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OP案募集スレ

4プログラム起動 ◆nOp6QQ0GG6:2012/12/31(月) 12:41:35 ID:Wsvgr1/c0
「ブ、ブラックローズ……」
私はその身体の名前を口にした。
それは私の持つもう一つの名前。
ネットゲーム「the Wolrd」において、弟が勝手に作ってしまったPCであり、そしてカイトと共に激戦を繰り広げたPCだ。
精巧なポリゴンで形作られた身体に触れ、それが確かに自分であることを認識する。

「どういうことよ、もう」
悪態を吐きながら、私は「床」と思われる場所に足を付けた。何も見えはしなかったが足を付けることはできるようだ。
ここは……the Worldの中?
周りを見渡しても、手がかりになりそうなものはおろか、他の存在すら見えそうにもなかった。

「ここって……」
何も見えなかったが、私はここに見覚えがあった。
何のグラフィックも設定されていない真っさらな空間。
前にリョースに――システム管理者によってカイトと共に捕えられた場所に、良く似ている。
ということはここはやはりthe Worldの中なのだろうか?

「あれ?」
ふとそこで、とある疑問が私の胸に生じた。
「ここ」がthe worldの中であるのなら――
「私」は一体どこに居るというのだ。
ディスプレイの前……に私は今居ない。
存在する筈のリアルの自分を動かそうとしても、それがどこにあるのか見当も付かなかった。

「えーと。ここは一体……」
愕然としていると、不意に声が聞こえた。
何もなかった筈の場所に、一人の男が現れていたのだ。野球帽を被った男であり、自分と同じく生身の人間ではなくゲーム上のアバターのようだった。
だが、その姿は自分のものとはかけ離れている。
可能な限り現実の質感を再現したブラックローズの身体とは異なり、デフォルメされ頭身の下がったそのキャラクターはよりゲームらしいといえる。
勿論the Wolrdにこんなキャラは存在しない。

「あの」
私はその男に声を掛けてみた。
が、彼には全く聞こえていないようで、私の方を見向きもせずおろおろとしている。

唐突に爆音が響いた。
耳をつんざくような音がして、私は思わず耳をふさいだ。

「しぶといな」
音のした方向を見ると、ボロボロのローブを纏った奇妙なPCが居た。
黒と黄を基調にしたボディを持ち、鋭く尖った耳のような突起が特徴的だ。
爆音の元凶はどうやらそいつのようで、その手から硝煙を立ち上らせている。

「全く、周りのことも少しは省みてくれ。私まで被害を受けそうになった
 君の攻撃力は中々のものだが、この空間はそんなことでは抜け出せそうにないぞ」
そのロボットようなPCの近くに、もう一人別の者がいた。
綺麗なPCだった。黒いドレスを纏った美少女に、漆黒の蝶の羽が生えている。
その言葉に対し、ロボットの方は彼女に目もくれず「ふん」と苛立たしげに唸っただけだ。
彼女の声が聞こえていないのか、はたまたただ無視しているだけなのかは私には判別できなかった。

「おいおい、何だ? もう始めているのかい?」
また新たな声がした。
振り返ると、そこには見たこともない制服に身を包んだ男子生徒がいた。
彼は「馬鹿だね」と言って、やれやれという風に手を上げた。
周りを見下した、神経を逆なでるような口調に私は反感を覚える。
何よ、コイツ。ワカメみたいな髪をして。

「せっかちなことだ。ま、それで聖杯戦争のライバルが減るなら、こっちとしてはありがたいけどね」
私の反感をよそに、彼はぺらぺらと喋り出す。
聖杯戦争? 見慣れぬ言葉を彼は口にした。
自信満々に語る彼は、何かこの状況を知っているのだろうか。


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