【安価】やる夫は誰かのために戦うようです【R-18】 - 1542546882

1： ◆x0SRSoJXe.：2018/11/18(日) 22:14:42 ID:NOfdPGR20: 　　∧　｀i¨ヽ　　　i 　 i 　γ⌒ヽ｀i¨ヽ　｀i￣'｀|￣｀ヽ.　　.i＼　i＼
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●この作品は株式会社フロム・ソフトウェアによって平成18年12月21日に発売された、『アーマード・コア4』の二次創作作品です

●原作との相違点も多く、作者の知識の至らない点は自己解釈によって補われています。あらかじめご了承ください

●この作品はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません
2279：安価のやる夫だお：2020/04/18(土) 20:19:58 ID:QQ0rWBAA0: アルトリア推しで3
2280：安価のやる夫だお：2020/04/18(土) 20:21:26 ID:6461oMRA0: 2
2281：安価のやる夫だお：2020/04/18(土) 20:21:41 ID:YnEEQBVQ0: 1
2282： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/18(土) 20:27:36 ID:IH1WYTsI0: おっけいおっけい、なのはさんね。

では、今回の投下はここまでだ。熱は下がったが頭が痛いのは相変わらずでね……。

ああ、そうそう、今の今まで好感度の表示を忘れていた。申し訳ない。

現状、結構みんなバランスよく選んでたからね、以下の通りだ。

好感度表

なのは Lv3（今回の安価で+1）

はやて Lv3

アルトリア Lv4

アルトリアに関しては前回食事に誘ったのが高得点だったね。
登場時期が遅かったため、少々好感度の上がり方は大きめにしていた。チョロいと言ってはいけないぞ。

それじゃ、シーユーアゲイン。
次回は、そうだね、明日の午後八時からとしよう。どうせ働けもしなけりゃやることもないんだ。
2283：安価のやる夫だお：2020/04/18(土) 20:38:19 ID:QQ0rWBAA0: 乙です！
2284：安価のやる夫だお：2020/04/18(土) 20:59:03 ID:zoKHSvhw0: お疲れさまでしたー
2285：安価のやる夫だお：2020/04/18(土) 21:03:49 ID:YnEEQBVQ0: 乙
2286： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:04:34 ID:ysr9aob20: 　　　　／||ミ
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2287： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:10:16 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　_　_　_
　　　　　　　／: : : : : : ｀i
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　　　　　　　､: :○: : ○: :!
　　　　　　　 i: : : : : : : : : i
　　　　　　　 l: : :,, --_ｯ: :',　　　　　　　　　今日は何をしていたかって？
　　　　　　　丶｀‐'´: : : :ﾉ
　　　　　 / ´: : : : : : : : ｀ヽ　　　　　　　　………………。
　 . 　　　　/: : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　 , -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ　　　　　　筋トレしてた。寝て、筋トレして、ソシャゲして、寝てた。
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　ｒ⌒ ,／　/: : : : : : : : i　　i: : : : i　　　　　　ヒキニートと言ってはいけない。始めよっか。
　 ` ‐ '　　/: : : : : : : : : |　　 ! : : : |
　　　　　 i: : : : , _ -‐ ´,) 　｀ヽ _|
　　　　 (_ _i￣(_　-‐'´i
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　　　　　 |: :ﾉ_ _ ﾉ: : : : :|
　　　　　 |: : : : : |: : : : : !
2288： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:10:31 ID:ysr9aob20: 　　　　＿＿＿_
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　／　　─　　 ─＼
／　　（●）　（●）＼　　　　　　そういうことなら、なのはさんに連絡してみますお。
|　　　　（__人__）　　 |
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／　　　　　　　ありがとうございました、アルトリアさん。
(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼／＿＿＿／

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それなら、なのはに頼むとしよう。
元々自分の教官はなのはであるわけだし、マーシフルの元パイロットでもある。
自分のことも、マーシフルのことも、一番分かっているはずだ。

アルトリアに軽くお辞儀をして、早速シミュレーションルームに向かうことにした。
同じ基地で生活しているのだから、現地集合でいいだろう。

それを見たアルトリアは、「礼には及ばん」と小さく頷くと、踵を返してしまった。
編み込まれた後ろ髪から垂れる黒いリボンが揺れていた。

「どこに行くんですかお？」

「ノルドルムまで戻る。これ以上の用事もないし、あなたも忙しくなるだろう」
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2289： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:13:21 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -―f=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ ―　､f辷彡' ￣
　　　　　　　　　　　　　　　/ ‐ャ－、 f辷彡'　　　　　｀　､
　　　　　　　　　　　　 ′ ハ　　f辷_彡^ーｧ　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　 |　/ 　 ,f辷__彡　　　/　　　 /／　　＼
　　　　　　　　　　　　 ∨　,f辷__彡く　　　/　　　　/　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　　rｔf辷__彡'　ｉ　＼　　　　　 /　／/　　　ｉ　‘,
　　　　　　　　　　｀Ｙﾍ　　　　､　-､|　　｀ﾊ　/　/　ｲ　　　ｉ
　　　　　　　　　　　 |,ハ　　　〉い |　　圻ミ、＼　 /　ｲ　i .ｉ|　　　　　　ああ、時にヤルオ。
　　　　　　　　　　　　　　　 ‘,　ﾊ　　　〈　r( |　　弋rハ　ノイ ,′ﾊ:ﾘ
　　　　　　　　　　　　　 ∨　、　ﾊヽ.:|　　 i　　　　　　　厶ｲﾉ'　　　　　　　「なんですかお？」
　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨//vﾍ{介f:::|　　ｉ|　　　　　 fｹ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 |///////ハ:|　　ｉ|　　　　　〈　 .ｉ|　　　　　　　　　以前、あなたが私に――
　　　　　　　　　　　　＿」/」/」/」」/ﾊ|　　ｉ|　 ‐ ､　イ　　ｌ|
　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　＞‐……―＜　 |ｉ　从
　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::＞...　i| |
　　　　　　　　　　」　　斗 ―－ァ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ !

　　/　　　　　　　　　　　　i　　　　　　＼　　　　}　>
　 /　　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　.|　／　ﾚﾍ、
　,　　　　　　　　ヽ　　 i　 .|　　　　　　　|、　/　} ノ
　i　　　　　 .l　　　 i　　.ﾊ. ∧.i　　　　　 .| l /　　|' ﾞ;
　|　　　 .|　 i　　　 .| ／! }/　}ﾊ　　　　　.|,ﾉ　/ ./"
　|　.i　　.|　ﾄ　　　1. ,ﾑ斗:ｒ7 }　　　　　 |　 / ./:.:.:.:.:ヽ　　　　　　　　あ……いや……些末事だ、忘れろ。
.　i　l　　.|　「＼　 .ﾊ/ Ｖツ　 ':/　　　　 .|　/ /|.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ
. 八ハ　ト　|'芯＼{　　´　　　ハ |　　　ﾊ　/:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:/　　　　　　　　息災でな。
.　　{　`:.ハ .ﾄ.}７　　　　　　　 }/|　　　.j　ｙ:.:.:.|:.:.:.:.:.:./
　　　　　 | ヾ. :,ヽ　　　　　　 /　}　　　ｊ ∩こ)ﾞ,:-イ~
　　　　　ｌ　　　|＼　 _　-,　　　　ｲ　.,v⌒／: :ヽ:.:.}　　　　 _____,,
　.　　　　ｌ　　 .|.　　　､ ´　　　／ﾉ-ﾏ｀／: : : : : :’、_ . : : : : : : : :
　　　　　　丶　 i　　　　　`ｰ ' >r"f ﾞ／: : : : : : : : /: : : : : : : : : : :
　　　　　　　丶，　　　　　　⊂ﾞ_／: : : : : : : : ／: : : : : : : : : : : :

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すると、アルトリアはおずおずと振り返ったかと思うと、
伏し目がちになりながら黄金色の瞳で見つめてきた。

初めて見る表情だった。覇気が抜け、いつもの鋭さも縮こまってしまっている。
躊躇っているかのようだ。よく見てみると、両手を前で組んでいるようにも映る。

だが、それも数秒のことだった。
途中で言い淀んでしまい、結局アルトリアは最後まで言わず、
そのまま去って行ってしまった。
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2290： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:14:44 ID:ysr9aob20: 　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　─　　 ─＼　　　　　あ゛。そういや前に、『また会ったときに誘ってくれ』って言われてたお。
／　　（○）　（○）＼
|　 u.　　（__人__）　　 |　　　　怒ってはなさそうだけど……その内に埋め合わせするべきだな。
/　　　　　|!!il|!|!l|　　／
　　　　　　|ｪｪｪｪ|

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アルトリアを見送り、シミュレーションルームへ向かう途中で、
前回アルトリアが部屋に訪れた際に話した内容を思い出した。

そういえば、あの時は食事に誘って断られたが、
また会えたら誘ってくれと言われていたのだった。

さしもの自分であっても、それが失礼に当たることくらいは分かる。
約束というほどのものでもないかもしれないが、彼女はしっかりと覚えていたのだ。

次に会った時は、しっかりと誘おう。
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2291： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:15:02 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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2292： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:26:28 ID:ysr9aob20: 　　　＿.　　　＿
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　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　　　　／　　　　　　　　えーっと、これで百敗行きましたかお？
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　_.ノ
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　　　　　　　　　＿_⌒＞:.ミー‐､　＿＿
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　　　　 ,:.:/:.:.:.:.:j:.:.|:-|‐十十ト |/　　 |十|十‐|-､:|:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
　　　　 |ｲ:.:./:.:.:|:.:.|:.ﾊ|　V 八　　　 |ﾊﾉ八ﾊﾉ:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
　　　　　　|:.:.ｌ|:.:.:ﾊ:.:.:.-r竓芹坏　　　竓芹抃-|ﾉ:./.:.:j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　|:.:.||:.:.:| |:.:.:[　辷ｚリ　　　　_辷ｚツ　/:/:./:ﾘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |　　　　　　　　君って意外とガッツはあるよねー。
　　　　　　ヽ八:. | |:.:.八　　　　 ,　　　　　　 /:/:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
　　　　　　　　ヽ|八:.:.:.ゝ　　　｀　　　　 /ノ:./:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |　　　　　　　　「は、ってなんですかお……」
　　　　　＿　　　　＼:.:ト　　　ｰ一　　／:.:/イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　 /ニﾆ=-　__　　V＼:＞　　　　イ /:.:./　 l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |　　　　　　　　そのまんまの意味ー。褒めてるんだよー？
　　　,ｲニ7　ｰ=ニﾆ=　厂/ ￣７‐≦zノ/:.:./　　.| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　　／}}:ﾆ7　＼　　辷7　〈　　 /天ヽ　 /:ノ　　 | :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　 ′ﾉ'ﾆ7　　　〉　　 /　　ヽ／/Ｙ]　∨　〕ﾆ､　 .| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　ﾚノﾆ7　　 ∧　　　＼　.／| 〈_//　/　　|-ニニミx__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
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いつものように三ケタの大台に乗るまで負け続け、
シミュレーターの中でぐったりと四肢を投げ出していると、
なのはの朗らかな声が聞こえてきた。

相変らずの強さだ。百戦もやれば疲弊の色も見えそうなものなのに、
なのはは依然としてけろっとした様子である。
何度繰り返しても、操縦の精度が落ちているようには感じられない。

結局、今回のシミュレーションでも一発当てることすら敵わなかった。
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2293： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:42:20 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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　　　　　　　＿＞/|　　　 ∪ ''"´'（　　　　j　　　　）'"´''　　:|　　　　　　アバーーーーッ！
..　　　　γ//////.|　　　　　　　　　｀ｰ-‐'′`ｰ-‐′　;　　　 |
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　　　　 |/／///////＼　　　　　 ∪　`ー一′　　　ィ´.//|
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　　　　　　　||:.|:.:|:./圦斥=≦　.|≧云ﾄl:.:|:.|:|:.:.|丶:|　.|
　　　　　　ﾍ|:.|:.:|:.|/r爪:个　　.´{:::｡:ﾒ,|/:.|:.:|:.:| .ｉ:.:|
　　　　　　　ヽヽ:.ヽゝう:::::}　　　 b_::7〃ｌ/:./|:.:| |/　　　　　　　君の先生だからに決まってるでしょー。
　　　　　　小、ﾐゝ…´　　｀¨‐‐//;,l/|:.|/:|/
　　　　　　　　　 |:.:ゝ　　　｀　　／/:.|:.:.:|/::.|　　　　　　　　　はい、百一敗目。泣きの一戦、もっかいやる？
　　　　　　　　　 |:.:.|ヽ、　　-‐‐　 ,∠:.:.|:.:.::|:.:.:|
　　　　　　　 |:.:|.　|＞、 _　イ　 |:.:|:.:.:.:.!:.:.|
　　　　　　　　　　|:.|／|――, ― |、 |/:.:.:.:.:|:.:.:!　　　　
　　　　　　　　,､r´:|:::| ﾍ　　/><l　l ヽ|｀ヽ:.:.:|:.:.|
　　　　　,､r::´::::::::::::::|　ﾍ、/ 只ヽ|　ヽ:::::::｀ヽ:.!
　 ,､r::´:::::::::::::::::::::::::::|　 .ﾍ　/||ヽ |　　ヽ:::::::::::::::::｀ヽ
　|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::r L＿_lヽ‐‐‐yヽ／　｀ヽ、:::::::／|
　|:::::::::＼:::::::,､r ´　　　／ﾍ:::::::::| 　`＜　　｀ヽ/::::|
　|rヽヽ:::::／　　　　　.<　　　丶:|　　 ./　　　　　|::::|}

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最後の泣きの一戦と頼み込んで、再戦したが結果は同じだった。
どう動いても、こともなげに避けられ、気付いた時にはブレードで滅多切りに
されたりライフルで蜂の巣にされていた。

流石に限界だ。もう一時間以上、シミュレーターに繋がれているのだ。
たたでさえ負担が大きいうえに、相手はなのはだ、辛くもなる。

自分のAMS適性ではここらが潮時というものである。
頭を鈍器で思い切り殴りつけられたかのようだ。
耳鳴りが止まらない。視界が揺れて崩れ落ちそうだ。
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2294： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:52:07 ID:ysr9aob20: 　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:/＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. |
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.　　　人,′!:.:.:ﾘ!:.:.!:.:.ｉ｀.うﾂ},　　　　ゝ-┴　 }:l.:./:/　/:. |:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　だって、私は何年もマーシフルに乗ってたわけだし、
　　　　　　 ',:.:.:. ﾄ:.:ヽ:.ﾍ. ゝ¨, 　　　　　　 / /:. |／!:.:.:|::.:.:.:.:.:.: : |
.　　　　　丶:.:.ｉ＼:>､ﾍ　　　　　　　　　/}:.: : !　 |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　君を一から育てた教官でもあるんだよ？
　　　　　　＼|　 /l:人＼　ﾏ￣ﾉ　　　　 !:.:./ 　 |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　　　　|:.|{:. : r .　　　　　　　　イ　|:.,'　　 |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　癖っていうのかな、そういうのが分かるの。
.　　　　　　　　　リヽ:.: |　　. 　　　＜　　　/ｲ . 　 |: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　　　　　　＼{ 　　￣|　　　　／ ∧ﾍ　|: : |:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　　　　　　＼　 r/{　　 , ＜　　　/ ヽL;; |:.:.:.:.:.:.:. : |
　　　　　　　　　　　　　　 ,､／/－＜、　　　 .／　./:::::::::｀ヽ:、:.:.: |
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　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　￣　　　／　　　　　　　癖、ですかお？
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　_.ノ　　　　　　　　　　　「そうそう。君はネクスト戦ではライフルを牽制程度にしか考えてないから、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　.(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）ノ　　　　　　　　　　　　　ロックオン任せにして乱射してるだけ。だから私には当たらない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (（
　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　接近戦も反応は悪くないけど、狙いがあからさま。
　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼／￣＼
　　　　　　　　／￣￣￣｀.　＼　　＼　　　　　　　　　　.あとゴリ押ししすぎ。火力があるから、機があれば逆転できるなんて甘いよ」
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　、　　　、
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　i　　　　 l　　　　　　　　　　うっ。
　　　　　＿／、　　,ｲ　　　　　　　　　　　　/
　　　　（　　）_／＿＿＿＿＿＿ノ＿＿ノ
2295： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 20:56:07 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -----　、
　　　　 , -‐‐‐ ､, ＜´￣￣:.｀:.ヽく:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、
　　　／--=:.ァ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ、＼:.:＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ｉ
　　／／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽ:.:.ヽ:.:|',:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　　 /:.:.:.:.:.:.:l:.:.|:.|:.|:!:.:.:.:ヽ:.:.ヽ:.:.:.ヽ:.:ヽ|:.ｉ:.:.:.:.:.:.: : |
　　 ,':.:.:.:/:.:|:|:.:.|:.|:.|:.',:.:.:.:',ヽ斗---ｉ､:.:ｉ:./:}:.:.:.:.:.:.:.:|
　　ｉ:.:.:/:.:. |:.:',:.:ゝ--＼:.:.|　,示气､.|:.:.}:ｌ_||:.:.:.:.:.:.: |
　　 .',:.:ｉ.{:.:.:|:.:.ヽ:〃沁､ヾ､.　{:::::Ⅳ|:./:|ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　',:.| ',:.:.|＼:ヽ｀.',:::j　　　 .ゞソ〃:|/:.:.:.:.:.:.:.:.: |　　　　　　　　　戦いでモノを言うのは訓練の量と機体性能だけじゃない。
. 　　ﾘ　ヽ|　ヽヽ._ゞ′,　　　　 /|:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
　　　　　 |　　 |:.:ト、　　_　　　／:.:/|:.:.:.:.:.:.:.:.:. : |　　　　　　　　　理解度だよ。地形、戦略、敵戦力、味方戦力、その他諸々のね。
　　　　　　　　　 |ヽヽ＞　_ ∠　//| .!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
　　　　　　　 r‐‐｀ヽ-.／|ヽ／　/.| ､:.:.:.:.:.:.:.: : |　　　　　　　　　いきなり知らないネクストに乗り換えて、君はいきなり戦える？
　　　　　　　　 |:::::::::::<´　 .| /.|　 /　.ヽ::::｀::ヽ、:.|
　　　　　　_|:::::,-- ＞.‐Ⅳ/.Ⅸ|　＞｀::::::::::::::::::｀ヽ　　　　　　　　「無理ですお」
　　　　　　 { |:::/　 |　　 |｀:ヽ/　ヽ- ｀ヽ、:::::::::::__./
　　　　_　　 .{ |::/!　　|　　|::::/　　／ .|　 /ｌ::::〃　 }　　　　　　　　　そういうこと。自分の癖、機体の癖、敵の癖、
　　　 | |＞､7／　　　i!　.|:/　＞´　　 |/　.|::{{　　 ,'
　　　.|.|　　./　　　　 .ヽ|／　　＝＝ .|　　 |::｀ - ′　　　　　　　　　それらを理解していればいるほど、戦場で思うように動ける。
　　　　|.| 　.{　　　　　　0ゝ　　　　　　 |／　 |::/:. |
　　　r､r､　 ', . 　　　 /　　　　　 |/　　 .|/: . |　　　　　　　　　　　私も自分と君の癖を熟知してるから、色々読めるってわけ。
　　　ゝ｀￣ヽヽ､＿＿ .ｉ　　　　　 ./ 　 /　/:.: . |
　　　 }　　 /｀ヾ- __ ﾟ{- ､＿＿__ / ／　　,′:.:.:|
　　　ヽ、　,′　　//　｀　ヽ-- __ rﾆﾆ--　 /:.:.:.:.: |
　　　.{ヽヽｉ　　　ｉ.ｉ　　　　　　　　ヽ＼　 /:.:.:.:.:.: |
　　　.rヽ-└t- _.|_|　　　　　　　　　　ヽ /:.:.:.:.:.:.:. |
　　　.ト､｀_コ/_| |‐‐￣-ニニ---　､　　/:.:.:.:.:.:.:.:. |
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2296： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 21:05:52 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:-――- -　、:＼
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　　　　　ヽ:.ヽ:.|:.:.:.:.:.メ´:||:.yﾋて个/　　/ .{::::j."ｉ/|:|:.:.:.|.ｉ:.:.:.:|
　　　　　　　ヽ:./=ヽ:.|:.:.:i:.:ｉ,ｲ7::::::ﾟ::|　　　　 b:y /:.l/:|ｉ:.:.ｉ .|:.:.:|　　　　　　炒め物をするにしたって、自分の家のコンロじゃなくて、
　　　　　　　　ゝ　.个:.::.:ヽ|ヽらﾂ少　　　　　￣　|:.:ｉ:.|||:.:|　|:.:|
　　　　　　　　　＼ .|:.:.:|＼＼. ゝ¨　　　　、　. |:.:.|:.| |:.|　 |:|　　　　　　　ちゃんとした調理場のコンロでやると焦がしたりしない？
　　　　　　　　　　　ヽ:.:.:|　　　　　　　　　　ｲ|:.:|:ﾍ/　　|
　　　　　　　　　　　　ヽ:.ヽ.　　　　　　　` ´　／:.:.|:/:.:.ﾍ　　　　　　　　　　　でも、何度か試せば、ある程度は上手くいくようになるでしょ。
　　　　　　　　　丶:.丶＞　、　　　　イ、:.:.:/:.:ヽ:.ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　＼ミ　　　 ` ≧´ 　 !＼:.:.:.:.丶:ﾍ　　　　　　　　　　　その慣れを少しでも早く深めるために、観察して、理解するの。
　　　　　　　　　　　　　　　,>.|ヽ　　＞＜　 /　.ｉ:`＞x.ヽ:ﾍ
　　　　　　　　　　　　 ,､r´:/ | >‐、´　　　 /　　|::::::::::::::::::::｀ヽ、　　　　　　　　音と勢いが違うな、火力が強いんだなって。
.　　　　　　　　 ,､r´:::::::/　 |/>-<＼ . 　 /　　 |::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　,､r´::::::::::::/　　./└t┘　ヽ./　　　 .ﾄ、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　／::::::::::::::::::/　　／|./ Ⅹ.ヽ　ヽ　　＞┘　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::|

　　　＿_＿__　　　　　━┓
　　／　―　　＼　　 ┏┛
　／ノ　　( ●)　　＼　・
.｜ ( ●) 　 ⌒）　　　|　　　　　　　　　「ごめん、私の感覚で言っても分かりにくいよね」
.｜　　（__ノ￣　　　 /
.｜　　　　　　　　　/
　＼＿　　　　 _ノ＼
　　　/´　　　　　　 |
.　　 |　　/　　　　　　|
2297： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 21:11:00 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿_ ／:.:.:.:.,:ｲ´｀‐‐‐===―
　　　　　　　　　　　, :.:.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.,ゝ´:.:.:--＜´ヽ
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　　　　　　 ./:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、:.:.:.ﾍ
　　　　　　 ./--:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽヽ:.:ﾍ
　　　　　 .,':.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:./:.:.:∧:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽヽ:ﾍ
　　　　　　ｉヽ:. /:.:.:.:.:.:. : |:.:.:.:. /|:.:./　|:.:.:.|:.:.:.:.:|:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:ｉ　ヾ､
　　　　　　|ヽ: |:.:.:.:.:.:.|:._⊥___/ .| /　 .|:.:.,'⊥__:||:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:.:.:.:.}
　　　　　　',ヽ:.|:.:.:.:‐卞:.ム∠..｀|/　　.|:.7´＿ :|.リヽ:.:. !:. |:.:.:.:ｉヽ:.:.: |　　　　　　よく観察して、試して、慣れて見極めろってこと。
　　　　　　 ',:.:.|:.!:.:.:. |.≠::てうﾐ/　　　|/ ｲてうヽ､|:.:.:.ｲ:.:.!:.:.: ,' |ヽ:. |
　　　　　 ∨|:|:.:.:.:〃ら::::::::}　　　　/　 b:::刈〃:.:ｲ:|:.:ｲ:.: /:.:|　.}:.|　　　　　　自分の特性、機体の特性、思考のパターン、傾向、
　　　　　　 {.|:|ヽ:.ヽ｀.辷z.ﾉ. 　　　　辷丿 ././:|:.|/:.}:./:.:. |　.|/
　　　　　　 |ヽヽ:.ヽ　　　　　　 ,　　　　.／/:.:.!/:.: |/|:.:.: |　/　　　　　　　弱点や強み。どれくらいの距離でブーストして、
　　　　　　　　　!:.:.:.:＼＼　　　　　　　　　　　 /:.:.:ｉ:.:.:.:/:.:|:.:.: |
　　　　　　　　 .',:.:.:.:!ヽ、　　　　　r -,　　　　.ｲ:.:.:.:}:.:.:.:.:.:.:|:.:.: |　　　　　　　　　どれくらいの間合いならブレードが当たるのか。
　　　　　　　　　ｉ:.:.:.|　ト　　　　　　　　／ . ｉ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.|:.:.: |
　　　　　　　　　　 !:.: |　.|　＞　　　　.イ_　　.|:./:.:.:.:.:.:.: : |:.:.: |　　　　　　　　　どんな相手には強く出られるのか、
　　　　　　　　　　　ヽ:|/ヽ __　　｀´　._/|　　 .},':.:.:.:.:.:.:.: : |:.:.: |
　　　　　　　　　　 / ﾍ　　　｀ヽ -- ´　 i!ヽ､./:.:.:.:.:.:.:.:.: : |:.:.: |　　　　　　　　　どんな敵が苦手で、どう対処すればいいのか。
　　　　　　　,､r::´::/ 　ﾍ　　　　/　ヽ　 .|　ヽ｀ヽ、:.:.:.:.:.: |:.:.: |
　　 ,､r::::´::::::::::::/　　　ﾍ　　 / ヽ <.ヽ ./|　　＼::::｀:ヽ、: |:.:.: |

.　　　　＿＿__
　　　　／　　　＼
　　／　　　　　　　＼
.　／　／）　ノ´　＼_　＼　　　　　　……確かに、やる夫もがむしゃらに戦ってきた感じはしますお。
　|　／ ,ｲ　(ー）　（ー）　u|
　l /　二) 　 (__人__）　／　　　　　　マーシフルは性能が高い分、何とかなってきたけど。
.　 |　二ﾉ　　｀ ⌒´　　＼
／＼　ヽ　　　　　　　ヽ
2298： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 21:21:46 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　＿
　　　　　　／: : :｀ヽ　　　＿＿＿　　　　　　　 __
　　　　　／: : : : : : : ＼,　´: : : : : : : : : : :‐-､　 ,ｨ彡'´
.　　　　 /:／⌒＼ : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : :Ｙ:ノ＿＿
　　　 ′: : : : : : 〉'ミz: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ
　　　　i: : : : : : : / z‐- : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :‘，
　　　　|: : : : : : :′:.: : : :.‐-/: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : :|
　　　　|: : : : : : i: : i: ＼: : : |: : /: : : / : /: : /| : : : ,: : :|: |ヽ: :|
　　　　|: : : : : : i: : i: : : ヽ:.:.|: /|: : : :|: :/卞/､|,ｨ|: / : /|: |　∨
　　　　|: : : : : : :∨:､: : : : : {vﾍ!: : : :!v {チ抃.｀ﾚ'|: / .ﾚ'
　　　　|: : : : : : :八: :＼: : : ヽ ,'＼: ﾊ　弋ツ　 / |/　　　　　　君に足りないのは経験と理解だよ。私の方から見た記録データを
　　　　|: : : : : : :|　＼: : ヽ: : : |: : |＼|.　　　　{
　　　　|: : : : : i :|　　＼:.:., -‐|: : |　　　　　　〉　　　　　　　　君のシミュレーターに送っておくから、リプレイしてみなさい。
　　　　|: : : : : i :|　　　./　　ﾍ : |　　　 ‐-／
　　　　|: : : : : i :|　　.r―──‐ ､| ＼　＿／:|　　　　　　　　　　自分がどんな動きをしているのか、自分で観察して、改良するの。
　　　　|: : : : : i :|　 ./　　　　　＼＿＿|ﾊ/__
　　　　| : : : :,　-─'￣￣￣￣￣￣::::::::::::::::::::::::｀＞x　　　　　　途中から酷かったよ？　あれじゃ戦ってるんじゃなくて、暴れてるだけだよ。
　　　　|: i : ｔ' :::::::::: ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::, -‐:::::::::::::i
　　　　|: i : |:::::::::::::,':::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ::: i:::::::::::::::::::: |
　　　　|: i : |::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∨| :::::::::::::::::: |
　　　　|: i : |::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾍ|::::::::::::::::Ｙ⌒Ｙ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そう言って送られてきたリプレイデータをシミュレーターで再生する。
そこにはなのはの機体の視点から見た、マーシフルの姿が映っていた。

連続QBを連発しながらライフルを乱射し、出鱈目に斬りかかってきたところを
するりと回避し、すれ違いざまにブレードの一撃を見舞っている。

それに焦ってアサルトアーマーを起動しようとして、展開された装甲に
ライフル弾を撃ちこまれて撃墜されていった。

確かに無軌道で考えなしの戦い方に見える。
さながらなのはは熟練の闘牛士のようだ。冷静に最低限の動きで攻撃を捌き、
的確に隙や弱点を狙って反撃を加えている。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2299： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 21:33:49 ID:ysr9aob20: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,――==―
　　　　　　　　　 ,　-‐…‐-=-...ゝ/:.／__´_
　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:＿_:.:.:.:＼
　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.ヽヽ:.＼
　　　　　　　 //:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.ｌ:.:|:.ヽヽヽヽ:.:ヽ＼:.:.ヽ＼ヽ
　　　　　　　ｉ./:.:.:.:.:.l:.:|:.:||:./|:.ﾊ:.:i、i、ｉ:.:ｉ:.:l:.ｉ:.:.ｉ:.:.:.:i　|:.ｉ
　　　　　　　||:.|:.:|:./圦斥=≦　.|≧云ﾄl:.:|:.|:|:.:.|丶:|　.|
　　　　　　ﾍ|:.|:.:|:.|/r爪:个　　.´{:::｡:ﾒ,|/:.|:.:|:.:| .ｉ:.:|
　　　　　　　ヽヽ:.ヽゝう:::::}　　　 b_::7〃ｌ/:./|:.:| |/　　　　　戦場で火事場の馬鹿力なんて当てにしちゃだめだよ。
　　　　　　小、ﾐゝ…´　　｀¨‐‐//;,l/|:.|/:|/
　　　　　　　　　 |:.:ゝ　　　｀　　／/:.|:.:.:|/::.|　　　　　　　最後に立っているのは幸運な兵士か、冷静な兵士か、その両方か。
　　　　　　　　　 |:.:.|ヽ、　　-‐‐　 ,∠:.:.|:.:.::|:.:.:|
　　　　　　　 |:.:|.　|＞、 _　イ　 |:.:|:.:.:.:.!:.:.|　　　　　　　　幸運ばかり当てにするようなら、それは良い兵士とは言えない。
　　　　　　　　　　|:.|／|――, ― |、 |/:.:.:.:.:|:.:.:!
　　　　　　　　,､r´:|:::| ﾍ　　/><l　l ヽ|｀ヽ:.:.:|:.:.|　　　　　　　　冷静さで最大限の幸運を引き寄せるのが一流。
　　　　　,､r::´::::::::::::::|　ﾍ、/ 只ヽ|　ヽ:::::::｀ヽ:.!
　 ,､r::´:::::::::::::::::::::::::::|　 .ﾍ　/||ヽ |　　ヽ:::::::::::::::::｀ヽ　　　　　　いい？　戦闘っていうのは御するものなの。
　|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::r L＿_lヽ‐‐‐yヽ／　｀ヽ、:::::::／|
　|:::::::::＼:::::::,､r ´　　　／ﾍ:::::::::| 　`＜　　｀ヽ/::::|
　|rヽヽ:::::／　　　　　.<　　　丶:|　　 ./　　　　　|::::|}

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
自分を知り、敵を知れ。それ以上のアドバンテージなどない。

なのはは粛々と授業を続け、時折確認を挟みながら、知見を述べた。
そのなのはを見ていれば、少しは伝わってくる。

彼女は戦いの際、冷静だった。時に機械的なまでに。
攻める時も守る時も落ち着いていて、一手一手が余裕と確信に満ちていた。
きっとシミュレーター内の彼女は眉一つ動かしていなかっただろう。

「ぱっと見、興奮してるように見えるリンクスだっているよ。
その実、腹の中は冷え切ったりしてるものなの。熟練のリンクスなら猶更。
感情を殺すなとまで言わないよ、勝つための思考を絶やしちゃだめってこと。
思考停止した兵士なんて、リンクスだろうがカモだから」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2300： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 21:36:00 ID:ysr9aob20: 誤字というか、誤用失礼。殺すなとまで、じゃなくて、殺せとまで、だね。
2301： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 21:47:49 ID:ysr9aob20: 　　　/:.:.//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｌ:.:.:.:.:.ｌ:.:.:.:.||:.:ﾊ:.ヽ:.:.:.ヽ、,-:.┼--___:|:.:.:.:.:.:.:.|:.:/:.:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
　　　|:.:/.,':.:.:.:.:.:.:/:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:| |:.:ｌヽ:.＼:.:´＼ヽ≧云､:.:.|｀:.:.:.:.:.:|＾､/:.!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
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　　　　　{:.:.:.:.:.|{:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:メん:::::::}　　　　　　つ -:少ｲ:.:/|:/:.:|／:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
　　　　　.∨:.:.:|.∨:.:.:ｉ:.:.ヽ:.:.:.:.｀つ-´j　　　　　　‐｀‐‐┴/:.///:.:.:|:.:.:.:.:!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
　　　　　　∨:.:| .∨:.:ヽ、:.＼:.:.＼.ゝ´　　　　　　　　　　///〃:.:.:.:|:.:.:.:..!:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.:!
　　　　　　　ヽ:.|　ヽ:.ヽヽ、:.｀ヽ__ヽ_　　 ′　　　　　　//,ｲ:.:.:.:|:.|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　はい、お疲れ様。
　　　　　　　ヽ|　　ヽヽ　＼:.:.|:ﾍ　　　 ‐ ‐ ´　　　　 / ,':.:.:./l.,':.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　ヽ　　 .＼　ﾏ:|:.:.ヽ、　　　　　　　　／　,':.:/:|/:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　……んー、労いが毎回缶コーヒーっていうのも
　　　　　　　　　　　　　　 |∧:.:.:.:.|｀＞ .､　　　イ　　/／ /ヽ、:.:.:.:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　|| ヽ:.:.:.| 　　 ._｀T´　　_ -/　　 ./ .|＼_:|:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　味気ないね。何か欲しいのないの？
　　　　　　　　　　　　　　　 |　＼:.|　,､r ´/ヽv＜´　　　　/　 |::::::::::￣｀― 、:.:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,､r －ヽ:/　 ,'／l./ .ヽ　　　 / 　 .|:::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 ,､r::"´:::::::::::::::/ 　 / ヽy‐ 7´ヽ　 /　　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　 ,'|:::::::::::::::::::::::/　　./　 l≠´.|　　>´　　　 .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,::--－‐ヽ
　　　　　　　　　　 | |::::::|＿-- <　　 / ./ /　ヽ | ./　　　　　ト- 、_::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　 |:::|:::::|　　　　＼イ　ﾆ　　　.y |　 ,.＞＜´　　　＞-＜__／:::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　/´,':::::/　　 ≠＜´　|´::::::::ヽ /　　｀｀、　　 Eニニコ　　 ./　|::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　 / //::./　　　ヽ　　　.|::::::::::::／　　　　　 /　　　　　　　./　　 |::::::::::::::::::::::::|

　　　　　　　　　　,.　'"´￣　　｀､
　　　　　　　　／　　　　　　ヽ
　　　　　　　 /　　　ノ, 　　 (○) Ｙ
　　　　　　　i　　　　　（○) 　､__ ) ヽ
　　　　　　　|　　　　　　　'､__／　　　!
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　　　　　　 |　　　　　　　_,,.. -‐'"´
　　　　　　 |　　　　, .'"´
　　　　　　　 i　　　.!
　　　　　　ﾞ､　　ﾞ､
　　　　　　　　＼　ヽ
　　　　　　　　　ヽ　 !
　　　　　　　ノ／
　　　　　　　　　i'／
　　　　　　　 !

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
シミュレーターから出てきて崩れ落ちると、すぐそこにあるベンダーから
買ってくれたのか、いつもの甘い缶コーヒーを差し出された。

汗一つ浮かべていないなのはは、穏やかに微笑んでいた。
膝を曲げてしゃがみながら、床に倒れ込む自分の顔を小首を傾げて覗き込んでいる。

なんだか、久しぶりになのはの顔を近くで見たような気がした。
化粧は薄く、口紅も控えめなものを引いているが、
鼻筋が通っていて全体的に整っていた。

くっきりした二重瞼に長い睫毛が丸い目の輪郭を際立たせており、
綺麗というよりは可愛らしい印象を受ける。

なんて言ったら、マセたこと言わない、と叱られそうだから黙っているが。

下↓３
1．これで十分です
2．今度、どこかに連れて行ってほしいです
3．その他（内容を自由に書いてください）
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2302：安価のやる夫だお：2020/04/19(日) 21:58:01 ID:cp8.0ygI0: 2
2303：安価のやる夫だお：2020/04/19(日) 22:00:06 ID:.ZUogMM20: 2
2304：安価のやる夫だお：2020/04/19(日) 23:18:32 ID:1uuOgCGE0: 2
2305： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 23:36:06 ID:2akV5CWs0: 　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
. 　　　／　　　（ ●）　（ ●）＼
　　　　　| 　　　⌒（__人__）⌒　|　　　　　　　それなら、今度どこかに連れて行ってほしいですお。
.　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ
.　　　 | 　ヽ＿＿　　　　　＿　',
　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿
　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ
　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　∧　|　　　 |＿_／　　 /　ﾖｯｺｲｼｮ
.　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
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　　　　　 /|:.:./:.:.:.:／:.__:.-ｵ‐‐ メ≠//＿:.//:.:/　.}:.| .|:.:.!|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　,'||:./:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:/:.:.,∠__// /:.::／,':.:/　　|/__|:/ |:.:.:|:.:.:.:.:.:ヽ:.ﾍ:.:.:＼:.:.:.:.}
　　　　ｉ:.|:.ｉ:.:.:〃:.:.:/:.:./〃,r-ニ､ヽl／　/／　　/　 .|7 ﾒ､:,':.:.:.:.:.:.:.:.}ヽ:ｉ:.:.:.:}ヽ:.:.:ｉ
　　　　　!:.:/|:./|:.:.:.:.ｉ:.:.〃 .ん::´:::::j .｀　〃　　　　 ,.廴 .|:./|ヽ:.:.:.:l:.:.ｉ:.:}|:.:.:.:.ｉ　ｉ:.:.|
　　　　　 y .|:.ｉ.|:.:.:.:.|:.:|ヽ. f::::f ｽ::/ 　　/ 　　　〃r--､彳 .|:.:＼/l:.:.|､:|:.:.:.:.:.| .|:.:.!
　　　　 | {',| {:.:.:.:.|:. | 　 ',::ヽ:':ﾂ　　　　　　 /::,-::::7.i! ,':.:.:.:/:|:.:/:}:.:.:.:.:.:.| .|:.,'
　　　　　ヽヽゝ:.:.:{',:.| 　　｀￣.　　　　　　　i!::f_/::/.以:.:.:/}:.:}:/:.:!ｉ:.:.:.:.:.:! .|/　　　　　　はいはい、今度どこかね。
　　　　　　　ヽ/ヽ:.:.:ｉ .＼　　　　　　　 .ｌ　　　ヽ__シ ´7:.:/:.:.:〃:.:./:|:.:.:.:.:,'|/
　　　　　　　ｉ:.:.:.＼＼　　　　　　　　　 /　　　　　　　 /／:.:.:./|:.:.:.,':.:|:.:.:.:/ !　　　　　　　　それくらいなら……ん？
　　　　　　　 .{:.:.:.:.:|.､＼　　　　　　 .r ‐ ､　　　　　　／/:.|:.:.:.:.:!:.:.:/:.:.|:.:.:/:.:|
　　　　　　ｉ:.:.:.:.:| ﾍ　　　　　　　　｀　-′ 　　　　 /:.:.|:.:.:.:.,':.:/:.:.:.:|:./:.:. |
　　　　　　　　!:.:.:.:.:! .|＼　　　　　　　　　　　　　　　ｲ:.:.:.:!:.:.:./:./|:.:.:.〃:.:. : |
　　　　　　 ',:.:.:.:.',.| 　＼　　　　　　　　　　イ }:.:.:.:.:!:.:.://:.:.!:.:./:.:.:.:. : |
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
深く考えもせずに言った要求だった。
ただ、この前はやてにプールへ連れて行ってもらった時が楽しかったから、
また似たような経験ができたら、と思ったのだ。

なのはは一度快諾したかのように腕を組みながら頷いたが、
その後硬直した。
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2306： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 23:43:12 ID:2akV5CWs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --- ､
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　　　　　　 ',:.:.|:.!:.:.:. |.≠::てうﾐ/　　　|/ ｲてうヽ､|:.:.:.ｲ:.:.!:.:.: ,' |ヽ:. |
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　　　　　　 {.|:|ヽ:.ヽ｀.辷z.ﾉ. 　　　　辷丿 ././:|:.|/:.}:./:.:. |　.|/　　　　　　どこか……どこかね、うん。
　　　　　　 |ヽヽ:.ヽ　　　　　　 ,　　　　.／/:.:.!/:.: |/|:.:.: |　/
　　　　　　　　　!:.:.:.:＼＼　u.　　　　　　　　　 /:.:.:ｉ:.:.:.:/:.:|:.:.: |　　　　　　　　　君のランクマッチが終わる頃には考えとくよ。
　　　　　　　　 .',:.:.:.:!ヽ、　　　　　r -,　　　　.ｲ:.:.:.:}:.:.:.:.:.:.:|:.:.: |
　　　　　　　　　ｉ:.:.:.|　ト　　　　　　　　／ . ｉ:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.|:.:.: |　　　　　　　　　　私もそうそう遊びに行ったりしないからなぁ。
　　　　　　　　　　 !:.: |　.|　＞　　　　.イ_　　.|:./:.:.:.:.:.:.: : |:.:.: |
　　　　　　　　　　　ヽ:|/ヽ __　　｀´　._/|　　 .},':.:.:.:.:.:.:.: : |:.:.: |
　　　　　　　　　　 / ﾍ　　　｀ヽ -- ´　 i!ヽ､./:.:.:.:.:.:.:.:.: : |:.:.: |
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　　　ﾘ　i:.:.{ i:.:.:.|:.⊥:.‐‐:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:. ‘，:.:.:ｉ:.ｉ:.:.:./.:.:.:.:.,′
　　　　 l:.:.l l:.:.:.l:.:.:{ ,斧ﾐx｀:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.: i:.:./l:.l:.:./:.:.:.:.:/
　　　　　ｉ:.:l l:.:.ヽ:ﾏヽﾏ:: ',ヽ:.}:.:.:.:.:.}:.:./:./:.|:.: /:.:.:.:.:/
　　　　　l:.:l ヽ:.{::!ヾ､　乂ﾘ　}:!:.:.:.:.: !/ﾐ}/_:.|:./:.:.:.:.:/　　　　　　　　あー、大丈夫大丈夫、ちゃんと考えとくから。
　　　　　Ⅳ　 {:./　　　￣　}:!:.:.:.:.: l　　 l.l./:.:.:.:.:/:|
　　　　　　　 |:.:ﾍ　　　 ,　〃}|:.:.:.:l　　　iｌ |:.:.:,′: |　　　　　　　　　ほら、今日はもうおしまいにしよ？
　　　　　　　 |:. : l＼￣　　/､ /:.:./　　／/|:.:.{:.:. : |
　　　　　　　　ﾏ:.:.l ＿_ヽ-,r´ヽ:.:/-‐ ´／　!:.:.!:.:.:.:.:ｌ　　　　　　　　　　お夕飯食べて、シャワー浴びて歯磨いて寝なさい。
　　　　　　　　ゝ:.{::::::: ／/／}／　／　　人:.l:.:.:.:.:.l
　　　　　　　　/::::ヽ::/　/／>〃／　　／:::::‘，:.:.:. l　　　　　　　　　　
　　　　　　　　l::::r==　/／/　l／ L＿_/:::::::::::::::ヽ:::::‘，
　　　　　　　, l::::ll　　/ヽ/,ｲ´　　<　　＼:::::::::::::::::‘，::',
　　　　　　／　lｉ　 /::／　　 ≧´　　　 /::-―::￣:‘，:.ヽ
　　　　　〃　　 |　〃 ≧ ´　　　　l li　/:::::::::::::::::::::::::::}:.:.:.‘，
　　　　/　　　　 l イ　　　　　　　　li /::::::::::::::::::::::::::::::::}:.:.:.:.
　　　 {　　　　 // 　　　　　　 /:::::::::::x≦ ヽ､:::::/:.:.:.:.
　　　　ヽ_　　{　{　　　　　　　　 /:::::::::://　　ヽ}::/:.:.:.:.:.
　　　　　 i　　 | ‘，　　　　　　　　i::::::::::::i ',　　　 }〃}:.:.:.:.
　　　　　 |　　 |　ヽ　　　　　 /　 /:::::::::《 r===／　 i:.:.:.:
　　　　　 l　　/　　　　　ー‐/　　<:::::::::::::｀:r 〃　　 l:.:.:.:
　　　　　 l　 /　　　　　　　/　　　＼:::::／／　　　　l:.:.:.:.

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
予想外だったのは、はやてほどなのははそういった場所に縁が薄いことだった。
休みの日に遊び呆けるような人ではないとは思っていたが、
あの表情を見るに、一切心当たりがないといった様子だ。

彼女は休日、どのように過ごしているのだろうか。
思えば、彼女の大まかな趣味趣向や好みなどを、欠片も知らなかった。
見せられたこともない気がする。そもそもあるのだろうか。

それを誤魔化すように、なのははばつが悪そうに苦笑しながら立ち上がると、
両手をぱんと合わせて訓練の終了を告げた。

確かに胃袋の中の残量にも余裕がない。
難しいことは、食事を済ませてからでいいだろう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2307： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 23:43:33 ID:2akV5CWs0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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2308： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/19(日) 23:45:52 ID:2akV5CWs0: 今回の投下はここまでとしよう。次回は明日の午後八時からだ。連日投下というのも新鮮だね。

それじゃ、シーユーアゲイン。

次のアルトリアとの安価の際はアナウンスするから、ちゃんと埋め合わせするんだよ。

女性との約束は口約束であっても覚えておくものだぞ、やる夫君。
2309：安価のやる夫だお：2020/04/20(月) 09:13:27 ID:TI6en/uQ0: 乙でした
2310： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 20:12:59 ID:DMRycUbY0: 　　　　／||ミ
　　／ ::::||
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　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||　　､　- ‐‐ -,
　|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
　|:::::::::::::::|ﾞｉ : : : :○　○ﾞｉ
　|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _ｌ　　　　　　ハロー。
　|:::::::::::::::||: : : :-=´_　_,´
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　|::::::::::::::(___＿＿ノ´||
　|::::::::::::::(_ノ／ . . . ||
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　＼:::::::::::||￣￣￣￣
　　＼ ::::||
　　　　＼||
2311： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 20:17:49 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　 ,- ‐‐ -　､
　　　　　ｒ‐ｲ: : : : : : : : :｀,
　　　　　　i /○　○: : : : /　　　/｀､
　　　　　　i_ _ _ : : : : : : :{　　 / : : /
　　　　　　｀,_　_｀=-: : : :| 　ノ : : / 　　　　　　熱が下がった。頭痛もかなり引いたし、ほぼ健康体と言って差し支えない。
　　　　　　　i: : : : :_: : : : :'y´ : : : /
　　　　　　　｀-‐､´: : : : : : : : : ／　　　　　　　　結局なんだかんだで検査できずじまいだったけどねえ。
　　　　　　　ﾉ : : : : : : : : i´
　　　　　　　 / : : : : : : : : : :|　　　　　　　　　　長めの風邪なのか、巷で流行りのアレだったのか。
　　　　　　i: : : : : : : : : : : !
.　　　　　（｀ー‐-　　-‐　_}

　　　　　　,　-‐ 　 ‐- ､
　　　　／: : : : : : : : : : ::',
　　 , ': : : : : : : : : : : : : : :',
　　/: : : : : : : : : : : : : : :○:',　　　　　　　　相変らず職場から出勤禁止命令＆金払わねーし有休も使わせねえ宣言きてるけどね。
　　ヽ : : : : : : ○: : : : : : : : :',
　.　｀ﾄ : : : : : : : : : : : _,-‐'｀iヽ _　　　　　　このままだとモコイさん野垂れ死にしちゃうからね。
　　　 i: 丶: : : : : :,-‐'´__,-‐'´: : : ｀ヽ
　　　 | : : :ﾄ: : : : `-‐´ : : : : : : ､: : : 丶　　　でも症状収まったからといって、すぐに働けるわけでもない。移す可能性は大いにあるし。
　　　 | : : :'､j｀-‐ : : : : : : : : : : : ＼: : : ヽ
　　　丶,,:_:_:_: : : : : : : : : : : : : : : : | : : : i　　　もう少しだけ大人しくしてるよ。
　　　　　　　　｀ヽ: : : : : : : : : : : : `ー‐'
　　　　　　　　　ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ
2312： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 20:22:40 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　. . .-─‐-. ミ
　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : : ｀: ..
　　　　　　　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : /
　　　　　　　　　　　　　　　　 }Ο : : : ◯: : : :,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　 { -===- ､: : :. :.|　　　　　　　　　死にはしないさ、多分ね。
　　　　　　　　　　　　　　　　〉: : : : : : : : : :ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i: :｀ﾆﾆﾆ´: : : : ‘,　　　　　　　　　お国様が困った人に十万円くらい貸してくださるらしいからさ、
　　　　　　　　　　　　　　　__/ : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　＿__　　　　／.: : : : : : : : : : :‘,.:.三|　　　　　　　　　最悪それを頼るよ。給付金も併せて……その次の月？　さあ？
　　　　　/ :::: ヽ: : : :‐--∧_: : : : : : : : : : :./:|: : : |
　　　　.′ :::::::‘: : : : : : }/∧ア´二二ヽ:/　| : : ‘,　　　　　　　　　ま、なんとかする、うん、なんとか。
.　　　　‘::::::::::::::ﾉ: : : : : :ﾊ＼{／: : : :／⌒ﾞヽ : : :‘
. 　　　ゝ-=彡-──＜¨¨ﾟ‘; .: : :./:::::::::::::::} : :. :.|　　　　　　　　現状じゃ打てる手も少なすぎる。手詰まりだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼: :′:::::::::::/______」
　　　　　　　　　　　　　　　　　弋:::::: ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀¨´

　　　　　　　　　_　_　_
　　　　　　　／: : : : : : ｀i
.　　　　　　i: : : : : : : : : :!
　　　　　　　､: :○: : ○: :!
　　　　　　　 i: : : : : : : : : i　　　　　　　　とにかくやっていこう。いつ投下できなくなるか分からないんだ。
　　　　　　　 l: : :,, --_ｯ: :',
　　　　　　　丶｀‐'´: : : :ﾉ　　　　　　　　少しでも進めておこうってわけ。やってくよー。
　　　　　 / ´: : : : : : : : ｀ヽ
　 . 　　　　/: : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　 , -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　／: : : ,-ｲ: : : : : : : : /｀丶: : : :､
　ｒ⌒ ,／　/: : : : : : : : i　　i: : : : i
　 ` ‐ '　　/: : : : : : : : : |　　 ! : : : |
　　　　　 i: : : : , _ -‐ ´,) 　｀ヽ _|
　　　　 (_ _i￣(_　-‐'´i
　　　　　　|　:|`‐´i : : : : |
　　　　　 |: :ﾉ_ _ ﾉ: : : : :|
　　　　　 |: : : : : |: : : : : !
2313： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 20:41:52 ID:DMRycUbY0: 　　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　　／　─　　 ─　＼
　／ -=・=- 　　-=・=-. ＼　　　　　なのはさんにボコられたはいいけど、凄く大きな収穫があったわけでもなし。
　| 　u ,　（__人__）　　U　|
　＼　　　 ..｀ ⌒´　　　.〆ヽ　　　　　どうなるんだお、これ。
　　/　　　　　　　　　　ヾ_ノ
　/rｰ､　　　　　　　　　　　|
/,ﾉヾ　,> 　　　　　　　|　/
ヽヽ〆|　　　　　　　　 .|

　　　　　　　　　　　　....:::::::::/＿＿＿_
　　　　　　　　　　く_::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　 <::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　／:::＼:::::＼::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　 ′}::::::ﾊ::ﾄ､::{ヽﾆ::::::::::::::＼´
　　　　　　　　　 }:/::{ｘ=ﾐ＼^⌒＼{::＼⌒　　　　　　　　　いやー、どうにもなんねえだろ。当たって砕けろってやつ。
　　　　　　　´ }:ﾊ　 l　　　　ﾊ:{⌒
　　　　　　　　　　　込　ｖ　ﾌ　　／',　　　　　　　　　　「カズキ、おまえまでそんなこと言うのかお」
　　　　　　　　　　＞　イ／::::::::＼
　　　　　　　　　　　 r'’ .r‐'::::::／:::::::::＼　　　　　　　だってよ、相手はあのストレイト・クーガーだぞ。
　　　　　　　　　　〉: : 〉::^´:::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　 r'´: :r'^:::::::::::::::::::::::／::::::::ヽ　　　　　おまえが負けるに10万COAM。あ、掛け金ないからそっちで持って？
　　　　　　　　　　　 ∨: :|:::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　ｌ:V :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　　「あのなあ……」
　　　　　　　　　　　　ｌ:::｝ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　ｌ::::Ⅵ::::::::::::::::::::::', :::::::::::::::::|__
　　　　　　　　　 /:::::::::|:::::::::::::::::::::/} :::::::::::::::／',
.　　　　　　　　　　　r'::::::::::/:::::::::::::::::::::{￣￣￣´　　{

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ランクマッチは夕方の五時から執り行われることになっていた。
脳神経への負荷というAMSの性質から、ぎりぎりまで訓練を行うわけにもいかず、
結局昼まではいつも通り過ごして、午後からはブライドル本部で
時間を潰すことにした。

カフェテリアで軽い腹ごなしを済ませ、ブライドルの最下層、
地下アリーナの見物に行った。

関係者用スペースや通路は、自分が過ごしているトウキョウの
ネクスト整備収容施設と大して変わらず、無骨で冷たい印象を受けた。
来客用の観客席や休憩スペースなどは贅を凝らしているらしいが、
自分たちには関係ない。

エレベーターホールから出ると無人の受付とモニターが埋め込まれた
カウンターに迎え入れられ、そこに手を翳す。

AMS接続のためにジャックの取り付け手術の際、静脈パターンや虹彩、
指紋などの登録は一通り済ませてあった。
一秒と経たずにモニターは自分の手から情報を読み取ると、
並んだ二つのゲートの左側、関係者用ゲートが開いた。

進んでいくとPDAに控室へのナビゲートデータが送られてきたので、
それを頼りに代わり映えのしない鉄の道を歩いていると、
途中でカズキと通りすがった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2314： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 20:51:11 ID:DMRycUbY0: ::::::::,'::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::/::::::::／l:::::::::::::::::/ ::::|
: ::::,':::::::::::::::::::::::|::::::::::::/:::::／　 |::::::::::::::/:::::::::l
:::::,' : ::::::::::::::::::::|:::::::::/l:／≧ミ､|:::::::::::/ :::::::::::|
::::,' :::::::::::::::::::::/|::::::/ 　ｲ ∧y |::::::::/::::::lヽ:::::|
:::::::::::::::::::::::::/　|:::/　　ゝ､ヾ |:::::/＼:::| ∧::|
ｲ:::::::::::::::::::/ 　 |/　　　　　　 |::/　　　 7.ﾘ
.i:::::::::::::::::/　　　　　　　　 |/　　　　 /　　　　　　　　　多分、対ネクスト戦で今一番強いのってあの人じゃないか？
:|::::::::::::::∧i　　　　　　　　　　　　 l
:|:::::::::::/=ゝ　　　　　　　　　　　　　／￣´　　　　　　　　　　他は知らねえけどさ、現存するリンクスの中で、
:|::::::::/ヽ=-ヘ　　　　　　　　　　　　￣ヽ
:|:::::/::/三三ニﾆ=-ミ､　　　　　　　ｲ　　　　　　　　　　　一番ネクストとの交戦歴が多いのも、勝率が高いのもあの人だ。
:|::/::/三三三三三三ﾐ､　　Y⌒ヽ　　 l-‐=ニ三ヽ
:|/ｲ三三三三三三三l|　　 |‐┘ ', 　 |　/　　　　ト-ﾐ　　　　　ネームレスもランク1っつっても、出撃数自体は多くないからな。
三三三三三三三三ﾆ|　ト=',　　 ',__/ﾔ　　　　　　　ﾄ､
三三ニ=-ﾐ､三三ニニ|　|. ゝ',　　　∨　　　　　　　　 Y
三三三三三三ﾆミxニ|　|. 　｝　　ﾍ　　　　　　　 |

　　　　　　＿＿＿_
..　　　　／　　　u　＼
　　　／　　／　　＼＼　　　　　　胃がきゅうきゅうしてきたお。
..　／　し（○）　（○）＼
　 |　∪　　（__人__）　 J |　　　　　「はは、なんだおまえ、冷めた奴かと思ってたけど、人並みに緊張するんだなあ」
..　＼　　u　　｀⌒´　　／

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
眩しいくらいの照明を浴びながら、カズキは顎を摩って考察を垂れた。
久しぶりに会ったカズキはジャケットとシャツにパンツというカジュアルな装いで、
どこにでもいそうな好青年といった出で立ちだったが、
そこはリンクス、やはり隠しきれぬ貫禄というものがあった。

脱力しているように見えるが、所作が小さい。
落ち着いてるし、笑っていても時折目が笑っていなかった。
企業の支援も受けずに戦い抜いてきた歴戦の独立傭兵というのは伊達ではないらしい。

実際、生身の腕っぷしも強そうな気がした。
自分もスラムで生きてきた身の上、ある程度は直感的に察することができるが、
彼には敵わない気がする。

元より、自分も暴力だけに頼って生きてきた訳ではないため、
比べるべくもないのかもしれないが。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2315： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:04:10 ID:DMRycUbY0: 　 /:::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::{､::::::::::ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
. /::::::::::::::::::::::::::::::::::::{＼:::::::::::::::::{＼＼:::::.斗:::::::::::::::::::::::}::::::::::.´
/／　}::::::::::::::::::::::::ﾊ:{___.＼:::::::::::::.　／＼{____＼::{＼:::::::|´}::､::::.
　　！:::::::::::::::∧:{ {:{　　￣＼:::::::::.　彡^⌒¨ヾ｀　＼:|/:::::.＼::.
.　　！:::::}::::::::{　∨ }ｘ=≠ミ　＼::::::.　　　　"" 　:}　丶:::::::.　｀
　　！::::::}::::::::| ',　〃　　　　　　}＼::{　　　　　 ′ /ﾊ{＼::.　　　　　　なんだよ、気楽にいけよ。実戦と違って、死ぬことはないんだ。
.　　 |::::/.{::::::::! ∧　 ""　　　　i{ 　　　　　　 r‐'::::{　　ヽ
.　　 |:/　.}/Ⅵ ､ ∧　　　　　　　{i:.　　　　　　爪ニニ､ﾆ=‐-_　　　　　敵リンクスを死に至らしめるような行動をしたら、
. 　　 ′　　　／マ.ﾑ　　　 v 　 -‐=ﾆニ}　　 //ニニﾆﾑニニﾆ
　　　　　_-‐=ﾆﾆ7ニ込　　 ∨　　　　ﾉ　　ｲニニニﾆﾑニニﾆ　　　　機体にロックがかかるからな。むしろラッキーだろ。
　　_-‐=ﾆﾆニニ{iﾆﾆﾑ个　　 `ー　　　　／ ./ニ}/ニニﾆムニニ
-=ﾆニニニニニ{i.ニニ.＼　＼　　￣´ ／　 /ニ./ニニニニ.}ニニ　　　　命の危険もなしに、そんなすごい人と戦えるんだ。
ニニニニニニニ∨ニニﾆ＼　　 -=彡　／ﾆﾆ/ニニニﾆ=-　ニニ
ニニニニニニﾆﾆ.∨ニニﾆﾆ＼　　　　／ニニニニニニﾆ=-　ニニ

　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　／　　　　＼
　　　　／　─　　 ─　＼
　　　／　（●）　（●）　＼　　　　　　あー、そういやそんな説明も受けたお。コックピットなんて狙おうものなら、
　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／　　　　　　機体が止められて逆に反撃されるって。機体を破壊して戦闘不能にするしかないって。
　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　 / 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |　　　　　　　　……てか、なんでカズキはここにいるんだお？
　　/　　／　r─--⊃、　|
　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|
2316： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:06:00 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　ﾄ､
　　　　　＿＿__　　ヽヽ、
　　　　　￣＞::::::｀:...ｰゝ::＼
　　　_,....:'"::::::::::::::::::::::::ヽ::::::＼
　　　＞―:::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::〉__
　　　:::::::::::::::::／::::::::::::／:::::／:::
　　　:::___／::::::;::::＜::ィ:／:::::::
.　　　 ∠ィフ:::ィ'小冫7:::::イ::
　　　　ｰ┐￣　｀¨´,.イ::::/:ﾄ､　　　　　　そりゃ、ダチの晴れ舞台だからな。見に来たくもなるさ。
　　　　　ｌ　　　　　　,|i::ハ:!
　　　　　　ヽ. 　｀　‐フl:/　｀　　　　　　　「ダチ？」
　　　　:::::::::＼＼_,. '´
　　　::::::`::::、:/　＼　　　　　　　　　　　　友達だ。一度背中を預け合って、終わった後握手したんだ。
　　::::::::::::::::::＼ｴヽ/
　　::::::::::::::::::::::::＼￣l　　　　　　　　　　　　友達と呼ぶ理由としては充分じゃないか？
　　　:::::::::::::::::::::::/ 　/
　　　　::::::::::::::::::ﾊ　ハ
　　　　　　::::::::/6l/:::::!

　　　　＿＿＿_
　　　／⌒　　⌒＼
　／（ ●）　（●）＼　　　　　　　カズキ……！
／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼
|　　　　　|r┬-|　　　　 |
＼　　　 `ー'´ 　　／
2317： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:08:14 ID:DMRycUbY0: 　|l 　　 .//ll　　　　　　　　　//　　　　　　＿＿＿＼
　||　　　// ||　 ./|l　　　　　./ｌ|　 /　　 ||　＼　　￣
　||　　 //　||　//||　　　　 //|| .∧　　 ||　　.ハ
　||　 .// 　.|| // .l| 　　 .// .||/　 V　　||　　ヽヽ
../|　/≦ 　 l|/ 　 ||　　 // 　　　 V　 |l　　　lヽ｝
.| .|/ テ≧ミx､　　 | 　 .//≧彡テ示ｌ|　 |ｌ　　　|
.|　　　　　　≧ミｲ |　 /彡イ　　　 .l|　 |　　　 l　　　　　　　　ま、観客席は料金がきつくて取れなかったけどな！
.|￣￣￣￣￣　　 | ./ ￣￣￣￣￣ |　∧　　　|
､＼＿＿＿／　　l/　＼＿＿＿／イ /⌒Y　　|　　　　　　　　こうして関係者枠でタダ見ってわけだ。
　　　￣￣　　　　　l　　　￣￣　　 .ﾚ)y　 |　　.|
///////////　　ﾉ　　////////　ｲﾑ　ﾙ､　 |
　U　　　J　　　　　　　　　 j　 u　l|_／　　 N
　　　u　　　　　　／＼　　u　　　　人
＼　U 　　　／　　　＼　　U　／　 |＼
.　＼　　　／　　　　　　＼　.／ヽ｝＼　＼
.　　　＼.　￣￣￣￣￣￣／/　　　/ >.　　＼

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　─　　 ─＼　　　　　　カズキィ……。
／　（=・=）　（=・=）＼
|　　　　（__人__）　　 |
＼　　　　｀ ⌒´　　／
2318： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:21:15 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　 ,　------- - 、　/:.:.∠ -‐‐‐- 、
　　　　　　　　　　,イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ´___＿＿ ___ ｀ヽ、
　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.:｀ヽ、｀ヽｉ
　　　　　　　　　　 /ヽ:.:.:.:/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:./:.:!:.:!:.:|:.:ヽ:.:､:｀ヽ:.:ヽ、ヽ
　　　　　　　　 ,'､:.:.:ヽ,':.:.:.:.,:.:/:.:.:./:.:.:/:.:/:.:7:.:}:.､:.:ヽ:＼:､ヽ､:.ヽ
　　　　　　　 {:.ヽ:.:.:ｉ:.:|:.:.:ｉ:丁:.厂:.云:廾／|:.,':.|:.:ｉ:.:ｉ:.:.:}:.:ヽヽ:.:ｉ
　　　　　　　 ',:.:.:＼|:.:|:.:.:{:|:.yイてう｀´　 /A|,':.:,'|:.ｉ:.:.:.ｉ:.:.:.:ｉ　}:.|
　　　　　　　　 ',:.:.:.:/､ヽ:.:ヽ.ヽら.ﾂ} 　　ｲﾊ〃:|/:.:.:.:||:.:.:.}　',:|
　　　　　　　　　　 ',:.:<,' |ヾヽヽ. ゞ-ﾒ　　ﾋﾘ/:.://}:.:.:.:}.|:.:.,' 　ﾘ
　　　　　　　　　　　＼ヽ|:.:ヽ　｀　　　　　　｀´,':./:/ |:.:.:/ |:/
　　　　　　　　　　　　　＼|:.:|＼　　　　　　 '　!:.//　}:.:/　.ﾘ　　　　　　　　　やる夫くーん、そろそろ準備して……
　　　　　　　　　　　　　 ',:ヽ　　　　｀　ｲ|/:.|　//
　　　　　　　　　　　　 |ヽ＞、　　 ∠´:,':.|:.:| ./　　　　　　　　　　　　　って、カズキ君じゃない。久しぶり。
　　　　　　　　　　　　　　, r|　ヽ___　≧ ´:／:.:. |:.:|
　　　　　　　　　　r/ | / ヽ　　 /　 | :｀ヽ､:|:.:|　　　　　　　　　　　　　　　なあに、お手伝いさん？
　　　　　　　　　　,.r´:/　 |/只 ',　 /　　.|:::::::::::::｀::ヽ..、
　　　　　　 , r::::´:::::/　　Ⅳ/||　ヽ'　　　.|:::::::::::::::::::::::::::｀-ヽ、
　　　　 /、::::::::::::>、 /| //| | / |　　 , .|::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::ｉ
　　　　　ｉ :::ヽ／　　≠ |≠ ﾆ/　ヽ＜　ヽ、:::l:::::::::/::::::::::::___|
　　　　 ,.|:::::/　／　　 |::::::::/　　　　ヽ　　　｀ヽ､/:::::::::::,'/ 　ヽ
　　　 {| |:::,'　　ヽ　　 |:::::/　　　／　　　　　| /　|:::::::::{ ｉ　　 .}
　　　　.',.|::ｉ　　ヽ　 |:/　　 ∠ニニニコ　　ヽ|　|::::::::::', ',　 ./
. 　　　 |::{　　　ヽ　ｉ　 .／　　　　　　　　　　|　.!::::::::::::ヽ｀/
. 　　　 |:::',　　　　ヽ├.´　　　　　　　　 ./:|　| ヽ、:::::::::::|
. 　　　 |´ ヽ: : : :..　＼ヽ: : : : : : : :: . .　　 /: :| |　　ヽ:::::::::|
. 　　　 |　　＼: : : : : 　＼: : : ヽ、: : : :　 ./: : :.| | 　　｀‐‐.|

　　　　　　　　　　　　 ___r‐--　　___
　　　　　　　　　　　　 }::::::::::::::::::::::::::::::::.:.....
.　　　　　　　　／:/::::::::::::::::::::::::≧ｘ⌒´
　　　　　　　　　／}:::/::／:::::::::::::::::::::::::::::＞
　　　　　　　　　　_}/:/斗匕::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　 / }:/ヾ､_ }::::::::::::::::::::::::::‐‐‐　　　　　　　お、なのはさん。手伝いってか、まあそんなとこッス。
　　　　　　　 ‐､　 "" }/}::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　| __}__ 　　 __}::::::::::::::::{::::::',　　　　　　　　「相変らずお金ないんだね」
　　　　　　　　r'’‐‐‐,′ ´　.}::::::,､::::::{￣｀
　　　　　　　 / ヽ}￣_}__　-‐=ﾆﾆ{＼:{　　　　　　　　　　はは……じゃあな。やるだけやってみろ。そういうのも、必要だ。
.　　　　　　 /　ﾏ/__}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ{
　　　　 /＼/}ﾆ}ﾆ/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ{
. 　　　 /ﾆﾆﾑ}ﾆ}./===､ﾆﾆﾆニ.}
　　　　 /ﾆﾆﾆ.／ヽﾆﾆﾆ ',ﾆﾆﾆニ}
　　　 /}ﾆﾆﾆ/ ＼　＼ﾆﾆ}ﾆﾆﾆニ}
　　 /{ {ヽﾆ./＼ /＼　',ﾆi}ﾆﾆﾆニ}

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
話していると、後ろからなのはに声をかけられた。
自分よりも早く現場入りしているとは聞いていたが、控室で待っていたのだろうか。

なのはが手を振ると、カズキはにかっと歯を見せ、肩を叩いてきた。
痛くはなかったが、勢いよく叩かれたためか、良い音が廊下に鳴り響いた。

「仲良しなんだね、二人とも」

去っていくカズキの背中を見送りながら、なのはがしみじみと言うものなので、
思わず否定した。

「違いますお。あっちが、仲良くしてくれてるんですお」

「いいことじゃない。じゃ、友達が見てくれるっていうんだから、張り切らなきゃ。
格納庫まで案内するから、そこでマーシフルに乗って。
絶対に勝負を最後まで投げ出さないこと。一生懸命なのが君のいいとこなんだから」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2319： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:21:26 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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2320： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:28:54 ID:DMRycUbY0: 　　　　　/ 　 /　　　　V∧
-､_＿　i　　 i　　　_ 　 V i
､　　　ヽ! r＜!　　/　ヽ　V!
　V/--､V　 j}　./　　 i　}.!
、 .ﾏﾑ-ﾑV/　./　　_　 ! i i
. ヽ-'! 〉,___V//　／ r｀-､/　　　　　　　　 ,ゝ--- ､
--＜　〉___〉 ! i'　／!. 　＼　　　　　　／　　　＼
　　　V/ ,__}､.| i 〈　 .!　　i´ ｀` - ､　 ./　　　　 ,＞-＼
＼, '´ ヽ/　__ヽ--V/ヽ-､ヽ　　　　＼!　　　_＿/　___i´ ＼
___.＼　＼{! 　＼　 i.:.:.:.:..､_　　, 'ﾟ´ ＼r＜＞--< 　ヽ、. ヽ
{　｀ヽ､ー‐}!、　　＼ヽ;.:.:.:.:.:.:.ヽ、　 ,　＼ilililililil/　 /　 V/ }!
{　　　　　　＿V/／´｀､＞。:.:.:.:.:..､___ 　　Vililill{　 / }、 i}／
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昇っていくリフトの振動を感じながら、戦闘システムの確認を行う。
今回はアリーナ側と機体のメインシステムが遠隔で繋がっているため、
多少の差異が生まれる可能性があるとなのはに言われたからだ。

システムチェックを走らせる。視界に群青色のシステムメッセージが躍り出す。
動力系、駆動系と出力系も問題ない。接続も良好だ。

自分のAMS適性では、思考の反映速度や精度の程度を数値化するなら、
なのはを100とするなら自分は60くらいのものだ。

60が少しでも欠ければ致命的なものとなる。
咄嗟に避けたり撃ったりするのに一秒の遅れが出るだけで、死に直結する。
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2321： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:47:56 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r､　　　　　 ,、
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リフトが止まり、機体が揺れ、到着を知らせた。
少しでも負荷を減らすためにギリギリまでカットしていた視界を接続する。
対汚染スーツのヘルメット内でバイザーが降り、目の前を暗闇で覆うと、
無数のヘクス状の光がその闇を引き裂いていき、
周囲の光景が鉛色の闘技場へと様変わりした。

うず高い外壁の上からは、対コジマ専用にコーティングされた防壁が降りている。
そこに映像で、自分たちリンクスからは観客席の様子が、
観客席からはアリーナ内の様子がガラス越しの様に映し出されるという仕組みだ。

誰もかれもが良い身なりをして、これから必死の戦闘を行う自分を、
ため息交じりに見つめてきているような気がした。

だが、それらから自分の視線を一気に奪う存在が、向かい側に立っていた。

人型兵器であるはずなのに、人型離れした異様な姿。
ダークブルーの装甲に覆われた四肢はしなやかで女性的ですらある。
マーシフルも細身の機体ではあったが、あれはそれ以上だ。
背部のスラスターは天使の羽のようにも見える。

機械で天使を象ったなら、あのような姿になるのだろうか。
神秘的とすら捉えられるその姿と雰囲気に、自分は呑まれた。

あれがアヴィアコルのネクスト。
ランク10シュクヴァール。ストレイト・クーガーの機体。
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2322： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:51:34 ID:DMRycUbY0: 　　　　　 __＿＿
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/∧　　　　　　 ∧　ﾊ｀ー＝==≧＞-'//////廴__　　　　　|::|　　　　　　初撃を譲ってやるってんだ。
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2323： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 21:55:36 ID:DMRycUbY0: 　　　　 |:.:.:.:.:.:.　 `､:.:.:.:.:.:.:. :. :. : : : : : ::.＼}｀`～､、
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【ランク10　ストレイト・クーガー　スポンサー：アヴィアコル】

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試合開始の合図である電子音が鳴り響くが、シュクヴァールは動かなかった。
どういうわけか、こちらの様子を窺っている。

なのははよく観察しろと言っていた。
マーシフルもシュクヴァールも軽量機だ、装甲は脆いし、よく動くから燃費も悪い。
下手に仕掛けて息切れを起こしたらことだ。

レーザーブレードを構え、相手を動かそうと煽ったが、
ストレイト・クーガーは全く動じず、こう言い放ってきた。

「おまえが来い。先制攻撃は譲ってやる」と。
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2324： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:05:44 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧∨　　　 ′:.:.:.:.//. : : :/.::::::::::::::::::／
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ぷつりと音を立てて、自分の中で何かが切れる音がした。
馬鹿にされている。あちらが本気を出せば一瞬で終わるとでも言いたげな態度に、
気付けばオーバードブースターを起動させていた。

冗談じゃない。こっちだって、むざむざ負けるために来たわけじゃない。
勝ち目が薄いなど先刻承知だ。

だが、無様を晒しに来たわけがない。こっちだって背負っているものがある。
自分の敗北は、つまりはマーシフルの敗北だ。なのはのかつての機体の敗北だ。

恩師の顔に泥を塗るわけにはいかない。
ライフルをシュクヴァールへと向けながら飛翔し、ブレードを展開する。

覚悟しろ、せめて一太刀、その機体を傷物にしてやる。
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2325： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:06:08 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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2326： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:11:27 ID:DMRycUbY0: 　　　　__,‐⌒ヽ､
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　　 | ｡（○）　､ﾟヽ,　ヽ　　　　　一発も当てられなかったお……。
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.　　 |:/　.}/Ⅵ ､ ∧　　　　　　　{i:.　　　　　　爪ニニ､ﾆ=‐-_
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-=ﾆニニニニニ{i.ニニ.＼　＼　　￣´ ／　 /ニ./ニニニニ.}ニニ
ニニニニニニニ∨ニニﾆ＼　　 -=彡　／ﾆﾆ/ニニニﾆ=-　ニニ　　　　　　　　
ニニニニニニﾆﾆ.∨ニニﾆﾆ＼　　　　／ニニニニニニﾆ=-　ニニ

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控室のテーブルに突っ伏しながら、からかってくるカズキを遠ざけようと
視線もくれずに手でしっしっとやる。

結果は惨敗だった。
一撃も当てられないまま、シュクヴァールに滅多切りにされ、試合は終わった。
今頃は達磨にされたマーシフルがトウキョウのドックまで大急ぎで
輸送されている頃だろう。整備班の人達に何と言われるか。
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2327：安価のやる夫だお：2020/04/20(月) 22:15:06 ID:VIQX73LI0: アニキつえーなー
2328： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:15:07 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 --‐‐‐‐‐-- ＿_
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　　　　　　　　 .',:.:ヽ、 |:.:.:.:.:._|:┼:.:≠才芋ﾐ /　　.|ｲうス|｀:.:|:.:.:.:.} ',:.:.:| ヾ、
　　　　　　　　 .',:.:.:.ヽ_|:.:.:.:.:.',:.〃てノ::::::|　　　 / ト´::}.》|:.:∧:.:.:.:ｉ ',:.:.|
　　　　　　　　∨:.:./ヽ',:.:.:.:.ｉヾ廴zz少　　　 . ゞ=′|/:.:.:ｉ:.:.:.:} .ｉ:.:!　　　　　　うーん、分かっちゃいたけどこうなったか。
　　　　　　　　　　ヽ､{ .|　＼:.:ヽ　　　　　　　　　 /:.}:.:.: |:.:.:.,'　}/
　　　　　　　　　ヾ､ヽ|ヽ＼ヾ　　　　　　　 ' 　　 !:.|:.:.:||:.:.,'　/　　　　　　　負けたから賞金も出ないし……
　　　　　　　　　　　　　｀ヽ{:ヽ:{　＼　　　　 r ﾌ　　　.ﾉ:|:.:.:.|}:./
　　　　　　　　　　　　　　　ヾ:.:.ヽ、　　　　　　　　ｲ:.:.:|:.:. |ﾚ′　　　　　　　　　修理代、幾らだろ。派手にやられたもんね……。
　　　　　　　　　　　　　　ゝ:.:|　＞、　　　　 .／:.}:.:.:/:.:. |
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なのははなのはで、遠い目をしながらぶつぶつと数字を呟いていた。
ランクマッチは、勝てば賞金が出るが、負ければ何もない。
ぼろぼろにされた機体が返されて終わりだ。

経理も担当してくれているなのはからすれば悪夢だろう。
こっちとしたって悪夢だ。いくら何でも酷すぎる。
ここまで悔しいと思わされたのは初めてかもしれない。
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2329： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:21:51 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　／￣￣￣＼
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　　＼　ヽ　（__人__）　／／

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今までの人生、生きることで精一杯だった。
腹を満たす、寝床を見つける、それすらも戦いで、何も考えられなくなっていった。

ちゃんとした勝負などというのは、これが初めてだ。
つまり、自分は今、人生で初めての敗北を味わっていた。

腹の底を屈辱で穿り返されているみたいだ。
羞恥と悔しさがごった煮になって音を立てている。

それを、他人事のように驚いている自分もまた、確かにいた。
勝ち負けでこれほど揺さぶられるような感情が、自分にもあったのか。
困惑し、どうすればいいか分からないでいる。
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2330： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:24:28 ID:DMRycUbY0: ::::::::,'::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::/::::::::／l:::::::::::::::::/ ::::|
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三三三三三三三三ﾆ|　ト=',　　 ',__/ﾔ　　　　　　　ﾄ､
三三ニ=-ﾐ､三三ニニ|　|. ゝ',　　　∨　　　　　　　　 Y
三三三三三三ﾆミxニ|　|. 　｝　　ﾍ　　　　　　　 |

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2331： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:28:59 ID:DMRycUbY0: 　 | |　　l　　　　　　　　　　　r- 、
　 | |　 .l＿＿＿＿＿＿＿/ﾍ≠ l
　 | |　 l　　　　　, ノﾍ　　 l,./ ヽ-ﾍ
　r-　.,＿＿　 /:::::::::::j.i!　し´　ヽ　ヽ
　lヽ　　　＿/::::::::::::/ﾉ|　　　　　ﾞ,　ヽ　
　ヽ:.＜￣ - ゝtj､ ,.ｨ lｼ-´^ ｰ-０:::＼、l
　 | |ヽ:.'--.,_:ﾍ.ﾍ i_,. /　 /:,.-'"￣,.-‐"´
　 | | .l ｀ヽ、'ｰﾍミk|　 /:. :. :./"´
　 | | .l　　　ヽ:. :l__/.| .〈:. :. :. l　　　　　　　　　　　　　　　よぉ。
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　 | | l＿＿＿ヽi!‐-.l 　.･j:. j
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┐| | l　　　　 l!｡　　 .｡l:.ゝ
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　 | |　 l　l:::::::::::〈　 Y:::::l:. :.ﾞ,
　 | |　. l　ヽ:::／ﾍ　ヽ-‐'了
　 | |.　 .l 　ヽ::::::ﾍ　 l:::::::::l
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　l.| |　　　l　　　　ヽ::l:::::::l
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_,,.ゞ､::::::::::, イー::、:::::::::::::__,,.. ．-‐
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: : : :／／:::／　　　　　　　 ,ｲ{ .く
≧ｘ／::::／::」　　　　　, イ:::::く_　}
ー/:::,／=＿,．､＿,x≦:::::＞――ア
=/::/ニニニ｝　}ニニニニニニｱ::|　　　　　　　　　ここが入束やる夫の控室、で合ってるか。
/::/ニニニｱ　ハニニニニﾆ,-く:: !
::/￣￣ﾗ′./　　｀¨¨¨ , イ　.ィ:,' !
/｀ : : :./　 ./ j　　　, イ　／　}:r_'ノ:::
_ゞ: : :/　 ./ 〈　 .／　／　　 .,ｲヽ: /
: :∧/　 ./: : :.／　　／　　 , ｲ　,ｲ : :
. ｒ-'　　ゝ､／　　／　 , イ　, イ: : : : {
. ｊ　　 r　　 , イ_＞ '　 , イ: : : : : : :/
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　　　　 ,f´　　　　〈.{　＿＿, --=≦
　　　　　　　　　｀￣￣　＿＿
　　　　　　　　　　　_　-=≦￣

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塞ぎ込んでいると、上の空のなのはと帰ろうとしていたカズキが硬直した。

何かと思い、顔を上げる。
カズキは何でもないように笑っていたが、なのはは完全に唖然としていた。
嫌なものでも見たかのように、眉間に皺を寄せて苦い顔をしている。

そんな彼女の視線の先には、ドア枠に寄り掛かる一人の男がいた。
長い茶髪を後ろに流した独特の髪型にロングジャケット。
尖ったフォルムのサングラス。そしてあの顔つき。

ランク10、ストレイト・クーガーが、そこにいた。
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2332： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:30:14 ID:DMRycUbY0: 　　　　　 __＿＿
　　　　／　　　　＼
　　／　＼　　／　＼
　／　（●）i!i!（●）　＼　　　　　　　　　おっ……。
　| 　u ,　（__人__）　　　 |
　＼　　　 .｀⌒´　　　　〆ヽ
　　/　　　　　　　　　　ヾ_ノ
　/rｰ､　　　　　　　　　　　|
/,ﾉヾ　,> 　　　　　　　|　/
ヽヽ〆|　　　　　　　　 .|

　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽﾄ,
　　　　　　｀'ｰ-､..::::...:':､..､.　　　　　ﾚ1　 ______
　　 ^''ｰ-､　　　　｀'ｰ|`''ｰ-､;_`ヽ:.. -‐''",. -‐''"｀
　　　　　　｀'''ｰ-､,_:::::{　　　　｀ﾞ''ーr､￣＼
　　　　 i　　　:::::::;;;＞′_,.へ. 　　　{ ＼　｀､
　　r'⌒'|　　 ::i"´　　　￣｀''ｰヽ､j ﾚ'′　＼　｀､　　　　　　　…………。
　　| i´ヽ|　　::|　　　　 `､￣ﾟ`　　(ｿ　　　.＼. `､
　　ヽヽ^'l.　　::|　　　　　￣　　｀i　　　　　＼ ',　　　　　　ん～～～～～～～。
ｰ-＜｀ﾌ''ヽ.　 :|　　　　　　　　　　　l　　　　　ヽi
　　　￣｀''''ヽ､:;|　　　　　　　　　ｰ-′　　　　　　　l
　　　　　　　　　￣｀7 　　,.. ‐''"j＼
　　　　　　　　　　 /､　　　　　　{: 　ヽ
　　　　　　　　　　/　｀＞､　　 {　／
　　　　　　　 /　／l 　｀''ｰ‐'／
2333： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:35:24 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　 ,.. -ｲｨ'-――-z._
　　　　　　　　　 ,.-′　.'　. '　　　　　｀'ｰ､
　　　　　　　　rｲ　　'.　/　／　　　..:::::::;;::-へ､.ｨ
　　　　 _. -‐'''"´￣＼j|〃　_,,.. -‐‐ｧ'": : : :;; : :｀ｰイ
　-‐ ''''""´￣ﾐﾞﾞ7￣``''"´´　　　　ﾉ__,.-‐'"::::｀ﾞ'''ﾞ /
　　　　　　　　Ｖ-ｰ-､　　_,._-_ー=､ヽ::::::::::::::::::::::::ﾑｨ
　　　　　　　　ﾚ'"￣`:　　　　__￣`':::ヽ:::::::::::::::::::::::ﾉ
　　　.　　　　　} ｨ⌒uj:　　 '´u　｀>::::::::}::::lへ;::::::::/　　　　　　いやぁ～～面白い奴だなおまえ！
　　　　　　　r|　￣/ .::.　　￣　　 ::::|::/ﾍ::::l::::::了
　　　　　　　　l{　　ヽ　　　　　　　 ::::::ﾚj^7:/:::::∠　　　　　　　あれだけ滅多切りにされながらよく最後まで立ち向かってきたもんだ！
　　　　　　　　l　rｰ---‐―'''^l　 :::::::i､_,/:::::::r'"｀
　　　　　　　　l. 「￣,二二ﾆ´| 　::::::::ﾄ､_;;;;;:く~　　　　　　　　　いい弟子ですねぇ、なおはさァん！
　　　　　　r.-ー‐l　|::/　　　 _,.l　..;;;:∠-┴`‐┐
　　　　　　|`i:::::::::l. `ニﾆニ-''´「:　　　　　　　|l　　　　　　　　　「……なのはです」
　　　　　　 |. |::::::::::〉　ー‐　　.::|:　　　　　　 ||
　　　　-‐''ﾌ　|::::::::::`iｰ--‐‐''"|:　　　　　　 ‐''^''ｰ-　　　　　　　あはァ、すいません。

　　　　　　　　　　　　, -―　' ´　｀ヽｉ」
　　　　　　　　　　ｌ／　　　　ﾉ　ノ |
　　　　　　　　 N　,へ |　ムｨィ＜　　ﾄ､
　　　　　　　 |/　/ ﾍｽﾄ/　　,ィニ＞〈　|　　　　　　　　
　　　　　　　　 N　 ///⌒　 Lﾉ〃‐-､　ヽｉﾚl　　　　　　　　　　　　　　　時になおはさん！　俺はこう思うんです！
　　　　　　　　ﾄ､Y /ァニテ､　` ﾟ-‐'　　ヽﾄ、　　　　
　　　　　　　　　ヽ///　 / ・ｨ､　　　　　　 | }〉　　　　　　　　　　　　　無駄な力は無駄以外の何物でもないと！
　　　　　　　　　 //ハ　 y'　　ヽ　､　ノﾄ､ヽ.N　　　　　　　　
　　　　　　　　 ,','　ヽヽ　　　　　-‐ﾆ .‐Jｌ　ﾄト､＿_＿_　　　　　　　　　字を書くにしたって力めば鉛筆の芯が折れる
　　　　　　　 |　　　〈i＼　　Ｋj´　　　　| 　 |　　￣）　|
　　　　　　　　　　　　ヽji＞､　＼r‐'￣ｱ　 '　　／　ｌ　　　　　　　　　写真を撮ってもブレブレで二人のメモリーもおじゃん
　　　　　　　　　　/￣￣￣＼＼　`ｰ ´ノ　/　　/　　　└┬--‐---､
　　　　　　　　 |' ⌒ヽ　 l　ヽ少ｰ-､＿,ノ　 /　　　　 /　　　　　　　　上手くいくときは決まってリラーックスしてるときってもの
　　　　　　　 /ー--┘ /　　ヽ　〉､　　　　 l　　　　　　　　　　　／
　　　　　　 , -ヽ､＿_.ノ　　　　V　＼　　 |　　　　　　　／　　　　ほら大便の時下手に力むより姿勢正して楽にしてた方が
　　　　　／　　　　＼　 -‐ 　　＼　　　ノ´￣￣｀ヽ　　／
　　　 .イ　　　　 l　　ヽ　　　　　　｀ヽy'´　　　　　 l　／　　　　　　　　スルっと出たりするでしょあれですよあれェ！
　　 .／　|-―-、　レ　 l　　　　ノ　　イ　　　　　 /　＼
　／　　 l　　　ﾉ　 |　　ノ　｀￣　 __ﾉ　|　　　　　／　　　＼
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2334： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:38:02 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　＿＿　　　　　　　　＿＿　　　　　　　,x≦ ヽ
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　　　 /:::::::::ｉ ‐=ﾆ　　《　　 :|／ //l l ∨/l　　 }ﾆ=‐::::::::::::: /:: }|
　　　 /ヽヽ:: ∧　,　　　　ヽ__/ l　｀__Ll　 ′≪　　　　　｀　/:::::::i__
　　 .:　 //:: /　∨　　　〈　　 l〃:::::::::ヽ,'　　 7　　　　l　/ ',::::{{　ヽ
　　 {_ノノ:::/　 /　　　　 ∨ 　:l:::::::::::::::::,'　　 /　　　　 l:/ 　 ',::ゝ',　',

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／　　（○）　（○）＼　　　　　…………。
|　　　　（__人__）　　 |
/　　　　　|!!il|!|!l|　　／　　　　　　なのはさん？
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2335： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:41:06 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　／:/⌒
　　　　　　　 .-――-. . ､l::::/-‐: ￣￣｀ヽ
　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ-＝＝ﾆ￣｀＼
　　　　　　ィ::i´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
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　　　／　 i/:/::::::i:::::::::::::::::::::{::::::::::::::::::l:::::::::::::::＼ヽ:::ヽ
　　/ 　　 /:::i::::::::::｣_:⊥斗ﾊ´:::::::::,ｲ::}::::::l:l::::::ヽ:ヽ＼l
　　ﾍ　　　{ハ!: ,イ|／　|/　ヽ::::/ |/｀ヽi::::l:::::::::i::::l　 }
　/:::::l∨　　　 ∨: {　　○　　 ∨　 ○ /::::l:/::::::l:::l
　{::::::l: ∧ 　　 ∧:人｡ﾟ　　　　　　　ﾟc　//:::::::ﾊ::l　　　　　　　　　そうなんだよぉ！　この人会う度会う度やたら絡んでくるし
　l::::::ﾍi　　　　 i: :ハ'／／／／／／/,} / |:::::/ .}/
　 l:::::::|　　　　 |＼N　　　　　　　　　 i　 ':／　　ヽ　　　　　　　　　早口過ぎて何言ってるか分からないし人の名前覚えないし！
　　l:::::|　　　　 |　／´⌒ヽ､　　　　人　　　　　i＼
　　ヽ:!　　　 i　(　　　　　￣｀アイ／｀　　　　　/ : :＼　　　　　　大変なんだよぉ！
　　　　|　　　　 |⌒ヽ――┬―く　:!　　　　　　／　: : : : ＼
　　　　|　　　　 |｀‐=ﾆ‐rゝ_7ィ,／ﾞｉ＼　　　　／ : : : ＼: : : : : :ヽ
　　　　i　　　　∧. :　イ､.｀〈只l '‐‐r ＼ヽ／＼: : : : : : ＼ : : : ::l
　　　　{　　　　　￣＞　＼l;:;:;:ﾍr 〈　ィ／　　　＼: ＼: : : ＼: : :|
　　　　∨　　　　　.＼＿　　＼;;;;;l　lﾍ/　　　　　　＼: ＼.: : :|: : |
　　　　.V　　　/　.､,r'　´ﾝ､　＼l　lヽ　　　　　　　　|: : :|: : :|: : |

　　　　　　　　　　　　　_,,∠-‐'''´￣-一::::::::::::｀`ヽ、
　　　　　　　　　‐-､/￣￣￣｀`'''ー-､＝二:::::::::::::::::｀ヽ､
　　　　　　 ,.‐''"￣`ヽ　　　 /　//　　｀ヽ､／￣｀` ｰ- ､_ヽ､
　　　　／:::::::::::::::_,r'　＿,∠-――-､＿　＼￣￣｀`ｰ--､二ニ=一
　　　　/:::::::::,. ‐''"　￣lj　　,,z''"￣｀`　＼｀ヽ､＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　 /::::::::／　　　　〈､L〃r・ア　　　　/::::::::/⌒ヽ::::::::::::::::::::::::::::::
　　/:::::／　　　　　　 7　　´　　　　 /::::::::/ヽ､ﾊj:::::::::::::::::::::::::::／　　　　　　　　う～ん心外だなぁ。
　/:::::/　　　　　　　 /　　　　　　　 /!:::::::/　/ノ/:::::::::::::::::::::r､ｲ
　l:::/　　　　　　　　　　`'┬-　　　　　ﾚ/'´　 lｰ〈::::::::::､__;r､/　ヾ　　　　　　　　　　私は紳士的かつジェントリーかつドラスティックに
　|::l　　　　　　　　　 `=ｧ､､　　　　　 V　｀ーﾚヾl　_,. -‐､
　|:|　　　　　　　　 /￣｀`ヽ　　　　　　ノ/　 _,,. -‐''´　　　 |　　　　　　　　　　お気に入りの女性にアタックしてるだけなんだが……。
　|:!　　　　　　　　｀〉ｰ､　　　　　　_,,. -‐''"´　　　　　　　　|
　||　　　　　　　　　　　　/　　　 r‐''"´￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ああ、でも……イイ。
　|!　　　　　　　　 _＿＿ヽ--‐‐'､
　l　　　　　　＼　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　,. '-一
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　ヽ　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　ヽ　　　　　　／
2336： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:43:15 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　 y､-'"ﾞ"ﾞ-､ l'ﾞ､
　　　　　　　　　　　　　　　,r":::::::::::::::::::::`'::::':vi
　　　　　　　　　　　　　 lV::::::::":::::::::::::::::::ﾞ,::::〉/
　　　　　　　　　　　　　ﾞiﾞ､ﾞ､:::r‐‐-------､//:l
　　　　　　　　　　　　　 j ヽv"　　/~'i　　　 l/:::l"
　　　　　　　　　　　　　ﾞ!:::/,.-‐‐//ﾞ''‐--､_j::::::l　　　
　　　　　　　　　　　　　　ﾞri:{ ",ﾆ/､　-''ﾆ､'' },､/
　　　　　　　　　　　　　　,i､':ﾞ,　 /　 i　´　｀ｌ）l　　　　　　　　　　　　　　　　　いやぁ～～～でも印象付けはバッチリって感じ？
　　 ,.,r､　　 r､　　　　　 {（ヽv　/､､l,　 _,　l_/)、　　　　　 ,.,
　　ﾞ､ヽヽ,　ﾞi ﾞi　　　　　l ｀ヽ!,/ .i｀ﾞ''''' i" /／/　　　　　 r"/　 ,.-､,..,　　　　　どうですかなおはさァん！　ここはひとつ、
　　　ﾞ､ヽ '､ﾞi ﾞi-‐'''ﾌ"~ヽ　　ヽ,ﾞ､;;;;;;/ ,.'"　/　`ヽ-､.,_/ /　／,r"／
　r-､　ヽ, ﾞ､'､_i ﾞl ,-"　　　`　　ﾞ､ヽ.,_,.r'i　　　　　　ﾞ､:::/ /　/ ,/ /　　　　　　　観念して連絡先の一つや二つゥ！
　｀ヽヽ､_l　　　　ヽ,　,.-''")　　　ﾞi...,,___j　　　(~ヽ　　ﾞ/　ﾞ‐",." /ヽ　　
　　 lヽ,　　　　　　Ｖ　,r'"　　　　ﾞ'､,.ノ　　　ﾞ､ヽ／　　　　 (,.､-''"´)　　　　「なのはです……連絡先はあげたくないです……」
　　 {;;;;ﾞ､　ヽ､　　　 i"‐､　　　　　／/　　　__,,,..}　　　　 _,.　　 ,.r‐i"´
　　　j;;;;;;}　　ヽ　　 j::::/￣｀｀ﾞﾞ`>'　 {　　＜:::::::::ﾞi　　　r"　　 /:::::/
　　 /;;/i{　　　　 ,-"／　　　／　　　ﾞ､　　ヽ,::::::ヽ､　　　　 /｀)/
　／;丿 `ヽ､　　/　/　　　／　　　 __,,.>　　　＼:::/ﾞ､　　　,j,r"l`i
/ ／　　　 ..:ﾞ'‐''"ｱ.　○ ／　 ,,.､-="--､,,､-‐''''‐-;}`''‐--‐"　　ﾞi::ﾞi
r"　　　..::::::::::::／::ﾞi　／,.､‐''"　　　　　　　　　○ |ヽ､　　　　　ﾞ,::ヽ,

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
あの、いつも冷静ななのはが取り乱して涙目になっている。
余程この男に対していい思い出がないのだろうか。

とはいえ、こんな自分にも、一つだけはっきりとわかることがある。

この男は、変人だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2337： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:45:44 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　 V, :::::::::::::￣”三二ニ＝…‐一
　　　　　　　　　　V, :::::::::::::::::::::::::::::ー=≦
　　　　　　　 _______V, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::......
　　　　　　 V, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≧=ー
　　　　　　　　V, ::::::::::::::::::::::::::::::::::V, ::::::::::::::::::: く
　　　　　　　 / V, ::::::::::::::::::::::::::::::::::V, ::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　 i{::::: V, :::抖rｾ〔:::::::::|:::::::V, :::::::::::::::::::::::: ＼
　　　　　　八|::::::V, ::芹テﾐx::::: |:::::::: V, ::::::::::::::::::::::::___＼　　　　　　　クーガーさん、困ってますよ。
　　　　　　　 |::∧;V,:| ﾋﾘ　〉 :: |ヾ ::::: ｉ､:::::::::::: |:::::::{
　　　　　　　 l/／　 :!　　　　V,:|　}ﾊ::::|ﾉ :::::::::: ﾄ､::::{
　　　　　　　　ヽ　　{ 　　　 vl　八V|::::::: | ::: |　ヾ{
　　　　　　　　　　ゝ‐－'　　　 }/: : |:ﾘ:::::::::ﾄ､:::|
　　　　　　　　　　　}　　　 . . : : : : : ::l∧:::::: |　ヾ
　　　　　　　　　　　ゝ=≦: : : : :｢三二ﾆﾊ从l］
　　　　　　　　　　　／　ヽ: : .:|三二ﾆ=―　|_
　　　　　　　　　　入_／ﾆｱ : : !三二ﾆ=―=ﾆﾊ___
　　　　　　　 r≦三三}ﾆア___ ノ三三二ニ＝―=ﾆ二≧x
　　　　　　　 |三三／ﾆ7　　|三三二二ニﾆ＝―=ﾆ二二＼

＼|:: l　　∨}:: :: :: :: :: ::　, 　-─────-　､_:: :: :: /! /:|　　
ﾍ: ｀∧　　＼ :: ,．　 ´　　　　　　　　 r- ､　´　＼:: / 1'::/
__ゝ:: :: ＼　　>　　　　　　　　　　　 / 　ゝ、　　 Y　/ /
:: :: :: :: :: ::∨　　　　　　　　　　　　 ,′ﾍ :: ::.＼＿」Y: /
＞:: :: :: :／　 r　T ￣￣￣￣￣￣ `'ﾞ´ ∨:: :: :1 |7: /
:: :: :: r-'-r ´:: ＼|　　　　　　　　　　　　 ∨:: ::.ﾍ}／
{⌒!:::| 7ﾍ!:: :: ::/_ ,. ＞=z ､　　　　　　　 ∨:: :::1}
_／∨Y　1:: :: ::!　　t─-- ｡z_ ,ノ　､,ム斗,:: :: ::ト､　　
　　 |ﾍ　､l:: :: :::!　　　｀ー─‐'`　"　　ﾉく_ﾟ_∨:: :| 　 '.　　　　　　　　　　　　おぉ、カズキ、いたのか！
、　 |　＼'∨:: :ﾍ、　　　　　　　　　 |　　　　l:: ::|　　 '.
ﾉ　　∨´ ＼ゝ､:::1　　　　　　　　　　 |　　　　l:: ::|ﾍ　　'.、　　　　　　　　　　　いやいやこれはだな嫌も嫌もスキの内という
ﾍ　　＼　　 |　トﾍ　　/ 　　　　､,　　　　　　∧: | 1　　l ＼
　!　　　＼　 '､　　｀　ﾄ､＿＿＿＿ _'´__,ﾉ　,′| ! j　　,′　｀丶、　　　　　　　　ヤマトナデシコのとってもステッキーな習性であってだな
　l　　　　　＼　＼　　､　　　　　　　1:::/　/　 ,':1/　 /　　　　　＼
,N }　　　　＼　＼　＼＿＿＿＿lｿ　ノ　　メl!, ／　　　　　　　＼｀　､　　　　つまり俺の行為は合法的かつ至極当然な
　＼　　　　　　＼　＼　￣￣￣￣　 ,′ ／　|/　　　　　　　　　＼:::＼
　　　＼　　　　　＼　＼　　￣￣　 ,' ／　／1　　　　　　　　　　　　＼:::＼　　メイクラヴに相違ないってわけさ分かるそこんところ。
　　　　＼　　　　　　＼　＼　　　　 //　,／　/　　　　　　　　　　　　　　　＼:::＼
　　　　　　＼　　　　　　 |　　｀ー─ '７　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::＼
2338： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:53:24 ID:DMRycUbY0: 　　　　　＿＿＿_
　　　　／_ノ　ヽ、＼
　　　／（ ●）　（●）.＼
　／　　　（__人__）　　u. ＼　　　　　　　と、とりあえず、もうちょっとゆっくり喋ってもらえませんかお？
　 |ｎi 7　　｀ ⌒´　　　　.　|ｎ
l^l | | ｌ ,/)　　　　　　U 　l^l.| | /）
', U ! ﾚ' /　　　　　　.　.　| U ﾚ'/／)
{　　　〈　　　　　　　　　ﾉ　　　／
..i,　　　."⊃　　　　ｒニ　　　 /
　."'""⌒´　　　　　　　`''""''''

　　　　 V ` ー-ﾉ _＿　　　ヽ.　 |　　　　 /..-…イﾚ'
　　　　　 |　　　/∠.._ 　ヽ　ヽ.　|　 |　,. -─ ､ヽ　　　/
　　　　　ﾄ､　　|　　,　二ヽ＼_ ,! | 　ﾚ ,.-_―_¨　|　　 /､　　　　　　ゆっくり？　スロウリィ！？
　　　　 /ﾊ. 　 | 　 l　　o`ヽ_ノ. |　ﾚ' ´｡　　〉　| 　 ,ﾑ.|
　　　　　{ rﾊ　 | 　 `ー─_ .'イ'　|　ﾄ_ー─ '　　, 　/7/　　　　　　坊主、俺はこう思うんだよ。
　　　　　＼ !　|　　　　　　!::::!　 |　/　　　　　　i　/ ﾝ　
　　　　　 ∧ﾊ|. 　　　　`　　 j/　　　　　　 ,..ｲイ　　　　　　　　この世の理は即ち速さだと！　物事を早く成し遂げればその分時間が
　　　　　　ﾊ:::`|　　　　　　　`　　´　　　　　　ｲ::::ﾉ|　　　
　　　　　|　Vハ　　　 /_二二二二ヽ　　　 /／ 7　　　　　　　　有効に使える遅いことなら誰でもできる20年かければ馬鹿でも
　　　　　ハ　＼＼.　　|::::::＿　＿::::`|　　 ,. ' 　/!　　　
　　　　／　ヽ　＼.ﾊ　 |V　　　　　 V　／　　 /　＼　　　　　　　　傑作小説が書ける有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家
　　／　　　 !　　＼　| !　　　　　'/　/　　　/'　　　＼
. ／　　　　　　　　　　'i ヾ. -----'/　/　　　 ,　　　　　`　.　　　　　週刊よりも日刊だつまり速さこそ有能なのが
　　　　　　　　　　　　　|　｀二二´　' 　　　　　　　　　　ヽ　　　　
　　　　　　　　　　　　　| ゝ───'7　　　　　　　　　　　　　＼　　　文化の基本法則！　そして俺の持論なんだよォ！
　　　　　　　　　　　　　| 　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　＼

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速すぎて何を言っているか分からない。

よく聞くと凄いことを言っているような気がしないでもない。
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2339： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:54:46 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽﾄ,
　　　　　　｀'ｰ-､..::::...:':､..､.　　　　　ﾚ1　 ______
　　 ^''ｰ-､　　　　｀'ｰ|`''ｰ-､;_`ヽ:.. -‐''",. -‐''"｀
　　　　　　｀'''ｰ-､,_:::::{　　　　｀ﾞ''ーr､￣＼
　　　　 i　　　:::::::;;;＞′_,.へ. 　　　{ ＼　｀､
　　r'⌒'|　　 ::i"´　　　￣｀''ｰヽ､j ﾚ'′　＼　｀､
　　| i´ヽ|　　::|　　　　 `､￣ﾟ`　　(ｿ　　　.＼. `､　　　　　……ふぅ。
　　ヽヽ^'l.　　::|　　　　　￣　　｀i　　　　　＼ ',
ｰ-＜｀ﾌ''ヽ.　 :|　　　　　　　　　　　l　　　　　ヽi
　　　￣｀''''ヽ､:;|　　　　　　　　　ｰ-′　　　　　　　l
　　　　　　　　　￣｀7 　　,.. ‐''"j＼
　　　　　　　　　　 /､　　　　　　{: 　ヽ
　　　　　　　　　　/　｀＞､　　 {　／
　　　　　　　 /　／l 　｀''ｰ‐'／

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼　　　　　あ、ちょっと落ち着いた。
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼
2340： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 22:59:35 ID:DMRycUbY0: ;:::＼.　　l　　／::::;:へﾍｿ'"　　　　　　　　 |／::::::::::::::::,::
ﾞ､:::::::ヽ､,〉／:::::／　　　　　　　　　　　　 _,,.　＼::::::::::::,:'::::
ヾ､::::::::::/./::::::;:'ﾞ　　　　　　　　　　　_,,.=＝ヽ､　 l:::::::;r‐､::
　＼::::::;ﾞ/:::::,:'ﾞ,,_　　　　　 /　　　,,.z''"´_,,,,.´￣　|::::::|'"ヽl:
　　'yヾ/::::;/''‐-ヽ､.,__ヽ　l､_,,. ‐',.-'''"´ ﾟ　/　　 !::::l! 〉 /:
　　 l !/:::;/ヽ￣｀`・‐｀"　ヽ.　 ´`'‐--‐‐'ﾞ　　　 |:::/!/,/:::　　　　　　しかし……坊主！　中々ガッツがあるじゃあねえか。
.　　 Y::::/l　｀'‐-‐''"　 |　　　　　　　　　　　　　 |/' /ﾞ::::::
　　,'::::/､ﾞ、　　　　｜　　　　　　　　　 !‐'ﾞヽ:-､　　　　　　俺も思わず世界を縮め損ねたってもんだぜ。
.　　l:::/　k,ヽ,　　　　　　l　　　　　　　　　　　　 l　　ノ,.､‐
　　|::;'　〈ヽ,　ヽ　　　　　!　　　　　　　　　　　　|　／　　　　　　　　聞けば、お互いろくでもねえ経歴の持ち主ときてら。
　　|:l.　　ﾞ､＼.|'､　　　ヽ､,__,／　　　　,,./　　_,'.-'"
　　|!　　／! 　ヽ,､　 ‐----‐‐''''''''''"´ 　 r''"
　　!-‐''ﾞ　 ',　　　l｀ヽ.　　｀''''''''""　　　　 |　　　　　　　 /
'"´　　　　ﾞ､　　.|.　ﾞ､　　　　　　　　／!　　　　　 /

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-''"::::::::::::::::::::::::::::::::｀`'''‐--､
　　　　　　　　　､　　　　　 _,.／　 ,.､-‐‐‐‐‐--､ _,,.､-‐‐''"´｀`'‐-ｧ､.__
　　　　　　　　　ヾ:‐-､/!''"/_,､-''"　　　　　　　　`ヽ､__,.､-‐''''''''''''‐--､｀ﾞ'''-;'"
　　　　　　　　 ,.-､`ヾ`ヽ<-,　　　 _,.､-‐'ﾆﾆﾆ,ヾ'､‐､＼:::::::::::....　`ヽ､￣｀ヾ､
　　　　　　　　 ,.-''"￣￣｀`　ﾞ,　,.-ﾞ/ ／ ,,.-‐-ｧ｀　＼ヽ､ヽ::::::::::::::.....　　　　　｀`''7
　　　　　 ,..-''"　　 _,.､-‐‐r''''''''ﾞ"／, ' ｨ'" _Ｏ／　　　ﾞ）:::`ヾ､.,__:::::::::::::....　　　 /
　　 ,-／　_,. -‐､'"/!. ,.ｧ‐ﾞ､.l　ヾ‐'ﾞ　　'''"　　　　　 ,ｨﾞ;:::::::::,'´r-,ヽ,::::::::::::　　　/　
r-､.／,..-''ヽ,　　 l/ |/l l/´ ノ　　　　　　　　　　　　 ´/::::::::;:ﾞ/ヽ　 }::::::::　　　<ﾞ　　　　　――気に入った！　こうして会ったのも何かの縁。
,／‐'"ヽ　　|ﾞl　　 l　ヽ,.>-､ |　　　　　　　　　　､　　 /:::::::::/ r'　|　 |:::::::　　　 ,.,ﾞヽ,
'"､　　 |.　　ﾞ,! ,,..,/.,ｨ'ﾞ　　 l ヽ　　　　　　 _,,..,,_／' 　ｲ:::::／　ヽ､',ノ !:::::::　　／　｀`ヽ　　　一杯付き合え！　行くぞカズキ！
　,.!　　.l_　 r7l　 j/ ﾞ　 ,r'ﾞ!　　　 _,,.-'''"´_,,l／　　　 |／　　　 r-‐'ﾞl:::::　　 {
　l `_,ｨ"rｯ'ﾞﾉ`'''ﾞi　　 /　ヽ.　-<,.-‐''"´　　　　　　　　　 l　　j､_r-､:::::〉
　`'''''ﾞ`‐'ﾞ／　　 ' 　 .j　　　＼ 'ﾞ　‐ ''' ""´　　　　　　　　 _,.､'-―――'-'ﾞ､
.　　　　 |　　　　 ,.-'ﾞ　　　　　ヽ　　 :::::::　　　　__,.､-‐'''"´　　　　　　　　　|
　　　,,.-'ﾞ　　　_,.r'ﾞ　　　　　　　　|　　　　　　　　l
　　　　　,.-''Tﾞ´　　　　　　　　　 {　　　　　　　　|
＼.,__,,.／　　!　　　　　　　　　ﾞヽ､.,＿_,,,..ｨ''"　|
　 `ヽ-‐'''ﾞ　ﾉ　　　　　　　　　　　r‐----‐''"'､　 |
　　　　　／　　　　　　　　　　　　 l l　　　　　ヽ |　　　　　　　　　　,.､-''"
　　　／　　　　　　　＿,,,,,,,,,,＿_,,,>､' ､.　　　　ﾞl!　　　　　　 ,,.-''"´::::::
　　／　　　　　 ,r''':''''"::::::::::::::::::;.､-‐''ヽ､ﾞ'-､　／!　　　　,､-''"::::::::::::::

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最早腹の底に渦巻く怒りと屈辱など、どこかへ行ってしまっていた。
クーガーという男の存在の濃さによって、この空間の全てが置いてけぼりだ。

呆然としていると、ずかずか歩み寄ってきたクーガーに肩をがっしりと掴まれた。
細身に似合わぬ結構な力だ。外そうにも外れない。

「お、おう。またな、なのはさん！」

「そういうわけでお弟子さんをお借りしますよなおはさァん！
いやー将を射んと欲すれば先ず馬ってヤツ？　てなわけで、また会いましょォ！」
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2341： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 23:02:49 ID:DMRycUbY0: |: ::!: : l : ::| : : : : : | : : : ::l　|:l　.| : : : : / ://　.|: : : l : l: : : :,! : : : : : : : :l: : l : : : : ∧: :|
| :,'|: : l : :.| ::_..-‐!:l''::￣/｀ト　l|:: : : :/ /:/ 　 | : : ,!: :.!: : :./ : : : : : : : :l: : :l: : : : : :∧ |
|::l |: : :! : :l:´ :| l :l !: :::/　　!|　!ｌ : : :/:/:７￣｀ト: ./| : l: : :/: : : : : : :|: :.! : : ﾄ､: : : : :∧|
| ! |: : :| : ::!:::::! .|:! |: :,′　 | / ,! : :////　　 .,! :/｀ﾄ:,'|: :/!: : : :/ : : ｌ: :|: : :∧:＼: : : ∧
!l　l: : :| : : !: ||.　| .|/ －-.、　/:;／//'　　　/'l/　 l:/.!ヽ:,!: : :/ : : :/.: :l: : : :∧: :.＼: :.∧
l'　.l: : :|: : :| :||. _=土三ﾆ:::.、/ ' ／　 , ‐-/　　 /' .|//: : :/ : : :/!: : ﾊ: : : :.∧: : : ヽ: :ﾊ
　　|: : |､: ::ﾄ:!、´　￣￣｀丶　　　　　 ´ﾆ≡::.､./　 /./ : /: : : :/ .l: ::!: :∨ : :.ﾊ: : : : :|ヾ:}　　　　　「な、なのはさん、たすけ」
　　ﾞ! :| ﾞ､ :l.|＼　　　　　　　　　　　　￣｀ﾞ丶ﾐヽ、 /: :/: : : ::/　 !:/! : : ∨: : :!: : : : !　}'
　　　lﾞ:| : :ﾞ､l|　｀｀｀　　　　　　　　　　　　　　　　｀`/,.ｲ : : : :/　 //:|: : : : ∨: :|: : : : |　　　　　　　お酒は飲んじゃだめだよー。
　　　| : : : : :|、　　　　　　　　 ,:　　　　　　　｀｀／ /／: :, ':!　//: |!: : : : :.∨:|: : : : |
　　　.!: : : : :.| ヽ　　　　　　 _　　　　　　　　　　　, ／/: ／:/ ./ .|: :l|: : : : : : }/: : : : .!　　　　　　　日付が変わる前に帰ってきてね。
　　　.|: : : : ∧　＼　　　ヽ｀＞　　　　　 , '￣/／: :./ ./　.|: :l|: : : : : :/': : : : : |
　　　.∨: !: :从　　 l＼　　　　　　　　　　 _／　／!: : : :/　　　 |: :!|: : : : : : : : : : : :.!　　　　　　　　いってらっしゃーい。
　　　　∨:ﾄ､{　　 _|　＼　　　　　　_.. ‐ '"　　　 /: : : :/　　　　.|: |.|: : : : : : : : : : : :.!
　　　　　ヾ｀＼ .∧　　丶... -‐ "´ .|_ 　　　.／イ;ｲ/　　　　 !: ! !: : : : : : : : : : : :|　　　　　　　　「なのはさぁぁぁん……」
　　　　　　　　　/　ﾞ、　　　　　　　 ,/ .|　　　　　 /'　'　　　　　　|: | |: : : : : : : : : : : :.!

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
こうして、自分は訳も分からない男、ストレイト・クーガーに連行されることとなった。
引きずられながら、なのはに助けを求めてはみたが、
諦めた笑顔で手を振られてしまった。無慈悲である。
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2342： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 23:03:05 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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2343： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/20(月) 23:08:04 ID:DMRycUbY0: 　　　　　　　　　_　_　_
　　　　　　　／: : : : : : ｀i
.　　　　　　i: : : : : : : : : :!
　　　　　　　､: :○: : ○: :!
　　　　　　　 i: : : : : : : : : i　　　　　　　　　はい、というわけでね、今回の投下はここまでだ。
　　　　　　　 l: : :,, --_ｯ: :',
　　　　　　　丶｀‐'´: : : :ﾉ　　　　　　　　　頑張れやる夫君。とってもラディカルでグッドな謎の早口漢に連行されても負けるなやる夫君。
　　　　　 / ´: : : : : : : : ｀ヽ
　 . 　　　　/: : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　マーシフルも達磨にされちゃったし観念しようか。
　　　 , -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　／: : : ,-ｲ: : : : : : : : /｀丶: : : :､　　　　　　それじゃ、シーユーアゲイン。
　ｒ⌒ ,／　/: : : : : : : : i　　i: : : : i
　 ` ‐ '　　/: : : : : : : : : |　　 ! : : : |　　　　　　次回の投下は4/22の水曜日、午後八時から。
　　　　　 i: : : : , _ -‐ ´,) 　｀ヽ _|
　　　　 (_ _i￣(_　-‐'´i　　　　　　　　　　　　なぜ一日空けるのかって？　ネタを煮詰めたい、なんて生意気なこと言ってもいいかな？
　　　　　　|　:|`‐´i : : : : |
　　　　　 |: :ﾉ_ _ ﾉ: : : : :|
　　　　　 |: : : : : |: : : : : !
2344：安価のやる夫だお：2020/04/20(月) 23:16:07 ID:Kwc7igAc0: 乙でした
2345：安価のやる夫だお：2020/04/20(月) 23:56:46 ID:GdmAD1mw0: 乙でした
2346：安価のやる夫だお：2020/04/21(火) 00:47:51 ID:7k2SkYYM0: 乙です
2347：安価のやる夫だお：2020/04/22(水) 00:32:52 ID:AHrnJH/A0: お疲れさまでした
やる夫が成長してるなー
2348： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/22(水) 19:59:44 ID:.NHObotg0: ちょっと待ってて、職場から電話来ててさ
2349： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/22(水) 20:36:08 ID:.NHObotg0: ごめん、今日はちょっと中止でいいかなあ。

気が滅入ってしまった……
2350： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/22(水) 20:42:58 ID:.NHObotg0: 人もいないし延期ということにさせていただこう。

次回は明日の午後八時からだ。シーユーアゲイン。
2351：安価のやる夫だお：2020/04/22(水) 20:47:52 ID:gXjQjOX.0: 乙
お大事に
2352：安価のやる夫だお：2020/04/22(水) 20:52:26 ID:AHrnJH/A0: お疲れさまでした
see you again!
2353： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 20:05:43 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　／||ミ
　　／ ::::||
　／:::::::::::||＿＿＿＿
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||　　　　　 ||
　|:::::::::::::::||　　､　- ‐‐ -,
　|:::::::::::::::|,´: : : : : : : : :
　|:::::::::::::::|ﾞｉ : : : :○　○ﾞｉ
　|:::::::::::::::|}: : : : : : : _ _ _ｌ　　　　　　ハロー。
　|:::::::::::::::||: : : :-=´_　_,´
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　|::::::::::::::(___＿＿ノ´||
　|::::::::::::::(_ノ／ . . . ||
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　　　　＼||
2354： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 20:17:15 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　_　_　_
　　　　　　　／: : : : : : ｀i
.　　　　　　i: : : : : : : : : :!
　　　　　　　､: :○: : ○: :!
　　　　　　　 i: : : : : : : : : i　　　　　　　昨日はすまなかったね。
　　　　　　　 l: : :,, --_ｯ: :',　　　　
　　　　　　　丶｀‐'´: : : :ﾉ　　　　　　　粋でいなせなあの男に拉致られたところから再開だ。
　　　　　 / ´: : : : : : : : ｀ヽ
　 . 　　　　/: : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　
　　　 , -‐': : ,: : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　／: : : ,-ｲ: : : : : : : : /｀丶: : : :､
　ｒ⌒ ,／　/: : : : : : : : i　　i: : : : i
　 ` ‐ '　　/: : : : : : : : : |　　 ! : : : |
　　　　　 i: : : : , _ -‐ ´,) 　｀ヽ _|
　　　　 (_ _i￣(_　-‐'´i
　　　　　　|　:|`‐´i : : : : |
　　　　　 |: :ﾉ_ _ ﾉ: : : : :|
　　　　　 |: : : : : |: : : : : !
2355： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 20:18:20 ID:ZJWwWsoY0: ＼　　　　　　　(((二二/⌒ヽ二二)))　　　　　／／.:／　　　　　　　　　　　 _ -ﾆ¨＞'´　　 ,､　'｀　 _､丶´
＼:＼　　　　　　/＾Ｙ　|　　 |　　 /^Ｙ　　　／／.:／　　　　　　　　　　 _ -ﾆ¨＞''´　　,､　'｀_,，　 '´
.:.:.＼:＼　　　　/　　V⊂ニ⊃V /　　V　／／.:／　　　　　　　　 _ -ﾆ¨＞''´　　,､＜￣￣|
＼.:.:.＼:＼　　⊂ﾆ⊃　⊂ﾆ⊃　⊂ﾆ⊃／／.:／　　　　　　　 _ -ﾆ¨＞''´　　 ,､　'｀　　匚|
　＼.:.:.＼:＼　　八　八　八　　 .／＿_／　　　　　　_ -ﾆ¨＞''´＿__,､　'｀　　　　　　　　|
──＼.:.::＼:＼-(＿_V＿_Ｖ＿)-／::| |　 |───ｒ=ﾆ¨:＞''´.　 ´　　　　　　　　　　　　 |　　　　__　　　-
￣￣￣＼＿＼|￣八　八　八￣|／:| |　 |￣￣￣|＞''´ _-「　　　　　　　＿＿＿______┌‐　 ¨¨　　　　　　__
　　　　　　　　　　（＿V＿V＿)　￣~| |　 |　　　　￣￣　:| 　　 :|　　　｜¨¨¨¨¨¨¨¨¨| 　 ___,　┬=　丁:::::
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿______,| |　 |＿＿＿＿___＿_| 　　 :|　　　.:|| Y´￣￣｀Y:|::|ﾞ￣|::＿||＿:::|:|＿__
「「「「「「「「｢｢｢|::|「「「:|:|「「「「「「「「「「「| |　 |「「「「「|:|｢｢｢｢｢｢｢| 　　 :| |￣ | ||:::l￣￣|￣|::|丁^`|￣::||￣:::|:|￣:::
」」」」」」」」｣｣｣|::|」」」:|:|」」」」」」」」」」」| |　 |」」」」」|:|｣｣｣｣｣｣｣| |￣|　| | 　 | ||:::|￣|　|＿|::|::|::::/|:://||::://|:|:::::::::
「「「「「「「「｢｢｢|::|「「「:|:|「「「「「「「「「「「| |　 |「「「「「|:|｢｢｢｢｢｢｢| |　 |　| | 　 | ||:::|　 |　|＿|::|::|￣ﾞ|~¨^||'''冖|:|＝=
」」」」」」」」｣｣｣|::|」」」:|:|」」」」」」」」」」」| |　 |」」」」」|:|｣｣｣｣｣｣｣| ￣¨　| |＿_| ||:::|＿|:　　｜|::|____|::::__||::: :: |:|:::::::::
「「「「「「「「｢｢｢|::|「「「:|:|「「「「「「「「「「「| |　 |「「「「「|:|｢｢｢｢｢｢｢|…─-|-----i|:::|二二二.|::|::|￣ﾞ|~¨^||'''冖|:|＝=
」」」」」」」」｣｣｣|::|」」」:|:|」」」」」」」」」」」| |　 |」」」」」|:|｣｣｣｣｣｣｣|: : : : : ｒ───┴- ⊥　_|::|└-⊥＿||＿:::|:|::::::
「｢｢「:||￣|「「「|::|「「「:|￣ |「「「「「「「｢｢| |　 |「「「「「|:|｢｢｢｢｢｢｢|: : :＿_|￣: : ￢=‐　..__　　￣　　─-=ﾆ__￣　¨¨
|￣:|::|| ⊂二二二⊃|＿_|」」」」」」」｣｣| |　 |」」」:|＼|｣｣｣｣｣｣｣|: : {ニ⊃ {ニﾆ⊃＿.:.:.￣.:￢=‐　..,__ 　　￣”~"''
|　 :|,,||二二つ|| |二|￣￣|￣￣￣￣| |　 |￣　|　 |￣￣　└ _|｀丁|: |｀丁´|ニﾆ⊃.:.┌─┐.:.:.:￣　￢=-　 _
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||｀'||''|l`'マ||√￣^'|l|／　　　　　　　　￣＼===|＼|　　　　　. . . .└: :|::¨|:::_|: ::|:: :| .:.:.|:|￣||￣|| : :| ＿」＿__
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連れてこられたのは、ブライドル地下の大衆酒場だった。
暖かい色の照明に控えめに照らされた店内にはクラシック調の
カウンターや椅子が並び、ラウンドテーブルが点々と置かれていた。

先頭を鼻歌交じりにゆくクーガー、隣を歩くカズキ、
逃走を諦めとぼとぼついていく自分の三人で店に入った時には、
既に店内は混雑していた。若年から壮年にかけての男女が入り乱れている。

バーカウンターの後ろはすぐ厨房となっており、
料理人たちの喧騒が漏れ聞こえてくる。
それを隠すかのように古めかしいスピーカーからスイングジャズが流れていた。

対応に来たウェイターに三つ指を立てるクーガーが、
後ろの自分に振り返りもせず言った。

「ここはバルっていってな、普通の飲み屋とは少し違う。
朝は喫茶店みたいに仕事前の奴らがコーヒー飲みながらトーストを齧ってる。
昼は普通にランチもやってるし、夕方はディナータイムだ。
夜になればただの酒屋だな。ま、便利な飯屋だと思っておけ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2356： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 20:20:27 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　!　,/／::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　／:::::::/:::ﾉ
　　　　　　　　　 l|〃::::｀ヽ､　::::::::::::::::::::／　　／::::::::::く::/⌒
　　　　　　　　　 l|∠＿::::::::＼:::,,. -‐''"´￣￣｀`ー-､:::::＞-､
　　　　,. ‐''"´￣＿＿＿￣＞''´　　　　　 ,. -‐＜￣:{rヽ::::::::ア
　,. ‐'´,.　-‐'''"´ヽ｀ヽ､／　　 r､　　　／,. -‐‐　ヽ:::lゝl|::::,.ﾍ
-‐''´　　　　　　＼／　　　 |　ヽ､／／ _ｨｯ７　　l:::l_ﾉ／　 l
　　　　　　　　　　　 | 　　＿」　　　ﾉｨｰ- ' 　　 |:／　　　 l　　　　　　　　　坊主、俺はこう思うんだよ。距離を縮めるなら飯だと。
　　　　　　　　　 lr‐､‐''二ﾆrﾃ　　　　　　　　 /　　　　　　|r‐‐-
　　　　　　　　　　 l　 lヽ｀ｰ'´ l　　　　　､　/　　　　　　 l　　　　　　　　　面合わせて何時間も差し障りのない会話なんてしてみろ
　　　　　　　　　　 |　 l　＼　　､_ r‐　 _ノﾉ/　　　　　　 /
　　　　　　　　　 |　 |　　　/ヽ.　､_,-‐'´'´〈　　　　　　　 /　　　　　　　　　　お疲れ様ですいいお天気ですね調子はどうですか
　　　 ,.‐-､＿　,.--､ﾉ　｜　__/　__＼ヽ‐=＝''＼　　　　　 /
　　〈　､　＼｀ヽ　 `|　 l'´／／　ﾉ　｀ヽ､　　　ヽ　　　 /　　　　　　　　　　　　そんなもんで相手のことなんて知れるか？　いや知れない
　　　ヽ　ヽしj　 l　ﾉ　ヽ‐'　／　　　　 l`ｰ-‐'´ ＼
　　　　|　　　 lr‐lヲ´　　　／ヽ、　　　､l:::::::::::::::::::::〉　　　　　／　　　　　　　　知れたとしてもそれはその程度のことというものだろう。
　　　　j　　　 `‐'　　　　　/::::::::::::`ｰ┬-､ヽ::::::::::::::;/　　　　／::::::
　　　 / 　　　ﾉ　　／::::::::::::::::::::/　　＼l:::::::／/　　　　 l::::::::::
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ, -──-　､＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ｲ::.､::.::.:.＿＿::.::.::.::.::.::｀ｰ＝ｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　, .:::´.::_二」'"´＿,ｨ/￣￣｀ー─イ
　　　　　　　　　　　　 ∠　'"´ f=く､ｰ' rｯｧヾ￣￣￣｀::フ
　　　　　　　　　　　　　　／　　　 |広ﾉ　￣　7::.:::r ､::.::.(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　ヽ　　　、/:.::.ｲﾆl}::(⌒　　　　　　　　　　一つのテーブルで一つの大皿のピッツァでも二人で食ってみろ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ - 　￣　￣r=イ:::.:彡´　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _'.　￣　　　ﾉ彡/￣｀ヽ、　　　　　　　　　食い方や態度に色々と出る謙虚さ落ち着き思いやり
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ヽ＿　　 ´ r /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　ﾊ、l　　 / /　　　 {　　　　　　　　　　　店員への礼儀に食事の作法なんだかんだと人間出るのさ
　　　　　　　　　　　　　　 -──--､＿_rﾍ　ﾍヽ　{　ﾉ　　　　Ｌ　＿_
　　　　　　　　　／:::::,　 -──‐ヽ、　＼　ヾ─ｧ′　　／　　　　＞　　、　　ついでに腹一杯になれば少しは気が緩んで話も進むもの
　　　　　　　／::::／:: :: :: :: :: :: :: :: ＼　　＼｀「 r　　　　　　　　∠__::::::::::::::
　　　　　　 /::::／:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :>､＿_,ノ　}　　　　　_. :: ´ :: :: :: ｀丶、　　　あとまあ男と女じゃ財布を出す出さない出すにしたって
　　　　　　　　 l::::〈:: :: :: l :: :: :: :: :: :: :: :: :/　　／　 l　　　＜ :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::
　　　　　　＼:ヽ:: :: |:: :: :: :: :: :: ::r‐'´　／　　 | 　　　｀丶、 :: :: :: :: :: :: ::　　　どっちが先か出してもフェイクか難しーところではあるが
　　　　　　　　　＼＼:ヽ:: :: :: :: :／　　/　　　　　|　　　　　　　　丶、:: :: :: :: ::
　　　　　　　　　　 l::〈:: :＼:: ::Y── ｧ′　　　　｜─────‐‐┤:: :: :: ::/　　　　まあそれはそれ。
　　　　　　　　　　　ヽ:ヽ:: :: ＼{○　 /　 _　　 ´￣　　　　　　　　 ○l:: :: :: ::/::
2357： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 20:24:20 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　ええと……つまり……
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　普通に話すよりはお腹いっぱいになっていい気持になって話す方がいい、
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼　　　　　合理的なコミュニケーションだ、ってことですかお？

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「お、筋いいじゃないか、やる夫。
クーガーさんの言ってることなんて、真面目じゃない時は聞き流してるぜ、俺。
そもそも半分聞き取れないんだけど」

三人で案内された最後の一つの空席に人込みを掻き分け辿り着き、
それぞれ椅子に腰を落ち着ける。

男三人が顔を突き合わせて食事をするにはぎりぎりの大きさの机だ。
クロスが敷かれ、隅に食器が入ったバスケットやメニュー立て、
塩やケチャップといった調味料が窮屈そうに置かれている。

けらけらと愉快そうに笑うカズキの隣で、クーガーはお冷を置きに来てくれた
ウェイターにメニューを広げながらゆっくりと注文を告げていた。

「とりあえず腹になんか入れるとしようぜ、俺ぁもう腹が減ってしょうがねえんだ、
坊主なんかたまんねえだろ。肉食えるだろ、肉。まさかベジタリアンだったりするか？」

「い、いえ、平気ですお」

「じゃ、決まりだな。飲み物はま、ジンジャーエールでも。
ああ、後で俺の方にジェットラグを一本」

注文を終えると、クーガーはウェイターに向けて小さく微笑んでみせた。
少し、意外だった。破天荒ぶりに違わぬ荒唐無稽を店でも見せるのかと思ったが、
存外に礼儀正しい。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2358： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 20:44:42 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　 ,ｨ　　　　　　　　　 /uiu､
　　　　　　　　　 / | 　　　＿＿＿_　　　|　　 |
　　　　　　　 |　|　　　／⌒　　⌒＼　　ヽ　/
　　　　　　　 |　|　　／（ ●）　（●）＼. 　| |
　　　　　　　ヽ.| ／　　⌒（__人__）⌒　. ＼ | |
　　　　　　　　　　|.|_|　u.　　　|r┬-|　　　　.　|⌒)　　　　　　おお……豪勢だお。
　　　　　　　〈_ィ.＼　　　 `ー'´ 　　／／
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　 i

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そうして三杯の炭酸が躍るジンジャーエールと共に運ばれてきた料理はざっと四皿。
今しがた窯で焼いてきたであろう、瑞々しいバジルが乗ったマルゲリータ。
湯気の立つ牛すじの赤ワイン煮込みにソーセージの盛り合わせ。
これでもかとうず高く積まれたバッファローウイング。フライドポテト。

手際よく運ばれてきた皿たちが机を埋め尽くし、視界一杯が料理で占拠される。
さすがに夕飯時にこれだけのご馳走を見せられては、
どんな警戒心も確かに多少は緩む。

「ま、細かい話は抜きにして、まずは食おうぜ。
ああ、まずは乾杯だな。じゃ、俺の華麗かつグッドスピードな勝利と
今回の出会いを祝して」

カズキとクーガーがグラスを持って掲げ、ん、と顎でこちらのグラスを指す。
自分も持て、ということだろうか。言われるがままに冷え切ったグラスを掴んで
掲げると、二人はそれを合わせて軽い音を鳴らした。

それからはもう、滅茶苦茶だ。
行儀が悪くならない程度に食らいついた。正直、我慢の限界だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2359： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 20:49:19 ID:ZJWwWsoY0: 五皿じゃねーか！

……つづけるね。
2360： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:02:00 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　 |　 l ｀ヽミﾍ　ヽ､　　　　, 〃　　　　 /　 !　|　,/
　　　　　　　　 |､ﾄ､　＼　ヽ､へヽ､　　/ 　'"´　　　 /　 /　ﾚ/
　　　　　　　　　 l　＼　ヽ､_　　｀/　.:ゝ､　ﾉノ_,,,.､-‐ｧ'　 /　　 /
　　　　　　　　ヽ　　ヽ､|　　￣/　.:/､／''"´　　　 / ／　　 /
　　　　　　　　　　＼ヽ､ /　　　/ .:::/ 　　　　　〈'´ イ　　/
　　　　　　　　　　 V,イゝｰ-,/ ::::/　　　　　　_,,.=ミ､ヽ〃　/´
　　　　　　　　　　　 |fｌ:|￣ __/ ::::/ヽ/　l＿_,.zr=ﾆ´￣ !:lr‐､l　　
　　　　　　　　　　　 l ﾘ|!　､/ ::/u､〈　 `''´ ィ'´￣ﾟｱ　|ﾉ|ﾃ/
　　　　　　　　　　　ヽjl:､　/ :/￣　 ,　　　｀￣´　　 !::l /､　　　　　　　　　　　　と・こ・ろ・で。なあやる夫ォ。
　　　　　　　　　　　　 | ﾄl /::/　　　 |　　　　　　　　 lﾘノl　l　　　　
　　　　　　　　　　　　 l lr//　　　　､　　　　　　　　　/ | ｿ ,'　　　　　　　　　　　　なおはさん……いい女だよなァ？
　　　　　　　　　_,. -一| /'､　　､＿ヽ__∠＿,,.ｨ　 /_／　l-､
　＿＿_,,.､‐''"´　　　　l　　ヽ、　ヽ､二二__フ´ _,,ノ'´　　 l 　｀ー- ､_　　　　　　　　「なんですかお、いきなり……」
￣:::::::::::／　　　　　　　 l　　ﾄ　　　-‐‐-　　./　　　　　/　　　　　｀ヽｰ--
:::::::::::::く　　　　　　　 ',　　 | ヽ　　　　　　/l 　　　 /　　　　　　　　　ヽ:::::
:::::::::::::::::＼　　　　　　　　'　　l　＼　　　／ ,'　　　　/　　　　　　　　　　/::::::
::::::::::::::::::::::＞､　　　　　　　　＼　 `ｰ''´　/　　　／　　　　　　　　／::::::::

＼|:: l　　∨}:: :: :: :: :: ::　, 　-─────-　､_:: :: :: /! /:|　　
ﾍ: ｀∧　　＼ :: ,．　 ´　　　　　　　　 r- ､　´　＼:: / 1'::/
__ゝ:: :: ＼　　>　　　　　　　　　　　 / 　ゝ、　　 Y　/ /
:: :: :: :: :: ::∨　　　　　　　　　　　　 ,′ﾍ :: ::.＼＿」Y: /
＞:: :: :: :／　 r　T ￣￣￣￣￣￣ `'ﾞ´ ∨:: :: :1 |7: /
:: :: :: r-'-r ´:: ＼|　　　　　　　　　　　　 ∨:: ::.ﾍ}／
{⌒!:::| 7ﾍ!:: :: ::/_ ,. ＞=z ､　　　　　　　 ∨:: :::1}
_／∨Y　1:: :: ::!　　t─-- ｡z_ ,ノ　､,ム斗,:: :: ::ト､　　　　　　　　　　ばっかおめぇ、とぼけるなよ！
　　 |ﾍ　､l:: :: :::!　　　｀ー─‐'`　"　　ﾉく_ﾟ_∨:: :| 　 '.　
、　 |　＼'∨:: :ﾍ、　　　　　　　　　 |　　　　l:: ::|　　 '.　　　　　　　　　あの凛々しさ、不器用さ、真っ直ぐさ、一途さ！
ﾉ　　∨´ ＼ゝ､:::1　　　　　　　　　　 |　　　　l:: ::|ﾍ　　'.、
ﾍ　　＼　　 |　トﾍ　　/ 　　　　､,　　　　　　∧: | 1　　l ＼　　　　　　　キリッとしていてどこか物憂げで弱さを隠してそーなあの態度！
　!　　　＼　 '､　　｀　ﾄ､＿＿＿＿ _'´__,ﾉ　,′| ! j　　,′　｀丶、
　l　　　　　＼　＼　　､　　　　　　　1:::/　/　 ,':1/　 /　　　　　＼　　　　あれがいいんだろうが！　いやーたまらねえぜ。
,N }　　　　＼　＼　＼＿＿＿＿lｿ　ノ　　メl!, ／　　　　　　　＼｀　､
　＼　　　　　　＼　＼　￣￣￣￣　 ,′ ／　|/　　　　　　　　　＼:::＼
　　　＼　　　　　＼　＼　　￣￣　 ,' ／　／1　　　　　　　　　　　　＼:::＼
　　　　＼　　　　　　＼　＼　　　　 //　,／　/　　　　　　　　　　　　　　　＼:::＼
　　　　　　＼　　　　　　 |　　｀ー─ '７　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::＼
2361： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:06:55 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　　....:::::::::/＿＿＿_
　　　　　　　　　　く_::::::::::::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　 <::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　／:::＼:::::＼::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　 ′}::::::ﾊ::ﾄ､::{ヽﾆ::::::::::::::＼´
　　　　　　　　　 }:/::{ｘ=ﾐ＼^⌒＼{::＼⌒
　　　　　　　´ }:ﾊ　 l　　　　ﾊ:{⌒　　　　　　　　　はー、クーガーさんって呑んでても大して変わんねえよなあ。
　　　　　　　　　　　込　ｖ　ﾌ　　／',
　　　　　　　　　　＞　イ／::::::::＼　　　　　　　　なんかキメてんじゃねっていつも思うわ。
　　　　　　　　　　　 r'’ .r‐'::::::／:::::::::＼
　　　　　　　　　　〉: : 〉::^´:::::::::::::::::::::＼　　　　　「速さはキマってるな、間違いなく！」
　　　　　　　　　　 r'´: :r'^:::::::::::::::::::::::／::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　 ∨: :|:::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::!　　　　うん、それは認める。
　　　　　　　　　　　　　ｌ:V :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　ｌ:::｝ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　ｌ::::Ⅵ::::::::::::::::::::::', :::::::::::::::::|__
　　　　　　　　　 /:::::::::|:::::::::::::::::::::/} :::::::::::::::／',
.　　　　　　　　　　　r'::::::::::/:::::::::::::::::::::{￣￣￣´　　{

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　　　―　　　―
　　　　／　　　（ー）　（ー）'
　　　　|　　　　　（__ﾉ､_,x ,--､　　　　　　　　
　　　　＼.　　　　　｀ー<　ヾ zヽ
＿＿__／　　　　　　　ー‐＼／| ｜
| |　　/　　/　　　　　　＿＿ﾉ
| |　 /　　/　　　　　　　　|
| |　（　　　￣￣￣⌒ヽ. 　 |
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
大半の皿を空にし、追加で頼んだチーズナチョスをだらだらとつまみながら、
二杯目になるジンジャーエールで流し込んでいく。

その間に、クーガーからなのはに対する質問攻めを喰らった。
時計など見てないので経過時間は分からないが、
あれだけの料理を平らげるまで、ずっとこうしていた。少しは慣れたというものだ。

クーガーはあれから追加で三本、ビール瓶を開けたきりアルコールは
頼んでいなかった。ほんの少し顔が赤らんでいるように見えるが、
ほんの少しだ。ああ見えて、控えているのだろうか？
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2362： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:15:59 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　─　　 ─＼
／　　（●）　（●）＼　　　　　逆に聞きたいんですけど、クーガーさんはいつ、なのはさんと知り合ったんですかお？
|　　　　（__人__）　　 |
./　　　　 ∩ノ ⊃　　／　　　　　　「あーーーー忘れもしないぜあの時は。あの時俺は企業に所属せず、コロニーの外で生きていた。
(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |　　　　　　　　そん時に殺されかけたのさァ、そりゃもう何度も何度も！　まー生き残ったけどなー」
　　＼／＿＿＿／

　|l 　　 .//ll　　　　　　　　　//　　　　　　＿＿＿＼
　||　　　// ||　 ./|l　　　　　./ｌ|　 /　　 ||　＼　　￣
　||　　 //　||　//||　　　　 //|| .∧　　 ||　　.ハ
　||　 .// 　.|| // .l| 　　 .// .||/　 V　　||　　ヽヽ
../|　/≦ 　 l|/ 　 ||　　 // 　　　 V　 |l　　　lヽ｝
.| .|/ テ≧ミx､　　 | 　 .//≧彡テ示ｌ|　 |ｌ　　　|　　　　　　「……なのはさんと何度もやり合って、生き延びたんですかお？」
.|　　　　　　≧ミｲ |　 /彡イ　　　 .l|　 |　　　 l
.|￣￣￣￣￣　　 | ./ ￣￣￣￣￣ |　∧　　　|　　　　　　さらっとやべえこと言ってるよな。あの黒いネクストすら仕留めた
､＼＿＿＿／　　l/　＼＿＿＿／イ /⌒Y　　|
　　　￣￣　　　　　l　　　￣￣　　 .ﾚ)y　 |　　.|　　　　　　オルデンブルクの白い魔王が最後まで仕留めそこなった男なんだぜ。
///////////　　ﾉ　　////////　ｲﾑ　ﾙ､　 |
　U　　　J　　　　　　　　　 j　 u　l|_／　　 N　　　　　　
　　　u　　　　　　／＼　　u　　　　人
＼　U 　　　／　　　＼　　U　／　 |＼
.　＼　　　／　　　　　　＼　.／ヽ｝＼　＼
.　　　＼.　￣￣￣￣￣￣／/　　　/ >.　　＼

　　　　　　,r''ﾞ:::::::::::::::::::::::_ｒ'´__,,.-‐:::／
　　　　ノ´ﾞ::::::::::::::.r'‐‐'' !,,ィ'´:::::::::::/
　　　　ヽ,.:::;;;; ∠;: ｒ=＝ﾋ、:ｒ- 、::/::r
　　　　 /;イ_、　.::/´__ 　　|::ﾄﾋj:::〈~
　　　　 |::! ｀ヽ=ﾐ‐ rﾆﾟ;.'´　 !ﾍ_ﾘ^ヽ ___
.　　　　 !|　　 }~'i　　　　、　 .!Y-‐´ ｲ　　　　　　　なぁに言ってんだか、おまえも似たような身の上の癖によ。
　　　　　!!　　ヽﾄ-　__.ノ_!　ｲ'´／　　i
　　　　　　　　　ヽ,~￣ ´/ r''´　　　 .!　　　　　　　 ……俺はまだつーかもっと若い頃、コロニーを追われたのさ。家族とその他諸々、
　　　　　　　　　ｒ'::!__,.イ:::: |　　.::::　_!
　　 ,-､　　__,.--‐''_,イ　ヽ　.!　,.__,／／　　　　　　　企業に売り込むだけのものがない一般労働従事者たちと一緒によ。
　　ﾉ_,..ゝ'"::::::.∠;-ゝ__　 y‐!∠ ,._／___
　ヽ,___i''!ヽ／　　　〈　V´　／:::::￣:/　　　　　　　　
.　r''､　| | r'''　　　／// !　　＼::::::::/:::
. ,ゝ、>〉ヽ!、.　ｒ'"／/_ |__＿,..-ヽﾍ::::
　!、_!〈　ｲ　r::::::／ / ∥i:::　　０|::;;:::::::
　ヽ__ノ::::_!,!ヽ　!0/　／´::::　　　!:::::::::::
　ｒ!_,.,'´　 |:｛　!/／　　　　　　 .i::::::::::::
　 {　　　　 !.::V０　　　　　　０ .|:::::::::::
.　 }　　　　 !.ｲ　　　　　　　　ｒ'´:::::::::::::
　　!　　　　 { !０　　　　　　０|:::::::::::::/
　　{　　　　ヽ|...::::.............;::::　!::::::::::::i
.　　{　　　　　ハ:::::::::::::: ０ｒ'´::::::::::::!
　　 |　　　:::r'..　　　 ::::::: !┘::::::::::::ゝ
　　＼　;;;;/::::::::::::::::::::::iヽ;;;;;;;;;;;;;ヽ､
2363： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:20:33 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽﾄ,
　　　　　　｀'ｰ-､..::::...:':､..､.　　　　　ﾚ1　 ______
　　 ^''ｰ-､　　　　｀'ｰ|`''ｰ-､;_`ヽ:.. -‐''",. -‐''"｀
　　　　　　｀'''ｰ-､,_:::::{　　　　｀ﾞ''ーr､￣＼
　　　　 i　　　:::::::;;;＞′_,.へ. 　　　{ ＼　｀､
　　r'⌒'|　　 ::i"´　　　￣｀''ｰヽ､j ﾚ'′　＼　｀､　　　　　その日その日を生きるだけで精いっぱいでよぉ、飯も水も寝床もままならねえ。
　　| i´ヽ|　　::|　　　　 `､￣ﾟ`　　(ｿ　　　.＼. `､
　　ヽヽ^'l.　　::|　　　　　￣　　｀i　　　　　＼ ',　　　　企業が放棄した基地からノーマルやら拾ってきてギャング暮らしよ。
ｰ-＜｀ﾌ''ヽ.　 :|　　　　　　　　　　　l　　　　　ヽi
　　　￣｀''''ヽ､:;|　　　　　　　　　ｰ-′　　　　　　　l　　　　……で、幸か不幸か、ある日俺たちの集団は不時着した輸送機から
　　　　　　　　　￣｀7 　　,.. ‐''"j＼　
　　　　　　　　　　 /､　　　　　　{: 　ヽ　　　　　　　　　　　ネクストを拾った。みんなコックピットに乗ってみて、動かせたのは俺だけだった。
　　　　　　　　　　/　｀＞､　　 {　／
　　　　　　　 /　／l 　｀''ｰ‐'／　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-''"::::::::::::::::::::::::::::::::｀`'''‐--､
　　　　　　　　　､　　　　　 _,.／　 ,.､-‐‐‐‐‐--､ _,,.､-‐‐''"´｀`'‐-ｧ､.__
　　　　　　　　　ヾ:‐-､/!''"/_,､-''"　　　　　　　　`ヽ､__,.､-‐''''''''''''‐--､｀ﾞ'''-;'"
　　　　　　　　 ,.-､`ヾ`ヽ<-,　　　 _,.､-‐'ﾆﾆﾆ,ヾ'､‐､＼:::::::::::....　`ヽ､￣｀ヾ､
　　　　　　　　 ,.-''"￣￣｀`　ﾞ,　,.-ﾞ/ ／ ,,.-‐-ｧ｀　＼ヽ､ヽ::::::::::::::.....　　　　　｀`''7
　　　　　 ,..-''"　　 _,.､-‐‐r''''''''ﾞ"／, ' ｨ'" _Ｏ／　　　ﾞ）:::`ヾ､.,__:::::::::::::....　　　 /
　　 ,-／　_,. -‐､'"/!. ,.ｧ‐ﾞ､.l　ヾ‐'ﾞ　　'''"　　　　　 ,ｨﾞ;:::::::::,'´r-,ヽ,::::::::::::　　　/　
r-､.／,..-''ヽ,　　 l/ |/l l/´ ノ　　　　　　　　　　　　 ´/::::::::;:ﾞ/ヽ　 }::::::::　　　<ﾞ
,／‐'"ヽ　　|ﾞl　　 l　ヽ,.>-､ |　　　　　　　　　　､　　 /:::::::::/ r'　|　 |:::::::　　　 ,.,ﾞヽ,　　　それからはもう、暴れまくりってもんよ。
'"､　　 |.　　ﾞ,! ,,..,/.,ｨ'ﾞ　　 l ヽ　　　　　　 _,,..,,_／' 　ｲ:::::／　ヽ､',ノ !:::::::　　／　｀`ヽ
　,.!　　.l_　 r7l　 j/ ﾞ　 ,r'ﾞ!　　　 _,,.-'''"´_,,l／　　　 |／　　　 r-‐'ﾞl:::::　　 {　　　　　　　反体制勢力がネクストなんて持ったら
　l `_,ｨ"rｯ'ﾞﾉ`'''ﾞi　　 /　ヽ.　-<,.-‐''"´　　　　　　　　　 l　　j､_r-､:::::〉
　`'''''ﾞ`‐'ﾞ／　　 ' 　 .j　　　＼ 'ﾞ　‐ ''' ""´　　　　　　　　 _,.､'-―――'-'ﾞ､　　　　　　そりゃもう大変、壊すわ奪うわ派手にやったぜ。
.　　　　 |　　　　 ,.-'ﾞ　　　　　ヽ　　 :::::::　　　　__,.､-‐'''"´　　　　　　　　　|
　　　,,.-'ﾞ　　　_,.r'ﾞ　　　　　　　　|　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ま、やりすぎて目ぇつけられて、
　　　　　,.-''Tﾞ´　　　　　　　　　 {　　　　　　　　|
＼.,__,,.／　　!　　　　　　　　　ﾞヽ､.,＿_,,,..ｨ''"　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　結局俺以外全滅しちまったんだけどな。
　 `ヽ-‐'''ﾞ　ﾉ　　　　　　　　　　　r‐----‐''"'､　 |
　　　　　／　　　　　　　　　　　　 l l　　　　　ヽ |　　　　　　　　　　,.､-''"
　　　／　　　　　　　＿,,,,,,,,,,＿_,,,>､' ､.　　　　ﾞl!　　　　　　 ,,.-''"´::::::
　　／　　　　　 ,r''':''''"::::::::::::::::::;.､-‐''ヽ､ﾞ'-､　／!　　　　,､-''"::::::::::::::
2364： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:27:15 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -─z＿＿＿＿＿_ .イ _,ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ／::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:￣:彳
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:_ イｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ、::＿＿＿::.::.::.:＿＿::.::斗´／::ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{∠--:ﾊ　　｀＜　　　／::∠
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::ｨ≧´ ,.ー‐-　､　＼-::.:::´::.::.:::.ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／ }ｰ｀ｰ=≦ニ､ヽ、ﾊ::.::.::.::(⌒Y
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /′　{ノ　　｀ー‐'　　}::＼}_::.::.人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　ヽ、　　　　　　イノｲ､ｿ::.::ト､　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r､{─- ､ ,　__ 斗≦(从人　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y )　　　　/　　　｀7　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ヾ＿_.. イ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　-} |,.ﾍ　｜　　　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　_...:::::´::::::＿＿ヽ　　｜|　 }　/　　　　　　　｀ーｧ…-　、
　　　　　　　　　　　 r'´:::::,.　 ´:: :: :: :: ｀丶、　ヽ_／　　　　　　 ,.　＜::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　　　　　/:::::／:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::＞／/　　　 , .. :: ´:: :: :: ::｀丶、::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　 |:::::l:: :: :: :: :: :/:: ::,　　´ ／　/　/　　＼:: :: :: :: :: :: :: :: ::＼:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　ヽ::|:: :: :: :: ::/: ∠ ＿／　 /　/　　　　　＼:: :|:: :/:: :: :: :: :/:: :: :: :: :}
　　　　　　　　　　　　　 }:|:: ::l:: :: ::{::/○ ／　　/￣￣￣￣￣￣ }:｜/:: :: :: :: :/:: :: :: :: :/
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　　　　　　　　　 /::/:: :: ､:: :l:: :|/＿＿＿_」　　　　　　　 /:: ::|:: :: :: :: :/::/ 　／
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　　　　　　　　　　　 |::::::l:: :: :: :: ::ヽ:{　　　　　　　　　 ○l: :: /:: :: :: :/::::::::::∨
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　　　　　　　　　 /:::::::|:: :: :: :: :: :|:: l ○　　　　　　　　　 /::/:: :: :: :/::::::::::::/
　　　　　　　　　　 /::::::::::|:: :: :: :: :: :|:: |　　　　　　　　　　　 ○l:: l:: :: :: :/::::::::::::/
　　　　　　＿＿__r─- ､:|:: :: :: :: :: :|:: |　　　　　　　　　　　　　}ノ :: :: :/::::::::::::/
　　　　　　｀ー--､￣　　ヽ:: :: :: :: ::ﾉ: {　　　　　　　　　　　　ヽ :: :: ::〉:::::::::/
　　　　　　　　(￣　　　　　>､＿_ノ{:: :l ○ 　　　　　　 ○　/:: :: :: l:::::::::::l
　　　　　　　　 {、　　　 /　　　｀ー'──--──　　￣￣く:: :: :: :/:::::::::::|
　　　　　　　 {_　　　 {　　　　　　　　　　　　　　　　＼_ノ::::::::::::/｀丶、

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「必死こいて企業相手に喧嘩売り続けてきたけどよ、
結局どうしようもなくて、俺以外いなくなっちまった。
守るモンもなくなっちまったし、だったら企業連で文化的生活を謳歌するのも
悪くない、そう思って今に至るってわけ」

あっけらかんと語ってくれるが、クーガーのそれはかなり凄惨な過去に思えた。
ある日突然口減らしでコロニーから追い出され、過酷なコロニーの外側で
企業連相手に徹底抗戦を貫き、最後には自分以外全滅させられ、
今はこうして企業連のリンクスとして戦場に身を置いている。

切れ長の一重瞼の下にある瞳は酒気を帯びてなお鋭く、揺るぎなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
2365： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:30:43 ID:ZJWwWsoY0: ::::::::,'::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::/::::::::／l:::::::::::::::::/ ::::|
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:::::,' : ::::::::::::::::::::|:::::::::/l:／≧ミ､|:::::::::::/ :::::::::::|
::::,' :::::::::::::::::::::/|::::::/ 　ｲ ∧y |::::::::/::::::lヽ:::::|
:::::::::::::::::::::::::/　|:::/　　ゝ､ヾ |:::::/＼:::| ∧::|
ｲ:::::::::::::::::::/ 　 |/　　　　　　 |::/　　　 7.ﾘ
.i:::::::::::::::::/　　　　　　　　 |/　　　　 /　　　　　　　……この際、俺も言っとくか。俺も元はコロニーの外に生きていた。
:|::::::::::::::∧i　　　　　　　　　　　　 l
:|:::::::::::/=ゝ　　　　　　　　　　　　　／￣´　　　　　　　　つまりは、反体制勢力のリンクスだったわけだ。
:|::::::::/ヽ=-ヘ　　　　　　　　　　　　￣ヽ
:|:::::/::/三三ニﾆ=-ミ､　　　　　　　ｲ　　　　　　　　　　俺の場合は、俺が留守にしてる間に拠点が他の集団に襲われて、
:|::/::/三三三三三三ﾐ､　　Y⌒ヽ　　 l-‐=ニ三ヽ
:|/ｲ三三三三三三三l|　　 |‐┘ ', 　 |　/　　　　ト-ﾐ　　　それから企業連に拾われたんだけどな。
三三三三三三三三ﾆ|　ト=',　　 ',__/ﾔ　　　　　　　ﾄ､
三三ニ=-ﾐ､三三ニニ|　|. ゝ',　　　∨　　　　　　　　 Y
三三三三三三ﾆミxニ|　|. 　｝　　ﾍ　　　　　　　 |

　　　　　　　　　　　／　　　　　　／　　　　_,. ‐''"　　　　　　..:::::::
　　　　　　　／　　　　／　　 ,.-‐''´　　　 .:　　　 ....:::::::::::::
　　　　　 ,ﾍ　|!/　　　　 ,. -､/　　／　　　　　..::::::::　...:::::::::::::::::::::::
　　　　 |　:ﾄK　　　／＿_l＿_∠＿＿_／｀ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　 _」__,,j.=＝''"´￣_,,. -‐'''"´l! 　　:|/⌒ヽl::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　 |〈　 l l　　 _ ｨ'´／　　　　 |　　 .::|ﾋヽ　l::::::::::::::::::::::::::::::::〈
　　　 !　＼l_レ'´|　l:::lr'''7　　　　l .l:..:::lﾘ7 ゝ/l､::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
　　　　|　　.l´　　 lj_/'ｲﾚ′　　　　l!| ﾚ/ ヽ‐' 丿ヽ､::::::::::::::::::::::::ミヘ
　　　　|　 ::l　　　 l'´　　　　　　　ﾙ′　　〈　　ﾉlWヽ､:::,. -‐''ﾍ　　　　　　　そういうわけだ。俺たちゃロクデナシのはぐれ者。
　　　　|　:::|　　　　 |　　　　　　 ,/ヽ　　　　 l 　　　／　　　　ヽ
　　　　l :::::!　　　 l　　　　／/　　　　　　 /　　　／　　　　　　　　　　　　　　元テロリストの下賤なネクスト乗り。
　　　 !::::l　　　 '､_／-､ノr／　　　　　／　　／
　　　　 l ::!　　　　　　　〈　　　　　　 / 　／
.　　　 |::|　　　　　　　　　 |　　　　　/　／
　　　　 !:!　　　　　　　　　　| 　　／／
　　　　　|l　　　　　　　　　　 '-‐／　〈
　　　　　l!　　　　　　　　　　　　＼　　＼
　　　　　|　　　　　　　　　　　＞-､　＼　　　　　 ,. -‐''´
　　　　　　　　,.-‐''"´￣｀`ｰｧ‐''´ 　　ヽ　/_,,. -‐'"´　　　　　／
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　 Y´　　　　　　／::::::
2366： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:40:03 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　|　ヽ　ヽ　＼ヽ､　　ヽ　　ヽ　　　 l　　　｀ヽ、
　　　　l　　ヽ　ヽ　　＼｀ヽ､　　ヽ　　　l　 /　　|　　　 V|
　　　　ヽ　ヽ　　＼　｀ヽ､｀ヽ､　ﾉ　ノ／´ 　ﾉイ j 　 /
　　ヽ､_ ヽ　　＼　　＼　ミ´￣￣｀`ヽ､　ヽ､ﾊ从〃ノ∠
　　　＼＼､　　　ミヾ　ヽ､　　　　　　　｀ヽ､　＼彡ノ´
　　　　〉､ハ＼三ミ　ﾐ／　　　　　　　　　　ヽ､＼
　　　　/〃ゝr‐､＼　ミ　 ,.zrニ≡ー--‐'　 ,z-‐＼ヽ
　　　 /／ｲYl|しjﾄ､ヽ､l　　　 ,.rｯ-､　　 r ｨ｡‐､ /＼ヽ
　　　'´＿ﾉミﾍ! l ヽヽヾ.　　　 `ー-' 　　　 l ｰ ' |　　ヽﾞ､　　　　　　　だが、俺はそれを恥だと思ったことは一度もねえ。
　　　｀ヽ､__ゝ＼ｰゝ､ヽ　　　　　　　　　　 l　　.l　　　＼
　　　　　　７／ﾆ`r‐,｀＼　　　　　　　　　　ﾉ　, '　　　　　　　　　　　　　俺は俺の信念に従ったまでだ。徹底的に、最速でな。
　　　　　／l　l'⌒|　､　　　　､　　　　　_ ｨ/
　　　　　　 |　＼ !　　ヽ､　　　｀ヾニﾆ二ｿ/､　　　　　　　　　　　　　　　結果はこんなになっちまったが、それの何が悪い。
　　　　　　 l　　　＼_　　｀ヽ､　　　　　 /　｀ヽ､
　　　　　／　　　　　　｀`ヽ､_ ＼　　　　 ,' 　　　ヽ､　　　　　　　　　　　なに、やり方が変わっただけさ。俺は俺だ。
_,,..､-‐''´　　　　　　　　　〉　＼_　　_ﾉ　　　　　　｀ヽ、
　　　　　　　　　｀ヽ､　　　 /　　　/￣ヽ、　　　　　　　　/ー‐-､
　　　　　　　　　　　　 /　　　 '　　　 lヽ　　　　　　 /

　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::≧／::::::::::::::::/:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::/
　　／:::::::::::::::::::::::::::::／／:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::ｲ::::::/::::::::::／ﾊ
　／:::::::::::::::::::::::::::::::::|／::::::::::::::x≦/::::::::::／У::イ::::::::／:::::::ﾊ
ｲ:::::::::イヽ::::::::::::::::::／::::イ'"´l/　 /:::::::／ｲﾃ不､/::::::ｲ::::::::::::::ﾊ
　イ　　 /::::::::::::::／イ::ヽこ　　　/::::／　 i /y//::::/::::::::::::∧::ﾊ
.　 /≧/:::／l:::::::::ｲ:::::/　i　　　/:／　　　ヾ//:／:::::∧::/　 Vﾘ　　　　　俺も恥じちゃいないぜ。
　////／＼|:::／ |:::/　 .|　　./ｲ　　　　　　／',::::::/　V　　ｿ
./////////|/≧x|/　/ .､　　　　　　　　　 V　　　　　　　　　　　　後悔は死ぬほどあるけどな、恥だとは思わないし言わせない。
///////////////＼　∧　　　　　　 ___　　　,イ
/////////////////＼ ∧　　　　　ヽヾ=-ｲ　　　　　　　　　　　　　　信じたものがあった。守りたいものがあった。
.///////////////////＼　　　　　　_）
==‐‐-､ ///////////////＼　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それは企業連の言う平和や繁栄の中に含まれていなかった。
///////＞x､///////////Y ＼__/
////////////＞x､///////　/7　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ただ、それだけだ。
////////////////＼////／./
////////////////////<　／ヽ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
似ている気がした。
過去の形ではなく、本質の話だ。

彼等も自分も、どんな理由であれ社会から爪弾きにされ、
地べたを這いずり回り、明日なんて考えられず、
今日を無事終わらせることだけに追われて生きてきた。

違う点があるとすれば、二人には守るべきものがあった、といったところか。

自分も恥じ入る点はないが、二人に対して、恥ずかしく思うところはあった。
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2367： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:46:26 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　＿＿＿
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　／　　　ノ　ヽ､_　　　＼　　　　なんか、二人とも、強いお。
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　＼ｌ^l^lｎ__人__)　　　／　　　　やる夫は……
　／ヽ　 L⌒ ´
　　　ゝ　ﾉ

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話の途中でカズキがお手洗いに行き、クーガーが瓶の中身をグラスに
注ぐのを見つめながら、一人ごちた。

自分はただ、生きてきただけだ。
それ以上のことなどできなかったし、してこなかった。
二人のように、何かを守ったこともなければ、自分の信念に従って戦ったり、
細やかでも何かを成し遂げたりもしてこなかった。

同じ傷だらけの人生でも、中身はまるっきり違う。
自分には何も残らなかったどころか、最初から何もなかった。

端的に言えば、情けなかった。
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2368： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:58:30 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::!ﾍ、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒ス _,≧N 　　 fｯ!∧ヽ、
　　　　　　　　　　　　 , -──-　 _ ,.／　＼ l　　､　　j　 ' .::!　　
　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::!　　　　下、　 > '´　　 |:!
　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::!　　　　／ィ､_!　　　　 i|　　
　　　　　　　　　／::::::::::::::::::, -─ へ、　 /∠_」　
　　　　　　　　ノ:::::::::::::::::::/ : : : : : : ノ＼∧　!　　　　　　　　　　　……やれやれ、酒が入るとああいう奴が出ていけないねェ。
　　　　　／:::::::::::::::::／,. -': : : : j　　　!　i　ﾄ､
　　　　　.／:::::::::::::::::／／: : : : : : / 0 ／　 ! 「!:::'.
　　　／:::::::::::::::::／／: : : : : : : :/-＜　　ﾊ !: !:::!
　 r ＜:::::::::::::::／／: : : : : : : : :/ ０　｀ヽ/ oY: j::::!
　 !　　｀　､l／!: : : : : : : : , ０　　　　o ／ノ:／
　 ,　　　　 1　!: : : : : : : : !　　　　　／: r'::ﾉ
　　,　　　　 Ⅵ: : : : : : : f０　　　　ﾟ /: : : :!:::!
　　､　　　　ﾍ: : : : : : :ノ　　　　o /! : : :.:|:::i
　　　　、　　　　 ,: : : : : ! o　　　　ｲ: ! : : :.:|:::!
　　　　　､　　　　 '. : : : } 　　　 oi: :!: : : :.l:::!
　　　　　　'　､　　　＼ : 7＼　　　 |: j: : : : l:ｿ、
　　　　　 ∧　　　人: :!　 !　　　 Vー‐ '´　 !

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客たちも酒が回ってきたのか、喧騒も最初の比ではなくなっていた。
陽気な歌声や笑い声、はしゃいでるのか喧嘩しているのか判断に困るような
泥酔と興奮の坩堝と化していた。

すると、クーガーが傾けていたグラスを置き、静かに立ち上がった。
視線の先には、客に腕を掴まれ苦笑いを浮かべているウェイトレスがいる。
紺色のシャツにエプロンを掛けたラフな服装のウェイトレスは若く華奢で、
筋肉量は並みだが背が高いアジア系の男性に絡まれていた。
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2369： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 21:58:40 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　 ,.. -ｲｨ'-――-z._
　　　　　　　　　 ,.-′　.'　. '　　　　　｀'ｰ､
　　　　　　　　rｲ　　'.　/　／　　　..:::::::;;::-へ､.ｨ
　　　　 _. -‐'''"´￣＼j|〃　_,,.. -‐‐ｧ'": : : :;; : :｀ｰイ
　-‐ ''''""´￣ﾐﾞﾞ7￣``''"´´　　　　ﾉ__,.-‐'"::::｀ﾞ'''ﾞ /
　　　　　　　　Ｖ-ｰ-､　　_,._-_ー=､ヽ::::::::::::::::::::::::ﾑｨ
　　　　　　　　ﾚ'"￣`:　　　　__￣`':::ヽ:::::::::::::::::::::::ﾉ
　　　.　　　　　} ｨ⌒uj:　　 '´u　｀>::::::::}::::lへ;::::::::/　　　　　　　リーじゃあねえか！　久しぶりだなぁおい！
　　　　　　　r|　￣/ .::.　　￣　　 ::::|::/ﾍ::::l::::::了
　　　　　　　　l{　　ヽ　　　　　　　 ::::::ﾚj^7:/:::::∠　　　　　　　　娘は二歳なったか！？　いやー出生時10000グラムって聞いた時は
　　　　　　　　l　rｰ---‐―'''^l　 :::::::i､_,/:::::::r'"｀
　　　　　　　　l. 「￣,二二ﾆ´| 　::::::::ﾄ､_;;;;;:く~　　　　　　　　　　驚いたぜ、妊娠中の嫁に何食わせてたんだ？
　　　　　　r.-ー‐l　|::/　　　 _,.l　..;;;:∠-┴`‐┐
　　　　　　|`i:::::::::l. `ニﾆニ-''´「:　　　　　　　|l　　　　　　　　　　「なんだこの酔っ払い！？　あっち行け……力つええ！」
　　　　　　 |. |::::::::::〉　ー‐　　.::|:　　　　　　 ||
　　　　-‐''ﾌ　|::::::::::`iｰ--‐‐''"|:　　　　　　 ‐''^''ｰ-　　　　　　　　あはァ、よーく見たらホクロの数がちがーう。人違いだったわ。

　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　／　　―　＼
.　　　　　／　　(● )　　ﾍ＼　　　　　　　「おう、待たせたな」
　　　　　|　　　（⌒ 　 (● ) ｜
　　　　ﾍ　　　￣｀､__）　　｜　　　　　　　お人好しなんですかお？
　　　　ヽ　　　　　　　｜
　　　　　　, へ、　　　＿／　　　　　　　　「ではねえなぁ」
.　　　　　 |　　　　　＾ヽ
.　　　　　 |　　　　　　１　 |
2370： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 22:03:15 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　!　,/／::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　／:::::::/:::ﾉ
　　　　　　　　　 l|〃::::｀ヽ､　::::::::::::::::::::／　　／::::::::::く::/⌒
　　　　　　　　　 l|∠＿::::::::＼:::,,. -‐''"´￣￣｀`ー-､:::::＞-､
　　　　,. ‐''"´￣＿＿＿￣＞''´　　　　　 ,. -‐＜￣:{rヽ::::::::ア
　,. ‐'´,.　-‐'''"´ヽ｀ヽ､／　　 r､　　　／,. -‐‐　ヽ:::lゝl|::::,.ﾍ
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　　　　　　　　　　　 | 　　＿」　　　ﾉｨｰ- ' 　　 |:／　　　 l
　　　　　　　　　 lr‐､‐''二ﾆrﾃ　　　　　　　　 /　　　　　　|r‐‐-　　　　　　『気に入らねえ』、ただそれだけだ。
　　　　　　　　　　 l　 lヽ｀ｰ'´ l　　　　　､　/　　　　　　 l
　　　　　　　　　　 |　 l　＼　　､_ r‐　 _ノﾉ/　　　　　　 /　　　　　　　　　女が困ってんの黙って見過ごすのも気に入らねえ。
　　　　　　　　　 |　 |　　　/ヽ.　､_,-‐'´'´〈　　　　　　　 /
　　　 ,.‐-､＿　,.--､ﾉ　｜　__/　__＼ヽ‐=＝''＼　　　　　 /　　　　　　　　　　　目覚めも悪い。だから助けた。極めてシンプルだ。
　　〈　､　＼｀ヽ　 `|　 l'´／／　ﾉ　｀ヽ､　　　ヽ　　　 /
　　　ヽ　ヽしj　 l　ﾉ　ヽ‐'　／　　　　 l`ｰ-‐'´ ＼
　　　　|　　　 lr‐lヲ´　　　／ヽ、　　　､l:::::::::::::::::::::〉　　　　　／
　　　　j　　　 `‐'　　　　　/::::::::::::`ｰ┬-､ヽ::::::::::::::;/　　　　／::::::
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　　　　　　　　 ,.-''"￣￣｀`　ﾞ,　,.-ﾞ/ ／ ,,.-‐-ｧ｀　＼ヽ､ヽ::::::::::::::.....　　　　　｀`''7　　　　　いいかやる夫、俺はこう思うんだ。
　　　　　 ,..-''"　　 _,.､-‐‐r''''''''ﾞ"／, ' ｨ'" _Ｏ／　　　ﾞ）:::`ヾ､.,__:::::::::::::....　　　 /　
　　 ,-／　_,. -‐､'"/!. ,.ｧ‐ﾞ､.l　ヾ‐'ﾞ　　'''"　　　　　 ,ｨﾞ;:::::::::,'´r-,ヽ,::::::::::::　　　/　　　　　　迷うから後悔するんだと！
r-､.／,..-''ヽ,　　 l/ |/l l/´ ノ　　　　　　　　　　　　 ´/::::::::;:ﾞ/ヽ　 }::::::::　　　<ﾞ　　　　　　　
,／‐'"ヽ　　|ﾞl　　 l　ヽ,.>-､ |　　　　　　　　　　､　　 /:::::::::/ r'　|　 |:::::::　　　 ,.,ﾞヽ,　　　　　　迷うってことは事態はほっときゃ悪化する
'"､　　 |.　　ﾞ,! ,,..,/.,ｨ'ﾞ　　 l ヽ　　　　　　 _,,..,,_／' 　ｲ:::::／　ヽ､',ノ !:::::::　　／　｀`ヽ　　　　　
　,.!　　.l_　 r7l　 j/ ﾞ　 ,r'ﾞ!　　　 _,,.-'''"´_,,l／　　　 |／　　　 r-‐'ﾞl:::::　　 {　　　　　　　　　　迷ったところで時間が過ぎるばかりで
　l `_,ｨ"rｯ'ﾞﾉ`'''ﾞi　　 /　ヽ.　-<,.-‐''"´　　　　　　　　　 l　　j､_r-､:::::〉
　`'''''ﾞ`‐'ﾞ／　　 ' 　 .j　　　＼ 'ﾞ　‐ ''' ""´　　　　　　　　 _,.､'-―――'-'ﾞ､　　　　　　　　　　なんの解決にもなりゃしねえ
.　　　　 |　　　　 ,.-'ﾞ　　　　　ヽ　　 :::::::　　　　__,.､-‐'''"´　　　　　　　　　|
　　　,,.-'ﾞ　　　_,.r'ﾞ　　　　　　　　|　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　迷ってできることなんてねえし
　　　　　,.-''Tﾞ´　　　　　　　　　 {　　　　　　　　|
＼.,__,,.／　　!　　　　　　　　　ﾞヽ､.,＿_,,,..ｨ''"　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　迷わず即決即納即効即急即時即座即答！
　 `ヽ-‐'''ﾞ　ﾉ　　　　　　　　　　　r‐----‐''"'､　 |
　　　　　／　　　　　　　　　　　　 l l　　　　　ヽ |　　　　　　　　　　,.､-''"　　　　　　　　　　　　この世に正解があるとするならそれは即ち
　　　／　　　　　　　＿,,,,,,,,,,＿_,,,>､' ､.　　　　ﾞl!　　　　　　 ,,.-''"´::::::
　　／　　　　　 ,r''':''''"::::::::::::::::::;.､-‐''ヽ､ﾞ'-､　／!　　　　,､-''"::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　　　迅速な行動これに尽きるのさ！
2371： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 22:14:59 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　ﾄ､
　　　　　＿＿__　　ヽヽ、
　　　　　￣＞::::::｀:...ｰゝ::＼
　　　_,....:'"::::::::::::::::::::::::ヽ::::::＼
　　　＞―:::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::〉__
　　　:::::::::::::::::／::::::::::::／:::::／:::
　　　:::___／::::::;::::＜::ィ:／:::::::
.　　　 ∠ィフ:::ィ'小冫7:::::イ::　　　　　　　ただいまー。お、二人とも仲よさそうだな。
　　　　ｰ┐￣　｀¨´,.イ::::/:ﾄ､
　　　　　ｌ　　　　　　,|i::ハ:!　　　　　　　　どう、クーガーさん。話は進んだ？
　　　　　　ヽ. 　｀　‐フl:/　｀
　　　　:::::::::＼＼_,. '´
　　　::::::`::::、:/　＼
　　::::::::::::::::::＼ｴヽ/
　　::::::::::::::::::::::::＼￣l
　　　:::::::::::::::::::::::/ 　/
　　　　::::::::::::::::::ﾊ　ハ
　　　　　　::::::::/6l/:::::!

;:::＼.　　l　　／::::;:へﾍｿ'"　　　　　　　　 |／::::::::::::::::,::
ﾞ､:::::::ヽ､,〉／:::::／　　　　　　　　　　　　 _,,.　＼::::::::::::,:'::::
ヾ､::::::::::/./::::::;:'ﾞ　　　　　　　　　　　_,,.=＝ヽ､　 l:::::::;r‐､::
　＼::::::;ﾞ/:::::,:'ﾞ,,_　　　　　 /　　　,,.z''"´_,,,,.´￣　|::::::|'"ヽl:
　　'yヾ/::::;/''‐-ヽ､.,__ヽ　l､_,,. ‐',.-'''"´ ﾟ　/　　 !::::l! 〉 /:　　　　　　おうともよ、明日には俺となおはさんが愛のマッハドライブができるよう
　　 l !/:::;/ヽ￣｀`・‐｀"　ヽ.　 ´`'‐--‐‐'ﾞ　　　 |:::/!/,/:::
.　　 Y::::/l　｀'‐-‐''"　 |　　　　　　　　　　　　　 |/' /ﾞ::::::　　　　　　セッティングしてくれるって話だ！
　　,'::::/､ﾞ、　　　　｜　　　　　　　　　 !‐'ﾞヽ:-､
.　　l:::/　k,ヽ,　　　　　　l　　　　　　　　　　　　 l　　ノ,.､‐　　　　　　頼んだぜやる夫、これでもかってくらいなおはさんの前で俺を褒めろ！
　　|::;'　〈ヽ,　ヽ　　　　　!　　　　　　　　　　　　|　／
　　|:l.　　ﾞ､＼.|'､　　　ヽ､,__,／　　　　,,./　　_,'.-'"　　　　　　　　　　「嫌ですお」
　　|!　　／! 　ヽ,､　 ‐----‐‐''''''''''"´ 　 r''"
　　!-‐''ﾞ　 ',　　　l｀ヽ.　　｀''''''''""　　　　 |　　　　　　　 /　　　　　　　なぜだァ！？　キャラが濃すぎるからか！？
'"´　　　　ﾞ､　　.|.　ﾞ､　　　　　　　　／!　　　　　 /

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なんだか、少しだけ羨ましく思えた。

この男は、とにもかくにも真っ直ぐだ。アルトリアとは違った真っ直ぐさだが、
それは見ていて気持ちが良く、一本筋の通った真っ直ぐさだった。

きっとこの人は、自分の語った信念を曲げることもしなければ、
自分自身の信念を裏切ることもないのだろう。

確かな根拠はないが、そう思った。

自分自身を貫ける。
それがどんなものであろうと、強さであることには変わりない。

クーガーの滅茶苦茶な要求をいなしながら、自分にないものをまじまじと
見せつけられた気がして、それを宴会の楽しげな雰囲気で押し隠そうと
店内に流れるトランペットの軽快な音に耳を傾けた。

なんだか間の抜けたようなお気楽なリズムが店内に響き渡る。
惨めな自分の縮こまった気配を上から圧し潰すように、
音楽と喧騒ばかりが薄暗い空間で弾けていた。
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2372： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 22:15:22 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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2373： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 22:20:38 ID:ZJWwWsoY0: ～IGIO本社～
　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿､､､､､,,
　　　　　　　　　　　　　､ー≧=- -- ､＼ヽ
　　　　　　　　､＿_,,ィ　―　／ ,ｨi毛ミ､ヽ　'､
　　　　　　　＼ -=ﾆ　,ィ　／＾＾＿＾＾ヽ / 〉
　　　　　　　　　　ﾍ -=ﾆ彡''´＿＿　＿__ V{
　　　　　　　　　ﾍ彡ｱ　r―‐ v-v―‐ｬ'/
　　　　　　　　　　　　V `''"¨{＿＿}　 {＿__}ﾘ
　　　　　　　　　　　　ヽ.｣ｈ､　　´　_, ,〉　　,′　　　　　　　　　うーん、平和だねェ。
　　　　　　　　　　 ', l: :', ＜´,,,,,,,,,,,＞,
　　　　　　　　　　 ', l: :ヽ　　　=　　,'　　　　　　　　　　　「平和、ですか」
　　　　　　　　　　 } ≧｡:ヽ　　　 ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　r}　ヾ　≧zｚｚく {、　　　　　　　　　　　うんうん、企業間のパワーバランスも極めて良好。
　　　　　　　　　　　　　ｒへ｀``''-ミ:∨''´/ﾊ
　　　　　　　　　　　　,､{＼::::::＞､　　}{ ./::::::}!､　　　　　　　　　　ちょっとIGIOが強いのがなおさら良し。
　　　　　　　　　＞''´　∨:＼::::::::::::＞く::::::::∧｀'＜
　　　　　　＞''´　　　　.:i∨:::::::::::::::::::::::: ヽ/:::::}i:.　｀''＜
　　　＞''´　　　　.:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∨::::::::::::::ヽ::::::::∨::l:i:i:i:i:i:.　　｀''＜
＞''´㍉　　.:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∨＼::::::::::',:::::::::!::l:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:. 　 }}｀ヽ
／／ハ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iヽ::::＼:::::::::::::::::/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}}＼

: : : : : : : : ｉ: : : : : :￤: : : : : i: : |: : : : : :,小: : : : : i: : : : : : : : : |:
: : : : : : : : |: : : : : :｜: : : : : }: : }: : : : :/: ﾄ: ヽ､: : |: : : : : : : : : ﾄ､
: : : : : : : : |: : : : : :｜: : : : ,' : /| : : : /: : |:iヽ: :ヽ !: : : : : : : :ｉ:｜
ﾄi: :i: : : : : |ヽ : : : : | : : : /: :/　!: : :/l: : :从: :＼: :＼ : : : : : |:｜
l |:｜: : : :｜ l: : : : :| : : /|: 厶斗: /^1 :,ｲ: : ヽ : ＼: :`ー=≠≠ミ､
l |:｜: : : :｜ |: : : :/!: :/`}/　＿|:/＿|:/｜: : /:｀: : :｀:ｰｧ‐:ｒく: :｢｀
l |:｜: : : : :}斗: : 厶孑=≠fi勹r1￢ﾙ'　,: : /: : : : : : :/ : /　}: :}　　　　　　件の、オルデンブルクグループの勢いを削ぐための計画……
N: :|: : : : :/^7: :ｲ{　,{{ ::::: }}｀￣}}　 /　/: :/: : : : : : ,:': : /　/: /
７: :!: : : /　/: / ゝく｀¨¨´　_ノ′,/　/: :/ : : : : ／|: : /　/／　　　　　　　傘下である桜花重工の糾弾については？
i: : j: : :/　/／　｀￣￣￣三三彡' /. :/. : : :／　 j／　/´
|: / : /　/´　　　　　　　　／.／. : ィ１}r┐/
|ｲ: :/　　　　　　　　　　　／ィ : : ／ ////iﾉ′
/／　　　　　　　　　　　　厶ィ　 ///辷}
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ///　/
2374： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 22:24:20 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　ヽ''＜＿＿,,､､､､､､､､
　　　　　　　　＞　-―――=ミヽヽ､、 . ﾉ}!
　　　　　　／　,､丶` ￣￣￣｀丶ヽヽ∨ }!
.　　　　　/　＞''´ ￣￣￣￣｀ヽヽ　イﾉ八
　　　　 /. ／　＞''´￣￣≧=- ､^ヽ ./ /
　　　 /ｲ　／　　 ,､丶` ≧⌒ ,,､ -‐{ .ハ
　　＼｀''ー―‐''"´　 ,､丶` ｀ ' ／⌒.{/ ｧ} _
　　＼ヽ ― ''"´　彡"=彡　　,､イ⌒ {l ,ｨf汽!　　　　　　　　　　ひとまず、今はいいんじゃないかな？
　　　　＼≧=- ｧ''气-≦　＿_,ｨ''莎¨¨}}^Vノ
　　　　ヽミ　{〈　<〉ヽﾐ¨¨¨㍉ｰ'ノｱ　＼　　　　　　　　　　　確かにランク4の活躍は目覚ましい。
　　　　　　 ,ﾊヽヽ.( ゝ｀ヾ＼　 `¨¨´　 _ .,ィ＿
　　　　　 /⌒ヽヾ＼＿　　　､　　,,ィノ"´｣ /　｀Y　　　　　　　　ナノハ・タカマチの後釜としてオルデンブルクが用意しただけある。
　　　　　/ /⌒气　ﾐ　 ^ヽ､　ヽ≦-‐''''"^V　／⌒ヽ
　　　 _,ｲ / /　 /⌒>‐､　V::≧s｡,_　　　___}-ｲ_ノ^,ｲ　　　　　　　　だが、それも制御可能な範囲内だ。
　　''"＼　./　 /　,ｲ　／ヽ:::::ｧ´/ 　ア'´　　　／
　　　 ,ィへ.　　／　／　／ ∨　ﾍ　i{　　　／
　　　__|￣￣ |___／　／　.／ヽノﾊ　ヽ -　{x
　　　 |＿＿_|/∧／　.／　／　｣　　　　V}h、
　　　＿＿|/////∧／　／/∧/ {⌒l⌒l⌒'､　＼
　　　　 |///////////∧////,{　{　 l　｀　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /{　 _
　　　　　　　　　＿　-''''"￣￣ヽV／ハ
　　　ミ≧=‐'''"´　,､丶` ￣￣　＿/ア . /
＿,､丶`　＞''"´'´ 　_ 　‐'''"´　／ｱ　ｧく
￣＞''´　　　　ィ''""　/　　／ｱ　/　　ヽ
　／　　　／/　　　 /　　〃 ./　/ ''"´__~ 丶
'".　　　／　/ 　　 /　　〃. /　/　 ,ｨ'¨¨`＿〔,､
_.　　　　／　　　 / /　/,ｲ ,'　/ ／　／＼ヾ^'＜＿　　　　　　　　世はなべてこともなし。このまま続いていけばいいんだがね。
彡''" ‐''´　　　　　／　/ /ｲ.l　,'/　／ ,,ｧ,ｲﾘ＼ﾉ　　　〉
　―＝二二＞''"´ 　 . : /ｨ |　| .／　 '''"¨¨´ /　　　ｧｲ　　　　　　　　現状維持と自信をもって判断できる状況というのは、
_　　　　　　　　／. :__: :,/: :lﾑ. |'"　　　　 ./　　　,,ノヽ、
≧=- 　-‐'' ／　　.|　＼／´.',|＼　 -　　　　／　 _.ィ　　　　　　　　　大抵は良い状況だ。
.　　　　　　 -=彡|〈⌒ ｀ミh､ヽ､',　　｀　　／,,､≦´ Y
"''ー=､,,　　　, イ: :ﾍ　ｬー} ヾ. 　 ',}　　＿. /'´〈.　　　　',　　　　　　　　　　さて、本題に移ろうか。今度ウチの開発部で――
　　／　　　　. : : : : : ＼`''―‐ ､,､＿_/ﾆﾆﾍ　　`　　　 '､
.／―===ミ　: : : : ／／/7≧／ﾆ＞'´ニニﾊ斗､　　　　　 Y
　　　　　　⌒''''=‐､､: : //: :/ﾆ／ニニニニニニﾍ. 　　 ,ィ
　　　　　　　　　　''´⌒ヽ: /=/ニニニニニニニニﾑ¨¨´
2375： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 22:24:43 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌──────┐
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2376： ◆x0SRSoJXe.：2020/04/23(木) 22:29:55 ID:ZJWwWsoY0: 　　　　　　　､　- ‐‐ -,
　　　　　　 ,´: : : : : : : : :
　　　　　　ﾞｉ : : : :○　○ﾞｉ
　　　　　　 }: : : : : : : _ _ _|
　　　　　　 |: : : :-=´_　_,´　　　　　　　今回はここまでだ。次回は来週の月曜日、4/27の午後九時からとしよう。
　　　　　 y' : : : : :_: : : : :i
　　　　/ : : : : : : :┌─┐　　　　　　　急に間が開いたなって？　職場から復帰命令が来たからさ。
　　　　i : : : 丶: :ヽ{ .茶 }ヽ
　　　　ｒ : : : : :ヽ、__)一(_丿　　　　　　弊社のマニュアルでは熱が下がればその時点で出勤OKなんだと。
　　　　ヽ、___ : : : :ヽ : :ヽ
　　　　と_ : : : : : : ノ : :ノ　　　　　　　　頭イカれてるよね。私も人から離れてマスクしながら働くよ。シーユーアゲイン。
　　　　　　￣￣￣　￣
2377：安価のやる夫だお：2020/04/23(木) 22:30:40 ID:x76PYzLw0: 乙
お気を付けて
2378：安価のやる夫だお：2020/04/23(木) 23:48:28 ID:L/dBhd760: 乙でした
お大事に