したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【妄想爆発】チラシの裏【大上等】

789適当:2013/05/18(土) 10:49:57 ID:qMSFR66I
「シャーズ。」
「坊や、アナタのお陰よ。アナタが私を救ってくれたの。だから、今生きてここにいられるのよ。」
「そうか。」
「ま、私だけじゃないわ。他も、それからカオス様も然(しか)りね。」

【氾濫】の間の番人であった彼女は、死闘を繰り広げた時に見せた悪意ある怪しい笑みの気配は見せず、ただ、ただ、優しい笑みを向けていた。彼女は、俺に深く感謝し、“他も俺に感謝している”と告げて来た。俺は、彼女を救った事を必然であると述べる。

「当然だ。俺は君を裏切らせてしまったんだ。救える時は、救うのが当たり前だ。」
「うふふ、カッコイイ事言ってくれるわね?だから、私はアナタの事が好きなのよ?」
「やめてくれ。照れるじゃないか。」

彼女へは“照れる”と言ったが、実際には、“照れの感情”を抱いてはいない。彼女へ、深く感謝するつもりで発言した、社交辞令のようなものと言った方がわかりやすいだろう。彼女は、俺の返答を嬉しそうに受け取り、優しい微笑みを浮かべて、質問を訊ねる。

「ところで、坊や。」
「何だ?」
「この子、誰の子だと思うかしら?」
「さぁ、わからない。でも、君の子なんだから…」
「驚くでしょうけど、アナタの子よ。」

“は?コイツ…今、何て言ったんだ…。”彼女が優しく微笑みながらも放った、耳を疑いたくなるような発言に、俺は背中から一瞬冷や汗がにじみ出た。彼女が唐突に打ち明けた真実は、俺だけが聞いたワケではない。先程まで、生まれて間もない子とじゃれあっていた彼女達も、耳を疑ってしまう真実を口にした彼女の方へ振り向き、その内の一匹が彼女へ訊き返す。

「は…。おい、シャーズ。今、何って言った…」
「くすくすくす。そのピチューは、“坊やの子供”って言ったの。」
「坊やって…まさか、ガキの?」
「アナタはそう呼ぶのね?そうよ。私の目の前にいる、す・て・き・な雄のピカチュウの子よ。」

“は…はぁぁぁ!?お…俺の子供だったのか!!”彼女が上品な笑いを浮かべた後に放った言葉は、会議室の隊員達を驚愕させた。無論、俺と生まれて間もない子とじゃれあっていた彼女達は、“はぁ!?”や“えぇ!?”という驚きの感情を発散させてしまい、俺と彼女達から距離を置いて、他の雄の子を可愛がるような目を向けた俺を、おそらく不思議そうに眺めていたと思われる。少女と、少女の親友も同時に“えぇぇぇ!?”と声を揃えて驚いた。少女と少女の親友の近くにいた彼女も、余裕の態度を崩される程、俺の目の前にいる彼女の告白は衝撃の一言であった。自分自身が驚きの感情を発散させつつ、自分とほぼ同時に驚きの感情を表へだしてしまっている彼女達の声を耳にした後、彼女は、全員が驚く事が“わかっていた”と言うように、全員の顔をそれぞれ見回し、俺に笑顔を向け、感謝の言葉を述べる。

「やっぱり、みんな知らなかったようね。くすくす、ありがとう坊や。アナタのおかげでこんな可愛い、男の子のピチューを授かる事が出来たわ。“Dankesehr Sie.”(ありがとう、坊や)」

“ありがとう”ともう一度言ったのだろうか。俺は、彼女の出身国で用いられる強調構文を耳にしつつも、一旦深呼吸をし、心を落ち着かせ、彼女へ生まれて間もない子の名前を問う。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板