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戦闘少女シャドウクイーン

1名無しさん:2013/06/23(日) 00:06:39
人の影の少ない廃墟で。
二つの影が揺れる。
一つは磔にされ、一つはそれを眺め。
磔にされたほうが、ガラスのない窓から、月明かりで照らされる。
長い黒髪の少女が、漆黒のドレスを身に纏い、手足を縛られ磔にされていた。
どうやら彼女は気絶しているようだ。

「フフ…フゥーハハハハ!遂にシャドウクイーンを捕らえたぞ!」
マントを身に纏い、仮面をつけた男が高らかに宣言する。
それを耳にし、少女は気が付いたようだ。
「あれ…ここは…」
「気が付いたか、シャドウクイーン…フフフ、良いザマだな。」
「ヘルカイザー!…くっ、外れませんわ!」
「ハハハ!貴様でも外せないように加工してあるからな!無駄にあがくがいい!」
「くっ…」
悔しそうにヘルカイザーを睨む少女。


シャドウクイーン、伊集院晶は改造人間である。
ヘルカイザー率いるジーグに拉致され、身体を改造された。
しかし、脳改造される直前に逃げ出し、難を逃れた。
それ以来、彼女はシャドウクイーンを名乗り、ジーグを壊滅させることを目的としていたのだった。
今ではかなりジーグは被害を受け、壊滅寸前まで追い詰められていた。
だが、敵幹部の捨て身の作戦により、シャドウクイーンは捕らえられてしまったのだった。

「くっ、殺すなら殺しなさい!私は悪に屈したりしませんわ!」
ヘルカイザーをにらみながら、少女は叫ぶ。
「フフ…そう簡単に殺しはしないさ…貴様にはわが秘密結社のために働いてもらうからな…」
「…どういう事ですの?」
「貴様には俺の子供を孕んでもらう。新たな怪人を作る為にな!」
「なん…ですって…」
それを聞いた少女は青ざめる。
彼女の子宮も改造されている。着床率が高く流産もしないようになっていた。
ヘルカイザーに抱かれれば、確実に孕むだろう。
「そうは、させませんわ…」
睨む目をきつくさせながら呟く。
(この手は使いたくありませんでしたが…)
そう考えると、彼女は奥歯にある自爆装置のスイッチを噛み締めた。しかし。
「なぜですの!?」
彼女は爆発しなかった。
「フハハハハ!貴様が気絶している間に自爆装置は解除させてもらったからな!奥の手だっただろうが、当てが外れたな!」
高らかに笑いながら宣言するヘルカイザー。
「くっ…」
「さて、首を見てもらおうか。」
「えっ…なんですの、これは…」
そこにはチョーカーのようなものがつけられていた。
「それは貴様の身体を自由に操作する機械だ。このスイッチを押すと…」
そういうとヘルカイザーはリモコンのようなスイッチを押した。すると。
「…カイザーさマ、ご命レいヲ」
片言で、シャドウクイーンが話す。
(口が勝手に!?身体が、動きませんわ!)
彼女は焦るが、どうにもならなかった。
「フフ、という訳だ。便利な機械だろう?…さて、もうこれは必要ないな。」
そういうとヘルカイザーは手枷、足枷を外した。
千載一遇のチャンスだが、彼女の身体は動かなかった。
「さて、キスでもしてもらおうか、シャドウクイーン。」
「ワカリまシタ、カイザーさマ…」
そういうと少女はヘルカイザーへと近づく。
(くっ、動いて!動いて、くださいまし!)
彼女の思いとは裏腹に、身体は勝手に動いていく。
直ぐに二人は向かいあい、甘いキスをする。

(ライトニングサン…葵さん、早く来てくださいまし…)
ヘルカイザーに愛撫され、少し感じながらもそう考えるシャドウクイーン。

ライトニングサン、葉月葵もまた、改造人間である。
対シャドウクイーンとして作られた彼女だったが、戦いの末に正義の心に目覚めシャドウクイーンと共に戦っていた。
ライトニングサンはシャドウクイーンよりもパワーが強い。力のライトニング、技のシャドウといった所か。
さらに彼女は妨害電波を発生させたり、ハッキングができる。
一時的にチョーカーの電波を妨害させ、そのすきにハッキングで無効化させることも可能だろう。
ライトニングサンの到着、それを待ちながらシャドウクイーンは耐えていた。

2名無しさん:2013/06/28(金) 03:06:27
一方、ライトニングサンは苦戦していた。
相手はヘルカイザーの次ぎに最強と言われている、ホーリーアヴェンジャー。
全長3メートルぐらいの巨大な鎧蜘蛛で、ライトニングサンの力をも上回るパワーを持つ。
その上に超強度の糸も吐くし知能も割りと高く、力任せでは決して倒せない強敵だ。

3名無しさん:2013/06/29(土) 04:23:31
組み合って戦っていたライトニングサンとホーリーアヴェンジャーだったが、ライトニングサンが一旦間合いをとる。
(ちっ…やっぱりオレ一人じゃァ互角に戦うので精一杯だぜェ…なンとかして姉御を助けねェと…)
そう考えたライトニングサンは考える。
(とすると足止めして先を急ぐしかねェか…幸いヤツの回復力はさほどじゃねェから…手足を隙を見て立ち切るしかねェな…)
そう考えたライトニングサンは間合いを測っていた。
しばらく見あったころ。
「嫌…イヤァァァァァッ」
「姉御!?」
シャドウクイーンの叫びが、辺りに響く。
だがそれで、一瞬、ホーリーアヴェンジャーの注意がそちらへと向かった。
「今だ!」
その隙を逃さず、ライトニングサンが、間合いを詰め、手足を断つ。
「グギャァァァァァ」
野太い叫び声をあげ、ホーリーアヴェンジャーが倒れる。
それを見ずに、ライトニングサンは走り出す。
(姉御…なにがあったんだァ…?)
彼女が走り始めて数分後。
シャドウクイーンの叫び声が上がった辺りについた。
そこには。

虚ろな目をしたシャドウクイーンが、ビリビリに破られた戦闘服を身に纏い、高笑いするヘルカイザーに抱かれていた。
(あの目…操られてる!?それに、ヘルカイザー…ちくしょォ!)
一瞬にして事態の一部を把握したライトニングサンが、手を刀のように突きだしながら間合いを詰める。
「ヤァァァァァッ!」
「ムッ!?」
それまで接近に気付かなかったヘルカイザーだが、我を忘れ怒りで叫んだライトニングサンの声で反応し避ける。
だが、一瞬避けるのが遅く、かすり傷をおった。
「くっ、ライトニングサンか!ホーリーアヴェンジャーのヤツめ、しくじりおって…だが、目的は果たしたぞ!ここは退かせてもらう!」
そう言うとヘルカイザーは闇の霧を身に纏い姿を消す。
ヘルカイザーの気配がなくなったのを確認し、ライトニングサンはシャドウクイーンに駆け寄る。
「姉御!何があったんだァ!?」
話ながらライトニングサンはハッキングをしてチョーカーを外す。
「ライトニングサン…葵、さん…遅かった、ですわ…」
そう言うと彼女は涙を流した。

ライトニングサンとホーリーアヴェンジャーが戦っていたころ。
シャドウクイーンはヘルカイザーに抱かれていた。
「もうそろそろいいか…口くらいは自由にさせてやろう。」
そう言うとヘルカイザーはボタンを押す。
「…どういう、つもりですの。」
「貴様の声で絶望の言葉が聞きたくてな。」
「…?何を、するつもりですの?」
「こうするつもりさ」

そう言うとヘルカイザーはリモコンでシャドウクイーンに命令を送る。
「…これは?私の、透視能力…?これで、子宮なんかを見て何を…」
「フフ、さて、あれは…あった、ここだな。」
気配を探る様子をみせながら、ヘルカイザーが子宮の一部を指差す。
「拡大能力まで使わせて何を…?ま、まさか!」
「そう、そのまさか、だよ。貴様の卵子が受精する瞬間、見てもらおうか」
そこには、丸く熟した卵子に、うじゃうじゃと群がる精子の姿が見えた。
プスリ、と音が聞こえる幻聴と共に、卵子の様子が変わっていく。
「嫌…イヤァァァァァッ!」
ここまでが、彼女に起こった出来事だった。

ホーリーアヴェンジャーの気配も無いことを確認して、変身を解除し二人は帰路につく。
シャドウクイーンの顔は、絶望にうちひしがれた顔をしていた。

数週間たってからのこと。
葵は喫茶店でウエイトレスをしながら客に話しかけていた。
「姉御、最近元気ないんだぜ…」
「そうねぇ、顔色も優れないし…晶ちゃん、どうしたのかしら?」
白衣で眼鏡の女性が、コーヒーを飲みながら話をする。
彼女の名前は吉坂さとみ。
シャドウクイーンとライトニングサンのメンテナンスや相談にのる博士だ。
「マスター、何か聞いてない?」
「俺か?いや、なにも。」
マスターと呼ばれた男性がさとみの質問に答える。
彼の名前は星健一。
晶と葵のバイト先のマスターで、シャドウクイーンとライトニングサンの特訓や敵の弱点を探るサポート役だ。
「…そう、話しにくい事なのかしら。相談、してくれると良いのだけれど。」
「姉御ォ…」
二人は心配そうな顔をしていた。

一方その頃、晶は。
通う学校の屋上で、一人考え事をしていた。

4無明:2013/07/07(日) 17:59:38
(あれは決して……決して幻覚などではない……だとしたら私は…だとしたら……)
ヘルカイザーの見せた、あのビジョン。
それが、半ばトラウマとして焼き付いている。
次に奴らが現れたとしたら、戦える訳がない。
晶は一人、震えていた。
「シャドウクイーン、君は諦めるのか?」
そこに背後から、声がかかる。
振り返った晶の目に映ったのは、流麗な白銀の鎧。
「あなたは……?」
「僕はシルブレイダー。奴らと戦っているのは君達だけじゃない」
シルブレイダーと名乗った男は、晶に事実を語り始めた。

5名無しさん:2013/07/08(月) 00:09:44
「ジーグは世界中でその魔の手を広げていた。だが、僕や仲間の手によって倒されていっている。…本部がある、この日本以外はね。」
「…なぜあなた方は戦っているのですの?…それに、その仮面…」
シルブレイダーの言葉や姿に疑問を呈する晶。
シルブレイダーの仮面。それはまるで…
「ヘルカイザー。アイツは僕の弟だ。」
「なんですって!?なら貴方は私達の敵ではありませんの?」
「…アイツは、確かに僕の弟だ。…だからこそ、僕にはアイツを止める義務がある。」
「…なんだか、複雑な事情があるようですわね…」
「話せば長くなるからね。気にしないでくれ。…それで、君はどうしたいんだい?…その、お腹の子を。」
「わたくしは…」
そう呟くと晶は無言になる。
確かにお腹の子供は無理やり犯されて出来た子供だ。
だが、子供に罪は無い。
例え、それが怪物であろうとも。
「産みたい、ですわ。吉坂博士や星さんに、相談しますわ。」
「……そうか。その、なんだ。頑張れよ。…また会おう。」
そういうとシルブレイダーは姿を消した。
晶はお腹を無意識に撫でながら、沈む夕日を眺めていた。

「…すっかり暗くなっちまったなァ…早く帰らねェと。」
バイトを終えた葵が夜道を歩いていた。
「さァてと、ここが近道なンだが。人通りが少ないから怖えェンだよなァ…」
そう呟きながら路地裏を進む。
「…おやァ?なんだあれ。人が倒れてるぜェ…?」
出口が見えてきたほどに、彼女が呟く。
確かにそこには男が一人倒れていた。
「おい、お前?どうしたァ?」
近付きしゃがんで話しかける。だが、彼は目覚めない。
「おい、てめェ…。起きろ、三下ァ!」
業を煮やした彼女が肩を揺さぶる。
「…あれ、ここは…」
そう言うと銀髪の男は顔を上げる。
(なんだァ?なかなかイケメンじゃねえか。)
「…お前、名前は?」
葵は思わずドキドキしながら名前を尋ねる。
「私は、糸井真人です。」
「なんで倒れてたんだァ?」
「…私は何故ここに?うっ、頭が…」
「…お前、まさか記憶喪失かァ?」
「そう、かもしれません。」
「チッ…厄介なヤツに出会っちまったなァ…仕方ねェ。うちにこいよ。しばらく置いてやる。」
「ありがとう、ございます。」
そう語りあうと二人は葵の家に向かった。

「…ライトニングサン、葉月葵に接触しろ、ですか。」
人間に変化したホーリーアヴェンジャーが、ヘルカイザーに聞く。
「ああ。記憶喪失のふりをしてな。そして、ヤツと子をなせ。」
「子供…ですか。」
「ああ。ジーグの戦力強化、及びシャドウクイーンどもの弱体化…そうだ、安定期に入ってから正体を明かせば一石三鳥にもなるな。」
「…良いのですか。私は貴方の地位を狙っているのですよ。奴らを利用して貴方を倒すかも…」
「フ、貴様に倒されるようでは世界など握れぬよ。良いから行け、ホーリーアヴェンジャー!」
「ハッ!」
そういうとホーリーアヴェンジャーは姿を消した。

6名無四郎:2019/09/29(日) 23:29:51
しばらくして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「あー着いた、着いた。ここが俺んちだ。」
そう言いながら葵は、1つの家屋の方に指をさした。


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