[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
1001-
1101-
1201-
1301-
1401-
1501-
1601-
1701-
1801-
1901-
2001-
2101-
2201-
2301-
2401-
2501-
2601-
2701-
2801-
2901-
3001-
3101-
3201-
3301-
3401-
3501-
3601-
3701-
3801-
3901-
4001-
4101-
4201-
4301-
4401-
4501-
4601-
4701-
4801-
4901-
5001-
5101-
5201-
5301-
5401-
5501-
5601-
5701-
5801-
5901-
6001-
6101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【安価】やる夫は誰かのために戦うようです【R-18】
1
:
◆x0SRSoJXe.
:2018/11/18(日) 22:14:42 ID:NOfdPGR20
∧ `i¨ヽ i i γ⌒ヽ`i¨ヽ `i ̄'`| ̄`ヽ. .i\ i\
_/,,∧ ├く ∧ .∧ {{ }}|-く. ├一.| } .| | ヽ| .:iヽ
. _/_ ヘ_jL \__/ ∨ ∨ヽ、__ノ jL \」__.,イ!____ノ | | .:| | ヽ
γ⌒ゝγ⌒ヽ `i¨ヽ `i ̄'\‐┘ー, .| └─:\
{{ {{ }}├く ├一. ¬┌ .:| ┌─'′\
ヾ、__.イ ヾ、__ノ .jL \」_イ j_.L._j__L )\
●この作品は株式会社フロム・ソフトウェアによって平成18年12月21日に発売された、『アーマード・コア4』の二次創作作品です
●原作との相違点も多く、作者の知識の至らない点は自己解釈によって補われています。あらかじめご了承ください
●この作品はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません
2380
:
安価のやる夫だお
:2020/04/25(土) 00:28:14 ID:l6BLv3sc0
乙です
2381
:
名戸ヶ谷病院
:2020/04/26(日) 11:38:41 ID:rXwpV66Q0
千葉県柏市にある新柏に新築移転した名戸ヶ谷病院についてですが、
整形外科の国府 幸洋先生が発熱38度以上の状態が何日も続いており、
明らかにしんどそうにしているのですが、診療を続けています。
国府先生曰く、「検査を受けなければ陽性確定にはならないので私はコロナではない。
コロナの検査は拒否しているので大丈夫だ。
私がいないと病院が成り立たない。」と休日返上してまで業務を続けています。
隣の松戸市の千葉西総合病院でも医療関係者の感染が確認されており、
風前の灯状態です。
名戸ヶ谷病院で院内感染があれば間違いなく国府 幸洋先生のせいです。
名戸ヶ谷病院
〒277-0084 千葉県柏市新柏2-1-1
2382
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/04/27(月) 18:09:34 ID:i6N6/ttk0
すまない、体調が悪い。ふらふらしている。今しがた風呂場で転倒してセルフ犬神家してた。
とりあえず今回の投下は延期とさせてほしい。次回の投下はなるべく早めに予告するよ。
2383
:
安価のやる夫だお
:2020/04/27(月) 23:49:25 ID:tmqU27Q20
了解です 乙です!
2384
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/04/28(火) 23:32:03 ID:N2x2Mvd60
ハロー、昨日はすまなかったね。
たった今お仕事が終わったモコイさんだ。
次回の投下は来週月曜、5/4の午後八時からとさせていただく。
モコイさん負けないからね。
2385
:
安価のやる夫だお
:2020/04/29(水) 00:23:30 ID:Bg/Rkvpg0
楽しみにしてますー
2386
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:00:43 ID:KeC/UsNc0
/||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| 、 - ‐‐ -,
|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
|:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i ハロー。
|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l
|:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
|:::::::::::::::||___ : : :丿
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
|:::::::::::::::||/ ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
2387
:
安価のやる夫だお
:2020/05/04(月) 20:03:09 ID:5lZzMToc0
ハロー
2388
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:06:48 ID:KeC/UsNc0
_ _ ___ __ _ __
/ :::::::::::::::::: :i, .ヽ::::::\
i:::::::::::::::::::::: i / \ \
i :::::::○::::○i/  ̄ ̄
/ :::::::::,,- -_ッi i i i
/::::::::::`ー‐'´ヽ __i i i--i 明日も明後日もワーキング! どこまでもいつまでもワーキング!
/|::::|::::::::::::::::::|:::|  ̄ ̄ ̄|::::::::|
/::::\ヽ :::::::::::::i:::| ノ__ノ まあでも元気だよボクは、おいどんは負けんのよ。
/::::::::::::\\::/|:::|
. (_ _.) ̄i __.\\ |:::| i i i サルマタケもないけど負けんのよ。
/::::::/| ̄|ヽ::::: し( メ ノノノ
/::::::/ノ_ _ノ >:::::) \ ってなわけでやっていこう。強制飲み会からの続きだ。
/:::/ /:::/ \__
/:::::/ (_つ /:::::::::/
し' ノノ・ ./∴:・:
~~~~~~~
2389
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:07:03 ID:KeC/UsNc0
,.. -イィ'-――-z._
,.-′ .' . ' `'ー、
rイ '. / / ..:::::::;;::-へ、.ィ
_. -‐'''"´ ̄\j|〃 _,,.. -‐‐ァ'": : : :;; : :`ーイ
-‐ ''''""´ ̄ミ゙゙7 ̄``''"´´ ノ__,.-‐'"::::`゙'''゙ /
V-ー-、 _,._-_ー=、ヽ::::::::::::::::::::::::ムィ
レ'" ̄`: __ ̄`':::ヽ:::::::::::::::::::::::ノ やはり俺はなおはさんだなぁ……。
. } ィ⌒uj: '´u `>::::::::}::::lへ;::::::::/
r|  ̄/ .::.  ̄ ::::|::/ヘ::::l::::::了 戦場に咲く鉄の華って感じが日常に戻ればアラ不思議
l{ ヽ ::::::レj^7:/:::::∠
l rー---‐―'''^l :::::::i、_,/:::::::r'"` 物憂げでいい感じに擦れてんのに滲み出るおっとり感
l. 「 ̄,二二ニ´| ::::::::ト、_;;;;;:く~
r.-ー‐l |::/ _,.l ..;;;:∠-┴`‐┐ たまらねーってもんだろ。
|`i:::::::::l. `ニニニ-''´「: |l
|. |::::::::::〉 ー‐ .::|: ||
-‐''フ |::::::::::`iー--‐‐''"|: ‐''^''ー-
__
V, ::::::::::::: ̄”三二ニ=…‐一
V, :::::::::::::::::::::::::::::ー=≦
_______V, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::......
V, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧=ー
V, ::::::::::::::::::::::::::::::::::V, ::::::::::::::::::: く
/ V, ::::::::::::::::::::::::::::::::::V, ::::::::::::::::::::::\
i{::::: V, :::抖rセ〔:::::::::|:::::::V, :::::::::::::::::::::::: \
八|::::::V, ::芹テミx::::: |:::::::: V, ::::::::::::::::::::::::___\ もう少し自重すれば振り向いてくれるんじゃないっすか?
|::∧;V,:| ヒリ 〉 :: |ヾ ::::: i、:::::::::::: |:::::::{
l// :! V,:| }ハ::::|ノ :::::::::: ト、::::{ 「ぐぎぎぎぎ、彼女持ちは言うことがちげえな」
ヽ { vl 八V|::::::: | ::: | ヾ{
ゝ‐-' }/: : |:リ:::::::::ト、:::| 「彼女いるのかお?」
} . . : : : : : ::l∧:::::: | ヾ
ゝ=≦: : : : :「三二ニハ从l] まーな。写真見るか? その人、元ノーマル乗りだったんだが……
/ ヽ: : .:|三二ニ=― |_
入_/ニア : : !三二ニ=―=ニハ___
r≦三三}ニア___ ノ 三三二ニ=―=ニ二≧x
|三三/ニ7 |三三二二ニニ=―=ニ二二 \
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
あれから、カズキとクーガーとは他愛のない話を解散するまで続けた。
他愛のない、男同士でしかできないような話だ。
偶然ではあるが、今までの自分の周りには女性が多かった。
親しい人という意味では女性ばかりだったと言える。
コロニーで世話になっている整備班の人達ともよく話すが、
知人や友人と呼べるほどでもない。
強いて挙げるならルルーシュくらいのものだった。
こういった話題を投げ合えるのは新鮮で、つい饒舌になっていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2390
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:08:07 ID:KeC/UsNc0
____
/ \ 「やる夫はどうなんだ、おい」
/ \
/ \ うーん……なのはさんとは教官と生徒っていうか、上司と部下というか、バディというか……
| \ ,_ |
/ u ∩ノ ⊃―)/ 桜花重工のはやてさんも良くしてくれるけど、異性の関係とは程遠いお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| | あと……ノルドルムのアルトリアさんが積極的に会いに来てくれてるお。
\ /___ /
/// `゛' 、,,,,,,,,.........._________,'
li_l________ ∠____
/ ,'i ', ∠
__i゜___/_| ', /
/______|_ ,r'゜´ ̄ ̄ ̄/ヽ ', ∠____
// (‐"‐' / ,r'´二二くヽ/ヽ ', /
// ヽ〉ニ=- i N/´______ > ヽ ',__ z'´
/ 〈 ,-,、 '´ pi´/ l r'´ T .i ./
i ソ `‐‐‐'´ l/i l〈´う .l /
K l N l.)`> / l \
| ヽ, .l/ リ(____/ / | ̄
.| 、_,,,,......rヘ.ヽ ___/i i、 i i'⌒'i l
`、 〉、_,----ヽi ' l/'、 .| ∨ヽl ソ ……アルトリア? あのアルトリア・ペンドラゴンか?
l ,┴‐‐‐‐‐‐' j `,! .|
l ./ |
/. ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
く ,.∠____ .|
,ゝ--------'´ `ヽ |
/ ヽ |
/ ______ヽ |
./ / ヽ |
2391
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:08:25 ID:KeC/UsNc0
:::::::::::::::____::}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
::::::::::::‘,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
:::::::::::::::‘,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::
::::::::::::::::::‘,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:::::::::::::
:::{:::::::::::::::ハ:,:::::::::::{、::::::::::::::::::::::::::::::',::::::::::
:::|::::::::/}::{ }i、:::::::::::{ \::\:::::::::::::::::::',:::::::::
:::|:::::::{ ≧x}i∨::::::::{. \x≦:::::::::::::::',:::::::
::::Ⅵ:示苅≧x∨::::::{ x≦芯示:::::::::::::',:::::
/{::::| 込zりヾ丶::::{ 〃 込zり }}\:::::::',::
∧∨{` ‐-- i\ `¨ -‐' /\:::: めちゃくちゃ意外だな……あの人、そういうタイプだったのか。
.、 ;ヾ } -' / 丶
}:::. { u /-‐:. 人間分からないもんだな。
./:::::丶 、_ __, ′::::::',
:::/}::::::.、 /\:}\::}
/ム::/ }:\ / {: : :}ニニ、
、ニニニ,/ 、_ イ 丶/ニニム
.‘,ニニ, /ニニニ/ニ
ニマニニ,, /ニニニニ/ニニ
ニニマニニ/ くニニニニニ/ニニニ
ニニマニ,/、ー‐、 , -‐/ ∨ニ,/ニニニニ
ニニニニ\ ー―――' / ∨ニニニニニニニ
ニニニニニ,\ ̄} / ̄´ /ニニニニニニニニ
ニニニ〃ハニ{i }./ /ニニニニニニニニニニ
ニニニ弋ツニ/: / }ニニニニニニニニニニニ
/ /:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: / /:: :: :: :: l
/レ':: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: / /:: :: :: :: :: /
Ⅳ:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :/}イ / :: :: :: :: :: :/
ヘ:: :: :: :: :: :: :: :: :: :/ |, 彳´:: :: :: :: :: :: :: :L __
\ ∨:: :: :: :: :: > ´ j//イ:: ::r=-、:: :: :: :: :: ミ いやいやホントに何があったんだ?
\}::トゝ '´:/ z=≦= |:: :ん 、 }:: :: :: ::{Y´
ゞ´:: / / ̄ 。ィ ノ::イ Z ソ:: :: ::< 全盛期だってIGIO傘下企業の肝入りのお嬢様で
/7:: :/=- 、 ィ´__ノ Ⅵ| ノ、:: :: ::(⌒
/:: f\ r‐g '、 \:: :: ハ 同年代の若いのは誰も手出せなかったって聞いたし、
/:: / 、 ̄、 / ノ人:{_ノ
/::ノ \ l - / > ´ | 今だって、んな色恋沙汰に興味示すような感じでもねえだろ?
/´ ヾ、_/==-‐ 、 / , ´ {
/ \Y{ ノ| ′ / \ てかラッキーだな、ラッキーか? まあラッキーか。
/ '. ー- ' / / l_
____l___/、| ___// 五年以上前ならおまえなんて相手にもされてなかったぞ。
/:::::::::::::::\ ソ , ´:::::::::::\::\
__」::::::::::::::::::::::::ゝ、 / /:::::::::::::::::::::::::::::::::\::\ 「言い方ってもんがありますお」
l:::::|::::::::::::::::::/:: :: :> ´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\::',
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
空になった皿が下げられ、それぞれグラスを傾けながら顔を突きつけ合う。
クーガーは酔っているのいないのか判然としなかった。
大して顔も赤くなっていないし、手振り身振りもぐらついたりしていない。
初めて経験することが多い日だった。
勝負も、負けるのも、こうして男同士で卓を囲み食事をするのも。
男三人で集まると、本当に今まで体験したことない雰囲気に包まれた。
似ているから、だろうか。シンパシーと呼べばいいのだろうか。
男同士、リンクス同士、企業の作る社会からはぐれた者同士。
同じではないが、似ていた。そこはかとない共感があったのかもしれない。
どうやらクーガーはなのはが大のお気に入りらしい。
戦場で散々殺し合いを演じた後、企業連に引き込まれた後に
直接会う機会があったらしく、本人曰く、「ビビッと来た」んだそうな。
対するカズキは既に意中の女性と恋仲にあるらしい。
事実、カズキは時折手元に視線を落としていた。
恋人に帰るのが遅れるとでも言っていたのだろうか。
その場の雰囲気も手伝ってか、自分も少し攻撃的な口調になった。
素直に羨ましい。
そんな話の中で、自分だけ何も語らないわけにはいかず、
とうとう自分の番が回ってきた。
特に隠すようなものでもなし、正直に今関りのある異性の名前を並べていくと、
アルトリアの名前を出したところで二人が固まった。
クーガーはあからさまに眉を上げ、カズキは渇いた笑いを発した。
微かに、他の机の雰囲気も一瞬堅くなった気がする。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2392
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:09:39 ID:KeC/UsNc0
| ヽ ヽ \ヽ、 ヽ ヽ l `ヽ、
l ヽ ヽ \`ヽ、 ヽ l / | V|
ヽ ヽ \ `ヽ、`ヽ、 ノ ノ/´ ノイ j /
ヽ、_ ヽ \ \ ミ´ ̄ ̄``ヽ、 ヽ、 ハ从〃ノ∠
\\、 ミ ヾ ヽ、 `ヽ、 \彡ノ´
〉、ハ\三ミ ミ/ ヽ、 \
/〃 ゝr‐、\ ミ ,.zrニ≡ー--‐' ,z-‐\ヽ つか、ぶっちゃけ、誰が好みなんだ? さっきの三人の中で。
//イYl|しjト、ヽ、l ,.rッ-、 r ィ。‐、 /\ヽ
'´_ノミヘ! l ヽヽヾ. `ー-' l ー ' | ヾ、 あ、別になおはさんって言ってもいいぜ?
`ヽ、__ゝ\ーゝ、ヽ l .l \
7/ニ`r‐,`\ ノ , ' 俺はこう思うんだよ、好意を抱くのに順番などないと!
/l l'⌒| 、 、 _ ィ/
| \ ! ヽ、 `ヾニニ二ソ/、 素敵な女性というものは常々男の影がつきまとうものあーいいなって目つけてても
l \_ `ヽ、 / `ヽ、
/ ``ヽ、_ \ ,' ヽ、 気を抜けば彼氏ができたわ結婚するわねグッバイアッシーそんなことは日常茶飯事
_,,..、-‐''´ 〉 \_ _ノ `ヽ、
`ヽ、 / / ̄ヽ、 /ー‐-、 でも悲観する必要はないちゃんとハートをゲッチュできれば横恋慕でもチャンスは
/ ' lヽ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
凄まじい早口でまくし立ててくるクーガーの持論を流し聞きしながら、少し考えてみた。
三人とも、確かに魅力的な女性たちだ。
本当に、自分など相手にされなくとも何らおかしくない領域にある。
間違いなく、彼女らとの縁が持てているのは幸運なことだ。
それはよく思う。
他の何にも恵まれてこなかったが、縁だけには、今は恵まれている。
その中で、異性を魅力的かどうか、という判別はしてこなかった。
スラムのゴミ溜めの中に捨ててきた思春期が急に戻ってきた気分だ。
それまで何も考えてこなかったのに、今では仕事に生活に異性だ。
下↓3 好感度にボーナスが発生します
1.実はなのはさんが気になる
2.はやてさんみたいな女性が……
3.アルトリアさんに時折グラっと来る
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ちなみに今は暫定でなのはさんがトップだ……次点でアルトリア、最後にはやてだね。
アルトリア派とはやて派は気張りたまえよ……
2393
:
安価のやる夫だお
:2020/05/04(月) 20:12:25 ID:5lZzMToc0
2
2394
:
安価のやる夫だお
:2020/05/04(月) 20:16:07 ID:Mto.aV8g0
3
2395
:
安価のやる夫だお
:2020/05/04(月) 20:16:13 ID:5lZzMToc0
2
2396
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:24:08 ID:KeC/UsNc0
____
/_ノ ヽ、_\
/( ─) (─)\ 実は、はやてさんみたいな女性が好みなのかもしれないお。
/::::::⌒/)/) ⌒::::: \
| // / | まあ、自分でもはっきりしてないんだけど。
\ | / 二二) /
/ i r‐一' \
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ふっと頭の中に浮かんだのは、はやてだった。
この前にプールに連れて行ってもらった時に、異性として強く意識させられたのは
秘密だ。水着姿で女性らしさを意識したというのもなんだか失礼な気がする。
もちろん、あの肢体に目を奪われたというだけではない。
普段、彼女は自分に対して距離が近いのもそうだが、
朗らかな表情の中にふと見せてくる思いやりを感じると、嬉しくなったりもする。
言動は落ち着いているが、どこかあどけないのも可愛らしい。
かなり生意気なことを言っている気がしたが、そんなところだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2397
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:35:04 ID:KeC/UsNc0
....:::::::::/____
く_::::::::::::::::::::::::::::/
<::::::::::::::::::::::::::::::::丶
/:::\:::::\::::::::::::::::::::::\
′}::::::ハ::ト、::{ヽニ::::::::::::::\´
}:/::{x=ミ \^⌒\{::\⌒ 話が合うな、俺も年上派なんだ。
´ }:ハ l ハ:{⌒
込 v フ /', 普段気丈な人に頼られたりすると燃えるよな。
> イ /::::::::\
r'’ .r‐'::::::/:::::::::\
〉: : 〉::^´:::::::::::::::::::::\
r'´: :r'^:::::::::::::::::::::::/::::::::ヽ
∨: :|:::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::!
l:V :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
l:::} |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
l::::Ⅵ::::::::::::::::::::::', :::::::::::::::::|__
/:::::::::|:::::::::::::::::::::/} :::::::::::::::/',
. r'::::::::::/:::::::::::::::::::::{ ̄ ̄ ̄´ {
_,,∠-‐'''´ ̄-一::::::::::::``ヽ、
‐-、/ ̄ ̄ ̄``'''ー-、=二:::::::::::::::::`ヽ、
,.‐''" ̄`ヽ / // `ヽ、/ ̄`` ー- 、_ヽ、
/:::::::::::::::_,r' _,∠-――-、_ \ ̄ ̄``ー--、二ニ=一
/:::::::::,. ‐''"  ̄lj ,,z''" ̄`` \`ヽ、\::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/::::::::/ 〈、L〃r・ア /::::::::/⌒ヽ::::::::::::::::::::::::::::::
/:::::/ 7 ´ /::::::::/ヽ、ハj:::::::::::::::::::::::::::/ あぁん? おまえたちは何も分かっちゃいない。
/:::::/ / /!:::::::/ /ノ/:::::::::::::::::::::r、イ
l:::/ `'┬- レ/'´ lー〈::::::::::、__;r、/ ヾ 俺はこう思うんだよ、許容範囲は広範囲であるべきと!
|::l `=ァ、 、 V `ーレヾl _,. -‐、
|:| / ̄``ヽ ノ/ _,,. -‐''´ | 俺たちは時が経てば老いる老いればどうなる年上は
|:! `〉ー、 _,,. -‐''"´ |
|| / r‐''"´ ̄ オネエサマからばあさんに可愛い年下は娘に孫になるんだぞ
|! ___ヽ--‐‐'、
l \ \ それを考えれば高度かつ柔軟にストライクゾーンを見極め
\ ヽ ,. '-一
\ ヽ / 自分にジャストマッチな女にアプローチすべきそう言うなれば
\ ヽ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
この後、時間も時間だからとクーガーが解散の宣言をした。
お代はクーガーが持ってくれた。年長だからと胸を張っていたが、
実際は常に素寒貧なカズキがいるからだろう。
カズキだけ払わせず、自分に払わせるわけにもいかなかったという具合と見えた。
三人で仕事終わりの企業の人々で湧く飲み屋街をゆき、
ステーションで手を振って別れてから、ようやく実感が湧いてきた。
無人飛行の輸送機でシートに座って目を瞑って、思った。
色々あったが、今日は楽しかったのだと。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2398
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:35:14 ID:KeC/UsNc0
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
2399
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:37:22 ID:KeC/UsNc0
____
/ \
/─ ─ \
/ (●) (●) \
__ | (__人__) | __
| |= \ ` ⌒´ _/====| |
| | / l ヽ | |
| | / /l 丶 .l .| |
| | / / l } l ̄ヽ___.| |
/ ̄ーユ¨‐‐- 、_ l !__ノ /| |
/ ` ヽ__ `- {し| ./. | |
___ / ヽ `ヽー、} /. /| |_____
ノ ヽ__ `ヽ./. / |_|
/ ノ| ./
/ / |/
| .| | .| | |
|. | .| .| |_ |/
| | | |へ | | ノ| ||/
|_|___ノ|___| \|__|_ノ |_|
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
目が覚めたのは午前の十時ごろで、なんとか朝と呼べなくもない時間だった。
昨日は柄にもなく夜更かししてしまった。
というのも、部屋に帰ってきたのは午前零時だったのだ。
時間を忘れながら過ごすと、時間は早く過ぎるらしい。
これまた新しい発見である。
顔を洗って遅めの朝食をとって、毎度恒例の自室待機となった。
特にやることも思いつかないし、やるべきこともない。
だが、予定はあった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2400
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:48:15 ID:KeC/UsNc0
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:/\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
. ,イ:.:.:.:.-.:.: ̄ ̄:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/:.:./ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
/:.//:.:.:.:.:.:./:.|:.:.:.|:.:|:.:.:.:.: i:.:.ヽ:.:.:.ヽ、:.:.:.:.:.:.ヘ:/ : |:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
// /:.:.:.:.:.:.:./:.:. : |:.:.: !:.{!ヽ:.:.:ヽゝ‐廾:.-- 、:.:.:.:.:‘,/ |:.i:.:.:.:.:.:.:.:.: |
/ /:.:.:.:.:./i:.:/:.:.:|:.:.A-|ヽ:ヽ:.:.:ヘ>斥≠、ヽ:.:.:.:.:.i:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.: |
i:.:.:.:.://:.|:.:!:.:.:.:.y´|。≠、ヽ\:.ヘ んてメ.\:.:.:.:.:. |:.:. : |:.:.:.:.:.:.:.:.: | マーシフルも修理するのにまだかかるし、
∨:.:/ i:.:.i:.{!:.:.:.:.|〃んう \.う__/} ,イ|:l:.:.: : l\:/|:.:.:.:.:.:.:. : |
. 人,′!:.:.:リ!:.:.!:.:.i `.うツ}, ゝ-┴ }:l.:./:/ /:. |:.:.:.:.:.:.:. : | 君は一日オフ。午後四時くらいには迎えに行くよ。
',:.:.:. ト:.:ヽ:.ヘ. ゝ¨, / /:. |/!:.:.:|::.:.:.:.:.:.: : |
. 丶:.:.i \:>、ヘ /}:.: : ! |: : |:.:.:.:.:.:.:. : | ほら、どっか連れてってあげるって言ったでしょ?
\| /l:人\ マ ̄ノ !:.:./ |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
|:.|{:. : r . イ |:.,' |: : |:.:.:.:.:.:.:. : | それまで好きなことしてていいよ。
. リヽ:.: | . < /イ . |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
\{  ̄| / ∧ヘ |: : |:.:.:.:.:.:.:. : | ……ない、か。じゃ、考えてみて?
\ r/{ , < / ヽL;; |:.:.:.:.:.:.:. : |
,、//-<、 ./ ./:::::::::`ヽ:、:.:.: | そればっかりは、私は教えられないし。
,、r ´/ />= /´ \ / /::::::::::::::::::::::::`ヽ、
_,x ≦:::::::::::/ />≠< > /ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、
. /::|::::::::::::/ / // \\ |: / \::::::::::::::::::::::::::::::::/\
|::::|::::::/ > ´ヽ ´ `´ヽ -< ヽ::::::::::::::::::::::::::/::::::::|
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そう、クーガーとのランクマッチ前に訓練していた時、なのはと交わした約束だ。
まさか翌日だとは思っていなかったが、目が覚めてすぐに連絡が来た。
つまり、何かして一日を潰すわけにもいかないが、
夕方までやることもないという状況なのだ。
ベッドの上に腰かけたまま唸る。
やること。好きなこと。時間があったら何をするのか。金があればどう使うのか。
やはり、これといって思いつかなかった。
自分にとって、人間社会に寄り添った日常というものは馴染みがなさすぎる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2401
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 20:59:34 ID:KeC/UsNc0
___
/ \
/ ⌒ ⌒\
. / ( ●) ( ●)\ あ、クーガーさん? 昨日はどうもですお。
| ⌒(__人__)⌒ |
. \ ` ⌒´ / 「おーやる夫か。どうだ、なおはさんに伝えたか!? 俺の愛のパトス!」
/⌒ ヽ
. | ヽ__ _ ', 伝えるの忘れちゃったんですお。自分で言ってくださいお。
:、_ ) ( ̄ _丿
| /  ̄`i / ̄ `i 「なぜだァ!?」
| | , |
∧ | |__/ /
. `ーヽ _ | | _/
. (__) 、__)
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
なのはも仕事の関係で本部に行っているらしい。
ここでやれることは食事、睡眠、入浴、訓練くらいだ。
朝食はさっき食べたし、睡眠も十分とった。
シャワーも昨夜帰ってきてから浴びたからいいだろう。
訓練をする気分でもない。
深い理由もなく、PDAのアドレス帳を起動した。
昨日、二人とアドレスを交換しておいたのだ。
クーガーは「なおはさんにヨロシク!」と息巻いて渡してきた。
それを思い出し、結果を報告しようと思って電話をかけたら、すぐに出てきた。
もしかして暇なのか?
それはさておき、相変らずの勢いのクーガーに結果を伝える。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2402
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 21:08:30 ID:KeC/UsNc0
┌────────────────────────┐
│ /:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:|:.:.:.:/:.:.ゝ ...│
│ |ヽーー-ー:.ァ:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.zーへ .│
│ |V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:./:.:ィィ:.:.:V| │
│ ゙|:.:.:.:.:. ― ミ:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:/ レl:.:.:.| ....│
│ ゙|:.:.:./ \::../ヽrV __ ヘ:.:.| .│
│ ミ:.:.| ト⌒ヽ | | /-、Υ:.:} .....│
│ |:.ミ V⌒ヽl |:! 〃 ーV:.:/ ..│
│ |:.:| l! |l / 〉:| .│ しかも今日の夕方になおはさんとデートだとォ!?
│ |:.:| = l! = |:.:| .│
│ |:.:| / ・ ヽ ノ / ・ ヽ .|:.:| .│ 俺が後手……俺が遅い!? 俺がスロウリィ!?
│ /N_________И- .│
│ 〈∧ \:::://:/ Τ ヽ:://:::/Γ ノ │ そんな……なぜだァ! キャラが濃すぎるからか!?
│ ヽゝ  ̄ ー  ̄ |:レ ......│
│ ┤ _____ |:.| .│ これでは文化的二枚目半ッ!
│ | |_「 ̄ ̄ ̄ ̄L| レ │
│ イ ||::::::::::::::::::::::::::|| | .....│
│ | ||:::::::r┐┌┐:|| | .....│
│ | ||::::/  ̄ |::|| .|_|ヽ ......│
│. r∧ノ| ,||:: > ― <:::|| .| ー1_ .│
│ / | ||/ ソ||. | .│
│  ̄ | || ノ|| .| │
└────────────────────────┘
/ ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─\_
/ (●) (●) \|l(^) (ほんとに賑やかな人だお)
| u. (__人__) l(_ )
\ ` ⌒´ /⊂)
/ ヽ ノ
2403
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 21:21:12 ID:KeC/UsNc0
┌────────────────────────────┐
│ ! ,//::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::/:::ノ │
│ l|〃::::`ヽ、 ::::::::::::::::::::/ /::::::::::く::/⌒ ..│
│ l|∠_::::::::\:::,,. -‐''"´ ̄ ̄``ー-、:::::>-、 │
│ ,. ‐''"´ ̄___ ̄>''´ ,. -‐< ̄:{rヽ::::::::ア │
│ ,. ‐'´,. -‐'''"´ヽ`ヽ、 / r、 /,. -‐‐ ヽ:::lゝl|::::,.ヘ ....│
│-‐''´ \/ | ヽ、// _ィッ7 l:::l_ノ/ l ...│
│ | _」 ノ ィ ー- ' |:/ l ..│
│ lr‐、‐''二ニrテ / |r‐‐- │ で、おまえはやることもなく部屋で腐ってると。
│ l lヽ ` ー'´ l 、 / l ....│
│ | l \ 、_ r‐ _ノノ/ / .│ いけねえなぁ! そんなんじゃ!
│ | | /ヽ. 、_,-‐'´'´〈 / │
│ ,.‐-、_ ,.--、ノ | __/ __\ ヽ‐==''\ / .│ 女とデート前だってのにそれはいけねえ!
│ 〈 、 \`ヽ `| l'´// ノ `ヽ、 ヽ / .│
│ ヽ ヽしj l ノ ヽ‐' / l`ー-‐'´ \ ......│ 待ってろよやる夫! 男を迎えに行くなんざ
│ | lr‐lヲ´ /ヽ、 、l:::::::::::::::::::::〉 / │
│ j `‐' /::::::::::::`ー┬-、 ヽ::::::::::::::;/ /:::::: │ 趣味じゃねえがそこから動くな!
│ / ノ /::::::::::::::::::::/ \l:::::::// l:::::::::: .│
│ / /::::::::::::::::::::::::/o l::/ / l::::::::: ...│
└────────────────────────────┘
〜二十分後〜
,r''゙:::::::::::::::::::::::_r'´__,,.-‐:::/
ノ´゙::::::::::::::.r'‐‐'' !,,ィ'´:::::::::::/
ヽ,.:::;;;; ∠;: r==ヒ、:r- 、::/::r
/;イ_、 .::/´__ |::トヒj:::〈~
|::! `ヽ=ミ‐ rニ゚;.'´ !ヘ_リ^ヽ ___
. !| }~'i 、 .!Y-‐´ イ 待たせたなァ!
!! ヽト- __.ノ_! イ'´/ i
ヽ,~ ̄ ´/ r''´ .! 「はやっ!? どっから来たんですかお!?」
r'::!__,.イ:::: | .:::: _!
,-、 __,.--‐''_,イ ヽ .! ,.__,// 旧ロシア領にあるアヴィアコル本社からひとっ飛びよ!
ノ_,..ゝ'"::::::.∠;-ゝ__ y‐!∠ ,._/___
ヽ,___i''!ヽ/ 〈 V´ /::::: ̄:/ プライベートノーマルでな! 「ジェットの間違いじゃないんですかお!?」
. r''、 | | r''' /// ! \::::::::/:::
. ,ゝ、>〉 ヽ!、. r'"//_ |___,..-ヽヘ:::: 可変式飛行対応超高機動ノーマルだ! さすがにシュクヴァールほどじゃねえが
!、_!〈 イ r::::::/ / ∥i::: 0|::;;:::::::
ヽ__ノ::::_!,!ヽ !0/ /´:::: !::::::::::: 世界で最速のノーマルだぜ!
r!_,.,'´ |:{ !// .i::::::::::::
{ !.::V0 0 .|:::::::::::
. } !.イ r'´:::::::::::::
! { !0 0|:::::::::::::/
{ ヽ|...::::.............;:::: !::::::::::::i
. { ハ:::::::::::::: 0 r'´::::::::::::!
| :::r'.. ::::::: !┘::::::::::::ゝ
\ ;;;;/::::::::::::::::::::::iヽ;;;;;;;;;;;;;ヽ、
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
電話を切ると、なんだか眠気が襲ってきた。
相変らず変なことを言っていたが、とりあえず、こっちに来るらしい。
昨晩、トウキョウのネクスト収容施設で生活しているとは話していた。
そして一時間と経たずにチャイムの連打で叩き起こされた。
意気揚々と部屋に転がり込んでくるクーガーは涼しげに言ってのけていたが、
ドックではアヴィアコル製ノーマルが超高速で接近してきてパニックだったらしい。
なんというお騒がせ男なのだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2404
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 21:31:22 ID:KeC/UsNc0
V ` ー-ノ __ ヽ. | /..-…イレ'
| /∠.._ ヽ ヽ. | | ,. -─ 、ヽ /
ト、 | , 二ヽ\_ ,! | レ ,.-_―_¨ | /、
/ハ. | l o`ヽ_ノ. | レ' ´。 〉 | ,ム.|
{ rハ | `ー─_ .'イ' | ト_ー─ ' , /7/
\ ! | !::::! | / i / ン
∧ハ|. ` j/ ,..イイ ……なんだおまえコノヤロー!
ハ:::`| ` ´ イ::::ノ|
| Vハ /_二二二二ヽ // 7 「なんなんですかお!?」
ハ \ \. |::::::_ _::::`| ,. ' /!
/ ヽ \.ハ |V V / / \ この部屋何もねーじゃねえか! 没個性マネキン野郎か!
/ ! \ | ! '/ / /' \
. / 'i ヾ. -----'/ / , ` . いいか! 個性なくして文化なし文化なくして人はなし俺もなし
| ` 二二´ ' ヽ
| ゝ───'7 \ 女とのデート前におめかしもしねえなんてのは豆腐に醤油かけずに
| / \
____
/ \ 「〜〜〜〜つーわけで行くぞォ!」
/三_',!`zx二 \
/ ´ー¨‐` ´ー¨‐'' \ どこにですかお!?
| (__人__) |
\ ´ニニ` ,/ 「買い出しだ! てめーの没個性を文化で染め上げてやる! 俺はこう思うんだよ、思い立ったが」
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
突如として罵られて全身が強張る。
いや、あまりにおかしなことを言っているわけではないのだが、
いかんせん勢いが強すぎる。これでは気圧されもする。
腕をむんずと掴まれ、昨日の再現のごとく連行される。
やはり、滅茶苦茶だ。
もしかしたら、関わるべきじゃなかったもかもしれない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2405
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 21:31:34 ID:KeC/UsNc0
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
2406
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 21:44:23 ID:KeC/UsNc0
: .: .: o .: .:\.: .: .: .: .: .: .:ο .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: . ┃ C . :┃ .: .: .: .: .: .: .: .: .: C : .: .: .: .: .: .: .: /: .: C.: .: .: .: .: .: .: .: .: .:
.: .: .: .: C .: .:\ . ____________┃__┃____________ / .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:
.: .: .: .: .: .: .: .: .:\「ニニニニニ\二二ニニ寸 ┃ ┃ / ∧/ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:
.: .: .: .: .: .: .: .: .: ..:ヤフニマニニ二二\__‐┏━┻━━┻━┓ ./ ∧/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .:.:∨i!iリ二二二二二丐:;:,:|r┗┯━━━━━┛ / ∧/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: O .: .: .: .: .:
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:^Y^ .: \ニ二二二|.;.;.|xxxx|二\_________/ ∧/ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:
≧s。.: .: .: .: .: .: .: .: : .: .: .: .: .:\ニニニ|:,:,:|xxxx|二二二二二 ____ ニニニ∧/.: .:〇 .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 〇.: .:
:i:i:i:i:i:i:i≧s。.: .: .: .: .: .: .:o : : .: .:\,=二|:,:└┬┘二二二二 |////////l ニニ ∧/.: .: .: .: .: .__________
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧s。.:: .: .: .: .: .: .: .:.:\,∧ :,:,: |〕iト、  ̄ ̄ ̄ ̄|////////| ∧/.: .: .: .: ./i:i:i:i:i:i:|i:i:i:┌─────
i:i:i:i:|>--=斥三三i:i:i:≧s。.: .: .: .: .: .: \  ̄ 二二〕iト、. |////////| .∧/.: .: .: .:/i:i|i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:i:|
i:i:i:i:| |^⌒ 〕iトi:i:i:i:i:i|.: .: .: .: o .: .: \ 二二二二〕iト.─|////////|─‐| /.: .: .:/i:i:i:i:i|i:i:i:i:i:i:i|i:i:i:└─────
i:i:i:i:| | | ̄ ̄|i:i:i|ニニニ≧s。.: .: .: .:\ 二ニニニ 「` |////////| 二 イ.: .:/i:i:i:ir乍|i:i:i:i:i:i:i|二二二二二二二
i:i:i:i:|_〕^ ̄}笊 | |i:i:i| ̄≧s。ニニ≧s。.: .: \二二二 l─|////////| ̄ :/ i:i斗匕芹|l ̄ ̄||_______
i:i:i:i「二」乍乍符zzz |i:i:i|⌒^トkj|i!i!i||  ̄〕 ≧s。/爻ハ ̄ |////////| 。s≦|イ{i:i:i:| | li:i:|l || | |
i:i:i:i「二」\坏坏厂し. |i:i:i| ェェェ 〕|i!i!i||^ ̄}| |,爻爻) | ̄ ̄ ̄ ̄|i:i||:i:i|| j|爻i:| | li:i:|l__|| | |
i:i:i:i「二」‐‐| ̄ ̄ ̄|マヘi:i:i:|iハ刋 〕|i!i!i|l〕 }|。s≦ r┴ヘ__ |三三三三|i〕iト、lイん ) | li:i:|i:i:i:i:i:i:i|__|___|__
i:i:i:i「二」 ̄|──リ ̄|И:i:i|辷斗-=≦ア´ ̄ _:-:_ 弋_ノ-。s≦二二二二≧s。-〕辷斗-=ァx〕|i:i:i:i:i:i:i| 二二二二二二二
i:i:i:i「二」 ̄| イ |iテjI斗-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:。s≦二二二二二二二二≧s。:_:-:_:⌒ヽ──────────‐
i:i:i:i「二」ィi〔辷辷辷苅-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_
-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:
-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:-:_:
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そうして連れてこられたのは、IGIO所有コロニー・カンブリア。
そこにはIGIO西ヨーロッパ支社があり、お膝元には企業の人間向けに
ブライドル地下よろしく遊興施設や商業施設が多く存在するという。
やたらと高揚感を発散しているクーガーに連れられ、その中の
ショッピングモールの一角に足を踏み入れた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2407
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 21:46:46 ID:KeC/UsNc0
__
./ノヽ\
;/(○)(○ オエッ……オエエエエッ……
.:| ヽ (_人_)|;
:\ |. ⌒ /;
/ く、´
;| \\_
;|ミ |`ー=っ
::::::::::::::::::::::::::::::::::_,;;:‐''" /::::::::::::::::::::::::::::::::.:.: ``'''''ー‐-,- 、.,``ヽ、
:::::::彡''"_,,. -''"´ 、_`ヽ、/_:::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/  ̄`゙`ヽ、
-‐‐-<、.,_ ,,.彡ヾ、;;=''ヽ、::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
,. -'"/ _,.、‐'"´ \ \、_:::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
,.r''"::::::::く ,,.‐''´\\ \ \`''ー--、.:.:.:.:.:.:.:.:/
:::::::::::::::/ \\_,,.、-一''''"´ /:.:.:.:.:.:.:.:/
::::::::/ __,, -‐''ヾ,´ ̄ r'' (.:.:.:.:.:.:.:.:/
==ニヾ、::::::::::::::::::\ ', ,,.‐ニア.:.:.:.:.:.:./ 十三分二十四秒……また二秒……世界を縮めた……。
/r‐ヲ ヾ、ー-- 、::;;\ ', __,ノ‐'´ヾ|!.:.:.:.:.:./
l し、 ``ヽ l `''ー-‐'´`ヽ、 /
、 ヽ-‐‐ヽ J ´ `''ー- 、,
:::`''ー‐-、_ )
:::::::::::::::/ l ,,. -‐' ,,.‐'´
‐''''''''''''ー‐‐-'、.,,_ _,,. -‐'''"´ ,,.-''´
`'''ー--<´ ,r一''"/
‐-、 `ヽ、./ヽ.:::::::/
ヽ::::\ ヽ、 ',:::/
l:::::::::ヽ、 l/::/
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
なお、ここまで来るのに、やはり一時間とかからなかった。
ドックまで連れていかれると、飛行機を人型にデザインしなおしたかのような
灰色のノーマルのコックピットに放り込まれ、申し訳程度のシートベルトを締めて
出発したわけだが、これが凄まじかった。戦場以外で死を覚悟することに
なるとは思っても見なかった。
ドラム缶の中に突っ込まれて、外側から鉄パイプで滅多打ちにされたみたいだ。
強烈な揺れとGの中、胃の中身をひっくり返さなかっただけ良かった。
手で口に蓋をして、ふらふらになりながらも何とかここまで辿り着いた。
一方のクーガーは何やらサングラスの下から感涙している。
頬に謎の涙が伝っていた。両手を天高く上げ、何やら呟く姿は、
紛うことなき変人だ。今回も周りの目が痛い。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2408
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 21:56:03 ID:KeC/UsNc0
|、/! l、l、j,:/:l , .:: '" "´..:: '"´ .......:::::_,,
l '::| ヽヽ/::/:::::::-‐''":::::::::::::::::::::::::::::::_,,. -‐''"´ _
|:::::',/〃,.、---――''''''''ー‐‐-‐ァ‐'''" ,,.-'"::
|:/.::/ / _,,. -''"::::::::::::::
/.:/ー- 、_ _,,,..-ニミ、 〈ー‐'''"::::::::::;;〃‐''"::
/.:/| r-、  ̄`''ー┬r-,- 、,_ヾ::::`ヽ:::彡´::::''"::::::
/.:/ l\./ ', | | ll  ̄二r‐-、::、ヽ::::::_、
/.:/ __j / l____|_l-┴‐''7´::i r 、 `|::ミ、:::≦、_ じゃ、服だな。
__,,. -/:/  ̄/ V /〃/ ) /, /::;:'"、ー‐'"´
r'"´:::::::://:::::/ __/',`ー''''‐ '´l/'ヽ‐'/!、:::/!` 「はい?」
|::::::::::::::/'::::::/ 〈 l`ー‐-、,_ ,、 r‐''´ ノ/ ,'`ー‐--
. |::::::::::::/:::::::::| l__,j `ヽ、  ̄´ / / | 人に会うんだぞ? それも曲がりなりにも年頃の男と女だ。
l::::::::::::::::::::::::;l / ̄ `ヽ、 _,,.‐''゙,,. '´ ! /
ノ:::::::::r―'''"´/ ,-‐'''7‐-‐' _,,.ィ-‐''" ̄ / |:: 身だしなみも礼儀の一環だぜ。
/:::::::::::| / /'"´\`''--r-‐< l / l:::
!::::::::::::ノ .| r''"´ ,、 入.フ| 、/ / /:::
〉:::::::〈 | -‐''´ ̄ ヘ | / /::::::
. /::::::::::/ | _,.-‐'⌒ヽ, | / ,,. -‐''"´ /::::::::::::
/::::::::::/ | //| / / ,. -‐'´ ̄`ヽ、:::
ヽ| `‐‐ソ、:;:;∠ノノ
:;、 .| 〉,ヘ:;\
:;:;:;`z_ / r´ ヽ \:\
:;:;:;:;:;:;`ヽ, ----´---------------┴、 \:;:\
:;___:;:;:/ ,__________;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::、へ::::::::l \:;:;\
´ .`ヽ、´:;:;:;:;:;:;:\ ヽ、;;;;;;;;;;;;::::::::::::ヽ ヽ::∧ \:;:;:`‐‐‐----/
. (´ r、:;:;:::;:;:;:;:;:;lヽ `ヽ、;;;::::::::::::::::::/::: ヽ ゝ------‐´ 俺はこう思うんだよ! 恰好に気を遣わないのは自他共に損だと!
ヽ く ヽi`ヽ、:;:;! ヽ、____/ :::::::: ヽ
ヽ、 ) ヽi ____.) ああ俺はモテないデキない日陰者なんて言う前にやることやれってんだ
、 (´
ヽ、 /-----、 ノ 脳死チョイスのシャツにジーンズボサボサ頭にランニングシューズ
/ lv=====/`
l .〈 .l / そんなんで女受け悪いなんていう奴は論外だ! 髪を整えろ
ヽ ヽ l ̄`ヽ/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー------、└----、 眉毛を整えろ産毛を剃れ下の毛は長すぎず短すぎず快適な長さに
ー------,
./ヽ 服も良いやつとまで言わねえから自分に似合うものを自分で選べ
,,∠´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、 ヽ、
,、/´ ヽ、ノ ヽ__ あと夜通しシコってんじゃねえ不健康的なのも印象悪い
ヽ /
ヽ / 健康的で清潔感があって身だしなみがきちんとしている
へ .l /
/ ヘ \ ∟、 それだけでも与える印象は違うそう同じ車でも手入れ次第で
---‐‐‐‐‐‐-- // ノ / ヽ______
2409
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 22:03:05 ID:KeC/UsNc0
、
.|`ヽ、_
_}、 `ヽ、_
、. `L
_r― ‐- 、r-、`ヽ.
r'´ `ヽ、 ,/`| `ヽ!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄!
 ̄`ー―'^r‐イ 逆に考えてみろ眼の下隈だらけで髪の毛ボサボサ枝毛まみれ服もテキトーなトレーナーとジーンズ
,ゝ |
__ > ノ 化粧もなんかテキトー肌もあからさまに荒れほーだいもうちょっと頑張り様あんだろみてーな
__`ヽ,/
| ` ヽ 女が来たらどう思う!?男も女も同じだおまえがそのまま一緒に歩いてたらなおはさんが恥かくってもんだ
/ /
/ / 気合いや誠実さを伝えるためにも身だしなみで表すってのは大事なことだ
./ |
/ ! 確かに素材によって限界はあるだがしかしできることだってあるのもまた事実
./ |
〉 ゝ ましてやおまえはこれからデートの身それならばなおさら気を遣えっていうもの
\ ヽ
ヽ、 l 会う相手にゲェーッって思われるような恰好は論外なんだよ分かったか!
\ / |
`´ |
___|
ーr一'´ ヽ
ヽ ヽ
ヽ ヽ
「 ̄ ̄|
| |
| |
| ー〉、__
|____i
 ̄  ̄ ̄
2410
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 22:07:49 ID:KeC/UsNc0
____
/ \
/ ─ ─ \
/ -=・=- -=・=-. \ ええと……つまり……身だしなみに気を遣わないのは相手に失礼だし、
| u , (__人__) U |
\ ..` ⌒´ .〆ヽ 与える印象も悪くていいことないから、そういうのはきちんとしろ、ってことですかお?
/ ヾ_ノ
/rー、 |
/,ノヾ ,> | /
ヽヽ〆| .|
::::::::::::::::::::::::::|:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::|:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::
_,,.ゞ、::::::::::, イー::、:::::::::::::__,,.. .-‐
: : : : `:/:::::::::/: '~" "'´ /
: : : ://:::/ ,イ{ .く
≧x/::::/::」 , イ:::::く_ }
ー/:::,/=_,.、_,x≦:::::>――ア
=/::/ニニニ} }ニニニニニニア::| そゆこと。
/::/ニニニア ハニニニニニ,-く:: !
::/ ̄ ̄ ラ′./ `¨¨¨ , イ .ィ:,' !
/` : : :./ ./ j , イ / }:r_'ノ:::
_ゞ: : :/ ./ 〈 ./ / .,イヽ: /
: :∧/ ./: : :./ / , イ ,イ : :
. r-' ゝ、/ / , イ , イ: : : : {
. j r , イ_> ' , イ: : : : : : :/
/ / _ /: : : : : : : : :/
,f´ 〈.{ __, --=≦
` ̄ ̄ __
_ -=≦ ̄
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
つまり、クーガーはこれからなのはと会う自分があまりに粗末な恰好なのを
見兼ねて買い物に連れてきてくれた、ようだ。
かなり分かりにくい上に困惑させられるが、厚意ではあるらしい。
そう思うと、悪い気はしなかった。吐き気は依然として強烈に胃を揺さぶっているが。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2411
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 22:27:25 ID:KeC/UsNc0
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
近場のベンチで小休憩を挟んでから、服選びを開始した。
暖色系の照明に余さず照らされたショッピングモールの中には
紳士服、婦人服、生活雑貨と様々な店が所狭しと並んでいた。
今の時代ではオンラインショッピングが主流なものだが、
実際に手に取ってみないと分からないものもある。
故に、こういった形態もまだ残っている。
店内では落ち着いた服装の若い男女やスーツ姿の男性、
ラフな恰好の壮年の男と老若男女様々な人が商品を検分していた。
そこかしこには店員が立っており、こちらにもあからさまな笑顔を向けてくる。
十中八九、誰もかれも企業に関わりのある人々だろう。
一般IDの市民がこんなところで買い物などできるはずもない。
配給されるもので生きている彼らの楽しみなどモニターに映る一般市民向けの番組と
ちょっとしたテーブルゲーム、たまに配給物に交ざって入っている菓子や酒といった
嗜好品を分け合うくらいだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2412
:
安価のやる夫だお
:2020/05/04(月) 22:41:31 ID:Y0.jq0ms0
アニキマジでいいアニキしてるな
2413
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 22:47:35 ID:KeC/UsNc0
/ /!
/ / レ/
ハ / /
| ゞ ゝ __ / イ
l / _>,. -‐…'´ ヽ' /ノ_,
/ ∠ _ - 、 ノ/ 〈
' ,イニ.ヽ r ' ´_ ニゝ ヽ /⌒レ'’
/ / Y、o_, '_o ノ` | !ノ`l/
' / l / ` l/ ,ハ
l/ ヽ / /「::/ |
i ヽ , l,/ L _
-─,/ヽ`  ̄ ̄ // / \` … -- _
,. -‐ '´: : : : / i ` / ,/ / \: : : : : : : : ` 、
/: : : : : : : :/ i /__,. イ 〉: : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : :l ゝ─ イ三三/ /: : : : : : : : : : : : :.\
': : : : : : : : : :. :l \::/ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
│: : : : : : : : : : : ゝ // /─ - .._ : : : : : : : : : : : : : : : .
ゝ: : : :_ :_:__/\ / / / ヽ : : : : : : : : : : : : : :l
l: :..:|` 、 ` \ / ,. -‐ …‐z, \: : : : : : : : : : :/
|: : :| \ ヽ \ / , '´ ,.. -―| 7: : : : : : : : :/
/⌒ヽ. ゞ \ // /' | _ /: : : : : : : : /
/:|ヽ j 罪 ` 、 _ Y'. / レ' j / : :┏━━'/
ハ r 、 \ と | 丁 ´ / .イ_ l:..:.:.┃ /
: : :∧ `ー'、 罰 | 罪│ ゝ' / j_ !: : : :\/
イ ゝニ⊃ | と ! i' / 「l\ ヽ: : : : : |
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「おまえは……中肉中背って感じだな。手足もそこそこの長さで
筋肉の付き方も悪くない。ラフな感じでいいんじゃないか。
体格も服選びの基準だ。細身の奴がスポーティーな恰好しても貧相だし、
ガタイの良い奴がかっちりした襟付きシャツにベストを着ても窮屈に見える。
あとは雰囲気か。おまえもあんまり派手な感じじゃないからなあ。
元気そうなやつは活発な印象を与える服がしっくりくるし、
大人しい奴は落ち着いた服がしっくりくる。
上下はシンプルでラフな楽な恰好にして、靴と時計、ベルトだけでも上品な奴を
着けたらどうだ? その辺りがダンディなものってだけでも印象違うぜ。
ま、自分がしっくりくる服を選んで来いよ」
何やら頭が痛くなりそうな本を流し読みしながらついてくるクーガーに
色々と横から言われながら、服屋を中心に回っていく。
服を選ぶ、など考えたことなかった。
服など着られれば上等、食事は腹さえ壊さなければ文句なし、
寝床は冷たいアスファルトの上だろうが安全であればいい。
そんな生き方をしてきた自分にとっては、違和感と新鮮さでどうすればいいか
到底分かるわけもなかった。
時折「これなんかどうだ?」と様々な服を渡されたりして、それを試着してみた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2414
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:08:38 ID:KeC/UsNc0
___
∠二_二 __ \
∧_八__/‐ 〉
〈 (__人__) ′
_)\ ⌒ _/
/. .\ } ノ\
/: : : : : :|/\/|: : : :ヽ うん。
/ : : Y: :: :| :\: |: : : : :|
/: : : :ノ: : ゚| | |: :|: : :|
. 〈_: :: :/: : : :o| ! |。|: : :|
<^: : 〉: : : :o| ! |。|. : :|
〉: : :}: : : : :d , /。/: : /
{: : : :}: : : :/ /。/: : /
八_}: : :/___r‐く_八
_>Ξ}: :/__〔_「) /〕::\
 ̄| 〈_/ 〈/〉》「 ̄ ̄
. \>′ У′
/ ノ! |
/ / | |
/ _/ | |
〈 / | |
. 〈 〈 | ノ{
. | ) 「⌒ 「
. | ̄ ̄|! 「 ̄\ >
| | | /7
_| | | , /
 ̄)k /| | 〈_
__/\ノ | | 〈 ̄
. \_____| | / \
\__)
. /⌒厂 ̄\
. / { ___\_
/\_}/ ̄ ̄ ̄_フ′
. / / ―匚]匸{
| | 〈___ハ_)
| l\__ ⌒<
| | \- -「 ̄\
\ ノ \ / 〉 これは。
. Υ У ∨
. | |
. \>==-- __/
〉 __  ̄∧
/ /=― /⌒Y
. 〈 /― 〈 /
/ _____ノ⌒!
}/< ̄ ̄ ̄ ̄〈/_ィ'
〉―ヘ: : : : : :} ̄|
\__〉: : : : Lノ|
| ̄: :\_: : /: : \
. | : : ⌒|! : : : : \
. |: : : : | \ : : : : \
| : : : : | \: : : :
|: : : : | \
|'、 |)
.| j ノ⊥
ヽ \ _______ ノ ./
ヽ/\ /;;;;;;;;;;;;;', ノ \/
ヘ 、 .\、 ,,-'"; ̄ ̄ ̄"'-,. / /
ゝ ゙メ、./  ̄  ̄ \ _× ノ
ヽ, /(●) (●) \´ 丿 ねーお。
ヽ、 |::::: (_人_) :::::| _/
ヽ、|::: |r┬-| ::::| /
|. \ `ー'´ / .|
.| i ̄ ̄i .|
| .| | |
| / ヽ .|
./ / ヽ .|
ノ ./ k ヽ
\_/ |"'―-----―'| ヽ、/
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
最終的に、白や紺といった単色のシャツやチノパンにスラックス、
あとは黒革のベルトや時計、ブーツなどを購入した。
あまりに高いものを買いたくなった時は一言いうように、となのはから
言い含められていたが、普段の稼ぎから考えれば今回の買い物は大丈夫だろう。
柄にもなく気分が少し軽くて、なんだか楽しい気がした。
慣れないことというのもそうだが、買い物というのは不思議な充足感がある。
だからこそ、人間には浪費という悪い癖がつくものも出るのだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2415
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:13:27 ID:KeC/UsNc0
,.. -イィ'-――-z._
,.-′ .' . ' `'ー、
rイ '. / / ..:::::::;;::-へ、.ィ
_. -‐'''"´ ̄\j|〃 _,,.. -‐‐ァ'": : : :;; : :`ーイ
-‐ ''''""´ ̄ミ゙゙7 ̄``''"´´ ノ__,.-‐'"::::`゙'''゙ /
V-ー-、 _,._-_ー=、ヽ::::::::::::::::::::::::ムィ
レ'" ̄`: __ ̄`':::ヽ:::::::::::::::::::::::ノ おー、それらしくなったじゃねえか!
. } ィ⌒uj: '´u `>::::::::}::::lへ;::::::::/
r|  ̄/ .::.  ̄ ::::|::/ヘ::::l::::::了 これならなおはさんも一緒に歩いてて恥ずかしくないってもんだぜ。
l{ ヽ ::::::レj^7:/:::::∠
l rー---‐―'''^l :::::::i、_,/:::::::r'"` 胸張っていけ、女の前ではカッコつけるもんだ!
l. 「 ̄,二二ニ´| ::::::::ト、_;;;;;:く~
r.-ー‐l |::/ _,.l ..;;;:∠-┴`‐┐
|`i:::::::::l. `ニニニ-''´「: |l
|. |::::::::::〉 ー‐ .::|: ||
-‐''フ |::::::::::`iー--‐‐''"|: ‐''^''ー-
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
折角なので一式、その場で着ていくことにした。
今まで着たことも、着るとも思ってもいなかった服装をしている自分が
少しだけ気恥ずかしく感じたが、クーガーの反応は良かったので、よしとする。
腕を組んで満足げに頷くクーガーに礼を述べながら、
頭の片隅から疑問が顔を突き出した。
どうして、こんなことをしてくれるのだろうか。
正直、クーガーにそんな義理はないだろう。
言葉にして出してみると、鼻を鳴らしてクーガーはニヤリと口の端を吊り上げた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2416
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:23:11 ID:KeC/UsNc0
;:::\. l /::::;:へヘソ'" |/::::::::::::::::,::
゙、:::::::ヽ、,〉 /:::::/ _,,. \::::::::::::,:'::::
ヾ、::::::::::/./::::::;:'゙ _,,.==ヽ、 l:::::::;r‐、::
\::::::;゙/:::::,:'゙,,_ / ,,.z''"´_,,,,.´ ̄ |::::::|'"ヽl:
'yヾ/::::;/''‐-ヽ、.,__ヽ l、_,,. ‐',.-'''"´ ゚ / !::::l! 〉 /: おもしれえ奴だなって思った。で、そいつが年下だった。
l !/:::;/ヽ ̄``・‐`" ヽ. ´`'‐--‐‐'゙ |:::/!/,/:::
. Y::::/l `'‐-‐''" | |/' /゙:::::: 気になる女の教え子ってのもある。世話焼く理由なんざ、
,'::::/、゙、 | !‐'゙ヽ:-、
. l:::/ k,ヽ, l l ノ,.、‐ それで事足りるだろ。シンプルだ。それ以上理由がいるか?
|::;' 〈ヽ, ヽ ! | /
|:l. ゙、 \.|'、 ヽ、,__,/ ,,./ _,'.-'" ……飯時だ。昼飯にしようぜ。
|! /! ヽ,、 ‐----‐‐''''''''''"´ r''"
!-‐''゙ ', l`ヽ. `''''''''"" | /
'"´ ゙、 .|. ゙、 /! /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
言われて、改めて意識すると、胃の中の空間が苦しく感じた。
素直に頷き、クーガーの不思議な持論を聞きながらエスカレーターに乗る。
一階は様々な店が出ていたが、二階はレストランエリアとなっていた。
見るからに欧米風のプラスチック人形が店先に置かれた
ハンバーガーショップに入る。
「野郎同士だし、どうせ晩飯はシャレたモンになるだろ、おまえは。
適当に食える奴でいいよな?」
「はい、ハンバーガー、おいしそうですし」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2417
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:41:38 ID:KeC/UsNc0
; : : r 、/""ィ=-‐‐ ',
゛゛'''''''rrrf''''ハ// __,,, ',
〈〈〈 |__!"´ニニニニ__.ノ ',.,,,_
r"`''´´ ‐-.,,_ ',__,,.= ̄≧'''i・‐-- .,
i ハ \ , -‐'''´` 、 .i''''''r ̄'''""´ __,,.|
'、( ゝ , -''´ ', .| | r‐・''"´ ̄ .||,, .--‐
ヽ-‐''´ ', .| | | |..|-‐・''' "
__,, --‐‐ ', | | | |..|
,, --‐‐ ''''''_"´ --‐‐ ''''' "ス | | | |..|
-‐‐ ''''' "´ /´ .| | | |..|
,,.--‐‐・・・・'" | | | |..|
/ | | | |..|
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
店の中に入ると、若い年齢層の客がかなり入っていた。
英語でBEEFであったりFRESHであったりと大きく書かれた壁に囲まれ、
シンプルな白の机と椅子が並べられ、陽気な男性ボーカルの音楽が掛かっていた。
店員が忙しそうに応対している注文カウンターの上に設置された長いモニターを見て、
そこに表示されているメニューに目を走らせていると、
視界の端に見たことのある後姿が映った。
そして、その黒コートの少年は目立っていた。苛立ちを隠しもせずに机を殴りつけ、
PDAを半ば投げるように放って大きく溜息を吐いている。
桐ケ谷和人だ。目を凝らしてみると、PDAの画面にはアヴィアコルの
仲介人であるスティーヴン・A・スターフェイズの名前が表示されていた。
桐ケ谷は行き場のない怒りを身振りで表していると思えば、急に立ち上がった。
乱暴に机の上の画面が罅割れたPDAを掴み、俯いたまま周りの客や店員に
肩をぶつけながらこちらへ向かってくる。
「いやあ失礼、ぶつかられる義理もなけりゃ避ける義理もなくてね」
それを、クーガーがぶつかられる寸前に桐ケ谷の肩を掴んで止めた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2418
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:43:01 ID:KeC/UsNc0
:::|_,,.. '"´ ':,:::::::::::::|i:i:i:::::::::::::::::::::i::::::::::::{:::::::|
:::l ゙::::::::::::|v:i:i:::::::::::::::::::j::::::::::::{:::::::|
:,′ '::::::::::| Vi:i::::::::::::::::ji::::|:::::::|i::::::|
′ --―‐____'::::::::| ∨i::::::::::::::i:i::::|:::::::|i::::::|
/ 〃¨¨¨¨二`:::::::|、 }i:i::::::::::::i:ii::j|:::::::|i::::::{
/ __,ノ/小 ::::| ㍉,}i:i::::::::::i:i:i::j|:::::::lヘ:::::{
|/{;}/l ::| j{´V::::::::/i:i:i, |:::::::| V なんだよ、おまえら……
|/⌒ヾ.′リ / |::::::/i:i / !::::::|
丶 乂r少′ j´ !:::/ }i:/ }:::, ああ、誰かと思えばストレイト・クーガーとやる夫か。
. \ ` ー‐ ´ j:/ /}/` }:::′
/ ′ / /}/ 退けよ、俺は今機嫌悪いんだ。
/ / イ}
′ /}i:/
/__ イ{ }/
/i:i:i:i:i/::/
/}:i:i/}/ }
| ヘ:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: : j !
| ∧:: :: ト、:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :/ }
\ \::ゝヘト、:: :: :: /:: :: ィ7ノ:: :/ ノ
ハ ゝ、 「 ー<:: :: :: :: 7::_ ,.ィ´ ,ィ7
}:: `<_} `⌒Y::「 {__/::イ,
Y:: ::√ l:: } ヽ:: ::/
_」、:: l ≧三≧、 |::| x≦≠7::∠
{ ミ}:: ハ ヽ,-tッ 、ヽ } |::|_, ャ-ァ }::/iソ
ヽヽ ::! `ー '´ l | }/ ー ´ // ノ そいつは奇遇だな? 俺もたった今機嫌が悪くなったところだ。
ゝヘ} | | レォ
{ く`ハ 、 _l j´ノ}
__」 \ヘ、 r,、_`__, ノ´ /、
-ァ ´ ̄ | `\`  ̄ ̄ ̄ / l > -- 、 _
/ \  ̄ / | \::>......、
}、_ イ l:::::::::::::::`:::::::..、
l ノ /::::::::::::::::::::::::::::::`'::
\ '、_/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::ゝ、 Y/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:/:: :: \ /r ,. :: ´::`丶、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
2419
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:45:36 ID:KeC/UsNc0
::::::::::::::::::::::::::|:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::|:::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::
_,,.ゞ、::::::::::, イー::、:::::::::::::__,,.. .-‐
: : : : `:/:::::::::/: '~" "'´ /
: : : ://:::/ ,イ{ .く
≧x/::::/::」 , イ:::::く_ }
ー/:::,/=_,.、_,x≦:::::>――ア
=/::/ニニニ} }ニニニニニニア::| そこの店員の嬢ちゃんに謝りな。かなり強くぶつかったろ。
/::/ニニニア ハニニニニニ,-く:: !
::/ ̄ ̄ ラ′./ `¨¨¨ , イ .ィ:,' ! そういうのはダサいぜ?
/` : : :./ ./ j , イ / }:r_'ノ:::
_ゞ: : :/ ./ 〈 ./ / .,イヽ: /
: :∧/ ./: : :./ / , イ ,イ : :
. r-' ゝ、/ / , イ , イ: : : : {
. j r , イ_> ' , イ: : : : : : :/
/ / _ /: : : : : : : : :/
,f´ 〈.{ __, --=≦
` ̄ ̄ __
_ -=≦ ̄
/: :|: :|: : :|: : : : :ヽ: : : ゚:,: : :‘。:::::. ::::::: ::::::::::::::トv'⌒⌒)
/ィ:..:|: :|: : :|: : : : : : :,: : : :゚, : : ‘。:::::. :::::::::::::::::::{......_,ノ......う、
/ |:..:|: :|: : :|: : |: : : : | : : : :゚,: : :..:}ヽ::::..::::::::::::::::{ζ..............ノ
|: : : :{: : :|: : |: :|: :.:ト、: : : :.}: : :∧ }:::::::::::γ⌒ .......__,う′
|:j|: :トヘ: :|\|: :}: : ハ \: :.|\: : }ノ}:γf´ y-ぅイー==ミ
|八.:|: \: :{ \: : : } ∨| ト::::}rf _,..-=/ニニニヽニ}
| ∨: : }\} ヾリ Ⅵ .|ζ _ノイ/ニニニニ/ニjヽ っせえな……正義漢気取りかよ。
∨:l:| く\ } ζ ノニニ/> -=ニニニニニニ\
リリ \__ ___ ζ ノニニ/ニニニニ二二二二二二 「気に入らねえだけさ」
う ゝ ζ う//------ ニニニニニニ
⌒ぅ_r丶イ{ /ニニニニニニニニニニ丶ニ二二 余計にうぜえ。
{\ニ{う、〜{ニニニニニニニニニ二二/\=二
〉ニニ}ニ( ∧ニニニニニニニ二二/ニ二ヽニ
{ニニ∧=( |l }ニニニニニニニニニニ/ニニニニニ
_rvぅ ___}ニニニ∨).|ト∨ニニニニニニニニ/=ニニニニ二
2420
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:51:07 ID:KeC/UsNc0
/: : : : : : : : ―ァ: : : : `: . .
/: : : :,::::'" : : : : : 冫: : : : : : :.\
. : :/ : : : : /: : : : : : : : : : :\: : : :\
/:/ : : : : / : : : : : :.∧: : : : : : : 、 : : : ヽ
//::/: : : : : : ::: : : ::// .|: : :|: : : : : }:. :..:..|ヘ、
/ィ::/ .:: : :/: ::::: ::::::/::/ |: : :|: : : }::: :::::. : | \
斗 、 / ´/:::: .:::: :./: : :::::::(⌒ヽ斗-:|ハ::::::__::ハ:::}:::::::}|
{(//)} .′:::::::::: : : :::::::::/ リ> .,`>-.( 丶::}:::::::}|
. ゞィ∧ |:::::::/⌒Y::::::::j:/〈芹苅ヾ `ヾ:i:i:i:i:>.、入:∧| あー……知ってるぜ、おまえのこと。
Vi∧ 八::::{ 〉{ :::( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄「i:i:i:i\i:i:i:i:i:i:∧
. Vi∧ / ’:ハ、} ∨::冫二二二二}:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i∧ ゴミみたいなAMS適性の元テロリストだ。
Vi∧ ∨ゝ- ∨ー―――‐┤:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
Vi∧ _____}ハ::::::、 ,, ''¨[i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|=- アヴィアコルの高性能パーツに物言わせてるだけのな。
\三三三三三三三∨:ハ .,(__,, ´  ̄`ヾ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}二ニ=-
∨三三三三二ニニ}八{ ` .,  ̄  ̄ ィ∨:i:i:i:i:i:i:i:i:∧《 恥ずかしいと思わないんだな、それでランク10なんてよ。
∨三三三三三三三} \ ` ‐/ニニニ∨:i:i:i:i:i:i:i:i:∧}ハ
. ∨三三三三三ニニ} {ニニニニ∨:i:i:i:i:i:i:i:/}=} 俺の適性の半分程度もないくせに……。
∨三三三三三ニ/ ノニニニ二∨==- ´ ∧ハ
ハ }V三三二ニニ/ /ニニニニニ㌻^:, /ニニゝ
|: :`ー<:.:∨三ニ=/-、 //ニニニニニ㌻´:::::::::, ∧ニニ二\
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
賑やかな店内が、一転して一触即発の空気に変わる。
クーガーの方は至極落ち着いているのだが、とにかく桐ケ谷が殺気だっていた。
コロニーで会ったときもあまり良い印象は抱かなかったが、
今はそれとは違う雰囲気だ。余程のことがあった後だろうか、
汚物でも見るような目でこちらをじとりと睨んでいる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2421
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:51:19 ID:KeC/UsNc0
_ ノイィ
/ -‐ '' "´ /
/{/"´ ´ /,
/ / / 〃
, -‐…‐- . ‐- 、 }/ / / /イ
`丶、\ }i/〃 / / /}
i`ヽ \丶} i { / / / / /
| } \ヽi { i / / /, / / /イ
| | /\{ {i / / // ィイ / / ,ノ
,r‐v j 《 ヾ--'‐'‐''"" // i /,,∠ノ
「|| \ rヘゝ{ _, -‐z '^}/=ミ ミ'′ なるほど。つまり、おまえはAMS適性だけの男ってわけだ。
「 |_ 、ハ `ー- 、 、:::nミー=v‐ゥr‐一 . イ / う)くヽ
L.ヽ_ヽ_} . -‐--ヘ、 {∨ }:::::::: ̄:::フ''" イ {_/フ^ i| 「なっ……」
/ <\ ___ ,/.:::::::::::::::::::/〈_、 ̄ ̄ 厶イ人「 /′
./ \_//.::::::::::::::::::::::.\ハ ァ=‐---一' __/___/ ' そうだろ? 適性適性、それ以外言えねえのか?
/;:::::/\:::::::::::::/\} `ニニ´ ,. } ∧_
. / /.::/ ヽ::::::::{ ヽ、 . イ } / `丶、
, ' ./.::/ \::{ } 7´ | ノ ′ / >‐- .
. / ..::::::/\ ヽ ヽ }/ |/ /.:::::::::::::::.`丶、
/...:'‐≠=‐- ヽ \} ノ / /.:::::::::::::::::::::::::::::∧
. /' -――-- ミ r――'―一'/ ......:':::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::
/ , -‐\ | \ /--‐┬――-‐<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.:::::::::::!
/ } | \ ′ \ `゙ ‐-==、..::::::::'"::::::::::::::::::|
/ }, 0 \l`丶、 \ /}:::::::::::::::::::::::::::::∧_
_ ノ. '" / 丶、 }\ / }:::::::::::::::::::::::::ノ.::::::}
; 0 ` 7 \丶、 ‐-/ _ ヽ:::::::::::::::::::::::::::::ノ\
: O / ヽ /  ̄`ヽ二ニ=-::::::::::::::::.\
{ 0 / `丶、L{ _ \:::::::::::::::::::::::::::::.\
ヽ O / / / ̄`丶、 \:::::::::::::::::::::::::::::.\
2422
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/04(月) 23:54:52 ID:KeC/UsNc0
/ / _,. ‐''" ..:::::::
/ / ,.-‐''´ .: ....:::::::::::::
,ヘ |!/ ,. -、/ / ..:::::::: ...:::::::::::::::::::::::
| :トK /__l__∠___/`ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_」__,,j.==''"´ ̄_,,. -‐'''"´l! :|/⌒ヽl::::::::::::::::::::::::::::::::::/
|〈 l l _ ィ'´/ | .::|ヒ ヽ l::::::::::::::::::::::::::::::::〈
! \l_レ'´| l:::lr'''7 l .l:..:::lリ7 ゝ/l、::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、 大したことない奴ほど、自分はすげえと思ってる。
| .l´ lj_/'イレ′ l!| レ/ ヽ‐' 丿ヽ、::::::::::::::::::::::::ミヘ
| ::l l'´ ル′ 〈 ノlWヽ、:::,. -‐''ヘ 牢屋の凶悪犯罪者も自分は正しいと思ってるし、
| :::| | ,/ヽ l / ヽ
l :::::! l // / / イカれた奴ほど自分はマトモだって叫ぶ。
!::::l '、_/-、ノr/ / /
l ::! 〈 / / レストランで威張るような奴も大抵はしょうもねえ。
. |::| | / /
!:! | // でも、そういう奴は腹の底じゃ分かってんだ。
|l '-‐/ 〈
l! \ \ だから虚勢を張る。
| >-、 \ ,. -‐''´
,.-‐''"´ ̄``ーァ‐''´ ヽ /_,,. -‐'"´ /
/:::::::::::::::::::::::::::::\ Y´ /::::::
\ \ l
\ l` ヽ、z 、 `ソ
_、j __ `` 、z 、 _ 7
. l Z_::::::ヽ、 ``ー x´ <┐´
/ヽ.―┴―――→―‐←――--- 、>、 ヽ
K. →l ̄\:.:.:.:.弋ー ャッ- 、`ー':.:.:.:.:.:.:.__ヽ ヽ
ヽ.´/!. リ \:.:.:.:.`ー――:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、tッノ.l ヽ ',
. ヽ l l. ` ヽ 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./⌒i.:.:.:.:.:.:.:.:! ヽ ',
',^ヽ!. ``ヽ、:.:.:.:./. l:.:.:.:>'´ ヾ
. ト  ̄ トー´/ ヽ ……寂しい目してんな、おまえ。
l , 、 ー ノ /
〈 ヾ ー――‐┬‐ィ /
ヽ-- 、. ヽ、___ソ´ /` 、
', l. / `ヽ
〉. ト、. / 〉
j. ', ` 、 / /
ヽ. ', ー――'´ /
j ヽ 〈 〉 /
2423
:
安価のやる夫だお
:2020/05/04(月) 23:58:38 ID:Y0.jq0ms0
ヒューッ!
2424
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:03:47 ID:re8zaDW.0
|: : :i:i:i:i:i|: : : : : : |: : :/ |: : |i:.: : : __ --|- __ --: |
|: : .:i:i:i:i:i:|: : : : : : |: : / : |i:i:. : : : ̄ ̄ ̄ | ̄ ̄: : : : : :} |│
|: :.i:i:i:i:i:i:|: : : : :i: /|: / ‘.: : |:i:i:. : : : : : : :|: : : : : : : ,i{ |│
|: .i:i:i:i:i:i:i|: : : : :|/ 1:..′ V : |:i:i:i:..‘。: : : : : |: : : : : : : ,i:i : |│
|: :{ ̄ `ヾ: : : : :|ー|:.゚==ミ.、 ∨:ト、i:i:i:. ‘。: : : : :|: : : : : : :,i:i: :.∧{
|八:} \ 1.: : : : | リ_,. ==≧ュ.,_Ⅵ Ⅵi:. } : : : | : : |: : : : ,i:i:i: .′}|
、 /}:ハ { |i: : : :.代´ ̄ )///ハヾ.ⅵ¨ \:i:i:} : : : | : : |: : : ,i:i:i:i ′ リ
..\......Ⅵ、、 }トヘ: : |:.j| ’ ∀マ刈tリ }| \}: : : : i| : : l: : : ,i:i:i:i: :イ{
.......}......リ..\ヽ〈 V ハぃ ゝ.こソ ,. } ∨ : : : .i|: :.∧: :/}:i:i:i:/ リ うるせえよ……おまえに俺の何が分かる!
...../........../リ 、 ∨ハリ `ー‐ ´ ∨: : .i:i|: / }/ }:i:i/、
.ノ.......// /)`ー 、∨:} ∧: ハi|:./ /} j:i/、 \
......// /⌒7/ ヽリ } / }: :/| {/ /´ い : : \
// / :. し レ′ / | i: : : : \
/ ′ :. ∧ | |⌒ヽ: : :ヽ
{ 丶 ___, /:|: | | |: : : : \:ハ
\ │ \ ∠二ニニ 一′ ィ: : : :|: | | |: : : : : : :} }
\ 、 / │: : : !/ j j: : : : : : :} }
、 \ \ \ / j: : : / .′/ : : : : : //
`ヽト,
`'ー-、..::::...:':、..、. レ1 ______
^''ー-、 `'ー|`''ー-、;_`ヽ:.. -‐''",. -‐''"`
`'''ー-、,_:::::{ `゙''ーr、 ̄\
i :::::::;;;>′_,.へ. { \ `、
r'⌒'| ::i"´  ̄`''ーヽ、j レ'′ \ `、 よせ。店に迷惑がかかる。そして何よりも、おまえは俺とやり合うべきじゃない。
| i´ヽ| ::| `、 ゚̄` (ソ .\. `、
ヽヽ^'l. ::|  ̄ `i \ ', 分かんだろ? リンクスになってから三年も生き延びてるおまえだ。
ー-<`フ''ヽ. :| l ヽi
 ̄`''''ヽ、:;| ー-′ l それくらいの判断はつくだろ。
 ̄`7 ,.. ‐''"j\
/、 {: ヽ
/ `>、 { /
/ /l `''ー‐'/
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
クーガーの静かに諭すような声色に勢いをなくしたのか、
桐ケ谷は凄むこともやめ、肩をいからせながら足早に出口へと向かっていった。
「桐ケ谷和人、なあ。悪人じゃねえんだがな、あいつも色々と運が悪い。
さ、気取り直して飯にしようぜ」
クーガーは何でもなかったように振舞うが、どうしても自分は割り切れず、
遠ざかる桐ケ谷の背中を目で追ってしまった。
怒りで足取りまで荒っぽくなっているその様は、クーガーの言うように、
寂しいものに映った。
「俺もお人好しじゃねえ。機会があったら分からねえが、
追っかけてお悩み相談するような聖人でもねえし慈善事業家でもねえ。
今は放っておけ。変に気遣ったら余計に惨めになる」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2425
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:11:39 ID:re8zaDW.0
____
/― ― \
/(●) (●) \
/ (__人__) \ お人好しじゃないのに、誰かが困ってたら助けるんですかお?
| ` ⌒´ |
\ / 「俺は俺の美学と信条に従ってるのさ。理屈じゃねえよ。
/ \
| ・ ・ ) 別に正義の味方がしたくてやってるわけじゃあねえ」
. | | / /
| | / / |
| | / / |
(YYYヾ Y (YYYヽ |
(___ノ-'-('___)_ノ
| l `ヽミヘ ヽ、 , 〃 / ! | ,/
|、ト、 \ ヽ、 へヽ、 / '"´ / / レ/
l \ ヽ、_ `/ .:ゝ、 ノノ_,,,.、-‐ァ' / /
ヽ ヽ、|  ̄/ .:/、/''"´ / / /
\ヽ、 / / .:::/ 〈'´ イ /
V,イゝー-,/ ::::/ _,,.=ミ、ヽ〃 /´
|fl:| ̄ __/ ::::/ヽ/ l__,.zr=ニ´ ̄ !:lr‐、l 未だにリンクスやってんのもそうだ。
l リ|! 、/ ::/u、〈 `''´ ィ'´ ゚̄ア |ノ|テ/
ヽjl:、 / :/ ̄ , `  ̄´ !::l /、 俺は自分の正しさを証明するために戦ってるんじゃねえ。
| トl /::/ | lリノl l
l lr// 、 / | ソ ,' 自分を貫き通すために戦ってるんだ。
_,. -一| /'、 、_ヽ__∠_,,.ィ /_/ l-、
___,,.、‐''"´ l ヽ、 ヽ、二二__フ´ _,,ノ'´ l `ー- 、_ 誰かに勝ちたいとも思わねえ、
 ̄:::::::::::/ l ト -‐‐- ./ / `ヽー--
:::::::::::::く ', | ヽ /l / ヽ::::: 俺は折れたくねえし逃げたくねえだけだ。
:::::::::::::::::\ ' l \ / ,' / /::::::
::::::::::::::::::::::>、 \ `ー''´ / / /::::::::
2426
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:20:13 ID:re8zaDW.0
;:::\. l /::::;:へヘソ'" |/::::::::::::::::,::
゙、:::::::ヽ、,〉 /:::::/ _,,. \::::::::::::,:'::::
ヾ、::::::::::/./::::::;:'゙ _,,.==ヽ、 l:::::::;r‐、::
\::::::;゙/:::::,:'゙,,_ / ,,.z''"´_,,,,.´ ̄ |::::::|'"ヽl:
'yヾ/::::;/''‐-ヽ、.,__ヽ l、_,,. ‐',.-'''"´ ゚ / !::::l! 〉 /: そのための手段がネクストってだけだ。
l !/:::;/ヽ ̄``・‐`" ヽ. ´`'‐--‐‐'゙ |:::/!/,/:::
. Y::::/l `'‐-‐''" | |/' /゙:::::: ま、あまり誇れるようなモンじゃねえけどよ。
,'::::/、゙、 | !‐'゙ヽ:-、
. l:::/ k,ヽ, l l ノ,.、‐ ああ店員さん、クラシックチーズバーガーとアイスコーヒー二つずつ。
|::;' 〈ヽ, ヽ ! | /
|:l. ゙、 \.|'、 ヽ、,__,/ ,,./ _,'.-'"
|! /! ヽ,、 ‐----‐‐''''''''''"´ r''"
!-‐''゙ ', l`ヽ. `''''''''"" | /
'"´ ゙、 .|. ゙、 /! /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
桐ケ谷の姿も見えなくなり、店に元の話し声や笑い声が戻ったところで、
注文を済ませ、白ゴマのまぶされたバンズに分厚いトマトやパテが挟まった
バーガーと飲み物を受け取ってテーブルへと向かう。
やはり、不思議な男だ。
彼は強引だし喧しいが、常識や礼儀は人一倍重んじているように見える。
だが、ただの善人というわけでもない。正義の味方でもない。
彼が順守しているのは、何か揺るぎのない強いものなのだろうとは思う。
それはきっと、彼だけのものだ。ストレイト・クーガー独自の考えだ。
善でも正義でも悪でもない。
リンクスになってから変わり者に会う機会には困らなかったが、
彼はとりわけ変わっていた。
けれど、そんな彼を、認めつつある自分がいた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2427
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:31:00 ID:re8zaDW.0
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ ……クーガーさん、一ついいですかお?
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ / 「なんだ」
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| | 他人のために振るえる力が欲しいって、変ですかお?
\ /___ /
,.-''"::::::::::::::::::::::::::::::::``'''‐--、
、 _,./ ,.、-‐‐‐‐‐--、 _,,.、-‐‐''"´``'‐-ァ、.__
ヾ:‐-、/!''"/_,、-''" `ヽ、__,.、-‐''''''''''''‐--、`゙'''-;'"
,.-、`ヾ`ヽ<-, _,.、-‐'ニニニ,ヾ'、‐、\:::::::::::.... `ヽ、  ̄`ヾ、
,.-''" ̄ ̄`` ゙, ,.-゙/ / ,,.-‐-ァ` \ヽ、ヽ::::::::::::::..... ``''7
,..-''" _,.、-‐‐r''''''''゙"/, ' ィ'" _O/ ゙):::`ヾ、.,__:::::::::::::.... /
,-/ _,. -‐、'"/!. ,.ァ‐゙、.l ヾ‐'゙ '''" ,ィ゙;:::::::::,'´r-,ヽ,:::::::::::: /
r-、./,..-''ヽ, l/ |/l l/´ ノ ´/::::::::;:゙/ヽ }:::::::: <゙
,/‐'"ヽ |゙l l ヽ,.>-、 | 、 /:::::::::/ r' | |::::::: ,.,゙ヽ, 変も普通も、良いも悪いもねえよ。
'"、 |. ゙,! ,,..,/.,ィ'゙ l ヽ _,,..,,_/' イ:::::/ ヽ、',ノ !::::::: / ``ヽ
,.! .l_ r7l j/ ゙ ,r'゙! _,,.-'''"´_,,l/ |/ r-‐'゙l::::: { どんな善行も悪行も、信念がなけりゃ空っぽだ。
l `_,ィ"rッ'゙ ノ`'''゙i / ヽ. -<,.-‐''"´ l j、_r-、:::::〉
`'''''゙`‐'゙/ ' .j \ '゙ ‐ ''' ""´ _,.、'-―――'-'゙、 他人に自分のレールを敷いて貰おうとすんなよ。
. | ,.-'゙ ヽ ::::::: __,.、-‐'''"´ |
,,.-'゙ _,.r'゙ | l 自分に従え。自分の信条にな。
,.-''T゙´ { |
\.,__,,./ ! ゙ヽ、.,__,,,..ィ''" | 誰に何と言われようと譲れない一線を作れ。
`ヽ-‐'''゙ ノ r‐----‐''"'、 |
/ l l ヽ | ,.、-''"
/ _,,,,,,,,,,__,,,>、' 、. ゙l! ,,.-''"´::::::
/ ,r''':''''"::::::::::::::::::;.、-‐''ヽ、゙'-、 /! ,、-''"::::::::::::::
/ / _,. ‐''" ..:::::::
/ / ,.-‐''´ .: ....:::::::::::::
,ヘ |!/ ,. -、/ / ..:::::::: ...:::::::::::::::::::::::
| :トK /__l__∠___/`ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_」__,,j.==''"´ ̄_,,. -‐'''"´l! :|/⌒ヽl::::::::::::::::::::::::::::::::::/
|〈 l l _ ィ'´/ | .::|ヒ ヽ l::::::::::::::::::::::::::::::::〈
! \l_レ'´| l:::lr'''7 l .l:..:::lリ7 ゝ/l、::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
| .l´ lj_/'イレ′ l!| レ/ ヽ‐' 丿ヽ、::::::::::::::::::::::::ミヘ
| ::l l'´ ル′ 〈 ノlWヽ、:::,. -‐''ヘ 美学と信念だ。自分でダセぇなって思うことはするな。
| :::| | ,/ヽ l / ヽ
l :::::! l // / / 自分が嫌いな奴らと同じことはするな。
!::::l '、_/-、ノr/ / /
l ::! 〈 / / 信じられるものの為に力を振るえ。
. |::| | / /
!:! | // そんで、一度決めたら貫き通せ。自分を裏切るな。
|l '-‐/ 〈
l! \ \
| >-、 \ ,. -‐''´
,.-‐''"´ ̄``ーァ‐''´ ヽ /_,,. -‐'"´ /
/:::::::::::::::::::::::::::::\ Y´ /::::::
2428
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:40:22 ID:re8zaDW.0
| ヽ ヽ \ヽ、 ヽ ヽ l `ヽ、
l ヽ ヽ \`ヽ、 ヽ l / | V|
ヽ ヽ \ `ヽ、`ヽ、 ノ ノ/´ ノイ j /
ヽ、_ ヽ \ \ ミ´ ̄ ̄``ヽ、 ヽ、 ハ从〃ノ∠
\\、 ミ ヾ ヽ、 `ヽ、 \彡ノ´
〉、ハ\三ミ ミ/ ヽ、 \
/〃 ゝr‐、\ ミ ,.zrニ≡ー--‐' ,z-‐\ヽ
//イYl|しjト、ヽ、l ,.rッ-、 r ィ。‐、 /\ヽ
'´_ノミヘ! l ヽヽヾ. `ー-' l ー ' | ヾ、 他人の目にどう映ろうとよ……自分が胸張れればいいじゃねえか。
`ヽ、__ゝ\ーゝ、ヽ l .l \
7/ニ`r‐,`\ ノ , ' これが俺のやり方だ、俺の生き様だって言ってみせろ。
/l l'⌒| 、 、 _ ィ/
| \ ! ヽ、 `ヾニニ二ソ/、 愚かさも貫き通せば信念だ。人のため、それもいい。だが、漫然と戦うな。
l \_ `ヽ、 / `ヽ、
/ ``ヽ、_ \ ,' ヽ、 誇れ。自分で決めて、自分で切り開いた、自分の道をな。
_,,..、-‐''´ 〉 \_ _ノ `ヽ、
`ヽ、 / / ̄ヽ、 /ー‐-、 それはさておき、食おうぜ。
/ ' lヽ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そう言って、彼は不敵に笑ってみせる。
飄々と、けれど真っ直ぐにこちらを見据えながら。
信念。それこそが、クーガーを突き動かす唯一の原動力なのだろう。
彼は倫理観や道徳、義務感では動いていない。
彼は彼の味方であり、彼の主は彼自身であり、信念で全てを判断しているのだ。
はぐれ者なりの誇りとでも言おうか。
なのはは「せめてもの矜持がいる」と言っていた。
きっと、アルトリアやはやてにも、それぞれの信念があるのだろう。
だからこそ、彼女らは自分の眼に、強く映るのだ。
自分には、ないものだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2429
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:44:41 ID:re8zaDW.0
_,,..、-ヽ、., |l
,.-,.-‐''":,:::::,. ::::: ``j !
/:::::::::、:::::/:::/::::__、-‐' |、
|, , /:::、::,.へ、':,ノr‐''"´,.='ヽ__ノ::゙:、
、!;|;|::::ヾ/:::r--'"´ /‐'''"`ヽ::::::|
゙l ヽ、r/:::j _,..,_ゝ '-'",r'。"ヽ ヽ::::',_
ト、._ /::/='" __ 、 ‐== ' ´ ヽ::| ヽ いやあ、なんか語ったら腹減っちまったよ。
ヽ、./:/ r' ・ヽ 、 、 !:|r }
、|:/::゙, '-.'" ヽ、 ,.、 l l:| / 食事は人の心を豊かにエネルギーと明日への活力を生み出してくれる
. |:!ゝ:::、 _,.-‐=´、j、 |'、
! ヾr、\、 l r"r''"´::::::::::|. !、‐==ニ, ̄| ここに速さは必要ねえのさ味を堪能するために歯で噛み砕いて
ヽヽ:\ ヾ、::::;,.- '"`'j /ヽ / !
,r''" ̄ ̄`ヽ、 ヽ.i___;、‐'" / ゙,,-'" |,‐-、_ 食べ物を胃に流し込むゥゥゥそして己の血肉とするのさ
/´ ̄`ヽ . ヘ,'‐-、.,_ ‐'' .l / `l
{´ ̄ ̄`゙ ノ' ヾヽ\`''‐-‐'" | / そうつまり食べるというのはまさしく命の創造生まれ変わる瞬間を
ヽ、,,,__,.-‐'" Vヽ,\ |
,.--、. ', ヽ ! __ 一口一口噛み締めながら〜〜〜〜…………
,/ `゙''‐-ゝ、 \ _,j,、-''"´ `ヽ /
,,.-| i, ! `''‐ァ''´ ! /:::::
,r''":::::j.-‐'''ヽ, }´ ,.-''´ ..イ ノ \::::::
/:::::::::/ __,,..-‐' / / ´ ̄ _,ノ | / \
::::::::::::゙l‐''" ノ‐''" _,.-‐‐''i"´ ヽ ,ィ''´
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ただ、やはり彼は、変だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2430
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:45:06 ID:re8zaDW.0
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
2431
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/05(火) 00:51:49 ID:re8zaDW.0
今日はここまでだ。
人の縁とは不思議なものだね、一周目ではロクに話さずに殺し合って終わった相手と、こうして服選んで飯を食うこともある。
次回は来週の月曜日、5/11の午後八時から、なのだが。
余裕を見てイベントシーンだけのところは随時ゲリラ投下していこうと思う。
しっかりお話を終わらせてあげたくてさ、少しでもペースを上げようと思ってね。
それじゃ、シーユーアゲイン。
2432
:
安価のやる夫だお
:2020/05/05(火) 00:53:04 ID:vVbO7Aiw0
乙
2433
:
安価のやる夫だお
:2020/05/05(火) 00:55:47 ID:JM.ANEN60
乙
兄貴はいいキャラしてるよなあ
2434
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:05:14 ID:LCCyfx5E0
/||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| 、 - ‐‐ -,
|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
|:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l ハロー。
|:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
|:::::::::::::::||___ : : :丿
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
|:::::::::::::::||/ ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
2435
:
安価のやる夫だお
:2020/05/11(月) 20:06:22 ID:bWxBvgjs0
ハロー
2436
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:09:39 ID:LCCyfx5E0
_ _ _
/: : : : : : `i
. i: : : : : : : : : :!
、: :○: : ○: :!
i: : : : : : : : : i
l: : :,, --_ッ: :', 最近投下の時にコーヒーを飲むべきか酒を飲むべきか迷う
>>1
だよ。
丶 `‐'´: : : :ノ
/ ´: : : : : : : : `ヽ どっちの方が筆のスピードが速くなるのだろうか。
. /: : : : : : : : : : : : : ヽ
, -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ とりあえずオリーブオイル舐めてるわ。
/: : : ,-イ: : : : : : : : /`丶: : : :、
r⌒ ,/ /: : : : : : : : i i: : : : i それじゃ、はじめていこう。
` ‐ ' /: : : : : : : : : | ! : : : |
i: : : : , _ -‐ ´,) ` ヽ _|
(_ _i ̄(_ -‐'´i
| :|`‐´i : : : : |
|: :ノ_ _ ノ: : : : :|
|: : : : : |: : : : : !
2437
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:14:44 ID:LCCyfx5E0
, ィ_
, -‐┘: : : : `丶_,.ィ
/. : : : : : : : : : : : :〈
、_{: /.!: : : : : : : : /. : ハ
`イ: 从!: : : :{:ノイ^Vノl′
ヘ、: l: : : ハ:从小
厶从从イミハ」
{´ `Y
_ ノ {_
,.--‐ ´  ̄ ‐- 、
ト __ ______ __ ,イハ}
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
柔らかい白で塗装された小型ジェット内部は、筒形のVIPルームのようでもあった。
黒檀で統一された家具たちは艶があり、移動中である実感を忘れさせる。
ソファと見紛うようなシートに体を預け、無聊を慰めようとお付きのCAに
ワインでも頼もうかと思ったが、やめた。
酒を飲んだところで気分が晴れるものでもない。
それに、今の自分はジャケット姿だ。零しでもしたら面倒極まりない。
久々にブライドル本部を訪れることになった。
IGIOブライドル支部の監査である。
なぜリンクスである自分がこのようなことをしているのかというと、
実際のところ、トップランカーともなればほとんど専属、
それどころか企業の重役と権限は大して変わらない。
実際、モリアーティに至ってはリンクスであると同時にIGIO管理部門の顧問だ。
スポンサーとは名ばかりのものである。
企業の力の象徴ともいえるリンクスは、使い勝手が良いのだ。
企業の損害となるか利益となるかを直接その場で判断し、
軍を動かすまでもなく自身の手で戦場に介入できる。
まさしく力こそが、この時代におけるヒエラルキーの決定要素だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2438
:
安価のやる夫だお
:2020/05/11(月) 20:14:47 ID:cY/CsGZ.0
ハロー
2439
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:14:57 ID:LCCyfx5E0
l! ミi!キゝ、_ノノ:ヘキ
∨:ミハ \ー‐オjl }:i!
.∨ ミヽ-、ヽヽl!Y :}
.\ ミ\_ヘl!lノ:/
、 ヾ、ー、`ヾ,イヘ
ハ ヾキ トrキ:キハ
::ハ ヾ、ヾ!キキハ
::::¨ヽ l!ソl! ヒ:Ⅷ
::::{f¨ヽ l!ー┴‐'",ヘ.
::::`ーナー 、 レ⌒l!二.、rヘ、
:::::::/ ハ {=、リ!¨i!ヘヾハ
::::::{ { }} i!=fハ! }=キ い
:::::::ゞ ゝシ .lヒコ ∨キ l!ィ j
::::/ >-く {_.ノ }=l! :} i'′
:/ /::::ヾ-ヘ l! } リ
’ f::::::::} ミヘ /シ'ー'
/:::::::/ ミヘ ゙´
.,'::::::::/ ミ:l}
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ネクスト戦役。
コジマ粒子が見いだされ、同時期に開発されていたAMS技術と共に
作り上げられた新型のAC、ネクスト。
最強の個体戦力として作り上げられたその兵器は、戦争を一変させた。
あらゆる歩兵、戦車、戦艦、航空兵器を単騎で撃破可能とされた
人型汎用兵器、ノーマルを更に進化させたものとして、
新次元のAC、ネクストと名付けられた。
見せしめに小国が半日と経たず崩壊させられ、
同じくネクストによる同時多発攻撃により各国の核発射設備が軒並み沈黙。
圧倒的な戦力差の前に、一日の内に国家群が降伏した。
地上の支配者となった企業連は、現在もなお続く行政体制を築き上げた。
限りある資源の節度ある再分配。
だが、それを壊す存在が現れた。
黒いネクスト。突如として離反したIGIOの最高戦力は、
ある日を境に追撃を退けるだけでなく、積極的に企業連の施設や戦力を破壊しだした。
当時は反体制勢力もネクストを保有するなど脅威度は現在とけた違いであり、
それらが黒いネクストに同調する形で、企業連への大攻勢が始まった。
二年にわたる大戦争の末、黒いネクストは白銀のネクストに討たれた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2440
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:16:42 ID:LCCyfx5E0
/:::/:::;イ:/:/::::::::::::::::;ィ::::::/:::::::::::::::::::::/:/::::::::::}i::::::::::',
//イ::::;’}:j/:::::::::::::/,::;ィ::/::::::::::::::::::/;ィ:::::::::::::}i:::::::::::::',
// ,:::::;’:i::}i::::::::::/,::/::〃:::::::::::::/:::/ !:::::::::::::}i::::::::::::::::〉
/ ,:i{:::i::::i::}i::::;∠,::∠_,://:::::::::::/,::/ {::|::::::::::}i::::::::::::::;′
′ ,::i!:::|::::|:::レ'_,::∠__ ,://::::::::/7:/}二‐}:ト、:::::;’:::::;:::::::;′
i:i|:::ハ:::|:::{ {{ 勹i:i:ト、.}:::::/ ,:/ xz=≠=ミゝ/::::::/:::::::{
i:{ i:{. }:::}::、:、_込:V癶}::/ / /込r≦i:i}〃'::::::/}::;}::i!; 俺は、組織を、この企業体制を痛覚のない生き物と思ったんだ。
i:{ i:{ Ⅵ:::}ヾ:. {/ }  ̄¨”/:::://::; }:从
i{. i{ Ⅶ::}:. ヾ、 ,: /.::://:〃 i:| 行政機関……企業連が脳なら、人は細胞。
` ゞ }从:::、 ` } . /イ:/-'’:::;イ{. ゞ
;/ }:ハ::.、 ーz 、 __ ,.イ,::::::::〃;’リ 俺たちは俺たちの生きる為に活動してる。組織もそうだ。
〃 }; }:::::i、 `ー¨¨ ̄´ . <,:::::::::/}/
′ リ .从r! \ . <i:′{:::::ハ{. i! 組織は組織を存続させる為に動いてるのであって、
/ i:;ト、.`ー\,。≦i:i:'__,ノ}::::{ リ
/' |ニ三ミf´rzzzzzzzュ 从:{ 人の為には動かない。俺たちが自分を構成する細胞の為に
j{ニ/ }ニ{ i{二ニニニ{ { `
,.。≦/r、} /ヘi{ {二ニニニi{ {≧ュ。、 生きてるのではないのと同じだ。似ていないか?
_,. -- 、_
_ -‐: : : : : : : : : :`丶、
, . : .:.:.: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ、
, : : .:.:.: .:. : : : .: : : : : : : : : : : : : : : :\
/: .:./:./:.:.///: / : : : : : : : : : : :ハ
/:.:./:./:.:./:.:.///: ://: :.: : : : : : : :. : :. い
/フ://:.:.':.:./:.;.:.:.;.:/: .:.:.//: : :.: :. : : : : :.: :.:.:. i: '、
´/:.//:.://:/:./:.:/:, : .:.:/ィ:| |:.:.:.:.:i: : : .:.:. :i:.:.: ト、ト\
l/〃:.:.l:.l:/:./:〃/: :.ィ:/ l/!:|l:.:.:.:.|: : :.:./:/:.:.:. | 丶 人間だって、死ぬくらいなら指一本で済ませた方が良い。
{ |l|:.l:.l:.l|:メl:///:.:/ナ=┼l小:.:.://: .:/:/:.:.:.:.!:!
lハ:.!:.!:|i小以!:./ノ‐ラ云=ミヘ//: .:/:/:.:.:.:.!:い そうでなくても、細胞一つくらいならどうってことない。
{ ぃl:.い.:.l`Ⅳ ノ匕zj_ ン//:.:.ィ ィ:.:.:.:.:.:|:.l、ヽ
ゝヘトV //// //:{:.:.:.:、ヽミ 、 それで全体が良くなるなら進んでそうする。
rf: : : : ヽ' _ ‐彡' / /イl:小:.、:.ヾ\:\
l:{: : : : : ノヘ` =‐- .イ /|'! j八{:¬i : : : : \ 組織だってそうだ。人一人殺せば全体が良くなるなら殺す。
ハ: : : : : ノィへ.. ィ入二二 く r=ノ气_): /: : : : : : : \
{: : : 、: : : : : : : : : ノヘ: \: : ヽヽ ⌒)、( /: : : : : : : : : : ヽ 組織の存続のためなら千人だろうが万人だろうが犠牲にする。
_儿: : : \: : : 、: : : : : :\《: __〉〉彡: :〃: : : : : : : : : : : ‘.
〈: : : : __ ニニヽ: : : :\〃ー: )): : : /: : ; :-‐……‐-:、: :', 人間の感覚で言えば、細胞一つ、指の一本、くらいだろうな。
ノ: : : : : : : : : : :, -‐ャ^\: :{{: : : 〃 : : /: / : : : : : : : : : : : : i
}: : : -‐: : : _/ Ⅵ\ヽ}}: : : {{: : : レ: : : : : : : : : : : : : : : :{
//: : -‐: : / ぃ ): ̄: : : :ぃ_j: : : : : : : : : / : : : : : :l
/‐: : : : :/ / 丶、: : : : : : : : ̄{: : : : : : : : : : : : : : : : : :|
2441
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:17:50 ID:LCCyfx5E0
/:.:.:.l .:.:.:.:.:.:.:.ヽ :.:.: .:l|:.: .:. :.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
/:.:. :l| :.:.:./||ヽ:.:.:.:`、: .|:.: .: .:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: .:|
l:.:.: /l| :.:.:/ l| ヾ_\\|:.:. : . .:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:l:.:. :.:.:.:.:.:.:. :. :.:|
{:. /:.:l :.:/、 リ ∠\ 丶}:.:. :. .:.:.|'^ヽ、:..:.|.. : .:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.l
|: l|:.:.| :.l:.:.:', /r彡戈ヽ |:.:. :.:.:.:.:ノ )}:.:.:|:.: .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
|l l|:.:.| :.|:.:.:.} ,イレ}/ |:.:.:.:.:.:.:/ゝノ丿:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:| 人と違うところを挙げるなら、痛みがないところだ。
|! |!:.:l:.:.||:.:.:.} ノ }/ ,':.:.:.:.// __ノ|:.:.:::.l:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ll:.|
|:.:|l:.{ヽ:./ ´ //:.:.// l |:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.l|:.| 更に言えば、補充が効くところも、か。
ヾヽ/ /// } |:.:.:.l:.{:.:.:.:.:.:./:.:.|:.l|ソ
\ / |:.:.l|:.:|:.:.:.:./|:.||:.l:.l 人は痛みがあるが、組織に痛みはない。
|ヽrー-- _, |:.l| l|:.|:.:.:./ l:.| |:|i|
|/|ノ r / }ノ__l|_|:.:./‐‐リニソ 指一本切り落としても、組織は気にも留めない。
l ' ヘ < _-ニニ─‐|/ ̄ ̄: : {
`´ ,∨ニ‐´: : : : : : :': : : : : : : :l それどころか、人員や設備を補充すれば元通りだ。
_--‐-、_ <∠: _: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/ ___、_ ノ、 ∨((: : : : / : : : : : : : : : : : : : \ なるほど喜んで切り捨てるわけだ。
/ / /))─ー' ∨乢-‐' : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
{ ヘ / / ̄`l _-ー一ニ ̄ ̄: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
l l/ / ヽ | ̄: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
_, -''´::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`'ー-、
_, - ' ´:::::::::::::::.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:\
/::::::::::::./::::::::.:.:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
. /::::::::::::::i:::::.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ノ:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:ト、
ノ::/:::::::::::::|::.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /人:l:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.|`ヾ
─-=彡 /::::/:::::::::レ':::::/:::イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:// |ハ:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.|
/:.::/:::::::::::|l:::::/:/ |::ィ:.:.:.:.:.:/:∠__||L`ソ:.:.:.:.:.:.:.:.|
. /:.::/|::::i:::.:.:.|:./:/_ハ:.:.:.:./ノ/ ,__」L_,ノ/:.:.:.:.:/:.ハ 「何を言いたいんだ」
|:.:/ .|:::::ト::::::V:/- -x |:.:.:.:/ / -ィテ芯フ./i:.:.:.:./i:.:.|
|/ |:::::ハ:::::::Kィテ=斗:::// `┴ ナ //:.:/j ト、_ 俺はリンクスをやめることになりそうだ。
| .|:::::/:ヾ::::::\ゞ≧V .| .//-'`/:.:.|
|:::::ハ::::::\::::ヽ ヽ / r-'´:::ハi 「何を……言ってるんだ、ルルーシュ」
ヽ::| ヾ::::i::::ト:ミ=- _ _ /l:.:l:.:.::.ト
\ |:::ト:::;Vハ、 ー - ̄ //:.l:.:.:.:ヽ 俺は世界を変えられなかった。これが答えだ。
ヽ:\::V::/:.> 、 / 彡'フ::::.:.:.ミ、_ _
>/::ナヾ:::ヽ- イ_ / ノ人/\ー' ようやく俺が守りたいと思えるようになったものは、
// ソ:::i ̄ ̄| / / ̄ ̄ ̄フ──
-=/ ̄|__|/ / // // ̄ ̄ 企業の守るものの中に含まれていなかった。
ノ r'´ ̄ ̄ V' .// //
_, - '´/ {/ / . // .// そして、おまえにはまだ、企業の掲げるものの中に
r‐' ´ / V イ | | //
V/ / レイ/ | |// 信じられるものがある。それだけだ。
V /__/ ./ .| ./
2442
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:18:15 ID:LCCyfx5E0
: : :.i: : : : : : : :1: : : : !: : : : |: : : : : : : }: : i: : ト、: : : } : : :.!: |: :.|: :: :
: : :.|: : : : : : : :i: : : : :|: : : :.:|: : : : : : ,′:.{′.|:\: : !: : : :|: :|: :1: :}ヽ
: : :.|: : : : : : : :ト.: : : :1: : : : !: : : : : /: : :ハ: : ト、: :\!: : : :| .1 .1: :|
: : :.|: : : : : : : :| }: : : .|: : : : |: : : : イ: : / }: : :.′\::.\: |::|: :}: :1
: :.ハ: : : : : : :.,' |: : : :}: : : :ハ: : : /: : /≦: : ′ : : |\::.\: ハイ:|
./ |: : : : : : 1 1: : ./|: : :/‐'}: ム: :/ }: ィ!: : : : i: : > 、::.ヽ⊥.!__
ハ: : : : : : :}_」: : 'ニ! ./二!/ィ| イ≦イ}:./ }: : : /: :/: :/: :>┬┬ ´
.r }: : : : : :ム/: :ハ-}:.'千丐行 }/} // /: : : /: /: :/: : // }: :} ……僕は、正しい道を進んでいるはずだ。
. `-ニ|: : : .:/ /:.:ハ_/'、竺竺xzィ .イ// /: : : /: /: :/: : /イ /:./
|: : :./ /./` _`_ ̄ ̄ ̄ ̄´ / ./: : ./:.//// /´ 現実を知らないのはおまえだ、ルルーシュ。
,': : / /./ ` ─- 、 /: /: /}}ス´./
,': / // /:.:イ: :///イ } / 現実には、向き合わねばならない。
,':./ / ´ /_ィ ///{ノ/
// /. /// / 我々が生きられる場所は、現実にしかないのだから。
/. /// /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その中で友と出会った。
共に戦い抜き、戦役を終わらせ、ようやく新たな体制による新たな秩序が
もたらされようとしていた矢先に、友は世界を見限った。
彼に何があったのかは分からない。
今となってはどうでもいい。世界の片隅で息をするだけの昼行燈となることを
選んだ男に、かつての友として思うところなどありはしない。
自分は戦う。この世界の秩序の為に。
企業による完全な管理、それこそが世界秩序の完成を成す。
そのためにも、経済戦争のパワーバランスをより明確にせねばならない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2443
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:19:52 ID:LCCyfx5E0
i /
{二二二二ニニニニニ=イ
}二二二二ニニニニニ7
{二二二二ニニニニ:.7
}二二二二ニニニニ7
/ ̄ ̄ -----イ
,. ´ i} そうだ。
/ i
/ / : 我々人類が生きられる場所は、
ノ y i
{:. il / :i i } 最早この現実、この星しかない――
i i ノ / } } :
i i ゙~ i : / イ /
`ー{ ノ / /-‐'
{i / / ̄
`==‐イ`ーイ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
だからこそだ。
既に人類に逃げ場所などなくなった。
人は自らの死地を地球と決めたも同然だ。
だからこそ、自分たち力ある者は、この星を維持する必要がある。
そのための、秩序なのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2444
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:20:07 ID:LCCyfx5E0
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
2445
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:31:26 ID:LCCyfx5E0
/ / _,. ‐''" ..:::::::
/ / ,.-‐''´ .: ....:::::::::::::
,ヘ |!/ ,. -、/ / ..:::::::: ...:::::::::::::::::::::::
| :トK /__l__∠___/`ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_」__,,j.==''"´ ̄_,,. -‐'''"´l! :|/⌒ヽl::::::::::::::::::::::::::::::::::/
|〈 l l _ ィ'´/ | .::|ヒ ヽ l::::::::::::::::::::::::::::::::〈
! \l_レ'´| l:::lr'''7 l .l:..:::lリ7 ゝ/l、::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
| .l´ lj_/'イレ′ l!| レ/ ヽ‐' 丿ヽ、::::::::::::::::::::::::ミヘ
| ::l l'´ ル′ 〈 ノlWヽ、:::,. -‐''ヘ そろそろいい時間だろ? 自分の部屋に戻るんだな。
| :::| | ,/ヽ l / ヽ
l :::::! l // / / 「あ、ええと」
!::::l '、_/-、ノr/ / /
l ::! 〈 / / ご馳走さま、世話になりました、だ。
. |::| | / /
!:! | // 「ご馳走様でした。あと、世話になりましたお」
|l '-‐/ 〈
l! \ \
| >-、 \ ,. -‐''´
,.-‐''"´ ̄``ーァ‐''´ ヽ /_,,. -‐'"´ /
/:::::::::::::::::::::::::::::\ Y´ /::::::
| ヽ ヽ \ヽ、 ヽ ヽ l `ヽ、
l ヽ ヽ \`ヽ、 ヽ l / | V|
ヽ ヽ \ `ヽ、`ヽ、 ノ ノ/´ ノイ j /
ヽ、_ ヽ \ \ ミ´ ̄ ̄``ヽ、 ヽ、 ハ从〃ノ∠
\\、 ミ ヾ ヽ、 `ヽ、 \彡ノ´
〉、ハ\三ミ ミ/ ヽ、 \
/〃 ゝr‐、\ ミ ,.zrニ≡ー--‐' ,z-‐\ヽ
//イYl|しjト、ヽ、l ,.rッ-、 r ィ。‐、 /\ヽ
'´_ノミヘ! l ヽヽヾ. `ー-' l ー ' | ヾ、 そんな畏まるなよ。お代はなおはさんとのデート権一回分でいい。
`ヽ、__ゝ\ーゝ、ヽ l .l \
7/ニ`r‐,`\ ノ , ' じゃあな、小僧。精々いい男になれよ。
/l l'⌒| 、 、 _ ィ/
| \ ! ヽ、 `ヾニニ二ソ/、
l \_ `ヽ、 / `ヽ、
/ ``ヽ、_ \ ,' ヽ、
_,,..、-‐''´ 〉 \_ _ノ `ヽ、
`ヽ、 / / ̄ヽ、 /ー‐-、
/ ' lヽ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
午後の三時くらいに、輸送機の間に人がごった返すステーションでクーガーと別れた。
別れ際、クーガーは相変らず飄々とした様子で軽口を叩いていたが、
嫌な気持ちは微塵も湧いてこなかった。
むしろ逆だ。なんともいえない爽やかさというか、
気持ちのいい真っ直ぐさを感じた。最初の悪印象など影も形も残っていない。
変人には変わりないが、きっと、彼のような男こそ、
尊敬に値する人というのだろう。
ただ、なのはとのデート権はあげられそうになさそうだが。
自分の前ではこのように落ち着いた面も見せるが、
なのはの前では早口の変人以外の何物でもない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2446
:
安価のやる夫だお
:2020/05/11(月) 20:35:44 ID:cY/CsGZ.0
去り際もかっこいい
2447
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:39:33 ID:LCCyfx5E0
.. ____
/ ― -\
.. / (●) (●) 男……男、かお。
/ (__人__) \
| ` ⌒´ |
. \ /
. ノ \
/´ ヽ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ほぼ無人の輸送機の中で腹が満たされたからか眠気に襲われ、
シートベルトを確認したうえで背中を座席に預けながら、
目を瞑って考えた。
なのはは自分に対し、人として、兵士としての知恵と心構えを説いてくれた。
一方、クーガーは自分に男としての在り方を説いてくれていたような気がする。
それは古いタイプの考え方だ。
自分もなのはから習った教養の中で知っている。
今の時代、性別など肉体を定義するだけの要素だ。
だが、クーガーのそれは決して悪いものではないだろう。
彼は男らしくあることを強いるでもなく、押し付けるでもなく、
男としての誇りを語っていたように見えた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2448
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:49:11 ID:LCCyfx5E0
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ ……クーガーさん、かっこよかったな。
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
何を以て自分を自分と定めるのか。
何を以てして、自分を自分と掲げ、貫けるのか。
自分には何もなかった。だから、何も分からないし、
自分が何者かもぼんやりとしているし、やりたいことも朧気だ。
どこにいればいいのかもわからない。何が正しいのかもあやふやで判然としない。
基準がないのだ。
けど、そんな自分にも、あのクーガーと共通点がある。
自分も、男の子だ。
無意識に口を突いて出た言葉に、自分でも驚いた。
そんな感情は初めて抱いた。
特に何があったわけでもないのに、ふつふつと高揚感にも似たものが沸き上がる。
脳裏にクーガーの不敵な笑みが過った。
かっこいい。
そうだ、この感情は、俗にいう憧れというものではないか?
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2449
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 20:49:52 ID:LCCyfx5E0
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
2450
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:00:29 ID:LCCyfx5E0
,――==―
, -‐…‐-=-...ゝ/:./__´_
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:__:.:.:.:\
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽヽ:.\
//:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.l:.:|:.ヽヽヽヽ:.:ヽ\:.:.ヽ\ヽ
i./:.:.:.:.:.l:.:|:.:||:./|:.ハ:.:i、i、i:.:i:.:l:.i:.:.i:.:.:.:i |:.i
||:.|:.:|:./圦斥=≦ .|≧云トl:.:|:.|:|:.:.|丶:| .|
ヘ|:.|:.:|:.|/r爪:个 .´{:::。:メ,|/:.|:.:|:.:| .i:.:|
ヽヽ:.ヽゝう:::::} b_::7〃l/:./|:.:| |/ お待たせー……って、どしたの、その恰好。
小、ミゝ…´ `¨‐‐//;,l/|:.|/:|/
|:.:ゝ ` //:.|:.:.:|/::.| 急に色気づいちゃって。彼女でもできたの?
|:.:.|ヽ、 -‐‐ ,∠:.:.|:.:.::|:.:.:|
|:.:|. |> 、 _ イ |:.:|:.:.:.:.!:.:.| 「そういうわけではないですお……」
|:.|/|――, ― |、 |/:.:.:.:.:|:.:.:!
,、r´:|:::| ヘ /><l l ヽ|`ヽ:.:.:|:.:.|
,、r::´::::::::::::::| ヘ、/ 只ヽ| ヽ:::::::`ヽ:.!
,、r::´:::::::::::::::::::::::::::| .ヘ /||ヽ | ヽ:::::::::::::::::`ヽ
|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::r L__lヽ‐‐‐yヽ/ `ヽ、:::::::/|
|:::::::::\:::::::,、r ´ / ヘ:::::::::| `< `ヽ/::::|
|rヽヽ:::::/ .< 丶:| ./ |::::|}
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
トウキョウに到着し、自分の部屋に入って待とうとしたところで
なのはの声が聞こえた。
丁度いいタイミングだったようだ。
振り返ると、いつものジャケット姿のなのはは何やら面食らっていた。
訝しげにこちらの全身を視線で検分しながら、腕を組んで首を傾げている。
クーガーと買い物に行っていたことを伝えると、
なのはは露骨に眉間に皺を寄せた。軽く呻いてすらいる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2451
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:06:00 ID:LCCyfx5E0
/:.:.//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.l:.:.:.:.||:.:ハ:.ヽ:.:.:.ヽ、,-:.┼--___:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:/:.:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
|:.:/.,':.:.:.:.:.:.:/:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| |:.:lヽ:.\:.:´\ヽ≧云、:.:.|`:.:.:.:.:.:|^、/:.!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
|/ |:.:.:.:.:.〃:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:|≦卞|`ヽ ヽヽヽ 〃て::、 弋o|:.:.:.:.:.:.|´ ヽ:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
| |:.:.:.:.:.:||:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:イ |≠云う丶 \ {:::::::ヽ-} 〃:.:/:./| ./:!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
{:.:.:.:.:.|{:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:メ ん:::::::} つ -:少 イ:.:/|:/:.:|/:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:| 「嫌いなんですかお?」
.∨:.:.:|.∨:.:.:i:.:.ヽ:.:.:.:.` つ-´j ‐`‐‐┴/:.///:.:.:|:.:.:.:.:!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
∨:.:| .∨:.:ヽ、:.\:.:.\.ゝ´ ///〃:.:.:.:|:.:.:.:..!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:! う、ううん? 苦手だけど、嫌いじゃないよ。
ヽ:.| ヽ:.ヽヽ、:.`ヽ__ヽ_ ′ //,イ:.:.:.:|:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
ヽ| ヽヽ \:.:.|:ヘ u. ‐ ‐ ´ / ,':.:.:./l.,':.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:| でも、男女の仲になりたいかって言われるとね。
ヽ .\ マ:|:.:.ヽ、 / ,':.:/:|/:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
|∧:.:.:.:.|`> .、 イ // /ヽ、:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:| 魅力を感じる感じない以前にさ……
|| ヽ:.:.:.| ._`T´ _ -/ ./ .|\_:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
| \:.| ,、r ´/ヽv<´ / |:::::::::: ̄`― 、:.:!
,、r -ヽ:/ ,'/l./ .ヽ / .|:::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ 、
,、r::"´:::::::::::::::/ / ヽy‐ 7´ヽ / |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ 、
,'|:::::::::::::::::::::::/ ./ l≠´.| >´ .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,::---‐ヽ
| |::::::|_-- < / ./ / ヽ | ./ ト- 、_::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::/
|:::|:::::| \イ ニ .y | ,.><´ >-<__/:::::::::::::::::::::::/
/´,':::::/ ≠<´ |´::::::::ヽ / `` 、 Eニニコ ./ |::::::::::::::::::::::::|
/ //::./ ヽ .|::::::::::::/ / ./ |::::::::::::::::::::::::|
_____
/ ― \
/ノ ( ●) \
.| ( ●) ⌒) | そういうものですかお。
.| (__ノ ̄ /
.| /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
きっと、クーガーは恋人に酷いことをするような男ではないはずだ。
なのはと交際したら交際したで、彼女の笑顔のために奔走しそうなものだが、
なのは本人としては気圧されてしまってそれどころではないらしい。
一つ勉強だ。
どんなに魅力的な内面を持っていても、それを知ってもらうために
ある程度表面を整えることも大事というわけだ。
そういうところは、なんだかクーガーも冴えない。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2452
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:16:12 ID:LCCyfx5E0
_
__⌒>:.ミー‐、 __
⌒>―:.:.:.:.:.\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:....、 _
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.く⌒:.:.:.ミ 、
/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.ヽ
///:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ.:.:.:.:.:.:.:.ハ
. /:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:イ:.:.:ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/:./:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:|:.:.|:./ |:.:/ l:.:.:.|:.|:.:.:|:.l:.:|:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
,:.:/:.:.:.:.:j:.:.|:-|‐十十ト |/ |十|十‐|-、:|:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
|イ:.:./:.:.:|:.:.|:.ハ| V 八 |ハノ 八ハノ:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
|:.:.l|:.:.:ハ:.:.:.-r竓芹坏 竓芹抃-|ノ:./.:.:j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
|:.:.||:.:.:| |:.:.:[ 辷zリ _辷zツ /:/:./:リ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. | 覚えておきなさい。男が思うカッコイイ男と、
ヽ八:. | |:.:.八 , /:/:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
ヽ|八:.:.:.ゝ ` /ノ:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | 女が思うカッコイイ男は違うの。
_ \:.:ト ー一 /:.:/イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
/ニニ=- __ V\:> イ /:.:./ l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | 「違うんですかお?」
,イニ7 ー=ニニ= 厂/  ̄ 7‐≦zノ/:.:./ .| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
/}}:ニ7 \ 辷7 〈 /天ヽ /:ノ | :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | うん。アレは、モテないよ。
′ノ'ニ7 〉 / ヽ//Y] ∨ 〕ニ、 .| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
レノニ7 ∧ \ ./| 〈_// / |-ニニミx__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
/ニ7 /∧ /. |―-.、∧__| -ニニニヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:|
. /ニフ /::::::::. \ |ニニ/ \ /ニ=i:.:.:.:.:.:.:.: |
/ ̄ ./:::::/辷、 \:|ニ=/ / / ニ|:.:.:.:.:.:.:.:.|
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「なあに? やけにクーガーさんに懐いたみたいだけど。
君って結構単純だし、半日連れまわされて染まっちゃった?」
ほんの少し、なのはの視線が冷ややかなものになった。
語気も少々鋭くなっている。なのはとしては、自分がクーガーみたいに
なってしまっては困ると思っているのだろうか。
慌てて首を左右に振って見せると、「ならばよし」と小さく微笑み、
なのはは手招きしながらドック方面に歩き出した。
「じゃ、いこっか。いいもの、ってほどじゃないけど、
十中八九君が見たことのないものを見せてあげる」
そう言ってなのはは気さくに笑う。
不思議なものだ。ちょっと前までは事務的なやり取りと教練ばかりだったのに、
今では男だ女だと話してけらけら笑うくらいになった。
自分との時間は、一応それくらいのものになっている、と思っていいのだろうか。
それだと嬉しい。
そして、そんななのはを、輸送機内でさらなる悲劇が襲った。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2453
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:27:21 ID:LCCyfx5E0
___
´ 二ゝ、\-‐:::--.., ,. -‐-、
; /:::::::::::::::::::::::::::::::::::`:>/:::::::::::::::ヽ
/://::::::!::∧:::::::::::::::::::{l{:::::::::::::::::::l ガクブル・・・
i/:::{{::::/ノi/ ∨ヽ:|:!:!::::}ヘ:::::::::::::::::| ;
; レVllV ○ ○从:::イ \::::::::::::|
ガク・・・ ヽ从⊃、_,、_,, ⊂⊃::ノ |:::::::::| { 「ふ、フッフッフ」
|::ヘ {_} リ:l::i { |:::::::::| ;
; /⌒ゝ.. _ _ ...,.ィi/l:/ ; |::::::::| ;
; / ./ ヽ只/∠ イ ヽ |:::::::l
| l::| ヘ /|├: :j:::彡,| |:::::::|
-ー==‐-、_、_
. ≠ _ 、 `、ヽ
_ /´ / ‐- 、 ヽ\
f(_/ / | 、 \ ` ミ、
廴/ ' l |、 ヽ 、ヽ \
/ / / j |、\、 | 、 ヽi 、 ヽ
,' ーナ7 / 丿  ̄} ハヽ 丶 ヽ l
| | { {, / ノ',. -‐弋 ヽ V
{、_ノ / ! ハ | /x===ミ、ヽ l }、_≧ソ なんたる僥倖ッ!!
` ¬ ヘ┼‐ゝi、 { ー彳〃!勾i `_ノル' ハ|
. | | {`マ丁心ミ≧- j斗”´ ̄ l个 l ト 「ひいっ」
ヽ ト、 、ヽ _)_少' } (r' ノ/
`ー〒个 〈 _//
. 弋ム ヘ ^ }1 {
` ヘ _,. -―ァ / !l ド、
\ ‘≪_ _ ´ ′lj |
ヽ、 ¨¨´ / /'i/
'、\ / / {
ヽ ー‐ ´ , ' !
_} ヽ / ゝ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ドックに向かうと個人用輸送機が短時間ではあるが一斉メンテナンスで止まっており、
丁度よく巡回してきた定期便の輸送機に乗り込んだのだ。
ブライドル管轄のこの輸送機には、トウキョウ以外にも様々なコロニーの人間が乗る。
無骨な空飛ぶ鉄の箱といった容貌の中は、やはり味気ないものだ。
軍用丸出しな鈍色の内装に、シートが左右に五列ずつ並んでいるだけ。
ちらほらと先客がいる中、何気なく右後方の空席に二人で座ると、
何やら近くに座っていた欧米人らしき男が笑い出した。
かと思えば、凄まじい勢いで立ち上がると、迷いのない足取りでこちらへ
歩み寄り、なのはの隣へと着席したではないか。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2454
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:29:50 ID:LCCyfx5E0
,ィ _ 、__
八___ ´ 、_ ヽ \
ゝ / ´ ̄ \ \ 、ヽ
ア , / | 、 ヽ ヽ\ ヽ\
/ / / l | l | | l 丶ヽ ヽ ヽ
/ / , , ムハ||| ヽi l ',
l / / / / l/l/ 、、 \ l !
r レ / ,/ ! ' /,. ≦ ̄\_ \\ ―丶 __,レ
|ー '/ //|、l l 「/r公テ〒 リ / / ム` ニ=- 、_ヽ
ゝ__{´厂 、|Aゝ トl〃 ゙='_ノ 丿イノl ハ )||| l || `` ナノハ・タカマチ……よもやこんなところで見えようとは。
Ⅵ | {ィ汚i、! ´ ´ /' 〈 / 丿 / ,!/
`トlゝ _ゝ7 ` r'_/ / 'l′ おとめ座の私としては、センチメンタリズムな
ン | | l /
ゝ _ ^ ノ Ⅵ| l | 運命を感じずにはいられないな。
ヽ _,,.. -;;ッ'゙ 川 | 、ヽ
`、`¨二 ___jム_l≧z 調子はどうかね、お嬢さん?
丶 ┌f‘” ̄  ̄`ヽ
', _| | |
┌r―……ゝ- < | | |
|| ∧ | | |
|| _」_| | |
|| /ノ | | /`"ー- ,,,__
【ブライドルランク11 グラハム・エーカー スポンサー:IGIO】
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
すらりと伸びた四肢に軍服風のジャケットとスラックスを着こんだ姿は
様になっており、癖のある金髪の下にはきりっとした精悍な顔つきがあった。
お世辞でもなくとも、なかなかの男前と言える。
ただ、言動が、変だ。
隣のなのはが震えている。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2455
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:32:14 ID:LCCyfx5E0
____
/ \
/ \
/ \ ええと……
| \ ,_ |
/ u ∩ノ ⊃―)/ 「敢えて言わせてもらおう、グラハム・エーカーであると」
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| | (まだ聞いてないお)
\ /___ /
__、_、__
, ´-‐- 丶 丶\_
, /´、 \ \\ ヽ v ヽ
`.ニ, | lヽ トヽ \\ ヽヽ
/ {|/ レ∠ィ V | | { ,}ヘ
, l/ノイ {./ノ付ッ 、丿 .イ ム、こソ L..ィ
`ァ.l ゝ ゝ. ´  ̄ ノ´rノ ノ l l‐ ´
ゝlゝlツ  ̄ r< ル′ 忘れもしない、あれはまさしく八年前!
ゝ、=ァ ' || {
ヽ`ニ / jヘ } 戦場に舞う美しき白、圧倒的な戦闘力!
', ´ ∠ ¬ー-、____ -――-、
` ¬ / / | / ∧ 君のその機体、マーシフルの存在に
,j_/ ' / / ∧
/ .:\ / , < l | 心奪われた男だ!
,/} /∨ / / / |
ノ / V , ' / /__ 〈 \ ヽ
__.-'´/ / / /-―‐┘ ヽ \ ノ
. /_.>/ /, / | \ {__
// / // / ゝl \ l
l l / l/ / \ ヽ
l | ./ / / | \ ∧
`|| / / | \ ∧
2456
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:36:06 ID:LCCyfx5E0
_)) / / / / ,.< l | ヽ \ \ /
彳 | | l l |/ \ 、 ゝ l V | 、\ \ /_
| | | l Vrf==ミ.ヽ\` \ l V l } /\/ \
| | | 、 l リ ィ心\ヽ\__, l/ ' /∨ |
| | | トl 、__廴fソ ハ i  ̄ / //=/ / /\
∧ | |ーゝ.\  ̄`` ∠. ィァ≦Zz.ノ ィ / /\ そう! この気持ち……まさしく愛だッ!
∧\\ `\ , ´心ハ} ´iア // / //
__∧ ヽヽ { 弋_fソ_/ // /ヽx/ 抱きしめたいなァ!!
|∧ ∧∧ 〉 ` ー=彡 / / ∨
ヘ || | | ,_ ⌒ ∠ノ , ' / / /
〈∧ヘ.| | | {ニニ_ 、_ / / ./ ' /
V〉 ヽ |_| ゝ ` `ミ _ 、_ / _ ´_ ´ //
=\ \\\ 丶、 `ン` / / / .∠/
_
/:/⌒
.-――-. . 、l::::/-‐:  ̄ ̄`ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ-==ニ ̄`\
ィ::i´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
//::l::::l:::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::\
/ i/:/::::::i:::::::::::::::::::::{::::::::::::::::::l:::::::::::::::\ヽ:::ヽ
/ /:::i::::::::::」_:⊥斗ハ´:::::::::,イ::}::::::l:l::::::ヽ:ヽ\l
ヘ {ハ!: ,イ|/ |/ ヽ::::/ |/`ヽi::::l:::::::::i::::l }
/:::::l∨ ∨: { ○ ∨ ○ /::::l:/::::::l:::l
{::::::l: ∧ ∧:人。 ゚ ゚c //:::::::ハ::l ……っ。
l::::::ヘi i: :ハ'///////,} / |:::::/ .}/
l:::::::| |\N i ':/ ヽ …………っ。
l:::::| | /´⌒ヽ、 人 i\
ヽ:! i (  ̄`ア イ/` / : :\
| |⌒ヽ――┬―く :! / : : : : \
| |`‐=ニ‐rゝ_7ィ,/゙i\ / : : : \: : : : : :ヽ
i ∧. : イ、.`〈 只l '‐‐r \ヽ/\: : : : : : \ : : : ::l
{  ̄> \l;:;:;:ヘr 〈 ィ/ \: \: : : \: : :|
∨ .\_ \;;;;;l lヘ/ \: \.: : :|: : |
.V / .、,r' ´ン、 \l lヽ |: : :|: : :|: : |
2457
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 21:38:49 ID:LCCyfx5E0
 ̄/ ̄/ ̄厂: : /: : / : ハ: : l: : l : : : : 、: ヽ: :ト ニ=-: :ヽ: : : : \ /
. / / /:/: :/l: : :':/、 ヽ: :、: :、: : : : :ヽ: l! レ\: : : : : !: : 、 | 丶/
、___/_/_/ :レ彡ヘ : {=ミ \ ヽi 、:ヽ: : : : }!:Aナ=ミT: : : :|:、: :ヽ|
l | | |: : |ヘ{ ヽ:lウh \\ ヽl : : : ||ナiウh jハ: : : ハ:ヽ- |
l | | |: : l i、 弋ツ トヽン^ソ,|: : : :ハ 弋ツ ィッ ,' : /: :}T |
l | | |: : 丶 ゞ=‐----‐彡/r' - i: :/\二¨¨´ ノィ: :ヽ/ | | しかしだ……我が愛はついに届かなかった!
l ヽ 、 |_: \\ "´ ´ / ヘ /´∧ ト:≧ |
l \ ` 、` 、:`≦__, 丶 ハ `T l ! 入束やる夫ォ! 君のマーシフルは、かつて私が
l ` 、` 、` 、‐ ´ , ハ l ! |
/ / ̄\ `! `! ゙l ,. ノj /___l__l !、/ 心奪われた機体ではない……
./ 〃` x 、 ヽ、 | j | ,. _ , / j l ∧
、 {() 丶ヽ丶  ̄\\ \ 〃‐-- ` 二二i{ イ― /―/ /Ll| あんな無様な粗製の動きでは燃えないのだよ!
ヾ 丶へ l l l { ∨ // / / / |
\ 丶 - ヽ < ヽ ` ゝ _ / //´/ ̄へ .イ /
、 \丶 { } l 「\ 丶、 `¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨´ < // ∧
/  ̄ ̄ \
/ノ ヽ__ \
/(―) (― ) \
|. (_人_) u | ええー……。
\ `⌒ ´ ,/
/ ヽ
. / l ,/ / i
(_) (__ ノ l
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
どうやらこの男はリンクスらしい。
興奮しながら変な言葉を羅列させているが、理解に苦しむ。
度し難いというものだ。
知り合いなんですか、と隣のなのはに訊いてみると、
彼女はげんなりしながら頷いた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2458
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 22:15:15 ID:LCCyfx5E0
-ー==‐-、_、_
. ≠ _ 、 `、ヽ
_ /´ / ‐- 、 ヽ\
f(_/ / | 、 \ ` ミ、
廴/ ' l |、 ヽ 、ヽ \
/ / / j |、\、 | 、 ヽi 、 ヽ
,' ーナ7 / 丿  ̄} ハヽ 丶 ヽ l
| | { {, / ノ',. -‐弋 ヽ V
{、_ノ / ! ハ | /x===ミ、ヽ l }、_≧ソ だが……ナノハ・タカマチ!
` ¬ ヘ┼‐ゝi、 { ー彳〃!勾i `_ノル' ハ|
. | | {`マ丁心ミ≧- j斗”´ ̄ l个 l ト 君の雄姿は我が魂に依然として焼き付いている!
ヽ ト、 、ヽ _)_少' } (r' ノ/
`ー〒个 〈 _// ちょうど昨夜も夢に見たほどに!
. 弋ム ヘ ^ }1 {
` ヘ _,. -―ァ / !l ド、 ――どうだね、思い出を語り明かすということで今晩食事にでも。
\ ‘≪_ _ ´ ′lj |
ヽ、 ¨¨´ / /'i/
'、\ / / {
ヽ ー‐ ´ , ' !
_} ヽ / ゝ
_
/:/⌒
.-――-. . 、l::::/-‐:  ̄ ̄`ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ-==ニ ̄`\
ィ::i´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
//::l::::l:::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::\
/ i/:/::::::i:::::::::::::::::::::{::::::::::::::::::l:::::::::::::::\ヽ:::ヽ
/ /:::i::::::::::」_:⊥斗ハ´:::::::::,イ::}::::::l:l::::::ヽ:ヽ\l
ヘ {ハ!: ,イ|/ |/ ヽ::::/ |/`ヽi::::l:::::::::i::::l }
/:::::l∨ ∨: { ○ ∨ ○ /::::l:/::::::l:::l 結構ですぅぅ……!
{::::::l: ∧ ∧:人。 ゚ ゚c //:::::::ハ::l
l::::::ヘi i: :ハ'///////,} / |:::::/ .}/
l:::::::| |\N i ':/ ヽ
l:::::| | /´⌒ヽ、 人 i\
ヽ:! i (  ̄`ア イ/` / : :\
| |⌒ヽ――┬―く :! / : : : : \
| |`‐=ニ‐rゝ_7ィ,/゙i\ / : : : \: : : : : :ヽ
i ∧. : イ、.`〈 只l '‐‐r \ヽ/\: : : : : : \ : : : ::l
{  ̄> \l;:;:;:ヘr 〈 ィ/ \: \: : : \: : :|
∨ .\_ \;;;;;l lヘ/ \: \.: : :|: : |
.V / .、,r' ´ン、 \l lヽ |: : :|: : :|: : |
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
結局、目的地にたどり着くまで、なのははグラハムとかいう変なリンクスに
延々と口説かれ続けていた。
なのはもこういった手合いは苦手らしく、やんわりといなしてはいたが、
段々と弱ってきていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2459
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 22:23:53 ID:LCCyfx5E0
_____ ,-------、
_ , イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:≧ュ、 〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
ニニ_:.:.:.:.:.\ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
ニ= 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:r.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |
/:.:.:._:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧__| |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧', l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
/:.//:.:.::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:|:.:|:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.∧:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
/ /:.:.:.:/:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:. l:.:i:.:.:.:.:.:l:.:l:.:.:.:.',:.:.',:.:.:.:.:.',|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
′:.:/:.:./:.:l:.:.:.:.:l:.:. |:.:.:|:.:ll:.:l:.:.:.:l:. l:.:.:.:.i:.:.:i:.:.:.:.:.i|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
.:.:.:.:.i:.:.:.i:.:.:.l:.:.:.:.:l:.:.:l:.:.:l:.:.lヽ廴__\ヽ:.:.ヽ__l:.:.:.:.:l|__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
!:.:.:./l:.:.:!:.:.:.!:.⊥┼┼ 丁| ヽヽ 二二二} |:.:.:.:.イ }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| はあ。
l:.:./ l:.:.:l:.:.:.:ヽ:.:.,イ芋示ヾ、 / 仍 示 》:.:.:/| !:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : |
l:./ l:.:.:l:.:.:.:l:.:.ヽ と辷シ ゞ==つ/:.〃 |/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : | 「なのはさんって、変な人から好かれますね」
l/ l:.:ト:.:.:.lヽl∧\ //:.:.! |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
′ !:.iヽ:.:l ヽ:∧ ヽ ,イ:.:./ .!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. | ほんと、そうだね。
ヽ{ ヽ:l l:.:.:.:ト ―‐ ,イ/:.:/ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
\マ:.ヽ ヽ l/:.:/ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
マ:.:', /{≧ ≦ //:.:/≧ュ 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |
x≦マ\/ \ / 〃 |:::::::::::::::::::≧ュ:::、:. |
,、r..:::::´:::::::::::::::::::ヾ、 /、/、 / /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::| /r≠_ \ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::}
. /:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::| / | / ヽ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::i
. /:.:.:.:ァ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ /  ̄ ̄ ヽ
///:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:‘,
/′.:.:./:.:.:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:‘,:.:.二ニ=‐:.{{}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..
,':.:.:/:.:.:.:.:.:./:.:.:. l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
: : /:.:.:.:.:.:.:,':.:.:. : |:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:. : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
l:/{:.:.:.:.l:.:. i:. l:.:.:┼<:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.i:.:.:.:.:.: /:./:.:.:. : /:.:.:.:.:.:.:.:.:./
|:! :.:.:.: {:.:. {:.:|:.:.:|l--、 ヽ:.:.:.:.:.: i:.:.:.:.}:.:.:.:/:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
リ ',:.:. |:.:.:マ マ:.:|: ´沁}:.:.|:.:.:.:/:.:.:.:/_/:.: , ':.:.:./:.:.:.:.:.:.:.: : /
マ:.lマ:.:|∧マ::{ )じリ/:.: /:.:.:.:/ }:.:./:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: / ……だめだね、切り替えてかなきゃ。
Ⅳ マ,':, ´N ゞノ〃:.://:.イ /: /:.:.:.:.:.:. /:. : /
/ : \ /:./ /:.:.:/__/:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:/ やっと着いたわけだし。
. {:.:.:/ ゝ┐ /ノ /:.: /, ':.: /:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:..
i: / ヽ/ ./:.:./:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:./
|/ ヽ-- /:.:./:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:./
|! /:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./、
. ___/:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.: /― ≧ュ、
, ´:::::::::./:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./::::::::::::::::::::::::::::≧ュ、
/:::::::::::::::/:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧、
.::::::::::::::::::::/:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::}
/:::::::::::::::::::/:.:.:. /:.:.:.:.:.:.:./:.:.:/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::i
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
輸送機が目的地であるブライドル管理下海洋生態系保存資料館、
というところに着いたところで、なのはと一緒に逃げるようにして降りた。
グラハムは追いかけてこそ来なかったものの、
依然として熱視線をなのはに送り続けていた。
本当に、なのはは変な男に好かれる。
ヘリポートに二人で降り立つ。他に降りる乗客はいなかった。
そもそも、ここがどういう場所かも、自分にはよくわかっていなかったが。
周囲を見渡すと、ここは海洋施設であるようで、辺り一面に海の青色が広がっていた。
ネクストのカメラアイ越しに見るのとも、また違った。
波の音が四方八方から聞こえてきて、ふわりと風が独特の匂いを運んできた。
「嗅ぎなれないでしょ。これが海の匂い。
ああ、安心して。この辺り一帯はコジマ汚染もだいぶマシだし、生身でも平気。
じゃ、入ろう? あっちが入口だから」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2460
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 22:39:41 ID:LCCyfx5E0
_____
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:――
__,.∠:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.⌒\:.:.:.:\
. /:.:.:.:.:.:.:/:.:.∨:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:. | :.:{:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.\:.:.Λ:.:.:.:.:.:..
. /:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:. |:|ハ|/:.|:.:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:∨ /∨∨〉:
/:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:. |:| |:.:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.|/ /|:〉 〈: |
. / :.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:Ν. | :.:. |:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.| /: |._Λ〉|
: |:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:┼―‐ -:.:.:.|:.:.:. ィ:.: ̄:.:.:.:.:|:.:.:.:|:.:.:.:.: |
|:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:|斗ぅ=ミ :|:.:.:.:.:|ァう=ミ: |:.:.:.:|:.:.:.:.: | お、きよったきよった。
|:.:|:.:.:|:.:|:|:.:.:|:.:.:.:{ )いハ 从:.:.:.:.| )いハ Y:.:.: ノ:.:.:.:.: |
|:.:|:.:.:|:.:|ヘ:.人:.:.: 乂;;ツ \:.| 乂;;ツ 从:.Λ:.:. /:.| 「お待たせ、はやてちゃん」
|八:.:.|:人:|:.\\ト'' ''' /:.:.:/ }:.:.:.:.:.|
\ |:.:.:.:.:.八 ' _, /彡/_,ノ:.:.:.:.:.:| せやなぁ、待ったなぁ。
八:.:.:.:.:.个 ` イ:.:.:.:| :.:.:.:. |:.|
/:/:.\/ ̄ < |\__:.:|:. /:.:八| ……やる夫君?
/:/⌒∨ :. :. :. {\>r≦. ノ| : :. :. :. :.\:.:.:|
/:.:./ :.:.:.: ∨:. :. Λニ=‐‐=ニニニニ|:. :. :. :. :. :./:.八 「は、はい」
⌒ア/:.:.:.:.:.:.:.:∨ / ∨二二二./|:. :. :. :. :/:.:.:∨\
/ ̄ ̄/::::::::::::::::::::∨ Vニ>''´ |:: :: :: :: /::::::::::∨__
:: :: :: :: 厂 ̄ ̄\:: /{__/{⌒`}\ Λ::: :: ::/::::::::::::::::⌒\
:: :: :: :/:: :: :: :: :: ::.:}::::{/ {:::: / \j:::::\::/:::::::::::::::::::::::::::::
_,,......,,__,,..、、、、..,,_
_、‐''゛.: : .: .: (.: .: .: .: .: .:.`丶、
/.: .: .: /⌒.: .: .: .: ̄\.: .: :. .:.\
/⌒\___/ .: .: / .: .: .: .: .: .: \.: .: \:\
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: /.: .: .: .: .: .: .: .: .:.\.: .: \:\
/.: .: : /.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :\: .: .: .:.\.: : .: .: .
/.: .: : /.: .: : | :|.:.:.|.:.| : .: .: .: .: |.: .: \ : / 〉 V\/|
/.: .: : /.:|.: .: .:| :|.:.:.|.:.| : .: .: .: .: |.: :|.: : ∨ // 〉\/|
/.: .:.:/.: :|.: .: .:|_:|___|.:.| : .: .: .: .: |.:._|_|_∨/ /:|/\|
/.: .: .: /.:.:.:.|.:.:/|.:八 |.:八.: .:.:.|.:.:.:| .:.| .: |.:.:\/.:.|/\|
⌒7.: .: .: / |.: .:.|.: | : :/ ,.斗ミx\.: |.:.:.:| 斗tミx:.:|.: .: :| : : .: |
.: .: .: / j : : |:八.: :〈 ノ,ハ )八.:.| ノ'ハ 〉|.: .: :| : : .: |i どないしたんや、そないに色気づいてもうて!
|.: .: / /.: .: .: .: .:\乂∨ツ \ ∨'ツ |:.: .: .: .: .: :||
|.: :/ /.: .: .: .: : /∧⌒, , , , |.: .:/.: .: .: 八 おおー、お洒落きめこんできたんやなぁ。
人:( /.: .: .: .: : / :|:∧ _`___ 八/.: .: .: / \
'.: |.: .: .:/|√.:|.:|込 { , , ) 厶イ.: .: .:./\_∧ 女の人と遊び行くから気合い入れてきたん?
|.: :|.: .:./八ニ.|.:|:::| > ., -- ,. イ /.: .: .:/ニ/ ニ|
|.:八.: √ニ \|.:|:::| 〔| /\></\/.イ .: /ニ/ ニニ〕 いやぁ照れてまうわぁ。
j / Vニニニニ|八 |_/ \〈:i:i:i:i:i〉/ ∨.:/:::|/ニニニxミ
| |ニニニ|:::::::\| \. 〉= 〈 / /:イ:::::::::|\ ニニ/ ', なのはちゃん、私たち、一応女性扱いされとる
\|ニニニ| ::::::::: |_ 〕:i:i:i:〔./_/::: |:::::::: |ニ|ニニ{ }
|ニニ/~|/⌒人 /:i:i:i:i:〔 ):::/\ニニハ\ 八 ノ っちうわけやでこれは!
|_//ニニ〈::::::::::\__{:i:i:i:i:i:〔/ /:::::::::〉ニニ.}:::::\ニ7
( \ |:::::::|ニ/⌒\::::::::\`¨¨¨¨` ::/:::::/  ̄\:}:::::::∧ニ{
\ \( \::::-―‐-\::::::::\{:::::::/_ -~:::::〔 ̄〕:八::/::::∨
\__ ------ミ_:\::::::::}:/::-‐……‐-:::::/::::/:/:::}
/ //:::::: ̄/ニ=-::::_::::::::::::r‐<~⌒::::::/\
/ / ' /::::::::::::: /:::::::::::::__ ̄ ̄\::::\::::::/ 、 ̄ ̄ ̄)
∨ / { {::::::::::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::/\ \) ̄
〈_/ ―┬―≠}_____>--=ニ_:::::::::::::::::::::::::::: ): / \ \ )
 ̄ ̄ ~二ニ==----'⌒\) 、_)
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
簡素なエレベーターに乗って一階まで降りると、エントランスホールに出た。
明るく柔らかい黄色の柱や壁には、随所に海の意匠が施されている。
なんだか神秘的な音楽も流れていた。人の入りはほとんどなく、無人と言っていい。
徒歩での往来は考えられておらず、正面玄関にあたるであろう場所は
ただの壁であり、右側は大きな土産物のショップとなっていた。
そしてその奥には無人のチケットブースとゲートがある。
資料館というよりは、娯楽施設に見えた。
物珍しさに視線を巡らしていると、ひょこひょことこちらへ駆け足で
近づいてくる見慣れた姿があった。
はやてだ。
彼女もまた普段通りのジャケット姿で、あどけない笑みを浮かべながら
手を振っていた。どうやらなのはの考えはクーガーの予想とは違ったらしい。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2461
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 22:49:27 ID:LCCyfx5E0
_
キャッキャ _´_ _` 、
.キャッキャ /‘=’ニ ‘=’u‘. な、なのはさん、結局、ここってなんなんですかお?
i └‐' ー' u‘.
ヽ !
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分の服装に興奮するはやてに肩を掴まれて揺すられながら、
苦笑するなのはに訊いてみた。
揺れる視界の中で、なのはは珍しく楽しげに、人差し指を立てた。
「さっきも輸送機のアナウンスで言ってた、ブライドル管理下海洋生態系
保存資料館。この世界が、温暖化やコジマ汚染で壊れる前の海。
現代の私たちからすれば、戦争もちっぽけな規模だった時代の海」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2462
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 22:49:45 ID:LCCyfx5E0
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ´:.:.´―― 、
/:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:\
/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ:.:.:.:.:.:\
i:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\、:.:.:\
|:.:./:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:.:.:./:.:.:./:.:.:./:.:|:.:.:.:|:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:ヽ:.:.:ヽヽ:.:.:.:ヽ
|:.:i:.:.:.:.:.:.:.:i:.:./_/|://:.:|/:.:./|:.:.:.|:.:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:ヽ:.:.:.i \:.:.:i
|:.:|:.|:.:.:.:.:.|:.丁//Ⅳ`テメ/:./ |:.:./|:.:/|:.:.|:.:.:|:.:.:|:.:.:.:.:.:i:.:.:.:| ヽl
ヘ:.l:||:.:.:.:.|:./r≠=て7=、 // |:.丁メ-||:.:/:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:..|:.:.:.:.| |
>|:.|:.:.:|:.||ヾら:::::゚::::} / ./∠=z//下:.:/:.:/|:.:.:.:.:/|:.:.:.:.|
| ||ヽ:.|:|ヽ. 辷zzメ_ /./::::o::7ヽ/:.:./:.:/:/:.:.:.:/ |:.:.:.:.! 有体に言えば、水族館ってやつ。
ヽ |:.ヽヽ. 〈⊃::/.〃///:.//:.:.:./ |:.:.:/
|:.:.:.|:.|\ `¨≠//:///:/:.:./ .|:.:/ 海に命があるのが当然だった時代の、
|:.:.:.|:| ´ ./:.:.//:|/:./ /:/
|:.:.;||ヽ ` ー ./:.//|:.:.:/:イ / 過去の海が見られる場所だよ。
rゝ:.:.| \ , イ|:.:.:./:.:!:/|:.:|
,、..イ´ヘ ヽ:.| 、 \ , <´:.:/:.:.:/:.:.:|:!:.:.:.|:.:|
,、r::´´:::::::| ヘ \ \ `フl .|:.:.::/:.:/:.:.:.:.:!:.:.:.:.!:.:!
. ,、r::´´:::::::::::::::::::::| ヘ \-/ |ヽ:.、|:.:.//:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:!:.|
,、r::´´:::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヘ / | |ゝ.| ヽ::ヽ:/:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.|
/´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| .ヘ / ゝ≠| | ヽ::::::\:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:|:.|
2463
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 22:50:03 ID:LCCyfx5E0
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
2464
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/11(月) 22:59:43 ID:LCCyfx5E0
. . .-─‐-. ミ
|: : : : : : : : : : `: ..
|: : : : : : : : : : : : /
}Ο : : : ◯: : : :,′
: : : : : : : : : : : :i
{ -===- 、: : :. :.| 今日はここまで。次回は来週の月曜日、5/18午後九時からだ。
〉: : : : : : : : : :ノ
i: :`ニニニ´: : : : ‘, 今日の私は悪いスレ主だったんだ。
__/ : : : : : : : : : : : : i
___ /.: : : : : : : : : : :‘,.:.三| 現行スレほったらかして頭の中に沸いた新作のアイデアを
/ :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
.′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/ | : : ‘, プロットにして書いてた。気付いたら三時間経ってた。ごめんなさいだ。
. ‘::::::::::::::ノ: : : : : :ハ \{/: : : :/⌒゙ヽ : : :‘
. ゝ-=彡-──<¨¨゚‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|
\: :′:::::::::::/______」
弋:::::: /
`¨´
、 - ‐‐ -,
,´: : : : : : : : :
゙i : : : :○ ○゙i
}: : : : : : : _ _ _| ああ、なんだかね、あれだね。
|: : : :-=´_ _,´
y' : : : : :_: : : : :i モコイさん頑張るからね。またね。
/ : : : : : : :┌─┐
i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ
r : : : : :ヽ、__)一(_丿
ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
と_ : : : : : : ノ : :ノ
 ̄ ̄ ̄  ̄
2465
:
安価のやる夫だお
:2020/05/11(月) 23:02:16 ID:bWxBvgjs0
乙でした
2466
:
安価のやる夫だお
:2020/05/11(月) 23:08:12 ID:L7i4IHqw0
乙
2467
:
安価のやる夫だお
:2020/05/11(月) 23:11:06 ID:cY/CsGZ.0
乙です!
2468
:
安価のやる夫だお
:2020/05/13(水) 00:13:07 ID:n6rHPrlE0
乙でした
2469
:
安価のやる夫だお
:2020/05/15(金) 00:52:15 ID:tEWYQpFk0
お疲れ様でしたー
企業は私利私欲でしか動いてないのかと思ってましたけど、一応、地球のためっていう題目はあったんですね
2470
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:02:16 ID:roNZZaIM0
/||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| 、 - ‐‐ -,
|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
|:::::::::::::::|゙i : : : :○ ○゙i
|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _l ハロー。
|:::::::::::::::||: : : :-=´_ _,´
|:::::::::::::::||___ : : :丿
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
|:::::::::::::::||/ ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
2471
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:08:37 ID:roNZZaIM0
、 - ‐‐ -,
,´: : : : : : : : :
゙i : : : :○ ○゙i
}: : : : : : : _ _ _| 友人が同人サークルをやっている、らしいんだけどさ。
|: : : :-=´_ _,´
y' : : : : :_: : : : :i 一冊分書いて投げてくれれば本にするとか言われてんだけど、
/ : : : : : : :┌─┐
i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ どうなのかなって感じ。調子良いやつだからさ、サークルが実在するのかどうか。
r : : : : :ヽ、__)一(_丿
ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ 絵師と自称しているが絵を書いてるとこ見たことないし。なんだかね。
と_ : : : : : : ノ : :ノ
 ̄ ̄ ̄  ̄
,- ‐‐ - 、
イ: : : : : : : : :`,
/○ ○: : : : / ……私、午後九時って指定してたのね。まいっか。
┌─┐ i_ _ _ : : : : : : :{
┃茶┃ `,_ _`=-: : : :| それじゃあぼちぼちやってこっか。
├─┤ i: : : : :_: : : :'
 ̄ ̄ ̄ー‐'' `-‐´ : : : : : :ヽ これは私のおごりの特製漢方ジュースだ。身体に気をつけてね。
ゝ __ ,.. イ : : : : : : : : l: : |
{ : : : : : : : : :|: :.| 使ったのは儀式の血、レッドゼリー、神秘の霞、生きているヒモ……
,、 '" : : : : : : : : :゙、:.ヽ
( : : :‐ 、 : : : :__,. : : :Y"
` ー‐┘ ̄‐〈_ ,,ノ
2472
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:09:46 ID:roNZZaIM0
...,,,__,,,,.... --―'''''ー-、 /l
/ 、 ,..-' 0j `‐-....,,,,,__ _,,..-‐'''" /
ヽ \ ,..-'" ,..-' ""'''--..,,,..-''"
、____,ノ \ .) /" ,,.-'",.-‐'",, ,,,,...-‐''"
\__/ `" `ー''" -‐'''''" ,,..-''"
 ̄ ̄~""''''-、 ‐'''"" ,,/
~''‐-.、___ __,,,.-''" /|
\ _,,.-'"::::::\
) つ:::::::::::::::::>―--‐
 ̄\:::::::/
ヵ \|
乃乃ヵ
乃乃乃ヵカ. (、 (
乃乃乃乃": : : : : :))( : : :)): : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : . . .
乃乃乃乃:::::乃;;::((:)))((ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
乃乃乃乃乃乃乃,((((メ))/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,,
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
はしゃぐはやてと穏やかな様子のなのはに連れられ、暗い青色の照明に
照らされた通路を進んでいくと、辺り一面が水槽に囲まれた空間に出た。
腕や脚に水を通した光が浴びせられ、揺らめく波となって映る。
水の中を見るというだけでも不思議な気分だったのに、
そこにいた生き物たちは、なんとも摩訶不思議な容貌をしていた。
空を飛ぶステルス戦闘機のような形をした魚が泳いでいるではないか。
いや、あれは魚なのか? 水中を泳いでいるから、とりあえず魚としておこう。
他にも色とりどりの魚が水槽の中を気ままに泳ぎ、
地面には苔むした岩や海藻が配置され、そこにもまた、魚や、
魚と呼んでいいのか分からない奇怪な生き物たちがいた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2473
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:27:00 ID:roNZZaIM0
/ ̄ ̄ ̄\
.. / / \ \ 海の中って、こんなんになってるんですかお?
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ \
___
_.、-''"´ .: .: .: .: .: ~"''〜、、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: : \.: .: .: \
/⌒.: .: .: .: .: .: .: .: .:\.: .: \.: .: .:.\
/.: .: .: .: .: .:/⌒ : .: .:.: .: \ : .: .: .: .: .: \
. /.: .:.| .: |.: .:∧( : : .: .: .: .: |. .: .: .: |.: .: .: .: :. |
/ .: | :| .: |.: .:|'⌒ヽ.: .: : |.: .:|__| .: |.: :|.: :|.: : |
. .:.:|.: | :| .: |.: .:| }.: .:: |'".:| : /|\|.: :|.: :| .: :|
:| :|.: | :| .: |.::八⌒ jハ .: | :斗tミx.: .|.: :|.: :|.: 八 昔の話やねんけどなぁ。コジマ汚染ちうんはえげつないもんで、
:| :|.: |八.:.:|.: .:.:y^うx: |: :ハ.:/ _ノハ Y.: :/).:.|.: .: .:\
:| :|.: |: .: 、.: .:.:.:乂Vツ |/ ゞ''" 厶イ|.: .:|.: .: \ :\ 陸海空すべてを命の存在できない空間にしてまう。
:|八八.: .:(\.:. :〈' ' 、 ' ' / {.: |.: .:|.: .: .: .:\:(\
. \\.:\\込 、 一 . :.八.:|.: .:|  ̄|\_\: \ 今となっては、生き物がいる海なんてのはそうそうあらへんよ。
. \.: .:|.:| :> ., //ニ∧ .: .| //|:::: \| ̄\ )
八:|.:|\ :\ 「ニニニ〈 ∧.: :〈 | ̄/| \ ここにあるんは、ま、昔の海ってとこやねんな。
/.: : |.:|\\.:.Ⅵ::.\ニニ〉⌒\:\|/ | 厂\
/.: ..:/|八:: \\:|::::∨ ̄〈/」 |:\( |\__/ |
.: .:./_.〕/_____\j::::::::. 〈/\ |::::: \ | 〈_____〕
|.: | ̄| ̄ ̄ ̄\:|:::::::::::. | ///|:\__∧ /\ \ \
|:/| | \ /|::::::::::::|\/ ̄:|:::::::::|:::L(__\__\______\ \
//| | /八__|::::::\:::: |::::::: 厂::::::::::Yニニ\ //// \ \
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
確かに、現代では自然動物などというのは管理された区画に僅かに生息する
ばかりで、戦場となっている場所で生きられる動物はいないと聞く。
その汚染は死の灰すら凌ぎ、土地を干上がらせ、海面を死骸で埋め尽くし、
二度と鳥の鳴き声がしなくなるという。
この時代に環境保護などという言葉はないに等しい。
そもそも、コジマ汚染が深刻化する以前から地球温暖化により
生態系は致命的なダメージを受けており、当時は秋冬春が酷く短期化され、
長期の夏により寒い時期に生きる命は大きく数を減らしていたという。
そこにコジマ汚染が止めを刺したといった具合だろうか。
今となっては、企業が隔離した自然が残るだけである。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2474
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:38:17 ID:roNZZaIM0
. /:.:.:.:ァ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ /  ̄ ̄ ヽ
///:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:‘,
/′.:.:./:.:.:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:‘,:.:.二ニ=‐:.{{}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..
,':.:.:/:.:.:.:.:.:./:.:.:. l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
: : /:.:.:.:.:.:.:,':.:.:. : |:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:. : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
l:/{:.:.:.:.l:.:. i:. l:.:.:┼<:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.i:.:.:.:.:.: /:./:.:.:. : /:.:.:.:.:.:.:.:.:./
|:! :.:.:.: {:.:. {:.:|:.:.:|l--、 ヽ:.:.:.:.:.: i:.:.:.:.}:.:.:.:/:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
リ ',:.:. |:.:.:マ マ:.:|: ´沁}:.:.|:.:.:.:/:.:.:.:/_/:.: , ':.:.:./:.:.:.:.:.:.:.: : / 私たちが赤ん坊だった頃は、もう少し
マ:.lマ:.:|∧マ::{ )じリ/:.: /:.:.:.:/ }:.:./:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: /
Ⅳ マ,':, ´N ゞノ〃:.://:.イ /: /:.:.:.:.:.:. /:. : / 自然も残ってたらしいんだけどね。
/ : \ /:./ /:.:.:/__/:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:/
. {:.:.:/ ゝ┐ /ノ /:.: /, ':.: /:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.. 私とはやてちゃんの故郷はオルデンブルクの
i: / ヽ/ ./:.:./:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:./
|/ ヽ-- /:.:./:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:./ 直轄管理コロニーと文化遺産を兼ねてたから、
|! /:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./、
. ___/:.:./:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.: /― ≧ュ、 結構緑豊かだったんだけど。
, ´:::::::::./:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:./::::::::::::::::::::::::::::≧ュ、
/:::::::::::::::/:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧、
.::::::::::::::::::::/:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::}
/:::::::::::::::::::/:.:.:. /:.:.:.:.:.:.:./:.:.:/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::i
,........――――....、
/:..:..:..:..:..:..:..:..:: ̄\\
厂`:..:..:..:..:..:..:..:..:\:..:/Λ\
/:..:: |v、:..:..:..:..:|:..:..:..:∨ / |:..::|
. /:..:/:..| `、 :..:..:.|斗‐|ミ|// l∨|:
/:..:/:..:イ ⌒|:..::|::|:..|:: L::|/ : lΛ|:|
:..:..:..:..|::|f竹うY:|::|::竹ゔY:..:..|:..::|:|:
::|:..|:..::乂__ Vり |ノ:..ノ ヒツ ||:..|:..::|:|:| ティルピッツちうコロニーでな、モデルは旧ドイツや。
|:|l::|l::\ ト- ''' 丶 '' 八 :..:..|:|:|:
|八|\:トミ人 ゝ ′イ|:..|::|:..::|:|八 コロニーの中には、旧時代の文化を保存する目的で、その街並みや
ノ八::厂 > -Λ:|:..|::|:..::|‐→
イ|:::/Λ ィ{___ / 八|::|:..::|/ Λ 自然を再現したものがあるんよ。
l:|::′ } |__/ | | ノ人:..| / Λ
_八| /へ\ | | \ / 人
/⌒7 / |;;;;;ノ /| | /  ̄`
2475
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:42:38 ID:roNZZaIM0
___
/ \
/ ⌒ ⌒\
. / ( ●) ( ●)\
| ⌒(__人__)⌒ |
. \ ` ⌒´ / あ、なんか白くて細長いカゴみたいな形したやつがいますお。
/⌒ ヽ
. | ヽ__ _ ', ……これ、植物ですかお?
:、_ ) ( ̄ _丿
| /  ̄`i / ̄ `i
| | , |
∧ | |__/ /
. `ーヽ _ | | _/
. (__) 、__)
''"゚~ ̄~~"''〜、、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: \.:\
/.: .: .: .: .: .: .: ⌒\.: .: :\.:\
.: .: .:.:へ.: .: .: .: : \.: .:.\__| |__:ヽ
_/ : .: .: |.: : \.: .: \.: \.: / 〉-| |-:|:.: :.
/⌒.:.:.:|.:.:.|.: .: : .:\.: .: .: .: .:〈_/.: .:|_|.:∧.: (\
/.: .:.| : .:|.:.:.|.: .: .: .: .: :. .: .|_.:|_|_:/ 〉.:.|Y.:.(\.:Y ト、
: |.: .:|.: : i⌒|.: .: .: .: .: |/ |.: | |〈_/.: .:| } .: : 〉\ |\
|: |.: .:|.: 八 |.: \.: .: .:| .:| ィぅうミx.: .:|ノ.: .:/ )\イ
|: |.: .:|.: .: .:.、/⌒ 、.:.:.| .:| 乂少 |.: :|.: .:/ ⌒Y:|ノ うん? あー、こりゃ偕老同穴や。
|: |.: .:|.: .: .:.:.\.ィぅミk.: :八 ' ' |.: ∧/ 人:\
八.:.:|.: .: \.:└ 乂ツ∨ 八(_〈 / /∧.: ) ガラスと同じ身体なんよ? 「へえ……」
人.: .: .: \.:.:.:> ` r ^) //|∨----〕// >‐┐
\( : .: .\.: )> ., ____// :| 」___/::| / / ∧ そそ。
ノ:\ ̄..: .: ∧:.: :(/〈_/ ||:::::::::: /::|___|__/ |\
_/.: .:./八.: .:.〈⌒∨ \〕ニ / ||:::::::::::::::::::〉__j | | |
⌒7.: :__|_∧.: .:∨〈,,/Y⌒Y\,,〉T¨¨¨¨¨∧ ̄\| | |
|.: :「 ̄ ̄込 : .:∨/| L:i:i:ノ 〉 ::|:::::::::::/::::|____\_|,/\
|/ ̄ ̄ ̄ \:|: 八 /:i:i| /\:| ::::: /::::: |:::::::\ \
| /: ̄ ̄ ̄ ̄`、::|V:i:i:i:|_,/ ::/|:::: / :::::: | :::::: ∧ \
/ {::::::::::::::::::: \::: |:i:i:i:/:::/::::::|:::::::::::::::: |:::::::/ | \
/ 八:::::::::::::::::::::::::ヽ:〈:i/:::/::::::: 八::::::::::::::: | : / .|
〕/ /:: 、:::::::::::::::::::::::ノ八:::::::::::::::::::::::::::、::::::::::::::/ |\
/ /\:::>‐--‐<:::::::{:::::、:::::::::::::::::::::: \_:/ |
| .〈:::::::::\::::{``〜、、::::}:::::::>‐---‐<::::/ |
〈_/ ̄ ̄::::::ヽ}::::::\:::::::::}::::---‐:::::::::::::::: 〈. |
2476
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:49:47 ID:roNZZaIM0
. . <: : : : : : : : : : ≧: : .
. , : : :_:_: : : : : : : : : : : : : : : : : : > 、
,: : : : : : Y´: : : : : : : : : : : : :丶: : : : :\
./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ: : : ヾ:.、
: : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : ; : : : ; : :ハ
: : : : /: : : : : :/;_:_:;: : :/: : : : : : :∨: : ∨: :!
: : : ::{: : : : : : {´`´`∨: : : : : : : : ∨≪∨:{
: : : ::|: : : : : : | _,.--}:-:、 : : : :; -:∨≪Ⅵ
: l : {:!: : : : : : !´ __l! ∨:|ヘ : }从: }: : : |リ 偕老同穴。共に老いて同じ墓穴に葬られるっちう意味もあんねんな。
: |:l:从: {:-: : ::トz====㍉, }/__,ム:| }: : |
: |:|: : {`ヽ ∨:!ゞ辷:ノ ( ´¨´八.!::从 ようエビのつがいが二匹で住み着いて、そこで一生を終えるんや。
: |:|: : `ヾ_- ., , .: : : ト 、
: |:|: : ∨: 〉く: 、 __ ., .ィヘ:_:_、`ヽ 「一生、ですかお?」
::介∧ ∨{ Y: >、  ̄ <: :{ ゝ_ィ^ヽ.
:{ .l: :∧ ∨:\): }ヾ:、/ ̄_Y二ニrf´` ` 、 そ、一生や。子供のうちに入り込むさかい、大きくなって出られんくなる。
:| .|:∧ \{~ ‐}:l:! >‐ミ {_|_ {ノ^ヽ 、__
ゝ/ ∧ |ハ./三三∨ ̄ `ヽ. ハ 〉:::::Y 二匹で死ぬまで籠の中で幸せに。これが偕老同穴や。
_/ / ∧ / }!ゞ三三≧--=ニニニ{ト-::イ:::::::::!
. / \. / .!::::::>:..寸二〉::::>:::::`ヽ:::::::::::::::| 「それって、良いのかな」
,-=ミ .У_.」::::::::::::::::><::::::\:::Y::::::::;::::::;ノ{
`ヽ { .|:::::::-<::::::::}::::>::Ⅵ:::::::::::Y:::::::l、
l! !::::::{:::::::::::::└::―:-Y::o::::::::}::::::::|::\
l! ム::∧::::::::::::::::::::::::::::`::、::::::|:::_:::_::_:::::
l! イ::::::::::::::\::_:_::::::::::::::,::-::‐'::´:::::::::::::::ト、
.. :''"゚~ ̄~"''〜、、
/:/ .: /:|.: /.: .: .: V⌒ヽ
/.: /.:|.:.:|.:.|:/ |.: .: .: :|.: |.: :',
/ .: .: .:|.:.:|.:.|-.:八|.: .: |.: |ク|: ,
;.:.: .:| : |.:.:|斗tミx:|.: .: |.: |ク|Xi
|.: .:.:| : |.:八乂ツ |ハ:xミ.:|.:.l.: | 海底っちうんは過酷な環境やさかい。
/|.: .:.:|.: :〈:(⌒ '' ,ゞ'_彡イ: |
/.:.|.: .:.:|.: .: : \ _ ''八 :| .:| 深海魚に心があるちうんなら、きっと願ったり叶ったりやろ。
⌒7.:.:.| .: 八.: .:〈.> _ .イ.: .:.:.| .:|
/_ -=ニニ.: .:.:|⌒Y| ̄\:| .: / |.:/ 外敵に脅かされることのない日々。
/⌒ニニニ|∧.:.| / 八/⌒V/___/__
//⌒ 二二|ニ\(\:::{⌒\:}ニニニ\ 目の前に広がるのは硝子の壁ばかり。
{:{ニ| /ニ'ニ.八ニニ|::::::\::::::::::\=======‐┐
八ニ/ニニ∨ニ\ニ|:__〈^〉\:::::/`'<.ニニ八 なんもかんも忘れて、つがいの相手と死ぬまで暮らす。
/ニニニ〕/⌒ニ〕::::::〕L:::::\ :::: :o/⌒\ニ\
{ ニニ/ニニニノ :::: 〕 〔::::::}:::V::::/:::::::::::::ヽ.ニ| 自由を捨てて得られる幸せもあるんとちゃう? 知らんけど。
] ニ/ニニニ/::::::::::〕 〔::: }::::}::::{::::::::::::::}::::V八
/ニニニ/ ',:\/ ノ:::/ :人八::::::::::::}::::八 -_
/ニニニイ///∧::::=‐---‐=~::::o::|::> __:ノ::イ:|ニニ-_
/ニ=-.----\///∧:::::__{_:::\___/:::::::≠ / |ニニ-_
/ニ/::::::::::::::::::::: \_/// --<:::::::::-‐……}}:::}::〈ニニ-_
|ニ.| \:::::::::::::::::/::: 〈 / ⌒\)--------=ミj:::::〉ニニ-_
2477
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 20:58:58 ID:roNZZaIM0
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:/\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
. ,イ:.:.:.:.-.:.: ̄ ̄:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\/:.:./ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
/:.//:.:.:.:.:.:./:.|:.:.:.|:.:|:.:.:.:.: i:.:.ヽ:.:.:.ヽ、:.:.:.:.:.:.ヘ:/ : |:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
// /:.:.:.:.:.:.:./:.:. : |:.:.: !:.{!ヽ:.:.:ヽゝ‐廾:.-- 、:.:.:.:.:‘,/ |:.i:.:.:.:.:.:.:.:.: |
/ /:.:.:.:.:./i:.:/:.:.:|:.:.A-|ヽ:ヽ:.:.:ヘ>斥≠、ヽ:.:.:.:.:.i:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.: |
i:.:.:.:.://:.|:.:!:.:.:.:.y´|。≠、ヽ\:.ヘ んてメ.\:.:.:.:.:. |:.:. : |:.:.:.:.:.:.:.:.: |
∨:.:/ i:.:.i:.{!:.:.:.:.|〃んう \.う__/} ,イ|:l:.:.: : l\:/|:.:.:.:.:.:.:. : |
. 人,′!:.:.:リ!:.:.!:.:.i `.うツ}, ゝ-┴ }:l.:./:/ /:. |:.:.:.:.:.:.:. : | はやてちゃん、詳しいでしょ。
',:.:.:. ト:.:ヽ:.ヘ. ゝ¨, / /:. |/!:.:.:|::.:.:.:.:.:.: : |
. 丶:.:.i \:>、ヘ /}:.: : ! |: : |:.:.:.:.:.:.:. : | 動物好きなんだよね、私たちの学級でも兎を飼ってたけど、
\| /l:人\ マ ̄ノ !:.:./ |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
|:.|{:. : r . イ |:.,' |: : |:.:.:.:.:.:.:. : | 一番可愛がってたのは何を隠そうはやてちゃんだったし。
. リヽ:.: | . < /イ . |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
\{  ̄| / ∧ヘ |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
\ r/{ , < / ヽL;; |:.:.:.:.:.:.:. : |
,、//-<、 ./ ./:::::::::`ヽ:、:.:.: |
,、r ´/ />= /´ \ / /::::::::::::::::::::::::`ヽ、
_,x ≦:::::::::::/ />≠< > /ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、
. /::|::::::::::::/ / // \\ |: / \::::::::::::::::::::::::::::::::/\
|::::|::::::/ > ´ヽ ´ `´ヽ -< ヽ::::::::::::::::::::::::::/::::::::|
__ ---- __
_/: :⌒: : : "´: : : : : : : 、
/⌒: : 、/: : : : :‐‐: : 、: : : :\
/: : : : -ヘ: ::/⌒\ : : : : : \: : : :.
i: : : : /: : /{:/⌒\: :\: :\: : \: : ',
|: : : /: ::/: ハVハ: : : 、: : /,: ∧\∧: :.
|: : / : / {/""゙゙}: {: : : \: V/∧//ハ: :.
{/::': : :': :{ }: :、: : : : :\V/ハ: : :}: :i
{/:i: : :i: 八⌒八 : {\⌒: }⌒: : }: : }: :|
/: :{: : :{ {笊示ぅ ヽ{ ぇ示笊 }::.:}: : }: :| 動物の相手はええよ? 動物は生きることに純粋や。
': : 八: :Ⅳ、Vツ 乂ツⅥ: :,^Y : :|
: : : i: ::\乂:.:. , .:.:.:.ノ : /ノ: :∨ どんな動物も、懸命に生きようとする。
i: l: {: {: ::込 ⌒7イ:/: \{
|:八{: {:、: :.:}: ::.. ` ´ ..: :/V: :. : : } 純粋なものっちうんは、いつの時代も心に来るもんがある。
|' {:八{\}: : i :::.. __ イ_// }/: : 八__
八/ニ7: : ノ: //ハニニニ/ /: : 'ニニ=- _
r{ニニ,: : :// /〉ニrく ': ::ハニニニニ=-_
{∧ニ{乂:/___ /、ニニ{⌒\八(.:.Vニニ/-=∧
八ニニ// / У-=ニニ〉 ∨.:.:.:.:Vニ'-=ニニニ}
' {ニ<.:.://〉/-=ニニ/ {: .: |.:.:.:/ニ/ニニニニ
{_∧ニV//'"´、-=ニ{ /⌒:|∠ニニ/ニニニニ{_
2478
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 21:08:30 ID:roNZZaIM0
____
/ \
/ ─ ─ \
/ (●) (●) \ ……確かに、こいつら、生きること以外考えてなさそうだお。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/ 人間は色々悩んだり考えたりするけど。
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
在りし日の海底は、もっと過酷だったのだろう。
管理された水槽の中だから、魚たちは悠々自適に泳いでいる。
餌も待っていれば投入されるし、番も管理者が勝手に宛がってくれる。
動物、というよりも、全ての命の至上命題は遺伝子を次世代に残すことであり、
寿命とは種を繋ぐための猶予期間だ、とどこかで聞いた。
命ある者としての使命を果たせるのは、数が限られている。
それは紛れもない競争であり、戦いだ。
だからこそ余計な悩みも哲学も持たず、ただ生きるためだけに、
なりふり構わず命を繋ごうとするのだろう。
この水槽の中でなら、魚たちもそんな競争からは解放される。
全てを忘れられる幸せな日々を送れる。
硝子の籠に住むエビのつがいは特にそうだろう。
何も考えず、命を終えるその時まで、穏やかに籠の中で日々を過ごす。
きっと、忘却とは幸福なのだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2479
:
◆x0SRSoJXe.
:2020/05/18(月) 21:23:08 ID:roNZZaIM0
/:.:.//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.l:.:.:.:.||:.:ハ:.ヽ:.:.:.ヽ、,-:.┼--___:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:/:.:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
|:.:/.,':.:.:.:.:.:.:/:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| |:.:lヽ:.\:.:´\ヽ≧云、:.:.|`:.:.:.:.:.:|^、/:.!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
|/ |:.:.:.:.:.〃:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|:|≦卞|`ヽ ヽヽヽ 〃て::、 弋o|:.:.:.:.:.:.|´ ヽ:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
| |:.:.:.:.:.:||:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:イ |≠云う丶 \ {:::::::ヽ-} 〃:.:/:./| ./:!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
{:.:.:.:.:.|{:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:メ ん:::::::} つ -:少 イ:.:/|:/:.:|/:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
.∨:.:.:|.∨:.:.:i:.:.ヽ:.:.:.:.` つ-´j ‐`‐‐┴/:.///:.:.:|:.:.:.:.:!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:! こんな場所、人間のエゴの象徴みたいな
∨:.:| .∨:.:ヽ、:.\:.:.\.ゝ´ ///〃:.:.:.:|:.:.:.:..!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
ヽ:.| ヽ:.ヽヽ、:.`ヽ__ヽ_ ′ //,イ:.:.:.:|:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:| ものだけど、魚からしたら楽園じゃないかな。
ヽ| ヽヽ \:.:.|:ヘ ‐ ‐ ´ / ,':.:.:./l.,':.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
ヽ .\ マ:|:.:.ヽ、 / ,':.:/:|/:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:| 難しいことは全部管理者の人間に任せて、
|∧:.:.:.:.|`> .、 イ // /ヽ、:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
|| ヽ:.:.:.| ._`T´ _ -/ ./ .|\_:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:| 飢える心配もなく敵にも遭わずに
| \:.| ,、r ´/ヽv<´ / |:::::::::: ̄`― 、:.:!
,、r -ヽ:/ ,'/l./ .ヽ / .|:::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ 、 暮らせるわけだし。
,、r::"´:::::::::::::::/ / ヽy‐ 7´ヽ / |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ 、
,'|:::::::::::::::::::::::/ ./ l≠´.| >´ .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,::---‐ヽ
| |::::::|_-- < / ./ / ヽ | ./ ト- 、_::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::/
|:::|:::::| \イ ニ .y | ,.><´ >-<__/:::::::::::::::::::::::/
/´,':::::/ ≠<´ |´::::::::ヽ / `` 、 Eニニコ ./ |::::::::::::::::::::::::|
/ //::./ ヽ .|::::::::::::/ / ./ |::::::::::::::::::::::::|
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ …………。
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ / (やる夫には、水槽の魚たちを笑えない気がするお)
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
思い浮かんだのは、企業の人々だった。
ブライドルでは多くの企業の人間を目にする。トウキョウの基地でもそうだ。
一歩踏み出せばスラムが広がり、残骸の住処で日々を凌ぎ、
息をするだけでも精一杯な人間たちで溢れている中で、
壁一つ隔てた向こうでは安穏とした生活が送られている。
企業は確かにこの世界を戦争によって流動させ、統治している。
それは多くの死と悲しみを産むが、企業がもたらすのはそれだけではない。
選ばれなかった人々こそ苦しみ死に果てるが、選ばれた人々は、
安寧に満ちた暮らしと将来を約束される。
飢えることもなく、争う必要も奪う必要もなく、企業の作った壁の中で暮らし、
そうして命を終えていくだろう。
何も考えない。考える必要もない。細やかで幸せな悩みを抱えたりしながら、
平穏を謳歌するだろう。
自分の現状は、そんな企業の作った水槽の中に運よく入り込めた魚の一匹、
とでもいったところだろうか。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板