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182 ◆phRcHHD3bQ:2012/01/24(火) 23:26:15 ID:kSUX4sFw
独りで暗闇の中を歩いていると、どうしても重い考えばかり浮かべてしまうものだ。
声をかける者がいないという恐怖は、予想以上に精神を侵食する。



ティッツァーノは暗い病院内を歩き続けていた。
人の気配のない、恐ろしくなるほど静かな空間。あの上院議員はどうなったのだろうか。
先の戦闘であのマヌケな化け物に噛み千切られた傷が痛むが、戦えないほどのものではない。
止血と消毒をして包帯を巻いた。だが、その腕の傷は、今までのどんな傷よりも痛いように感じる。
これ以上の怪我なら幾らでも負ったことがある。
全身をマシンガンで撃ち抜かれる痛みだって知っている。つい先程味わったばかりなのだから。
だが、その時には必ず彼がいた。

自らのスタンドの非力さなど、自分が一番よく分かっている。
ただ、それは「トーキングヘッド」の力をよく理解しているからこそ思えるのであって、その能力を否定している訳ではない。
しかしこのバトルロワイヤルという狂った状況下では、単純な戦闘能力が皆無というのは痛いハンデだ。
もちろんギャングという職業上、身体はある程度鍛えてある。
だがそれがここではあまり意味をなさないと、知ったばかり。銃だって何時かは弾が切れる。

それに加えてあのヌケサクの言葉が気にかかる。
『吸血鬼』『DIO』―――。
そんな化け物が本当に存在して、このバトルロワイヤルに参加していたら……。
自分は幸運だったのかもしれない。最初に出会ったのは、錯乱した無力な男。
次に出会ったのは不死身と自称する奇妙な奴だったが、万全の策で挑むことが出来たし、脳ミソの足りないアホだった。
しかし、ホールで見たあの人数。自分より頭が切れる者も、強力なスタンドを持った者もいるだろう。ましてや、吸血鬼など。

ふらふらと病院の廊下を歩いていたティッツァーノは、右手を自然と壁につけていた。それと同時に足も止まる。

「スクアーロ、君がいてくれたら……」

ティッツァーノの声は、自らの耳にのみ届いて消えた。
らしくない。スクアーロと一緒にいた時、冷静なのはいつも自分だった。
だが独りになった途端、こんなにも不安に襲われるなんて思っていなかった。
ふと、最後に見た相棒の目を思い出した。強い瞳だと、自分がいなくても彼はナランチャを殺すことが出来ると確信したあの目。
祈ろう。彼がここにいない事を。万が一ここに呼び寄せられていたとしても、生き延びられることを。

次にティッツァーノが歩き出した時、もう既に迷いはなかった。彼はただ、相棒を探し出すだけだ。



しかし迷いは断ち切ることは出来ても、不安は心臓に延々と絡みつく。
孤独とは、暗闇とは、そうさせるモノなのだ。




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