命名したんだ。抵抗があるなら、猿回しの『村崎○郎・○郎』と同じだと考えてもらえたら、いくらか抵抗は少なくなるかも知れない。むしろそっちの方が近いか。やる事は猿回しみたいなもんだ」

雪歩「猿回しってあんまり見た事ないですけど、『反省』とかってやるんですよね?ゆきぽが『反省』やっても笑いが取れるとは思えないですけど……」

P「本当の意味でまったく反省をしないカスだからなあいつは。でも基本はそれと同じだ。ゆきぽのリアクションにお題をつけて笑いにつなげようと思う。ゆきぽの直近三ヶ月の様子を収めた映像がある。特徴的なヤツを三つ選んでみた。俺と雪歩でお題をつけよう」カチッ

(VTRスタート)

(ゆきぽ『ぷぃー、ぷぃー;;』

スッ クチャクチャ

ゆきぽ『ん〜、ん〜!』

ゴクッ

ゆきぽ『ぶっふ!ゲホッゲホッ……ぽ、ぷえぇぇえぇ〜んっ;;』)

雪歩「コレ、確かドアか何か壊した時の……」

P「一週間ドッグフード生活の映像だな」

雪歩「一週間と言わずに一生ドッグフードでよかったのに」

P「実はコレが今回の計画を思い付いた始まりだった。漠然と、何かネタになりそうだなって。ドッグフードを与え続けたら味に馴れてネタにならないからな。簡単に言うとネットの『ボケて』と一緒だ。この様子を見て、俺と雪歩でボケてみて、それをお題にする。何か思い付かないか?」

雪歩「う〜ん、すぐには……でも本当に不味そうに食べますね。ここまで不味そうな食事シーンにはそうそうお目にかかれないですぅ」

P「お、いいんじゃないか?『世界で一番不味そうに食う生き物』とかな。俺が思い浮かんだのは『嫌いなものが給食に出て、放課後残されて先生の前で食べさせられてる小学生』かな」

雪歩「なんですか?それ」

P「昔の忌まわしき悪しき教育だよ。昔は給食を残す事は悪い事とされててさ。食べ終わるまで席を立てない。それが放課後でもだ。冷たくなって更に不味くなった給食を前にどうしたらいいのか分からなくて泣いてる生徒の前に担任が座って『アフリカの子供は食べたくても食べられないのに、食べ物を残すなんてとんでもない事だ』とか精神攻撃までしたりしてたな」

雪歩「うわぁ……そんな事したら嫌いな食べ物がますます嫌いになりそうですぅ……」

P「その通り。まあ一年生まではされるがままなんだけど、それ以降はコッペパンくりぬいて中に嫌いな給食詰めて捨てて隠蔽したり、給食当番に根回ししたり、裏工作を覚えるもんだ。もしかしたらそういう事を覚えさせる教育だったのかもな。少なくても好き嫌いを矯正するような教育ではなかった。……話がそれたな。俺より上の世代向けのあるあるネタとして『嫌いなものが給食に出て、放課後残されて先生の前で食べさせられてる小学生』。それがティンとこない世代向けに『世界で一番不味そうに食う生き物』を使おう。じゃあ、次」カチッ

669ゆきぽ師匠のギャグ三連発 ビギンズ:2016/02/18(木) 17:54:20 ID:q5uIaMPQ
(ゆきぽ『すー…すー…』zzz

律子『ふざけんじゃないわよ』バシャア

ゆきぽ『ぽぎゃあぁ!!?』カッ!

ゆきぽ『ぽええええええええええあぁぁぁ!!ぷいいいいいい!!!』ゴロゴロ

律子『何回言ったら分かるのよアンタは』バシャア ジョバシャア

ゆきぽ『ぽぎゃあああああっ!!!ぎゃっ!あぅあぁあっ!』ゴロゴロ)


雪歩「コレ、確か先月の……」

P「ゆきぽが穴を掘ってお昼寝してるところに律子が熱湯をぶちまけてるシーンだな。何か思い付かないか?」

雪歩「いや……律子さんが特に激昂する事なく淡々と熱湯をかけてるのが怖い事くらいしか……これ絶対笑いにはなりませんよ?」

P「確かに……雪歩がゆきぽに淡々と熱湯をかけたらドン引きされるな。熱湯以外でこのリアクションを引き出すには……そうだ!」

雪歩「何か思い付いたんですか?」

P「熱湯をかけるのがダメなら、熱いものを食べさせるのはどうだ?昔『ひょ○きん族』で片岡鶴○郎がやってたヤツを拝借しよう」

雪歩「片岡鶴○郎さんって、俳優とか芸術とかやってる人ですよね?家族で草津に行った時、美術館があった覚えがありますぅ」

P「世代の差だな。俺が子供の頃、鶴ちゃんはコメディアンだったんだ。動画見てみるか?」スマホ スッ

オデンモッテコーイ!アフイ!、アプイッ! ゴロゴロ

雪歩「ホントですね。この時は太ってるし、いかにもコメディアンって感じで意外ですぅ。若い頃のさ○まさんもいるけど存在感ないですね。何か新鮮ですぅ」

P「これなら引かれずにネタができるだろ。2014年の流行語大賞に『壁ドン』があったから、2016年の流行語大賞を狙ってる体で『床ゴロ』とかどうかな?」

雪歩「絵的に充分面白いから、お題もそのくらいでいいかも知れないですね。でもゆきぽの方が鶴○郎さんより余計に回ってますぅ」

P「それだ!雪歩、ゆきぽが転がり出したら『いつもより余計に回しております』って言ってもらいたい」

雪歩「それって、どういう意味ですか?」

P「昔、海老一染○助・染○郎って芸人さんがいてな。『おめでとうございま〜す』って言いながら和笠の上で毬を回す芸が有名でさ」

雪歩「うーん、聞いた事はあるかも」

P「その中で『いつもより余計に回しております』って台詞があってな。不意討ち気味に使うと一定以上の世代の人達の笑いがとれると思う。よし、次でラストだ」カチッ

670ゆきぽ師匠のギャグ三連発 ビギンズ:2016/02/18(木) 17:55:56 ID:q5uIaMPQ
(小鳥『あーあ、コンロ壊しちゃって。どうしてくれるの?』

ゆきぽ『ぷいー……』シュン

小鳥『反省するフリはもういいわ。アンタなんかにお茶飲む権利なんてないわよ』

ゆきぽ『ぽ……ぽえぇ……』ウルウル

小鳥『だからコレもいらないわよね』愛用の湯呑みガチャーン

ゆきぽ『ぽぁあっ?!ぽ、ぽえぇぇぇえ〜ん;;』

たかにゃ『しっじょおおっ!!!』『お湯』『賠償』『天誅』ビュンビュンビュン

ザクザクザクッ

ゆきぽ『ぷぎっ!ぽぎいっ!ぽんがあああっ!!!』

ゆきぽ『ぽひゃあーっ!ぱう、ぱうーーーーーっ!』タタッ

小鳥『穴掘ったら殺すわよ』

ゆきぽ『ぽひっ……ひうーーっ;;』段ボール カポッ

ビュン ザクッ

ゆきぽ『ぎゃっ!』)

雪歩「これは覚えてます。二週間前ですよね」

P「とうとうコンロぶっ壊した時だな。大変だったんだぞ、この後たかにゃ止めるの。最後のネタ作りだ。生かしておいた甲斐があったと思えるようにしよう。何か思い付かないか?」

雪歩「うーん、難しいですね。泣きながら段ボールを被るところがキモなんでしょうけど……」

P「俺もこれは難しいな……ネタ二つだとちょっと足りない気がするから、何とかもう一つコレでひねり出したい」

雪歩「かくれんぼ、とか」

P「うーん、イマイチパンチに欠けるな。何か横文字で響きがいいのがあれば……」

雪歩「あ、そう言えば真美ちゃんがかくれんぼするゲームがどうとか言ってた気が……ちょっと聞いてみますぅ」スマホ スッ

雪歩「あっ、真美ちゃん?ちょっと聞きたいんだけど。あの、前に話してたかくれんぼのゲームって何て言うゲームかな?……メタルギアソ○ット、えっ、違うの?ド?メタルギアソ○ッド?ん、何でもないよ。ちょっと気になっただけ、えへへ……」

P「メタルギアソ○ッドね、検索してみるか」スマホ スッ

P「これは……!雪歩、ちょっと見てくれ」スッ

そこには、段ボールを被って歩いているソ○ッド・スネークの姿が

P、雪歩「「これだ!」」

雪歩「でも、幅広い年代の方に理解してもらえるか、少し不安ですぅ」

P「確かに。でも行動と語感だけで充分面白いからな。それに、もしかしたらこのネタをきっかけにゲーム会社が何かしら便宜を図ってくれる可能性もある。このネタは『メタルギアソ○ッド』でいこう」

雪歩「ネタは取りあえず以上ですか?」

P「そうだな。後のネタはおいおい考えていこう。初舞台だが、関西ローカルの帯番組で芸人の初舞台を提供してくれるコーナーがあるらしいから問い合わせてみる。これ、さっきまでの話し合いの内容を簡単にまとめたものだ。目を通しておいてくれ」スッ

雪歩「分かりましたぁ。その日までに用意したりとかは……」

P「そうだな、嫌かも知れないが、その日のその時まではゆきぽに優しくしてやってくれ。舞台でいきなり裏切った方が面白いリアクションが期待できると思う」

雪歩「不本意ですけど相方ですからね。分かりましたぁ」

P「ゆきぽのスコップは前日に処分しておこう。最初のネタでゆきぽが渋ったら、遠慮なくぶっ叩いてくれ。ツッコミから始まる新しいタイプのお笑いになるぞ」

……

この日から一ヶ月後、『萩原ゆきほ・ゆきぽ』は初舞台を踏む事になる。



ゆきぽ師匠のギャグ三連発 ビギンズ 終わり

671名無しさん:2016/02/18(木) 20:01:07 ID:e65/Bldo
乙です。
後日談ではなく前日談とは珍しい。
楽しめました。

672名無しさん:2016/02/18(木) 20:07:56 ID:XyuROBcE
乙です
確かに前日談は新鮮な感じがする
自分の顔と似てるぷちが問題行動ばかり起こしてたら、これが普通の対応や反応になるのに普通を理解出来ない人達が沢山いるからな

673名無しさん:2016/02/18(木) 21:53:30 ID:MKHFpTrA
乙です
本編を勢い重視で書いて、前日談で補完する。作品内容も構成も発想が柔軟で面白い
雪歩のゆきぽに抱いてる感情が妙に生々しくていい。次回作も期待しています

674名無しさん:2016/02/21(日) 20:02:37 ID:BuO4XKE2
新刊発売まであと少しですね。6、7巻と比較的大人しかったあふぅは新刊ではどうなんでしょうか。最近発情期芸くらいしかないコイツがぷちの中で一番キャラが弱い気がします
タヌキモグラはヘイト対象になりすぎて、出番が少なくなってないか心配

675名無しさん:2016/02/21(日) 23:01:22 ID:e.xdOed6
あふぅは不憫ネタでしか出番がない印象
本編に出ない方が幸せなんでは?

676名無しさん:2016/02/22(月) 00:02:45 ID:8xPugx0I
あふぅは大人しくなってるのと炬燵を破壊しようとしたタヌキモグラも止めてる点が大きいよね
今はタヌキモグラだけが破壊行為をしてるから余計に目立つし、新刊で新しいネタを提供して欲しいのに、読者からのクレームで大人しくなったら本当に困る

677名無しさん:2016/02/25(木) 21:59:40 ID:3jmQHkt.
考えてみると、ホントに今のあふぅと最初のあふぅって同じ個体ですかね?どのぷちもだんだん調子にのっていくのに、初日から暴れる、ウソ泣きする、股間に頭突きする、オニギリ強奪、他のぷちをダンボールに閉じ込める、他のぷちをいじめる・・・

それが何故か今やただの毛虫に・・・

678名無しさん:2016/02/25(木) 22:42:36 ID:6kewqprc
あふぅは早熟の害獣だったのかも
ちひゃーややよにまで抜かれそうな現状はぷ虐好きとしては複雑な気分。ゆきぽとツートップだった頃が遠い昔のように思える
……実際かなり昔の話なんだけど

679執行人 ◆jcMzNHW8Yo:2016/02/26(金) 06:47:26 ID:..7A1JhQ
ガルパンの4DX版を観てきました
誰かデスレース的な(ぷちを多く轢き殺せば高得点)ぷ虐ss書いてくんないかな・・・

あふぅ虐メインのssは2014年以降、めっきり減った印象があります
ゆきぽが人気過ぎたのと、ちひゃーとやよの台頭のせいですね
ヘイトが和らぐと、虐待の数合わせぐらいにしか使われなくなります

680名無しさん:2016/02/27(土) 11:02:27 ID:hspye18.
とりあえず、みうらさん普段、水瀬家にお世話になってたんかい(8巻参照

681名無しさん:2016/02/28(日) 00:12:21 ID:H7pkGvdY
一番レイプしたいぷちはどいつ?僕はたかにゃ!

682名無しさん:2016/02/28(日) 02:00:23 ID:z2BEUB4o
>>681
お前、あんな獣をレイプなんて発想がおかしいぞ。
ゆきぽなんぞ頼まれても、金をつまれてもやりたくない。
ほんと、発想が異常だよ…。

俺はみうらさん。こたぷ〜んを思いっきり握りつぶしたい。

683名無しさん:2016/02/28(日) 07:22:49 ID:RRD0pIHs
ぴよぴよと 繋がったまま FlyAway

684名無しさん:2016/02/28(日) 12:59:39 ID:Uyw95ubo
夜中にはるかさんに、精力が増強しそうなもの食わせて暗黒化させてから
水で増やしてゆきぽを犯して欲しい(いろんな液でべとべとゆきぽ)

685ゆきぽ、アイドルと一緒に虐待される:2016/02/28(日) 17:46:16 ID:G.XSi7Do
投下します
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とつぜんだが、フナとPは日本に帰国した。

真冬のピークを過ぎ、まもなく春を迎えようとした時期だった。

人によっては花粉が気になる時期。

ところで、花粉症は一度発症してしまったら後は地獄だ。
個人差はあるが、治るまでに20年近くかかるといわれている。

Pは765プロで営業業務に復帰。一方、フナは……

フナ「三月の第一週か。春休みまでもう少し。期末テストも
   終わっちゃったから、これといってやることないよね?」

委員長「な……」

優奈「フナ……? 入院してたはずじゃ」

ここは奈子の通う学園。

1年4組の教室に突如現れた船越ヒナ。
(苗字からとってあだ名はフナ) 

お昼休みなので騒がしいことこの上ない。

フナ「入院か。そんな設定だったかもね」

野蛮くん「設定だと……?」

虐待派と擁護派の激しい議論は中断され、全員がフナに質問攻めをしたがった。

委員長「諸君。待ちたまえ。船越君には代表して僕が質問する」

フナ「Hola senol.cuanto tiempo!! como estas?」

委員長「no mal. se parece que...tu sientes bien?
no hay nada de programa con tu cuerpo」

フナ「si.si.yo estoy muy bien. puedo estudiar aqui
     con mis amigos y amigas」

686:ゆきぽ、アイドル(以下、略:2016/02/28(日) 17:47:38 ID:G.XSi7Do
委員長「tu amigo de senol p, me a dijo que as estado en iraq.verdad?」

フナ「claro que si.es la verdad」

委員長「cuando llegaste a japon?」

フナ「a la semana pasada」

他の生徒たち「なんて言ってるんだ……?
          英語ではないようだが……」

愛護派の生徒「くぅ。台湾に留学経験がある俺でも一言も聞き取れん」

野蛮くん「な、なにぃ……フナはイラクから帰ってきたようだぞ…」

他の生徒「今の言葉が分かるのか?」

野蛮くん「全部じゃないけど、だいたいな。
      委員長は知り合いのPさんから聞いてたみたいだ。
      フナは健康で学業には問題ない。つまり退院してたわけだな」

優奈「野蛮くん……。ほとんど聞き取れてるじゃない。
    私なんて英語しかできないわ」

奈子(奈子は英語すらできないんですけど……。
    つーか外国語うざい。なんであんなに大声で話すんだろ。
     しかも機関銃みたいに早口)

野蛮くん「ようフナ。スペイン語を聴いたのは久しぶりだからびっくりしたぜ」

フナ「como estas? mi amigo」(げんき―?)

野蛮君「muy bien.gracias.tu habras muy bien」(おうよ。おめ発音うめな)

フナ「gracias.tu tambien」(あんたもねー)

委員長「どちらも素晴らしい発音だ。野蛮クンは本国(かすてぃーじゃ)
     ではなくメキシコ式の発音だな」

野蛮クン「おうよ。近所にメキシコ人の奥さんがいるんだ」


フナは今、クラスで起きてることをたくさん聞いた。

生徒たちは若干名の中立派を除いて虐待派(右派)と
擁護派(左派)に分かれて激論を交わしてること。

学内にぷちどる対策委員のメンバー(奈子など)がいること。

フナ「へー。結構荒れてるんだねぇ。
    もうすぐ2年生のなるのにみんな元気だねよねー?」

奈子「うちは茶番が好きな人が多いから。みんな暇人なんだよ」

野蛮クン「神聖な議論と呼んでほしいな」

委員長「だが、話し合っても永遠に結論が出ないのも確かだ。
     意見をぶつけ合い、お互いの立ち位置を確認するだけ。
     だが、語らずにはいられないのだ」

687名無しさん:2016/02/28(日) 17:51:03 ID:G.XSi7Do
優奈「フナ。あなたはどっち派?」

フナ「私は虐待は良くないと思うかな。
    ぷち全部が悪いわけじゃないじゃん。
     良い個体もいるんだよ。例えばこの子とか」

ゆきぽ「ぽう」

委員長「なぁ!?」

優奈「なんでゆきぽが教室に!?」

奈子「ぶー!!」

扉を開け、片手をあげながら入室するゆきぽ。

奈子は衝撃のあまり飲んでいたミルクティーを吹き出す。
机に広げていたファッション雑誌がだいなしになってしまった。

ゆきぽ「ぽっぽー」

微笑ましそうに生徒たちを見守る姿は害獣とは思えない。
校長先生のように落ち着いた雰囲気だ。

もちろん普通のゆきぽではない。イラクに住んでいたゆきぽだ。
強盗に襲われたPたちを救ってくれた、あの勇敢なゆきぽだ。

虐待派「そんな分析はどうでもいい!! 今すぐゆきぽを捕獲しろ!!
      油断したら穴を掘られて大惨事になるぞ!!」

虐待派女子「こんなこともあろうかと、
       催眠ガスを噴射する手りゅう弾を用意していおいたよ」

擁護派「待て、落ち着け!! 下手な刺激は逆効果だ!!
     ゆきぽに敵意がないのは明らかだぞ」

委員長「虐待派の連中はサブマシンガンをしまえ!! 
     てゆーかどっから出した!?」

虐待派の生徒「ただの電動ガンですよ。安物の」

奈子(本物っぽく見えるのは気のせい?)

ゆきぽ「ぽうー。ぽえぽえ」

野蛮くん「こ、こいつ……。まるで人間を恐れてない?」」

688名無しさん:2016/02/28(日) 17:52:07 ID:G.XSi7Do
優奈「それに雰囲気が他のゆきぽと違うような?
    瞳の裏に強い意志を秘めてるような……
     まるでいくつもの修羅場を潜り抜けた猛者のごとく」

クラスの半分以上のメンバーは第一種戦闘配置になった。

それも無理はない。なにせ害獣の中の害獣と言われる雪歩が、
この学園に当然のように侵入したのだ。

厳しいセキュリティ(校内に127を超える監視カメラ、
用務員と称した戦闘訓練を施された監視委員らが存在する)
をかいくぐって、子供たちのいる教室にまで入って来たのだ。

虐待派の生徒たちが掃除用ロッカーに用意しておいた武器を
取り出し、武装する。まるで、外国軍の侵入に備えて
つねに家庭内に重火器を用意しておく、スイス人のお父さんのようだ。

(壁かけ式のサブマシンガン。床下の手りゅう弾など)

委員長「なんだこのロッカーは!? いつからうちの掃除用の
     ロッカーは武器の貯蔵庫になったんだ!!」

虐待派2「エアガンのことですか? ビッグカメラで安売してたんですよ」

フナ「みんな顔怖いよー? ゆきぽが全部悪いわけじゃないんだから」

委員長「国家に指定された第一級危険生物だ!!
     個体差はあるが、スコップと腕力で軽く大の大人を殺せる!!」

野蛮クン「フナ!! どうやってゆきぽをここまで連れてきた!?」

フナ「どうやってって。普通に歩きてきたんだよ」

フナ(あんなお子様レベルでセキュリティのつもりだったのかな?
    旧ソ連のクレムリンに比べたら甘すぎるよ)

ゆきぽ「ぽえぽえ。ぽーえぽえ」

委員長「……? なにか伝えてるのか?」

フナ「若い子たちは元気だねって言ってるよ」

野蛮クン「若い子たちだと……?」

優奈「まあ。ずいぶんと上から目線なこと」

フナ「嘘じゃないんだよ? このゆきぽは日本よりずっと
    過酷な世界で生きてきたんだから」

奈子「ゆきぽなんてどいつも同じでしょ?」

689お猿さんになるかもね:2016/02/28(日) 17:54:16 ID:G.XSi7Do
フナ「そんなことないよ。人間と同じでぷちどるも
    まったく同じ個体はいないんだよ。
    私たちは家族だけど。同じであるべきだけど。でも違うの」

奈子(でも違う? よく分からない言い回し)

虐待派男子A「殺せ!! ゆきぽを殺せ!!」

虐待派男子B「学園の平和を守るんだ!!」

優奈「なっ……」

虐待派の生徒らが、ゆきぽを半円状に囲み、ナイフや銃をちらつかせた。

修羅場である。

委員長は机の上で肘をつき、両手をあごの下で
組む態勢(ゲンドウポーズ)のまま発言した。

委員長「強硬的だな。今後、君たちの内申点に関わることになるが?」

虐待派男子「先生方の8割が害獣の駆除に賛成してるのは知ってるぞ!!
       僕たちがこれから行う行動は、学園の総意に等しい!!」

虐待派女子「これ以上の問答は無用です!! 害獣の捕獲に移ります!!」

野蛮クン「てめえら!! 4組はまず話し合いで物事を
      決めるって約束だろうが!!」

擁護派女子「少し落ち着きなさいよ!!
       教室内で流血沙汰の事件になるわよ!?」

このままでは血を見るのは明らかである。ゆきぽをかばおうとしてる
心優しく女子たちが攻撃に巻き込まれ、病院送りにされる危険すらある。

さて、優奈は血の気を失い、神に祈るばかりになった。
クラスの長である委員長(男子)は、深くため息をつき、メガネを外した。

最後の説得を試みようと、席を立ち上がろうとした、まさにその時だった。

フナはいつの間にか委員長の後ろに立っており、肩をたたいた。

委員長は驚き、フナを振り返る。

フナはくったくのなえい笑みを浮かべており、彼を落ち着かせた。

その後、わずかに目を細めたかと思うと、
貴婦人のような落ち着きを払ってこう言った。


フナ「諸君……。そろそろお茶の時間のようね?」

虐待派は仰天し、壁掛け時計をみる。

690名無しさん:2016/02/28(日) 17:55:33 ID:G.XSi7Do
まだ昼休みだ。そんな細かいことより、フナの雰囲気に圧倒された。

仕草、声色、表情、すべてに焦りが見えない。
鈍感だからではない。イラク南部の乾燥した、肌にピリピリした空気に
比べたら、ここはどこまでも平和に感じられたのだ。

フナがただそこにいるだけで、威厳のようなものを感じた。

虐待派も養護派も棒立ちのまま動けないでいると、
空いてる席にゆきぽを案内するフナ。


フナ「ゆきぽ、のど乾いたでしょ? 紅茶いれるね?」

ゆきぽ「ぽっぽー」

殺伐とした教室に紅茶の香りが漂い、生徒たちをリラックスさせた。

取り乱した時こそ紅茶を飲んで落ち着こうとする、異国の文化で
育ってきたものの異質さが、逆に心地よくすらあった。

フナは、見た目はどう見ても普通の日本人だ。濃い目の金髪のツインテールで
いかにもオタクが好みそうな女子である。小柄で童顔。

目がぱっちりしててまつげも長い。
入院してなければ学園内でファンがいたことだろう。

実年齢よりもずっと幼く見えるその顔には、他の生徒たちには
ない何かが感じられた。言葉にはできない、なにかが。


野蛮くん「おいおい。教室にティーカップがあるとか……」

優奈「ずいぶん本格的ね。自然と電気ポットやお菓子も用意してあるし。
    学校側に許可はとったのかしら? 委員長?」

委員長「突っ込みどころはたくさんあるが、あえて言うまい。
     帰国と退院祝いとして特別に見過ごす」

フナ「さっすが委員長ー。話が分かる人はスキだよ?」

委員長「ふ…/// ふん/// そうか」

フナ「委員長たちも紅茶飲む?」

委員長「そうだな。せっかくだからいただこう」

ゆきぽ「ぽえ? ぽっえ?」

委員長「ん? クッキーをくれるのか? すまないね」

ゆきぽ「ぽう」

野蛮クン「すげえ。自然に委員長の隣にゆきぽが座ってる。
      しかも紅茶を飲んでる姿が絵になってる」

691名無しさん:2016/02/28(日) 17:58:10 ID:G.XSi7Do
委員長(ゆきぽは緑茶とたくあんを好むんじゃなかったのか…)

優奈「わぁ。この紅茶、すごく品の良い味。
    学校でここまでおいしく入れられるなんてすごい」

委員長「茶葉が開くのは湯が95℃以上だな。
     信じられないことにカップは事前に温めてあった」

虐待派「家で飲んでる紅茶と後味が全然違うぞ……。
     本格的な紅茶ってこんなにおいしかったのか」

奈子(……。くやしいけど本当においしい。
    かおりが良くてリラックスできる。
    それに飲み終わった後に頭がすっきりする)

フナ「入院中に4組は紳士淑女の集まりって聴いてるからさ。
    楽しいクラスになるといいよね?」

委員長「まったくだな。僕たちは争うばかりで
     冷静さを欠いていたと言わざるを得ないな」

フナ「委員長も結構話が分かるんだね。
    もっと頭の固い人だと思っていたんだけど?」

委員長「む。失礼だな。僕だって人の意見を聴く時はあるさ」

フナ「ふーん?」

委員長「あまり見つめるなよ。照れるじゃないか///」

フナ「ふふふ。やっぱ面白いね」

奈子(なに良い雰囲気になってるのあの二人。まじうざい。
    なにげに入院前は委員長コンビだったしね。
     今女子の委員長は優奈だけど)

虐待派の連中も紅茶とクッキーをふるまわれると、フナが
美少女なこともあり男子達はデレデレしていた。フナは愛想が
抜群によく、差別しない主義なので男女共に人気があった。

優奈(船越フナ……退院した初日からクラスの中心的存在なのね)

穏やかな雰囲気でその日の授業を終えた奈子たち。
あっという間に時が過ぎて帰りのHRになる。

担任の先生「もうすぐ新2年生になるわけですから、学生としての
       節度をもったですね……」

奈子(どの教師も同じことしか言わないし、HRって時間の無駄だよ)

今日が今期フルタイム授業の最後の日だった。
来週からは春休み前の半日授業が始まるで、毎日が遊びみたいなものだ。

692名無しさん:2016/02/28(日) 18:00:39 ID:G.XSi7Do
奈子はもやもやした気持ちを抱えながら帰宅。

愚痴をまこちーに聴いてもらおうと思っていた。

奈子「たっだいまー」

まこちー「奈子。太盛が来とるで」

奈子「太盛君が!?」

太盛はキッチンにいて、美留にパンケーキの作り方を教わっていた。

奈子「太盛君……美留に教わるとか意味わかんない」

美留「姉ちゃんのほうが意味分からんわ。
    太盛君と2人っきりなんやから邪魔スンナや」

テーブルには牛乳、薄力粉、レシピが表示されたタブレットなどが並ぶ。
美留と太盛はおそろいのエプロンを着て良い気になっていた。

美留はもちろんノリノリだが、太盛も年下の女の子に
料理を教わってまんざらでもなかった。

邪魔しようにも、本格的なお菓子作りなので初心者お断りの
雰囲気が漂っている。現に奈子にはどうやって作るのか見当もつかない。

料理やお菓子作りができる妹と違って、奈子はこっち方面はさっぱりだ。

奈子「太盛君ってお菓子作りとか興味あるの?」

太盛「んー。イライラした時にキッチンに立つと妙に落ち着くんだ。
    妹のみなみが全く料理ができないから、たまに簡単なものを
    作ってあげると喜んでくれるし」

美留「太盛君の家は両親が遅くまで家に帰ってこないって
    設定だもんね?」

太盛「うん。設定だ」

まこちー「そういう話は影でこっそりとせえや」

奈子「ふん……」

まこちー「なんや奈子。自分の部屋に行ってしまうんか?」

奈子「英語の勉強するの。YOUTUBEで無料のイギリスドラマみてくる」

まこちー「ほう。珍しく勉強熱心やな」

美留「いいことや」

イライラすると、ついぷちに八つ当たりしたくなる。
そんな時に外国のドラマを見てると、嫌なことを忘れられる自分に気付いた。

ドラマは学校から宿題として見るように指定された、
陳腐な恋愛ドラマやコメディドラマだ。

美留『あぁあ!? パンケーキが焦げちゃったよ太盛く〜ん!?』

太盛『ごめん!! ちょっと目を離したすきに!!』

1階から不愉快な声が聞こえる。(奈子の部屋2二階)

奈子はヘッドホンをしてやりすごすことにした。

693名無しさん:2016/02/28(日) 18:03:29 ID:G.XSi7Do
舞台が変わって翌日の学校である。

今日の3時限目の授業は奈子の大嫌いな英語だった。

英語の先生は日本人ではない。中国北部出身の中国人。
大学時代にソ連人の教授からイギリス式の英語を教わった人だ。

英語には厳しく、発音や聞き取り能力など、
生徒にダメ出しをすることで有名だった。

先生は日本人ではないため、日本語には中国語特有のトーンが
含まれてるが、英語の発音は見事だった。

大きな声の英語で注意されると、生徒たちは委縮したものだ。

みんな最初は意味の分からない外国語である英語が大嫌いになった。

だが、先生は英語が国際言語であること、インターネットでは
英語のコンテンツがあふれており、情報を得るために最適な
言語であることなどを熱心に説明した。

やがて生徒たちは反骨心から熱心に英語を学習するようになる。

先生の勧めにより、自宅ではオーストラリアや
イギリスのラジオをたくさん聴くようにした。

1年生が終わるこのころの時期になると、言いたいことが
自然と口に出るくらいのレベルにはなっていた。

先生「さぁー。みなさん。英語の時間を始めますよ!!」

ゆきぽ「ぽえぽえー」

先生「いつも通り話題を決めて自由に話し合ってもらいまぁす!!
    今日の司会進行はゆきぽ君に任せましょうー!!」

野蛮クン「はぁ!? なんでぷちが司会進行なんだ。
      普通は委員長とか優奈に頼むべきだろ!!」

奈子「つーか害獣がなんで授業に参加してんの?」

優奈「高木さん。口が悪いわね?」

奈子「けっ」

ゆきぽ「Miss yuuna is right. watch you'r mouse.nako?」

奈子「はぁああああ!? こいつ何言ってんの!?」

694名無しさん:2016/02/28(日) 18:05:21 ID:G.XSi7Do
優奈「You didn't know that? yukipo speaks english as well」

奈子「知るわけないでしょ!!
    むしろなんであんたは冷静に話してるのよ!!」

先生「It's time for discation. miss takagi?」

優奈「Speak only in english. will you? miss?」

奈子「Wait..wait just a moment please!?
how can yukipo sepaks the human launguage!?
It's impossible! because she is an animal!」

ゆきぽ「alrgiht. let me say that i'm not normal.
i am not an ordinary one」

野蛮「Wow...!! you'r pronunciation is so beautiful.
it sounds like bbc english.yukipo?」

ゆきぽ「Thank you.boy.i've been to england seaval times」

奈子「ちょ……そんなスラスラ話されたらほとんど聞き取れないよ。
    ゆきぽのアクセントがすごく強い。母音の音程が高すぎ!!」

委員長「気合とノリで何とかしたまえ」

先生「さて。今日のお題は何にしましょうか?」

ゆきぽ「ajourdy...let moi falle. qando ju peou vous parlre?」

先生「フランス語は分からないので英語か日本語でよろしく」

ゆきぽ「ぎゃく……たい……。ぴち……ぎゃぁ……」

先生「English please?」

ゆきぽ「Well.today let's talk about the victims of putidoru!!」

先生「The victims ? which one? so many victims in japan」

ゆきぽ「Everyone. who are dead in this country 」

先生「Sorrry. i don't know what you want」

ゆきぽ「Then.i will make it simple.
far right wing people are as the same as psychopaths.
they will kill japanese people in the future !!」

委員長「We already talked about it before」

野蛮「Yes. 8 month ago」

695名無しさん:2016/02/28(日) 18:10:21 ID:G.XSi7Do
奈子「I am sure.i'm not pshycopath !!」

優奈「Are you gouing crazy? miss takagi? how can you say that?
you are the member of taisaku iin.
didn't you remember how many putidoru did you kill before?」

奈子「Sorry.i forgott everything. it's not important for me.
it's not against the law」

ゆきぽ「And...why you hate them? nako?」

奈子「Yukipo type of putidoru, they really like to dig
a big holl in the guraund. even inside of bildings.
they can't live wite humans .they can't live
in the civilization」

虐待派「I agree with nako. how can we live with them!?
we have a responsibility to protect our
country and the civilization!!」

虐待派2「Me too. we should kill them all.
ahu's are idiots.thihya's make a big noise everywhere!!
who wants goddam noises of practicing karaoke?」

フナ「Putidoru has ther spirits. minds. ways of thinking.
which is diffarent between humans and putis?」

奈子「Are you kidding? completely diffarent from human beans」

フナ「Then, let's see my friend.
my firend of yukipo is very smart」

奈子「I know what are you talking about. my family has
makoti who speak japanese fluent.
he's so intelligent. and has a good experience of life」

フナ「You rearry? that's so great!!」

奈子「Yes.he is greatest than ever. but..i think
99 parcent of putidoru are animals. we can kill them」

愛護派女子「You are going too far.nako!! we need more time to think
about it!! we are not bloody animals!!
what the god says in your bible!?」

奈子「putidoru's are extraordinary.that's all
i don't want to cere anymore」

フナ「You just want bloods?」

696名無しさん:2016/02/28(日) 18:12:57 ID:G.XSi7Do
奈子「Yes.bloods of putidoru. our menber really wants it too」

委員長「That's not right for humanrghts」

奈子「There' no humanrights for putidoru's fuckers」

野蛮「What's the bloody hell !!」

フナ「Everybody pay attention please!?」(ちょっとみなさん。よろしいですか?)

優奈「What? sir?」(どうされましたか?)

先生「日本語訳に移ります。いま議論したことを日本語に訳してください。
    誰にしましょうか? 野蛮クンにお願いしましょう」

野蛮クン「えー俺かよ。訳すとニュアンス
     変わるからめんどくせーんだよな」

優奈「ならわたくしがお手伝いします。よろしくて?」

先生「ぜひお願いしましょう」

優奈「まず、ゆきぽさんが奈子さんの口の悪さを注意しました。
    奈子さんはゆきぽさんの英語に驚き、野蛮クンは発音の
     美しさを褒めました。まるでBBCを聴いてるようだと」

野蛮クン「そのあと高木が動物なのにぷちどるが言語を話すなんて
      信じられないみたいなこと言ってたな?」

奈子「たぶんそんな感じじゃない? 忘れちゃったよ」

優奈「で、ゆきぽさんが今日のお題について話しましょうと言いました。
    えーっと、犠牲となったぷちどるについて……?」

先生「Very well.continue please?」(大変によろしい。続けなさい)

優奈「先生がよく分からないと言ったので、ゆきぽさんが言い方を変えました」

委員長「先生は殺されたぷちどるなんてそこら中にあふれてるから、
     何を話したらいいの分からないと言ってたな」

優奈「そう……まさにそれね!!
    そのあと、ゆきぽさんはサイコパスと虐待派は同じだって言ったわ」

野蛮クン「それは今年の夏ごろに話し合ったって話になったな」

優奈「奈子さんが私はサイコパスじゃないって主張して?」

奈子「あってるわよ。そのままの意味でしょ?」

優奈「ぷっ」

奈子「あにあんた? バカにしてんの?」

優奈「どの口がそんなことを言えるのかしら? ご自分が
    対策委員でどれだけ多くのぷちドルを殺してきたか忘れたの?」

697名無しさん:2016/02/28(日) 18:15:59 ID:G.XSi7Do
野蛮クン「まさにその通りの内容を話してたな」

奈子「ゆきぽはおっきな穴を掘るのが好き!!
    どこにでもね!! 屋内でも掘るんだよ!?
     文明社会に適応できないんだよ!!」

委員長「うむ。君が英語で言ってた内容だ」

優奈「すると、虐待派の生徒が支援しました。
    あふぅはバカ。ちひゃーはカラオケの練習をしてうるさい。
     みんな殺しちゃえって」

優奈「私たちの国家と文明を守るための義務がある。
    どうやったらあんなのと一緒に暮らせるんだ?」

野蛮クン「フナがこう言った。私のゆきぽは賢い。
      全部のぷちドルが悪いわけじゃないでしょ」

優奈「奈子さんのまこちーは日本語を流暢に話すし、人生経験も豊富で賢い」

フナ「そうなの!? すごいねぇ!! って私が言いました」

奈子「九割九分ぷちどるはクズばっかりよ。死ねばいい!!」

虐待派女子「もっと考える時間が必要よ!! 私たちは獣じゃないの!!
       あなたの聖書で主はなんとおっしゃった?」

奈子「ぷちは突然変異の化け物。
    あんな奴らに気を使う必要があるの? 必要ないよ」

フナ「あなたは血を望むの?」

奈子「私だけじゃない。対策員の人たちもぷちどるの血を望んでる!!」

委員長「それは人道(人権)に反する」

奈子「ぷちに人権はないんだよ」

野蛮「ちっくしょぉおおお!!」

先生「大変に素晴らしい訳です。細かいところで言い方が違いますが、
    ほぼ満点に近いです。今日の英語の授業はここまでです」

奈子(くっだらねえ授業。けっきょく何語話しても茶番に変わりないじゃん)


帰り道。奈子はいつものように1人で歩いていた。

寒さもピークを過ぎ、明るい時間ならマフラーを
しなくても平気になってきた。

後ろから自分の名を呼ぶ声が聞こえるのだが、めんどくさいので
無視していた。やがてその声はどんどん大きくなり、
とある少女が奈子の横に並んだ。

フナ「奈子ー」

奈子「なに下の名前で呼んでるの。なれなれしい」

フナは誰に対しも花のように浮くしい笑顔。
演技ではなく、ほんとうに人を差別しない子なのだ。

笑顔はコミニケーションの基本だ。
ツインテールを揺らしながら歩く姿は、同性から見ても可愛らしい。

不思議なことに奈子の周りには美少女ばかり集まるようになっていた。

698名無しさん:2016/02/28(日) 18:20:13 ID:G.XSi7Do
フナ「奈子の家寄っても良い?」

奈子「えー」

フナ「不満? マコチーに会いたいんだけど」

奈子「あいつ、おっさんだよ?」

フナ「うちのゆきぽだって若くないよ」

ゆきぽ「ぽえー」

奈子(なんで害獣も一緒にいるの?)

奈子「……ゆきぽって年はいくつなの?」

フナ「今年で23だよ」

奈子「……まじ? 私たちより年上じゃん」

フナ「イングランド出身って設定なの」

奈子「設定か……。ぷちも国際化してるんだね。
    うちのまこちーは大阪府出身だけど」


自宅の玄関前。フナは、奈子が社長の娘の家だからもっと豪邸を想像してたが、
普通の一軒家だった。それは、社長とママがドイツ人のような
質実剛健な生活を好んだためだ。

社長はソ連で働いた経験があるから、成金主義の資本主義帝国のアメリカ
が大嫌いだった。どれだけ給料がもらえるようになっても、
生活レベルは常に一定レベルを保ち、貴族にならないようにしていた。

友達を紹介するため、ピンポンを押してママが出てくるのを待つ。

奈子は英語の勉強の一環として、ママに英語であいさつする。

奈子「hi.I'am back」 (ただいま)

ママ「My dear. she is you'r friend? 」
   (あら。そこの子は友達?)

フナ「It's so nice to meet you ma'am.
my name is hina hunakosi.
everybody call me huna. and...just call me huna please?」

   (はじめまして。船越ヒナです。
     みんなからフナって言われます。フナって呼んでください)

ママ「分かったわ。フナちゃんって呼ぶわね?」

699名無しさん:2016/02/28(日) 18:22:35 ID:G.XSi7Do
フナ「よろしくお願いまします」

ママ「こちらこそ……あら? あなたの後ろに何か」

フナの後ろに隠れていたゆきぽが、
ママに対し「ぽえっ」と発しようとした瞬間であった。

ママは玄関にあらかじめ用意していた撃退グッズ(金属バッド)を
装備し、鬼の形相で雪歩に襲い掛かった。

ゆきぽ「ぽっ」

紙一重で交わした。

ママは天と地をを切り裂くほどの勢いでバッドを振り下ろしたのだ。

直線状に叩きつけられたバッド。地面のアスファルトを砕いている。

先ほどまでゆきぽが立っていた場所だ。

ママ「ふっ」

ゆきぽ「ぽっ!?」

ママは突いた。神速かつ必殺の意思を込めて。

速い。次から次へとバッドがゆきぽの顔をめがけて突かれる。

ゆきぽはバカではない。見事に体の向きを変え、時にはジャンプして
回避する。ゆきぽの目はふしあなではなかった。

ママの踏み込む足に注目し、次の攻撃を予測していた。

ママは、ぷちや男関係の争いで娘たちに家中を
めちゃくちゃにされた経験がある。それも一度や二度ではない。

今年の冬休みに野生のあふぅが侵入し、キッチンや冷蔵庫を
荒らされた時は、冬眠に起こされたクマのような勢いで激怒した。

国から指定された程の危険生物であるゆきぽ
相手となれば、容赦する必要はない。

フナと奈子は目の前で繰り広げられるすさまじい攻防に圧倒されてる。
フナの目から見てもママの身のこなしはみごとだった。

バッドの振り回しだけではなく、効果的に蹴りを放ち、
ゆきぽの不意を突こうとする。揺れるおかっぱをつかもうと
手を伸ばすが、今一歩のところで届かない。

ひらひらするワンピースのすそすら、ゆきぽは触れさせない。
ボクサーのように真横方向に機敏に動く。重心の移動が速いのだ。
残像すら見えるほどの回避能力だった。

700名無しさん:2016/02/28(日) 18:25:58 ID:G.XSi7Do
敵が強ければ、逆に冷静になる。ママの脳みそは次なる攻撃のために
フル回転しており、ゆきぽを抹殺するためのマシーンと化していた。

これが、かつて旧ソ連の国際スパイ組織で活躍していた社長の妻の姿だった

ママ「えらいすばっしこい奴やなぁ!! めっちゃ腹立つで!!」

ゆきぽ「ぽぽぽぽぽ」

回避一辺倒のゆきぽ。ゆきぽには攻撃する意思はないのだが、
ママがそれに気づく余裕はなかった。

そんなやり取りが5分も続くと、両者とも疲れがみえ始める。

特につらいのがママだ。訓練しているとはいえ、年が年だ。
23歳のゆきぽのが長期戦が有利なのは明らかだ。

ママ「ほんまに、はよくたばれや!!」

なんと、最大の武器であるバッドを投げたではないか!!

ぐるぐるぐる

ブーメランのごとき機動を描く。相当な回転力がかかっている証拠だ。

その遠心力のあまり、近くで観戦していた奈子とフナの髪が舞い上がる。

ぐるぐるぐる (まほうじんグルグル)

いよいよバッドがゆきぽの顔面を粉砕しようとしていた。

タイミングよく放たれたそれは、ゆきぽには交わす時間がなかった。

走馬灯すら脳内を駆け巡る。

ゆきぽは、最後まで使うまいと決めていた、最強の武器を取り出すことにした。


ゆきぽ「ぽぎっ!!」


それは、まぎれもなくスコップだった。

ゆきぽの象徴であり、害獣と言われる最大の所以(ゆえん)である。

スコップで暴走するバッドをはたいた。

701名無しさん:2016/02/28(日) 18:28:53 ID:G.XSi7Do
はたいた、というより軽くバッドで触れたと言ったほうが正しい。

それくらい簡単に、バッドは軌道をそれて上空へ飛んでいき、
やがてお星さまになってしまった。

しかし、軌道が変わっただけで回転力そのものは衰えてない。
あと1時間もすればモンゴル上空まで飛んで行ってしまうことだろう。

奈子「ママ!! やめて!!」

ママ「止めるなや。奈子。こいつを家にあげたら大変なことになるで」

ゆきぽ「Stop fighting!!」(やめえや!!)

ママ「!?」

ゆきぽ「There's no reason to continue fighting!!
today i come here to see sir makoti-」

(戦う理由なんてないで。まこちーさんに会いにに来ただけやん)

ママ「イングランド式のアクセントとイントネーションや。
    アメリカ人たちとは品が違うで」

フナ「私のゆきぽは害獣じゃないから安心してください」

ママ「たしかに。めっちゃ文明人って感じやな。
    どこの会社の面接でも合格できそうな品の良さや」

まこちー「こらこら。おまえら。日中からなに騒いどんねん」

フナ「あっ、まこちーさんだ!!」

まこちー「見たことない子やな。奈子の友達か?」

奈子「まあ。そんなとこ」

ゆきぽ「sir makoti-!! I really wanted to see you!!」
     (まこちー殿。あなたに会いたかったのです)

まこちー「英語はわからん。大阪弁で話せや」

ゆきぽ「……!?」

奈子「無理があるでしょ」

まこちー「何が無理なもんか。日本に住んでんやったら日本の言葉を
      話すの筋やで。最近の街中では、若いもん(外国人が)日本人に
      平気で英語で話しかけるからな。何考えとんねん」

ママ「特に白人の人って日本語話してくれないのよねー」

フナ「そのくらい白人には日本語が難しいってことなんですよ」

まこちー「こんなとこで立ち話もあれやから、中にあがれや。
      茶くらいだすで?」

702名無しさん:2016/02/28(日) 18:33:28 ID:G.XSi7Do
まこちーは別室にゆきぽを通すと、一時間かけて大阪弁を教えた。

奈子たちはテレビを見ながらリビングで待つことになった。


奈子「あいつら、何やってるの? お茶覚めちゃうじゃん」

フナ「短時間で日本語が話せるようになるのかな?」

ママ「まあまあ。まこちーさんに任せようや」


やがてリビングにやって来た。


ゆきぽ「待たせたわ。日本語は助動詞の活用が複雑やな。
      発音は超母音のリズムの取り方がムズイな。
       白人にはまず無理やと思うで」

フナ「ゆ……ゆきぽ? 日本語話せるの?」

ゆきぽ「まだ少ししか話せんけど、問題ないと思うわ」

ママ「おおっ、下手な関東人が話す言葉より
    しっくりくるイントネーションや」

まこちー「ぷちどるの語学力なめたらあかんで」

奈子「ゆきぽ、あなたの名前は?」

ゆきぽ「え? ゆきぽやん。知っとるやろ」

奈子「普通に質問に答えられるし、すらすら喋れてる。
    天才すぎでしょ。いっそ語学教室でも開けば?」

まこちー「ゆきぽは金儲けするために日本に来たわけちゃうぞ」

ゆきぽ「日本の惨状を見に来たんや。ここ日本でぷちどるが発生した。
     つまり震源地みたいなもんやな」

まこちー「虐待をどうやったら止めることができるか。永遠の課題やな。
      最近の若いのはしょうもない奴ばっかやで。ほんま」

ゆきぽ「明日、河川敷に行きたい」

まこちー「ほう。対策委員の活動でも見に行くんんか」

フナ「フナも興味あるなー。ここに委員の人がいるし。
    案内してもらうよ?」

703名無しさん:2016/02/28(日) 18:35:57 ID:G.XSi7Do
奈子「今どき虐待なんて誰でもやってるのよ!!」

ママ「明日から休みやな。気を付けていってきいや」


翌日の河川敷である。

やって来たのは奈子、ゆきぽ、フナの3人(?)

真っ先に視界に飛び込んできたのはスーツ姿のお兄さんだった

お兄さん「あー具合わりぃ」

お兄さんはマスクをしており、元気がなさそうだった。

乾燥した空気で喉を悪くしており、微熱がある。
医者から安静にするように言われていたが、
家で寝てばかりいても余計にストレスがたまる。

お兄さん「なんで日本の会社は風で休んだだけで上司に
      嫌味を言われるんだ? こっちは本当に病気で
       苦しんでるのによぉ!!」

お兄さんはテントの中に入り、ペンチを持って出てきた。

テントは対策員たちに必要ないろんな道具が集まっていて、
いつでも自由に使っていいことになっていた。

お兄さん「風邪で体力がないからペンチで軽くいじめてやる。
      指をつねったりな。今日はどいつにしようかな」

ゆきぽ「……」

お兄さん「おっ。いいところに」

お兄さんはゆっくりと距離を詰める。ゆきぽに敵意がないと
思わせるために下手くそな笑顔を浮かべてる。

お兄さん「今月が俺の誕生日なんだ。もうすぐ春も近いし、俺は機嫌が良い。
      よかったら一緒にお菓子でも食べようか?」

差し出されたのはスニッカーズだった。
スーパーで売られてるお徳用なので小さい。

お兄さん「どうした? 食べないのか?」

ゆきぽ「ich weis das sie sind nicht mein freund」

お兄さん「wa...was gesagen sie!? sperechen sie deutch!?」

ゆきぽ「ja.ein bischen」

704名無しさん:2016/02/28(日) 18:42:02 ID:G.XSi7Do
お兄さン「ach...Das ist sehr gut. kenen sie? ich habe im univer...」

奈子「待って。何語話してるのか知らないけど、日本語でお願い」

お兄さん「奈子ちゃんじゃないか。いや、この獣が急に
      オーストラリア訛りのドイツ語で話しかけてきたから」

フナ「ゆきぽはオーストラリアに住んでたこともあるの?」

ゆきぽ「オーストラリアの友達がいただけや。行ったことは一度もないで」

奈子「何で話せるのよ」

ゆきぽ「ぷちどるの語学力なめんなや。どんだけ多くの外人と
     話してきたと思っとんねん。おっと……ちっさな島国に
     引きこもってる連中には想像もできん事やったな?」

奈子「うわ……普通にムカつく。以外に毒舌なんだね。
    しかもプライド高そう。殴っていい?」

ゆきぽ「暴力反対や。ま、外人たちからは皮肉屋ってよく言われるからな」

お兄さん「こいつは何者だ? 見た目は普通のゆきぽのように見えるが……
      実は着ぐるみで中に白人の女性が入ってるとか?」

ゆきぽ「間違いなくぷちやんか。
     最近のぷちどるは進化してんねや。
      頭の中身が20世紀で止まってると時代に取り残されるで?」

お兄さん「……人間と話してる感覚と変わらねえ。
      普通に会話ができると虐待する気が全く起きねえぞ」

魔女「あら。今日は団体さんで来てるのね?」

奈子「魔女……」

魔女「奈子。しばらくぶりね。ごきげんよう?」

奈子「堅苦しい挨拶はうざいからやめて」

魔女「それもそうね。で、そのゆきぽは何者?」

フナ「タ是我的ポン邦!!」

魔女「是アぁ!?」

フナ「タ是ヘン可愛!!」

魔女「我不想シュオハンユィ!! 
    似所、我的ハンユィシュオ的杯不好!!」

お兄さん・奈子(何言ってるのかさっぱりわからん!!)

705名無しさん:2016/02/28(日) 18:45:21 ID:G.XSi7Do
フナ「好あぁ!? 知道了!!」

魔女「ニ是不是中国人!?」

フナ「我是日本人!! 我正在在東京!!」  

奈子「さっきからうっさいわよ!! 今度は何語で話してるの?」

フナ「中国の普通語(共通語)ね」

魔女「最近の女子小中学生なら誰でも話せるでしょ?」

奈子「こちとら英語すらまともに話せんのに、中国語とかもっと無理や!!」

魔女「中国から旅行客が大勢東京に来てるじゃない。
    彼らの会話を聴いてると勉強になるわよ?」

奈子「関係ないわ!! ニワトリのケンカにしか聞こえないよ!!」

フナ「奈子ちゃん? その差別的な発言、地味にムカつくよ?
    普通語の話者が7億人くらいいるの知ってる?」

奈子「だからなんや!! それより皆に分かる言語で話せや!!
    あんたがふざけるせいで話が進まんわ!!」

お兄さん「ここはベルギーと違うんだから。 
       日本語だけで全国どこへ行っても通用する国
       なんだから、もっと日本語を大切にしたどうだ?」

魔女「んもー。おみゃーさんらときたら、できゃー声出すもんで
    でらおそがいでかんのだわぁ」

奈子「に・ほん・ご・で話せ言うとるやろが!!」

フナ「今のは名古屋弁だで。
    れっきとした日本語だがや。おみゃーさん」

お兄さん「奈子ちゃんも関西方言が出てるようだが…」

奈子「家族の影響でこうなっちゃうのよ……。
    好きで話してるわけじゃないの」

お兄さん「色んな言語を聞いたせいで異国の地にいるみたいだよ」

ゆきぽ「間違えとらんわ。言語とはその国の民族の文化そのもの。
     話す言語や方言によって感情表現がまるっきり変わるもんや」

お兄さん「で。おまえはここに何しに来たんだ?」

706名無しさん:2016/02/28(日) 18:46:59 ID:G.XSi7Do
ゆきぽ「虐待の現場をみに。外国でも虐待は流行ってるから
     今更やけど、いちおう気になったので」


少し離れた場所では対策委員たちが元気に活動していた。

ここは日中は人だかりができる。不景気で仕事がないもの、
近所のニートや主婦まで幅広い人種がいる。

ゆきぽは、やよの虐待現場をみた。

犬のリードをつけられてるやよの群れ。全部あわせて10匹以上。
リード(鎖)は、地面に突き刺さった鉄製のポール(支柱)につながってる。

つまりやよは、ポールから限られた範囲しか移動できない。

やよを虐待してるのは25くらいの若い主婦だった。

見るからに美人だ。濃い目のカラコンを入れてるが、目鼻立ちは整ってる。
軽いパーマをかけたセミロングの茶髪。どこにでもいそうな日本人女性
の容姿だが、遠くからでもよく目立つ、不思議なオーラを放っていた。

お兄さん「あの奥さんは最近離婚したんだよ」

ゆきぽ「ストレス解消でこんなことしとるんか」

フナ「離婚なんて最近じゃめずらしくないじゃん」

お兄さん「それがな……2回目なんだよ」

奈子「うわぁ。バツ2とか……」

奥さんはムチをふるい、やよを大いにおびえさせている。
必死に逃げ回ろうにも、リードの制限がある。

適当に振ったムチに不運にも当たってしまったやよは、
文字通り皮膚がそぎ落とされるほどの痛みに大泣きする。

やよ「びゃ」

動きを止めると、またムチが降って切る。

こんどは頭に当たった。髪の毛がごっそりもっていかれそうな勢いだ。
顔面にもみみずばれの跡ができる。

主婦が片手を振り上げ、ムチを振り降ろす。

やよたちは主婦の動きをある程度予想してめちゃくちゃに逃げると、
ほとんど命中しないようになった。
やよは4足歩行できるので動きは機敏なのだ。

やよ「うー?」

チャリーン

小銭をその辺にばらまかれると、みんなが一斉に寄っていく。

707名無しさん:2016/02/28(日) 18:48:15 ID:G.XSi7Do
10匹近くのやよがコインの奪い合いをして混雑してるそこへ

シュ

ムチが襲い掛かる。

やよA「びゃあ」

やよB「びゅうう」

この電流が走るような激痛は、何度食らっても
耐えられるものではない。たまらなくなって逃げ出すと


チャリーン

マリオがコインを獲得した時の音がした。

やよ「うううー!!」

やよ達が学習もせずに殺到するが、そこにあるのは
草むらに隠されたニンテンドー3DS(大音量)だった。

主婦「やっぱり同じ音なら反応するんだ。単純すぎて笑える。
    あははは。バカをいじめるって楽しいなぁ」

美しい主婦は、一匹のやよの首根っこを捕まえる。

そいつに塗装用のスプレーを10秒ほど噴射。

やよの無駄に大きい眼球が銀色に染まる。

やよ「うぎゃああああああああああああああ!!」

魔女「まさに死に等しい苦痛ね。人間なら即失明レベル」

短い手でこすろうとすると、激痛が増すだけ。

草むら(地面)をたうちまわるが、痛みは消えることはない。
銀色に染まった、ドロドロの涙を流し、
自分をこんな目に合わせた人間を呪った。

やよ「うぐうう」

一方的になぶられるだけでは、死を待つだけだ。

ようやく頭を使う気になったのか、鎖でできたリードを
噛み切ろうと必死だ。どれだけやってもやよの歯が欠けるだけで意味はないが。

708名無しさん:2016/02/28(日) 18:53:53 ID:G.XSi7Do
やよC「う?」

やよD「うぅ」

やよE「うぅう!!」

この3匹は、一斉に主婦に襲い掛かった。ふだんのやよが
見せないような凶暴さで主婦の腕に噛みつく。

主婦「いたたっ」

たまらずスプレーを落としてしまう。反撃されるとは思ってなかったし、
本気で噛まれるとけっこう痛い。手で振り払うとやよたちは地面に落とされたが、
起き上がると、今度は足元に噛みつき攻撃をしてくる。

主婦「やだこいつら、けっこう凶暴だったんだ」

観戦していたお兄さんたちからは、獣たちに襲われる美女の姿に移った。

この主婦は最近対策員に入ったばかりだ。虐待とは、獣に反撃される
恐れがあることを想定して行うものだ。その覚悟も必要になる。

遊びだが遊びではない。ある程度の訓練を必要とする組織なのだ。

さすがに見てられなくなったお兄さんが助けに行こうとすると、魔女がさえぎった。

魔女「久しぶりに腕がなるわ」

特に特別なことをしたわけではない。魔女はやよを一匹捕まえると、
服の中から取り出したフォークを左目に突き刺した。

やよ「うばあああああああああああ」

血の涙を流し、戦闘不能。プルプル震えながら、草むらの上で大往生。
深く刺さったフォークは、やよの短い手では引く抜くことは不可能。

それでも引き抜こうと必死だった。わずかにフォークに触れるだけで
激痛が走り、ひたいに汗がにじむ。恐怖のあまり失禁していた。

やよ「ヴヴう……」

その痛みと絶望は、もはや言葉で説明することは不可能。
やがて引っこ抜くのを諦めてしまい、ただ震えるばかりとなった。

眼球から流れ続ける血が、草を染めていく。

やよのおぞましい姿は、見てる者の心を痛めた。

魔女「次は誰かしらね?」

いつも通りの黒いフード姿。フードをかったるそうに
首の後ろに降ろし、人間味のない笑みを浮かべると、
やよ達は一斉に戦意を失う。

気合で負けたら終わりである。

709名無しさん:2016/02/28(日) 18:57:12 ID:58.v0iVo
新刊が発売して最初のSSがこれか…

710名無しさん:2016/02/28(日) 19:02:40 ID:G.XSi7Do
やよのような獣が一定距離以上を保つのは、
相手が、例えば炎のような身の危険があるものと認識してる証拠。

たかが小6の女の子がここまで相手を威嚇できるのは、
対策委員で訓練されているからだ。

太盛「魔女ちゃん。今日はその辺にしておこうよ」

魔女「せまる……さん?」

突然現れた高校生男子の姿に、すっかり戦闘モードを解除してしまう。

太盛はやよのリードとつながってるポールを破壊した。
鎖が解かれたので、やよたちは自由になり、散り散りになって逃げた。

太盛「最近、君に会ってなかったから。心配になって見に来たんだ。
    元気にしてるかなって」

魔女「ありがとうございます。もちろん元気ですわ。
    今日はみっともないところを見られてしまいました」

太盛「いいんだよ。僕は君のことだったら、こういう汚いところだって
    受け入れてあげたいと思ってる。君は僕にとって大切な人だから」

魔女「せまるさん……」

太盛「魔女ちゃん。少し背が伸びたみたいだね」

魔女「成長期ですから。クラスで3番目に大きいんですの」

完全に2人の世界だ。大勢に見られてるのに気にせず抱擁しあい、
愛の言葉を並べてる。特に魔女は先ほどまでの殺気が嘘のように
乙女の顔になっていた。長い黒髪を優しくなでられてる。

魔女の美貌は本物だった。フナは中国や韓国でありがちな
整形を疑ったが、のちに非整形であることを知り、驚愕するのだった。

魔女は本当に安心しきっている。太盛も、魔女の前では
嘘なんてつく必要がなかった。気がきいた言葉も必要ない。

2人の間には長年連れ添った夫婦のような、精神的なつながりがった。

フナ(……この魔女って人、世界中の男から定評のがある中東人並みの美しさ。
    東アジア人でここまで目鼻立ちが整ってる人ってめったに見ないよ!!)

太盛が魔女の前髪をかきわけると、整った美しいひたいがあらわになる。
目元はわずかに細められており、ピンク色の唇から吐息がもれる。

肌も透き通るように白く。およそ外見に批判すべきところが見当たらない。
フナは思わず写メを取りたい衝動にかられた

奈子「ちょっとー。河川敷でイチャラブしないでよ!!」

主婦「アホらし。もう帰ろ」

美しい主婦はため息をつくと、急ぎ足で帰って行く。

何度か振り返ると、
ラブコメしてる若者たちを嫉妬の混じった眼で見つめていた。

711ゆきぽ、アイドルと一緒に虐待される:2016/02/28(日) 19:04:23 ID:G.XSi7Do
ゆきぽ「日本の虐待なんて中東に比べたらたいしたことないわ」

奈子「向こうはそんなにひどいの?」

フナ「うーん。説明するのは難しいね。たぶん現地に行った人にしか
    分からないレベルだから。日本で住んでるってのは
     とっても幸せってことなんだよ?」

奈子「前にママやパパも同じこと言ってた」

ゆきぽ「次は765プロに行こう」

奈子「なんで!?」

フナ「とうとつだね」

ゆきぽ「奈子のお父さんが働いてる場所やろ。
     それにぷちが発生した最初の場所って聞いてるわ。
      一度くらいは行かなあかんやろ」

奈子(あふぅやいお、は外国の島に住んでたような……)


そんなこんなで、次は765プロを訪れることになった。

                つづく

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

投下終了です

712名無しさん:2016/02/28(日) 19:19:56 ID:TUAk7wgo
ネカフェで8巻読んできました。ぷ虐的にはあまり見所がない巻と言った印象
あふぅは不憫キャラでいくみたいですね。いおが『薬飲みたくない』と言った時と比べて周りの反応が違い過ぎるのが、ちょっとかわいそう(しかも、そのいおに『飲むか黒焦げになるか選べ』と言われる始末)
タヌキモグラも、イラつきはしたけど比較的無害だった気がします
あと、みうらさん可愛い

713名無しさん:2016/02/28(日) 21:29:06 ID:U4DUJJ.2
テレビで動物が虐待されているのが流れているんだけど悲しくなってくるわ…糞ぷちが虐待されれば良いのに

714名無しさん:2016/02/28(日) 22:02:31 ID:nmVIyW0g
>>711
何言われても投下し続けられるメンタル強すぎワロタ
この人って執行人さんより前から書いてた人だよね?

715名無しさん:2016/02/28(日) 22:48:55 ID:Uyw95ubo
最近、原作でもゆきぽとかおとなしくなってきたけど
さすがにそろそろ編集あたりがとめたんかな?
あのままいくと、まちがいなくサイコパスだし

716名無しさん:2016/03/01(火) 22:16:56 ID:iwexutls
編集とあとは読者からの意見もあったと思う
このままなら冬場の3割増しで雑になるという設定も控えめな描写になるかも
やっぱ新刊が微妙だとぷ虐も盛り上がらないな……

717よけるさん:2016/03/02(水) 16:29:48 ID:QZb27H1s
ss投下します。>>625の書き込みをアレンジした新巻ネタで。今回のターゲットは新巻で目立ったあのぷち

718よけるさん:2016/03/02(水) 16:31:33 ID:QZb27H1s
今日、ゆきぽが事務所の床に穴を掘った。外回りから帰って来たら、掘った穴の中でスヤスヤと寝ていやがった。前回、アイドル達とは『今度掘ったら殺処分』と約束していたので、本来なら即保健所送りで文句などあろうはずがないのだが……

「「「かわいそう」」」

……これだ。この前約束したはずなのだが、いざ殺処分となると平気で約束を破ろうとする。このやりとりはこれで四度目だ。
二度目に同様のやりとりをした時に『あ、こりゃダメだ』と思っていた俺は、こんな事もあろうかとあるモノを準備していた。

P「じゃあ、床の修繕費はゆきぽに稼いでもらう事にしよう」

俺は用意しておいたモノをみんなに見せる。

ザワザワ……

千早「これは、箱?じゃないですよね」

真美「何かガラス張りでキレ→だねぃ」

律子「高さは1mくらいで、上は1m×2mくらいかしら。長い方の一方と短い方両方の端ににロープが張ってますけど……」

春香「これって、何に使うモノですか?見た目は何かプロレスのリングみたいな……」

P「その通り。これはリングだ。ゆきぽにはこのリングで『殴られ屋』として働いて今日掘った穴の修繕費を稼いでもらう」

シーン……

「「「かわいそう!!!」」」

……はぁ、またそれかよ。それさえ言ってりゃどうにかなるとでも思っているのだろうか?いい加減にしてもらいたい。

P「考えてもみろ。本来は問答無用で殺処分の筈なのに、それを修繕費さえ稼いだら不問にするって提案してやってんだ。感謝して欲しいくらいだぞ?1回300円で殴りたい放題にすれば300〜400回くらいで払い終わるな」

貴音「そのような残酷な提案には承服しかねます!」

P「だったら代案を出せ。お前らは忘れてるかも知れないが、俺は覚えてるぞ。このやりとりはこれで四度目。仏さまでも過ちを許すのは三度までだ。もう『かわいそう』では済まされない。殺処分か殴られ屋以外の案があれば聞くが」

シーン……

事務所に重苦しい沈黙が流れる。

719よけるさん:2016/03/02(水) 16:32:41 ID:QZb27H1s
P「まあいい。少し考える時間も必要だろうしな。先にゆきぽに『殴られ屋』の説明をしておこう」スポッ

ゆきぽ「……ぽぅ?んぅ〜…?」コシコシ

ゆきぽを穴から引っこ抜いてリングに立たせる。

P「ゆきぽ、また穴掘ったんだな」

ゆきぽ「ぽぇ」コクリ

悪びれもせずにあっさり頷くゆきぽ。思わず腸が煮えくり返りそうになる。

P「そっか……お前の掘った穴はみんなが働いて稼いだ金で元に戻してるって事は理解できてるか?」

ゆきぽ「ぽ?ぱぅー」クビカシゲ

……理解できていないようだ。すっとぼけた顔で、今度は首を傾げる。今すぐひっぱたいてやりたいが、その前に『殴られ屋』について説明をしなくては。

P「掘った穴を元に戻すにはお金が必要で、お金はお仕事をしないともらえない。今からゆきぽには簡単なお仕事をしてもらって、俺がゆきぽにお金を払う。そのお金は穴を元に戻す為に使われる。ここまでは分かるな?」

ゆきぽ「ぷぃ」コクリ

P「よし、じゃあこれがお仕事でもらえるお金、300円」チャリ

デスクに300円を置き、三分たったらアラームがなるようにタイマーをセットした。

P「で、ゆきぽの仕事は……」

「俺に三分間殴られ続ける事」ニヤリ

ゆきぽ「ぽぽ?」キョトン

ボゴオッ!

ゆきぽ「ぷぎゃああっ?!!」

キョトン顔のゆきぽの顔面に拳をめり込ませるのは、たまらなく気持ちの良いものだった。心情的にも、感触的にも。清々しいとはこんな気分の事を言うのだろう。

真「ちょっと!何してるんですか!」

P「何って、お仕事」

ゆきぽ「ぽ、ぽ、ぽええぇ〜んっ;;」スコップ スッ

P「ああ、お前のいるそのリング、強化ガラス製だから。走り回る分には強度的に問題ないけど、スコップなんか突き立てたら一発でヒビ、二発で粉々に砕け散るだろうな。底には五寸釘がビッシリ立ててある。穴掘って下に落ちたら刺さりどころが悪いと死ぬぞ。試してみるか?」

ゆきぽ「ぽ……」ピタ

俺の言葉が脅しではないと本能で理解したのだろう。顔を青くして穴を掘るのを止めた。

P「理解できたみたいだな。さあ、続き続き♪」

ドカッ!ガスッ!ドボンッ!

ゆきぽ「ぽぎゃあ!!!!ぴぃい!!ぽっ、ぶっ……ごほほっ!!ぴぃーーー!;;」

雪歩「あの……もうその辺で……」

P「やめないやめない。金は払ったんだから、3分経つか代案が出るまでは続けさせてもらうぞー」ガッ!ゴッ!ゴスッ!

ゆきぽ「ぽぎゃ!ぶぴぃ!ぽがあっ!!」

律子「やめて下さい……代案なら、あります」

ザワッ!

720よけるさん:2016/03/02(水) 16:34:46 ID:QZb27H1s
おいおい、せっかく人が気分良くこのクソ害獣を叩きのめしていたのに。
時間稼ぎなら勘弁してもらいたい。ふざけた案なら即刻却下だ。

P「で?どんな案だそれは?」

「あらあら〜」フリフリ

律子「みうらさんが代わりに『殴られ屋』をやるそうです。避けていいって条件付きですが」

ザワザワ……

P「いや、それはダメだろ。みうらさんはまったくの無関係だぞ?」

律子「無関係じゃないですよ。同じ事務所の仲間なんですから」

亜美「そうだYO!ゆきぽの為にみうらさんがオチゴトするのは全然問題ないじゃんか!」

真「みうらさんなら、まこちーのラッシュもかわしたみたいだし、さっきプロデューサーさんがやってた、イジメみたいな『殴られ屋』にはならないと思いますよ」

真美「ニューチャレンジャー乱入!兄ちゃん、逃げないよね?」ニヤニヤ

……やれやれ、せっかくゆきぽを『殴られ屋』にして俺が一人で三万円分くらいぶん殴ってやろうと思ってたのにな。

P「ワープするのは無しだからな。……お前はどいてろ」グイッ

ゆきぽをリングから引きずりおろし、みうらさんをリングに乗せる。

ゆきぽ「ぽえぇぇぇーん、ひっぐ……ぷあぁぁあぁあ〜ん;;」ピーピー

春香「よしよし、怖かったねー。今みうらさんが仕返ししてくれるからねー」ナデナデ

チャリ

P「……タイマーをセットしてくれ」

追加の300円をデスクに置いて、新『殴られ屋』みうらさんと向き合う。……せめて最初の三分間だけはゆきぽ殴りたい放題を堪能させて欲しかったなぁ……

「はじめっ」ピッ

……

結論から言うと、情けない事に俺のパンチは一発もみうらさんに当たらなかった。
『兄ちゃんくん、どこを殴ってるのかねちみぃ』とか、『ゆきぽを殴ってた時の勢いはどこに行ったんですかー?』などと言う野次も飛ばされたな。

意外にも真が『空手をやってるボクでもみうらさんは無理』とフォローしてくれたが、何だか逆に惨めな気分になった。真に悪気はないんだろうけど。

ただ、俺が一発も当てられなかったとは言え、外でもみうらさんに『殴られ屋』をやってもらうのは抵抗がある。
俺より強い人間なんて世間にはごまんといる。空手はみうらさんと相性が悪いかも知れないが、例えばこれがボクサーとかならまた話は別だろう。

それに、そんな人間に当たったら痛い目にあうのはみうらさんだ。張本人のゆきぽが痛い目にあわないなんて馬鹿げた話だと思う。

ただ、アイドル達の前でみうらさん相手に醜態を晒してしまった俺の言葉に説得力などあるはずもなく……

『ボクサーってナントカ三兄弟とかだよね?何とかなるっしょ→』『そんなにゆきぽを痛い目にあわせたいんですか?』『プロデューサーさんは黙ってて』などと言われてしまった。

律子には『プロデューサー殿の『殴られ屋』と私たちのみうらさん代役の折衷案に、何の問題が?』と言われた。返す言葉もない。

まことに不本意だが、みうらさんを『殴られ屋』としてプロデュースする事になってしまった。

721よけるさん:2016/03/02(水) 16:36:47 ID:QZb27H1s
実際にやってみて分かったのは、三分間フルに動き続けるのはかなりハードだと言う事。特に空振りが続くと堪える。

1ラウンドは二分にしよう。

街中だとみうらさんが音に反応してワープしてしまうな……

遮音性の高い耳栓を選ばなくては。

ホームページもあった方がいいかな?

ぴよぴよに手伝ってもらうか。

……

一週間後、『殴られ屋さん』として新宿で初興行を行った。

みうらさんは12名の挑戦者を相手に一発もパンチを当てさせなかった。

本当はもう少し客を取れるはずだったが、12人目が明らかにその筋の人で、衆人環視の前で一発も当たらなかった事が頭にきたのだろう。『何が殴られ屋だ。殴らせねぇならサギじゃねえか。金返せ』などと凄んできたのでみうらさんの耳栓を外してワープで事務所に逃げてきたのだ。

彼の気持ちは良く分かる。それは俺が一週間前に体験した事だ。そして、彼の言う事も一理ある。『殴られ屋さん』をうたっているのにも関わらず、避けてばかりなのはいかがなものか。

初興行を終えてまたいくつか変更する事に。

P「よし、『殴られ屋さん』から『よけるさん』に名前をかえよう」

何かの宝くじのCMであの具志堅さんが演じていた『よけるマン』から拝借した。

金額は1ラウンド300円から500円に値上げ。そのかわり、KOしたら賞金一万円を出す事にした。この興行は縁日の夜店のようなものだ。多少の射幸心をあおるのは『非日常の演出』には不可欠だからな。

みうらさんはワープできるので日本全国どこでもひとっとびだ。北は北海道から南は沖縄まで、連日興行を行い、存在を周知していこう。

……

大都市を中心に興行を行った結果、『よけるさん』の存在はある程度知られるようになった。今の時代、面白そうなものはすぐにSNSで拡散される。

これまでのようにゲリラ的に興行を打つのには限度がある。悪い意味でも名が知られてしまったからな。そのうち、その筋の人達に縄張り関係で因縁をつけられてもおかしくない。やってる事はテキヤそのものだしな。みうらさんのワープで逃げるのはわけのない話だが、逃げてばかりだと商売にならない。そこで

ホームページに『よけるさん出張サービス始めました』と告知した。

出張の場合の料金はちょっと高めの設定にする。こう言う商売は長く続かない事くらい分かってる。早めに稼いでスパッと終わらせたい。1ラウンド700円にしよう。そのかわり交通費、宿泊費は一切頂かないようにすれば客もお得感が得られると思う。実際交通費、宿泊費はかからないからな。俺たちに良し、客に良しだ。呼ばれた敷地内での興行なら外野から文句は出ないだろう。ある程度名が知られるまでは使えなかった手だ。これからはゲリラ興行を控え目にして、出張の方をメインにしていきたい。
告知したその日に、既にいくつか問合せが来た。

……

『殴られ屋』を始めて二週間、出張サービスの方も軌道にのってきた。対戦相手は百人を超えたにも関わらず、みうらさんは未だに一発もパンチを許していない。
修繕費も完済まであと二千円ほど。だが、稼ぎとは裏腹に俺は現状に退屈していた。

そして、退屈な俺は刺激を求めてしまった。

『ボクサーをみうらさんにぶつけてみたい』

722よけるさん:2016/03/02(水) 16:38:31 ID:QZb27H1s
二週間前の俺なら考えもしなかったし、絶対に避けていた選択だが、みうらさんは強すぎた。少しは苦戦するところが見たい、と思わせるほどに。みうらさんも現状には飽きてるだろうと俺は勝手に判断した。
幸いボクシングジムからいくつかオファーは来ていたので、目を通してみる。

……業界最大手の○拳ジムからオファーが来ていた。早速確認の電話を入れる。すると『ジムの営業時間終了の21時以降に来て欲しい』との事だった。


○拳ジム


22時頃に到着。ドアをノックするとトレーナーらしき人が出迎えてくれた。

「まさか本当にいらして頂けるとは思いませんでした。はじめまして、今からよけるさんに挑戦させて頂くボクサーのトレーナー、△△です」

みうらさん「あら〜」ペコリ

P「出張サービスをご利用頂き誠にありがとうございます。こちらがよけるさんで、私はマネージャーのPと申します」

△△「今挑戦するボクサーを呼びますので……」

△△「ー!ーーー!」

△△さんが耳慣れない言葉で呼び掛ける。

「ー!ーーー」

フードを頭からスッポリ被った男が、これまた耳慣れない言葉で答えた。

△△「『もう少し身体を動かしたい』って。すいませんねワガママ言って」

P「あの、あの方は外国の方ですか?」

△△「ええ、ベネズエラから。アマチュア時代にベネズエラのジュニア選手権を5連覇した逸材でしてね。ウチに来るのが決まる前から私は彼に目をつけていまして。彼のトレーナーになりたい一心でスペイン語を覚えたんですよ」

P「未来の世界チャンピオン候補ですね」

△△「……実は約一ヶ月後にタイトルマッチを控えてまして」

P「凄く近い未来じゃないですか!そんな方にお相手して頂けるとは光栄です」

△△「いえいえ……ただ、こんどの試合は敵地、しかもアウェイには滅法厳しいタイでして、おまけに今は減量の真っ最中。ここんところ流石にちょっとナーバスになってまして。先月20才になったばかりの子にはあまりにも厳しいマッチメークですからね……気晴らしするにも減量中で食事は制限されていますし、日本語はまだあまり話せない上、何よりタイトルマッチを控えた大事な身体なので、一人での外出も制限せざるを得ません。今回のよけるさんへの挑戦が少しは気晴らしになれば、と思いまして。出張して頂けるというのは助かります」

タイはなりふり構わずアウェイの洗礼を浴びせてくる事で有名だ。一筋縄では行かないだろうな。

P「アウェイでタイトルマッチですか……ナントカ三兄弟みたいに国内で、とはいかないものなんですね……」

△△「外国人ボクサーはスポンサーがつかないですからね……ただ、次の試合で勝てばその次からは少しは良い条件でやれるようになると思います。負ければ世界は再び遠のきますが……」

次の試合がこのボクサーにとっての分水嶺になるって訳か。他に良い気晴らしが見つからないので今回依頼をして頂いた、と。

気晴らしどころか自信を失ってしまわなければいいが……

723よけるさん:2016/03/02(水) 16:40:42 ID:QZb27H1s
彼のアップの間にこちらのリングを用意する。

△△「このリングの上で今まで一度もパンチをもらってないんですか?すごいですね……」ペタペタ

みうらさん「あらー///」

P「『マト○ックス』ばりによけますよ」

△△「それは楽しみですね」

△△「ーーー!ーーー!」

「ーー。ー」

△△「『もう少し』だそうです。時間を取らせて申し訳ない。あの……そのお詫びと言ってはなんですが、少し色をつけて1ラウンド千円でいかがでしょうか?それで、できれば2ラウンドお願いしたいんですが……」

こちらとしては願ってもない条件だ。これで修繕費にピッタリおさまる。みうらさん最後の相手が世界戦を控えたボクサーになるというのがラスボス感があっていいしな。
もちろんこの条件で了承した。

△△「彼は17才で日本に来てから、ボクシングに全てを捧げてますからね。私が聞ける範囲でのワガママはできるだけ聞いてあげたいんです。すいません……」

食って寝て遊んでる上にワガママまで言うウチのクソ害獣どもにも見習ってもらいたいもんだ。

P「しかし何でベネズエラから日本に?アメリカの方が本場だし、距離的にも近い感じですけどね、素人の意見ですけど」

△△「理由は2つですね。彼は来月バンタム級でタイトルに挑むんですけど、アメリカではフェザー級以下はハッキリ言って人気がなくて、日本の方が稼げるのが1つ。あと1つはベネズエラは治安が悪いんですよ。2013年にはアメリカの調査会社によって、『世界の危険な国ランキング』で1位だった事もありました」

みうらさん「あらー……」

△△「ナントカ三兄弟の長男がバンタム級王者の決定戦を戦った相手がベネズエラ人なんですが、その選手はデビュー以来23連続KO勝利の記録を持っていたんですけどね。ピストルで撃たれたり強盗に襲われたりして選手寿命を大幅に縮めてしまって……長男と戦った時は全盛期とはまるで別人でしたよ。それで治安の良い日本でボクシングに打ち込みたいと」

……彼が今回必死で目指しているタイトルとナントカ三兄弟の長男の持っていたタイトルが同じものだとは……

△△「まあ、複数階級制覇を視野に入れてますから。本来ならフェザーかスーパーフェザーが彼の適正階級でしょうね。減量もキツいし、バンタムは来月キッチリとりたいところです」

「ーーーーー!ー!」

彼がフードをとった。精悍な中にどこかあどけなさの残る顔立ちだった。

△△「準備できたみたいです。紹介します。彼が今回の挑戦者、ゴンザレスです」

千早が喜びそうな名前だな。

ゴンザレス選手がグローブ等の準備をしているウチにこちらも用意、と言っても耳栓をつけるだけだが。みうらさんの手の構造上、耳栓は自分で取る事はできない。

P「今度の相手は今までやってきた百人以上の相手の中で一番強い。油断しないようにね」

みうらさん「あらー」ドン

胸を叩いて『任せなさい』という仕草をするみうらさんの耳に耳栓を詰める。

P「この子は事情があってリングに上がってる時は耳が聞こえません。なので開始の合図は手で行います。両者の間に私が腕を伸ばして、その腕を上げたらスタートの合図です。声を出すとよけるさんに不利になる為、この行動は無言で行います」

△△「……」ボソボソ

ゴンザレス「……」コクッ

スッ……

両者の間に手を伸ばす。そして

バッ!

ギュンッ!

ゴンザレス「!?」

みうらさん「……!」

△△「すげえ!ゴンの左ショートフックかわしやがった!」

手を上げた次の瞬間に攻防が一つ終わっていた。

724よけるさん:2016/03/02(水) 16:42:32 ID:QZb27H1s
ゴンザレス「ー、ー。」

△△「Pさん、勝手な話で恐縮ですが、1ラウンドはここまでで……」

P「え?!まだ全然時間残ってますけど……」

△△「ええ、その時間は放棄します。そのかわり……」

「2ラウンド目はグローブを替えたい。ラウンド中にグローブを替えるのはフェアじゃないでしょう?ですからこのラウンドは放棄で」

P「え、ええ、そう言う事でしたら……」

△△「すいません、急いで用意しますから」

何かグローブに不具合でもあったのだろうか?ゴンザレス選手も顔色を変えていたみたいだが……

ふとリング上のみうらさんを見てみると……

P「うおっ?!」ビクッ

みうらさんが真顔になっていた。いつもニコニコ笑顔のみうらさんが真顔になると何か不気味だ。……顔色が変わったのはゴンザレス選手だけではなかったようだ。

△△「お待たせしました。2ラウンド目いきましょうか」

P「あ、あの、グローブを替えたのは何でですか?不具合でも?」

△△「ああ、さっき使ったグローブは16オンスって言うスパーリング用の重いグローブで、2ラウンド目からは8オンスって言うサンドバッグやミット打ち……」

「あ、あと試合にも使う軽いグローブです」ニコッ

……俺は思い上がっていた。みうらさんのディフェンスを過信していた。プロボクサーをなめていた。オンスと言う単位はよく分からないが、さっきのグローブの半分の軽さになったという認識で合ってると思う。
それでパンチのスピードが、威力がどれくらい上がるのかは分からないし、考えたくもないが。

△△「ゴンの身体が冷える前に始めて頂いても?」

みうらさんを見ると、まだ真顔だった。心なしか震えているようにも見える。

P「あ、あの、すいません……よけるさん、体調がすぐれないみたいで……残りのラウンドは明日以降って訳には……」

この状況を招いたのは俺のミスだ。みうらさんを巻き込む訳にはいかない。

△△「いやいや、Pさん。そちらも2ラウンドで了承したでしょ?それをアナタねぇ……」

P「申し訳ございません……私の管理が至らないばかりに……」ペコペコ

俺はボロクソになじられても仕方ない、みうらさんだけは無事に帰したい。俺は必死に頭を下げ△△さんに許しを乞う。

△△「アンタねぇ、まさか今ので怖気付いたんじゃないでしょうね?!そんないい加減な覚悟で『よけるさん』なんて看板出してやってんじゃないよっ!」

△△さんがヒートアップしてきた、その時

ゴンザレス「ーーー、ーー」トントン

△△「ん?どうしたゴン」

ゴンザレス「……」ユビサシ

ジムが一瞬静まりかえった。俺は状況を確認するべく頭を上げた。そこには

みうらさん「あ、あら〜、あらあら〜」ドン

今にも泣き出しそうな顔に無理矢理笑顔をつくり、胸を叩いて『任せなさい』という仕草をするみうらさんの姿があった。

△△「体調、戻ったみたいですよ。始めましょう」

P「……」スッ……

みうらさんから差し伸べられた手を、俺は振り払う事ができなかった。後は祈るだけだ。

無事に終わりますように

バッ!

スパパアンッ!ブンッ!

みうらさん「あらあっ?!」

現実は非情なものだ。

△△「返しの左フックは入んねぇか……大したもんだ」

いわゆるワンツーパンチがみうらさんの顔面を綺麗にとらえる。左のフックは何とかかいくぐったようだ。

スパパアンッ!ドムンッ!

みうらさん「あらっ!あらっ……らあぁあっ!けほっ!」

次はワンツーから左のボディ。みうらさんが苦悶の表情を浮かべる。額には玉のような汗。

パンッ ビュッ……ドボンッ!

みうらさん「あっ!あらっ、あがぁあっ!」

今度は左ジャブ→左フックからの右ボディ。みうらさんの身体が『つ』の字に曲がる。聞いた事のない悲鳴が聞こえた。

725よけるさん:2016/03/02(水) 16:44:06 ID:QZb27H1s
△△「フックはしっかりかわしてくるな……」

……俺は何故『ボクサーをみうらさんにぶつけてみたい』などと思い上がってしまったのか。まこちーや俺、今までの百人以上の挑戦者を完封したくらいでいい気になっていた自分を、ぶん殴ってやりたい。

大振りも無駄打ちも一切ない、パンチ一つ一つに意味がある。世界に挑戦するレベルのボクサーが、これほどまでとは……

ゴンザレス選手はボディに狙いを絞ったようだ。その後も何発かボディに入った。

みうらさん「はぁ、はぁっ……」

みうらさんもそれには気づいているようで、腰がひけている。パンチをよける動作も余裕のないものになっていた。

それでも先ほどよりはパンチをよけられるようになっているように見える。少しはパンチに目が慣れてきたのでは、と思いたい。
タイマーの時間はもうすぐ1分が立とうとしている。

逃げ切れるかも知れない。

そんな期待を胸に抱き、リングに目を戻す。すると

みうらさんがゴンザレス選手から見て左のコーナーに追い詰められていた。

みうらさんはパンチをよけていたのではなく、よけさせられていたのだろう。つまりコーナーに誘導されていたのだ。

みうらさん「あら……」サアー

ポストを背負ったみうらさんの顔が青ざめる。

パンッ ドプッ!

みうらさん「あ……がはあっ!ゴホッ……」

今日何発目か分からないボディがみうらさんを襲う。顔は苦痛に歪み、身体は脂汗にまみれていた。

さらに左フックでたたみかけてくる。

ビュッ……

みうらさん「あ、あら!」タタッ

これはかわせた。そのままコーナーから脱出を試みるみうらさん。

「「よしっ!」」

……奇しくもその瞬間、俺と△△さんが同じ事を口にした。

ツルッ

みうらさん「あ、あら?」

みうらさんが足を滑らせた。その時

ブウンッ……ガンッ!!!

みうらさん「あ゛ら゛……!」

ヒュー……ドサッ ゴロゴロッ……ピク…ピク……

シーン……

背筋が凍るような戦慄のKOシーンだった。足を滑らせたみうらさんを待ち構えていたかのようにゴンザレス選手の右のロングフックが炸裂、みうらさんはリングから弾き出され、床を転がり、泡を吹いて気絶してしまった。

いや、待ち構えていたのだ。ボディ狙いは伏線だった。みうらさんに脂汗をかかせて、ガラスのリングで足を滑らせる作戦だったのだろう。そこに右の大砲を叩きこむ為の、伏線。

KOタイム 2ラウンド 1分08秒

726よけるさん:2016/03/02(水) 16:47:00 ID:QZb27H1s
P「みうらさん!!」タタッ

△△「頭は動かさないで下さい。……救急車呼びましょう」

P「いえ、それだとジムのご迷惑になります」

営業時間終了後のジムに救急車が駆けつけるのは色々とまずい気がした。俺はみうらさんの耳栓を外す。

△△「そんな事言ってる場合じゃ……」

P「△△さん、私が持って来たリングは後日回収しますので保管お願いできますか?」

△△「それは別に構いませんけど……」

ゴンザレス「……」トントン

ゴンザレス選手が持って来た何かをみうらさんの口元にかざす△△さん。すると

みうらさん「ゴホゴホッ……!あ、あら?」パチリ

みうらさんが意識を取り戻した。気付け薬だったようだ。

P「ご面倒をおかけしました。では、後日改めて」パンッ

シュンッ

家の近くの夜間診療をやっている病院にみうらさんを連れて行った。後日改めてキチンと精密検査をする事をすすめられたが、とりあえず今のところ問題はないとの事。

家に帰ってみうらさんをお風呂にいれてあげた。かかなくてもいい汗をかかせてしまったお詫びだ。

みうらさん「あ、あらー///」スッポンポン

P「……お腹、アザが出来てるな。目の上も左のほっぺも腫れて……ごめんな」

みうらさん「あら〜」ドン

みうらさんが腫れた顔に笑顔をつくり、胸をドンと叩く。

救われた気がした。

明日は一日、俺の部屋で安静にしていてもらおう。


後日


先日と同じ時間にみうらさんと○拳ジムへ。△△さんとゴンザレス選手が出迎えてくれた。

P「先日はバタバタさせてしまって申し訳ありませんでした。では……」

賞金一万円を贈呈する。

△△「ゴンザレスがお二人にお礼が言いたいとの事です」

ゴンザレス選手は普段はこんなに穏やかな顔なんだな。握手をして

ゴンザレス「アリガトゴザイマス」

日本語でお礼を言ってくれた。

みうらさん「あらー……」ジリッ

みうらさんは俺のふくらはぎ辺りに引っ付いて、それを見ていた。やっぱりちょっと怖いのだろう。
ゴンザレス選手はしゃがんで目線を落とし、みうらさんに話しかける。

ゴンザレス「ーーーー、ーーーー」

みうらさん「あら?あらあら〜」

ゴンザレス「?!ーー、ーーー」

みうらさん「あらあら、あら〜」

何やら会話が成立しているようだ。そう言えばちっちゃんもローマで現地の人と会話ができたと言ってたな。

△△「Pさん、私からもちょっとお話が……」ボソボソ

P「みうらさん、あっちでゴンザレス選手と少しお話ししておいで」

みうらさんをゴンザレス選手に任せて、△△さんの話を聞く。

△△さんの話は、みうらさんをゴンザレス選手のスパーリングパートナーとして譲ってくれないか、と言うものだった。

ゴンザレス選手の左フックは並のプロボクサーではかわせないものらしい。その反射神経はハメドと言う一世を風靡した元フェザー級チャンピオンに匹敵するかも、との事だった。そう言う相手とのスパーリングは刺激になるとの事。
それに加えて拳に負担をかけないプニプニした身体の持ち主である事も大きいようだ。

P「せっかくのお話ですが、あの子は私のモノではないので……私に決める権利はないんです。その話を持ち帰ってみても、ご期待に沿えるような返事は得られないと断言できます」

△△「そうですか……残念です。ゴンの話し相手にもなれるのが分かっただけに、ますます惜しい」

P「はは……もしよろしければ、たまにお邪魔して1ラウンドくらいなら無料で。……ところで、昨日の感想戦ではないんですが」

昨日の一戦は、ゴンザレス選手が俺の想像以上に強かったのが一番の敗因だが、終始△△さんのペースで進められた気がしたので、率直に聞いてみた。
『タネが分かったら何て事ない話なんですが』と前置きした上で、△△さんは昨日の事を説明してくれた。

727よけるさん:2016/03/02(水) 16:52:59 ID:QZb27H1s
まず、一番驚いたのが、待つように要求していたのは、実はゴンザレス選手ではなくて△△さんだったと言う事だった。
実際は△△さんが『もう少し待て』と指示し、ゴンザレス選手は逆に『まだか』と急かしていたとの事。そうやって時間を稼いで、こちらを確実に仕留める策を練っていたらしい。
スペイン語が分からない俺はまんまと騙されていた訳だ。

ガラスのリングを確認した△△さんは、みうらさんに汗をかかせれば足を滑らせる事を確信したらしい。ボディ狙いで汗をかかせる→汗で足を滑らせたところへの右フックの筋書きはここで思いついたそうだ。

……本来ゆきぽがタコ殴りにされる用に作られたリングをそのまま流用した、俺のミスだ。滑り止めの対策はいくらでもできた筈だ。

グローブ交換での揺さぶりは事前に想定していたものだったとの事だ。2ラウンドで確実に葬る為に、初めのラウンドは重いグローブで油断させて、次のラウンドで軽いグローブに替えて仕留める算段だったようだ。

『16オンスで当たらないと判断したらできるだけ早く1ラウンドは放棄する』

これは事前に決めていたらしい。当たらない16オンスで1ラウンドやっても体力の無駄遣いだという判断だったとか。まさか左フック一発で判断するとは△△さんも思わなかったらしいが。

……聞けば聞くほど負けて当然だと思えてくる。俺はボクシングをなめてかかっていたが、この人はみうらさんを一切なめてはいなかった。浮かれて無策で敵地に乗り込んだ俺は飛んで火に入る夏の虫だった。リングに上がる前から勝負は決まっていたのだ。

△△「まあ、ホームのアドバンテージを活かさせてもらった小細工ですけど」

P「とんでもない。私はボクシングを、正直侮っていました。深くお詫び致します。申し訳ありませんでした」

△△「いえいえ……私も昨日はついつい声を荒げてしまいまして。昨日の事はお互いこれで水に流しましょう。ほら、本人たちにわだかまりはこれっぽっちもないようですし」スッ

ゴンザレス選手とみうらさんが仲良く話しているのを指さし、肩をすくめる△△さん。うろ覚えだが、『リングの上で死力を尽くした仲は、百万語のべとついた友情ごっこにまさる』と言う台詞を思い出した。ボクシング漫画の不朽の名作の台詞だ。

ゴンザレス選手の世界戦での健闘を祈り、俺とみうらさんはリングを回収してジムを後にした。

……

次の日、穴の修繕費自体は全て稼ぎ終わった(賞金は俺のポケットマネーを充てた)ので、事務所のみんなに『殴られ屋』終了の報告をした。全てを話したら、事務所の全員にしこたま怒られた。みうらさんがボコボコだから、無理もないが。
俺の好奇心が招いた結果だ、仕方がない、と俺は自分に言い聞かせた。
みうらさんは、ここでも俺をかばってくれたらしい。後で律子に聞いた。

『痛い思いをしたけど、新しい友達ができた。Pさんは悪くない』と。『新しい友達』とは、ゴンザレス選手の事だろうな。

……みうらさんには、頭が上がらなくなりそうだ。
ムカついたのが、ゆきぽも一緒になって俺にぷーぷー説教してきた事だ。問題の元凶はお前だろうが。覚えとけよ。

この一件のほとぼりがさめた頃に、『次に穴を掘ったら殺処分』と改めて提案しようと強く思った。

728よけるさん:2016/03/02(水) 16:54:49 ID:QZb27H1s
一ヶ月後


ゴンザレス選手の世界戦の日だが、当然中継はない。みうらさんは現地に見に行くらしい。現地時間15時半ゴングとの事だ。
タイとの時差は二時間日本が進んでるらしいから、18時過ぎには結果が分かるな。

夕方

カタカタ……

そろそろ始まってる頃だな。万全な状態でリングイン出来ていればいいが……

ドン

P「ん?」

みうらさん「あら〜」ニコニコ

みうらさんが戻ってきた。お土産なのか、タイのシンハービールを俺のデスクに置いて。

P「ずいぶん早いな……で、どうだった?結果は」

みうらさん「あら〜、あら〜♪」シュッシュッ

シャドーボクシングをしながらご機嫌なみうらさんの顔に全部書いてあるな。
どうやら良い結果が出たようだ。

律子「みうらさん、何かいいことあったのかしら。嬉しそうね」

小鳥「いーなー、私もシンハービール欲しいなー」

P「ああ、ほら、この間話したと思うけど、みうらさんの『殴られ屋』の最後のお客さん、今日タイで……」

そこまで話した時だった。

「り、律子さん、ちょっと……」

別室から声がした。律子と音無さん、俺もみうらさんを頭に乗せて別室へ。そこには

ゆきぽ「ぽえ?」キョトン

事務所の床に穴を掘って埋まってる、ゆきぽの姿があった。

律子「……あっちゃー……」

小鳥「……はぁ」

苦い顔をする二人。ゆきぽの事は可愛がっていても、穴を掘る事に関しては、やはり受け入れがたいのだろう。

P「殺処分、だな」

ザワッ!

『かわいそう!』『ひどい!』『プロデューサーさんは黙ってて!みうらさんに怪我させたクセに!』

……などと聞こえてきた。

P「あのなぁ、確かにみうらさんに怪我させた責任は俺にあるけど、もとはと言えばそいつが穴を掘らなかったら、みうらさんは『殴られ屋』をやらなくても良かったんだぞ?そこは見ないフリする気か?」

シーン……

P「正直言ってきりがないんだよこれじゃ。そいつが穴掘って俺たちが稼いだ金で修繕しての繰り返し。この繰り返しじゃ、いつかこの事務所なくなるぞ?ウチは余裕ないんだから。自分じゃびた一文稼げないクセに床に穴はしっかり掘りやがって。そいつに稼がせるか、穴掘りの元から断つか、結論は二つに一つだろ」

「でも、殺しちゃうのはかわいそう……」

P「じゃあ、今度こそゆきぽに『殴られ屋』をやってもらうか。殴られるのが嫌なら、そう簡単に穴を掘らなくなるだろうし、修繕費も殴られただけ出る。罰と実益を兼ねた、いい案だろ?リングもまだ捨ててないぞ」

ザワザワ……

『殴られ屋』と殺処分、どちらを選ぶのかはアイドル達次第だ。『殴られ屋』を選んだら、今度こそ3万円分くらいぶちのめしてやろう。

「あの……選べません……」

P「じゃあ代案を出せ」

シーン……

……あの時と何も変わりゃしない。しばらく沈黙は続いた。そして

「……あの、できればみうらさんにもう一回『殴られ屋』をやってもらって……」

とんでもない意見が飛び出した。

『そ、そうだよね』『最後の日以外は一発も当たってないんでしょ』『そ、そうだね、もう一回くらいなら』

春香「そ、そうだよ!プロデューサーさんが変な外人連れてこなければ余裕だよ、余裕!」

シーン……

場が静まりかえった。みんな俺の方を見て、真っ青な顔になっていた。その表情は慄然としている。

正しくは、俺の頭の上を見て。

今、俺の頭上のみうらさんは、どんな顔をしているのだろう?想像もつかない。

729よけるさん:2016/03/02(水) 16:56:39 ID:QZb27H1s
みうらさん「……」ピョーイ

みうらさんが俺の頭から飛び降り、ゆきぽの頭の上に飛び乗った。

ゆきぽ「ぽぇ?ぽゅええ?」ビクビク

みうらさん「あらー……」スッ

パンッ シュンッ

シーン……

やよい「響さん、聞こえました?最後の……」

響「うん……あんな怖い顔のみうらさん、見たことなかったからな……もう帰ってこないんじゃ……」

ザワザワ……

律子の話によると、みうらさんはワープの直前『さようなら』と言ったらしい。

「……やっぱり、ちょっと図々しいお願いだったかも……」

「でも、そんなに怒らなくても……」

「だ、大丈夫だよ!まこちーが山に置き去りにされた時もみうらさん、ちょっと怒ってたみたいだけど戻ってきたし」

「分かった!ゆきぽも山に置き去りにして反省させる気なのかも」

ザワザワ……

おそらく、戻ってはこないだろう。みうらさんも、ゆきぽも。

試合後の喜びに水を差された事、一度は助けたゆきぽが性懲りも無く穴を掘った事、アイドル達の無責任な提案なども、みうらさんの怒りの理由の一部だろう。しかし、一番の原因は、春香がゴンザレス選手を『変な外人』呼ばわりした事だろう。俺でさえ、あの発言は少しカチンときた。実際にゴンザレス選手と向き合い、敗れ、その後楽しくお話をしたみうらさんにしてみれば、許しがたい発言だったのだろう。

春香「大丈夫だよねー。しばらくしたら帰ってくるよ」

当の春香は軽く考えているようだ。自分がどれだけ不用意で無礼で取り返しのつかない失言をしたのかなんて、考えもせずに。

……

家に帰って今日のタイトルマッチの結果を調べた。
ゴンザレス選手のKO勝ちで、しかもKOタイムは2ラウンド1分09秒。みうらさんをKOしたタイムと近いのは偶然だろうか?それにしても恐ろしい選手だ。

……みうらさんも、この喜びを俺と分かち合いたかったのかもな。なんともやるせない気持ちになった。


二週間後


当然だがみうらさんもゆきぽも消息は不明。最近少しアイドル達も焦りはじめてきた。俺も表面上は取り繕ってはいるが、心の中では『このままずっと消息不明だろう』と思っていた。ゆきぽも、765プロの人間もみうらさんに愛想を尽かされたのだ。

休憩中にボクシングの雑誌を読む。ゴンザレス選手のインタビュー記事が目当てだ。

みうらさんの話もしていた。

『試合の一ヶ月前にスパーを行った。その選手はとても身体が小さくて、ディフェンス技術に優れていて、何よりハートが強かった。スパーは2ラウンドの予定だったけど、1ラウンド終了後、その選手のセコンドが中止を申し出てきた。体重差もかなりあったし、仕方ないかなと僕は思ったんだけど、その選手は胸を叩いて『やる!』ってさ。胸をうたれたよ。その選手の姿から、立ち向かう姿勢を学んだ。スパーの後もその選手と色々話をしてさ。その選手とは日本ではまだ数少ない友人になった。タイトルマッチに向けて、そのスパーはいい気分転換になったよ』

インタビューはその後も続いた。そして一つ、気になる話が


ーータイトルを獲得した今、次の目標は?

『お酒が飲めるようになる事かな(笑い)実はさっき話したスパーがきっかけでできたその友人が、僕の故郷のベネズエラのお酒を持って試合直後のタイに駆けつけてくれたんだ。それも一人でね。試合後の飲酒は止められてるから、次の日に飲んでみたんだけど、僕の口にはちょっと……(笑い)ただ、初めてお酒を口にして、僕も大人の仲間入りをした気分は味わえたよ』

730よけるさん:2016/03/02(水) 16:58:44 ID:QZb27H1s
……タイまでゴンザレス選手にお酒を持って行ったのは、間違いなくみうらさんだ。そして恐らく、ゆきぽが置き去りにされたのは、ゴンザレス選手の故郷。

そう、世界でもっとも危険な国、ベネズエラ。

事務所からベネズエラにとび、お酒を買ったあとゆきぽを置き去りにしてタイにとんだのだろう。

世界一危険な国に置き去りにされて、ゆきぽが生きていける可能性は、0に近い。
食って寝て遊んで穴を掘る事はできるが、その大前提である『生きる』能力は皆無だからな。

出店の店先の食べ物を勝手に食べて、石や棒でメッタ打ちにされ、命乞いしながら殺されるか、イカれたギャングに面白半分にピストルの的にされて、泣き叫びながら蜂の巣にされて殺される未来しか、俺には見えない。まあ、これはベネズエラに対する俺の偏見かも知れないが。

みうらさんは、いつか事務所に現れる日がくるのだろうか。
……休憩時間もそろそろ終わりだし、考えても仕方がない事だ。

……

三ヶ月後

みうらさんとゆきぽが消えて一ヶ月くらいは、ちびきややよに捜索活動をさせていたが、今やすっかり諦めムードだ。

「元気にしてるかなぁ」などと言ってる辺り、生きていると信じて疑っていないようだが。ゆきぽはともかく、みうらさんがどうしているのかは俺も気になる。借りばかりつくってロクに返す事もできなかったからな。


その日の業務が終わり、帰宅すると

「あらあら〜」パタパタ

何と家のドアの前に、みうらさんがいた。手に何か持って振っている。とりあえず上がってもらおう。

手に持っていたのは手紙だった。△△さんからだ。封を開けて内容を確認する。

『まずはこのようなかたちでのご報告になりました事をお詫び申し上げます』とお詫びの文章から手紙は始まった。

みうらさんは今、△△さんの家にお世話になっているらしい。タイでゴンザレス選手にお酒を届けたのは、やはりみうらさんだったようで、ゴンザレス選手から『お家に帰るように』と伝えたが、みうらさんが『帰りたくない』と言うので、仕方なくしばらく預かるつもりで△△さんが家に連れ帰ったとの事。△△さん夫婦は子供がいない為、ついつい情が芽生えてしまい、ズルズルと今日まで一緒に過ごしてしまい、報告が遅れてしまった、との事。

手紙の最後には、勝手な言い分だか、もし叶うのなら、今後も里親を続けさせて欲しい旨が書かれていた。

みうらさん本人の意思を尊重したいので、簡単な質問に首を縦か横かで答えてもらった。その結果みうらさんの心は完全に765プロから離れ、○拳ジムに、△△家にうつっていたのが分かった。なら、答えは一つだ。

俺は『可愛がってあげて下さい』とだけ書いた手紙をみうらさんに渡した。

731よけるさん:2016/03/02(水) 17:00:03 ID:QZb27H1s
次の日

またみうらさんがドアの前で手紙を持って待っていた。中で待ってればいいのに。水泳大会でも、ワープを使わず泳いでゴールしたらしいし、以外と律儀なのかもな。

……何か今日の手紙は妙に重いな。封を開けて中身を確認する。写真が何枚か入っていた。テーブルの上に写真を並べながら、手紙に目を通す。
俺に対する感謝の言葉が並んでいた。こんなに感謝されると、何だか照れくさい。
次に、ゴンザレス選手の初防衛戦が日本で開催される事が決定したらしい。これはチェックしていたので知っていたが。中継はなしで、深夜に録画放送するそうなので、それを見ようと思っていたのだが……

『今回の件でご配慮いただいたP様に、是非ご声援頂きたく思い、最前列の席をご用意致しました』

P「マジか?!」

タイトルマッチを最前列で見られるのは貴重な経験だ。楽しみだな。

『良い試合ができるよう、選手ともども試合に向けて精進して参ります。さて、チケットをお渡しする前に、たびたびで恐縮ですが、お願いがございます』

P「ん?」

『その子もゴンザレスの試合を見たい、と申しておりまして……もしP様がよろしければ、一緒に連れて行っては頂けないか、と』

……うん、何か話がうますぎると思った。ものすごく悪く解釈すると、この席はみうらさんの席で、俺はお目付け役兼護衛兼座布団役って事かな?

『チケットはその子に手渡してあります。是非ご一考下さいませ』

ふと、みうらさんに目をやると、ニコニコしながらチケットを俺に差し出していた。

悪く考えても仕方ないか。みうらさんにはゆきぽの件を含め色々と世話になったし、借りを返すいい機会だと思う。今度は俺がみうらさんの好きにしてあげる番だ。お目付け役兼護衛兼座布団役などと考えずに、エスコート役と考えたら……

P「デートのお誘いって事で、いいのかな?」スッ

みうらさん「うふふ///」コクッ

P「△△さんには『チケットありがとうございます。一緒に行きます』って伝えといてよ、みうらさん」

みうらさん「あらー……」プクー

不満そうにほっぺを膨らませるみうらさん。俺は何か悪い事言ったか?怒りのツボが分からん。こう見えて意外と怒りの沸点は低い子だと言う印象があるので、ちょっとヒヤヒヤする。

みうらさん「あらあら〜」スッ

みうらさんがテーブルの写真を一枚俺に見せた。

みうらさんがいわゆるアマチュアボクシングのコスチュームを身に着けた写真だった。ヘッドギアをつけて、なんだかちょっと恥ずかしそうにしている。

P「この写真が何か……ん?」

分かった。

『みうらさん』は765プロの時の名前。いわゆる『旧姓』(しかも命名は飛び出した直接のきっかけとなった春香)だ。新しい家で幸せに過ごしている人を、わざわざ旧姓で呼ぶのは確かに無粋だ。

写真の中のみうらさんは、胸に『よける』と書かれたゼッケンを着けていた。つまり、そう言う事だ。

P「ごめんごめん、じゃあ、デート楽しみにしてるからね。『よけるさん』」


よけるさん「あらあら〜///」コクッ






よけるさん 終わり

732名無しさん:2016/03/02(水) 19:47:10 ID:mWDU3rdI
みうらさんかわいい

733名無しさん:2016/03/02(水) 23:20:29 ID:mS6yD6T2
乙です
久しぶりにぼこぼこになる、みうらさんを見れて良かったです

もし、ゆきぽだったら鬼槍留ジムにつれていきたいw(尾張の竜

734名無しさん:2016/03/03(木) 07:22:49 ID:Bwaao3Oo
乙です
固定メンバー以外のぷちが久々に見れて嬉しい

ゴンザレス選手の左フックは並のプロボクサーではかわせないものらしい。その反射神経はハメドと言う一世を風靡した元フェザー級チャンピオンに匹敵するかも

チート級の反射神経を持った「悪魔王子」ナージム・ハメドのことかな?

喧嘩稼業の世界にゆきぽを連れて行って連獄を気が済むまで叩き込みたい
もしくは彼岸島の世界でも良いな

P「ゆきぽが事務所の床に穴開けたから、丸太でぶっ叩いてやったぜ」ハァーハァー

春香「よし、でかした!!」

735名無しさん:2016/03/03(木) 19:24:50 ID:T6amdSYU
乙!面白かったです

ワープを封印されて、動けるのは1m×2m四方のみ。下は滑りやすいガラス製で、グローブで揺さぶりをかけられる。おまけに相手はのちに敵地でチャンピオンを2ラウンドで叩きのめす怪物ボクサー……
ここまで揃ってはじめてボコれるみうらさんは、敗れてなお強し。最強ぷちは伊達じゃないですね

これらの設定を違和感なくストーリーに組み入れる手腕はお見事。気が向いたら、次はちびきあたりでお願いします

736名無しさん:2016/03/03(木) 21:13:11 ID:KnfdYJt6
おつおつ
みうらさん虐めは設定が難しいよね

8巻でやよが目開けたまま寝てるのすごくキモくて虫みたい

737名無しさん:2016/03/05(土) 17:51:15 ID:KPXszH1I
ぷちどるってエヴァの世界みたいに祖は違うけど同じ人類だったり
体は肉の塊でどこかにコア(生命の実)が内蔵されていて内蔵とかの類はなし
そんで765プロのアイドル達はぷちどるの転生体だから惹かれあう
体は人間だけど魂はぷちどると人間が混ざってる

738名無しさん:2016/03/05(土) 20:44:50 ID:83Btp34.
タヌキモグラトンネル開通の影響で、公園の砂場が地盤沈下して砂場で遊んでた子供が怪我するってのはどうでしょう?
原因が分かった子供の親が、怒り心頭で765プロに怒鳴り込んでくるとか

書き込みハンターの方、気が向いたら、是非

739名無しさん:2016/03/06(日) 21:07:17 ID:uUtrfKeM
完全に害獣の行動だよね、タヌキモグラトンネル
目を引く派手さがないだけで、確実に迷惑行為

740名無しさん:2016/03/06(日) 23:12:38 ID:Cld9dTCk
8巻だと、こあみまみとはるかさんの絡みは良かったな。素直に可愛いと思えた
タヌキモグラは可愛いと言うよりあざといとしか思えないエピソードしかない

741名無しさん:2016/03/07(月) 17:45:02 ID:OevnCOb.
海でかき氷の売り子してたけど、あの大きさの氷を上からスコップを突き立てただけで真っ二つに出来る凶器度もヤバイし、衛生面でも問題あり

742名無しさん:2016/03/07(月) 19:01:40 ID:tRxq.N3g
まんぜう屋の出番が増えたな。何となくあのキャラ好きになれないんだけど

743名無しさん:2016/03/07(月) 19:13:09 ID:HzXcKNzM
俺はPを警察署?まで強制連行する婦警が嫌い
あれはやりすぎだし読んでて不愉快になる

744名無しさん:2016/03/07(月) 23:29:20 ID:XO73pz76
まんぜう屋のおばちゃんは好きでも嫌いでもないけど、焼肉屋にまでねじ込んできたのは少し違和感と言うか、ごり押し感があった。焼肉屋がおばちゃんである必要はまったくないし

745名無しさん:2016/03/07(月) 23:44:59 ID:HzXcKNzM
タヌキモグラのトンネル開通は原作を読んだ時はさらっと流してしまったけど、大問題になるよね
公園に掘った穴に『そこから帰るんだ』ってテロップが出てたから公園〜事務所までの区間を無断でトンネルを掘った事になるし、国か東京都からガチで訴訟を起こされるレベル
億単位の賠償金?を支払う事になるし、それ以外にも様々な対応に追われる事になるから、普通に765は倒産するんじゃないの?

746名無しさん:2016/03/08(火) 07:38:55 ID:V/x4mEzU
P「あの生き物はウチとは関係ありません」
これでおk

747名無しさん:2016/03/08(火) 11:27:44 ID:2HDYx366
関係ない、なんて言ったらセンテンススプリングが全力を出してしまう

748名無しさん:2016/03/08(火) 16:45:43 ID:RpaQ0jXk
タヌキモグラには前科があるから、たるき亭に取材したら一発でバレるね。ラジオ局の人間からもタレコミがあるかも

749名無しさん:2016/03/08(火) 18:43:54 ID:L4gupI5Q
あとはアイドル達が無責任にタヌキモグラを可愛がるLINEが流失して会見を開かないといけない

750名無しさん:2016/03/09(水) 01:02:09 ID:fB6NwCMM
貴音「せんてんすすぷりんぐ!」

こりゃ炎上しますわ

751名無しさん:2016/03/09(水) 01:51:31 ID:tTrIIaEM
ちっちゃんがゆきぽの動画をようつべ、ニコ動にうpして話題作り、広告塔もしくは人気ぷちにしようとアイドルに提案
二つ返事で了承するアイドル
ちっちゃんが神編集してヘイトを溜めて再生回数爆上げ、驚異の低評価
圧倒的にクソ、謎の高画質、この後完全にいかれてる、俺がこいつだったら頭丸めて号泣して謝罪する、全裸待機など多数タグがつけられる
仕事終わりにゆきぽをパソコンの前に無理やり引っ張りだし、ボロクソに書いてる書き込みだけを一字一句聞かせるちっちゃんに
ポロポロ涙を流しながら嗚咽するゆきぽ。それを肴にビールを飲むぴよぴよ
そして、体調を崩したゆきぽを961プロの事務所前に置き去りにしてくると、複数のまとめサイト、ツイッター(捨てアカ)で961プロのぷちだったと
責任をなすりつけ炎上させる。騒動はしばらくすると沈静化したが、ゆきぽが事務所に帰ってる来ることはなかった…
ある時、ちっちゃんが何ともなしにゆきぽとパソコンに打ち込むと予測変換に 動画 閲覧注意というワードが…

ネタ考えて気が付いたらゆきぽがメイン…もっと他のぷちの出番増えて欲しいですね

752名無しさん:2016/03/10(木) 21:05:04 ID:rhwnbiqY
あふぅは暴れキャラ卒業っぽいし、ちひゃーは本編で空気、何とかやよが使えそうなくらいかな?タヌキモグラが強すぎる

753名無しさん:2016/03/11(金) 00:51:28 ID:7HHxzffY
ちょっと前に、ゆきぽを叩く為に他のぷちを持ち上げる傾向があったけど、原作の方がそれに近い流れになってきたような
他がのぷちが比較的よい子になってきて余計にゆきぽのクソ生き物ぶりが目立つ

754名無しさん:2016/03/11(金) 20:24:02 ID:e.nbgi0I
ゆきぽは穴掘りっていう人に害成すばかりで役に立たない特殊能力だからなあ
かといって穴掘り封印したら馬鹿力だけが取り柄の劣化版まこちーになってしまう

755月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 00:54:44 ID:3/xVUKhk
SS投下します。八巻の感じのまま時が数年経ったら……と言うお話です。

756月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 00:56:07 ID:3/xVUKhk
ぷち達が事務所に来て、○年

いお「もっ、もっ」ピカピカ

はるかさん「かっか!はるかっか」キャッキャッ

いおがおでこから弱いビームを壁に向かって出し、はるかさんがそれを追いかけて遊んでいた。

P「しかし、いおはすっかり角がとれて丸くなったな」

律子「ですね。昔はあんなにツンツンしてたのに」

小鳥「丸くなったと言えば、あふぅちゃんも最近は暴れなくなりましたね」

ぷち達は来た頃に比べて、随分と大人しくなっていた。

律子「はるかさんも随分成長しましたよ。やよいがしっかり躾してるみたいで」

P「昔は何考えてるか分かんなかったもんな。みんな少しずつ大人になってきてるのかも」

小鳥「あら、たかにゃちゃんは逆になんだかどんどん子供っぽくなってますよ」

律子「あはは、確かに。飼い主に似るんでしょうかね?」

P「はは、音無さん、ちっちゃんは音無さんに似ないように気を付けて下さいね」

小鳥「とほほ……善処します」

ハハハハ……

昼下がりの事務所は、和やかな雰囲気だった。しかし

ドガァーンッ!

破壊音が響き、雰囲気は一変する。

律子「……あーあ、またやらかしたわね」ゲンナリ

小鳥「……はぁ」

P「あいつだけだな、変わらないのは」

破壊音の主は、今やこの事務所唯一となった害獣、ゆきぽだった。

律子「何度言ったら分かるのかしら?ドアは壊すものじゃないって事」

ゆきぽ「ぽぇ?ぽー」キョトン

ドアが開けられないから壊したんだよ、と悪びれもせずゆきぽは答える。

ゆきぽだけは、この○年で何も変わらなかった。伊織ややよいのような飼い主に恵まれず、あふぅよりも相当お粗末な頭のゆきぽは、一匹だけ事務所に来た時のままだった。まるで成長していなかった。

小鳥「ホント、一番成長して欲しい子がまったく成長しませんからねぇ……一番最初に来た子なのに」ハァ

P「俺たちも四六時中監視してる訳にもいきませんからね。困ったヤツだ」

律子「ちひゃーなんか、最近は安心して留守番を任せられるようになったって千早が話してましたけど……ゆきぽはいつになったら成長するのかしら。ねぇ!?」ギロッ

ゆきぽ「ぱう……ぅぅ……」ショボン

P「はは、反省してるフリだけはうまくなったけどな」

Pや律子がたまにアイドルを叱る事がある(音無さんはたまにちっちゃんに叱られるが)。そんな時大抵はみんな申し訳なさそうな顔でうつむく。
ゆきぽが今しているそれは、そんなアイドル達の真似事で、かたちばかりのものだ。反省など微塵もしていない。反省できない者が成長などできるはずがないのだ。

757月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 00:57:35 ID:3/xVUKhk
律子「もう無理して飼う必要はないんじゃないですか?他の子と違って役に立つ訳でもないし、飼い主もいないし」ジロッ

小鳥「ですねぇ……。モノを運ぶだけならぴよぴよがいますし、力仕事ならまこちーちゃんがいますしね」チラッ

ゆきぽ「ぽ……?」オドオド

実際、ゆきぽはまったく役に立った試しがない。『穴を掘る』と言う特技は飼うにあたっては迷惑でしかなく、百害あって一理なしなのだ。

P「と、なると、やっぱり殺処分ですかね」ギロッ

ゆきぽ「ぽ……ぷぃー、ぷぃー;;」イヤイヤ

いざ自身に危機が迫ると、涙をこぼして情けを乞う。これもまた、いつもの光景だ。

律子「……そろそろ、真剣に話し合うべき時なのかも知れませんね」

……

その日の午後、アイドル達を全員集めて話し合いが行われ、貴音の提案で『ゆきぽの面倒はぷち達に任せる』事に決まった。

こあみ、こまみはたかにゃ、ちっちゃん、はるかさんにいい影響を受けて少し大人になった。子供社会の問題は、子供同士でしか解決できない事があると聞く。それと同じで、ぷち同士でしか解決しない事もあるのでは?と言う意見だった。

殺処分に抵抗があるアイドル達の支持が集まったかたちになった。

P「そうだな。他のぷち達もだいぶ大人になったし、殺処分の前に試してみるか」

次の日から、ゆきぽはぷち達の監視下におかれる事になった。

……

758月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 00:58:50 ID:3/xVUKhk
ある日

ジョボボ……

ゆきぽがお茶を淹れていた。お茶の入った湯呑みを、頭の上のお盆に投げていた、その時

まこちー「まきょっ」(ダメです)

ゆきぽ「ぽ?」(何がですか?)

こあみ「とかー」(そんな乱暴なやり方だと、湯呑みがすぐダメになってしまいます)

あふぅ「ナノッ」(こぼれなきゃいいってもんじゃねーッス)

こまみ「ちー」(ほら、この湯呑み、底が少し欠けてしまっています)

ゆきぽ「ぁぅぅ……」ショボン

まこちー「まきょ」(一人で出来ないのなら、横着しないでこうやって下さい)スッ

まこちーがお盆を頭の上に乗せ

こあみ「とか」グッ

こまみ「ちー」スッ

こあみがこまみを肩車して、下からこまみにお茶を渡し、こまみがそのお茶をお盆に乗せる。あとはまこちーが運ぶだけ。

律子「見てて安心できるわね。偉いわ、みんな」ナデナデ

まこちー「まきょー///」

こあみ「とかー///」

こまみ「ちー///」

小鳥「これからお茶汲みはまこちーちゃん達に任せようかしら」

ゆきぽ「ぽぇ……」シュン

自分のやり方が否定されたと思い、俯くゆきぽ。


またある日

律子「……」カタカタ……

ゆきぽ「ぽ、ぽ」トテトテ

律子に肩叩きをしてあげよう、と近づくゆきぽ。だが

ちびき「だぞ?」(何をしようとしてるんですか?)

ゆきぽ「ぱぅー」(律子さんに肩叩きをしてあげます)

たかにゃ「しじょっ」『仕事中』『邪魔』『駄目』

ゆきぽ「ぽ?ぽぇ?」(何がいけないんですか?)

いお「もっ、キー」(集中して仕事をしている時は、仕事の妨げにしかなりませんよ)

あふぅ「ナー」(空気読め、って話ッス)

ゆきぽ「ぽうぅ……」シュン

お茶汲みに続いて、またもぷち達からダメ出しされるゆきぽ。そして

律子「音無さん、少し休憩入れましょう」

ゆきぽ「ぽぇ……!」トテトテ

『休憩』と聞き、ゆきぽは自分の段ボールに戻り、ブラシを取り出す。尻尾のブラッシングをお願いするようだ。『仕事中はブラッシングをねだらない』。これは○年かけてゆきぽが学んだ数少ない事の一つだった。忙しい時にブラッシングをねだり、みんなにしこたま怒られてやっと学んだ事だ。

759月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 01:02:42 ID:3/xVUKhk
ゆきぽ「ぽ、ぽー♪」トテトテ

ゆきぽはブラシを持って休憩室へ。すると

やよ「う、う、う」トントン

はるかさん「かっか、かっか」トントン

律子「ありがとう二人とも。最近忙しくて疲れが溜まってるのよね〜」

小鳥「何よりこういう心遣いは本当にありがたいわ」

やよとはるかさんが、律子と音無さんの肩を叩いていた。

いお「もっ?」(どこに行ってたんですか?)

たかにゃ「しじょ」(もうあの子たちが肩叩きをしていますよ)

ゆきぽ「ぽ、ぽえ」ブラシ スッ

ちびき「ないさー……」(まさか……今ブラッシングをねだる気ですか?)

ゆきぽ「……ぽぅ」コクリ

あふぅ「ナー……」(マジ空気読んだ方がいいッスよ……)

ゆきぽ「……うぅ」ショボン

自己中心的で欲望に忠実なゆきぽに空気など読めるはずがない。ただ、かつてはみんなゆきぽと同じ思考だったはずだ。ゆきぽは他のぷち達に不安そうに戸惑いの目を向ける。

いお「もっもっ、キー」(飼い主さんと私たちがお互い譲歩しあって、少しでも良い関係を築けるようにって、みんな飼い主さんに教えてもらってますよ)

ゆきぽ「ぽ……ぷーぷー」(飼い主さんがいないから、知りませんでした)

あふぅ「ナーナー」(ゆきぽマジKYッス。自分も飼い主さんはいないし、昔はヤンチャしてたけど、フツーはどっかで目が覚めるッス)

ゆきぽ「ぽぇ?!」ビックリ

ぷち達はみんな成長していた。ゆきぽだけを置き去りにして。その事実に驚愕するゆきぽ。

小鳥「あ〜気持ちよかった。ありがとう、二人とも」ナデナデ

やよ「うっうー///」

はるかさん「ヴぁーい」ニコニコ

律子「みんないい子で嬉しいわ。……あらゆきぽ、ブラッシング?」

シラーッ……

ゆきぽ「ぽ……ぽ……」ビクビク

他のぷち達からの、冷たい視線。実はかなり以前から今のような視線を浴びせられていたが、ゆきぽがそれに気がつかなかっただけだ。
真実を知ってしまったゆきぽは、穴があったら入りたい気分になる。

そしてそれを物理的にやってしまうのが、この生き物だ。

スコップを取りだそうとしたゆきぽに近づく、一匹のぷち。

ちひゃー「くー、くー」(ブラッシングなら私がしてあげます)

みうらさん「あらあら〜」(ちひゃーちゃん、私が自分で身だしなみを整えてるって聞いてから、身だしなみは自分でやるようになったんですよ)

律子「へえ、凄いじゃないちひゃー。じゃあ、お願いできるかしら」

ちひゃー「くっ」コクン

ゆきぽ「ぽ……」ガッカリ

ゆきぽが思い描いていたのは、律子の膝の上に寝転がり、自慢の尻尾をブラッシングしてもらう姿だった。尻尾の毛並みを揃えてもらう事と同じくらい、律子の暖かい膝の上に乗りたかった。ここ数日ぷち達に(ゆきぽ主観で)冷たく当たられていた為、不安で堪らなかったゆきぽは、愛されている実感が欲しかったのだ。

ゆきぽをクッションの上に寝そべらせ、ちひゃーがブラッシングを開始する。そして

ちひゃー「くっ!」(できました!)

小鳥「よくできました。みんな、ちひゃーちゃんに拍手!」

パチパチパチパチ……

ちひゃー「くっ///」

ブラッシングを終えたちひゃーに、万雷の拍手、そして

シラーッ……

ブラッシングを終えたゆきぽには、冷たい視線。

律子「ホントみんないい子になったわね。……誰かさん以外は」ボソッ

ゆきぽ「ぱぅ……うぅ……」

ここでやっとゆきぽは空気を読むと言う言葉の意味に気づいた。……今の空気は、いたたまれない空気だ。

ちひゃーからブラシを受け取ると、逃げるようにその場を後にする。

小鳥「……お礼くらい言いなさい。落ちこぼれ」

ゆきぽ「ぷぃー……」ズキン

音無さんの言葉が胸に刺さる。臆病なゆきぽには、振り返る度胸などなかった。みんなから背を向け、壁と向き合うようにして段ボールに入る。

760月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 01:04:38 ID:3/xVUKhk
(どうしよう……どうしよう……)

馬鹿なゆきぽにも、現状は理解できはじめていた。

(ものを運ぶのはぴよぴよ、力仕事はまこちーに取られた。お茶汲みはまこちー達に、肩叩きはやよ達に取られそう。どうしよう……)

そもそもこの『取られた』という発想が浅はかそのものなのだが、ゆきぽにそんな事を考える余裕はない。ゆきぽは今しばらく壁を見つめ、現状の打開策を練る。

夕方

一日の締めと言えば床の雑巾掛け。ゆきぽは新品のタオルをビショビショに濡らして床の雑巾掛けを行う。

ゆきぽ「ぷぃー…!ぽぃー…!」ゴシベチャゴシグチャ

はるかさんがそれを不思議そうに見ていた。ゆきぽはそれを自分に向けられた称賛の眼差しと判断した。肩叩きでは先んじられたが、床掃除は自分が先んじた、と。

はるかさん「かっかー」トテトテ

はるかさんがゆきぽに近づく。

ゆきぽ「ぽぇっ♪」ニパッ

ゆきぽははるかさんに、勝ち誇ったかのような笑顔を向けた。だが

はるかさん「はるかっか?」(雑巾、濡らし過ぎですよ?)

ゆきぽ「ぽえぇっ?」ガーン

内心見下していたはるかさんにまでダメ出しをされ、ショックを受けるゆきぽ、更にたたみかけるように

ちっちゃん「ハァ……もー、めっ?」(最近床掃除なんてちっともやらなかったのに、どういう風の吹き回しですか?)

ぴよぴよ「ハァ……ぴぃ、ぴっ」(どうせここ最近の汚名返上を目論んだパフォーマンスでしょう。バレバレですよ)

ゆきぽ「ぷうぅ……!///」カァー

これだけあからさまなパフォーマンスがバレない訳がない。図星を突かれたゆきぽのほっぺが、赤く染まる。更に

あふぅ「ナーナー、ハンッ」(スコップ突き立てて床に穴掘るゆきぽが床掃除とか、もはやギャグッス)

まこちー「まきょ、ヤー」(ちゃんちゃらおかしいですよね。しかもお掃除になってないし)

たかにゃ「ハァ……しじょっ、こあ、こま、やよ」(中途半端にやられてもね……こあみ、こまみ、やよ。手伝って下さい)

ゾロゾロ……

たかにゃが三匹を引き連れ掃除道具のロッカーに向かう。

いお「キー、キー」(掃除をしたいのなら、普段掃除をしている人たちがどうやってるのか、ちゃんと見ないと。そもそも貴方が持ってるタオル、掃除道具じゃないでしょう)

ちびき「だぞ、ないさー」(貴方がやっているのは掃除じゃなくて、ただの目立ちたがりのスタンドプレーです)

ゆきぽ「ぽぇぇ…ぷぃぃ、ぷぃぃぃぃ!; ;」ポロポロ

完全に魂胆を見透かされていた恥ずかしさと、自分の掃除を全否定された悲しさに涙をこぼすゆきぽ。そして

ゆきぽ「ぽえぇぇぇえん;;」スコップ スッ

本日二度目の穴があったら入りたい心境になったのだろう。スコップを取り出すゆきぽ。

761月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 01:05:52 ID:3/xVUKhk
まこちー「まきょっ!まきょっ!」(ゆきぽ、それをしまいなさい!)

ちびき「だぞ!あがー!」(穴を掘ったらもう私達ではフォローできません!ここにいられなくなりますよ!)

二匹の懸命な言葉は、恥ずかしさと悲しさと惨めさで一杯のゆきぽの耳には届いていない。穴を掘って埋まりたい、こうなると他の事はもう、何も考えられない。

ちっちゃん「……」ダッ

いお「……」みょんみょん……

ちっちゃんが両手にハリセンを持ちデスクを駆けおりる。いおはビームのエネルギーチャージを開始した。

ちひゃー「く、くー!」(はるかさん、ゆきぽを押さえつけて!)

はるかさん「かっか?」グイッ

近くにいたはるかさんが、ちひゃーの指示でゆきぽを押さえつけようとする。が

バッ ドンッ!

はるかさん「ケッファ!」ゴロン

元々この二匹では腕力が違い過ぎる。あっさり振りほどかれ床に転がるはるかさん。そして

ザクザク ザクザク!

あっという間に床に穴が掘られた。

ゆきぽ「ぽえぇぇぇえんっ!;;ぽえぇぇぇ……」クルッ……

いつものように飛び上がり、回転しながら穴に入ろうとした、その時

いお「キー!」みょんみょん…

カッッ!!


ボジュウゥゥゥゥ………!

ゆきぽ「ぽぎゅあぁぁぁぁーーー!?」

いおのビームが空中でゆきぽをとらえた。焦げた匂いを撒き散らしながら落下するゆきぽ。そして

ヒュー……スパンッ!スパンッ!

ゆきぽ「ぽぎいっ?!きゅううううっ!」ゴロゴロ……

駆け付けたちっちゃんが、落ちてきたところにハリセンを合わせた。

ゆきぽ「ぱうぅ……;;」イタイ……

762月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 01:06:57 ID:3/xVUKhk
やよ「う?」スンスン

焦げた匂いに気が付き、やよが他の三匹より先に事務所に戻って来た。

ガラン……

バケツが落ちる音がした。それと同時に

たかにゃ「しっじょおおおおおっ!!!」『制裁』『折檻』『天誅』ビュンビュンビュン!

ザクザクザクッ!

ゆきぽ「ぽぎゃ!ぷぎぃ!!ぷいぃあぁぁあーっ!!!」

たかにゃ「しじょ!しじょおっ!!」(恥を知りなさい!このぷちの面汚しっ!!)

ゆきぽ「ぷぅぇぇーん!ぐす、ひぐっ、ひっく…!ぽぅぅ、ぽぃぃぃぃ!; ;」ポロポロ

たかにゃの怒号が響き渡る。こあみとこまみ、やよがたかにゃに必死にしがみついて追撃を止めた。そしてゆきぽはいつも通り、涙をこぼして情けを乞う。

ちっちゃん「……」ユラリ……

ゆきぽ「ぽあぁぁぁーんっ!ぷわあぁぁぁぁーん!!; ;」ビービー!

ビービー泣いてるゆきぽの前に、ちっちゃんが立つ。まるで能面のような無表情で


ちっちゃん「もー、めっ……めっ」(ゆきぽ、もう貴方はこの事務所から出ていきなさい)


と、ゆきぽに告げた。

ゆきぽ「ひっく…ひっくっ…!ぅぅぅ、ぇぐひっく…!;;!!ぽ、ぽえっ!?ぽぇぇ!?」パチクリ

ビービー泣いてたゆきぽが一瞬で泣き止む程の衝撃発言だった。

他のぷち達からも『もうここにいる資格はありません』『もう一緒に過ごしたくありません』『顔も見たくないです』『出て行くッス』などと辛辣な言葉を浴びせられた。

そしていつしか……

『『『出ーてーけ!出ーてーけ!』』』

の大合唱となった。

ゆきぽ「ぱぁぅーーっ!!!ぴぃーー!!!;;」ウズクマリ

ぴよぴよ「ぴっ!」

なおも続く『出てけ』コールを遮ったのは、ぴよぴよだった。

シーン……

ゆきぽ「ぽえぇぇぇえ〜ん;;、ぽ?ぽぽ??」

『ぴよぴよが庇ってくれるのかな?』などと愚かな期待を抱いたゆきぽを無視して、ぴよぴよはそのままふよふよとドアの前まで飛んで行った。そして

ガチャ

ぴよぴよ「ぴぃ、ぴっぴっ」(出て行く時、ドアを壊されたら迷惑ですから。さあゆきぽ、これでいつでも出て行けますよ)ニコッ

酷薄な笑みを浮かべた。

763月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 01:08:04 ID:3/xVUKhk
『『『出ーてーけ!出ーてーけ!』』』

ゆきぽ「ぽ……ぱうぅ……;;」イヤイヤ ガタガタ

『『『出ーてーけ!出ーてーけ!』』』

ゆきぽ「ぷぃーーーー!;;ひぅーーーー!;;」ミミフサギ ブルブル

『『『出ーてーけ!出ーてーけ!』』』

ゆきぽ「ぽぃやぁぁぁぁ!ぽえぇぇぇぇぇん!;;」タタッ

『『『出ーてーけ!出ーてーけ!出ーてーけ!』』』

ゆきぽ「ぽえぇぇぇぇーん!ぽえぇぇぇぇぇぇぇーんっ!; ;」ダダダダッ……

ゆきぽはドアから階段を降りて外に出て行った。

……

ゾロゾロ……

給湯室から律子や音無さん、事務所にいたアイドル達が出てきた。みんな騒ぎに気付いてはいたが、ぷち達の判断に委ねる事にしたのだ。

律子「追放処分か……ちょっと重たい処分だけど、仕方がないわね」

ちっちゃん「めっ、もー?」(私たちの判断は間違っていたでしょうか?)

律子「どうかしらね。でも、ゆきぽの事はあんた達に任せたんだし、誰も文句は言わないわ」ナデナデ

小鳥「例えば学校でも、落ちこぼれはいつか退学させられるんだもの。私はみんなが間違っているとは思わないわ」

……

事務所を飛び出したゆきぽだったが、今の時期は日が落ちるのが早い。事務所に来て以来、夜の外出は一度もない。夜の闇が怖くてどこにも行けない。でも事務所には戻れない。

進退窮まったゆきぽの顔が、絶望に歪んでいく。

ゆきぽ「うぅ…!ぽええぇ〜ん!!ぽええぇぇぇぇ〜ん!!!; ;」ボロボロ

その場で大声をあげて泣き出してしまった。

764月日が君だけを変えない:2016/03/12(土) 01:09:27 ID:3/xVUKhk
「うるせぇな、何だ?」

一階のたるき亭の店長が外の様子を見に来た。

「!…こいつは……」

「店長、なんスか?ガキでも転んで……」

「コイツはウチの天井ぶち抜いた例のクソチビだ。ぶっ殺してやるから裏に連れてけ」

「いいんスか?上の階のペットですよね。面倒な事になるんじゃ……」

「構うこたねえよ。本来ウチの天井ぶち抜いた時点で殺処分されるはずの害獣だ。ちょっとそれが遅れただけだ。昼勤のヤツら、まだ帰ってないよな?あいつらにも声をかけてみよう。取りあえずソイツを店の裏に連れてってくれ」

「了解ーっす」ガシ!

ゆきぽ「ぽや、ぽやぁぁ!ぽびゃあぁぁぁぁ!!」バタバタ

この後、ゆきぽは店の裏で店長と昼勤の従業員たちに殴る蹴るの執拗な暴行を受けて殺された。天井をぶち抜いた時には出せなかった鳴き声で、絶叫をあげながら。

……

求めれば与えられる事が、当然だと思っていた。
与えられたモノを受け取る事が、当たり前だと信じて疑いもしなかった。
そんな甘ったれた害獣の行き着いた先は、飲食店のゴミバケツの中。


月日は、ゆきぽだけを変えなかった。



月日が君だけを変えない 終わり

765名無しさん:2016/03/12(土) 16:15:02 ID:OSAiLmUs
はるかさん「はるかっか」(大層乙です)




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