したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

仮投下専用スレッド

465境遇 その5  ◆yxYaCUyrzc:2012/09/28(金) 22:58:14 ID:MVHCBwNo
えーと――ここからなんだけど、悪い、ちょっと話すのは難しい。
なぜか?……まあ待てよ。端的に話さなきゃ彼らの行動はかえって解りにくいんだよ。とりあえずこの結末に関して順を追って話すから。


まずはビットリオ、宣言通りにドリー・ダガーを引っこ抜く。
当然育郎の指はボトボトと落っこちた。人差し指、中指、薬指、小指。親指にも付け根に深い切り傷がつく。

が、育郎もビットリオに告げたとおりだ。バオーの力を出したかどうか……本人も無意識だろうけど、とにかく空いてた右手で思い切りビンタ。
これは痛い。ビットリオはたまらず吹っ飛ぶ。

――ん?『ドリー・ダガーがダメージを反射しなかった』?そりゃそうだ、育郎の血に濡れて刀身には何も映ってなかったし、張り倒された瞬間にビットリオはたまらず手を放してたし。

もちろん育郎は殺す気でビットリオを叩いた訳じゃあない。すぐにビットリオのもとに駆け寄ったさ。
で、「大丈夫か?僕は君を殺そうとは思ってない!」「君が探しているのは誰の仇なんだ?」「心当たりはないのか?」とかいう質問を2、3する。
けれどもそんなことで口を割るビットリオじゃあない。お前が仇だの一点張り。

ここで育郎はどうしたか?……自分のことを話したのさ。
「分かったよ。君に質問するのはやめよう。でも聞いてくれ!僕も君と同じなんだッ!
 ――そう、僕もそうだ。前から知っていた友も、この殺し合いの中で出会った人も、失ってしまった。
 僕は自分がどうなってしまうかわからない。自分に絡みついてくる怪物の力を、運命をどう受け入れていけばいいか確信が持てないんだ。
 今の僕にはいないけど……君にはまだ友達は、仲間はいないのかい?」
――とね。

ビットリオは放送に対する怒りでせっかくの伝書鳩をぶっ殺したから血まみれの名簿なんて見てない。っていうか放送のショックでそれどころじゃあなかったし。
数秒の間はポカンとしてたビットリオ。育郎の説得にどういう心境を持ったかは彼自身にしかわからない。いやビットリオ自身も大してわかってないのかも知れないけど。
とにかく名簿という単語を聞いて育郎から差し出されたそれをふんだくる。


あった、マッシモ・ヴォルペの名が。


そして、それを確認した瞬間、というべきか……彼は痙攣しだしたんだよ。
ウケケケとも、コココとも聞こえるような奇声を上げながら。顔には脂汗が浮き出ていて目の焦点もあっていない。
ついには咳込んだと思った瞬間に盛大にゲロ吐いた。流石に育郎も驚いたみたいだよ。自分のビンタが原因かも!?って。まあ違うんだけど。


要するに――ヤクが切れたんだな。
そりゃそうだ。何時間も摂取?してなくて、しかも飛んだり跳ねたり動き回ってたんだから。余計にヤバいわな。


あとはもう、ビットリオはうわ言のようにヴォルペの名を呟きながらフラフラ歩き出すしかない。
そんな意識もはっきりしないような状況でも路面に転がる短剣を拾い上げたのは流石というところだね。
で、育郎も慌てて追いかける。ビットリオが吹っ飛ばしたバイクを起こして。
落っこちた指は、そりゃあ痛いが――バオーの能力をもってすればくっつけることはできる。
動くかどうかはわからない。それでも切断面を押し当ててとりあえず『もう一度ポロリ』だけは免れた状態さ。

二人は――と表現していいものか、とにかくふらふらと歩き出した。ってところで話は終わりさ。……な。話すの難しいだろ?
こんなのいちいち細かく描写して話してたら日が暮れちゃうぜ?容量もいっぱいいっぱいだ。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板