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ライザとダルニィ(2名合作)

1無明:2017/11/04(土) 21:11:56
遥か遠い未来。
人類は銀河中に拡散し、地球出身の種族であることすら忘れられ「人類」という種のくくりも格段に大きくなった未来。
いたるところで、星系を股にかけるような戦いが繰り返されていた。
自らの勢力の拡大、それに対する抵抗、あるいは金儲け。
様々な思惑が入り乱れる中で宇宙を駆け巡り、誰にも組せず戦い続ける一組のコンビが居た。
一人は、自分よりも大きな怪物すら殴り倒す、剣を背負った黒髪の大女。
もう一人は対照的に小柄だが、エースパイロットもかくやという腕前を見せ、銃の腕は百発百中の、銀の髪の少年。
その二人、ライザとダルニィは「戦争に関わるものなら知らぬものなし」と言われるほどの有名人。
これは、そんな二人のとある経験の話である……。

「や、やべえ、来やがったぞ!」
男が叫ぶ。
「オイ、軍ノ連中ニハバレテナインジャナカッタノカ!?」
それに答えたのは、男とは別種族らしい爬虫類系の獣人。
翻訳機でも通しているのか、違和感のある口調であった。
「そりゃあ、私達は軍じゃないからな!」
よく通る女の声が聞こえたかと思うと、爬虫類系の獣人の顔がグシャリと潰れる。
顔面に、拳がめり込んでいた。
あの様子ではどう見ても死んでいるだろう。
その拳を振るったのは、なんと女性。
引き締まったやや筋肉質な肉体に、女性らしい豊かな乳房。
腰まで届くような長い紺色の髪と、思わず言葉を奪われるような美貌。
そして、消して小柄ではないはずの男が見上げるほどの長身。
男は、そんな風体だと噂される人物の名前を知っていた。
「ま、まさかお前、あのライザか!」
「ああ、そうとも。ここに閉じ込められてる人たち全員、取り返しに来た」
名前を言われ、ライザは獰猛そうな笑みを少し浮かべて答えた。
「ひいっ!」
怖気づいた男が銃を向けるが、その引き金を引くことは出来ない。
それより早く飛びついたライザが、銃のグリップを握っている男の腕を握りつぶしたのだ。
悲鳴を上げる男の首を掴んで、ライザは質問をした。
「さて、お前らのボスはどこにいる?ついでに人質の居場所はどこだ?」
なんとか動く方の腕で男がある扉を指差すと、空いている方の腕に取り付けた通信機で、ライザは何かに呼びかけた。
「よし、ダルニィ!今からデータを送るから、指定した区画を全部切り離してくれ!」
言い切ると、通信機から少年の声で返答があった。
「オッケー、ライザ。任せてよ!」
次の瞬間、施設全体が大きく揺れた。

2ヨーク:2017/11/04(土) 21:12:40
「それでライザ、これからどうするの?」
「ダルニィ、私はどこでも構わないよ。せっかく一仕事終えたなら、どこかで食事でもしたい」
「オッケー、それなら近くにテリガン連邦持ちの交易ポートがあるから、そこの中で何か食べようよ。けど、その前にちゃんとシャワーを浴びてね?」
「む、すまない……」
「まったくもう、血まみれでライザみたいにでっかい人が現れたらみんなびっくりするでしょ……女の人なんだから、もう少しそういうのに気をつけてよ!」
ここは、女戦士ライザとその相棒ダルニィが拠点としている宇宙船「フラックス号」。
どちらかと言うと小型の船だが戦闘、作業、輸送となんでも出来る万能船であり、先程も作業用のアームを生かして人質のいた区画とボスのいた区画をそのまま警察に引き渡したばかりである。
二人は仕事を終えるやいなや、さっきまで戦っていたとは思えないほどの会話をしている。
もっとも、ライザは戦いの後らしく血まみれなのだが……。
つい先程、この宙域で最も大きい影響力を持つ「テリガン連邦」という星間国家の知事の依頼を受け、宇宙海賊の一団から人質を救出したばかりの二人。
テリガン連邦の領内なら、おそらくすぐに情報が伝わり英雄扱いだろう。
早速、二人はそこで食事をする算段を立てていた。
これまで何度も戦いを生き延び、強い信頼関係で結ばれている二人。
それぞれの秘密と、それが影響して起きる事態など、この時はまだ想像すらしていなかった……。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ライザ:生まれつき肉体と機械が融合している「シンセノイド」と言われる種族で、外見の年齢は30代ほど。
2mを超える引き締まった肉体の大女で、その美貌と長い紺色の髪がよく目立つ。
その名を銀河に知られるほどの凄腕の傭兵で、自らの有り余るパワーとそれを活かすための手脚に装着した装甲、そして背中に背負った分厚い大剣で戦う。
銃弾やレーザーの中を物ともせず駆け巡るその姿は、敵対するすべての勢力から恐れられている。
シンセノイドのなかでも前衛格闘タイプであり、全身の骨格は人間型ながら強度は極めて高く、滅多なことでは骨折しない強度を持っている。
実は大昔に作られ、冷凍睡眠から目覚めたタイプの「トゥルーシンセノイド」と言われる存在の一人。


ダルニィ:ライザの相棒を務める少年で、外見年齢は10代前半〜半ばくらいだが、種族は不明。
小柄だが機械の操作に長け、また銃の扱いも上手い。
流石にライザほどではないが身体能力も高く、数々の敵を返り討ちにしてきた。
普段はライザのサポートや二人が乗り込む宇宙船「フラックス号」の操縦を担当している。
実は大昔に滅んだとされる「ドミ・テック」という機械を操る種族の生き残りだが、彼の腕前は能力に頼ったものではない。

サイボーグの女戦士ライザが相棒ダルニィとの子供を妊娠し、出産する話です。
この小説は私「ヨーク」と「出産好きの名無し」さんの2名で合作する形式となります。

3出産好きの名無し:2017/11/04(土) 22:03:23
テリガン連邦の居酒屋で、とんでもない勢いで食い散らかす奴が約1名。ライザである。
「ライザぁ、もう少し落ち着いて食べてよぉぉぉ...周りの視線が痛いんだよぉ...」
そしてその隣で居心地が悪そうな顔をしているダルニィは、チビチビとサラダを食べていた。
「何を言ってる、今日は戦ったんだからこれくらい前菜のようなもんだろうが!ほらほらダルニィ、お前も食え〜!」
「ちょっとライザ、やめ、やだそんなゲテモノー!」
この2人、傭兵とは思えないほど平和な奴等である...

4ヨーク:2017/11/04(土) 22:18:58
「全く、コレぐらい食えなきゃダメだぞダルニィ!そもそもこの料理はだな……」
「分かってる、分かってるからぁ!いくらライザのお気に入りでも僕はだめなんだってばー!」
わいわいと二人が騒ぐ中、ふとダルニィの耳にあるやりとりが聞こえた。
「なあ、知ってるか?あの占有種族の遺跡の話」
「知ってるとも。なんでも数年前まで誰かが動かしていた形跡があったんだろう?」
「ああ。だが、当の占有種族の姿は見えない。みんな死んじまったのかねえ……」
占有種族。
この銀河の技術にかなりの影響を残した種族であり、ドミ・テックとも呼ばれる。
だが、今その種族が生きているという証拠はなく、各地に技術の痕跡を残すのみである。
そしてなぜだか、ダルニィはその名前を聞くと突然、寂しさに襲われることがある。
遙か昔に滅んだ種族の話なのに、何故だか自分のことのように感じられるのだ。
また、占有種族の話はライザにも関係がある。
ライザは、かつて占有種族が兵士や労働力として作ったと言われる産まれながらのサイボーグ「シンセノイド」の末裔だというのだ。
そのため、二人は傭兵業の中でも占有種族の遺跡に関わる話題も多く受けている。
そして、食事の手を止めたダルニィの様子を察すると、ライザはすぐに残りを平らげる。
そして代金をたたきつけると、ダルニィを促した。
「すまない、食わせすぎてしまった……船に戻ろう」
「ごめん、ライザ……」
「……いや、いいんだ。何なら、今日は一緒に寝てやろうか?」
「ごめん、お願い……」

特に変わったことのない、普通の会話。
だがこのとき、ライザの体内に変化が起きていた。
ライザのダルニィへの思いや、周囲の状況。
さらには彼女の知る知識。
その向こうで何かが起きた。
彼女の体内で眠っていた何かが、何かのために動き始めたのだ。
二つが一つになり、根付く。
そして、変わってゆく。
まだこのときの二人は、何も知らなかった……。

5出産好きの名無し:2017/11/04(土) 22:36:26
認証:種族ドミ・テック、名称ダルニィ。
確認:この人間に恋愛感情を抱いた
現在ドミ・テックの個体数は大変少ないため、非常用プログラムを発動させます。
ライザの意識の届かない、サイボーグとしての一部が起動した。

6ヨーク:2017/11/04(土) 22:52:51
その頃には、ライザ自身は夢の中。
何が起きるかなど、気づくはずもない。
だが、それは確かに始まっていたのだった。

それからしばらく。
いつかと同じように、交易ポートで食事を済ませ、船内に戻った二人。
だが、その時だった。
「さて、食事もしたし次は……う、うぷっ……!?」
突如として、ライザは盛大に嘔吐した。
「ら、ライザぁ!?」
ダルニィは飛び上がって驚き、出航前なのをいいことに即座に医者に連絡。
そして、衝撃の事実を知ることになる。
そう、ライザの妊娠である。
二人にも身に覚えはない。
つまり、ライザは謎の妊娠をしたことになるのだ。
だが、ライザ自身は動じなかった。
なぜだか、妊娠しているのはダルニィの子だと、言って譲らないのである。
流石にダルニィもその様子に根負け。
これからどうしよう、などと頭を悩ませていた。

だが、ライザの振る舞いはそれからも変わらなかった。
なんと、妊娠しているというのに普通に傭兵として戦っていたのである!

7出産好きの名無し:2017/11/04(土) 23:35:37
ダルニィは、その姿が心配でたまらない。これだけ激しく動けば、流れる可能性もあるのだ。だがその不安とは裏腹に、ライザには何も起きなかった。

8ヨーク:2017/11/04(土) 23:53:01
「この子は私とダルニィの子なんだろう?だったら、強くて当然じゃないか」
余りに心配で、ライザに一言かけたダルニィ。
だが、ライザはこともなげにそう返したのだ。
「で、でも、何かあったら!」
「大丈夫、私には、何となく分かるんだ……この子が無事ってことも、それに、大丈夫だってことも」
ライザは、自分の体のこととなるとこういう、ぼんやりとした言い回しが増える。
それはダルニィにとって悩みのタネでもあったが、不思議と間違ったことは一度もない。
なので、そう言われるとダルニィは言い返せないのだった。

やがて、引き締まった腹筋に覆われていたライザのお腹も目立ち始める。
そうなれば、交易ポートを行き来する人や、傭兵たちの間で話題になるのも、そう時間はかからなかった、
あの、完全武装の兵士20人を一人で殴り倒したと言われるほどの豪傑であるライザが妊娠したと。
シンセノイドの女なのに妊娠したと、あちこちで話題になっていた。
そんな話題を、あまりいい顔をせずに聞く、右目に眼帯をした、緑色の肌の男が一人。
(シンセノイドが妊娠した、だと……よりによってあの、ライザが!)
彼の名はヴェンデル。
銀河の覇権を争う勢力の一つ、ロルミア大帝国の科学技術官であり、かつてライザにはかなり痛い目を見せられた男である。
彼はたまたま、スパイへの視察を兼ねてその場に現れていたのだ。
(だが、いいことを聞いた……もしシンセノイド妊娠の謎が解ければ、我々もシンセノイド
の技術を手にできるかもしれん)
そしてヴェンデルは、偽の依頼でライザをおびき寄せることにした。
彼もまた、占有種族の遺跡を調べていたのである……。

9出産好きの名無し:2017/11/05(日) 00:11:02
だが、ここで依頼をするのは早すぎる。
もう少しライザの腹で赤ん坊を育ててもらってからの方が都合がいい。
彼は暫く様子見に徹することにした。

10ヨーク:2017/11/05(日) 00:39:10
そして、ライザは妊娠6ヶ月目となった。
もう完全にどこから見ても妊婦といった様子であり、ライザが何者かを知る人は皆、目を丸くして驚いた。
噂は本当なのだ、ライザは妊娠していると。
だが、ライザはそれを恥じるでもなくむしろ誇らしげにさえしている。
その様子を、ヴェンデルは部下に命じて見張らせていた。
「ふむ、外見から推測される具合では十分だな……やれ」
その命令を受け、部下はライザへと近づいていった……。

「しかし、今回はいい仕事のようだな、ダルニィ」
「そうだねぇ、占有種族の遺跡調査の手伝いだなんて。なんで僕らなんだろう?」
「聞いた話じゃ、調査にフラックス号が役立つかもしれん、というのと、調査員が入る前に原生生物の駆除をしなければいけないらしくてな」
「なるほど、ライザが適任ってことなんだね」
「そういうことだ。この子のためにも、ちゃんと仕事してくるよ」
そう言って、目標地点に着陸したフラックス号からライザは降り、罠と知らずに遺跡へと向かった。

ダルニィが異変に気づいたのはしばらくあと。
遺跡内へ向かったはずのライザから、一切連絡がなくなったからであった。

11ヨーク:2017/11/07(火) 00:18:02
そして、ダルニィが必死になってライザの反応を探し始めた頃。
ふと、ライザは薄暗いどこかで目を覚ました。
「ん……?」
まず、自分が拘束されていることに気づいた。
(しまった、罠にかかったか……)
そして、すぐにある懸念が思い浮かぶ。
すると、暗闇の中から男の声が響いた。
「安心したまえ、君の子は無事だよ……我々にとっても死なれては困るからね」
そして、その声にライザは聞き覚えがあった。
そして、現れた姿を見て記憶との一致を悟り、吐き捨てるように言った。
「またあんたか、ロルミアの、ヴェンデル……!」
「覚えていてくれて光栄だよライザ……さあ、単刀直入に言おう。君の子宮を調べさせてもらうよ」
そしてヴェンデルは、両腕に装着したスキャン装置をライザの孕み腹に近づけてきたのだった。

12出産好きの名無し:2017/11/07(火) 00:39:10
ライザの抵抗も虚しく、スキャンは始まってしまった。
少しずつ、少しずつ読み取られていく大きなお腹。と、その時だった。
"敵意を含んだ外部からの刺激を確認、保護プログラムを起動します"
そういう声が聞こえたかと思うと、スキャン装置が破壊されてしまった。

13ヨーク:2017/11/07(火) 01:09:47
「な、何だっ!?」
予想外の事態に驚きの声を上げるが、流石に冷静なヴェンデル。
すぐに別の装置を装着してスキャンを再開するが、その装置もまた破壊される。
「こうなっては……最悪、直接見るしかない!」
ヴェンデルは装置を切り替え、レーザーを繰り出した。
これでライザのお腹を切り裂き、解剖しようというのだ。
そして、先端が光り始め、レーザーが今まさに射出されようとした時。
「保護プログラム、最大限に発動」
ヴェンデルのレーザー装置が大爆発を起こした。
同時に、通信を妨害していたジャミング装置が破壊される。
さらに爆発が、ライザの拘束の一部を破壊した。
「今……だっ!!」
その瞬間、今を好機と見たライザは壊れた右腕の拘束を引きちぎり、反撃に転じた。

そして同じ頃、ダルニィの元にもライザの反応が届いたのだった。

14名無しさん:2017/11/07(火) 18:47:59
「待っててライザ、今行くから」
慌てた様子で遺跡に走るダルニィ。
数時間かけてダルニィはライザの元に着いた。
「待たせたねライザ!助けに来たよ!」
ダルニィはそう言ってレーザー銃をヴェンデルに向ける。
「くっ…だがライザ、私は諦めないぞ!」
そう言ってヴェンデルは逃げ出したのだった。

15出産好きの名無し:2017/11/07(火) 23:57:18
ライザの反応はとても強い。
いつもよりも圧倒的にだ。
ダルニィは、嫌な予感を覚えながら、反応のある方へ駆け出した。
するとそこには…
「なんだダルニィか、少し待っててくれ、こいつを片付ける」
ボコボコになったヴェンデルを引きずるライザがいた。

16ヨーク:2017/11/08(水) 00:44:40
だが、その時だった……。
ボコボコにされながらもヴェンデルは隠し武器を起動した。
強烈な閃光弾だ。
「ダルニィ!」
「うわっ!!」
思わず目を覆う二人。
そして、視界が晴れた頃にはヴェンデルの姿はなくなっていた。

「まったく、今回は依頼が罠だって気づかなかったライザが悪いんだよ?」
「す、すまない……だが、稼ぎは必要だろう?」
「それはそうだけど……でも、もしライザも赤ちゃんも一緒に失くしちゃったら、僕……」
ダルニィの声が涙ぐんで来ているのを察し、少し黙るライザ。
だが、その心配を打ち消そうとあったことを話した。
「大丈夫だ……ヴェンデルの奴め、ポンコツの機械を使っていたみたいでな、私の体を調べようとしても片っ端から機械が壊れたんだ。だから、何もされてない、大丈夫だダルニィ」

17出産好きの名無し:2017/11/09(木) 00:07:02
「なるほどね、壊れた原因を知りたいからちょっと調べてもいい?」
「ああ、構わないぞ」
船に戻ってからライザをベッドに寝かせ、お腹を調べる。
「対象は父親と確認。保護プログラムの起動は必要ありません」

18ヨーク:2017/11/09(木) 21:40:06
「うーん……なんで……?」
「何かあったのか?」
「いや、一切何の異常もないみたい……ヴェンデルの機械が壊れた理由が分かんないよ」
問題なく検査できていることに、首をかしげるダルニィ。
結局、その後も調査を重ねた末に「ヴェンデルの機械が壊れただけ」と考える他なくなってしまっていた。

それからしばらく後。
ライザの妊娠は更にあちこちに知れ渡ることとなり、同時にヴェンデルを撃退したという話も広まり始めていた。
そんなライザに、交易ポートの廊下で声をかけた男が居た。
この場所、どころか時代にも不似合いな、テンガロンハットに革のジャケットとブーツ、さらに二丁の拳銃をベルトから下げた、ガンマンスタイルの男だった。
「ようライザ、元気そうじゃねえか。いつものちびもその腹も」
「久しぶりだなジェス。お前こそ死んでいなかったとは」
「おうよ、簡単に俺が死ぬもんかい」
彼の名はジェス。
ライザと同じ傭兵で、早撃ちは銀河でも一二を争う腕前と言われる男だった。
気が合うところもあり、二人はときに共闘することも多い、顔馴染みであった。

19出産好きの名無し:2017/11/09(木) 22:59:25
「そういえばライザ、お前妊娠したんだよな、まさか、銀髪男の娘であるダルニィ君では飽き足らず、浮気しちまったのか?」
「...殺されるか殺されるか、どちらか選べ。」
「うわっタンマタンマ!!!冗談だっつうの!まあ、父親については察してやるよ、ライザ君とダルニィ君。」
こんな感じで、このガンマン、なかなか陽気である。

20ヨーク:2017/11/11(土) 00:05:14
「それで、ジェスはまさか冷やかしだけのつもりなの?」
「いやいや、たまたま見かけたから声をかけたんだがね……」
「全く、お前は口が減らんな」
ジェスの言葉に呆れながら、歩き続ける二人。
しばらくした場所のテーブルに腰を落ち着ける。
そして、自然に辺りを確認するジェス。
先ほどの情けなさはどこへやら、その眼光はまさに凄腕の目。
「でだ……流石に無理は言わんが、を借りたい。仕事だよ」
「そうか、乗った」
即答するライザに目を丸くするジェス。
だが、ライザの顔に嘘はない。
結局、ジェスは程なく根負けし、仕事の説明をすることになった。

21出産好きの名無し:2017/11/11(土) 00:20:20
仕事の話になると、ジェスは陽気な奴ではなく、圧倒的強者の風格を漂わせために様変わりする。
それがあまりに凄まじいため、常人は近寄らない。
人払も兼ねてのことで仕方がないが、ライザはお腹の子が怖がらないかが気がかりだった。
「すっかり母親って顔してやがる。お前がそいつ産んだら親バカになんだろうなぁ…さーて、仕事の話なんだが…」
お腹を撫でるライザをからかいつつも、仕事の話は進んでいく。

22ヨーク:2017/11/11(土) 01:36:56
「で、仕事の中身は単純だ。俺の受けた依頼でもあるんだが……ダルナス星系に向かって、そこにいるロルミアの連中を追い出して欲しいとさ」
ダルナス星系。
自然の豊かな、未開拓の星々が連なる場所で、資源を巡り紛争が耐えない地域でもある。
そこで、ロルミアと対立するゲーデ共和連盟から依頼があったのだという。協定を破り、ダルナス星系にロルミアが3つの前線基地を作った。
その基地を殲滅して欲しい、というものだった。

23出産好きの名無し:2017/11/24(金) 00:55:52
「わかった、基地くらいいくらでも潰してやろうじゃないか」
ライザが即答する。
ダルニィは、もうあきらめましたよつきあえばいいんでしょはいはいといわんばかりの顔でため息をついた。
「よし、それなら話が早い。いくぞ」
彼らは、ダルナス星系へとむかった。

24ヨーク:2017/11/24(金) 01:32:09
「おいバカ、本当にそんなことして大丈夫なのか?!」
「わかるんだ、あいにくだが!」
目的地の上空にたどり着くやいなや、ジェスでさえ驚きを隠さない。
ムリもないだろう。
なんとライザはホバーバイクにまたがると、フラックス号から飛び出そうとしているのである。
確かにライザは凄腕の戦士だ。
だが、その一方で妊婦だ。
そんな彼女がとっている行動がとても妊婦だとは思えないのだから、当然である。
「後ろに乗れ、ジェス!」
「……わかったよ!」
しかし呼ばれ、ジェスの顔はすぐに真剣になる。
彼とて、銀河でも指折りの銃の名手。
ここで後ろを任されるのは、銃の腕がそれだけアテにされているということ。
そう着たならば、答えるのが彼である。
そんなジェスが後ろに乗ったのを確認すると、ライザはホバーバイクを急発進させた!

25出産好きの名無し:2017/11/24(金) 01:38:35
「おーいライザあぁぁ!」
そういって慌ててライザにしがみついたのは、おいてけぼりになる寸前だったダルニィである。
「「ああすまん、忘れてた」」
必死で飛び乗ったダルニィに対する2人のリアクションは、ダルニィの涙腺に少しばかりの刺激を与えた。

26ヨーク:2017/11/24(金) 01:46:56
そこからは、まさに嵐のようだった。
ロルミアの兵士が気づく間もなく、ダルニィとジェスの銃さばきの前に次々と倒されていく。
警報すら鳴らす暇も与えず、という勢いだ。
そして、ある程度進んだところでライザはダルニィに言った。
「操縦変わって!」
そしてダルニィが返事をするよりもさらに早く、バイクの勢いを乗せてライザは大ジャンプ。
そのまま、基地施設の窓をぶち破って突入していったのだった。

侵入者の報告を受け、基地にいる兵士たちは次々に戦闘準備を進めていく。
そのうちの一人を不運が襲った。
なんと、ライザと鉢合わせしてしまったのである。
彼はその瞬間、身動きが取れなくなった。
目の前の光景に頭がついていかなくなったのである。
大柄な、最低限の装備しかしていないような女が兵士を次々となぎ倒しているのだ。
それに……。
(妊婦が、戦っている!?)
次の瞬間、その兵士もまた、ライザの回し蹴りを受けてふっとばされたのだった。

27出産好きの名無し:2017/11/24(金) 01:55:45
敵が動揺して一瞬動きが止まることで、ライザはそうとう落に敵が倒せている。
このおなか、やはり戦いにも向くな...
そんなことを考えながら敵を倒していく。
その思考が、彼女の妊娠を長引かせる原因のひとつになるとも知らず、ライザはまた戦いに意識を戻した。

28ヨーク:2017/11/25(土) 01:57:16
そのまま、ライザは一人で基地を制圧している。
無論、それが出来るのもジェスとダルニィが敵をひきつけているからだ。
もはや、三人を止める力はこの基地に存在しなかった。

「本当に驚いた……まさか、妊婦が完全武装の兵士とド突き合うなんて光景見るとは」
基地を壊滅させた帰り道、ジェスは呆れたように言う。
だが、ライザは全く気にしていないし、ダルニィも諦めているのか特に注意することはない。
大したものだ、とジェスは思う他なかった。

そして基地を壊滅させていきながら、いよいよ10ヶ月目を迎えるライザ。
だが、その胎内に眠る赤子は、まだ生まれる気配を見せなかった……。


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