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Cry for you

1ちんぱる:2013/05/30(木) 23:48:34
島崎遥香メインの王道恋愛小説を書いて行きます!

2ちんぱる:2013/05/30(木) 23:49:04

-春-

桜が咲き誇り、キレイに散っていく。
俺はこの景色を何度見たことだろうか。
隣にいたのはいつも彼女だった。
今までも、これからも、ずっと一緒だ。

3ステージ:2013/05/30(木) 23:49:42
みつけたー!

楽しみです^^

4ちんぱる:2013/05/30(木) 23:50:54

-7年前の春-

「ヤバイヤバイ!入学式早々遅刻じゃねえか!!」
 朝からドタバタうるさいのは、この物語の主人公、神山晴人。

「何で起こさねえんだよ!姉ちゃん!」
「うっさいなぁ、たまには自分の力で起きなさいよ」
 彼女は晴人の姉、神山優子。

 二人の両親は、10年前に他界。
以来、姉の優子が母親代わりとして、晴人を立派に育て上げたのだ。
 だがその立派な息子は、高校の入学式早々遅刻しかけている。

「やっべぇ!行ってきます!」
「晴人!」
 突然呼び止められ、思わず前のめりになる晴人。

「何?」
「高校入学おめでとう!」
「お、おう」
「頑張ってね」
「…ありがとな」
「えっ?」
 思わず聞き返す優子。

「姉ちゃんのおかげで、俺高校にも行けるから…」
「…晴人」
「何?」
「遅刻すんぞ」
「そうだった!行ってきます!」
「行ってらっしゃ〜い!」
 慌てて家から飛び出す晴人。
これから彼には、幸せや悲しみ、あらゆる出来事が彼を待ち受けていた。

「しょっぱなから、縁起でもねえこと言ってんじゃねえよ!」
 おっと、失礼…。
 それでは、物語の始まりです。

6ちんぱる:2013/05/30(木) 23:51:41
>ステージさん
見つかっちゃいましたか(笑)
今後ともよろしくお願いします!

10ちんぱる:2013/05/30(木) 23:59:29

 学校に到着すると、すでに校舎には誰もいなかった。

「もう体育館に行ってんのかな…」
 そのとき彼の耳は誰かの足音を聞きとった。

「もしかして先生?見つかったらマズイな…」
 思わず近くの物陰に隠れる晴人、その足音は確実に晴人に近づいてくる。
様子を見たくなった晴人は、そっと顔を出す。
しかしそこには誰にもいなかった。

「あれ…?」
「何やってんの?」
「へっ?うわぁ!!」
 気付かぬ間に彼の後ろには、女性が立っていた。
でも見た限り、先生では無い。むしろこの学校の制服を着ている。
 正体を知ろうと、あれこれ考えていると。

「もしかして…君も遅刻した?」
「えっ?ああ、うん…」
 すると彼女は、まばゆいばかりの笑顔を振りまいた。

「じゃあ一緒だねっ」
「そうだね…」
 いきなり笑い出した彼女に訳分からない晴人だったが、今はそれどころではない。

「ね、これからどうする?」
「とりあえず、体育館行こうよ」
「行くの!?」
「行かないの?」
 すると上目遣いで晴人の事を見てきた。
晴人の弱点は何を隠そう、「上目遣いで見つめられる事」なのだ。

「うっ…、分かった行こう」
「よし!じゃあ行こっ」
 こうして晴人は彼女、島崎遥香と出会った。

14ちんぱる:2013/05/31(金) 00:03:40

 そうして二人は何事も無く体育館に…、入れるはず無かった。

「なぁ〜にやってんのかなぁ〜?入学式早々」
 廊下を歩いていた2人が後ろを振り向くと、女性が立っていた。

「入学式早々、いい度胸じゃない。アナタたち、名前は?」
「あっ、神山晴人です…」
「島崎遥香です」
 先生らしき女性は、紙に俺達の名前を書いた。

「神山くんと島崎さんね」
「あっ先生、字が違います」
「えっ?」
「“紙”じゃなくて“神”です。神様の“神”」
「わ、分かってるわよ!」
 慌てて書き直す姿から、どうやらこの先生は天然らしいと、晴人は確信した。

「と、とにかく!2人とも入学式が終わったら、生活指導室に来る事!いいね!?」
「はぁ〜い…」
 初日からツイていない晴人と遥香だった。

 入学式も終わり、2人は共に生活指導室までやってきた。
しかし肝心な先程の教師の名前が分からない。
「あれ?そういや、さっきの先生誰だ?」
「ホントだ、名前分かんないね」
「やっぱあの先生天然かも」
 と、軽く小バカにしていると。

「だ〜れが天然よ!」
 2人の後ろに先程の教師が立っていた。

「アナタたち、遅刻したくせにいご身分ね!」
「あ、スイマセン」
「まあいいわ、とりあえず入りなさい」
「あのう」と遥香が教師に尋ねた。

「いつになったらクラスに行けるんですか?」
「それは大丈夫、ほんの5分で終わるから」
 そして5分後、彼女の言った通りすぐに終わった。

「これに懲りたら、もう遅刻しない事!いいね?」
「はい…」
「じゃあ教室に行ってよし!」
 ようやく女性教師からの呪縛から、解き放たれた晴人と遥香。

「じゃあ、私2組だから」
「お、おう」
「晴人くんは何組?」
「俺は4組」

「そっか、じゃあまたね」
「あのさ!」
 晴人は思い切って彼女を呼び止めた。

「何?」
「こ、今度さ、良かったらどっか遊びに行かない?」
 遥香はビックリしていた、だけど誰よりもビックリしていたのは、晴人自身だった。
本当はそんなこと言うつもりはなかったのだが、気付くと口が勝手に動いていた。

「う、うん、いいよ」
「マジ!?」
「じゃあアドレス教えて」
 彼女は晴人に近づき、手を差し出す。

「ん?」
「ケータイ、出して」
「お、おう」
 慌てて携帯を取り出す晴人。
彼の携帯を受け取った遥香は、慣れた手さばきで互いのアドレスを交換した。

「はい、ありがと」
「おう」
「じゃあ、後でメールするね」
 そう言い残し、彼女は自分のクラスへと向かった。
晴人は小さくガッツポーズを決めると、スキップしながら自分のクラスへと向かった。
 しかしクラスのドアを開けると、全員からの冷たい目を一気に浴びることになった。

「あ…、スミマセン、遅れました…」
「君が神山晴人君だね?」
 黒板の前に立っていた男の教師が、晴人に尋ねた。


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