【安価】やる夫は誰かのために戦うようです【R-18】 - 1542546882

1： ◆x0SRSoJXe.：2018/11/18(日) 22:14:42 ID:NOfdPGR20: 　　∧　｀i¨ヽ　　　i 　 i 　γ⌒ヽ｀i¨ヽ　｀i￣'｀|￣｀ヽ.　　.i＼　i＼
　 _/,,∧ ├く　　 ∧ .∧　｛{　　 }｝|-く.　├一.|　　｝　　.| | ヽ| .:iヽ
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　　　　　　　　　　　｛{　　　｛{　　 }｝├く　├一.　￢┌ .:| ┌─'′＼
　　　　　　　　　　　ヾ､__.ｲヾ､__ノ　.jL ＼」＿ｲ　ｊ_.L._j__Ｌ　　　 )＼

●この作品は株式会社フロム・ソフトウェアによって平成18年12月21日に発売された、『アーマード・コア4』の二次創作作品です

●原作との相違点も多く、作者の知識の至らない点は自己解釈によって補われています。あらかじめご了承ください

●この作品はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません
4775： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/10(木) 23:00:38 ID:I.NYMt0.0: 　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　／　　　　＼
　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　状況は見えてるお。けど、それと膝を折ることは別だお。
　　　／　（●）　（●）　＼
　　　|　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　それに……
　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　 / 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　/　　／　r─--⊃、　|
　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　／　　　＼ ,　, ／　＼　　　　　　好きになった人に一緒に死のうって言われて、「はいそうですか」なんて言う奴はクズだお。
　　　 |　　　（ー）　（ー）　 |
　　　　＼　 u. 　（__人__）　,／　　　　　　こういう時、男は死に物狂いにならなきゃいけないんだお。
　　　　　ノ　　　　｀ ⌒´　　＼
　　／´　　　　 _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ　　　　　 ……はやてさんにこんなことされて、首を縦に振るようじゃ、やる夫は生きてきた甲斐がないお。
　　 |　　　　ｌ　（ l　/　/　/　l
　　 l　　　　l 　ヽ　　　　　 /
4776： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/10(木) 23:08:21 ID:I.NYMt0.0: 　　　　　　　　　　　　　 -‐━━=ミ
　　　　　　　　　 /⌒:^.: : : : : : : : : ::＞
　　　　　　　_.-=ミ: : : : ＼: : : : : : : : :V: `.
　　　　 .ｨ: : : : 7:〉 :∧: : :V: : : : : : :〈/: /〉:.
　　　　 /: : : : : :|/ | : :|:V: : :i : :| : : : : V〉: : ﾊ
.　　　 /: : : : : : :|i　!::斗-V: :|ー|‐|:-|: ::|:|i: : : |i
　　　 ′l: : |i :|i |i_,.ｨﾃﾃﾐ : : |N|ｨテﾐN: |:|i: : : |i
　　　{　｜:::|i :|i |i　 r勿,　|:N　 r勿ﾉ !::|:|5!: : : .　　　　　　　……私、そないな女とちゃう。
.　　　从::|i: |i |i:　^¨¨　　i　　　　」::|:|,ﾉ: ;小:.
.　　　　　　〕: :|i |N」　　　 ,　　、　　.: /|:| : /: : :|i　　　　　　　君にそうまでされるような女とちゃうんやで、やる夫君。
　　　　　　　　|i ||:|:i＞　　　　　 .ｨ :/::」:/〈: : : 八
　　　　　　　　|i ||:|:|///〕ﾆ=-　　 | l: : :/　 V⌒V:＼　　　　　私、君に見せたことのない、とても聞かせられないようなこと、
　　　　　　　　|i7⌒V|　V寸ﾆﾆ才　!: /　　　＼_,V⌒ :、
. 　　　 _　--厶ヘ V　 V /⌒丶　| {　　 -=ﾐ,V{　　,ハ　　　　たくさんあるんやで。年上だからとか、それ以上の問題や。
　　　　〈,　　 / 　　 V　V^V__/^V　|/　/　　＼　/
　　　　/∧　/　　　　 }.　 }i /　Vi{　」　/　 ______　/　　 __　　　　何にもない。ネクストすら失った。しょってるのは後悔だけや。
.　　　 {　　V　　　 ,リ,　　}i　　 i{　 }i,　／　　 |ー━=ﾐ」
　　 r」　　⌒ー‐―(￣￣〉ﾑ　 /| 　i|／　　　　｜　　 _.」Ｌ　　　　今までずっと言い損なってきたけど、私はそういう女なんや。
　　 |⌒ー}　　　　 /　　＼ V　　 /　　＼　　_|　　ー=ミ__ )
　　 |　　ﾉ　　　 ,/　　　　＼　./　　 f/―‐┐＿__　　　}　＼
　　 ∧__(___　　_/　　　　　　　　＼　　 /　￣￣〉　乙...
　　　　/　　　/八　　　　　　　_ji斗～'へ　￣￣| 　」(
　/　 /　　　/￣,.. ．-‐　'''""~ 　　　　 .V　 rﾉ.　　　＼

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　やる夫だって、路上暮らしの残飯喰らいだったお。
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　　　たった一人の友達を見殺しにして、のうのうと生きてきたお。
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　─　　 ─＼　　　　　　人に必要にされたいって半端な気持ちでリンクスになって。
／　　（●）　（●）＼
|　　　　（__人__）　　 |　　　　　自分が殺した人間の死体を見て心が折れて、全部投げ出して、マーシフルから降りて。
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／
(　＼　／＿ノ　|　 |　　　　　　　けど、そうなっても、はやてさんがいてくれたお。それで、今があるお。
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼／＿＿＿／
4777： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/10(木) 23:17:53 ID:I.NYMt0.0: 　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　／　　＼ ,　, ／＼　　　　　　　　はやてさんが教えてくれたんだお。何もかもを失っても、見つけられるものがあるって。
　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　 |　　　　（__人__）　　　|　　　　　　　やる夫みたいな人間にも、大事なものが見つけられるんだって。
　　　　＼　　　 ` ⌒ ´　　,／
　　　　　ノ　　　　　　　　　　＼　　　　　　　やる夫がその証明だお。だから……
　　／´　　　　 _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ
　　 |　　　　ｌ　（ l　/　/　/　l
　　 l　　　　l 　ヽ　　　　　 /

　　　　　　 ,,.. ´　　　　　　　｀・、
　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼　　　　　だから、何があってもやる夫は生き延びるし、はやてさんを死なせはしないお。
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　 _l;;;;;;;;;,,,　　　　　／　　　　 .l　　　　たとえ現実がどうであっても、最後の瞬間までやるだけやってやるだけだお。
　　　　 l;;;;;;;;;;;;;;; 　､_,.ｨtﾁ　）　　　 |
　　　　　　',.　　 /　i　　ヽー‐ '　　　　/｀ヽ､　　はやてさんがどんな人でも関係ないお。
　　　　　　＼　乂人＿__ﾉ､　　　 ,. ＜
　　　　　　　＞-｀￣￣｀'　-
　　　　　　　　｀ー―

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はやてが拳銃を改めているとき、その生気の抜けた表情を見て、
腹の奥底からふつふつと湧きあがってくるものがあった。

ここで首を縦に振って、めそめそ泣きながら銃口を咥える。
そんな情けないこと、あってたまるか。

そんな姿、カズキやクーガーに見せられるわけがない。
そんな顛末を聞かせられるわけがない。

自分は男だ。
本当に大事なものがあるのなら、なりふり構わず必死になって、意地を通すべきだ。
それができないのなら、生きていても死んでいても違わない。
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4778： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/10(木) 23:30:41 ID:I.NYMt0.0: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　⌒　　 ⌒　＼　　　　　　諦めるのは、最後の最後に取っておいてほしいお。
　　　　　　　　／　（●）　（＜）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　　やる夫の為にそこまでしてくれるっていうのなら、
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　／_∩　　ー‐　　　　＼　　　　　やる夫の眼が黒いうちは、生きて、一緒にいてほしいんだお。
　　　　　　　　（＿__＿）　　　　　　　|、　＼
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　 |/　／

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
今の状況に希望があるとは言わない。
けど、それを理由に諦める方向に行きたくなかった。

どうせ死ぬときは死ぬのだ。
だったら、最期の瞬間まで生を全うしたい。

ただ死にたくない。
はやてと一緒にいるために、最後まで生きていたかった。
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4779：安価のやる夫だお：2022/03/10(木) 23:39:28 ID:jL42maGs0: もう一個の選択肢だとどうなったんだろ
積極的に呼び止めなかったのかな
4780： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/10(木) 23:44:17 ID:I.NYMt0.0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　-──-　　_
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　　　　　　　　　|::::::/:::::::::::::l:::|　　　 ,l::::ﾊ:::､_l:::从:::::/:::::ﾊ:::::::::|／:＼〉　　　　　　　　アホなんとちゃうんか？
　　　　　　　　　|::::/::::::::::::::::ﾄｰ─　⌒ l::/ |::::/l:l:≧ー─--l::::::::lヽ:::li:::.
　　　　　　　　　l::::ｌl::::::::l:::::::::l::l ,ィ尤坏l/　|:/ 从'尤示沁、l:::::::'l　ｌ::|i::::.　　　　　　　　ぜんっぜん、理屈にすらなってへんわ。
　　　　　　　　　l:::八::::∧::ヽ:ゞヾ lイﾟハ　 /'　　　lイﾟルｌ} Уｉ::/' /:::|i:::::::.
　　　　　　　　　∨　’::l}:{l::::::＼　乂こｿ　　　　　乂こソ l/:::/／ ::::|i:::::::::.　　　　　　　「理屈だけで動ける程、こちとら大人じゃないってことだお」
　　　　　　　　　　 _〉:lイ＼:ハ/////// ,　　　///////'7/:::::::::::::ﾄ､::::::::l
　　　　　　　　　　 _l//////Y::::::.､　　　　　　　　　　　しイ/:::::::::::::ｌ:| ///＞､　　　　　　……アホ。
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そこまで言ってのけると、銃を握って離さなかったはやての手が緩んだ。
鈍い音を立てて床に落ちた拳銃には見向きもせず、小刻みに肩を震わせはじめる。

目尻には大粒の涙が浮かんでいるのが見えた。
どうすればいいか分からず、ひとまず隣へと腰を下ろす。

震える手を掴んだまま。
嗚咽を漏らすはやての隣で、天井を見上げた。

眠って目が覚めたら、躍起になった企業連から追い回される日々が待っている。
血眼になって自分たちの潜水艦を探し回るだろう。
小脇に大量のコジマ兵器を抱えているかもしれない。
アームズフォートやネクストが群れを成して襲い掛かってくるかもしれない。

だが、それは予想でしかない。
今、この手の中にある感触より、重くて確かなものはなかった。
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4781： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/10(木) 23:44:37 ID:I.NYMt0.0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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4782： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/10(木) 23:53:49 ID:I.NYMt0.0: 　　　　　　,　-‐ 　 ‐- ､
　　　　／: : : : : : : : : : ::',
　　 , ': : : : : : : : : : : : : : :',
　　/: : : : : : : : : : : : : : :○:',　　　　　　　　　　今回はここまでだ。
　　ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',
　.　｀ﾄ : : : : : : : : : : : _,-‐'｀iヽ _　　　　　　　もしかしたら最近、生意気にもスランプ気味なのかもしれないね。モコイさん。
　　　 i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : ｀ヽ
　　　 | : : :ﾄ: : : : `-‐´ : : : : : : ､: : : 丶　　　　仕事のことと不安と悩みで頭が一杯で……マーラ様もスライムになるってものだ。
　　　 | : : :'､j｀-‐ : : : : : : : : : : : ＼: : : ヽ
　　　丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i　　　体調も崩し気味だし、この前病欠しちゃったし。エルデンリングも買って積んでるよ。
　　　　　　　　｀ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
　　　　　　　　　ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ

　　　　　　　　　_　_　_
　　　　　　　／: : : : : : ｀i
.　　　　　　i: : : : : : : : : :!
　　　　　　　､: :○: : ○: :!
　　　　　　　 i: : : : : : : : : i　　　　　　　　けれどね、覚えておくことだねチミたち。
　　　　　　　 l: : :,, --_ｯ: :',
　　　　　　　丶｀‐'´: : : :ﾉ　　　　　　　　チミたちが>>1を求める限り、モコイさんは何度でも蘇るのだと……
　　　　　 / ´: : : : : : : : ｀ヽ
　 . 　　　　/: : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　次回は3/17の20時からだ。働きたくないね。明日にならないでほしいね。
　　　 , -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　／: : : ,-ｲ: : : : : : : : /｀丶: : : :､　　　　　ぶっちゃけ欲しいミリオンマネー。シーユーアゲイン。
　ｒ⌒ ,／　/: : : : : : : : i　　i: : : : i
　 ` ‐ '　　/: : : : : : : : : |　　 ! : : : |
　　　　　 i: : : : , _ -‐ ´,) 　｀ヽ _|
　　　　 (_ _i￣(_　-‐'´i
　　　　　　|　:|`‐´i : : : : |
　　　　　 |: :ﾉ_ _ ﾉ: : : : :|
　　　　　 |: : : : : |: : : : : !
4783：安価のやる夫だお：2022/03/10(木) 23:57:09 ID:QaqIZ4w60: 乙でした
4784：安価のやる夫だお：2022/03/11(金) 00:00:03 ID:ayUESRu20: 乙やでー
4785：安価のやる夫だお：2022/03/11(金) 00:07:51 ID:MKfML03o0: 乙
4786： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 20:03:23 ID:QbZHZMq60: 　　　　／||ミ
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4787：安価のやる夫だお：2022/03/17(木) 20:07:51 ID:dF23K0UI0: ハロー
4788： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 20:12:34 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　,　-‐ 　 ‐- ､
　　　　／: : : : : : : : : : ::',
　　 , ': : : : : : : : : : : : : : :',
　　/: : : : : : : : : : : : : : :○:',　　　　　　　　　世の中暗いニュースまみれで、流行りはよく分からないだが、まーこのスレはガラパゴス。
　　ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',
　.　｀ﾄ : : : : : : : : : : : _,-‐'｀iヽ _　　　　　　　今日もぼんやりとみていってくれ。はじめていこう。十ッ時くらいまではやろうかな。・
　　　 i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : ｀ヽ
　　　 | : : :ﾄ: : : : `-‐´ : : : : : : ､: : : 丶　　　　
　　　 | : : :'､j｀-‐ : : : : : : : : : : : ＼: : : ヽ
　　　丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i
　　　　　　　　｀ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
　　　　　　　　　ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ
4789： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 20:26:25 ID:QbZHZMq60: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
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ベッドライトが照らすだけになった薄暗い部屋の中で、
壁にもたれかかりながら膝を抱えていた。

一応、今は夜だ。理由がない限りは大抵の人が眠るくらいに遅い時間ではある。
けれど、外の景色が一切見えない潜水艦の中では、その実感がなかった。
第一、外が見られたとして、映るのは深海の暗闇だろうけれど。

それでも、精神と肉体に蓄積した疲労が瞼を重くする。

それなのに、なぜ自分がベッドの上に横たわっていないのかというと。
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4790： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 20:34:30 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. . ''"ﾟ~￣~ﾟ"'' ＜⌒.: .､
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当のベッドの上には、はやてが寝転がっているからだった。
「落ち着いたらお腹が減った」と焼き菓子式の小型レーションを齧りながら、
腿の辺りを台替わりに、何やらPDAの画面をのぞき込んでいる。

髪型は崩れて無造作なものになり、ジャケットはベッドフレームにかけられ、
皺だらけのシャツ姿となっていた。

リラックスするのはいいが、切り替えが早いというか、相変わらず無防備すぎると
いうか、そもそもなぜ自分の部屋に戻らないのか。
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4791： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 20:49:12 ID:QbZHZMq60: 　　　　＿＿＿_
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拳銃はベッドの下に転がされている。
はやてが渡してきたから、とりあえずそうしたのだ。

しかし、今日はいくら何でも刺激が過ぎる。激動の一日だ。
オルデンブルクに騙され、SIとIGIOが一緒になって襲ってきた。
かつての養成所時代の同期であるリエラも、ノーマル隊によって撃墜。
ロストワードとスタリオンを退け、満身創痍で帰ってきたと思ったら、
好意を寄せる女性から心中の誘いである。

で、このベッドの占拠と来た。
健全な青少年として、本来なら喜ぶべきことなのだろうが、反応に困る。

クーガーならどうしただろう。クーガーがなのはと同じ状況になったら。
ベッドにダイブして蹴り飛ばされるまで見えたので、考えるのをやめた。

「ねー、やる夫君」

「は、はい？」
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4792： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 20:59:01 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,......,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .､-''".: .: 〉⌒:｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.: .: .: へ／}.: .: .: .:.:＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:.:./.: /.: : ィｔﾃミx. |.: |.: .:.:| =| ∨|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . :' .: /:_/{: .: 八.: : | ' '　　八xミ　|∨.: .: |　　　　　　　どないして、床座っとるん？
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.: .:.| : :(.　　　＼∧.: )　｡　　' ' __彡イ.: .:.:.|　　　　　　　「い、いや、当たり前だお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:八:人.: :〉　　　　＼V.〉---／⌒¨''∨.:/:.:八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|　 )/ (　　　　　　￣〈 // / ／ ∨ :/ .: )　　　　　　一緒に寝とった時期もあったやん。
　　　　　　　　　　. : '"ﾟ~￣￣￣~"''～､、＿　　　＿__/八　　,ノ＼　　　　　〈/, ／ } ／ V .: :/　　
　　　　　　　　／::::::::::::::::::::⌒＼:::￣￣::＼＼｀`～､、　　＼／⌒＼　＼　　　 U　〈　　 ∧.:/　　　　　　　　「それとこれは別だお」
　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::〕::::::＼::::::::ヽ::ヽ　| 　＼　　　　　　　 '，　＼　　　＼　〈￣//∧　　　
　　　　　　　.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::＼::::ﾊ:::::Ⅵ　　八　　　　　　　 '，　　　　　,,ノ＞----- ＼＿＿/|::〉―┴┐
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　八:::::::::::::::::::: ﾉ::/:::／､　　　　　　　　　　　　'，
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　　　_　　-‐　 ~　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ

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呼びかけられ、敢えて逸らしていた視線をはやてへと向ける。
自分が向き直ったことを確認すると、はやては姿勢を変えて横たわっていた。
頬杖を突き、力の抜けた目でこちらを見ている。
酒はとっくに抜けているのか、ほとんど素面のようでもあった。

ベッドの軋む音、衣擦れの音の一つ一つに至るまでもが生々しく、心臓に悪い。

しかし、心底不思議そうに問いかけられたところで、こう返す他ないだろう。
自分も同じベッドで寝るのも、こう、不自然というものだ。
付き合っているわけでもないのに。

「付き合ってもないっちうに、一緒に寝るんもおかしな話やー、ちう顔やねえ」

見抜かれているようだった。
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4793： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 21:03:42 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　..　-‐‥…‥‐-　..
　　　　　　　　／: :⌒: :⌒: : : : : : : : : : : : ,
.　　　　　　　　／: :／: : : : : ,ﾍr ､: : : : : : : : : ′
　　　　　　　 /: :／　 / 　 / '^i＾i }　　　　　　　. :
.　　　　　　 /: :/ ;　ｉ　ｉ {_,. {　　　l |: :}: :: : : : : : : : :.;
　　　　　　/: : ｉ　ｉ: :|: :|癶「乂　　| ｌﾉ: :/、/}: :ｉ: : : i
　　　　　　{ {: :|: :|: :{ｨ芹芋ﾐ　ｊノイ／/: :/７／> : :!
　　　　　　{ {: :ﾄ､乂个ﾟ辷ﾉﾘ　　　芹芋ﾐゝ<／>: : :ｊ　　　　　　　　「だ、だいたい、なんでやる夫の部屋に居座ってるんだお」
　　　　　 '.: :八 i:i　　¨´　　　　辷ﾉﾘﾊ>／∨〉/
　　　　　　　ｊ/: :: :从 """　　 '　　　 ¨´ 　ﾉ: : 〉〈　　　　　　　　　 ……だって。
　　　　°　　}: :: :ｉﾊ＼　　 - ､　 ""ﾞ厶イ: : 〈∧〉
.　　ι 　　ｊ|: : ∧ ＼＼　　　　_,ｲ : :./: :,小、　　　　　　　　　　「だって？」
　　　　　　 _｣!」L.._〉、 ',_} `ｰ‐　'i／./ ／_／川 :
　　　　　／＼　　`ｰ＼ヽ　　人_/ /　　⌒ヽ} :　　　　　　　　　　　帰る雰囲気とちゃうかったやん。
　　　　ｉ　　　ヽ　＼　}　}　　/. // / 　　　　｀ヽ
　　　　 |　　　　 '.　　 / /｀　´〉/￤　　／　　　　'.　　　　　　　　　　そうゆうとこは子供なままなんやなぁ。
.　　　　〉　　　　　　／/　､,〈 {　乂　,ｆ　　　　　 /
　　　　/}　　　　　 i 　 { 　ｉ　〉　　　,ｆ　　　　 /､　　　　　　　　　　「う……」
　　　/∧: .、__　　 |　　＼￤/　　　｢　　、_　 {: :}
　　 { {: :＼　　　　│　　.Υ　　　　i　　　　　 / ﾉ}

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雰囲気。雰囲気というのは、どういうことなのだろうか。
大人だったら分かるものなのか？　自分にはよく分からない。

へそを曲げたような口ぶりのはやてに困惑していると、
はやては頬杖を外し、枕に頭を載せた。
含みたっぷりに溜息を吐き、視線を床に落としている。

長い睫毛が伏せられているのが見える。
本当によく分からない。
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4794： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 21:13:09 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
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　　　　　　　 '⌒7.: .:|.:|.:.{＼ |.: |.:_|__< ／|.: .: : |.: .: .: .:.:.:|
　　　　　　　　　　 /. |.: |.:| :fﾊ　|.: |.:_|,,_:|＼:八_/7 : .: .: .: . |
　　　　　　　　　　 :( :|.:人V:じ　j.:〃ノ刈:. /／∨.: .: .: .: .:.:.|
　　　　　　　　　　／.: .: .:「　　　 V'少У.:.:.:/|.: .: .:.:|.: .: .:|　　　　　　　　　私も一応は女やさかい。で、相手は君や。
　　　　　　　　 ⌒7.:/.:.ﾊ　　　 ' ' ／.: .:／ノ .: : .: |.: .: .:|
　　　　　　　 _　　 {:/＼八 _／)＞'.: .:.:／.: .:/.: .: .: .:|.: .: .:|　　　　　　　　　「死ぬ前にいい思いさせてくれー」くらい、
　　　　 __/　) __　　　／￣ 7 : : ／￣:／ : .: /.: 八 : 八
　　　　　「{ {　し'　}　　r/ 　　 /.: .: /＿／　⌒∨ .:/.: :)/⌒＼　　　　　　　言われるの覚悟で部屋に来とったんやけど。
.　　　 { 　　　ﾉ　　/／　人.:.:/　＼￣￣Y￣/＼＿
.　　　人　　 / 　／　　　　 ∨　　　＼　＼ /　　　　＼_　　　　　　　　……もしかして、自意識過剰やった？
　　　　　 }　　 {　 /￣￣￣＼　〉＿　　＼　{　　　／　 ∧
　　　　　 } 　　　 '　／　　　　／}　　　　　　＼　／　／　}
　　　　　　　　　}/.／　　　　／／　　　　／　＼　　　　∧
　　　　　,'　　／{＿＿　　／イ　　　　　　／　　　 }　＼　／/ /
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　　　　　{／ |　 |＼　／　　 /　　　　　　　＼./　　　 }／＿_＼
　　　八　 |　＼　/　＼＿{　／　　　　　　 /＼　　 ∧------{
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とんでもないことを、なんでもないことのように言ってくる。

そういうものなのか？
大人の男女というのは、そういったことをするものなのだろうか。
いや、そうだとしても、すんなりと受け入れられるものでもない。

正直、今の言葉で下半身に相当量の血が行った気がする。

ここまで言われて、分からないほど自分も唐変木でもない。
要するに、今ベッドに行ったとて、はやては拒まないと。
つまりは、そういうことなのだろう。
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4795： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 21:26:34 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
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　　 : |:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:┼―‐ -:.:.:.|:.:.:. ィ:.:￣:.:.:.:.:|:.:.:.:|:.:.:.:.: |　　　　　　　「お……大人は、そんな風に、その、するのかお？」
　　|:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:|斗ぅ＝ミ :|:.:.:.:.:|ｧう＝ミ: |:.:.:.:|:.:.:.:.: |
　　|:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:{　)いﾊ　从:.:.:.:.|　)いﾊ Y:.:.: ﾉ:.:.:.:.: |　　　　　　　人によるやろなぁ。そういう雰囲気になったらホイホイする子もおるし、
　　|:.:|:.:.:|:.:|ﾍ:.人:.:.:　乂;;ツ　　＼:.| 乂;;ツ从:.Λ:.:. /:.|
　　|八:.:.|:人:|:.＼＼ト''　　　　　　　　'''　　/:.:.:/　}:.:.:.:.:.|　　　　　　　独り寂しく寝るのが嫌で、適当に気に入った男連れ込む子もおる。
　　　＼　 |:.:.:.:.:.八　　　　 '　　 _,　　 /彡/_,ノ:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　八:.:.:.:.:.个　　　｀　　　　　　イ:.:.:.:| :.:.:.:. |:.|　　　　　　　　私は、せやな。余程の状況で、余程の相手が近くに居れば、
　　　　　　 /:/:.＼／￣　　　　　　＜ |＼__:.:|:. /:.:八|
　　　　　／:/⌒∨ :. :. :. {＼＞r≦.　　ノ| : :. :. :. :.＼:.:.:|　　　　　　　　　まぁ、もしかしたら雰囲気次第でしてまうかもなぁ、ってな感じ？
　　　／:.:./ :.:.:.: ∨:. :. Λニ=‐‐=ﾆﾆﾆﾆ|:. :. :. :. :. :./:.八
　　　⌒ｱ/:.:.:.:.:.:.:.:∨ /　 ∨二二二.／｜:. :. :. :. :/:.:.:∨＼
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:: :: :: :: 厂￣￣＼:: /{＿_／{⌒｀}＼　　Λ::: :: ::/::::::::::::::::⌒＼
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　　　　　　／　　　u　＼
　　　　／　　＼　　／＼　　　　　（お、大人って感じだお……）
　　　／　し（○）　（○）＼
　　 |　∪　　（__人__）　 J |
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さらりと言ってのけるあたりが、ますますそういったものを醸し出していた。
アダルトというか、ドライというべきか。熟れ切った価値観に、少し気後れする。
状況が状況なら一夜を共にするくらいよくあること、というのも凄い世界だ。

いや、自分が幼すぎるのか？
相手は二十代中盤の女性で、自分は十代後半の半分子供だ。
手を握るだけでも精一杯の勇気を振り絞らねばならない自分からすれば、
彼女の年代の価値観は途方もない差があるものなのかもしれない。

面食らいつつも、頭の中で、ある考えにたどり着いた。
余程の状況、というのは分かる。今は間違いなくその、余程の状況だ。

問題は後半だ。
つまり、自分は、その、はやてにとって、余程の相手に値する、というのか。
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4796： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 21:45:36 ID:QbZHZMq60: 　　　　. . ＜: : : : : : : : : : ≧: : .
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　,: : : : : : Y´: : : : : : : : : : : : :丶: : : : :＼
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: : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : ; : : : ; : :ﾊ
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: : : ::{: : : : : : {´｀´｀∨: : : : : : : : ∨≪∨:{
: : : ::|: : : : : : | _,．--}:-:、 : : : :; -:∨≪Ⅵ
: l : {:!: : : : : : !´　　__l! ∨:|ﾍ : }从: }: : : |ﾘ
: |:l:从: {:-: : ::ﾄz====㍉,　　 }/__,ﾑ:| }: : |　　　　　　　　　　　
: |:|: : {｀ヽ ∨:!ゞ辷:ノ　　　（ ´¨´八.!::从
: |:|: : ｀ヾ_- ., 　　　　　　　　,　　 .: : : ト、　　　　　　　　　　こんな状況や。
: |:|: : ∨: 〉く: 、　　　　 __ .,　　.ィヘ:_:_、｀ヽ
::介∧ ∨{　 Y: ＞、　￣＜: :{ ゝ_ィ^ヽ.　　　　　　　　　　　……したいことを今のうちに、って言われたとして。
:{ .l: :∧ ∨:＼）: }ヾ:、/￣_Y二ﾆrｆ´｀｀　　、
:| .|:∧　＼{~ ‐}:l:!　 >‐ミ {_|＿　{ﾉ^ヽ　　　、__　　　　　　　　私はかまへんよ。やる夫君が相手だったら、まぁええかな、って。
ゝ/　∧　　　　 |ﾊ./三三∨￣｀ヽ. ハ　　　〉:::::Y
_/　/ ∧　　　 /　}!ゞ三三≧--=ﾆﾆﾆ{ト-::イ:::::::::!
.　　 /　＼.　/　 .!::::::＞:..寸二〉::::>:::::｀ヽ:::::::::::::::|
,-=ミ　　　.У＿.」::::::::::::::::＞<::::::＼:::Y::::::::;::::::;ノ{
　　　｀ヽ　 {　　　.|:::::::-＜::::::::}::::＞::Ⅵ:::::::::::Y:::::::l、
　　　　　　 l! 　　 !::::::{:::::::::::::└::―:-Y::o::::::::}::::::::|::＼
　　　　　　 l!　　ム::∧::::::::::::::::::::::::::::｀::、::::::|:::_:::_::_:::::
　　　　　　 l!　イ::::::::::::::＼::_:_::::::::::::::,::-::‐'::´:::::::::::::::ト、

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正直、かなり揺らいでいた。
はやての言うように、そう考えれば、何らおかしなことでもないのかもしれない。

はやてはどうやら、自分が思っている以上に、自分を受け入れてくれているらしい。
恋愛感情とは違うのかもしれないが、それでも憎からずは思っているのだろう。
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4797： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 21:51:19 ID:QbZHZMq60: 　　　　　＿＿＿_
　　　　／　　　　　＼
　　／ _ノ　　ヽ__　　＼
　／　（● ）　（〇）　　＼　　　　　　……やめて、おくお。正直、めちゃくちゃ嬉しいし、揺れたけど。
　|　　　（__人__）　u　　　|
　＼　　｀ ⌒´　　　　／　　　　　　　「なんや、年の割に紳士なんやねぇ」
　 /　 (__｀ヽ、　　　u　＼
　＼|　｀＼　＼＿__ﾉ　 |　　　　　　　そんなんじゃないお。
　　　|　　　＼＿＿＿/ |
　　　|　　　　　　　　　　 {

.　　　　＿＿__
　　　　／　　　＼
　　／　　　　　　　＼　　　　　　　ただ、なんというか。やる夫としては本気の相手だから、こういう感じなのは、ちょっと。
.　／　／）　ノ´　＼_　＼
　|　／ ,ｲ　(ー）　（ー）　u|　　　　　そういうのは、なんというか、こう……男の場合、どうでもいい相手にするような、というか。
　l /　二) 　 (__人__）　／
.　 |　二ﾉ　　｀ ⌒´　　＼　　　　　　だから……今は、やめておくお。
／＼　ヽ　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,..､､､､..,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.､-''".: .: .: .: .: .: .:｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／.: .: .: .: .:⌒i／ .: .: .: ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ :/.: .: .: .: .:／{ﾊ.: .: .: .: .: . : .:＼_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,.､丶´.: :/.: .: .:./.: /⌒^/.:/.: .: .: .: .: :＼ : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　_,.　　''" . : .: .: / :/ : |.:.:＿_/　　/ :/ : .:/ .: .: /. .: .〉 .: |
　　　　　　　　　　 .､-''" 　　／ .: / :/ :/ : : |.:/.: /　＼.: / : : .: .: .: /.: .: / : .: |
　　　　　　　／　　　／.:/.:.:/ :/.: . .: .:.:.|ィうう㍉.:.:./.:／.: .:.:／.: .:.:/ : :/ :|
　　　　　　　　　　　　　　／⌒7.: / :/ ___|八:Ν 乂少　∨.: .: .:..∠ .: : .:/--/.:Ｘ|　　　　　……ぷっ。めんどくさっ。拗らせた女の子か。
　　　　　　　　　　　　／　　 /:／〉￣/| |.: .: |　' '　　／ .: .:.斗tﾐ.:.:＼/--/<／|
　　　　　　　　　　　　／　/ ／　| |.: .: |', 　　 ⌒¨¨¨ く少　) .: :￣/.: .:∨　　　　　「そ、その言い方はなしだお」
　　　　　　　　　　　　＿_/⌒＼/＼　＿/｜: : |∧　 `　 _　'　' ' ＿彡ｲ..:.:/.: .: /
　　　　　　　　　　　/:::／|　　 /　　∨ //八 .: |::込　　　　　_ ⌒>:／ : .:/.: .: /
　　　　　　　　 /／　｜　./　　_　-=７⌒ .:.:|＼うTﾆ二　　:／.:.:／/.: .: /
　　　　　　　　／　　ﾉ／ -=ﾆ／::::/／ ∧ |ニニニ／|　／　イ.:.:/|.:.:.:/
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4798： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 21:53:45 ID:QbZHZMq60: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::~'/⌒/⌒/　/ 　|::::::::::::::|　　　　　　　「はいはい、おやすみなさーい」
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＿＿＿_/ 　 .ヽ::::::::::::::|　　　　　　　おやすみ。
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　　　　　　　　―‐　､
　　　　　　　　／　　　　.:ヽ
　　　　　　　／　　　　 .:.:.:.:,
　　　　　　　|　　　　　.:.:.:.:.:.:.:}　　　　　　　（……滅茶苦茶もったいないこと、した気がするお）
　　　　　　　＼　 .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ
　　　　　　　／　 .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　(＿　　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　| i　!　　　 .:.:.:.:.:.!
　　　　　 (__ゝ＿＿＿_,＿ﾉ
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4799： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 21:53:58 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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4800： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:01:53 ID:QbZHZMq60: ～明朝　潜水艦アマツ　CDC内部会議室～
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急ごしらえの会議室に集まった面々は、それぞれの苦労の色を表情に映していた。
血色のいい者など、この場にはどこにもいない。

周囲の端末に向かっているオペレーターたちも、情報処理に追われているのか、
目頭を押さえる者や嘆息する者が視界のあちこちに映る。

第一声を発したのは、目元に若干のくまを刻み込んだ間と牧瀬だった。
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4801： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:07:09 ID:QbZHZMq60: 　　　　　 /　　　 /|　　　　/　 |::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::}::::::::::::::
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　　　　　./|　　ﾄ､　|∧　　　 |　　|::::::::::::|::::::::::::::/　イ:::::/: :ィ´厂厂￣｀ヽ : : /:::::::::::::::　　　　　　早速、脱落者だ。黛隊からな。
　　　　 { .|　　|　＼ ∧.　　│　 |::::::::::::|:::::::::::/／: :{:::/芹云芯示　　 /: : :/::::／}::::::::
　　　　 | .|　芹云≧ミﾍ　　.|　　|::::::::::::|::::::::/´: : : :|/　辷心ツ　／ : : /／: :/::::::::::　　　　　　まずノーマル乗りが二人。死には至らなかった。
　　　　 |　＼ {辷心ツ　∨ .| 　 ∨∧:::|＼/: : : : : :{　｀￣￣￣￣´ : : ／´: : :/::／∨
　　　　 |　　＼─── へ {.　　 ∨∧|　.{: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／ ´: : /:.　　　　　　だが、ACに乗ることは叶わないだろう。
　　　　 |　　　　　　　　　＼ヽ　　 ∧　　＼/.: : : : : : : : : : : : : : :. :. :.／: : : : :./.:.:.
＼　　　 |　　　　　　　　　　　　　| ＼　.∧　　/⌒＼/ : : : : : : : : : : : ／: : : : : : /.:. .:.　　　　　　　一人は衝撃により脊椎損傷。
　 .＼　 .|　　　　　　　　　　　　　|　　＼ ∧　　　　/⌒＼/.: : : : : : : : : : : :. :. :./.: :: ::.
　　　＼|　　　　　　　　　　　　　| 　　 .＼{　　　　　 /⌒＼/: : : : : : : : : : : : : : : :.　　　　　　　一人はあちこちの骨がバキバキに折れてやがった。
　　　　 ∧　　　　　　　　　　　 |　　　　＼　　　　　　 /⌒＼/.: : : : : : : : :. :. :.
　　　　 .∧　　　　　　　　 {　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼/: : : : : : : : : :　　　　　　　　

　　　　　／　／/::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　 /.／イ::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ:::::::::/::::::ﾉ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.　　　　 /./　//:::::::::::::::::::::::::::::/　|:::::/::::::/ i::::::::::::::::::::::::: _ _ :::::::::::::::
　　　　　 |/　//::::::/:::::::::::::::::ﾊ:::| ./:::/三≧/／/::::::::::::::/　_　ヾ:::::::::::
　　　　　 |　/ .i:::::/i::::::::::::::::::| 升彡イニ￣　 /／i::::::::::| /　） i:::::::::::
.　　　　　　i　.l::/ ｨ::::::::::::::::::|　ヾﾃr j ／　　　　./::::::::::| ） /　.|::,:::::-
.　　　　　　|　.| ﾊ i:::::::::::::::::::ミ､　）‐'´　　　　　 /::::::::::::| / - ' ´三三　　　　　　　それから艦載機パイロットが五人。
.　　　　　　 |　　| |.ﾚi::::::::::::::,､:ヽ＼　　　　　 ./:::_::::-:::'::´三三三三
.　　　　　ヽ　 | |　|:::::::::::/　｀ﾐ､_ ＼　　 _　- ' ´三三三三三三三　　　　　　　　二人は撃墜されて生死不明。
　　　　　　　Ⅶ　Ⅵ::::::::/_　　-　　　 Y´三三三三三三三三三三
　　　　　　　　ヽ　 V:::ﾊ:::::::＞､　　＿ .＼三三三三三三三三三三　　　　　　　　もう三人はベイルアウトしたが、対汚染スーツの
　　　　　　　　　　／ヾハ:::/三 >'￣　　　ヽ三三三三三三三三三
　　　　　　　／三三三/三三ﾆ｝￣　　　 V三三三三三三三三三　　　　　　　破損のせいでコジマ汚染に晒されてしまった。
　　　　　／三三三三三三三::i､　　　_ ィト三三三三三三三三
　　　　　 <三三三三三三三三三三三三ﾆ.| ヽ三三三三三三三　　　　　　　　現在は意識が混濁しており、ICU入りだ。
　　　　　　｀ -　､三三三三三三三三三≧／:::＼三三三三三三
　　　　　　　　　　｀ - ､三三三三三／／/）:::::::::人三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　＼三三ﾆ.／／/.//::::::::/ | |三三三三三三
4802： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:11:37 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . .-━-. . .
　　　　　　　　　　　　　　　 . . : : : : : : : : : : : : : : : : .、
　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : ＼
.　　　　　　　　　　 . : : : : : : :/ : : /: : : : : : : : : : : : : : ヽ
.　　　　　　　　　 /: : : /: : :./.: : : : : : : : : : :.|.: : : : : : : : ﾟ｡
　　　　　　　　　　 / : : : : : : /.: : : :.|.: :. :. .:l|: :.|: : : : : : : : : :ﾟ｡
.　　　　　　　　 ′ : : |: : /ｌ|:: : : :.|.: :. :. .:l|: :.|: : : : : : : : : : :ﾟ.
.　　　　　　　 : : : : : :|: : |八 : : : |: : : : :.ﾘ: :八: : : :|: : : : : : :　　　　　　　艦内の民間人の心身の健康も著しく損なわれているわ。
　　　　　　　　　 |: : : : : |人|　＼ : |: : : : /:.:/　＼: :|: : : :|: : :|
　　　　　　 /|: : : : : | 　￣￣ヽ|: : :.:/7/￣￣　:|: : : :|: : :|　　　　　　　元から持病がある人も多く、体調を崩しはじめている。
　　　　　　　　//|.: :. :. :.斗r矛笊⌒ ＼/＾⌒笊ﾃ矛寸 : : :|: : :|
.　　　　　　　 :′|: : : : : 八乂rツ　　　　　　乂rツﾉ|.: :. :.ﾄ : :|　　　　　　　そもそも、この艦からすれば完全にキャパオーバーなのよ。
　　　　　｛　 |: : : : : :l　　　　　　　　　　　 |.: :. :.|ﾉ: :|
　　　　　　　￤　|.: : : :. :.|.　　　　　　　'　　　　　　 |.: :. :.|: : :|　　　　　　　医療に携わっている人間としては、今すぐにでも安静にできる
　　　　　　　￤　|.: : : :. :.|i　　　　　　　　　　　　　 ,|.: :. :.|: : :|
　　　　　｛　|.: : : :. :.込、　　　　r　ヽ　　　　　仆: : : |/: :|　　　　　　　場所に移すべきとしか言えないけど……状況が、ね。
　　　　　　　乂 ′.: : : :.|: : :ﾄ. 　　　　　　 . : : :|:|: : : /: : :|
　　　　　　　 /: |: : : : : |: : :|l : ＞　　　　　イ.:. :. .:.|:|: : /: : : :|
　　　　　ァ⌒ｰ|: : : : : |: : :|ｌ｛￣￣うT〔￣￣].: : :.|:|: /: : :Λ|￢、
.　　　　　 / 　　 |: : : : : トＺ廴｝　　}}=={{　　｛廴.斗|/ : : /　｝　＼
. 　　　 /　　　　|人: : : |　.//　　 }}=={{　　　 } }　/ : : / 　｝　　　Λ

　　　　　　　　　　　　　　 _ ..． -‐‐---　．.
　　　　　　　　　　　 .｡: :´:／ : : : : : : : : : ヽ:｀丶、
　　　　　　　　　／ : : : /: : : : : : : : : : : : : :ﾟ.: : : ＼
　　　　　　　　, ': : : : : : : /: : : : : : : :|: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　 / : : : : : : : ,': : : : : : l: : |: : : :i : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　 /: : : !: : : : : l: : |: : : : |: : |: : : :|: : : : : : : : ﾟ.:‘.
　　　　 ,′: : :|: : : : : |: : |: : : : |: : |: : : :|: : : : : : : : :|: :i
　　　　　 . :|: : : :ﾟ, : : : : |: : ﾟ, : : : |: : |: : : :ﾄ: : : : ｉ : : : |: :ﾟ.
　　　　　: : |: : : : ﾟ,: : : : |.: : :ﾄ. : : |: :,': : : : :ﾄ､ : : i : : : |: : i.
　　　　　| i:{ﾍ: : : :‘,: : : l: : :ﾘ.ﾑ.　!: : : : : : :|ﾟ¨Ｙ: :i: : : :|: : :i
　　　　　| |:ﾍ:ヽ: : : ﾟ:: : :|: :/´_..ﾑｉ| : : : : : : |｝ｉ:|: : !: : : |: : :|　　　　　　　　このままじゃ、次の暴動は時間の問題よ。
　　　　　{:乂:} : ヽ: : :ﾟ, ::∨ '爪等| : : : : : : トﾉ : : : : : !: : :l
　　　　｀ヽﾍ.: : :ヽ.: : : :ﾄ、　　 | : : : : : : |彳: : : : :.:.:.: : :‘.　　　　　　　　それも恐慌状態に陥った一部の人達じゃない。
　　　　　　ゝ､ﾟ.|､､{ゝ､: : !　　　　|: : : : : : ::! |: :ｲ: : :l:.:.:.: : ハ
　　　　　 |ﾊﾘ l!`　ヽﾘ＿　　｜: : : : : :,' //_j : : |:.:.:.|: ,' : ﾟ.　　　　　　　　艦内全体が滅茶苦茶になるわ。
　　　　　 |: ﾞﾄ、　　〃ﾞ＼　_ . |: : : ,' : ﾑｬﾄ､| : : |:.:.:.|:,': : :‘.
　　　　　　 |: :{. 〉.,　{ﾍ　ﾊ:＞.､ﾟ.: :/ィ: | {{ ﾘ /: :,'.:|ヽ,'∧: : : ﾟ.　　　　　　　私たち全員縊り殺されるんじゃないかしら。
　　　　　　　 |:|ヽ{{ |　＿　|:.:〉:ﾊ::f∨!:i.!: |. ゞ,:': : : : :!-{.:ﾄ､: : : :‘.
.　　　　　　ﾘ　γ´.....．ミ〃、|,ヘ.∧从!／:／: : :,′｀ｰ‐＼: : :ﾟ．
　　　　　　　　　 √-‐━‐-ミ7ﾘ:::::::::入≠　.ｨ/: : /　　　　 __ヽ: :ﾟ．
　　　　　　　　　/:　:　:　:　:　{.,L.::／／ﾏx:'// : / 　 . -‐ ¨　　 ∨‘.
　　　　　　Ｙ:　:　:　:　:　／::::/　　　 `´/:.:./: ／.　　　　　 i : ﾟ.
　　　　　　　　l:　:　:　:　:／:::::::/ﾉ　　　 /: :/／／　　＿＿＿　|: : i
4803： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:15:55 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　 |.:.:.::.:.:.:.::.:::|:::::::j::::::::::l::::::::::::::.:.::::j::::l|:::|:::|:.:.:::.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:|
　　　　　　　 |.:.:::.:.:.:.::.::::|:::::/|:l:::::::j::::::::::::::::::::/::::ﾊ::|:::|:.:.:::.:.:.:.::.::.:|.:.::.:|
　　　　　　　　　|.:.:.::.:.:.:::::::::|:::/ .|l::::/j:::::/::::::::::/l:::/ |::j:::|:.:::::.:.:.:.:::.::.|::.:.:.:|
　　　　　　　　　|.:.:.:::.:.:.:::::::::|/―l |:|‐l::ｲ:::::::::/'//―/‐リ::::::.:.:.:.:::::::|::::::|::l
　　　　　　　　 |.:|::::::.:.:::::l:::ｲ<'Tｱﾘﾌ' /::::／ /´<'Tﾗﾜｱ::::::.:.:.:.::::::::l:::::::ﾄ､'､
　　　　　　　　 j.::l::::::::::::::::ﾄ::l　｀￣´　'´　　　　　｀￣´/:::::::::::::::::::ﾊ::ﾄ､::l　ヽ　　　　隊全体の士気もかなり落ちている。
　　　　　　　　/:ハ:|::l::::::::::|ﾄ､　　　　　}　　　　　　　 //:::::::::::::::::/|:|＼l｀`
　　　　　　　 /'　　lﾄ､l:::::::;:ﾘヽ　　　　丶　　　　 /ｲ::/:::::::/::/:|::|::::::ﾄ　　　　　　一度抱いた希望が打ち砕かれたわけだからな。
　　　　　　　　　ヽヽ､::ヽl:|::＼　　　　　　　　　 /:/:::::::/:::ﾘ:::|:::|::::::|
　　　　　　　　　　　　 j＼ヽ:::::::｀:.､　￣￣｀　　 /ｲ:::;ｲ⌒ ﾒ､::|:::|::::::|　　　　　　最初の腹を括っていた時の方がまだよかったくらいだ。
　　, ﾍ　　　　　　　　　 j::::|j.:.::::::/:::;:ｨl丶　　　 . イ/　'´,::l⌒f　||::|:::|::::::|
　/l　|:l　　　　　　　　 /:::::ﾘ.:.:.::y.:'.:/:::l 　｀　´　　／:::::j⌒j|　||:＼:l:::::::|　　　　　　
/.::|　|::.l　　　　　_, 　 -‐'./.:.:.::/.::.:/:::::::＼ _,,...-::'´::::::::::/⌒.||　||:::.::.｀::.:.､|
.::.:|　|-┴‐ '　´.:: .:: .:: .:: /.:.::/.:: .::l::::::::／.:ヽ;::::::::::::::::::/::⌒:|:|　||.:: .:: .:: .:: .::｀.::‐-..

　　　　__ ／: : : : : : : : : : : : : : : : : ､
　　／: : : : : :_: : : : : : : 丶: : : : : : : 丶
　 /: : : : : l:l: : : :ヾ: : :＼: : :丶 : : : : : : ヽ
／: : : : : /: l: l: : : l: : : : :＼: : :ヽ: : : : : : l
: : :/: : /l⌒l: :､: : :ll: : : : : : : : : :ヽ: : : : : l
7: : : :/: l　/:/ゞ: : :l＼: : : : : : : : :l: : : : : ヽ
: : : ｌ:l: l_ゞｌ:l　＼: :ゝ-＼ : : : : : l: : : : : : :　　　　　　俺の隊は……荒れてやがるな。早速朝から乱闘騒ぎだぜ。
: : :/l: :l 辷ｌ:l　￣辷､:＼_): : : : :/: : : : : : :
ゞ:乂 : l　/ヾ､　　　￣__ノ: : : : / ＼: : : : :　　　　　　　飼い主のSIから見事に見限られちまったからな。
　　　):∨　　丶　　　／: : :／ノ／: : /
　　乂: ｨヽ　　　　　　ﾊ/ｌ:/ x-イ: : : : ゝ､_　　　　　　　正直、俺もあまり奴らを抑えきれそうにねえ。
　　　 _ノ:ヽ‐-　_ 　　　／　l: : : : l: : :ﾆ=
ゞ=ﾆ三: :_ﾊ　　　　,　　　彡: : : : l : :ヽ　　　　　　　　近いうちに脱走兵が出かねない勢いだ。
　 7:/,＜　〉-　-　´　__ -=ﾆ- l: : : : :)
　ゞ-l　l　从l二二二f丶　　 /: : :／ゞ
---./　,l　彡〉二二ﾆ.l　 l ゝﾆ: :／　〉、
─,/ ／ｌ／二二二ﾆl　 l /: ／　　／ l
　／　ｌ l/二二二ﾆ／　ゝ:/ 　／　 /
　　　　l/二二二ﾆl　　／ヽ／
4804： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:29:06 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　 -‐━━=ミ
　　　　　　　　　 /⌒:^.: : : : : : : : : ::＞
　　　　　　　_.-=ミ: : : : ＼: : : : : : : : :V: `.
　　　　 .ｨ: : : : 7:〉 :∧: : :V: : : : : : :〈/: /〉:.
　　　　 /: : : : : :|/ | : :|:V: : :i : :| : : : : V〉: : ﾊ
.　　　 /: : : : : : :|i　!::斗-V: :|ー|‐|:-|: ::|:|i: : : |i
　　　 ′l: : |i :|i |i_,.ｨﾃﾃﾐ : : |N|ｨテﾐN: |:|i: : : |i
　　　{　｜:::|i :|i |i　 r勿,　|:N　 r勿ﾉ !::|:|5!: : : .　　　　　　　　　状況としては、度を越して最悪と言う他あらへんな。
.　　　从::|i: |i |i:　^¨¨　　i　　　　」::|:|,ﾉ: ;小:.
.　　　　　　〕: :|i |N」　　　 ,　　、　　.: /|:| : /: : :|i　　　　　　　　私たちの勝利条件ちうたら、生き残ること、ただそれだけや。
　　　　　　　　|i ||:|:i＞　　　　　 .ｨ :/::」:/〈: : : 八
　　　　　　　　|i ||:|:|///〕ﾆ=-　　 | l: : :/　 V⌒V:＼　　　　　　　ただ、終わりが見えへんのが問題やな。
　　　　　　　　|i7⌒V|　V寸ﾆﾆ才　!: /　　　＼_,V⌒ :、
. 　　　 _　--厶ヘ V　 V /⌒丶　| {　　 -=ﾐ,V{　　,ハ　　　　　降伏したところで受け入れてもらえへんやろ。
　　　　〈,　　 / 　　 V　V^V__/^V　|/　/　　＼　/
　　　　/∧　/　　　　 }.　 }i /　Vi{　」　/　 ______　/　　 __　　　　　
.　　　 {　　V　　　 ,リ,　　}i　　 i{　 }i,　／　　 |ー━=ﾐ」
　　 r」　　⌒ー‐―(￣￣〉ﾑ　 /| 　i|／　　　　｜　　 _.」Ｌ
　　 |⌒ー}　　　　 /　　＼ V　　 /　　＼　　_|　　ー=ミ__ )
　　 |　　ﾉ　　　 ,/　　　　＼　./　　 f/―‐┐＿__　　　}　＼
　　 ∧__(___　　_/　　　　　　　　＼　　 /　￣￣〉　乙...
　　　　/　　　/八　　　　　　　_ji斗～'へ　￣￣| 　」(
　/　 /　　　/￣,.. ．-‐　'''""~ 　　　　 .V　 rﾉ.　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　---　ﾆ￣￣:/:.:.:./　-――　、
　　　　　　　　　　　　　　 ,イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ゝ:.:.:´:.＿_――‐- ＼
　　　　　　　　　　　　　／:.: ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:-:.:.:.::.≧ｭ､　｀
　　　　　　　　　　　　/‐‐／:.:.:.:.:.:.:./:l:.:.:.:/:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:ヽ、:.: ＼
　　　　　　　　　 /:.:.:/:.:.:.:.:/:.:.:/:.:.!:.:./:.:.|:.:.:ﾊ:.:|:ヽ:. |:＼:.:.:.＼:.:.:.:ﾍ
.　　　　　　　　 /、:/:.:.:.:.:/＿/__/L// /ｉ:./ .ｉ:.:!:. ｉ:. |:.:.:.ｉ:ﾍ:.:.:丶:.:.:.ｉ
　　　　　　　　　　 |:.:. ｉ |:.:.:.:i:.:.:/／/／／7 /　//_L|:.:.ｉ: l: l:.:.ﾍ:.:.:ｉ丶 |
　　　　　　　　　　ｉ丶|:.|:.:.:.:|:./斥拆心　／　/,≠､|:./:.:.!:.|:.:.:.:ｉ:.: |　ｉ:|　　　　　　　いくら情報統制がなされているとはいえ、
　　　　　　　　ﾍ:.:ゝﾊ:.:. |:|《ら::::り　　　　ﾊ:::} }l/l:.:/:.:|:.:.:..!:.:.:|　ﾘ
　　　　　　　　 / 　ヽ:ﾍ　辷zｼ　　　う:ﾂﾉ /://:.:.!:.:.:.|.|:/　　　　　　　　　私たちの生存自体が、企業連の大義に対する傷。
　　　　　　　　　　ヽ{:.:.:.:トヽ　　　　　　ゞ'　／ // / |:./ |′
　　　　　　　　　　　　　|:. : |　　　　　　　　 ,　　　ﾚ':./:/:.| }/　　　　　　　　　　　　さっさと死んで口なしの仏になってほしいってとこ。
　　　　　　　　　 !:.:.: ト、　　　　　 ―　　イ:.:.:}/:.:.:|/
　　　　　　　　　　　　ﾍ:.:.:| |　　　　　　イ:.:.:|:.:./:.:.:.:.|　　　　　　　　　　　　　　メンツってものがあるからね、組織には。
　　　　　　　　　　　　ﾍ { l　　＞　__ イ: : |:. /::.:.:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　　　　/ ﾍ=、― ￣7　＼:|:/:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　　　 ,x/ |/|／|　　／　　／≧ｭ､:.:.:.:.:.:. |
　　　　　　　 ,､r::´/　ﾚ/≠´!　/　　　ｉ::::::::::::::::::::::::≧ｭ､--- 、__
　　　　　　 .,､r:´:::::::/　 |//.| |　>´　　　　|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿:::ヽ
.　　　､r::´:::::::::::::::/　　|ゝ　|_| /　　　　 :|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::ｉ
4805： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:37:59 ID:QbZHZMq60: :.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:l:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..: ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
:.:.:/:.:.:.:./:./:.:.:.:.:.:/:.:.:.:/:.|:.:/!:.:.:.:ﾊ:.:.:.:.:.:|:.|:.:.:.:.:.:.:.:ｌ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
:./:.:.:.:.:.i:./:.:.:.:.:./:./:.:./:.:.!:.i .|:.:.:.:| .',:.:.:.:.:!:.ｉ:.:.:.:.:. : |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:',.:.::.:.:.:.:.:. |
/:.:.:.::.:.!:.ｉ:.:.:.:.:/:.:ﾊ:.:./ｉ:L|_i_. |:.:.:.|　ｉ:.:.:.:.:i .!:.:.:.:.:.:.;|、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| }:.:.:.:.:.:.: : |
:.:.:.::.:.:.|:.|:.:.: : ｉ:孑ｉ´,'|| |:.| | ｀ﾄ:. |　 !:.:.:.丁弋:｀:ﾄ-|､ｉ:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:} ｉ:.:.:.:.:.:.:.:.:|
:.:.:.:.:|: |:.!:.: ´:,'|:|　!,'　.|　ｉ:ｉ　 ',:.:|　　＼:.:! . ヽ:.:.:.:.|　 !｀ヽ:!:.:.:..:i:.:!:.:.:.:.:.:.:.: |
:.: :.:.|:. !:.',:. : { ﾘ　|ｉ　　　ｉ|　　ヽ|　　　＼', 　.＼ | 　ﾏ:.,':.:.:.:/:.,':.:.:.:.:.:.:.:. |　　　　　　　「俺たちに味方してくれそうな勢力は？」
:.:.:.:.:!:.: ',:.i:.:.:.:! 　 |　　　 | ＿　.|　　　　＿ヽ　 .ヽ　　ﾏ:.::.:.///:.:.:.:.:.:.:.:.: |
:.:.:.:.:.',:.:.:.',ヽ : ', ヽ,,,____,,,,,,=＝　　　　＝=,,,___,,__ ｲ. //:.:///:.:.:.:.:.:.:.:.: : |　　　　　　　そこらじゅうに散らばってるテロリスト集団とか？
:.:.:.:.:| ',:.:.:.:トヽ:.',　￣´´´´　　　　　　　　　｀```￣〃//ﾚ〃:.:.:.:.:.::.::.:.: : |
:.:.:.:.:|　ヽ:.|:.:..:.＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／／: !:.:.:.:.:.:.::.:.:.: : |　　　　　　　数年前……ストレイト・クーガーやカズキ・M・ウッドブリッジが
:.:.:.:.:| 　ヽ:.: : ﾊ　　　　　　　　　ｉ　　　　　／/:. !:.:. : |:.:.::.::.:.::.:.:.:.:.:.|
、: : |　　 !.:.:.:.:ｉﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　 /:. /|:.:.:.: |:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　　　　　　台頭していた頃の反企業連勢力がいたならまだしも、
. ＼:| 　　ヽ:.:.:.:! .＼　　　　　 ― ―　　　　イ/:.: / |:.:..:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　 |　　　 .＼ :.ヽ、. ヽ　　　　　　　　イ　./::. / ｜:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　今となっちゃ烏合の衆以外の何物でもないしね。
　　　　　　　　　＼ヽ ./|　＞.、　 , ＜　|, 　./:.:./.　｜:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　ヾ≠＼.　　｀´　　／.ｉ､/:／ . 　 |:.::.:. |:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　　　　　　　期待はしない方がいいと思う。
　　　　　　 ,､r´　.|　　ヽ、_　- ´　　.|/　ヽ . 　 !:.:. : |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　 ,､r:´/　　 .|　　　 /、　,ヽ　　　.|　　∧｀ヽ.|:.:.:.: |:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　 ,､r::´:::::::::/.　　　 |　　 /ゝ‐‐./ ｉ　　 .|　　 ∧:::::｀ヽ:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―　　- 　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　´　　　　　　　｀
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 /　　, 、　　　　　　ヽ　｀
　　　　　　　　　　　　　　´　　!　ヽ　　　　 Ⅹ!　　∨　　　　　　　　　　テロリストゆうたところで、大半は元民間人。
　　　　　　　　　　　　　　| !　　! ヽ_|　i ヽ、ヽ　 |　＼＼
　　　　　　　　　　　　　　| !　　ﾄ近丶|＼|近八　 !　　、＼＼　　　　　　　　口減らしでコロニーを追放されて、それで武器を与えられて、
　　　　　　　　　　　　　 ∧.　八　　　、　　　´_| |　　ヽ　.＼ヽ
.　　　　　　　　　　　　/　ヽﾙ ,_ 丶　‐　　ｲ、.! !ヽ　　＼　＼＼　　　　　生きていきたければ敵対企業を攻撃しろ、
　　　　　　　　　　　　/./|　／　　 ,l:::::-::::::::::〉ヽﾘ ;　i 　ﾄ、＼、i 　}
　　　　　　　　　　　 { ｲ .! _｀￣7 .//｀´￣i:::|　｀/ヽ―.、i.ﾊ　ヽ　　　　　　　なんて代理戦争をしているだけの人達や。
　　　　　　　　　　　ヽ　/:ﾊ￣__|:::＼／:::::い　.／::::::::.、ﾚｿ/
　　　　　　　　　　　　／::::::::〉.|_|::::::::|||::::::/∧　八::::::::::::ヽ　　　　　　　　　　練度が低いとか、規模が小さいとかもある。
　　　　　　　　　　　　ト===/..:::::::::::::≠ ´:::::::::∨　 i＝＝＝)　
　　　　　　　　　　　　 > 　 |{:::::::::::::||:::::::;::::::::::::i　　ﾄ　　 /　　　　　　　　　　……最悪、企業との繋がりが強ければ、売られるかもしらん。
　　　　　　　　　　　　ｿ　.ｿ.、::::::::::!!::::::::::::::::::::!　　ヽ　　〉
　　　　　　　　　　　　/ 　!　.{＝´:::≧::::::｀＝´!　　 }|　　丶
　　　　　　　　　　〈　　|　/|::::::::::::::!!:::::::::::::::|　　　||　　　i
　　　　　　　　　　ノ　　||/, |::::::::::::::||::::::::::::〈.!　　 /、　　.ﾄ、
4806： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:41:23 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　 r,―zzz-、
　　　　　　　　　　 |l 　　　∧__　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　 |∧　　　 ∧: :＞､　　　,..ィ∨∧
　　　　　　　　　／|/∧　　　 ∧: : : : : :＜////∨∧
　　　　　　　　　 . ':／イ: :| 　　　 |: |: : : : : : ヾ'　　∨∧
　　　　　　　　　　':.//: : : /乂＿＿ノ|: : ､:{: : : : : : :. 　 ∨∧
　　　　　　　　 /: :{/: : : : : : :.:∧: :/ |: : :!:＼: : ',: : : :..　 ∨∧
　　　　　　 /: : :' : : : : ｲ´/￣|:7ヽ|: : :!: !: ＼:!: : : : : .　∨∧
　　　　　　　 ': : :/: /:/:./:|:ｲｨr=ｫ､　{: :.:.|: |-､:.:.|: :.:.:.ﾄ､: .　＼_〉
　　　　　　　/: : /: ｲ:/:ｲ:.:.圦込り　乂:_｣ __| |: :l: : : :|　｀＼
　　　　　 ,: : :/:´: :'∧ : : l 　　　　　之ｵ|:./:.| ,:.:|
　　　　 /: : : {: : : : :|＼: 〉　　　　　 '　　｀¨/': :.八: |
　　　　　/: : : : :,: : |: :.|: :| ､　　　r ―.､　　 /: :|:/　リ
　　　／: :/: : :∧: :, : |: ,　＼　ゝ　ﾝ　 .ｲ: :./'　　　　　　　　　　私からは良い報せ。マーシフルはなんとか応急処置終わり。
　　 /: : :./: : :/: : :, : : |＼　　｀　._　＜:./:イ: .
　　,: : : ,.　 ´〈ﾑｰ.∨: | /∧　　 /＼|: : : ,: : :ト､:.　　　　　　　　　　スタリオンは木っ端みじんになっちゃったけど、
　 /: : /　　　〈ﾑ }!∨{' //|　　 {　/l|: : : l: : :|　 ,:.
　,: : :/　　＼:　〈ﾑl| }:ハ/}l|　　 ∨l∧: : :|⌒Y 　 : .　　　　　　　　　大破したヘルヴォルからパーツ取りできたからね。
./: : :|　　　＼〈ﾑⅥ: :.}　|-､　 _∨ l〉,: :! 　 l,　 }: |
': : : ,'　　　　　　〈l／{: : 〉l|　　　　∨〈: :ﾊ.　 :.　 l: |　　　　　　　　　それを改造すれば、後々本格的な修理もできると思う。
: : :/　　　　　　　 |　〉: {/　　 ::.　　＼〉: :}　 |:.　l: |
: : {　　　　　　八': :ﾉ＼__　 :､　　　ヽ:ﾑ　ヽ ,: :|
: : :＼　＿＿__ 　 /´ 从{　ﾏ/ ＼ Y　　　/＼　 }' : |
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: : : : ,　　　 ,　　　　　ﾏ､　　　　　 / / 　 |: : : : : ,: : : : : : .
4807： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:45:30 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.．-=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //////￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　 -―‐ //////
　　　　　　　　／: : : : : : :/≧=-: :｀ヽ
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　　　　　　　 |: : : : : :/.:ｲ : : : ｬ芯｢/.:/ : : : |
　　　　　　　　 |: : : : :/:（_|: : :|:{ 　 /／　>: :.ｲ
　　　　　　　　　 |: : : : |/.: :|: : :|: 〉　　、 , : : :|:|　　　　　　　　　　一番の朗報としては、ロストワードの鹵獲かな。
　　　　　　　　　　|: : : : }:､ :八: ﾙ _　　 /: :/|:ﾚ
　　　　　　　　　 /: : : : :ヽ:｀^メXxメx￣ }イメXｘ　　　　　　　　　　コックピットブロックがぺしゃんこになってるけど、
　　　　　　　 /: : :. : : : : : : : :｀ﾏメXxメx､｀^メXx
.　　　　　　 /: : :. : : : : : : : : : :∧ / ｀＾|: :＼　　l: :＼　　　　　　　機体全体としてはかなり状態は良い。
　　　　　　 /: : :. : : : : : : : : : : : :∧　　＼｢｀＼ |:/⌒
.　　　　　 /: : :/: : : : : : : : : : : : : :∧　　　　　　〉　　　　　　　　　装甲やコックピットの交換さえできれば、すぐにでも運用できる。
　　　　　 /: : :/: : : : : : : : : : : : : : : :∧＿＿_ ／|
.　　　　 /: : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : :∧三≧=イ　　　　　　　　　　今すぐは無理だけどね。
　　　　 /: : :/|: : : : :{ : : : : : : : : : : : : : : ﾊ｢　　 |
.　　　 /: : :/ .|: : : : :|: : : : : : : : : :.､: : : : : :＼　　|
　　　/: : :/　 |: : : : :|: : : : : : : : : : : ＼: : : : : :＼.|
　　ｌ: : :.ｌ　　|: : : : :|: : : : : : : : : : : : : :＼: : : : : :＼
　　 |: : :.|　　|: : : : :|: : : : : : : : : ､.: : : : : :＼: : : : : :＼
　　　＼: :＼_｣: : : : :|: : : : : : : : : : ＼: : : : : : ＼: : : : : :＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. : ´: : : : : : : : : : : :｀_: . ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: -: : : : : : : : : : : : : : _:＼:＼
　　　　　　　　　　　　　　　 , -＜: : : : : : : : : : :ヽ: : : : : ヽ: ヽ:＼:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /: ,: : : : : : : : : : : :､: : ∨: ､: : :∨: _ : ヽ::.
　　　　　　　　　　　　　　,:': /: :/: : /:| : lV∧: |: : : V: :V: : :V: ,x: ∧::.
　　　　　　　　　　　　　 /: /: :/: : :l|: |: :l| 　 |: }: : : :|: : | : |: |/_,}:〉:､|: l
　　　　　　　　　　　　　.': .': : : : : :|:|_:|: :l| 　 l: | : : ∧: :| : |: |: : |/ : |: .
　　　　　　　　　　　　　|: |: : : |: : :|:l: :＼|　从|: ,: |　|:_／:|: |: : }_: : |: : 、
　　　　　　　　　　　　　|:∧: ,: V: 从ィ雫≧､　|∧:| ｨ≦雫ﾐ:|: /-ﾐ,|:|: :V＼　　　　　　　　修復が終わった後は、私が乗る予定になっとる。
　　　　　　　　　　　　　|:{　V､: ∨:l∧ Vzり　　　}'　 Vzりﾉ|/r､ﾉ|:|: : |: ､:＼
　　　　　　　　　　　　　ゞ　 }: ＼〉:∧　　　　　　　　　 ,､_／: |:|: : |: : ＼:ヽ　　　　　　扱いにくい機体っちう話やけど、最高クラスの
　　　　　　　　　　　　　　　 |: :|: :| : ∧　　　　　'　　　　　 ∧: :|: : |:|: : |: : : : ＼: .
　　　　　　　　　　　　　 .': :|: :|: /:个 .　　　- ､　　 . 个:l: :|: : |:|: : |＼: : : :､ヽ}　　　　　性能を持っとることには変わらん。
　　　　　　　　　　　　　 /: : :|: :|:八: }: | ＞　. 　　＜|＼: : : ,: : |: : ∧: |＼: : }
　　　　　　　　　　　　 ,: : :/:|: :|: : :〉l从/.|＼::｀´-:／ |、＼- ､: V:/: :l :|　 ∨|　　　　　　　ベストを尽くすつもりや。
　　　　　　　　　　　　 {: :/__|: √/　{' /...|　＞＜　　|..V　＼｀7'＞､:|__　}/
　　　　　　　　　　 / ｢￣´　 |:/ ＼　 ,'......|　////∧ /....∨ ／| /　　　｀Y⌒＼
　　　　　　　　　　 '　 |´￣￣/ || 　 V....../|ｲ　〉-〈　 ,.........∨＼〉　　　 / 　　ヽ
　　　　　　　　　 / 　 ∧ 　／|/---/... /...|　////| ∧........∧￣￣＼　V　　　　 :.
　　　　　　　 /＿_/＿／｢￣　　 ,.＼/.....l　|/// |/...∨./.....∨ /　　∨　　　　　　＼
4808： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 22:49:59 ID:QbZHZMq60: 　　　/　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　/　　　　 ,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　/ /　　　|: ,: : /: : : :/: : : : : i: : : : //ﾊ: : : : : : : :
　　　 /　l　　　1: /!: : : / /: : : ://: : :/ノノｨ: : : : : : :
　　　,|　 |　|　 |':.:|≧: . |:/:／:/_仁ｨ:≦Zz／ｨ: . r‐､: :　　　　　　　そいつは結構。で、結局これからどうするんだ。
　　　 |　|　|!　 |!:.|ゞｾl:.:ﾄ;イ／ﾗ人ゞ仍;ｊ　 /ｨ::/ う l: :
　　　||　|l　|l　 |:.:|￣´|:l ／　　キ　￣´､　 /: | 仆 |: :　　　　　　　今すぐに次の拠点候補地を探すべきだ。
　　　 |ヽﾄ　||,　|::|　　ｿ　　　　　ｷ　　　／: : | .ﾚ /: :
　　　　|: : ', |:',　'!　　/　　　　　　キ r‐1: : :─ '"´: :　　　　　　　　この艦は戦闘拠点としてのみ運用し、
　　　　 |: : ヾ: ', ﾄ,　ヽ-‐ ､　　　　ヾ!: : : : : : : : : : : :
　　　 '´: : : : : :.ヽ!＼　ー─‐─　　ﾊ: : : : : : : : : :.:　　　　　　　　それとは別に生活拠点を確保するべきだと、医者として進言する。
　　　: : : : : : : : : : : : ＼　´￣｀､, ＜|::|: : : : : : : : : :
　　　: : : : : : : : : : : : : <`ー　≦:::::＼: :.|: : : : : : : : : :
　　　: : : : : : : : : : : / ∨: :ﾊ: : |: : : : |: :|: : : : : : : : : :

　　　　　　　　　　　　　　　　　ｘ‐＝ミ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　ｘ‐＝ミ.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀::..
　　　　　　　　　　　　 ..:.:.:.:.:.:.:.:ヽ/ヽ┐.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:／⌒V{.:.:.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.::.
　　　　　　　　　　　　 .:.:.:.:.ｲ:.:.:.:.ヽ:.|!.:}.:.:.:.:.:∧.:.:.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:ハ
　　　　　　　　　　　　 |.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.}ｖｲ.:∨.:.:.ハ.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾉ　|.:.:.}.:.:.:.:八.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:!
　　　　　　　　　　　　 |!:}:./.:.:/.:./|　　|.:.{ ＼.:.:.:.:.＼ .:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:}　　　　　　　　限りなく難しいって点に目を瞑れば合意だ。
　　　　　　　　　八ｲ.:.:.{.:.ハ| 　 .|.:.| 　_＼:.:.:.:.:＼.:.:.:八＼{＿ノ
　　　　　　　　　　个.:.:|.{.:.:.:{えﾄxヽ |.:.| ´Ｚrたｱ‐=彡.:.:.:.:.} ーイ　　　　　　　俺としては、なんとかどこかしらの企業と再交渉、
　　　　　　　　　　　 |.:|!.:{.:＼{､　　 :} |.:.|　　　　丿.:./..:/.:.:.:.:.:}
　　　　　　　　　　乂.:/:乂_ 　　 | 乂:､　　ｰ=彡.:.:/／.:.:.:.:／　　　　　　　　拾ってもらうべきだと思うね。
　　　　　　　　　　　　　 {.::ハ∧　　〈　 _　＼　　ｰ=彡ｲ.:./. イ
　　　　　　　　　　　　　乂 /.:.∧　　　　　　　　 / |:|.:.:.:.:ノ　　　　　　　　　　結局、それができなきゃ全滅だ。
　　　　　　　　　　　　　 {.:.:{.:∧　 ─‐-　　　／ｰ=彡 .:.|
　　　　　　　　　　　　　　　乂.:{.ハ　 ⌒　　／　　 |.|.:.:.{八　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　{ : : ＼　ー─＜＿ .　イ}.:.:.:.ト　.
　　　　　　　　　　　　　　　|: : : : : ＞┐　　　 |::|　　|.:.:.:.ﾉ: : : :＼
　　　　　　　　　　　　　 r┤: : : : : :Ol!　　　 |::|　　|.:.:(: : : : : //
　　　　　　　　　.　‐＝　＿} ＼: : : Ol!　　　 |::| 　ﾊ:.:.:＞ : //
　　　 .　‐＝　　＝‐　´: : : : :＼＼:＜　ｰ＝|::|　/ ∧ﾉ: : ＜＝‐　.
　／　＝‐　´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼＼ {::{　　　 ∨: : : i|:｀　‐＝＼
4809： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 23:00:21 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　 , - ‐‐‐-　、:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.ヽ、
　　　　　,イ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.ヽ:.:/く::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ｉ
　　　／:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:--‐ヽヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.: |
　　 /:.:／:.:.:.:／:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:./:.:.: 7|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
.　 /／/:.:.:.:/:.:.:/:.:.:.:/:.:.l:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.!: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
.　/　 ,':.:.:.:/:.:.:.ｉ:.:.:.:.:.ｉ:.:.:|:. ∧:.:!､:.:.:.ヽ:.:.ヽ__:.:.:.:}:.:.:.: }:.:/　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
　　　,':.:.:.:,':.:.:.:.{:.:.:.:.:.|:.:.ﾊ:.ｉ　ヽヽヽ:.:._メ:.´ヽヽ:.:.ｉ:.:.:.:|/:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |
　　ｉ:.:.:/|:.:.:.:. ',:.:.:.:.:|-/_|_|　　ヽ／,イ圷≧ｉ:.ｉ:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |　　　　　　　私たちは四大企業、その全てを敵に回してる。
　　　|:./ .|:.:.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:!:.ｉｲうﾐ　　　　 {::::::::ら |:}:.:|:.:.:.:!´.ヽ:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |
　　　|/　 !:.:.:.!:.:.ヽ:.:.:.|〃{:::j　　　　　辷シ　!:.:./:.:./| ヽ.} |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　「ノルドルムは？　あそこは立ち位置が微妙だ」
.　　　|.　　',:. | ',:| .|ヽヽ｀.ﾋﾘ　　　　　　 /:/／:.:.:!　/: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
.　　　　　　ヽ|　ﾘ　!:.:.ヽ＼ヽ　　　　　　　.〃|:.:.:.:.:./_/／.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　　　IGIOと距離があるとはいえ、結局は傘下企業。
.　　　　　　　ヽ　　ｉ:.:.:人　　　 -‐-　　　/　 !:.:.:.:./／. 　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　 ',:.:.:.:.ﾍ　　　　　　　 |:.:.:.:/.　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　IGIOに背いてまで私たちを迎え入れるとも思えない。
　　　　　　　　　　　ヽ:.:.{　ヽ、　　　　 .＜.|:.:./l　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　＼ｉ　　　＞.-t ´　　　|:/‐┤、.　　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃.ヽ　　　.／　　 |::｀ヽ.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |

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　　　　i:.:./ |:.:.:|:.:.:|:.:.:. |,イう≧､ヽ　ヽ|芹う≦、:.!:.:.|/|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　……私は、企業連が把握していない、
　　　　|:/.　!:.:.:!:.:.:!:.:.:.《 {::::::::ら　　　　´ {:::::刈》/: /ヽ|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　|j 　 ',:. |:.:. |＼ヽ. 辷シ　　　　　辷シ /:／:} /|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　潜伏先にできる場所を探すべきだと思う。
.　　　　|　　 i: |!:.:.|:.:.:.:ヾ､　　　　　j　　　　　 /!:. : ｉ_,' |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　ﾘヽ|!:.: : ﾍ　　　　　　　　　　　　 }: : /　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　通信衛星が死んでいる今の時代、可能性はある。
　　　　　　　　　　 ',:.:.:.:.{ヽ　　　￣　　　／/:.:,' 　　! :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　ヽ :.:.ｉ　＞　　　　イ　/ :./　　　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　このまま戦うのも逃げ続けるのも非現実的すぎる。
　　　　　　　　　　　　＼ヽ ,rヽ. ＞＜　_／|/／　　　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　, ヾ､{　　 ≠<´　　./｀ヽ、　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　 ,､r::´::/　　!　 /､　ヽ　 /　　|::::｀ヽ、.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　 ,､r:::´:::::::::::::/　　 {､/ゝ－/', 〃　　.!::::::::::::｀ヽ、 :.:.:.:.:.:.:.:.|
　　,､r::´::::::::::::::::::::::::/　　　　',　 }≠/　/　　　 ',:::::::::::::::::::::｀ヽ､ :.:.:.|
　/::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　ヽ/ / ヽ/.　　　　　',:::::::::::::::::::::::::::::ヽ :|
4810： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 23:07:08 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　＿＿＿
　　　　／　　　　＼
　　／　　　　　　　＼
　／　　　ノ　ヽ､_　　　＼　　　　　　（見事に意見が分かれてるお……）
　|　　（ ●）　（● ）. 　　 |
　＼ｌ^l^lｎ__人__)　　　／
　／ヽ　 L⌒ ´
　　　ゝ　ﾉ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
作戦指揮班、医療班、戦闘部隊の議論は、平行線になりつつあった。
正確には、作戦指揮班と医療班の意見は合致していると言える。
だが、戦闘部隊とは明らかに対立していた。

ディランディの意見に、黛も沈黙を以って同意している。
どんな方針を打ち出したとして、実際に前線に立つのは彼らだ。
ましてや黛隊からは死傷者が出ている。ほとんど降伏ムードと言ってもいい。

席に集まった面々の間に、幾らかの沈黙が横たわる。
それぞれの事情が重なり、それでいて噛み合わなくなってしまっていた。

そんな中、静かに聞き手に回り続けていた真壁が口を開いた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
4811： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 23:11:09 ID:QbZHZMq60: /∧　／: : : : : : : : ／: : : : : : : : : :彡: : : : : : }ミ: : )
//∧': : : : /: : : : /: : : : : /: : : : : :}: : : : : : : :{: : : 乂
///∧: : :/: : : : /: : : : : /: : : : : :/: : : : : : : : 乂: : : : ヽ
////∧: {: : : : /: : : : : : : : : : : :/{: : : : : : : : : : : ヽ: : : }
/////∧: : : :/: : : : : : :{: : : : :,/ 乂＿: : : : : : ヽ: :}: : /
//////∧: : {: : : : : :.:.人: : : :.{∠三三ヽ: : : : : :ソ: : 乂
///////∧: {: : : : : : : : :.＼:.人　＜以ヽ: : ／: : : : :ハ
////////∧乂: : : : : : : : : :ト､_＼　　..::　}／　`''＜.从/　　　　　　　　　失礼、少しいいかね。
/////////∧　＼: : : :、: :人　⌒ 　　　　　　　　　/
//////////∧ 〈　￣｀`ヾハ　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　「真壁さん、どうぞ」
///////////∧ ゝ　　　　　　　　　　　　,,　 '' ''　)
////////////∧＿Y　　　　　　　　　　 r ／二)　　　　　　　　　　　　　今しがた、よくない連絡が入った。
///////////// |: :{ !　　　　　　　　　　〈　　　　|
///////////// |:从 !　,,　　　　　　　　　　　 |
///////////// |:〈今s｡.., ,, ,, 　　 ,,　　　　　　 |
///////////// |　　　　　　　｀゛¨ '' ‐-　...,, __人＿＿
///////////// |_,,..　-‐　'' "´:::::::::::::::::::::::::::::::::＼:i:i＼i:i｀`～､、
///////////// |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:i:i＼i:i:i:i:i:i:丶
//////////////:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨:i:i∨i:i:i:i:i:∧

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
不穏な言葉を発する真壁に、全員の視線が集中する。
当の真壁は冷静そのものではあったものの、眉間には深い皺が刻まれていた。

だが、彼はあくまで民間人代表だ。戦闘に関わることはない。
彼が発するのも、基本的には艦内の民間人の内情だ。
今の状況以上に致命的なことは言わないだろう。

誰もが、ぼんやりとした油断を抱いたに違いない。
少なくとも、自分はそう踏んでいた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
4812： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 23:22:09 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　_ノ: : : : 彡: : : : : :`ー-　、
　　　　　　　.／: : : : : : : : : : : : : /: : : : : :＼
　　　　　　 /: : : : : :.:/: : : : ／: :Y: : : : : : : : :ヽ
　　　　　　 ): : : __: :/: : :,／: : : :从: : : ヽ: : : : }
　　　　　 ./: , -'_ノ: : : :/: : : :／⌒ｱ: : : }: : : : }
　　　　　〈／／_〈: :／｛: : : :.}　　ハ: : : : : : : :,′
　　　　　.'　/　/: :V__ 〈: : : :/　＿_∨: : : : :/　　　　　　　　　　　　　　　避難民の中から、不審な動きをしている者を拘束した。
　　　　　| /　/-- ､茫ﾄ.〉: /=≦茫ﾃ }: : : :/(
　　　　　|,′´ ,へ_｝￣ {ﾊ{　`ｰ　　 ,八: ,ｲ}: }―､――――　､　　　　　その者の持っていたPDAから、座標データが送信されている
　　　　　( 　ノ ,_　〉　　..:; 　　　　 },／_ノ:./::::::∧　　　　　　 ∨
　　　　　ヽ　　ゝｲ:,　　, ,ヽ , , ,　　　 /: ／:::::::::: ∧、　　　 |::::∨　　　　ログも発見されたという。送信先は――
　　　_､‐''゛ヽ　　＼､{ - -- - ､}　ｨ(},/::::::::::::::::::/::::.　　　　 |::::: ∨
_､‐''゛／: : :.∧　　　ヽ ,ﾉ;,,　 , , メ:i:i:i:∧::::::::::::::/:::::::|　　　 !::::::|　,　
　　 /＼__, --〉　　　　〉ー‐=≦:i:i:}:i:i:i}　,::::::::::/::::::::::| . 　　 |:::::::| ｜
　　 |::::::::/ー !　　　 |、: ＼:i:i:i:i:i:}:i:i:i}　∨:::::|::::::::::::|　　　　|:::::::|　乂
　　 |:::::/: : :./｀丶、＿| ＼: :.∨i:i: }:i: ﾘ　｜:::/:::::::::::/　　　 /::::::/ 　　ヽ
　　 |: /: : :./　　　　　ｱﾄ-＼:∨i:i:i: /　　|::/:::::::::::/　　　 /::::::/／::::::...　∨
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: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,爪 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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-─━━─-ミ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .j{:|:j{.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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ニニﾆ=.`ー─＜三三三≧＜二ﾆ=-　　　　　　　　　　　　　__{　人_,|
ニニニ ,　---- ､￣￣￣　　　｀　＜ニ≧s｡　　　　　　　　　{　'´'Y´ ﾄ､　　　｡o≦￣≧s｡　　　　　 .’ ,　　　　　　　　　＼
ニニ . ＼ー-　＿`ー────=彡'´⌒'＜ﾆ≧s｡　　　／ゝ　.|　ﾉ　＼／:::::彡=-＝ミ:::｀ヽ　　　　　　 .＼　　　　　　　　‘,＼
ニニニニ.`ー─=ミ¨　=-　　　＿＿__　　　　`寸ニヘ､　 ‘，　　 ..|　　　./{　ゝ　(　　　　 )):::::',　　　　　　　 .'＼　　　　　　　.'，
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　　　　 . ／/　　　　　＞≦≧s｡ム__＿／/＞/7ﾆヽニヘ､∨∧　}//{=ﾐ////≧=-　　-=彡ﾍ　　　　 _､-= '， . 「――ノルドルムだ」
　　　　　..ﾉ　(　　　　　,ｲ//＞‐‐‐ミ//｀ヽ//〈　〈〈ﾆﾆﾆ＞ミﾆﾆxく￣'，',　　寸/////////＞─〈　　　　 .⌒)　　 '，　＼＿／　 )
..--､　　(　　 )　　　　////　/´￣ヽ/ﾑ/ﾍ　ﾏ≧ﾏﾆﾆｱ´;;;;;｀ヽﾑ:::∨∧∨　 ∨/////／──､　ヽ　　　...／　　　 }　　　　　`ー"
'⌒) )　ﾉ　　(　　　　.ｌ///二＞＜/　}/,'}'//|　| |￣|ﾆ/;;;;;;;;;ヽ;;;;;'/,::::∨ ∨　　 ∨////___＼＿_‘，_＼　／＼＼　　}
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ニ=-.) ／'´　　　　　Ⅶ/ハ___{＼'´///ﾘ//ﾘ　{　　 {:::::ﾍ;;;;く`'´ﾉ|::|:::::}　　　,ィﾆく　`ー───--=ﾆ二＿≧s｡
ニ . ( (　　　 (￣二弌ﾆ{__}//ゝ'//＞く/,xﾍ　＼　ﾟ｡::::::＼二ﾆｿ |:::〈　　／/　　＼　　　　　　　γ⌒　　￣￣　＼　　’ '
ニ . ﾉﾉ　　　　) ノ　 Ⅳ　　＞rr''“////ｱ__　{≧s｡＼ﾍ:::r.､::::::::::::::|(|::｡o≦彡,　　　メ､　　　　　(( . /　　　　ﾉ　　　 )＼　　　　　 )ヽ
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4813： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 23:22:30 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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4814： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/17(木) 23:25:35 ID:QbZHZMq60: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　. . .-─‐-. ミ
　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : : ｀: ..
　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : /
　　　　　　　　　　　　　　　　 }Ο : : : ◯: : : :,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　 { -===- ､: : :. :.|　　　　　　　　今回はここまでだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　〉: : : : : : : : : :ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i: :｀ﾆﾆﾆ´: : : : ‘,　　　　　　　　次回は3/24の20時から、としておく。だが、雲行きが怪しい。
　　　　　　　　　　　　　　　__/ : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　＿__　　　　／.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|　　　　　　　　モコイさんまたしばらく休めなくなるかもしれない。
　　　　　/ :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
　　　　.′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/　| : : ‘,　　　　　　　　とりあえずシーユーアゲイン。というかアイルビーバック。
.　　　　‘::::::::::::::ﾉ: : : : : :ﾊ＼{／: : : :／⌒ﾞヽ : : :‘
. 　　　ゝ-=彡-──＜¨¨ﾟ‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼: :′:::::::::::/______」
　　　　　　　　　　　　　　　　　弋:::::: ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀¨´
4815：安価のやる夫だお：2022/03/17(木) 23:27:58 ID:6pfmcLug0: 乙
4816：安価のやる夫だお：2022/03/17(木) 23:29:21 ID:dF23K0UI0: 乙でした
4817：安価のやる夫だお：2022/03/19(土) 16:52:52 ID:aUMf/eXo0: 乙
4818： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 20:01:03 ID:BZifX/wU0: 　　　　／||ミ
　　／ ::::||
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　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||　　､　- ‐‐ -,
　|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
　|:::::::::::::::|ﾞｉ : : : :○　○ﾞｉ　　　　　
　|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _ｌ　　　　　　　　ハロー。
　|:::::::::::::::||: : : :-=´_　_,´　　　　　　
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　|::::::::::::::(___＿＿ノ´||　　　　　　　　
　|::::::::::::::(_ノ／ . . . ||
　|:::::::::::::::||／　　　　||
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　　＼ ::::||
　　　　＼||
4819： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 20:11:17 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　､　- ‐‐ -,
　　　　　　 ,´: : : : : : : : :
　　　　　　ﾞｉ : : : :○　○ﾞｉ
　　　　　　 }: : : : : : : _ _ _|　　　　　　　　三十分くらい前になんとか帰宅できたモコイさんだよ。
　　　　　　 |: : : :-=´_　_,´
　　　　　 y' : : : : :_: : : : :i　　　　　　　　　とりあえず投下をするのだ。書き溜めもないけれど。
　　　　/ : : : : : : :┌─┐
　　　　i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ　　　　　　　　頭がぼんやりするけれど。愛があればなんとかなるっていうし。
　　　　ｒ : : : : :ヽ、__)一(_丿
　　　　ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ　　　　　　　　　　やっていこうか。
　　　　と_ : : : : : : ノ : :ノ
　　　　　　￣￣￣　￣
4820：安価のやる夫だお：2022/03/24(木) 20:22:25 ID:8SnnJaJU0: ハロー
4821： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 20:28:21 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　＿＿＿_
　　　　／　　　　＼
　　　／　　 ―　　―＼
　／　　　（ ●）　（●）＼　　　　　　　　　どーしてこんなことに……
　 |　　　　　　（__人__）　　　|
　＼　　　　　｀⌒ ´　　／
　　　/´⌒｀￣￣　｀丶'
　　 |　　　　＿ﾞ＿､　　＼
　　　ヽ　イ´￣ /　　ヽて　〉
　　　 l 　　　 /　　ｒ　ヽ彡'
　　　　ヽ　　/　　 ,ヽ　　ヽ　　　　　　 _-‐､
　　　 ,ィヽ　　　　 /　Ｙ　ゝ‐-､ ──´　 │
　r_-ィ__ﾉ_ヽ､＿＿ﾉ＿_「＿＿＿ﾉ__＿_＿＿」

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
温かみのない真っ白な照明が目に痛かった。
外気から完全に遮断されて、機械から排気された妙な臭いに包まれる中、
何十人という人間が狭いポンプ室にすし詰めになっていた。

深い理由があったわけではない。
自室へと帰ろうとしたところで、道に迷ったのだ。

あてもなくふらつき、辿り着いた場所がここだった。
重たい防火扉の先には、犇めき合う人々が硬い床の上に毛布を一枚だけ敷き、
その上に横になったり胡坐をかいたりしていた。

誰もが何日も同じ服を着ているようで、服はよれ、顔はやつれている。
老いも若いも、男も女も、みんな等しく、憔悴しきっていた。
自分がふらりと入り込んでも、視線一つ寄越しもしない。

真壁や間が生活拠点の確保を進言するわけである。
入り口脇のわずかなスペースを見つけ、そこに腰を下ろした。

とにもかくにも、脱力して壁に背を預けたかった。
歩き疲れたというより、精神的に疲弊しきっていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
4822： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 20:37:23 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　ヽ､______＿＿ヽヽ. ､
　　　　　　　_,, ..≧::::::::::::::::::::::::::ヽV::ヽl
　　　　　　 ,.イ::;ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`＝イ/
　　　　　　 /／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::<
　　　　　　〃::::::::::::;ｲ／/ﾘ|:/|:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　∠::::::::从（　　　l/ !::::::::::::::::::::::::::::::: ヾヽ
　　　　　　/イ∧` ､,,ｨ≦=ｒヽl／ﾙ::::::::::::::::::::::::ヾ、
　　　　　　　〈_≧ｒ=!:::::::ノ　　　　ﾘ:::/ヽ:::::::::::::ｌヽ　　　　　　　　　おまっ……やる夫じゃねーか。
　　　　　　　　!:::::/　￣　　　　　 lん） !::::::::::ﾙ
　　　　　　　　`ｌ〈　_　　　　u.　 ,.. 　( ,.ｲ:::::::::::（　　　　　　　　　　なにやってんだバカ、こんなところでよ。
　　　　　　　　ヽｒ__　　　　　　/　　l´　!::::::::从ヽ
　　　　___ ,....,..._　ト-｀¨　　　　　　ノ　ルﾘ人ヾヽ　　　　　　　　　「あれ、長谷川さん」
　　ｒ‐"＿ｌ＿辷〕_}illi、　　　,, -　　　,,..::::"::::..　|　＿_
　ｆ,! └‐ｒ‐‐／ / ^vllllllｒ''"　 ,,...::''::::::::::::::::::::／´　／`!　　　　　自分がどういう立場かわかってんのかよ。
　 H__ﾉ__ﾉ__ﾉ　/　　　ｒ=`-''::::::::::::::::::::::::::::／　　／　　ヽ
　{　　 ∨　　　ｌ　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::::／　　／　,.　" 　　＼　　　ほれ、とりあえず立て。出るぞ。
　l､　　 l　　／　　　 / l::::::::::::::::::::::／　　／　／
　/｀'ー― /　　　／ /:::::::::::::::::／　　／　／
/　　　　 /　／￣/　 /:::::::::::::／　　　　　/

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
破裂音と爆発音でだいぶ脳が麻痺したものとばかり思っていたが、
人の混乱や喧騒には慣れきっていないらしい。

疲労が眠気に変換されてきたあたりで、うつらうつらとする自分に、
声を潜めて呼び掛けてくる男がいた。

聞き覚えのあるしゃがれ声の主は、長谷川だった。
彼も彼で表情の随所に疲弊が滲んでいる。
が、それよりも、自分への怪訝さが勝っているようだった。
軽く叱られ、腕を引っ張られる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
4823： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 20:50:13 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　､_,､_　,､_,__,_
　　　　　　　　　　　　　　_洲WW从W斥k
　　　　　　　　　　　刈州州从从込iﾄ
　　　　　　　　　　　　　仆W^__､_ ,＿_V[,
　　　　　　　　　　　　洲「{弐]刊卉｣ｉ{`
　　　　　　　　　　　　　　｛｣i｀￣〈|｀￣り　　　　　 ..
　　　　　　　　　　　　　　 }l､　 ‐_,‐'　/{　　　　 ...:..　　　　　「長谷川さん、なんでやる夫の部屋の位置知ってるんですかお？」
　　　　　　　　　　　　　 ∧＼iWi{ﾚ'{ﾘ`　　 ....:..
　　　　　　　　　　　 _/.::::',_r三く斗ﾍ、...:...　　　　　　　　そりゃオメー、俺はおまえの警護役を手伝ってんのよ。
　　　　　　　　　　　, -<:::::::::::::`r一＾㍉,.:､.｀`丶、
　　　　　　　　　／　　ヽ:::::::::::::｀マヽ、　ヽ、　｀ヽ.　　　　　こう見えて、元はオルデンブルクお抱えのレイヴンだったんだからなぁ。
.　　　　　　　 /　　　　 `､::::::::::::::∨.＼_　 `､　　　',　　
　　　　　　 /　＼　　　 `､::::::::::/.:::::::::}　　 ',　　 }　　　　　荒事の心得がある奴は、大抵何かしらの役割を言いつけられてんのよ。
　　　　　　　/　　　　ヽ　　　 `､::::/.:::::::::/l　　ﾄ、　 |
　　　　　〈　　､　　　､　　　 ∨.:::::::::/ {　　 |　V^廴　　　　　……で、なんであんなところにいた。あぶねえだろうがよ。
　　　　　　　}　　　､　　}　　　 /.:::::::::/　∧　　|　 }　　}
　　　　　　/　　 _＿＼｣　　 /.:::::::::/　 { ∧　 }　 | 　 |
.　　　　　/　 _／　　　　￣｀¨¨¨¨¨｀ヽ＿|　ヽ/　　　　}
　　　　　{　　　　　　　　　　　　　 { 　 l 　 /　　　　 ′
　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　 L､｣_　{　　　 ,′
　　　　　　､　　　　　　　　　　　 }｣冂　　　　 /

　　　　 _＿＿＿
　　　／　　　　＼
　／　　　　　　　＼
／　　　　　　　　　　＼　　　　　道に迷って……まあ、気が滅入ってたから判断力が鈍ったというか……
| 　＿, 　　／　　　　 |
＼（ー⊂ヽ､∩ 　ｕ　　ﾉ　　　　　「ほーん。俺の方にも話は来てるけどな。中々キツイよなぁ」
　 | 　|　ゝ＿＼　／　)
　 | 　|＿＿＼　　”　／.　　　　　　ホントですお……。
　＼＿＿＿＼／

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なぜか自分を先導するように歩く長谷川の背中を追う。
するとどういうわけか、見覚えのある道に出た。
どこもかしこも同じような通路なので、見覚えがあるのは分岐の位置などだが。

聞けば、長谷川はこのような事態に際して警護役を担っているらしい。
甚平の懐には不自然な膨らみが見える。恐らくは拳銃だろう。
要は戦力の要であるリンクスのSPというわけだ。

立場としては何ら不思議ではないが、現実味がなかった。
戦術的にはそれだけ重要なのだが、自分が誰かに守ってもらうような人間であると
いう実感が湧かなかった。

時々ぼんやりと虚空を見つめながら歩いているのがバレたのか、
長谷川は「会議はそんなにキツかったのかよ」と聞いてきた。

気遣いの散りばめられた、大人らしい質問だった。
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4824： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 20:55:38 ID:BZifX/wU0: ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;:;:;;:;:;:;;:;:;;:;::;::::;:;::;::;::;:;:;::::::::::::::::::::::::::::::::::.::.:.::......:.. 　.....:.:.
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.　　　　　　 l:.:八:.:|　八:、　　　厶ｲ:.:.:.:/_丿:.:.ﾉ
.　　　　　　 |( 　|八 /　　＼　＼ー‐':.:.／:.:.:.:.:.〔_ノ　　　　　　　　　　　　　　　　「あぁ。周囲の者が取り押さえている」
　　　　　　　　　　 l`、　　　　｀¨¨7　}:.:.:.:.:.:.:.:.＼
.　　　　　　　　　 }ハこ ‐- 　　／　ノイ:.:.:.:.:.:.:.:}｀＼　　　　　　　　　　　　　　俺の部隊の奴らを呼んでくる。
　　　　　　　　 -‐∧　　　　　´　　 /二二}.:.:.／￣￣
.　　　　　　／　　_{:.:.`ー＜ﾆ7ﾆﾆニ| | 　 /／　　　　　／⌒ヽ　　　　　　　　回収してくる。
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真壁の知らせを聞き、一同が絶句した後。
最初に口を開いたのは、ディランディだった。

乱暴にスツールを引いて立ち上がり、それを蹴とばしかねない勢いで歩き出す。

鬼気迫る表情と抑揚のない感情を押し殺した声で、
その場を後にしようとするディランディを黛がすかさず呼び止めた。
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4825： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:00:24 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　ｘ‐＝ミ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　ｘ‐＝ミ.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀::..
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　　　　　　　　　　　　 |.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.}ｖｲ.:∨.:.:.ハ.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　 |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾉ　|.:.:.}.:.:.:.:八.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:!
　　　　　　　　　　　　 |!:}:./.:.:/.:./|　　|.:.{ ＼.:.:.:.:.＼ .:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:}
　　　　　　　　　八ｲ.:.:.{.:.ハ| 　 .|.:.| 　_＼:.:.:.:.:＼.:.:.:八＼{＿ノ　　　　　　　殺すに決まってるだろ。死体は焼いて灰にする。
　　　　　　　　　　个.:.:|.{.:.:.:{えﾄxヽ |.:.| ´Ｚrたｱ‐=彡.:.:.:.:.} ーイ
　　　　　　　　　　　 |.:|!.:{.:＼{､　　 :} |.:.|　　　　丿.:./..:/.:.:.:.:.:}　　　　　　　　ノルドルムの手先なんだろ？
　　　　　　　　　　乂.:/:乂_ 　　 | 乂:､　　ｰ=彡.:.:/／.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　　　 {.::ハ∧　　〈　 _　＼　　ｰ=彡ｲ.:./. イ　　　　　　　　　　　端末を奪ったところで、何を仕組まれてるか
　　　　　　　　　　　　　乂 /.:.∧　　　　　　　　 / |:|.:.:.:.:ノ
　　　　　　　　　　　　　 {.:.:{.:∧　 ─‐-　　　／ｰ=彡 .:.|　　　　　　　　　　　　　わかったもんじゃねえ。骨だけにしなきゃダメだ。
　　　　　　　　　　　　　　　乂.:{.ハ　 ⌒　　／　　 |.|.:.:.{八
　　　　　　　　　　　　　　　{ : : ＼　ー─＜＿ .　イ}.:.:.:.ト　.
　　　　　　　　　　　　　　　|: : : : : ＞┐　　　 |::|　　|.:.:.:.ﾉ: : : :＼
　　　　　　　　　　　　　 r┤: : : : : :Ol!　　　 |::|　　|.:.:(: : : : : //
　　　　　　　　　.　‐＝　＿} ＼: : : Ol!　　　 |::| 　ﾊ:.:.:＞ : //
　　　 .　‐＝　　＝‐　´: : : : :＼＼:＜　ｰ＝|::|　/ ∧ﾉ: : ＜＝‐　.
　／　＝‐　´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼＼ {::{　　　 ∨: : : i|:｀　‐＝＼

　　ヾ: : : : : : {: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :{
　　　 }: : : /j从､: : : : : : : :{: : : : ﾍ: : : : : : : : : : : : : : : :ト、
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　　人: : : : }　'､tッi : :ィ彡ﾉﾆ=-ヾi'"}: : : : : : : : :/ ヽ: : ノ
　/　ﾉ: : : i!　　'"/ヾ:ﾄ、:::､:...,弋ツ　j,ｲ: : : : : : : i!　ﾉ: {、
　i!　i从: :∧. 　 /　 ,ﾉ:j　　　　　 /: : : : : : : ノ , ':::::::::::}
. i!　.|　｀`.∧. /　　　　　　　　　　/j: : /j:イ　 /: : : : : 人　　　　　　　　　待つんだ、ディランディ君。
┘　.!　　 /::: く　　　　　　　　 /／　　 i~ ﾉ: : : イ:::i!　.ﾍ
　　 i　　!::::::::i ｀　　　　　　　　　／　　　　i /'",.ｨ'´:::::ﾉ　　 .ﾍ　　　　　　　更なるパニックを引き起こすようなことはよせ。
　　　i　　i:::::::::.,　､　　　, , ,　　　　　　　　ノ,.ｨ'´::::::::::/
　　　 !　 .|:::::::::ﾍ　こ` ヽ　　i!　　　　｡s≦'":::::::::::::::/　　　　　　　　　　　　今、私の知己がその内通者を取り押さえている。
　　　 !　 |::::::::::::}, , ,　　´, , 　 ..::::::::|:::::::::::::::::::::::ノ
　　　　 !　|::::::／:ト､, ,, , ,_｡r≦ r:i:i:i:|::::::::::::::::::／　　　　　　　　　　　　　　　……そのあたりは既に混乱が巻き起こっている。
　　　　 .!　|::::ﾍ:::::::/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|::::::::::::／
　　　＿_!　|::::::∨::|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:!:::::::／　　　　　　　　　　　　　　　　　　私刑が起こりかねん状況だ。
　　　／ .!　|::::::::〉::}:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|´::::／
　／　　 |　|:::::::|::::∨:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「だったら尚更、俺たちの手でやらねえとだろ！」
／　　　　|　.|::::::}::::::∨:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iｊ!
　　　　　 |　 |:::::::!:::::::∨:i:i:i:i:i:i／
　　　　 .|　 |::::::::i!:::::::∨:i:i:r′
4826： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:06:09 ID:BZifX/wU0: 　　　　__ ／: : : : : : : : : : : : : : : : : ､
　　／: : : : : :_: : : : : : : 丶: : : : : : : 丶
　 /: : : : : l:l: : : :ヾ: : :＼: : :丶 : : : : : : ヽ
／: : : : : /: l: l: : : l: : : : :＼: : :ヽ: : : : : : l
: : :/: : /l⌒l: :､: : :ll: : : : : : : : : :ヽ: : : : : l
7: : : :/: l　/:/ゞ: : :l＼: : : : : : : : :l: : : : : ヽ　　　　　　　　　こういうのは相場が決まってるんだよ。
: : : ｌ:l: l_ゞｌ:l　＼: :ゝ-＼ : : : : : l: : : : : : :
: : :/l: :l 辷ｌ:l　￣辷､:＼_): : : : :/: : : : : : :　　　　　　　　　そいつを殺そうとする奴が出てみろ。そいつもグルだ。口封じだよ。
ゞ:乂 : l　/ヾ､　　　￣__ノ: : : : / ＼: : : : :
　　　):∨　　丶　　　／: : :／ノ／: : /　　　　　　　　　　ノルドルムの連中はIGIOの暗部……大昔のKGBやらMI6染みた
　　乂: ｨヽ　　　　　　ﾊ/ｌ:/ x-イ: : : : ゝ､_
　　　 _ノ:ヽ‐-　_ 　　　／　l: : : : l: : :ﾆ=　　　　　　　　　野郎どもがうようよいやがる。どうせ尋問したところで、大した情報は吐かねえ。
ゞ=ﾆ三: :_ﾊ　　　　,　　　彡: : : : l : :ヽ
　 7:/,＜　〉-　-　´　__ -=ﾆ- l: : : : :)　　　　　　　　　　　ぶっ殺して見せしめにでもした方がよっぽどタメにならぁ。
　ゞ-l　l　从l二二二f丶　　 /: : :／ゞ
---./　,l　彡〉二二ﾆ.l　 l ゝﾆ: :／　〉、
─,/ ／ｌ／二二二ﾆl　 l /: ／　　／ l
　／　ｌ l/二二二ﾆ／　ゝ:/ 　／　 /
　　　　l/二二二ﾆl　　／ヽ／

　　　　　　　　　　　　　| :::::::::: |:::::/l::::/l:/! ::::;'|:|!:| |:| ';:!::::::::::: !
　　　　　　　　　　　　　| :::::::::: ト/__l:/ / ,'::::/ |:||:|_|:|__'|::::::::::: |
　　　　　　　　　　　　　| :::::::::l |/,z=ミr /／ =-彡=z、 !::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::l::|《仍ﾘ` ´　　´ 仍ﾘ》 | l:::::::: ﾄ､
　　　　　　　　 /ｲ:::::::::::l::|　￣　　　　　　￣　 ,':::l:::::::::|;;:＼　　　　　　　　どうしてそう、毎度毎度極端なんだ貴様は！？
　　　　　　　　　　 ||::::::::::l::|　　　　 i　　　　　 ,ｲ ::l:::::::::|　｀ﾞ
　　　　　　　　　　 |!::::::::::l::|　　　　, ― ､　　　／ |::::l:::::::::|　　　　　　　　　　内通者が他にもいる可能性があるのなら、
　　　　　　, ｨ/!　　|ヾ, :::::l |ヽ、　　{/;;;;;;;}　　　／:|::::l::::／i.　　　ﾄ､
　　　　　.///::|　　　　｀7=-ﾞ::::i＼　￣￣　ィ:::::{ '-='"::从　　　l |:'.,　　　　　尚更捕縛して尋問すべきだろう！？
　　　　　 /:.! !:: |　　　　/:;;;/:::::/:::个　＿　 '"　!:::::{三} ヽ:::iヾ,　　 l | : '.,
.　　　　 / : | |::::|　　／" /:::::/_ ｨ<!　　　　 ,ｨ个-{三}| ||:::|. 　　　l |: : :.'.,
　　　　/ : : | |::::|　　　 _ /:::::/ : : !il＼　 _／ililil| : |::::::|| ||:::!　　　　| |: : : : '.,
.　　　　/:. : :..| |,斗‐=''": /:::::/: : : :|ilililili><ililililililil!: :|::::::||_|!｀ﾞ''' r - ､| |: : : : :.:'.,
. 　　 /: : : : :| |::::|: : : : /:::::/ : : : : !ililイ´ ｀iヾilililil!: :!::::::l: : : : : :|:::::::::| |: : : : : : :'.,
4827： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:16:09 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.．-=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //////￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　 -―‐ //////
　　　　　　　　／: : : : : : :/≧=-: :｀ヽ
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　　　　　　　　 |: : : : :/:（_|: : :|:{ 　 /／　>: :.ｲ
　　　　　　　　　 |: : : : |/.: :|: : :|: 〉　　、 , : : :|:|　　　　　　　　　　　自白剤なら幾らかあるよー？
　　　　　　　　　　|: : : : }:､ :八: ﾙ _　　 /: :/|:ﾚ
　　　　　　　　　 /: : : : :ヽ:｀^メXxメx￣ }イメXｘ　　　　　　　　　　　あとはまぁ、そうだねぇ。色々あるでしょ。
　　　　　　　 /: : :. : : : : : : : :｀ﾏメXxメx､｀^メXx
.　　　　　　 /: : :. : : : : : : : : : :∧ / ｀＾|: :＼　　l: :＼　　　　　　　　爪切りでもカミソリでも、トースターでもフライパンでも、
　　　　　　 /: : :. : : : : : : : : : : : :∧　　＼｢｀＼ |:/⌒
.　　　　　 /: : :/: : : : : : : : : : : : : :∧　　　　　　〉　　　　　　　　　　　苦痛を与える道具にはなりえるし。
　　　　　 /: : :/: : : : : : : : : : : : : : : :∧＿＿_ ／|
.　　　　 /: : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : :∧三≧=イ　　　　　　　　　　　　情報はどんな状況でも生命線だよ？
　　　　 /: : :/|: : : : :{ : : : : : : : : : : : : : : ﾊ｢　　 |
.　　　 /: : :/ .|: : : : :|: : : : : : : : : :.､: : : : : :＼　　|
　　　/: : :/　 |: : : : :|: : : : : : : : : : : ＼: : : : : :＼.|
　　ｌ: : :.ｌ　　|: : : : :|: : : : : : : : : : : : : :＼: : : : : :＼
　　 |: : :.|　　|: : : : :|: : : : : : : : : ､.: : : : : :＼: : : : : :＼
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　　　　　　 , - ‐‐‐-　、:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.ヽ、
　　　　　,イ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.ヽ:.:/く::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ｉ
　　　／:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:--‐ヽヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.: |
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　　ｉ:.:.:/|:.:.:.:. ',:.:.:.:.:|-/_|_|　　ヽ／,イ圷≧ｉ:.ｉ:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |
　　　|:./ .|:.:.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:!:.ｉｲうﾐ　　　　 {::::::::ら |:}:.:|:.:.:.:!´.ヽ:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |　　　　　ちょっと、とにかく落ち着いて……
　　　|/　 !:.:.:.!:.:.ヽ:.:.:.|〃{:::j　　　　　辷シ　!:.:./:.:./| ヽ.} |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
.　　　|.　　',:. | ',:| .|ヽヽ｀.ﾋﾘ　　　　　　 /:/／:.:.:!　/: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　「なぁに、なのはちゃん？
.　　　　　　ヽ|　ﾘ　!:.:.ヽ＼ヽ　　　　　u.　.〃|:.:.:.:.:./_/／.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |
.　　　　　　　ヽ　　ｉ:.:.:人　　　 -‐-　　　/　 !:.:.:.:./／. 　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　ジュネーブ条約なんて大昔になくなってるよ？」
　　　　　　　　 ',:.:.:.:.ﾍ　　　　　　　 |:.:.:.:/.　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　ヽ:.:.{　ヽ、　　　　 .＜.|:.:./l　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　
　　　　　　　　　　　　＼ｉ　　　＞.-t ´　　　|:/‐┤、.　　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 r､| .-　￣/　／　ｉ、　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃.ヽ　　　.／　　 |::｀ヽ.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |
4828： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:25:31 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　　　＿__　　　　　　　　　{´￣｀ヽ、
　　　　　　　　　　 {　　_＼　　　　　ﾏ_ ｡ }_,||
　　　　　　　　　　　＼} 　＼　　　　　　　ﾏ__ 　||
　　　　　　　　　　　　　　＼　　ヽ　＿＿__ ///＼!!
　　　　　　　　　　　　　　　　　 }＞. :´: : : : : : : : :＞､/
　　　　　　　　　　　　／: ,: |!: : :|: :＼:＼: : : ､｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 , ': : :/: :||::､:.|､＿_:_:､＼: :.∨:ﾑ
　　　　　　　　　　 /:/: :.':ィ-|{从:| ＼{＼｀＼: ､:|: : : .
　　　　　　　　　　　　 /ｲ: |: :|:|从{ ＼{ｲ苡ｵヽ}: /＼､: : ;: .
　　　　　　　　　　　　　 /: :|: :|:{泌ｿ　　　:.:.:.: /:ｲ: : : |:＼: : .　　　　　　　あのね、今の私たちに、社会的なルールだとか、
　　　　　　　　　　　　　 , : : |: 从 :.:.: ' ＿_ 　　 /: : :./: /: : : .
　　　　　　　　　　　 |: :./|/:.从　　V:.:.:.}　　 ´√´:.:/: | : : :.　　　　　　道徳とか、そういうの守る必要ないんだよ？
　　　　　　　　　　　 l／　　|:|:ム　ー'　　ｲ: : : /: : ! : : : .
　　　　　　　　　　　　　　　 /:,|: |: :｀: . __,... ´　|: : :,:,ィ⌒ヽ､: : : .　　　　　私たち、完全に法の外にいるんだもの。
　　　　　　　　　　　　 /:　|: |: : r=r-|　　|^|: :./|| 〉　　＼: :.
　　　　　　　　　　　 {/ /-j: :/!| Lﾉ　　{l |: :{ jj|_〉　　＼＿､＼　　　　この艦内にいる人間は全員テロリスト。
　　　　　　　　　　　　　　　／ //: {l｣／ _ｨ―/ |: :|_/ｲ　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　_,.　　´　　{/イ／r-ゞ-｀¨ｰ'⌒ヽ l|　　　　　　　 }　　　　罪状が増えるだけだよ……ま、私たちの場合、
　　　　　　　　｢　　　 /,{＞- ´ ,.と二＿〈_l ｰ'´￣∨ 　＿_　　　 '
　　　　　　　　　 |　　,.イ-┴- ､:/／Toﾉ|　∨ ∧　　∨//// ＼,∧　　　　　裁かれる前に消し炭だろうけどね。
　　　　　　　　　 Ⅳ/ / 　　　 '　　　　|| 　＼､_／⌒}＿/ |///: : :.
　　　　　　　　　　// {　{　　　　　,　　......:||::......　乂{ 　　＼　 |/: : ,: :.
　　　　　　／　､､.:::､:::::::::......{...:::::::::::::}}:::::::::::::::∧　　　｀　!: :,: :,: :.:.
　　　　　　　〈　　　ヽ＼::＼:::...... 　､:::::::::||::::::,..::'::::::::.　　　　　j: : :,: :,: : :.
　　　　　　　　　､　　 ∨｀¨T7´　　　｀ー}}-::::::::::::::::/:＼　　 /: : :.|: :|ヽ: :.
　　　　　　　＼　／⌒Yl〈　　　　　 ||　　　　　{: : :.|｀¨´: : :.:.:|: :|　 ,: :.
　　　　　　　　　　 ∨　　人ヽr==777{7}}//≧ ､　　｝: /-////＞､:.:|　 }: :|
4829： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:29:12 ID:BZifX/wU0: ::::::::ｨ　　　　　　　　　　　.-ゝ
:::::i´　　　　　　　　　　　　｀ヽ、
::::::ﾚｒ-、　　　　　　　　　｀ヽ、ヽ
:::::/ i　|　　　　 ,　　　　　　、ヽﾉ
:::::! i｣/　 i　　 i　　 i　　ヽ　i!.｜
:::::>ｨ'　 / / i .|　i　｜i　!｜ |ヽ!　　　　　　　そうだな。とにかく落ち着いた方がいい。
i!　ヽ-'ヽ'ｖ-'/ /　/ ｌ'　|　i! i
;｀ヽ、キ　　//7　/'1　 i /|/　　　　　　　　　勢いに任せたところで、残るのは後悔だけだ。
;;;;;;;;;;;;ﾞ;;;7　'´/ノ"i./ ノ! / i!
;;;;;;;;;;;;;;/　ヽ、　ｨ'／ﾚ'　　　　　　　　　　　……ところで、ここに一人、とびっきり人体に詳しい男がいる。
;;;;;;;;;;;;{　　　,ｒ‐ ´
;;;;;;;;;;;;|｀ヽ,;;'-、　　　　　　　　　　　　　　　　やるなら声をかけてくれよ。
;;;;;;;;;;;;`;;;;;ｒｭ;;;;L_
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　　　　　／　／/::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　 /.／イ::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ:::::::::/::::::ﾉ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.　　　　 /./　//:::::::::::::::::::::::::::::/　|:::::/::::::/ i::::::::::::::::::::::::: _ _ :::::::::::::::
　　　　　 |/　//::::::/:::::::::::::::::ﾊ:::| ./:::/三≧/／/::::::::::::::/　_　ヾ:::::::::::
　　　　　 |　/ .i:::::/i::::::::::::::::::| 升彡イニ￣　 /／i::::::::::| /　） i:::::::::::
.　　　　　　i　.l::/ ｨ::::::::::::::::::|　ヾﾃr j ／　　　　./::::::::::| ） /　.|::,:::::-
.　　　　　　|　.| ﾊ i:::::::::::::::::::ミ､　）‐'´　　　　　 /::::::::::::| / - ' ´三三　　　　　　　　私たちは企業連の考えが一切読めていない。
.　　　　　　 |　　| |.ﾚi::::::::::::::,､:ヽ＼　　　　　 ./:::_::::-:::'::´三三三三
.　　　　　ヽ　 | |　|:::::::::::/　｀ﾐ､_ ＼　　 _　- ' ´三三三三三三三　　　　　　　　　これはもしかしたら、蜘蛛の糸かもしれんぞ。
　　　　　　　Ⅶ　Ⅵ::::::::/_　　-　　　 Y´三三三三三三三三三三
　　　　　　　　ヽ　 V:::ﾊ:::::::＞､　　＿ .＼三三三三三三三三三三　　　　　　　　　チャンスには手を伸ばすべきだ。
　　　　　　　　　　／ヾハ:::/三 >'￣　　　ヽ三三三三三三三三三
　　　　　　　／三三三/三三ﾆ｝￣　　　 V三三三三三三三三三　　　　　　　　　……兵士連中に任せたら殺してしまいそうだしな。
　　　　　／三三三三三三三::i､　　　_ ィト三三三三三三三三
　　　　　 <三三三三三三三三三三三三ﾆ.| ヽ三三三三三三三
　　　　　　｀ -　､三三三三三三三三三≧／:::＼三三三三三三
　　　　　　　　　　｀ - ､三三三三三／／/）:::::::::人三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　＼三三ﾆ.／／/.//::::::::/ | |三三三三三三
4830： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:36:58 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. : ´: : : : : : : : : : : :｀_: . ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: -: : : : : : : : : : : : : : _:＼:＼
　　　　　　　　　　　　　　　 , -＜: : : : : : : : : : :ヽ: : : : : ヽ: ヽ:＼:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /: ,: : : : : : : : : : : :､: : ∨: ､: : :∨: _ : ヽ::.
　　　　　　　　　　　　　　,:': /: :/: : /:| : lV∧: |: : : V: :V: : :V: ,x: ∧::.
　　　　　　　　　　　　　 /: /: :/: : :l|: |: :l| 　 |: }: : : :|: : | : |: |/_,}:〉:､|: l
　　　　　　　　　　　　　.': .': : : : : :|:|_:|: :l| 　 l: | : : ∧: :| : |: |: : |/ : |: .　　　　　　　　　「そんな悠長なこと言ってる場合かよ！？
　　　　　　　　　　　　　|: |: : : |: : :|:l: :＼|　从|: ,: |　|:_／:|: |: : }_: : |: : 、
　　　　　　　　　　　　　|:∧: ,: V: 从ィ雫≧､　|∧:| ｨ≦雫ﾐ:|: /-ﾐ,|:|: :V＼　　　　　　　ンなことしてる間に、ノルドルムのリンドヴルムが
　　　　　　　　　　　　　|:{　V､: ∨:l∧ Vzり　　　}'　 Vzりﾉ|/r､ﾉ|:|: : |: ､:＼
　　　　　　　　　　　　　ゞ　 }: ＼〉:∧　　　　　　　　　 ,､_／: |:|: : |: : ＼:ヽ　　　　　俺たちを見つけるに決まってる！」
　　　　　　　　　　　　　　　 |: :|: :| : ∧　　　　　'　　　　　 ∧: :|: : |:|: : |: : : : ＼: .
　　　　　　　　　　　　　 .': :|: :|: /:个 .　　　V:::::)　　 . 个:l: :|: : |:|: : |＼: : : :､ヽ}　　　　やめーや！　なんでもええわ、けど殺すなや！
　　　　　　　　　　　　　 /: : :|: :|:八: }: | ＞　. 　　＜|＼: : : ,: : |: : ∧: |＼: : }
　　　　　　　　　　　　 ,: : :/:|: :|: : :〉l从/.|＼::｀´-:／ |、＼- ､: V:/: :l :|　 ∨|　　　　　　殺したらそこで終わりや。それは最後や。
　　　　　　　　　　　　 {: :/__|: √/　{' /...|　＞＜　　|..V　＼｀7'＞､:|__　}/
　　　　　　　　　　 / ｢￣´　 |:/ ＼　 ,'......|　////∧ /....∨ ／| /　　　｀Y⌒＼　　　　　　それに、人前でそないなことしてみい！
　　　　　　　　　　 '　 |´￣￣/ || 　 V....../|ｲ　〉-〈　 ,.........∨＼〉　　　 / 　　ヽ
　　　　　　　　　 / 　 ∧ 　／|/---/... /...|　////| ∧........∧￣￣＼　V　　　　 :.　　　　避難民から恐れられるにきまっとる！
　　　　　　　 /＿_/＿／｢￣　　 ,.＼/.....l　|/// |/...∨./.....∨ /　　∨　　　　　　＼
　　　　　　　/´　　／ | 　 /　　　 /.￣.........∨///_/.........＼.......∨ /　　}、　　　　　　　＼
　　　　　／￣￣￣￣　／　　　 ∧................ ∨...../..................>.....∨　＼＿＞----- 　、　＼＿＿_
　　　 /　　　　　イ＿＿＿/.....＼...............∨.,...............／............＼＿＿　　　　　　　　　＞￣　　＼
　　　／´￣￣￣￣￣￣.....{....................＼............V...........／.......................}､...............ー--　　＿＿_　　　　　＼
　／............................................人.......................＼........∨..／..........................人＼.....................................＼｀ヽ､
／.......................................／´　　ヽ:::::::::::::...........＼....∨................::::::::::イ　＼＼.....................................ヽ　＼　　　　＼

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構うものかと話を切り上げようとしたディランディを、はやてが声を荒げて制止した。
なのはですら場を収めきれなくなりかけていたところを、その一声で抑えた。

最後の一言に、誰も反論できなかったのだ。

平和な時間に生きてきた人々の前で、内通者を引きずっていき、
頭を吹き飛ばしたとして。

きっと、彼らの不安と恐怖は臨界を迎え、二度目の暴動が起きるだろう。

最初の暴動で既に死傷者が出ている。
一度はこの司令室の扉まで押し寄せてきたのだ。
今度こそ、この艦内の脆い秩序が音を立てて崩れ去るだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
4831： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:41:31 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　＿＿　　　　　　　　＿＿　　　　　　　,x≦ ヽ
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　　　　 /¨¨¨二ﾆ=‐--:.:.:.｀:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽr､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..
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　　　{/　　:.:.:.:/:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:. : |:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:}:.:l:.:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　　　……はやてちゃんの言う通り。
　　　′　 l:.:/i:.:.:.:. i:.:.:.:.:.:. |:. : |＿|:. |:.: : |＿|:.:.}:.:.:.:.:.i:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　　　　　 |: { |:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|斗: ´|:.:.:|:.:.|:.:.:´!:.:.:|｀ヽ:.: : }|:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　　　その内通者を営倉まで移送できますか、真壁さん。
　　　　　　Ⅳ {:.:.:.:.:.::.:.:.:.|:.:|:. : |:.:.:|:.:.|:.: : |: : |:.:.:}:.:.:.:/:|:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　 .::.:.:.:.ヽ:.:.: ゝ===‐'| /|:／ゞ==７:.:.:.:ｲ　!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　　　　　　「無論だ。既にその手筈を整えている」
　　　　　　　　　ﾏ:.:lヽト:.､ヽ　　　|′,　　　 /:／:. |　|:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　　ﾏ{　|:.:.:.:|ヽ、　　 r　ｭ　　／}:.:.: !　|:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　　　お願いします。
　　　　　　　　　　ヽヽ:. !　　ト　　　　イ､　i:.:. / ｜:.:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　　　　＿__ゝ{-,/| ＼＞＜／} ヽ|／、 :|:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　 r‐‐=ﾆ二::::::::::::::/　|　　〉r〈　　 i　‘，:::::::::::≧ｭ､:.:.:.:.: |
　　　　　/::::::}:::::::::::::::::::::_/　　|　 /{≠{∨　|　　.::::::::::::::::::::::::: ７､:!
　　　 /:::::::::ｉ ‐=ﾆ　　《　　 :|／ //l l ∨/l　　 }ﾆ=‐::::::::::::: /:: }|
　　　 /ヽヽ:: ∧　,　　　　ヽ__/ l　｀__Ll　 ′≪　　　　　｀　/:::::::i__
　　 .:　 //:: /　∨　　　〈　　 l〃:::::::::ヽ,'　　 7　　　　l　/ ',::::{{　ヽ
　　 {_ノノ:::/　 /　　　　 ∨ 　:l:::::::::::::::::,'　　 /　　　　 l:/ 　 ',::ゝ',　',

　　　　　　　　　　　　　-― -
　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　 ∠　―― -　　　:::::::..　　　＿＿
　　　　　ィ::i´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀::..､ l ／r――　＝‐､
　　　／::l::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`::'￣￣￣｀:..､
　　. /l::::::l::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣｀ヽ､:::ヽ
　　/::l:::::::l::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::ヾ:::::l
　. {:::::l:::::::l::::＼/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::ヽ::::::::lヽ::l　　　　　　　この艦内は今、秩序の残り香みたいなもので保たれてる。
　 l::::::ﾍ:::::::＼/::::::::::::::::::::::::::i::::::i::::l:::::l:::::::::::ヽ::::::::l::::::::l ヽl
　 l::::::::::ﾍ::::::/::::::/:::/::::/:::::::l::::l::l::::l:::::l:::l::l::::::l:::l::::::l::::::::l　|　　　　　　　一度失われたら、多分戻ることはない。
　. l::::::::::::ﾍ::l:::::::l::::::l:::::l:::::::/:::://::/l:_/l_｣_l､:::l:::l::::::l::::::::l
　　ヽ::::::r‐‐|::::::l::::::l:::_｣::-r‐:/7フ´｢/ .l/ｫﾐ:::l::::l::::::l:::::::l　　　　　　　　誰もが自棄になって、敵に殺される前に、ここで殺し合いが起こる。
　　. ヽ::{　　l:::::::l:::::l:´::l:::/∠ ﾆ＝ﾐ　ﾁﾟ://::/ /:::::ｲ::::/
　　　ヽ＼ヽ:::::l::::::l::::<´,イ　 ,ﾘ　　 .ﾑ//;ｲ:::/::::/.l:::/　　　　　　　　　 ……慎重にならないと。
　　　　ヽ:>ｰl＼{ヽ{ヽ{　辷z/　　　　 l'//::/l:::/ l::/
　　　　　V　 .l::::l` `　　　　　　　 v':/／ l:/　l/
　　　. r,/　　 .l::::l　　　　　　 _ ／l:::l:::l /'
　　　/〈ヽ､　　ヽ:ヾ､　　　 ´／::::::l:/:::::l
　　./　＼　ヾヽ､ヽﾍ/` ┬-....´:::::::::/'::::::::::l
4832： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:47:13 ID:BZifX/wU0: /∧　／: : : : : : : : ／: : : : : : : : : :彡: : : : : : }ミ: : )
//∧': : : : /: : : : /: : : : : /: : : : : :}: : : : : : : :{: : : 乂
///∧: : :/: : : : /: : : : : /: : : : : :/: : : : : : : : 乂: : : : ヽ
////∧: {: : : : /: : : : : : : : : : : :/{: : : : : : : : : : : ヽ: : : }
/////∧: : : :/: : : : : : :{: : : : :,/ 乂＿: : : : : : ヽ: :}: : /
//////∧: : {: : : : : :.:.人: : : :.{∠三三ヽ: : : : : :ソ: : 乂　　　　　　　送信されていたのは、おおよその位置情報だけだ。
///////∧: {: : : : : : : : :.＼:.人　＜以ヽ: : ／: : : : :ハ
////////∧乂: : : : : : : : : :ト､_＼　　..::　}／　`''＜.从/　　　　　　我々がこの海域にいることは知れているだろうが、それだけだ。
/////////∧　＼: : : :、: :人　⌒ 　　　　　　　　　/
//////////∧ 〈　￣｀`ヾハ　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　艦を最大出力で移動させよう。少しでも座標をずらすんだ。
///////////∧ ゝ　　　　　　　　　　　　,,　 '' ''　)
////////////∧＿Y　　　　　　　　　　 r ／二)　　　　　　　　　　まだ、間に合うはずだ……
///////////// |: :{ !　　　　　　　　　　〈　　　　|
///////////// |:从 !　,,　　　　　　　　　　　 |
///////////// |:〈今s｡.., ,, ,, 　　 ,,　　　　　　 |
///////////// |　　　　　　　｀゛¨ '' ‐-　...,, __人＿＿
///////////// |_,,..　-‐　'' "´:::::::::::::::::::::::::::::::::＼:i:i＼i:i｀`～､、
///////////// |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:i:i＼i:i:i:i:i:i:丶
//////////////:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨:i:i∨i:i:i:i:i:∧

　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　 _r'´::::::::｀ｰ:､
　　　　　　　　　　f― ､::::::ﾉﾆｰヽ
　　　　　　　　 /　　,r':.´‐:､:.:.:.:t
　　　　　　　　 /　　/:/:.:.:.:i:.:.:.:ヽ:.ﾐﾂ
　　　　　　 /　　 /:.|:.H:li:.:ﾄ､:.:.:i:.:.)
　　　　　　ノ　　　 |:.ﾘ:.j || i:.:V:.:.:|:.i ＼_
　　　　　/ 　　　 |:l{rﾄit_´''ｰr-ﾉ､し　｀､　　　　　　　　　　……ああ、クソったれが。
　　　　 i!　　　　　ﾄﾐｪ ___｀彡:.ﾉ:ﾉ　　　ヽ
　　　　　}}! _j_　 ,ｲ }ﾂ:.l ｰ '´ｨ:.:{ゝ　　　　　 |　　　　　　　　　どうしろってんだ、まったく。
　　　　./r//:::r‐｀ヽ{　｀ L/　‐''　|ノ　　　　ﾉ
　　　　 .〕jJノ-'´ヽ::ヽ　　　　ﾉ　　　　　{　　　　　　　　　　　ちょっと前まで、普通に仕事してたってのによ……
　　　　./::.:.:.:.:.:.:.:.:iヽ::::)､　　　 |　　　　　　ヽ
　　　　j:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.l:T´　ヽ　　 7￣｀' ｰr--ｯ)　　　　　　　　　　なんでこうなっちまってんだか……
　　　/::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.l　　｀ｰ､_　　　 /- '´
　　 /::::.:.:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.|､　　　　ヽ　 /!
　　l::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.:l.ヽ　　　　 /ﾉ
　 .|::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:l　ヽ.､　　 /::t
　 .|:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::.:.:.:|二.)-ﾞー:':.:.:.:ヽ__
　 .|:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:|:::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:ｰ- .._
　　l::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::/:.:.:.:.:.:.:.|::::::::::::.:.:.:.::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:..､
　　|::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＿＿｀_‐_.._
　　|::::.:.:.:.:.:.:.:.:/ ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;.r:':´:::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　|:::.:.:.:.:.:.:.:./　　￣￣￣￣｀''ｰ- ､::::＿／:::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j
　　|::.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　　 _,....-―‐:.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
　 /::::::::::::.:.:.:.|　　　　-―'''''''''´:.:.:::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: - ''´

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
皆に一様に諭され、ディランディは肩を落としたかと思うと、
そのまま座り込んで片膝を抱え込んでしまった。

ぶつぶつとため込んでいたものを吐き出しながら、
現状を呪う彼の背中を見て、黛が何を思ったか駆け寄っていく。

誰もが、それ以上の言葉を発せなかった。
口を動かし舌を回す力すら、残っていなかったのだ。

重苦しい空気が簡易的に設けられた会議室を覆いつくし、
その場にいる人間が例外なく、視線を落としていた。
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4833： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 21:55:03 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.. ..: ,,.::..,.,,::,;;::,::,,;;,::;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　.,　..　　..:.　　... ,.. .. . ..,...::,,::.:;:;;:..:;:.;:;;:,.,,,:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.. 　　　.:..::..,....::.,.;:;..,:.:;;:,,.;.;::;:;;:;;:,;,,;:;:;;;;;;;;;;;;;;,;,;;;;;;;;
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .. .,..::,:,:,,;:;::,,:;.:,,;:;:.:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..　　:;; 　:;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .. ..:
　　　　　　　　　　　　　　､＿刈从WWWW从从≦二ィ_,_
　　　　　　　　　　　　､_x≧W从从从WWi{从从从i从ア
　　　　　　　　　　　ィW洲从从}i州从ハ从从}Wkく :.
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　　　　　　　　　　　　　洲W从从ﾘ{ィ＝≦壬r示≧＝代 :
　　　　　　　　　　　　　刈洲W{iﾚ'´ 込Z弐シ　{Z弐近{　:.　　　　　　　　あぁ、そいつな……今頃営倉にぶち込まれてるよ。
　　　　　　　　　　　　　ｲ洲ｒ=i{|　　　　　　 _ 冫　　 }　:.
　　　　　　　　　　　 }从{ V|i ､_　　　　　　 ′　　 .'　:.　　　　　　　　つい最近移住してきた人間だったんだが。
　　　　　　　　　　　　　从 {_　　｀　　　.ィこ> 　 ,'　 :.
　　　　　　　　　　　　　　　　}ﾄ､_ 　　　　｀二　 /　　 ::.　　　　　　　　まさか内通者がいたとはな。
　　　　　　　　　　　　从汽　　　　　,ｨi斥仆v　　　:.:
　　　　　　　　　　　　　　　洲　｀ー‐-　{i｣从｣ｼ{　　　.:.　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ]}　　　　　　　　　|　　　.:
　　　　　　　　　　　　　　／.::i｣　、　　　　　 j＼_　: .
　　　　　　　　　　 _ 　-‐ {::::::::{、　　、　　　　 / {ヽ::ヾヽ、
　　　　　　　　 _／　　　　|::::::::| ＼　　、　　　{　　ハ::.:.:.. ｀丶、
　　　_ 　-‐　´　　　　 |::::::::|　　｀ヽ､__　　　／　 ',:.:.:.. i　　｀`丶、
　　／　　　　　　　　　　|::::::::|　　　　　｀ヽ.　 {_ 　　',:.:.:. i　　　　　　ヽ、
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　　　　　　　　ヽ　　　 |::::::::|　　　　／,ア￣￣｀ヽ　l:.:::::::l　　　　　　　i　　　`､
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　　　　　　＿＿＿
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　／　　　ノ　ヽ､_　　　＼
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　＼ｌ^l^lｎ__人__)　　　／
　／ヽ　 L⌒ ´
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「なぁ、おまえはどう思うよ」

電子タバコを吹かす長谷川がおもむろに問題を投げてくる。
内通者、つまりはノルドルムのスパイがどういった事情で紛れ込んでいたか、
という問題だろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
4834： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 22:01:47 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　､_,ヽ＼汁|ヽヾ_,_,
　　　　　　　　　　　　　　　　｀久匕卅从W勹災七
　　　　　　　　　　　　乂从Ｗ仆幵卞从Wﾐ
　　　　　　　　　　　　 YヾlVlN从ﾏ大Ｗ从ﾀﾞﾐ
　　　　　　　　　　　　ﾉ　　 ∨r ､卞卅从从　　　　　　　俺はよ、偶然だったんじゃねえか、って思うんだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　r}-―==ヽ）}从ｵﾐ仆匕
　　　　　　　　　　　　　　　　｀l　　　　|i/ 'W从卅冫　　　　　　　ノルドルムは企業連の中でも変わった立ち位置だ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　',　　　　　 W从彡'
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　　　 ,　 ,r'´￣　　　　　　　　　IGIOにも、元は無理やり取り込まれたわけだしな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 """"ヾ／／´///
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l/´//////　　　　　　　　 IGIO傘下じゃあるが、IGIOと確執がある。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/////////
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //////////　　　　　　　　どこの企業とも深い繋がりがあるわけじゃねえ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{/////,r'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ//,r'´　,r'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）'´　,r'´

　　　　　　　　　　　　}ｉ|ハi从}ｉ｛{ｌ|W从川｛ {从i|{　 i　!　　　　　　｛_
　　　　　　　　　　　　V 　｝ハハ{V 　 Vハ{｛i｛ハ :{i｜! 　　　　{｛｀′
　　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　|Ｗ从小j！i !i|　 ,　､_≧ｧ
　　　　　　　　　　　ﾑ　　　　　　　　　　 |/}ｲ小j｝}_} ｝!}W￤　｢广
　　　　　　　　　　　｣__＼､　　　　_　　-‐　　　|/}/从从从ｉ｛ﾊ　｛
　　　　　　　　　　　{ f≧メ}､_,)≦二 __ 　　　　 |/ﾑi7'⌒Ｖ小!|W
　　　　　　　　　　　‘斥沙′｀} ]三三ミF￢＝＝≠f/　　　}仆{ハ!
　　　　　　　　　　　　｛　/　　‘弐三三ｦ　　　　　}小／　从｝Ⅵド　　　　　　　「どういうことですかお？」
　　　　　　　　　　　　 ∨　　　　　｀￣´　　　　　 l/ﾉ__／/从Wバ
　　　　　　　　　　　　　}〉--､　　　　　　　　　　　　　　_ ｲ/}|V/　　　　　　　　　多分、あちこちに送り込まれたノルドルムの産業スパイが、
　　　　　　: 　　　く_､__　　　　　　　　／　厂´}ｉ||Ｖ|ﾄ|{
　　　　　　:　　　／∠}厶_　　　　　　　/　　 /　　|ﾊ|｣｛i　　　　　　　　　　　たまたま生き残ってこの潜水艦まで避難したんだ。
　　　　　　　:　　／／　｝>r‐ ｀　　　　　　　 _／　　　　|从{了
　　　　　　 :. ／／　　 }i|ｌ}ﾄ､_　　　_　 -‐ 　　　　　／｛_　　　　　　　　　　……企業連が仕組んだ一連のコトとは無関係かもしれねえ。
　　　　　　　　`ﾞ´ 　　　ﾞｰ≠≧=≠ 　　　　　　／　　　{ﾍ._
　　　　　　　　　　　　　　_／　　　　l　　　　　　／　　　 ,′ ＼_　　　　　　それなら、藪医者の言う通り、逆にチャンスかもしれねえぞ。
　　　　　　　　　　　　　´ ハ　　　 |　　　　　／　　　　/　　　 }＼
　　　　　　　／　　｛　‘.　　　｣　　　　／　　　　　　/　　　　,′
.　　　　　　　　 / 　　　 !　 }i　／　　　　ハ　　　　　　, '　　　 /
　　　　　　　　/　　　　　 |／∧/　　　　　 {　ヽ. 　　／　　　　 /
　　　　　 /　　　　　 /　/　｛＼　　＿｣　　＼／　　　　 / /

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正直に「分からない」と返すと、長谷川は深く息を吸い、講釈を並べた。

河川敷で昼間から魚釣りと魚焼きに勤しんでいたとは思えない様子に、
しばし唖然とさせられる。彼はこんな男だっただろうか。
もっとちゃらんぽらんで、こう、典型的なダメな大人という印象だったが。

「俺はもともと実験部隊の出……兵士の中では企業の内情に近い立場だった
人間だったんだぜ。奴らの性質や関係も知ってる」
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4835： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 22:06:07 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　 -─―- ､
　　　　　　／　　　　　＼
.　　　　／　　　　　　　　　　＼
.　　　　/ 　　　　　　＿／::::::＼_ヽ　　　　　……気にならないでもないけど、正直、そんなことより。
　　　　|　　　　　　　　　:::::::::::::::　 i
　　　 | 　 u　　　（　●)::::::::::( ●)　　　　　「うんざりしてんのは分かるっての」
.　　　＼　　　　　　 (__人_）　 /
　　　　＼__ 　　　　　　／　　　　　　
　　　　　　／　ｰ──―一'´＼

　　　　　　　　　､_／N从ﾏ大Ｗ从＼l　ﾍ卅从W勹災七災七
　　　　　　　　　　乂;从l勹|＼|　＼l　　　ﾍＷ从ﾀﾞﾐ从ｵﾐ仆匕
　　　　　　　　　￣Y毛l＼l　ヽ　　　　　　＼W勹災七卅从
　　　　　　　　ﾍl＼l　　　　　　　　　 , r '´
　　　　　　　　　　　　　 ', ;;　 /　　　, r ' ´
　　　　　　　　　　　　　 ',;;; /　, r ';;´''
　　　　　　　　　　　　　　 j ,ｲ､'´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これが本当の戦争ってヤツなんだろうよ。
　　　　　　　　　　　 l //ハ
　　　　　　　　　　　　｀lヽ//i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　暮らしてた家や町、保障されてた平和、
　　　　　　　　　　　　　　　｀| ｀ '
　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何もかもが滅茶苦茶になる。
　　　　　　　　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　 l_＿r‐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　企業連お抱えのリンクスやレイヴンには分からねえ。
　　　　　　　　　　　　　｀i
　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿ヽ==‐―'　　　　　　　／　　　　　　　　勝っても負けても何も残らねえ。
　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣ l 　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　／　　　　　　　　　　　生き残ったところで、待ってるのは戦後の壊れた世界だ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋ilililililililiツ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'''''''''''´　.｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',
4836： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 22:11:26 ID:BZifX/wU0: 　／////////// // ' }/　　`　ヽヽ　`　∨∨/|∨/////////////∧
　／///////{|/ ∨　　ｌ　　　　　　　　　　　ヽ} }∨////////////∧`
　￣|///∧/!|　　　　　!.|　_,ｨ彳　　　_ｨ＜==ｭ､､_ }∨/// /⌒∨////＼
　　 |/ }.//|∨　､　　　ｌ_〃´,ｨｪ≦三三三}　　¨`y'∨//!}／ヽヽ//∧￣
　　　 /／ |　 _ｨｪｪｭ、,ｨｪｪｪ≦三三三三三}　　　　　|//|ヽ}　　　ｌ//∧
　　　　　　{　　　＞≦　　　∨三三三沙¨´　　　　　 ∨|　　　　.}//| `　　　　　　気楽なもんだよな、お偉方は。
　　　　　　＞≦三三:i}　　　 ∨沙イ　　　　　　　　 /　ﾘ　〉　 ///∧
　 :.　　　　∨三三三ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ｌ　　 //////＼　　　　　幾らミサイルぶっぱなしたところで、
　　 :.　　　 ∨三沙´/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿///////∧
　　　 :.　　　　 |　　〈　　　　　　　　　　　　 _　　　　　　　|　 |/////∧　＼　　　　てめえ自身は弾丸一発貰う気もねえで座ってやがる。
　　　　 :.　　　ヽ　　ヽ　　　　　　　　　_,ｨ　'　＿＿＿__/＿|幺幺幺＼
　　　　　 :.　　　∧　　　　　__ , ｨニﾆ￣　　 |￣＿＿＿＿＿＿＿＿二二二　　　　 ……そんなだからこそ、戦争なんて始められるのかもな。
　　　　　　:.　　　∧　_ >イ- イ　　　　　　ｌ　}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　
　　　　　　　:　　 .＞´-‐ ´､ -‐‐''　　　　　　ｌ　ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　おら、着いたぞ。さっさと寝やがれ。
　　　　　　　　<ﾆ彳_ >　　　　　　　　　　　　ｌ　ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　＿＿　-‐ ¨, ｨ　∧　　　:i:i:i:i:i:i　　　　 ‐ｌ　ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　俺だって嫁さんとガキほっぽっておまえを送ってんだ。
　<￣　＿_　-‐　:::::::::::::::∧　..:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／　ｌ　ｌ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　∨　<::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i ＜　　　ｌ　ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　　　さっさと戻らせろや。
　　∨ ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ｰ‐‐ 'ヽ　　　　　 }　}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
4837： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 22:11:42 ID:BZifX/wU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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4838： ◆x0SRSoJXe.：2022/03/24(木) 22:24:26 ID:BZifX/wU0: 短い……我ながら短いが今日はここまでだ。

次回は来週の木曜、4/7からとしよう。

許して……許して……
4839：安価のやる夫だお：2022/03/24(木) 22:29:50 ID:ACkNWSh60: 乙
体は大事にね
4840：安価のやる夫だお：2022/03/24(木) 22:33:03 ID:aOwWFI1M0: 乙でした
4841：安価のやる夫だお：2022/03/25(金) 20:49:40 ID:q22YJ8AE0: 乙ゥ～
4842： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:01:12 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　／||ミ
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　|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
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　|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _ｌ　　　　　　　　ハロー。
　|:::::::::::::::||: : : :-=´_　_,´　　　　　　
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　|::::::::::::::(___＿＿ノ´||　　　　　　　　
　|::::::::::::::(_ノ／ . . . ||
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　　　　＼||
4843： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:08:12 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　_　_　_
　　　　　　　／: : : : : : ｀i
.　　　　　　i: : : : : : : : : :!
　　　　　　　､: :○: : ○: :!
　　　　　　　 i: : : : : : : : : i　　　　　　　　　延々とワクチン3回目を撃ち損ね、ワクチンチン止まりのモコイさんだよ。
　　　　　　　 l: : :,, --_ｯ: :',
　　　　　　　丶｀‐'´: : : :ﾉ　　　　　　　　　いつになったらワクチンチンチンになれるのやら。
　　　　　 / ´: : : : : : : : ｀ヽ
　 . 　　　　/: : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　周りは濃厚接触者になって一週間自宅バケーションしてたり、
　　　 , -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　／: : : ,-ｲ: : : : : : : : /｀丶: : : :､　　　　　しょーじき羨ましい。はじめてこっか。
　ｒ⌒ ,／　/: : : : : : : : i　　i: : : : i
　 ` ‐ '　　/: : : : : : : : : |　　 ! : : : |
　　　　　 i: : : : , _ -‐ ´,) 　｀ヽ _|
　　　　 (_ _i￣(_　-‐'´i
　　　　　　|　:|`‐´i : : : : |
　　　　　 |: :ﾉ_ _ ﾉ: : : : :|
　　　　　 |: : : : : |: : : : : !
4844： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:09:35 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒＞ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　／／ト _　　＞　_
　　　　　　　　　　　　　　　　／／　　　　＞　_　　＞､
　　　　　　　　　　　　　　／／　　　　　　＞ ,_　 )>､
　　　　　　　　　　　　／／　　　　　　　　　　　　／,ｨ':::ｦ’
　　　　　　　　　　　　　　／／　　　　　　　　　　　　／,ｨ':::ｦ’
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　　　　　　　　　／／　　　　　　　　　／,ｨ':::ｦ’
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　　　　　　　／　｀＜　　　　　　　　／,ｨ':::ｦ’
　　　　　　　( 　　　　_｀＜　　　　／,ｨ':::ｦ’
.　　　　　　　　｀_＜　廴 )　　｀＜／,ｨ':::ｦ’
　　　　　　　　＞｀_＜　　　　　 ,ｨ':::ｦ’
　　　　　　　　　　＞｀_＜__,,ｨ':::ｦ’
　　　　　　　　　　　　　＞::_::ｦ’

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明かりを落とした部屋の中、ベッドの上で膝を抱え、毛布をかぶる。
身体こそ横たえてはいるものの、眠る気など毛頭なく、PDAの画面を眺めていた。

眠れるわけもなかった。
あれだけのことがあったうえで眠れるほどの図太さもない。

海流も穏やかなのか、艦内の揺れも穏やかで、やけに静かだった。
余計なことを考えさせるには十分すぎるほどに。
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4845： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:20:55 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　 V, :::::::::::::￣”三二ニ＝…‐一
　　　　　　　　　　V, :::::::::::::::::::::::::::::ー=≦
　　　　　　　 _______V, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::......
　　　　　　 V, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧=ー
　　　　　　　　V, ::::::::::::::::::::::::::::::::::V, ::::::::::::::::::: く
　　　　　　　 / V, ::::::::::::::::::::::::::::::::::V, ::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　 i{::::: V, :::抖rｾ〔:::::::::|:::::::V, :::::::::::::::::::::::: ＼
　　　　　　八|::::::V, ::芹テﾐx::::: |:::::::: V, ::::::::::::::::::::::::___＼
　　　　　　　 |::∧;V,:| ﾋﾘ　〉 :: |ヾ ::::: ｉ､:::::::::::: |:::::::{
　　　　　　　 l/／　 :!　　　　V,:|　}ﾊ::::|ﾉ :::::::::: ﾄ､::::{
　　　　　　　　ヽ　　{ 　　　 vl　八V|::::::: | ::: |　ヾ{
　　　　　　　　　　ゝ‐－'　　　 }/: : |:ﾘ:::::::::ﾄ､:::|
　　　　　　　　　　　}　　　 . . : : : : : ::l∧:::::: |　ヾ
　　　　　　　　　　　ゝ=≦: : : : :｢三二ﾆﾊ从l］
　　　　　　　　　　　／　ヽ: : .:|三二ﾆ=―　|_
　　　　　　　　　　入_／ﾆｱ : : !三二ﾆ=―=ﾆﾊ___
　　　　　　　 r≦三三}ﾆア___ ノ三三二ニ＝―=ﾆ二≧x
　　　　　　　 |三三／ﾆ7　　|三三二二ニﾆ＝―=ﾆ二二＼

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無軌道に指を滑らせていると、アルバムが出てきた。
ストレージの中には、幾つか写真があった。

カズキが休業すると連絡してきた後、送ってきた写真だった。
妻だと名乗っていた女性とのツーショットに視線を持っていかれる。
病院の帰り道だと聞いていた。

並木道を背に、心の底から弾けるような満面の笑顔を湛えるカズキの隣で、
少し照れ臭そうに肩を抱かれる女性の姿が映っていた。

今頃、カズキはどうしているのだろう。
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4846：安価のやる夫だお：2022/04/07(木) 20:22:04 ID:Rr3qMD.Y0: 何か敵として出てきそうな悪寒が
4847： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:24:47 ID:Xhr4HBQs0: ＿_|│　＼＿＿
　　l└┐　ｌ　＼＼
二二＼　 |　＼|　　＼
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　＼＼　ヽヽ＿＿￣＼> ＼
､　　＼＼}　 }////,＼　　＼　､　
　＼＿､ﾉ　///////∧__　　＼､
　　　＞─く/⌒ｌ///////ﾄ､.＿_＼
　／　|　　 |￣ｌ L//////,|　　　￣
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／┌　 >⌒＼　　　/＼/,ｌ
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＜　 {
　＼ｌ
＼　＼
　 | 　　ヽ
　 |　　　 }
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　 |　　|　ﾄ､＿＿　 -─‐-､
　 .＼　＼|　　　｀r＜⌒ヽヽ　
　　　＼ .l 　　　 /7⌒＼　}　}
､　　　／lヽ　　 .l |　　　＼ノ
　＼／　 |　|　　 | |　　　　＼
　　〉─○.ﾉ　　 LL.＿＿＿＿＼

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今になって分かるのは、自分がどれだけ恵まれた環境にいたか、ということだけだ。

任務を受け、仕事を全うし、報酬を受け取って生活する。
銃口を向ける相手は企業が選ぶ。
ひとたび戦場に出れば弾丸の雨に晒されるが、それでも自分はリンクスだ。
他とは違う、ネクスト機の搭乗者という絶対的な優位性の下戦っていた。

仕事を終えてコロニーに戻れば、戦争経済の上層に居座る特等市民ID所持者。
食うにも寝るにも困らない生活が待っていた。

それが今ではどうだ。

かつて口減らしでコロニーを追われ、テロリストの汚名を着せられ、
企業から武器を持たされ代理戦争に駆り出されていたクーガーやカズキも、
こんな気持ちだったのか。
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4848： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:26:57 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　＿＿__
　　　　／　　　　＼
.　　　／　　　　　＼
.　　／　　　 ―:::::::::ー　＼　　　　……もう会えないのかな。
　　|　　　　（●）::::::（●）　|
.　　＼　　　　（__人__）　／　　　　いや、次に会う時は……
.　　　ノ　　　　｀ ⌒´ 　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

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明日も知れないその日暮らしなど、慣れたものだと思っていた。
引きずり戻されるその時までは。

リンクスとしての暮らしに浸かりきった自分の心身は、
かつての路上暮らしのような不安定さに酷く参り切っていた。

明日にも、少し前まで友人として会っていた人物と戦場で出会うかもしれない。
敵として。

ディランディの気持ちが痛いほどわかった。
自分だって、こうなる前はただのリンクスだった。
企業連に体よく使われる独立傭兵。それでよかった。そのはずなのに。

後悔しているわけではない。
これははやてを、一時の平和を過ごさせてくれた場所や人々を守ろうとした結果だから。

けど、どうしても思わずにはいられなかった。
なぜ、こうなってしまったのか。
どうして今、こんなことになっているのか。
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4849： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:37:28 ID:Xhr4HBQs0: ────────────────────────────────────────────────────
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　　　　／　　　　＼
.　　　／　　　　　＼　　　　　
.　　／　　　 ―　　ー　＼
　　|　　　　（●）　（●）　|　　　　　　……
.　　＼　　　　（__人__）　／
.　　　ノ　　　　｀ ⌒´ 　＼　　　　　　　（どうやって持つんだっけ……）
　／´_＿＿＿　　　　　[｢「l＾＼
（　　　　　　　＼　　／`气⌒ '.　
　￣丁　￢=> ｝} 〉彳　　｛　ﾉ

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　　　　　　　　　　　　　　　 /: ／: : :/: |: |: : : : |: ﾄ､_: : : : :|/| Y : : |: :|
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　　　　　　　　　　　　　八: :､: : 圦弋_:ｿ　i　　　｀ ¨¨　 {:|, /:|ﾏﾑ:|: : :.　　　　　　　　　　　ね、一緒に食べていい？
　　　　　　　　　　　　　　　　＼〉､: : ＼　　､　　　　　　 |:|ｲ: :! }/| ,　　､
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先の戦闘で、スタリオンの爆発に巻き込まれた後、
ディランディ隊と黛隊に討ち取られたリエラのことを思い出す。

自分が直接手にかけたわけではなかったから、
彼女の死は情報として聞かされたに過ぎない。

自分が死に物狂いでロストワードを相手どっている間にノーマル隊と戦闘。
ロストワードの撃墜に動揺したのか、動きが止まったところを飽和攻撃を受けて
撃墜された、とのことだった。

大破した機体は回収され、コックピットブロックは炎上して黒焦げになっていたらしい。
中には炭化した遺体が辛うじて残されていたそうだ。

少し前まで、想像できなかった。
フォークの扱い方も忘れて、周りから敬遠された中、ただ一人同じ席に座ってくれた。
リンクス養成施設の中で、唯一自分を友人として扱ってくれた女性。
そんな女性も、今では死体袋の中で、死体の山に埋もれている。

薄々覚悟はしていたはずなのに、実際に起こると、堪えた。
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4850： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:43:35 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　／─　　─　　＼
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　　　　　　　|　　（__人__）　　　　　 |
　　　　　　　＼　　｀ ⌒´　　　　_／
　　　　　　　　/ l　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　/ /l　　　　　　丶 .l
　　　　　　 / / l　　　　　　　 }　l
　　　　／ユ¨‐‐- ､_　　　　　l　!
　　_ ／　　　｀ヽ__　 `-　　　{し|
　／　　　　　　　　　　｀ヽ　}／
　　　　　　　　　　　　／／/
　 ,,, ＿＿ __＿　_／／_/

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戦うべき敵も、与するべき勢力も、今となってはもういない。

企業連は桜花重工を潰したがった。
そして今、桜花の残党である自分たちを駆逐したがっている。
何かしらの不都合か、不利益があるのだろう。

不当な粛清の証拠を消したいのかもしれない。

本来、彼らは統治機構だ。戦闘要員はともかく、市民は守る義務がある。
コロニー・アマツへのコジマ爆弾投下は明らかな条約違反でもあった。
市民たちの生存自体が、企業連の汚点を証明しているわけだ。

企業連に抗することができる勢力や組織などありはしない。

自分たちは今、正真正銘、パブリックエネミー、世界の敵となったのだ。
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4851： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:53:25 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　／　　―　＼
.　　　　　／　　(● )　　ﾍ＼
　　　　　|　　　（⌒ 　 (● ) ｜　　　　　で、今はノルドルムに座標がバレて、逃げ回ってる。
　　　　ﾍ　　　￣｀､__）　　｜
　　　　ヽ　　　　　　　｜　　　　　コジマ爆弾の雨かお。こうなっちまったら冗談と笑えねえお。
　　　　　　, へ、　　　＿／
.　　　　　 |　　　　　＾ヽ　　　　　　　　……電話？
.　　　　　 |　　　　　　１　 |

　　 /　　　 /'　/　　　　　/　,:'くヽ／　＼　,、ﾍ　／i
　,:'　/　　　,:　'　/　'　/　/　,:'／　／＼丶＼ゞ」ﾉ丿
'　 ,:　　　/'　　／￣￣　;;＼＼へ＼　|｜　　　|／
'　/　,:'/,:　　／（〇）　（●）;＼　 Y´　|ノ
/,:　　　　／　（__人__） :::::::;;;;;;;;;＼　　,:'/,:　　　/'
/　,:'/,　　|;;;; ::::｀ ⌒´:::::;;;;;;∪;;;;;;;;;;| '　/　/　,:'/,:　　　　……なんで？
　/　　　　＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,／'　/
/　　/'　　／　　∪　:::::::::;;;;;;;;;;;;;＼'/　　/'
/　,:'/,:　｜::Ｙ　　　　::::∪;;;;;;;|;;;;;｜/　,:'/,:
　　　　　｜｜∪　:::::::;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;｜

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どうにもならない物思いに耽る中、PDAが震えだした。
通話の呼び出しがかかってきている。

CDCからの緊急連絡かと思い、飛び起きようとしたが、
画面に映し出された名前を見て凍り付いた。

見慣れた名前の下の応答ボタンを、震える指で触り、耳に端末を押し当てる。
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4852： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 20:53:36 ID:Xhr4HBQs0: ────────────────────────────────────────────────────
　　　　　　　　 _,.　-ｒ‐､
　　　　　 ,∠ ―　,ｒヽ)ﾉ　　 ‐　、
　　　　 / 7　‐-,. ( ）'ﾉ　　　　　　　、
.　　　　 i　; 　 ,‐!ノ'ノ　｀/　　 ,. -
.　　　　 '　:,_/〉-,ノ　　 ./　　 /"　　　　ヽ
.　　　　　ｒ/_.'-‐' 　＼ .'　　　/　／　　 !　､
　　　　 `! !.　　　､,.ヽ!　　_./／' ,. ｨ　 i　! }
　　　　　　', !　　　 /､ﾉ|　　 .た!ヽヽ/ ノ'　;.ﾉ
　　　　　　　、、　,ﾍヽ.l 　 l l　　　´　,/,ｲ/
　　　　　　 V/＞/∧ l　　!l.　　　 {.'　.l　　　　　　　　　　　――やはり生きていたようだな。
.　　　　　 _l'/////∧l　　l|　- 、 ,.ゝ　l
　　　　 ,ィﾆ二二ニ_＜,.――--＜!　　l.|
　　　　 /二二二二／::::::::::::::::::::::::::::＞､i|
　　　_,./＞''" -=／::::::::::::＿＿:::::::::::::::::/}
― /ﾆｉ.lニニﾆﾆ{::::::-:::￣::::::::::::::::ヽ:::::://
::::::i=ﾆ!.!二二ﾆ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::; '
:::::l=ﾆｌｌ二二/:::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::::;:〉
::::lﾆﾆl ｌニﾆ〈::::::::;:ィ二ニ=_､,､::;:::::::jム
::::!ﾆﾆ!.ｌ-=二';:::://:::::::::::;::ﾆ//ヽ::::/ヽ!ﾑ
::::!/ ,イニ=-__ヽ/:::;ィ////////＼ニl.!ﾆ!
::::l'/ニニニニ＜/////////＞!/∧=!l=l
:::::ﾏﾆ二二ニニ!＞_､//／////＞,/｀マ
:::::::ﾏﾆ二二二ﾆﾑ＜///////＞'"////＼､
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紛れもないアルトリアの、抑揚のない無感情な声が、鼓膜越しに心臓を握った。
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4853： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:01:21 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　＿＿＿_
..　　　　／　　　u　＼
　　　／　　／　　＼＼　　　　　　どうして……
..　／　し（○）　（○）＼
　 |　∪　　（__人__）　 J |　　　　　「……大方、あなたの予想通りだ。私は今、リンドヴルムに乗っている」
..　＼　　u　　｀⌒´　　／

┌───────────────────────┐
│　　　　　　　　 ┌─-, . ‐´￣￣　｀"'ｰ､　　　　　　　　　　...│
│　　　　　　_-‐┐'"~´ 　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　 .│
│　　　　　ｌ::..／　　　　　 _-　　　　　　　　　｀ﾞ､　　　　　　　.│
│　　　　／`/　　　　　／　　　　　　　　　　　　　:ヽ　　　　.....│
│　　　丶:::/、　　　　/　　　　 l　　　　 l　　ヽ　　 :ヽ　　　　 │
│　　　 /`/、ヽ /　 /　　　　　/　　　l.　 l　　　ヽ　　:::ヽ　　　 │　　　　　　私は今、あなたのいる潜水艦を撃滅せんと動いている。
│　　 <:::/　ヽ/　 /　　　　/ /　　　/ 　ﾊ　l　　l　::l::l:::ｌ　　　 │
│　　　ﾍlヽ／　　l　　　　/ /　　　/ | 　l. l　ｌ　:::ｌ:::::l::l::l　　　..│　　　　　　移動していたようだが、今しがた位置を特定した。
│　　 /::::l.:/　　　 l｀＞ト､_/　　／　/ /　l　ﾊ　:::ｌ:::::l::lﾘ　　......│
│　　ヽ／　　　　 l　/r-ﾃｪ.､ﾐﾄ､　/ /　/　l,＞''7:::/l/　　　.....│　　　　　　……やろうと思えば、ここからアサルトキャノンを撃ち込める。
│　　 /　　　　/　l/　', {. {}　l　ヽ_ﾞン　 /,ｨ,.r-, /レ'、　　　　 │
│　　/　　　／l ./ﾄ, 　ヽ.. ノ,.　　　　　ｲi;ﾘ '/::::::::ﾊ　　　　....│
│　 //　　/ヽ´/ .l 丶　｀￣　　　　　　ゝ'_ /ｌ:::::::::ｌ::l　　　　...│
│　 l::ｌ　　/ 　l .lヾl::::::::ゝ　　　　　　　 l　　 ,　ｌ::::::::ﾊ::l　　　　..│
│　ﾚl　 /　　l l　| ヽ::ﾞｰ'´/　　　　_　　　ノ　ｌ:::::::::ｌｌ:l　　　.....│
│　　 l　ｌ　　rヽl――｀:ｰ┐:ﾍ　´　｀／　　ｌ::::::::/ ｌ:ｌ　　　....│
│　　丶l　　 |:::::::::::::::::::::::::|丶､ヽ　イ--「:|　 /:::::::/　,ﾘ　　　　.│
└───────────────────────┘

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機械じみた調子で死の宣告をつらつらと並べるアルトリアに、通話越しに戦慄する。

とにかくまずい。
それが事実であるのなら、もはや間に合わない。

自分がマーシフルに搭乗する時間を待たずに、彼女は海面へ大量破壊兵器を
叩き込み、海を干上がらせ、この潜水艦を蒸発させるだろう。

が、そこで違和感に気付いた。
だとするなら、なぜそうしないのか。

「そうだ、取引だ。私はノルドルムより、あなたたちとの交渉を命じられている」
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4854： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:08:05 ID:Xhr4HBQs0: ┌───────────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　　　　　　,. -―‐=- 　 _　ヽ　､　　ヽ、　　　　.....│
│　　　　　　　　　　　　　　　／＿/ '´　　　　￣｀､　ヽ　ﾉ .）　　　　　.│
│　　　　　　　　　　　　　 ,.' l´.／　-‐ ア'"　　　　ｰ-　　＜　　　　　 .│
│　　　　　　　　　　　／./'" 　 ,∠　　　 '"　　　　　　 `　　　　　..│
│　　　　　　　　　　　　　V/　、　-‐　／　　 ,.　 ´　　　.　ハ　ヽ　　　...│
│　　　　　　　　　　　　 , '/ヾ、,.'　／　　／　_,.　‐ ／　.' 　 ! 　 '　　　 .│
│　　　　　　　　　〈　!､ヽ'　 , /　'／ .／ｰ-'"／ ,. ' 　 / !　ﾄ. '　　　.│
│　　　　　　　　　　　ゝl.／　　ｌ/, /／ハｆ:;ﾃ＜"／　／ /　 ! ｿ　　 .│
│　　　　　　　　　 ,.　´ i／　　 / ／!（　´ 　｀ｰ　 / ／　,ｲ/ ｲ,ﾉ　　　　 .│
│　　　　　　　 {'　,.'／'　 ,.'/./.ヽ!二7　　　　 '"　　（ｿ!　ﾄ､　　　　 │　　　　　　無条件降伏だ。
│　　　　　　　　　　（　/ ／_,'/ ､T ﾏ二二ア　　　　冫!　 .ｌヽ　　　　│
│　　　　　　　　　　　 {./　　l'_ヽ_|＿ﾏﾆﾆ（_,.ｨ　　‐=　　ｲ　　.!　）　　　 │　　　　　　その上で、桜花の開発部のデータ、その全ての譲渡。
│　　　　　　　　　　　　l' 　 /二二二二ﾆ=-､(　　　／ .ﾉ　　,.!ノ　　　....│
│　　 ,ｨ77777777777777＞マ二二二二二}＼　／　,.'./　.ノﾉ　　　　 .│　　　　　　付け加えて、マーシフルのリンクス以下戦闘要員の
│　　 ////////////////////,ハ‐マニﾆﾆl三ヽー-（ ' ／　　　　　　....│
│.　　{/////////////////////∧ニ="マ_!二二=-､!.l'　　　　　　　　...│　　　　　　　ノルドルムへの帰属。
│　　 !'/////////////////////,∧",.ィニ-＿二二l　　　　　　　　　...│
│　　 V//////////////////////,}二二二ニ=＝-ｰ､‐ ､　　　　　　　.│
│　　 V//////////////////////ﾆ-''"_,. -=ニ二ﾆ=-</＼　　　　　..│
│.　　ｒイ/////////////////l///-'　,イニニニニニニニヾ/,ﾊ　　　　 │
│.　　ｌ'//////////////////l'" ,ィﾑ. ﾏニニニ二二二二二ﾑ/l　　　.....│
│　 ////////////////////ｌ'二二ﾑ. ﾏ二二二二二二二二ﾑ　　　　 │
│　 !///////////////////,!ニニ二ﾑヽ二二二二二二二二ﾑ　　......│
│　 V//////////////////,lニニ二二ヽヽニニニニ二二二二}　　.....│
│　　ｌ'//////////////////!ニニニニ二＼＼ﾆニニニニニ二/　　　 │
│. 　 !////////////////// ﾏ二二二二二ｉ　＼ニニニニ二/　　　....│
│.　　l'/////////////////ﾑ. ﾏニニニニニｌ　ト､＼ニニニ/!　　　......│
│　　 V,///////////////ニﾑ. ﾏニニニニﾆl　l二＼.｀マ//,.l　　　　 │
└───────────────────────────┘

　　　　　＿＿＿_
　　　　／_ノ　ヽ、＼
　　　／（ ●）　（●）.＼
　／　　　（__人__）　　u. ＼　　　　　　　そ……それを呑めば、助けてくれるのかお？
　 |ｎi 7　　｀ ⌒´　　　　.　|ｎ
l^l | | ｌ ,/)　　　　　　U 　l^l.| | /）　　　　「ああ」
', U ! ﾚ' /　　　　　　.　.　| U ﾚ'/／)
{　　　〈　　　　　　　　　ﾉ　　　／　　　　（……あれ、凄く良心的に聞こえてこないか？）
..i,　　　."⊃　　　　ｒニ　　　 /
　."'""⌒´　　　　　　　`''""''''

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アルトリアは短く肯定する。

それを受け、軽い沈黙を置いた。

今すぐに、なのはたちに連絡をすべきだ。

ここまで、企業連は自分たちの降伏すら許さなかった。
要求するのは死体のみと、ひたすら攻撃を加えてきた。
けれどノルドルムは、自分たちの降伏を許すと言っている。

「……だが、それはあなたたち、『マーシフル以下戦闘要員』のみだ。
その他は認められない。この艦と共に消し炭になってもらう。
加えて、あなたたちはノルドルムの正規の戦力には数えられない。
企業連に加わっている以上、公に迎え入れるのも不可能だからだ。
あなたたちには、非公式のプライベートフォースとして、ノルドルムに従ってもらう」
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4855：安価のやる夫だお：2022/04/07(木) 21:11:42 ID:wT1VcUTk0: すぐ死ぬかじわじわ死ぬかの違いでしかないな
4856： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:13:22 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　 -─‐──‐-、
　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　／ ;　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　 l　　U　　　　　　　　　 l
　　　　 |　　　　　,　、　　　　 ;　　 |⌒´⌒｀ヽ、
　　　　　 !、　　_ノ"　"ヽ、__　　∪　　　　　　　　＼
　　　　　　ヽ (（●）　（●） )::　 /⌒゛`　　　　　　 l:
　　　　　　　 /ヽ~゜（__人___）~__ ,ノ|　　　 ,　　　　　|
　　　　　　 /　　　/` ⌒　´　　　 | 　　 |　　 ,　　 !
.　　　　　　/　　　/　　　　| `ー-,,,|"　　　|___,ノ　　 |
　　　　　 /　　　/　　　　　|　　　　|　　　　|　　　　 ,lー─- 、
　　 , --‐-ー、_/　　　　　 l　　　 ,|　　　　|　　　,／　）　　）
　く / /　ァ- ,ノ　　　　　　＼ノ＾ノ^／⌒ヽ.j＼　　／＾ー-‐'
　　 `ー' ー´￣　　　　　　 (_イ_,イ、_,ィ'´__/　　￣

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それは、つまり。

この要求を呑めば、彼女は自分たち戦闘要員のみを救出した後、
潜水艦を撃沈させるだろう。

そうして桜花の残党の全滅を装い、自分たちを迎え入れる。
非公式の戦力。企業連が大量生産してきたテロリストと何も変わらない。
ノルドルムのバックアップを受け、代理戦争に明け暮れる名前のない部隊となる。

自分やはやて、整備班の人々は生き残れるかもしれないが、
その他の人間は例外なく塵にされてしまうだろう。

要するに、困窮した自分たちに、他に選択肢がないことをいいことに、
こんな要求を叩きつけに来たのだ。

期待した自分がバカだった。結局、こうなるのだ。
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4857： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:21:14 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　／　　　＼ ,　, ／　＼　　　　　　……アルトリアさん。
　　　 |　　　（ー）　（ー）　 |
　　　　＼　 u. 　（__人__）　,／　　　　　　　「分かっている」
　　　　　ノ　　　　｀ ⌒´　　＼
　　／´　　　　 _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ　　　　　　えっ？
　　 |　　　　ｌ　（ l　/　/　/　l
　　 l　　　　l 　ヽ　　　　　 /

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│　　　　　　　　　　　　　　　　　　－＝＝　ｘ--,_　　　　　　　　　　　..│
│　　　　　　　　　　　　　 ,　´　　　　　　　　ヽ＼ト,　　　　　　　　　 .│
│　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　＼　　　　、＼ｙ　　　　　　　　　│
│　　　　　　　　　　　 ,'　　　　　 ',　　　，　　　　、 .}ﾌ　　　　　　　　 │
│　　　　　　　　　　　 ,　　　　ﾊ　 ',　　　j　　　　ヽ　}ﾌ　　　　　　　....│
│　　　　　　　　　　　.;　!　|　　', ヽ、ｘーナ、　　｀ ∨）　　　　　　　 .│
│　　　　　　　　　　　，.i　.ﾄ、　' ,　》ﾁテ弌八　　乂　　　　　　　　 .│
│　　　　　　　　　　　 } 人从≧ …　乂jﾉ<;;;|　＼ {　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　.|ﾉ .}　 "叭)　　　　´ /;;;;|　　ヽ　　　　　　　　.....│
│.　　　　　　　　　　　′ |　∧´　 '　　　　〉;;;,ﾘ　　　}　　　　　　　　　 │　　　　あなたがこの要求を飲まないのは、分かっている。
│.　　　　　　　　　　　　ノ　　ﾉ》x:.　´｀ /^:ﾈ !!|j　　 ,'　　　　　　　　　..│
│　　　　　　　　　／¨, ===ヽ<　（＼);;;;;;=¨”;;;;;|{　　ﾉ　　　　　　　　......│　　　　飲むような男であれば、こんな状況に身を置いてはいない。
│　　　　　　　　./ ノ/;,;,;,;,;,;,;,;,;,＼＼＼r--===ﾉ .ノz　　　　　　　　　....│
│.　　　　　　　 ´　/;,;,;,;,;,;,;,;/＼;,;,;ヽ￣|　　　￣　　 |l　　　　　　　　　..│　　　　 ……上がってくるがいい、ネクストでな。
│　　　　　　　　 /;,;,;,;,;,;,;,;,;,l l;,;,,＼,;,}　.|　　《　　　 :　ﾍ＝＝´｀ヽ　　　.│
│　　　　　　　　};,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;l l;,;,;,;,;,;,;,ヽﾉ、，-＝ ⌒　ヽ,l;,;,;,;,;,;,;,;,;}　　.....│　　　　私は上空で待っている。それまで、攻撃はしないと約束しよう。
│　　　　　　　 /;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,,ｿ,,,;,;,;,;,;,;,;/P´　　　　　　 :　＼;,;,;,;,;,;|　　.....│
│　　　　　　ノ,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;ﾉﾉ;,;,;,;,;,;,;,;,;ｿﾉ　　　-…　´￣:｀ -　',;,;,;,;}　　.....│
│　　　　　{;,;-===;,;,;,;,;ﾉ」;,;,;,;,;,;,;,;,;,;//- ´　　　　　　　 :　　 l,;,;,;,l　　......│
│　＿＿rナ77 ヽヽ;,;,;,;,;,;,;,;,;_....=".八　　　《　　　　　.:　　.,;,;,;,;,;〉　　....│
│（（＿ﾉ;,;,;,-=<__／＼＿__ノ　}=-"　　、　　.》　　　 .: 　.ﾉ;,;,;,;,;,〉　　　.│
│　　/;,;,;,;,;,;,,;,／: :....: :＼∧　　' ,　　　＼《ﾞ《　　;;　.:　ｲ;,;,;,;,;,ﾉ　　　　│
│　ﾉ;,;,;,;,;,;／.....:.:.:.:～／: :ヽ　　 i　《　 ,　　ﾞﾞ … --"　;,;,;,;,;,ﾌ　　　　 │
│　＼_.／へ: : : :....／: : :..... ⅹ{　i　》　;;　　　巛　　ﾉﾉ.{二二;　　　......│
│　　＜: : : : : ＼／: ～て／: : :ﾍ ',,《　;;　　;;　　》　 (　 i,;,;,;,;,;,}　　　　 │
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言い終えると、アルトリアは一方的に通話を切ってきた。
それと同時に、まるで示し合わせたかのように艦内警報が鳴り響く。

端末をズボンのポケットに突っ込み、ベッドから飛び出す。
困惑と焦燥で汗をびっしりとかきながら、軽くため息を吐いた。

彼女が何を考えているのか、さっぱりわからない。
だが、彼女は何らかの意図があって、自分に猶予を与えている。

出ないわけには、いかない。
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4858： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:21:35 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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4859： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:27:18 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　 , - ‐‐‐-　、:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.ヽ、
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　　ｉ:.:.:/|:.:.:.:. ',:.:.:.:.:|-/_|_|　　ヽ／,イ圷≧ｉ:.ｉ:.:.|:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |　　　　――落ち着いて聞いて、やる夫君。
　　　|:./ .|:.:.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:!:.ｉｲうﾐ　　　　 {::::::::ら |:}:.:|:.:.:.:!´.ヽ:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |
　　　|/　 !:.:.:.!:.:.ヽ:.:.:.|〃{:::j　　　　　辷シ　!:.:./:.:./| ヽ.} |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　　　　ついさっき、艦上空に敵機を確認。
.　　　|.　　',:. | ',:| .|ヽヽ｀.ﾋﾘ　　　　　　 /:/／:.:.:!　/: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
.　　　　　　ヽ|　ﾘ　!:.:.ヽ＼ヽ　　　　　　　.〃|:.:.:.:.:./_/／.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　……ネクスト機だよ。
.　　　　　　　ヽ　　ｉ:.:.:人　　　 -‐-　　　/　 !:.:.:.:./／. 　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　 ',:.:.:.:.ﾍ　　　　　　　 |:.:.:.:/.　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　ヽ:.:.{　ヽ、　　　　 .＜.|:.:./l　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　＼ｉ　　　＞.-t ´　　　|:/‐┤、.　　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 r､| .-　￣/　／　ｉ、　 !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃.ヽ　　　.／　　 |::｀ヽ.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |

ｨ仁ニニｱ=＝tニﾆiニﾆ〉ヘ
=ア,:.:,:ｸ:.:.:.:.:.:.:}ｉﾆﾆi{ニ寸xﾍ}、
.:z=ﾆニ≫z=ﾆ＞<zﾘ二ﾆ寸xﾍ　　__　_zｭ
≫ｚ=ニ二アi７:.:./へﾆ/＼=寸x＜=Y/ﾆL、
=ﾆﾆニ＞仁7:.:.//〉/ﾍ{i○ ＼_寸xﾆアﾆニﾍ
ﾆ＞=ﾆﾆニ〈:.:////.　/}i　　○)ﾆ７/ﾆﾆﾆ〈ﾉ′
ニニニニﾆム〈//.　/={i○ ／={二ニニﾆi}ﾑﾆﾆへ、　　　　　　　　機体名はリンドヴルム。ノルドルムの試製パーツで組まれた重量二脚。
二二ニニニﾆ＞zz/ニﾆ=ﾆﾆニﾏニニニ7寸Vﾆﾆﾆﾍ
ニニニニニ＞=ﾆニアﾏ＞､=ﾆﾆﾏﾆﾆﾆｱＯ寸ニﾆ寸ﾍ　　　　　　　武装はハイレーザーライフル二門と大出力コジマ兵器アサルトキャノン。
ニニニﾆ／=ニニアニニニム:.:マ=マ=7　　Ｏ}ニﾆﾆﾏ=i
ニﾆﾆ／=ニニアニニニニニﾑix:.:寸x〈:Ｏィ仁ニﾆﾆ7=i|　　　　　　リンクスはアルトリア・ペンドラゴン……ごめん、言うまでもなかったね。
ニﾆ/=ﾆニアニニニニ/二ﾆﾏｉ}=ﾍ:.:.寸i}ニア＼ニニ{i:.=i|
ニ/=ニアﾆニニニニ/ニﾆﾆ i=i!ニヘ:.:i{ニへ、. ＼ニ|i:.zi|
=/ﾆアﾆニニニ二二|iニニﾆ !li|i|二二i|ニﾆﾆﾍ　,、＼=ﾍi!
/アニニニニニニニ|iニﾆﾆ７ｌi|ｌi|ﾆiニi|ニニﾆ=i〈　ﾍ寸li|
仁ﾆﾆニニニニニニ|iニニ７=i|=i|ﾆｉﾆｉ|二二ﾆﾆi ＼/　寸
二二ﾆ＞zt=￢ニ二|iニ=７=∥ﾆ∨ﾆｉ|ニニﾆﾆi.|ﾏx　　　ヽ
ニﾆ／ニ二二i|ニニ|ｉ二７ﾆ∥仁ﾆﾏ二ニニﾆ=i|i!ﾏz＼.　　ヽ
二/ニニ二二i|二二|iﾆ７∧'　{ニﾆﾆﾏニニニﾆi|i| ﾏﾆ=＼　　ヽ
=/=ニニニニi|ﾆニニニ∥∧　寸二ﾆ寸ニニﾆi|ｉ|　ﾏﾆﾆｉ|＼.　ヽ
/ﾆ二二二二i|=ニニニ∥ニi}　　Τニニ寸ニ=i|ｉ|　 .ﾏニi|　ﾞ＼/
4860： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:30:31 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i＼
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　　　　　　　　　　　　　　｀　＜:::::＞.ｘ　　　　＼:.:.iゝ-〉ー- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨:.:.＼:::::＞.ｘーｖノー｀ヽ:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　＜:::::::::::::::::〈￣::::::::::::::ヽYイ‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　＜＼/ー〈:::::>Y´//- ､ヽヽ　　　　　　　　　　「今回の迎撃には君一人で出てもらう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ラ／￣￣＼｛〈Y>ゞ>ｌ｝::｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.．-‐'''"／/:::::彳:.＿:.:.ヽゝトγー∨　　　　　　　　　相手が悪すぎる……ノーマル機や艦載機を
　　　　　　　　　　　 _,.．-‐'''"~:::::::::::／i イ:::::（／／:.:.:｝ーｙ／＝＝＝ー,､
　　　　　　　　　　　　_,.．-‐'''"~:::::::::::::::::::／［ｌ　∴ヽ::::::ー:::::ﾉｖソ／＝＝＝＝ー´　　　　　出したところで叩き落とされて終わり。
　　　　　　　　　　　／::::〉￣￣￣￣￣／::ｌiｌ/__::::::::::∧:::::::／￣三三二二ﾆ>
　　　　　　　　　　/:::／　　　　　　　/::::::::::ヾ:::::::＞ー─'´:丶￣=Y:.:.:｝　　　　　　　　　　　　ネクスト同士による一騎討ちしかない」
　　　　　　　　　　ｌ::/ 　　　　　 /:::::::::へー/::::::::::／:.:.:.:.:.:｝:::::::|_ノ〉
　　　　　　　　　　 |:|　　　　　　　￣￣　　 /::::::少-7｀ヽ:::ﾉヽ'´
　　　　　　　　　　 |:|　　　　　　　　　　ラ:::ノ　/:::／ｿ
　　　　　　　　　　 |:|　　　　　　　　　 /:::／:::::/／:ﾘ
　　　　　　　　　　ﾄ＼　　　　　　　　　　　｛／:::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　＼.､　　　　　　　　　〈/／7::::::ｒ､/
　　　　　　　　　　　､＼　　　　　　　　ﾄ／/:::／/
　　　　　　　　　　　　＼､　　　　　　　　ヽ〈_／

　　　　　　　　　　　　　-― -
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　　　　　　　　 ∠　―― -　　　:::::::..　　　＿＿
　　　　　ィ::i´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀::..､ l ／r――　＝‐､
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　　. /l::::::l::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣｀ヽ､:::ヽ
　　/::l:::::::l::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::ヾ:::::l
　. {:::::l:::::::l::::＼/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::ヽ::::::::lヽ::l
　 l::::::ﾍ:::::::＼/::::::::::::::::::::::::::i::::::i::::l:::::l:::::::::::ヽ::::::::l::::::::l ヽl
　 l::::::::::ﾍ::::::/::::::/:::/::::/:::::::l::::l::l::::l:::::l:::l::l::::::l:::l::::::l::::::::l　|　　　　　　……正直、厳しいのは分かってる。
　. l::::::::::::ﾍ::l:::::::l::::::l:::::l:::::::/:::://::/l:_/l_｣_l､:::l:::l::::::l::::::::l
　　ヽ::::::r‐‐|::::::l::::::l:::_｣::-r‐:/7フ´｢/ .l/ｫﾐ:::l::::l::::::l:::::::l　　　　　　　　けど君は、助太刀こそあったものの、ネクスト三機を相手どって
　　. ヽ::{　　l:::::::l:::::l:´::l:::/∠ ﾆ＝ﾐ　ﾁﾟ://::/ /:::::ｲ::::/
　　　ヽ＼ヽ:::::l::::::l::::<´,イ　 ,ﾘ　　 .ﾑ//;ｲ:::/::::/.l:::/　　　　　　　　　生き残ったリンクス。可能性はある。
　　　　ヽ:>ｰl＼{ヽ{ヽ{　辷z/　　　　 l'//::/l:::/ l::/
　　　　　V　 .l::::l` `　　　　　　　 v':/／ l:/　l/　　　　　　　　　　　私は、信じてるからね。
　　　. r,/　　 .l::::l　　　　　　 _ ／l:::l:::l /'
　　　/〈ヽ､　　ヽ:ヾ､　　　 ´／::::::l:/:::::l
　　./　＼　ヾヽ､ヽﾍ/` ┬-....´:::::::::/'::::::::::l
4861： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:32:21 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿__._ _
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くノ　　　　　＼ ,,_人､ノヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)ヽ　　　　（　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　)　　　　　て
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／^⌒`Y´^＼　　　　 ._ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＵＵ/7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くノ
4862： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:34:20 ID:Xhr4HBQs0: ┌──────────────────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　リンドヴルム撃退　依頼主：---　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　艦上空にて敵機が待機している。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│　　　どういう意図かは分からないが、迎撃に上がらないわけにはいかない。　　　 .│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
│　　　味方機：なし　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
└──────────────────────────────────┘
4863： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:45:10 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　＿/　＿/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　 /＼　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　＼/ 　　　　＿/　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　 `　　　ヾ　　　､　　　　'　　　,　　　'　　　`　_＿/　　　　　￣　/　|　　　＿＿/　　　/
　　　　　　　　 `　　ヾ　　　､　　　　'　　　,　　　'　　　`　　　、.　　　　　　　　＼/ ＿|　　　　　　　　 /
　　　､　　`　　ヾ　　､　`　ヾ　､　　'　,　'　`　、′。　`　　'　、　．　、　′　。　．　,　　　'　　　　　　 ./
　 '　 '　ヾ　､　ヾ､　`､　．　'`、′。．・`；　'、．・．　'`、′。．、′。．・`；　'、．　`　　'　、　　＿＿ノ
。． ` ；　 ' 、 '、′' ．　'、′' ・．　'、ヾ､`　;人. /;′。．・"；　'、．・" 、 ′。　`　'、．
'　、　′'、′' 　、`' ． 'ヾ `､ヾ､`､,, 　',．　'`、′。．・`；　'、．`；　'、．・" 、 ′"　。　．　`
．　'`、′。．・`；　'、．、ヾ､`　ヾ・、　',　:　　:　　:,'　,　',　,'　'`、′。．・`；　'、．・。　`　'、．
　 '、′' ．　'、′' ・．　'　､,, 　',`　　:　　　::　　:　　　:　　::　　:　/;′。．・"；　'、．・"　`　'、．
'、′' 　、`' ． 'ヾ `､ヾ､`　:　　:　　　:　　　　　　:　　　:　　　:,　:　／．　'`、′。．・`；　'、．・
、′' ・．'、ヾ､`　.＼　､　`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,"　´,　′(　／:′。．・"；　'
．　'・．．　'・､`ヽ `､　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　,'　',　_,. - '．　'`、′。．
　　　 `ヾ＼'i,　　`　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　',　,ｉ　'／,′",／／
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　　　　 `ヾ＼'i,　　`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　',　,ｉ　’／,′",／／
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　　　　　 `ヾ＼'i,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´／,. ',〃／
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カタパルトから打ち出され、深海の暗闇を突っ切り、
真夜中の海面へと飛沫を上げて躍り出る。

頭上には煌めく粒子を降らせながら浮遊するリンドヴルムの姿があった。
漆黒の分厚い装甲に身を包み、尋常ならざる量の粒子をまき散らすその姿は、
ネクストというより、ちょっとした規格外兵器じみた威圧感すらあった。

高度を上げるマーシフルを見据えたまま、亀裂のような赤いカメラアイが鈍く輝く。
ハイレーザーライフルを構えもせず、そのまま相対する形となった。

悪天候の中、月明かりすら見えず、ブースターのジェットとカメラアイだけが
黒い巨体を僅かに照らしている。
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4864： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 21:58:24 ID:Xhr4HBQs0: ┌───────────────────────────┐
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│　　　　/ll!ﾊ:.:′.:.:.:.:/./.／.:/.:／.,ﾉ.;/l:.:;!.::l.ﾍ;.:.:.ヽ,:.:.:.:.:.:.ヾ,:.:.'; 　　!　　 │
│　　　 ∧jﾊ.:′.:.:.:.:.′〃xｆz左ｚ,;,X, .j:/ !:;|:.:.:l.:.:.:.l.:ﾍ.:.＼.:.::.':;.:.';　　　......│
│　　　 l.l.ヽ.:.:|.::::.:.:.:|{:.:.,仆乞芸て卞 >′l./ｊ.:,ﾘ.:./.:l.:.ﾍ.:.::.ヽ.:.:.';.'|　　　　..│
│　　　'.:.:.:;:升∧::.:.|.:.:{ｲ ,伐::::::斥′　　ﾉクｻﾄxj:.:.li.:l.:.ﾊヽ.:.';.:.:;.!　　　　..│
│　　　　∨　 !′l:.:.:|:.:.! ､辷ｰクﾉ　　　　ｹ云x.:ﾉﾒi.:/.:.:.:.:l.:.:.:.:.l:.!　　　......│　　　　　　様子が変だね……仕掛けてこない。
│.　　　　ゞ､)l::.:.:ゝ:ﾍ､:!　｀¨¨ﾞ`　　　　　/.::ﾇﾘｹ;´.:;ﾘ..:.:.:.∧:l.:.:ﾊ!　　　　 .│
│　　　　　 'iｰl;:.:.:.::.个｀　　　　　　　　　匕ﾞ.ノ_ノノ/!:.:.:.;/　ﾚノ　!　　　　 .│　　　　　　警戒して。
│　　　　 l.:人::.:.:.ﾞl　　　　　　　　　 ¨`て.._｀V.ﾊ.:::/ 　 !′　　　　　...│
│　　　_,､n<　 '.:.､∧　　　　　　　ｃ｡　　　人__,¨＼:l/　　　　　　　　　.....│
│　　ｲ´.:::.ハﾍ　'､l?∧　　　　　　　　 .,／: :.j　／}′　　　　　　　　　　 │
│／　l:::::::., 　＼　´､?「＞､　　　　 , イ´. 　.:.イ´.:l.:.|　　　　　　　　　　　...│
│　　ｊ::::::::.ﾍ　　＼　　＼ﾍf＞.ｰイ. . . :＜.:.:.:.';.:.:.:|.:|　　　　　　　　　　　.│
│／¨ ﾍ:::::..∧ /＼｀ >ｰ<cﾊ. . . . . . .fヽ,¨ -ﾅﾍ.';.:.:|.|　　　　　　　　　　　 │
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│/V//,∧:::::..∧､/　 >介ｲー"´　／.:::.∧//zj.:.:.';.:.|　　　　　　　　　　......│
│j∧V//∧:::...∧　　ｊメﾍ＿_　-ｲ.::::::::::::.∧//j.:.:.:.';.|　　　　　　　　　　　..│
│j:iV∧//∧:::::::..＼　ヽ´.:::::::::::::::::::::::::::::::::人/j.:.:.:.:';|　　　　　　　　　　　 │
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ブレードを正眼で構え、切っ先をリンドヴルムへと向ける。
それでもなお、リンドヴルムに動きはなかった。

なのはたちに、事前にアルトリアから連絡があったことは伏せていた。
話したところでどうにもならないし、余計な混乱を招くのも嫌だったからだ。

いつでも斬りかかれる姿勢のまま、沈黙を貫くリンドヴルムと相対する。
明らかに様子がおかしい。彼女にしたって、戦わない理由はない筈だ。

彼女は自分たちを接収しようと、それが叶わぬなら灰にしようと、ここへ来た。
ノルドルムの、企業の使者である以上は、自分たちにとっては死神そのものだ。
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4865： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 22:01:41 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　≧s｡_　　 .|　　　　　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
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しかし、戦って勝てるのか。あのアルトリアに。
かつて、なのはをして「勝てたか分からない」とまで言わしめたリンクスに。

やるしかないが、それでも望みが薄いことには変わらない。
呼吸が乱れ、視界が揺れ、突き付けた切っ先が微かに定まらなくなる。

今までたくさん、あの機体に助けられた。
あの黒い巨体がネクスト機を蹴散らし、叩き墜とすのを何度も見てきた。
その機体を、自分が葬るビジョンが、どうにも見えない。

極度の緊張に耐え兼ね、問答無用で斬りかかろうとした、その瞬間。
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4866： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 22:09:49 ID:Xhr4HBQs0: ┌──────────────────────────┐
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│　　　　i: : : : : : : / z‐- : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :‘，　　　...│
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│　　　　|: : : : : : i: : i: : : ヽ:.:.|: /|: : : :|: :/卞/､|,ｨ|: / : /|: |　∨　　　　.│
│　　　　|: : : : : : :∨:､: : : : : {vﾍ!: : : :!v {チ抃.｀ﾚ'|: / .ﾚ'　　　　　　....│
│　　　　|: : : : : : :八: :＼: : : ヽ ,'＼: ﾊ　弋ツ　 / |/　　　　　　　　......│　　　　　　……データを受信。リンドヴルムから？
│　　　　|: : : : : : :|　＼: : ヽ: : : |: : |＼|.　　　　{　　　　　　　　　　　 .│
│　　　　|: : : : : i :|　　＼:.:., -‐|: : |　　　u. 　　〉　　　　　　　　　　　│　　　　　　機体構成データ？　でも、何のために……
│　　　　|: : : : : i :|　　　./　　ﾍ : |　　　 ‐-／　　　　　　　　　　　...│
│　　　　|: : : : : i :|　　.r―──‐ ､| ＼　＿／:|　　　　　　　　　　　......│
│　　　　|: : : : : i :|　 ./　　　　　＼＿＿|ﾊ/__　　　　　　　　　　　 │
│　　　　| : : : :,　-─'￣￣￣￣￣￣::::::::::::::::::::::::｀＞x　　　　　　　　 .│
│　　　　|: i : ｔ' :::::::::: ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::, -‐:::::::::::::i　　　　　　　.....│
│　　　　|: i : |:::::::::::::,':::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ::: i:::::::::::::::::::: |　　　　　　　 .│
│　　　　|: i : |::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨| :::::::::::::::::: |　　　　　　　 .│
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　　　　　　　l_: : : : : : : : ,': : : ｀ゝ.: : : ￣￣ﾞﾍ､＿／: ／: : :
　　　　　　　ゝ- ．: : : : ゝ､_- "　｀ﾞ弋~l: : : :l"´: : ゝ, ': : : : :_
　　　　 ,　- ‐-, -ゝl|: : /￣ﾞﾍ. 　　ゝ"ｲ／／ ,: : : :: ∠＿
　　　／: : : ,　' " : ／￣: : :＿ ×´　／": : :/i: : : x: : : : : : :
　　/〉: : : / : : : : /: : : ．'´．／　　, ': ': :／/: ゝ'´_/: : : : : : :
　　l" ゝ｀' : : : : / : ／: ／ /^ヽ.: / /: :/: : l: : : l　l: : : : : : :
　　l＼/: : : : ／',: /: : / ．- ､: : .〉リ: : ′∧: : ゝゝ．＿＿_
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　　　 ', : : l |､: :| : : 〈　　ﾉ　ﾒﾇ: :i: : : : : |　l　 ` ､: : : : : : : :
　　　　'　　ﾍ＼: : : :ﾞﾋﾆｽｲ／: : l: : : : : l　ﾍ.　　|: : : : : : : : :
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　　　　／　ﾞ／　/` ‐ー‐.i×　　　 ×i :' ／l´>ー/／＼/: :
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　　ヽ>'／　　　　/: : : : : : :ﾍ./　 l: : :|　 l: : /　 /　　/: : : : : :
　　　 ~　　 Cockpit block /.＼-': : l　 |: :/　 /　　∧: : : : : :
　　　　 . ￣￣￣￣￣￣ : : : ＼: 〉　l /　 / 　 /: : ＼: : : :
　　ﾋﾟﾋﾟｯ　　〈_/　　ﾍ　　_>ー―-'｀＼./　 /　　/: : : : : ＼: :
　　　　　　　　ﾍ: : : / ／: : : : : : : : : :/　 /　　/: : : _: : : : : :
　　　　　　　　　＼/ /: : : : : : : : : : :〈⌒＼　./: : i´ l ｀ヽ.: : :
　　　　　　　　　　　〈ﾍ: : : : : : : : : : : :＼＼>" : : ゝ|: :/: :＼:
　　　　　　　　　　　　＼＼ : : : : : : : : : : :Τ: : : : : : |: l: : : : :
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
視界に映るリンドヴルムの巨体、その胸部にターゲットマーカーが映し出される。
その表記を見た途端、目を見張り、全身が強張るのを感じた。

「やるがいい」
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4867： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 22:12:11 ID:Xhr4HBQs0: 　　 /　　　 /'　/　　　　　/　,:'/,:' くヽ／　＼　,、ﾍ　／i
　,:'　/　　　,:　'＝＝＝＝丶,:'/,　／　／＼丶＼ゞ」ﾉ丿
'　 ,:　　　/'／　　　　　　　ヾ　　＼へ＼　|｜　　　|／
'　/　,'/,:/《　（○）　（●）;;;;;》ヽ　'　　Y´　|ノ　　　　　　　　　アルトリアさん……！？
/,:　　　 | || 　（__人__）::;;;;;;;;}}.∩}　　,:'/,:　　　/'
/　,:'/,　| 《::::::: ｀ ⌒´;;;;;;;;;;;;;;;》∪| '　/　/　,:'/,:
　/　　　＼ﾐ三三|￣|三三彡／ '　/
/　　/' ,'⌒ﾄ＿_　兀　＿イ⌒'','/　　/'
/　,:'/, {　　i　:::::::::| |:::::::::::;;;;;i　;;;;;}｜/　,:'/,:
　　　　.|￣{::＿::;;;''| |'',,.皿;;;;;;|￣;;|"

　　/　　　　　　　　　　　　i　　　　　　＼　　　　}　>
　 /　　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　.|　／　ﾚﾍ、
　,　　　　　　　　ヽ　　 i　 .|　　　　　　　|、　/　} ノ
　i　　　　　 .l　　　 i　　.ﾊ. ∧.i　　　　　 .| l /　　|' ﾞ;
　|　　　 .|　 i　　　 .| ／! }/　}ﾊ　　　　　.|,ﾉ　/ ./"　　　　　　　　　　　構わん。遅いか早いかの違いでしかないのだ。
　|　.i　　.|　ﾄ　　　1. ,ﾑ斗:ｒ7 }　　　　　 |　 / ./:.:.:.:.:ヽ
.　i　l　　.|　「＼　 .ﾊ/ Ｖツ　 ':/　　　　 .|　/ /|.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ　　　　　　　……追撃に遣わされたのが私であるという幸運を、
. 八ハ　ト　|'芯＼{　　´　　　ハ |　　　ﾊ　/:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:/
.　　{　`:.ハ .ﾄ.}７　　　　　　　 }/|　　　.j　ｙ:.:.:.|:.:.:.:.:.:./　　　　　　　　　あなたは利用すべきだ。
　　　　　 | ヾ. :,ヽ　　　　　　 /　}　　　ｊ ∩こ)ﾞ,:-イ~
　　　　　ｌ　　　|＼　 _　-,　　　　ｲ　.,v⌒／: :ヽ:.:.}　　　　 _____,,　　　　
　.　　　　ｌ　　 .|.　　　､ ´　　　／ﾉ-ﾏ｀／: : : : : :’、_ . : : : : : : : :
　　　　　　丶　 i　　　　　`ｰ ' >r"f ﾞ／: : : : : : : : /: : : : : : : : : : :
　　　　　　　丶，　　　　　　⊂ﾞ_／: : : : : : : : ／: : : : : : : : : : : :
4868： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 22:17:37 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ....　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　 ´　　＿　｀　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　,.ィ＞―-｀>‐､- ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 r'"／　／　'／ヽﾄ､　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　/　/´/　,/　　／､ヽ ',　〉　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ./　,{　l＿＿_,／　　-‐ !/　;　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ;　〃ゝ{ 　 --―　　彡! 〉 .i　!　　　　　　　　必死に生き延びようと藻掻く人々と、
　　　　　　　　　　　　　　　　／　V /　廴ヽ、　　＝‐ ,.ｲ'"　.!,ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　,.　,.イ　ｒ ',　//　i、,.ィマヽ、-イ　l! ; i{　　　　　　　　　絶望的な状況にもかかわらず、
　　　　　　　　　　　　　　　／　,　 '. ヽ〃／//ｲ'l!ヽ'/ヽ　}.,ﾊﾉ: !',
　　　　　　　　　　　　　,. '　　／ / .lヽ＼マ////l.!'∧/∧/./i　: ヽ、　　　　　　　それを守り抜こうとするあなた。
　　　　　　　　　　　　,　　　　, 　 ,: :　ﾏゝヽ.///,l !/∧／7'　!　、ゝ
　　　　　　　　　　　/,...::::::::..､　ハ!　　ヾ‐=!'//,l=!//,l／ }　l　 ; ,ヽ、,...::::::::::..､
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　　　　　　　　　 ,.　´ i／　　 / ／!（　´ 　｀ｰ　 / ／　,ｲ/ ｲ,ﾉ　　　　　　　私には、それを鏖殺してまで、生きる理由もないというだけだ。
　　　　　　　 {'　,.'／'　 ,.'/./.ヽ!二7　　　　 '"　　（ｿ!　ﾄ､
　　　　　　　　　　（　/ ／_,'/ ､T ﾏ二二ア　　　　冫!　 .ｌヽ　　　　　　 ……知らぬ仲でもない。
　　　　　　　　　　　 {./　　l'_ヽ_|＿ﾏﾆﾆ（_,.ｨ　　‐=　　ｲ　　.!　）
　　　　　　　　　　　　l' 　 /二二二二ﾆ=-､(　　　／ .ﾉ　　,.!ノ　　　　　　　あなたは、私のような壊れた女の、一時の慰めに付き合ってくれた。
　　 ,ｨ77777777777777＞マ二二二二二}＼　／　,.'./　.ノﾉ
　　 ////////////////////,ハ‐マニﾆﾆl三ヽー-（ ' ／
.　　{/////////////////////∧ニ="マ_!二二=-､!.l'
　　 !'/////////////////////,∧",.ィニ-＿二二l
　　 V//////////////////////,}二二二ニ=＝-ｰ､‐ ､
4869：安価のやる夫だお：2022/04/07(木) 22:21:07 ID:Rr3qMD.Y0: こんなことされるとアルトリアルートも惜しく見えてしまうな
4870： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 22:25:24 ID:Xhr4HBQs0: 　　　　　　　　　　　　　　＿ r―ｧ-､―- ミ
　　　　　　　　　　　　　/＞''"~"''＜⌒l　　　｀　＜
　　　　　　　　　　　 7／／ヽヽヽﾔ⌒〉　　　　　＼
　　　　　　　　　ψ／／/ ソﾉ }-〈　　 .|　　ヽ ∨
　　　　　　　　　　 r{ゞ、＞''´／ / Y′　　 .|｜　ﾊ ∨
　　　　　　　　　　　 }ﾍゞ｀''＜彡‰ソ　 !　!　 !＼ / ｌ| ﾄゝ
　　　　　　　　　 V乂三∠⌒)´ !∧|　|　.｣ﾉﾚ' | ﾘ |
　　　　　　　　　　　　廴乂＿)ノl l 八（l　ﾍ八ｿ｀ﾒ|/ /
　　　　　　　　　　　＞''⌒7^Y⌒ ヽ、,人| 　ﾍ{｀¨乂ﾚ′
　　　　　　　　／===／｀nﾍ=====＼ilＮ　 |.、_　/　　　　　　　　　　　　　　　　私を退けることで、あなたの命がどれだけ延びるか。
　　　　　　　＼=／===l.l= ＼===／　|　 |　／
　　　　　　　　 ´/====|.!==== <´≧〈从 |´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それは分からんが、それでも、延びることには違いない。
　　　　　　　＿≧s､_ﾉﾊ_==== ﾏﾆﾆゝ-`‐…￢冖ニニアl
　　　　　　　_　＜ﾆ／ﾆ二二Y ￣￣ニニﾆr'ニニニニ＞''´ =|　　　　　　　　　　　……これは餞別だ。ヤルオ。
　　　　 r＜ニニ／ニニニﾆ/二二二ニニﾆ|ニニニ／二二ニ|-｢ヽ∧
　　　　 ∨=ニニニニニ二/二二ニニニニニニニニニニﾆﾆ上′ﾆﾆ＼　　　　　　そら、ここだ。生憎、自爆機能などないものでな。
　　　　 Vニニニニニ／:⌒"''＜ニニニニニニニニニニニニ乂ニニﾆ
　　　　 {／ニニﾆﾆ/　 :　　　　｀マニニニミニニニニニニニﾆ＼ﾆﾆ　　　　　　
　　　　 <=／ﾆﾍ二/　　:　　　　　　｀'マニニニミニニニニニニﾆﾆ＞
　　　　〈´ﾆﾆ二∀　　　　　':, 　　　　｀'マﾆﾆ／冫､ニニニニニニﾆ
　　　　　　}／二二{　　 ,'　　　 ':, 　　　　　　: :￣i　.ｲﾆ=}｀''＜ニニニﾆﾆ
　　　　 /ニニﾆﾆΚ　,'　　　　 '　　　　　　 : : ／ﾆﾆ=/ 　　｀''＜ニニ
.　　　 /ニニニﾆ∧＼　　 ',　　　　　　　　_ イ二二ア　　　　　　　｀''＜
　　　 /二ニニﾆ/　∨_＼　 ',　　　　_　＜ニニニ／
.　　 /ニニニﾆψ　　V二｀‐┴―≦ニニニニニﾘ
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　　 {ニニニﾆﾆ/ヽ.　　 {ニニﾍ二二二ニニニﾆ/
　　 ∨二二ニニニ＼ /二二/二二ニニニニﾆ|

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リンドヴルムがハイレーザーライフルを抱えた両腕部を広げ、
まるで迎え入れるかのような姿勢を取る。

というよりも、まるで胸部をこちらへ差し出しているかのようだ。
その装甲の奥、ターゲットマーカーが指し示すコックピットの場所を。

言葉が出てこない。声帯が凍り付いてしまったみたいに動かない。
頭の中がかき乱され、上手く理屈を捏ねられない。

なのはは押し黙っている。何かを感じ取ったのか、口を噤んだままだ。

どうすればいい。
これは願ってもない状況だ。
ターゲットマーカーが指し示す位置にブレードを突き立てれば、
リンドヴルムは無力化され、この状況を切り抜けることができる。

彼女だって、いくら自分たちを殺したくなくても、手ぶらでは帰れないだろう。
しかし……

下↓3　どうしますか？
1.リンドヴルムを攻撃する
2.攻撃しない
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4871：安価のやる夫だお：2022/04/07(木) 22:26:45 ID:BnvK2H860: 2
4872：安価のやる夫だお：2022/04/07(木) 22:28:19 ID:Rr3qMD.Y0: 2
4873：安価のやる夫だお：2022/04/07(木) 22:30:02 ID:tkAC1r.c0: 2
4874： ◆x0SRSoJXe.：2022/04/07(木) 22:36:43 ID:Xhr4HBQs0: 　　／/ 　 ,ゝ-{≧ｓ。、　　Vﾑ　　 |　　{ .! 　　,′.}／ヽ　　　　　 ,。ｓ≦}ヽ＞。
.　／　/　　!　,′　　 / ｀ﾄ. 　Vﾑ　 |　　ﾏV　　,′V!　　 V/ 　　 /¨{￣￣ }　＼　　｀ヽ、
, '　　/, ＜,'!　!　　／　 ! ヽ、Vﾑ.　|　　.ﾏV .,′　.〉、　 V/ 　 / 　.V　　 /　 /-＼.　　＼
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../　　　 V!　　　　／　　　ヽ{≧ｓ{　　　　　　 /　　/ー‐‐, ＜　 V/　¨ﾟ　 / i{　　　　｀ヽ.、　V/
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,}　　　　　　　ヽ--ヽ-' ヽ--ヽ!　　{!.　　　　 /　　/　　 ,/ ／＼＿_＼∧＿V/ V　　　　　　 V}!
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　ヽ--- 〈　　　　　　　　 /　　ヾ＼　　　　　　　　　ヽ＼/　　　　　　　　　　　　　｀ヽ､　　　　}! 　＼
　 ,s≦ミy}!　　　　　　 /.　　　　ヾ＼__　　　　　／　}!　＼　　　　　　　　　　　　　　ヽ,　　}!　　　 {＞､
　{三{ilililil}}! 　　　　　 V/　　　　￣ヾ＼　.／　　 }!　　i}　　　　　　　　　　　　　　　　　　r≦.､ }!　　　 {　 {_!＼
　｀ー― ' }!　　　　　　　 V/ 　　　　 .＼／　　／＼__i}　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ilil三}.i{;　　　{　　＼＼
　　　　r-{,'　　　　　　　 V/　　　　／ヾ＼／　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ilil三} .i{;　　 {i　　　＼＼
_　　　 i /　　　　　　　　 V/. 　　／　　／＿___.／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー､'　 i{;　　{i　　　　　＼＼
. ヽ___ノ,'　　　　　　　　　　　　V/　／　　／＿__＞ﾟ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ .i{;.　 {i　　　　　＼＼
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_ ＞ﾟ ',　　　　　　　,′　　/｀ヽ,|　|　.!　　 !　.／＿＿__/ 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　　　　＼　/　　 V＿＿_
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＞'ﾆニ{__}　　　 /　/　/　＼／　 .／　　　|　　 !＿＿_|_./　/il{　{ ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:＼:.ヽ、　　　　 / 　　 /
二}＞'｀ヽ }ヽ　 V/__/　 .／　 .／　　　 .!　／ ',　　/　　 {ilil{　{　 }　　　　　　　　　　　　　　　＜二二＞:-:-:＼　　　./ 　　 /

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気づけば、ブレードの切っ先を下ろしていた。
刀身を海面へと向け、リンドヴルムへのロックオンを外す。

そうした途端に、不思議と全身から力が抜け、安堵感が駆け巡った。

「……血迷ったか？」

アルトリアから冷え切った声色の通信が入るが、それでも、良かった。
彼女から攻撃してこないばかりか、こんな状況になったのもある。

彼女は恩人だ。攻撃したくない。それが全部だった。
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