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437単純 ◆yxYaCUyrzc:2012/08/16(木) 11:06:27 ID:p/53ep/2
「絶対に相容れないって意味の、『水と油』って言葉があるがよォ〜……」
誰に言うでもなく一人で演説を始める男の名はギアッチョ。
彼がいる場所はエリアでいうとF−4地下、地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)の底。
相棒のディエゴ・ブランドーはその様子をフロア――柱の頂上から見下ろしている。お互いのスタンドの性質上、手を貸すわけにはいかない。貸す気もないが。
だがギアッチョは一向に上ってこようとはしない。様子を見ているディエゴを知ってか知らずかギアッチョはなおもひとりごちる。

「その言葉の意味はスッゲーわかる、良くわかる。
 油の入ったコップに水入れても混ざりはしねーからな……」

この言葉、恐竜の身体能力を肉体に宿したディエゴには十分に届いていた。
しかし、彼はこの後“ギアッチョのセリフに耳を澄ましていた”事を後悔する。

「しかしよォ〜〜この『油』って字はどういうことだアァ〜〜!?
 “サンズイ”ってのは水のことじゃあねェのかよッ!
 油が“水”ならとっくの昔に混ざりきってるじゃあねぇかッ!!
 どういう事だよ!エェ!?このイラツキ、どうしてくれるんだァ!!!」

突如張り上げられた怒声に鼓膜を破られんばかりの衝撃を受けたまらずたじろぐディエゴ。
怒りのたけを目の前の柱にぶつけるギアッチョは、殴って開けた穴を凍らせ、また柱を殴り穴をあけ、を繰り返してあっという間に柱を登り切ってきた。

「オイッ追うぞ!まだ遠くに行っちゃあいねぇハズだ!ボサッとしてんな!
 っつーかお前も追ってたろ!どこ行ったか検討つかねぇのか!?」
「デカい声を出すな。俺は建物の上から奴らを追っていたからおおよその見当は付く――逃げる瞬間こそ見逃したが奴らは地下を通って」
喚き散らすギアッチョに落ち着くよう促すも、ディエゴの言葉はなかなか彼の耳に入らない。

「地下なのは知ってんだよ!だから俺が下水道もぐって追っかけて壁ブチ壊しまくって――この柱にたどり着いたんだからな!」
「その先だ、ギアッチョ。俺が地上から確認していた限りでは奴らはまだ地下から出てきていない。
 というよりおそらくこの柱は無視しただろう。この建物の下水道それ自体をうまく伝って別のエリアに逃げたとみるべきだ」

わかりきっていた事実を淡々と告げられたことにギアッチョの中の怒りが爆発した。ディエゴの胸ぐらをつかむ。
「ンな解りきったこと聞いてるんじゃあネェんだよ!とにかく追うぞッ!」
大量の唾を吐きかけんとするほどの勢いでまくしたてるギアッチョをディエゴは再度制す。
「落ち着け……まだ慌てるような時間じゃあない。そして、闇雲に追うべきでもない。
 こう――発想を変えてみろ、逆に考えるんだ、俺たちはあえて取り逃がし、それを先回りして待ち伏せる体制を作ったんだと。
 直接追っていくのは些か骨が折れる。彼らが『この場にいた』ことが分かっただけでも十分じゃあないか?」

言われたギアッチョはゆるゆると襟首から手を放す。その鋭い視線はディエゴから1ミリも逸らさぬまま。
一方のディエゴの本心は先の台詞とは半々、といったところだ。彼とて自分の知りえぬ自分を知る人間に会場を闊歩されるのは気に食わない。
だがその感情が最後の最後で詰めを誤らせる。この場に放り込まれる直前に受けた屈辱を思い起こすかのごとく腹をさする。

「……チッ!まあそういう事にしてやる。ブチャラティの野郎がいたってことは奴のチームも、俺らのチームもいるってことだろうしな」
「わかってくれて何よりだ。そうと決まれば、こんなエリアの端で燻っている訳にはいかない。とりあえずエリア中央に向かって北上するぞ」

端的に会話をすませ、2人の化け物が館を飛び出していった。




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