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大腹助産院〜あふれ出る命たち〜

1名無しさん:2018/09/11(火) 19:33:46
※このリレー小説は私が2008年に投稿したものでしたが
 未完のままに終わっていました。
 先日「熊猫書店」さんでを過去ログを発見したので
 再開・完結出来たらと思い今回投稿しました。
 元小説はこちら(ttp://xiongmaoshudian.web.fc2.com/unfinishedbox/ohara-maternity-center.htm)にあります。

 誤字や改行、人物設定等一部改訂して投稿します。
 よろしくお願いします。

2名無しさん:2018/09/11(火) 19:44:12
ふっふっふぅー・・・・
えっとぉ。ここが大腹助産院かぁ。

私は鈴月生子。現在妊娠8ヶ月。

近所に歩ける距離にあった産婦人科が先月閉鎖してしまった。
どうしようと困っていたところに高校時代の友達、海子の実家で経営している
大腹助産院を紹介してもらった。
しかし交通量も少ない山奥にあり、
今の私のおおきなおおきなおなかを抱えて通院するのは一苦労だった。


生子「こんにちわぁー。えっと、受付はぁ・・・」

?「あ!生子!!!」

待合室にいる妊婦の中にこちらに向かって大きく手を振るショートカットの女性がいた。

生子「海子ぉー!ひさしぶり!!」

海子「生子、久しぶり!何年ぶり!?成人式に一回あった以来会ってなかったよね?」

生子「そうだよねー・・・ところでさ・・・海子、そのおなか・・・」

海子のおなかは私と同じくらいパンパンに丸みを帯びていた。

海子「あれ?いってなかったっけ?
あたしもおなかにあかちゃんがいるんだ!
確か生子も8ヶ月でしょ?私も8ヶ月!!
このおなかだけど、助産院の受付やってるんだ!」

生子「え?大丈夫なの?」

海子「大丈夫!大丈夫!たいした仕事じゃないし、
診察に来た妊婦さんとおなかのあかちゃんの話で盛り上がれるし毎日楽しいよ!!」



鈴月生子 りんげつしょうこ(20)
妊娠8ヶ月。
黒髪ストレート。
おっとりとした優しい性格だが
いざとなったら行動的。

大腹海子 おおはらうみこ(20)
妊娠8ヶ月。
生子の高校時代の同級生であり大腹助産院の娘、
産院の手伝いをしている。
黒髪でショートカット。
活発で人当たりがよく患者さんともすぐに仲良くなれる。

3名無しさん:2018/09/11(火) 19:54:22
「鈴月さーん!鈴月生子さーん!!」

「はぁーい!」

山奥にある助産院なために検診に来る妊婦も比較的少ないので私はすぐに呼ばれた。

ガチャっ

「失礼しまーす」

診察室に入ったが中にはベットと机があるだけで誰もいなかった。
とりあえず私は荷物をおいて椅子に座った。

ガチャっ

「あ、ごめんねー」

メガネをかけ、白いシャツを着た
私よりもふたまわり程大きいおなかを抱えただいたい40代くらいの妊婦が入ってきた。

私は首をかしげた。
あれ?私さっき呼ばれたよね?
診察の順番間違ってるのかな、この人?

?「あなたが海子の友達の生子さんね。」

そういうと、その妊婦さんは額に汗をかき、
大きなおなかを円を描くように何度もさすりながら笑顔で扉を閉めた。

生子「あーはい。どうしてそれを?」

?「あ、ごめんなさい。紹介が遅れました。私は海子の母親の大腹華子です。
ここの助産院の助産師をしています。」

生子「え!おかあさん!!こ、これはどうもはじめまして!!!」

華子「びっくりしたでしょ!いきなり妊婦さんが入ってきて!
実は私も生子ちゃんや海子と一緒でおなかにあかちゃんがいるの!しかもふたりね!!」

生子「え!!!お母さん双子を妊娠してるんですか!!」

華子「そうよ!みて!大きいでしょ!」

といいながら白いシャツを胸までたくし上げ
今にも生まれそうな双子のいるおかなをあらわにし
ペシン!!!と強く自分のおなかを叩き自信満々な表情をした。

華子「この子達がいるからね、最近トイレが近くてね。
あ!ごめんね。こんなみっともないおなかみせちゃって!
生子ちゃんの検診だったよね。ちょっとまってね!」

両手でおなかを抱え海子のお母さん、華子先生はため息と共にどっしりと席に着いた。

大腹華子 おおはらはなこ(42)
大腹助産院の院長。
現在3,4人目の双子8ヶ月を妊娠中。10年ぶりの出産。
メガネをかけ、若々しく見える。
包み込むような大らかな性格ではあるが
時には大雑把になってしまう場面も。

4名無しさん:2018/09/11(火) 19:55:12
私は診察室のベットに横たわり
Tシャツをたくし上げ
ブリンっ!とスイカのような
光るおなかを天に突き出した。

ぺたぺた。ぽんぽん。ぐにぐに。

華子先生が私のおなかに触れて赤ちゃんの様子を確認する。

華子「うん。異常はないようね。ただ・・・」

生子「え!?あかちゃんになにかありました!?」

華子「ううん。生子ちゃん。ちょっと栄養取りすぎね。つまりふ・と・っ・て・るってこと!!」

私は赤面した。
華子先生が手を腰にやり、おなかを突き出しながらにやりとした。

そういえば産婦人科が閉鎖してしまって
外へ出る機会が減ってしまったので運動はほとんどしていなかった。

華子「よかったらうちのマタニティビクスクラスに参加してみたら?」

生子「そんなことまでやってるんですか!すごいですね!」

華子「うちの娘、海子の姉の月子がインストラクターをやってるのよ。
だからうちの助産院を開設してから彼女にも手伝ってもらっているの。
どう?よかったらこれから13時からクラスがあるけど?」

生子「海子のお姉さんってインストラクターだったんだ。ぜひやってみたいです!!」

華子「じゃあ予約いれとくわね。13時なったら隣のダンススタジオにきてね。」

5名無しさん:2018/09/11(火) 20:05:45
13時。ダンススタジオ。

部屋の中にはレオタードを着ている妊婦、
Tシャツに短パンをはいている妊婦、
タンクトップからおなかを露出させている妊婦、
5人の妊婦がいた。

「こんにちわー!!」

もう一人茶髪でポニーテールの
ピンクのジャージを着た妊婦が足早に現れた。

「あ。あなたが生子さんね!」

生子「は、はい。・・・・あ。もしかしてあなたが海子のお姉さんの!」

月子「そう!あたしがインストラクターの月子です!よろしく!!今日は体験だったわよね!!」

生子「はい。・・・あのぉ・・・ところでそのおなかはもしかして・・・」

月子「あれ?聞いてない?あたしも妊娠中なの!!!!!
来週で臨月!!でも全然身体重くないんかないよ!!
私たち家族はお母さんも海子も私もみんな妊婦なのよー!すごいでしょー!へへーん!」

すごい。一家で妊娠してるなんて。
しかも月子さんはジャージのジッパーが外れそうなくらい
パンパンなおなかでインストラクターをするなんて。

月子「はい!じゃあ今日のクラスをはじめるよ!!」

パン!と手のひらを叩いた月子さんは
ジャージの上下を脱ぎ捨て、赤いビキニ姿になった。
おなかは私のおなかよりも大きくピカピカと輝き前へボボーンとせり出している。

月子「はい!じゃあまずはステップからぁ!!」

床はドスドスと妊婦たちが踊る足音で響いていた。
どの妊婦もおおきなおっぱいもおおきなおなかも
ブルンブルンと上下左右に揺れていたが
一際激しく揺れていたのが月子さんだった。
汗は回りに飛び散りボフン!ボフン!と
おっぱいとおなかが揺れている音が今にも聞こえてきそうだった。



大腹月子 おおはらつきこ(22)
華子の長女であり次女海子の姉。現在妊娠8ヶ月。
マタニティビクスインストラクターでサバサバとした性格。
茶髪でポニーテール。
妊娠中のお腹を露出するファッションが好き。

※ここから先のお話をリレーで続けていければと思っています。
 新規で妊婦さん産婦さんを登場させるのも可。
 最終的に4人の同時出産を希望しています。
 産後の展開があれば一度完結してから新規スレで出来ればと考えています。
 よろしくお願いします。

6名無しさん:2018/09/26(水) 03:56:48
※訂正
大腹華子 おおはらはなこ(42)
×10年ぶりの出産。
○20年ぶりの出産。

大腹月子 おおはらつきこ(22)
×現在妊娠8ヶ月。
○現在妊娠9ケ月。翌週には臨月。

2カ月のズレがあると4人同時出産は難しそうなので
今後の展開次第にしたいと思います。
____________________________

あれから一週間後。
私は妊娠後期の妊婦さん向けの母親学級に初めて出席した。
私と海子、そして臨月を迎えた月子さん。
他には前回マタニティビクスに出席していた5人の妊婦さんがいた。
海子の話によると私以外の7人は妊娠中期から
3、4回参加しているとのことだった。

「はい!じゃあ皆さんお集まりいただいていますね!
 ちょっとお時間早いですが始めますね!」

今日も元気な華子先生がこの教室の講師だ。
ホワイトボードの前に立つ華子先生は
白衣のボタンが絞められないほど巨大なお腹だ。
きっとこの教室の誰よりも大きい。

「えーっと確か今日参加している皆さんの中で
 出産経験者のお母さんは…いませんよね!
 じゃあ皆さん初めての出産ということで!
 皆さんあと数か月後には赤ちゃんを抱えるお母さんになりますからねー
 そこに座っている妊婦さんみたいにお腹丸出しにして
 ふらふらしちゃいけませんからねー!」

臨月腹を堂々と露わにしたトレーニングウェアのまま
どっしり座っている月子の方を指さして華子先生は言った。
受講している妊婦さんたちはクスクス笑った。

7名無しさん:2018/09/28(金) 04:18:36
華子先生の指導の元、
実際の出産の映像などを見てこれからの心得を語ってくれた。

「月子の時は大学病院で分娩台の上で普通出産だったのだけど
 私はなんだか作業のように出産してる感じがして違和感を感じたの。
 だから海子の時は旦那や月子に見守れながらの自宅出産にしたわ。
 
 さっきのビデオを見てもらったようにうちの産院では
 もちろん分娩台の上での出産も出来るけど
 自宅出産のように和式で布団の上で自由な姿勢での出産や
 バースプールの中での水中出産が可能なんだけど
 皆さんは先月の検診で決めてもらったわよね。

 …あ!生子ちゃん!
 …は今月来たばっかりだから…どうしよっかね。もう8ヶ月だしね。」

講習を受けた限り自宅出産や水中出産に温かみを感じるけど
痛みやリスクの点で不安はある。
もしどちらかにするなら次回の検診までに
決めておかないとと言うのを聞かされた。

「えーこの中には高齢出産の人もいれば若くして出産する人、
 そしてぇー姉妹そろって妊娠した人もいればぁー
 私みたいに20年ぶりに双子を妊娠した人もしまーす!
 どんな人も平等に与えられた妊娠出産という貴重な時間です。
 色んな苦しみ、痛み、悩みあるかと思いますが
 こうやって色んな人たちと話したり身体を動かしたりすることが
 一番のストレスの軽減になって赤ちゃんもより健康になるということを忘れず
 残りわずかではありますが楽しい妊婦生活を送っていきましょう!
 それでは時間もそろそろなので後期の母親学級を終えたいと思います!」

こうしてこの日の講習は終わりとなった。

8名無しさん:2018/09/28(金) 22:38:55
あれから2週間

私は普段通りマタニティビクスのスタジオに来ている。
いつもの妊婦さんたちが参加しているが
今日はもうすぐ妊娠9ケ月で産休を取っている海子も参加していた。
一方華子先生と月子さんは私たちよりも大きいお腹を抱えているというのに
今日も普段通り産院でお勤め中だという。

「はい!!じゃあ今日もはじめて行きましょう!
 えー前回も話したんですけどね、私も今臨月でこんな身体なんで
 今回で一回産休取らさせて頂きたいなーって
 思ってるんでよろしくお願いしまーす!」

今日もハツラツとした月子さんはいつものピンクのジャージを脱ぎ捨てると
今日は黒のビキニから大きな大きなお腹を見せつけ
エクササイズをスタートし始めた。
なんだか前会った時よりもより一層
おっぱいとお腹のボリュームに迫力が増したように思える。

「はい!!音楽に合わせて大きく足を上げてー!!
 はい!!そう!!
 両手を上にあげながらーーー深呼吸ぅーーー
 お腹の中のあかちゃんに酸素を送る気持ちでー
 吐くぅーーー」

いつもよりもマタニティビクスをするのがきつい感じがした。
あかちゃんが成長しているお腹、こんなに大きくなってしまったおっぱい、
ここにきてから数週間私の身体も大きく変化した。
少し運動しただけなのに呼吸が荒くなってしまっている自分に気づいた。

「アップ!!!ダウン!!!骨盤から赤ちゃんを天井に突き上げる気持ちでぇー!!」

それに比べて私よりも大きなお腹を抱えた月子さんは
満月のような臨月腹を軽やかにそして自慢げに揺らしながら
いつも以上に張りきった指導で力強く足踏みをしていた。

それに負けじとすっかりお母さんと呼ぶにふさわしい
ふくよかな体系になった海子が
ぴっちり身体のラインが出る白いTシャツから
お腹がはみ出ていることも忘れ、隣で真剣に取り組んでいた。


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