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Desire

1ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/04(火) 23:38:27
AKB48メンバーを使った、サスペンスを書きたいと思います。

ちょっとエグめのワードもいくつか出るので、予めご了承ください。

2ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/04(火) 23:38:59

アナタが今、望んでいるものは何ですか?

それは、本当に大切なものですか?

3ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/04(火) 23:39:54

「ハァ…、ハァ…、ハァ…」

都内某所、一人の男がやみくもに逃げていた。
男の手には、赤く染められたナイフが握られている。
彼の背中から、パトカーのサイレンが鳴り響いていた。

「ハァ…、ハァ…」
男の頭の中は、逃げることしか考えていない。
そのためか、逃げた先が港であることに、彼は気付かなかった。

「ハァ…、ハァ…」
「田崎! そこまでだ!」
いよいよ警官に追い詰められ、逃げ場を失った男。
「俺じゃない…、俺じゃない!」
男は持っていたナイフを自分の胸に突き刺し、海へと飛び込んだ。

4ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/04(火) 23:48:41

「港区で起きた連続殺人事件の、重要参考人とされていた“田崎龍也”容疑者が、昨夜未明、胸にナイフを刺し、海へ飛び込み自殺しました。田崎容疑者は…」

近所のラーメン屋に置かれているテレビには、昨日の夜に起きた事件のニュースが流れていた。
まあ、俺には全く関係のない話だ。
俺の名前は、大場和人。23歳。仕事は…、まあ人には言えない仕事をしている。

「ごちそうさん! おやっさん、今日もうまかったよ」
「おう! また来いよ!」
ラーメン大盛りの450円をテーブルに置き、俺は店を出た。

さて…、仕事をするか。

5ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/04(火) 23:50:23

「今日ですか?」
私の名前は、渡辺麻友。20歳。大手化粧品会社の広報をやっている。
今日は、新作の広告についての会議だったのだが、突然広告代理店の方から話をかけられた。

「ああ、やっぱりご迷惑ですよね…。すみません…」
「いえ…、そんなことは…」
相手の方は、営業の“坂下茂之”さん。23歳。今年で2年目の新人さんらしい。
その方が、「今夜、食事でもどうか」と声をかけてきた。
 
普通に考えたら怪しくて、そんな話は断る。でも、相手は大事な取引先。
機嫌を損ねてしまうと、せっかくのプロジェクトが台無しになってしまう。
それに私も入社1年目の新人だし、ここは話をあわせなきゃ。
「今夜ですね、大丈夫ですよ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
少年のような無邪気な笑顔で笑う坂下さん。何となく嫌いじゃなかった。

「では、これを」と坂下さんの名刺をいただいた。私も社会人のマナーとして、名刺を相手に渡す。
これは鉄則だと、“社会人のマナー”という本に書かれていた。

「じゃあ、また後で」
スキップしながら帰る坂下さんの後ろ姿は、とてもかわいらしかった。

6ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/04(火) 23:51:19

「さてと、コレで“エサ”は仕掛けたと…」

俺の仕事は…、詐欺師だ。
“カモ”を見つけては、相手に巧みな話術を使い、大金をいただく。
世間的には良くないだろう。ってか、“犯罪者”だ。
でも、生きていくためには仕方がない。俺にはこの道しか選択肢が無かった。

そんなことより、今回の“カモ”。確か名前は、“渡辺麻友”。
今年社会に飛び出したばかりの世間知らずの子だ。
彼女の父親は、大手家電量販店の代表取締役で、彼女はいわゆる“箱入り娘”。一番“カモ”にしやすいタイプだ。
彼女には“結婚詐欺”でだまし取ろうと思う。今回も必勝のプランAでちょちょいと済ませるつもりだった。

あの日までは…。

7ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/05(水) 00:00:24

「じゃあ、渡辺さんのお父さんって、会社の取締役なんですか?」
「そんな大層なものじゃないですよ」

 坂下さんは話し上手で、以外にも楽しく食事が進んでいた。
やっぱりこの人のこと嫌いじゃないかも…。

「そんなことないですよ。でも、残念だな…」
「えっ? どうしてですか?」
「だって、そんなお嬢様が、僕と釣り合う訳ありませんし…」
 あれ? これってもしかして…。
「ゴメンなさい! 変なこと言っちゃいましたね…」
「いえ…、でもちょっと嬉しいです」
「ちょっとですか?」
「えっ?」
 彼は私の目をじっと見つめていた。まっすぐで純粋な目…。

「ゴメンなさい…、帰りましょうか?」
「そ、そうですね…」
 今日はじめて会ったばかりなのに、私のドキドキはドンドン大きくなっていた。

「ここは僕が」
「いえ! お誘いいただいたんですから、私が払います」
「こういうのは男が払うもんなんですよ」
「そ、そうなんですか?」
 ちょっと悪戯っぽく笑った彼のことが好きになっていた。

8ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/05(水) 00:23:09

 初日にしては、結構上出来だったんじゃないだろうか。確実に彼女はもう落ちたであろう。軽いもんだ、箱入り娘を丸めこむなんて。
さりげなく、次のデートの約束まで取り付けた。あとは何とかして結婚まで持っていかなければならない。それに到達するまでには、彼女の場合、あと1年は必要だろう。
ここからは自分との根気の勝負だ。彼女に飽きないようにせねば。

 だが、俺の前にアイツが現れた。

「何でいんだよ…」
 自宅の玄関に膝を抱えて座り込む、見覚えのある顔があった。

「ああ! やっと帰ってきたぁ」
「何でいんだって聞いてんだよ」
「会いたくなっちゃった」
「ふざけんな、会いに来んなって言っただろ」

 彼女は俺のストーカー…じゃなかった、幼なじみの島崎遥香。
彼女には、俺の仕事内容は告げていない。だから、二度と合わないように姿を消したつもりだった。
「いいじゃん、三年ぶりだよ」
「知るか、さっさと帰れ」
「もう終電行っちゃった」
 切り札を早速出してきやがった。“駆け引き”という言葉を知らないのかコイツは。

9ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/05(水) 00:44:00

「うわぁ〜、ちょっと部屋の片づけぐらいしなさいよぉ」
「うっさいなぁ」
 ちゃっかり俺の家に上がりこんできた遥香を、こんな時間に追い返すわけにもいかず、結局泊めてやることになってしまった。
コイツのせいで、このあとやろうと思ってた今後の計画を寝ることが出来なくなってしまった。

「ってか、今、気付いたけど、和人、スーツ姿じゃん」
「今頃かよ…」
 もうYシャツを脱ぎ始めたタイミングで言い出してきた。
「どこの会社に勤めてるの?」
「お前に教える必要ねえだろ」
「そんなことないよぉ、だっていつか会えるかもしれないじゃん?」
「どういうことだよ?」
「私、今日からこっちで働くことになったの」
「は?」

 小学校時代のコイツは、相当なバカだった。まず足し算がまともに出来ない。仕方なしに俺が教える。しかしコイツはそれでも成長しなかった。
そんなヤツが、東京で仕事? 絶対俺みたいなやつにきれいに丸めこまれて泣いて帰るに違いない。

「大丈夫なのかよ? お前が東京で働くなんて」
「なぁに? 心配してくれてんの?」
「バカ言うな」と言いながらも、見事に当てられ、正直焦っていた。
 コイツ、こんなに勘が良かったか?

10ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/05(水) 01:15:27

「どうしよう…、メールしようかな…、でもこんな時間だし、迷惑かもな…」
 坂下さんから頂いた名刺に載ってあったメルアドに、今日のお礼をするかどうかということだけで私は悩んでいた。こういう時、どうしたらいいのか分からない。
「う〜ん…『坂下さんへ、本日はお誘いいただきありがとうございました。とても楽しかったです。来週のお約束も楽しみにしております』、かしこまり過ぎかな…」
 そのときだった。突然私の部屋のドアがノックされた。

「はい!」
「麻友さん、入りますわよ」
「お母様、どうしたの?」
「こんな遅い時間まで、一体どこをほっつき歩いていたのですか?」
「違うわ、今日は会社の取引先の方とのお食事だったの。」
「それにしたって、連絡の一つぐらい…」
「分かりました、今後は気をつけます」
「おやすみなさい」と私に言いたいことをすべて言い終わったお母様は、帰っていった。

 携帯の画面を見ると、『送信中』と書かれてあった。
「えっ!? えっ!? ああ! ヤバイ! どうしよう!」
 私の思いは通じること無く、『送信完了しました』と携帯に書かれてあった。

11ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/05(水) 21:01:14

「あっ、メール」
 私は島崎遥香。20歳。来週から、東京都内でデザイナー事務所で働くことになっています。
和人は昔からずっと一緒に居たんだけど、3年前に突然姿を消した。だけど、必死に探してようやく見つけたの。

 和人がお風呂に入っている頃、彼の携帯にメールが届いた。勝手に見ちゃ怒られるだろうけど、いっか。
私が携帯を開けようとすると。

「人の携帯、勝手に触んなよ!!」
 和人がすごい顔して怒ってきた。
「ご、ごめん…」
「ったく、返せ」
 怒らせちゃったかな…、いっつもそう。
小さい頃から、いっつも和人を怒らせてばっかりだった…。

12ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/05(水) 23:46:14

 翌朝。
「んで、今日には帰るんだろ?」
「ううん、こっちで住む所が決まるまで、ここに住むから」
 コイツは何を言ってるんだ。
「帰れ」と俺が言っても、「やだ」と一言言い返され、また「帰れ」、「やだ」の繰り返しである。

「あのなぁ…、こっちにだって都合ってもんがあんだよ…」
 これから結婚詐欺をしかけようってときに、コイツがいたら正直、邪魔だ。
「なんで?お願い!1ヵ月以内に住む所、絶対見つけるから!」
 勢いで言ってるなコイツ…。
「ったく、1ヵ月以内だぞ」
「やったぁ〜!」
 甘いな、俺は。この選択が、俺の人生を狂わせてしまうとも知らず、それどころか、彼女を絶望の淵に立たせてしまうなんて。このとき想像もしなかった。

「じゃあ俺仕事だから、出掛けるんだったら鍵閉めろよ」
「うん、分かった」
「あ、それと、部屋のもん勝手に触るんじゃねえぞ」
「分かってる」
「じゃあ…、な」
「いってらっしゃ〜い!」
 ったく何なんだ…。新婚夫婦じゃあるまいし…。

13ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/06(木) 22:24:51

 ここは新宿にあるバー、“ティ・アモ”。俺はこの店の中に入っていく。別に朝っぱらから飲みたいわけじゃない、この店の奥に用事があるのだ。
「おはよう」と、店の奥にある隠し扉のドアを開けると、そこにはいつものメンツが揃っていた。

「遅かったね」、そう声をかけたのは、“大島優子”。とても頭が切れる存在。
頭もスタイルも文句のつけどころが無い人物だ。

「ちょっとな、知り合いが家に来てて」
「大丈夫?その“知り合い”にバレてないでしょうね」
「大丈夫、大丈夫。そういや、“アイツ”は?」
「あれ?さっきまでいたんだけどな…」

「ちょいちょ〜い!」俺達の世界で、大声を出して目立つのは“タブー”とされている。
そのご法度を堂々と破ってしまったのが、“高橋みなみ”。頭の出来は悪いが度胸はあり、行動力に長けている。

「なんだ、今頃来たのか。みなみ」
「いやいや、最初からいたから!」
「そうだっけ?」
「ちょ、優子まで〜!」
 基本この3人で仕事を行っている。ちなみに俺達の“仕事”とは、以前も話したと思うが、“詐欺師”だ。

14ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/06(木) 22:42:27

「で、どうだった? ファースト・コンタクトは?」
「ああ、カンペキ。多分もう落ちてるよ」
「うっわ! スゴい自信だね…」とみなみが、やじを飛ばしてきた。
「ったりめえだろ、俺を誰だと思ってやがる」
「はいはい、じゃあ今回もやっぱり“プランA”ってことでいいわね?」
「おう」
 俺達の作戦を立ててくれるのは、優子だ。さっきも説明したが、コイツは俺達3人の中で飛びぬけて賢く、そのため俺達のリーダー的存在となっている。

 どうして俺達が詐欺を始めたのか…、話は二年前に遡る。

「一千万!?」
 大学のサークルで知り合った俺達は、毎日のように遊び、ふざけていた。
 そんなある日、いつも元気だけが取り柄のみなみが、泣きながら俺たちに相談をしてきた。どうやら、“投資詐欺”に引っ掛かったらしく、一千万程の支払いを請求されているのだ。
「そんなお金、払う必要無いよ!」
「で、でも…、昨日…、実家から電話があって…」

 どうやら連中は、みなみの実家にまで連絡をつけてきたらしい。
何で実家の番号を知ってたかと言うと、コイツが契約書に書いていたからだ。ったく、個人情報ぐらい、自分で管理しろっつーの。

「ゆうぎょぉ〜、どうじびょ〜」
 泣きながら喋っているから、何を言っているのか正直理解できない。さっきから優子は「う〜ん」と何かを考えてばっかりだ。
「かずどぉ〜!」とうとう俺にも矛先が向けられてしまった。
「仕方ねえだろ、払うしかないんだよ」
「そんなこと言っだっで〜!」鼻水が垂れてんじゃねえか、きたねぇ…。

 そのときだった、ずっと考え込んでいた優子がぼそっと呟いた。
「取り返せば、いいんじゃない?」
「えっ?」まさかの一言に、俺とみなみは固まった。みなみに関しては鼻水が地面につくまで、あと数センチだった。

15ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/06(木) 23:44:30

「騙された分、そいつらから取り返してやろうよ!」
「いや、まだ支払ってないから、騙されてないんだけど…」そう俺が訂正すると。

「支払った」落ち着いたみなみがそう言った。
「ま、マジで?一千万?」
「ううん、とりあえず頭金として百万」
「ひゃ、百万!?」
「う、うん…」ヤバい、また泣き出しそうな顔をしている。
「もう泣くな、な?」
「うん」

「で、どうやって取り返すんだよ?」
 話を本題に戻す。
「決まってんじゃん、“目には目を、歯には歯を”だよ」
 優子はにやりと笑った。俺達はその笑みの意味がよく分からなかった。
 イヤ正確には、分かっていたけど、それが本当だとは思ってもいなかった。

16La tormenta:2013/06/07(金) 21:15:52
お久しぶりです!
いきなりですみませんが、Dear My Sisterの続きが見たいです!

17ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/07(金) 21:40:23
>La tormentaさん
もちろん“Dear My〜”も更新しますのでお楽しみを!

18ステージ:2013/06/08(土) 00:22:05
Cry for youの方もよろしくです^^

19ちんぱる(板野友美 速報14位→6/8 1位!):2013/06/09(日) 21:37:17

 それから三日後。
「んで、どうすんだよ」
 朝早くから優子に呼び出された俺たちは、正直イライラしていた。

「ウフフ、まあまあ。そんなにイライラしないの」
「いや、しないのが可笑しいから」
「たかみな、なんていう人から盗られたの?」
「え〜っと、“木村”っていう人」
「男? 女?」
「男だった」
「連絡先とか残ってる?」
「うん、一応」
 さすがにもう、繋がんないんじゃないか。
「あ、もしもし」
 繋がっちゃったよ。

「はい、木村ですが」
「あの〜…、高橋です」
「あ、どうも。その後いかがですか?」
「その〜…」
 電話をしているみなみの目の前には、優子がカンペを出して指示を出していた。

「え、え〜っと、“実はその件なんですが、今日ちょっとお話したいことがありまして”」
「お話というと?」
「“大事なお話なんで、直接あってお話を”」
「はあ…、いいですよ。どちらに向かえばよろしいでしょうか?」
「“ティ・アモと言うお店があるんですが、そちらに来ていただけますか?”」
「分かりました。それでは、二時間後、お伺いいたします」
 そこで電話が切れた。

 その様子を見ていた優子は、ガッツポーズをとっている。
「うし! これでOK!」
「おい、どういうことだよ?」
「だから、今からその“木村”って男から、百万いただくの」
「そのティなんちゃらって店で、勝手に待ち合わせしていいのかよ?」
「大丈夫、大丈夫。知り合いが許してくれてるから」
「知り合い?」
「ちょっとね…」

20黒蜜もち:2013/06/16(日) 17:43:02
こちらの小説も読ましていただきました。

こちらも大変面白いです。流石ちんぱるさんですね(笑)

小説頑張ってください。


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