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仮投下スレ

1 ◆OCD.CeuWFo:2011/10/21(金) 00:00:06 ID:UbGMEgSk0
文字通り、SSの仮投下する場所です
ご利用は各々の判断に委ねます

2 ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:18:26 ID:8JECCMaMO
不安があるのでこちらにSSを投下させていただきます。

3捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:19:12 ID:8JECCMaMO
木々が密集する森林地帯。
本郷猛とまどかは、先ほど爆音が響いた地点に駆けつけようとした。
急行する途中で本郷は戦いに備えるべく、すでに仮面ライダーに変身をしている。
まどかは、肉体を大幅に強化されている改造人間であるライダーの歩幅についてこれないであろうため、本郷は彼女を背負って移動していた。
ディバックの中はザッと確認したが移動に使える物はなかったので(時間を食うため、その際に名簿や道具の説明書きは確認できなかった)、このような形になっている。
元々、まどかは小柄で体重が軽いため、改造人間には全くというほど負担が無いのが幸いだった。

「本郷さん、あれを!」
「ああ・・・・・・見えている」

二人の眼に数10mほど先で女性らしき影と巨大な蝙蝠らしき物体との争いが映っていた。
それを見てからの本郷の対応は早い。
まずは、まどかを離れた位置に隠れさせておく、それは本郷なりの配慮だった。
相手が殺し合いに乗っていない保証はどこにも無いため、万が一に備えて戦えないまどかを隠れさせる必要があると考えたのだ。

4捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:20:18 ID:8JECCMaMO
もし戦闘になった場合、彼女がやられたり人質に捕られたりしたら眼も当てられない。
素人に武器を持たせて戦わせるなど言語道断だ。
まどか自身もそれを理解していたため、そして本郷の足枷にはなりたくなかったので、素直に従った。

「さっきも言ったとおり、俺が良いと言うまで隠れてるんだ。
万が一、俺の身に何かあったら逃げるんだ。
くれぐれも加勢しようと考えるんじゃないぞ、いいな?」
「・・・・・・はい、でも必ず生きて帰ってきてくださいね。
マミさんや、さやかちゃんみたいにもう会えなくなるのは嫌ですから・・・・・・」
「ああ、約束しよう」

その巴マミ、美樹さやかに当たる少女たちがこの殺し合いの場にいるかもしれないーーその言葉を本郷はクラッシャーの奥にある口の中に留めておく。
それを彼女に話すのは、今止めなければいけない戦いを止めてからでも遅くない、と思いながら。

やりとりを済ませるとライダーは戦いの現場へと向かい、少女は樹の影から遠くなっていくその背中を見つめていた。


〜〜〜〜〜


怪しく笑い不気味な言葉を喋る蝙蝠型の怪人ーーズ・ゴオマ・グ。
それに立ち向かうは覇王流を受け継ぐ女魔導士ーーアインハルト・ストラトス。
遭遇戦から始まったその戦いは第二ラウンドに差し掛かっている。
数十分に及ぶ戦いの末に、軍配が上がり始めているのはーーゴオマ。
アインハルトは苦戦を強いられていた。

空中からゴオマが奇怪な言葉を吐く。
笑いながら語りかけたそれは、グロンギ語がわからないものでも、相手を見下す言葉だと態度でなんとなくわかる。

「ゾグギザ、ジョパギゾ?(どうした、よわいぞ?)」
「くッ!」

身体のあちこちに擦り傷が溜め込まれ、疲労のためか息の上がっているアインハルトは歯噛みするしかなかった。

苦戦の理由はいくつかある。
ゴオマは最大時速120kmで空を飛ぶことができる、空はゴオマのフィールドであり、無闇に飛ぼう物なら確実に餌食になる。
さらに見た目通りに蝙蝠の特性を引き継いだグロンギであるゴオマには、常人ならば気をつけて歩かなければならない夜の暗闇もなんら障害になりえない。

5捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:22:02 ID:8JECCMaMO

対してアインハルトは、技術的にも魔力的にも普通の魔導士より優れてるとしても、森の木々や夜の闇は確実に障害となっていた。
具体的には、こちらの攻撃は高い飛行能力や森林の障害物などを利用されて避けられたりする。
当てるだけでもかなりの集中力が必要であり、タメと隙の短い小技は当たってもかなりのタフネスを持つグロンギには決定打にならず、タメと隙の大きい大技はまず当たらないのだ。
周辺の暗さの関係でこちらの防御も難しく、中々思うように戦えないでいる。

・・・・・・だが、それだけで覇王の技を使うアインハルトが遅れを取ることはない。
彼女が不利なのは、もっと別の要因がある。

(この蝙蝠男・・・・・・さっきよりも強くなっている!)

蝙蝠男は最初に遭遇した時よりも、見た目も毛深くなっており、それだけでなくパワーやスピードも段違いに増していた。
戦う内にアインハルトは体力も魔力も消耗、結果的に不利に追い込まれ、一方で蝙蝠男はまだまだ余裕な様子であり、むしろ時間が増す度にどんどん元気になっているようだ。

彼女は知るよしもないが、ゴオマはアインハルトと再戦する前にダグバのベルトの破片を体内に吸収している。
すなわち、破片の中に内包された膨大な闇の力をゴオマは身に宿しており、その力は通常よりも遥か強化されている。
ちなみに、蝙蝠らしく元のゴオマは日光が苦手だったが、今の彼は太陽すら克服できる。

ーーズ・ゴオマ・グ 強化体ーー

今のゴオマにはその名に相応しい力を持っていた。
アインハルトがそんな相手にいくつかの擦り傷程度で済んでいるのは彼女自身の実力の賜物であり、並の戦士ならとうの昔に殺されている。

しかし、このまま戦い続けても消耗によっていつかはこちらは倒れる。
アインハルトはそれを理解していても、逃げる選択はしなかった。
戦いを放棄する事でヴィヴィオを始めとする仲間に被害が及ぶことは、なんとしても避けたかった。
己の命欲しさだけに逃げることは、覇王の名折れであり、ヴィヴィオたちへの裏切りだ。
そう考えたからである。

(私は・・・・・・逃げません!)

6捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:25:06 ID:8JECCMaMO

アインハルトは宙に浮いているゴオマを睨み、己の士気を奮い立たせる。
だが、その最中で自身の相棒であるデバイス"アスティオン"が主人に警告の意味を込めた鳴き声を放つ。

『にゃあ!』
「ティオ・・・・・・? なに?新手!?」

デバイスからの警告を聞き、アインハルトは即座に周囲を確認。
すると離れた位置から、バッタのような奇怪な仮面をつけた異形が、こっちに向かってきている。
また怪人か!?ーーそう思った彼女は身構え、三つ巴か、最悪の場合である1対2の不利な戦いを覚悟する。
アインハルトと敵対しているゴオマも交戦を一時中断し、空中から仮面の異形を睨む。

「クウガ!?
リゾシギソン “クウガ”?!
(クウガ!?
緑色の“クウガ”?!)」

どうやら、現れた謎の異形に驚いているようだ。
それも何かを知っているように男を見ては「クウガ、クウガ」と口々に漏らしている。

そして、仮面の異形は一人と一匹に捕捉されたとわかると、いきなり攻撃したり逃げたりはせず、蝙蝠男に視線を向けてその場に立ち止まって呟く。

「怪人コウモリ男? まさかBADANの手先か?」
「BADAN・・・・・・?」

聞きなれない言葉に首を傾げるアインハルト。
本郷は続けて声高々に呼びかける。

「まあいい、俺の名前は先ほど加藤が言っていたが改めて名乗ろう。
俺は仮面ライダー1号、本郷猛!」
「本郷・・・・・・あの時の!」

アインハルトはゲーム開始前に加藤と向き合って話す男の一人に本郷がいた事を思い出す。
つまり、この仮面の男はあの時の本郷猛ということか。

「加藤の思惑には乗らず、この殺し合いの脱出もしくは破壊を目指している者の一人だ!
そして、殺し合いにならない者の味方でもあるーー」
「ゴラゲゾ ボソゲパ ゴセビザブグヅブ クウガ!!
(クウガ、おまえを殺せば俺に箔がつく!!)」

ゴオマは仮面ライダー・本郷と名乗る男の話を強引に立ちきるかのように、アインハルトを無視して本郷へと空中から滑空し襲いかかる。
その腕には相手を八つ裂きにせんと、爪がギラリと輝いていた。

「危ない! 避けてください!!」

7捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:26:30 ID:8JECCMaMO

滑空によってスピードを上げているゴオマに追い付けないアインハルトは、本郷へ注意を訴えるのが関の山であった。
彼女の言葉を聞こえたか聞こえずか、本郷は急接近ゴオマを見据えながら冷静につぶやく。

「・・・・・・なるほど、話も聞かずに見境なく襲いかかってくるとは。
俺の知るBADANの怪人と何か違う気がするが、殺し合いに乗っていることだけは間違いないようだな!」

怪人の鋭き爪が仮面ライダーを真っ二つにしようする直前、本郷はこれを高く跳ぶ事で回避する。
しかしーー

「いけない!
あれだけ高く跳んでしまうと自由落下で隙が生まれる!」

ーーアインハルトの指摘通り、本郷は空を飛ぶ能力を持たないライダーであり、飛べるゴオマとは違って跳んだ後の軌道修正ができない。
降下中の隙を狙うぐらいの機動力と俊敏性をゴオマは持っている。
ゴオマは飛び上がり、空中を落下中の本郷に再度の爪攻撃を仕掛ける。
クウガも空までは飛べない、優位なのは制空権を握っている自分だーーと相手を笑いながら。
そして、本郷に回避不可能な凶刃が迫る。

「そのような爪で仮面ライダーを落とせると思うな!」

ゴオマの爪が本郷に届こうとした寸前、本郷は落下コースの途中にある長く伸びた”木の枝”を手にかけ、鉄棒体操の要領で枝を軸とした回転により攻撃を回避する。
間髪入れずに、回転によって生じた遠心力を上乗せしたカウンターキックをゴオマに放った。

「ギャッ!!」

まさか飛べない身でありながら、そのような反撃方法を繰り出して来るとは思わなかったために防御が間に合わず、蹴りはゴオマの後頭部にクリーンヒットする。
ゴオマはそのまま落下し、土埃を立てて地面に墜落した。

「飛べない者は空中では自力での軌道修正できないが、ならば周辺の物を利用するまでさ」

本郷はシュタッと難なく地面に着地し、次の攻撃する。
それからアインハルトはその戦いぶりの率直な感想を述べた。

「自分の力だけじゃなくて、自分の今いる場所の特徴を利用するなんて・・・・・・
この人は強い、とても戦い慣れている」

8捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:28:43 ID:8JECCMaMO

仮面ライダー1号は単純なスペックでは後発の2号・V3に劣り、ストロンガーのような電撃は使えず、アマゾンほどの生命力は持ち合わせず、X・スーパー1・スカイライダーのように深海・宇宙・空での戦闘はできず、ゼクロスのような多彩な武装もない。
だが、その誰よりも勝る物を1号は持っていた。
仮面ライダーとしてもっとも長い“戦闘経験”である。
これまでに本郷は幾多もの場所で戦い、幾多もの怪人を相手にしている。
その中には森で戦った事もあり、コウモリ型の怪人を相手にした事もあるため、どのようにして戦うかのビジョンが本郷の中にはあるのだ。
古代の怪人であるゴオマも殺した人数なら負けてないかもしれないが、その大半がグロンギほど力を持たぬリント(人間)であり、強敵と言えるのはクウガぐらいだろう。
ただ速く飛んで切り裂き噛みつくだけでは並の戦士には通じても、技量面では本郷に及ばない。
技の1号は伊達ではないのだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜

9捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:32:59 ID:8JECCMaMO

それからあまり間をおかず、地面に墜落したゴオマへの警戒は解かぬように、正面に捉えながらアインハルトが本郷に近寄る。
彼女は感情表現が苦手なために笑顔こそないが、特に敵意を向けずに友好的な態度で本郷に接触する。

「本郷さんでしたね?」
「君は?」
「私の名はアインハルト・ストラトス。
安心してください、私もこの殺し合いに乗る気はありません」
「そうか、それは良かった。
怪我をしてるようだが大丈夫か?」
「ほとんど掠り傷です、まだまだ戦えます。
それより・・・・・・」

「ボ、ボソグ(殺す)! リント、クウガ!!」

二人は会話をしていると同時に、数m先で墜落したゴオマが起き上がるのを見ていた。
喚くような口調から後頭部を蹴りつけられて癇癪を起こしているのは明白だが、すぐに起き上がれた所からしてダメージはほとんど無さそうだ。

「手応えが薄いと思っていたが、やはり浅かったか」
「あれはかなりタフな怪人のようです」
「そのようだ。
あの狂暴性からしても、ここで確実に倒さないと厄介なことになりそうだしな。
手を貸すぞ」

共通の敵に対して、仮面ライダーと覇王は肩を並べる。
一人なら勝てるかどうかわからない相手にも、二人ならば勝てるかもしれない。
アインハルトは思わぬ所で味方を得たことにより、不利だった形勢が変わろうとしていた・・・・・・


・・・・・・それは唐突に、遠くから高速で回る車輪の音を三者は聞いた。
本郷に次ぐ新しい乱入者がここに馳せ参じようとしていた。

「なんだこの音は・・・・・・ローラーの音? こちらからか?」

本郷、アインハルト、ゴオマも音が聞こえてきた方向へ振り向いた。
そこにはまだ遠い上に暗いため見えづらいが、ローラーブーツと鉢巻きらしき物を身につけた人影が見えた。
そこで表面上にこそ現れてないが、アインハルトは心の中で安堵する。
人影の特徴と、自分の知り合いとの特徴が一致したからだ。

「スバルさん!」
「君の知り合いか?」
「ええ、信頼できる人です。
性格からしても、殺し合いに乗る人ではありませんし、きっと私たちと一緒に戦ってくれます」

10捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:34:03 ID:8JECCMaMO

アインハルトの知るスバル・ナカジマという人物像は、とても正義感の強い人物であり、便りになる人物であった。
戦闘力こそ高いが、優しい性格であるため殺し合いに乗る事は絶対しない。
この場においては進んで殺し合いに乗っていない者を助け、殺し合いの破壊を強く望む女性であるーーアインハルトはそう信じていた。

『にゃ!? にゃーーー!!』
「え? どうしたのティア?!」
『にゃーッ! にゃーッ!』

突然騒ぎだしたデバイスにアインハルトは目を向ける。
それは『強く警戒しろ』と訴えているようだった。
アインハルトがデバイスからスバルへ視線を向け直すと、彼女はもう10m近くまで接近していた。

・・・・・・だが、そこにいたのはアインハルトの知るスバルではなかった。
蒼い髪、高町なのはの物を模した白いバリアジャケット、額の鉢巻き、手甲とローラーブーツ状のデバイス、それらは記憶と同じだ。
しかし、身体の各所に植物の根っこが各所に生えており、何より瞳の色は金色、表情に生気も無く完全に機械と化していたーーこんなスバルをアインハルトは知らない。
さらにスバルがこちらに高速で向かいながら、拳を溜めていた。

なぜ彼女がそんな事をしているのか?
距離はもはや3m足らず。
一瞬の安心と油断が枷になったため、アインハルトの頭の中で状況処理をするには時間が足りない。
防御にまわせる魔力を練る時間がない。
そして、感情が一切籠らぬ声に合わせて、

「ディバインバスター」

スバルの拳から強烈な閃光が放たれた。
閃光は轟音と共にスバルの正面に合ったものを蒸発させ、余波だけで土や落葉を宙に浮かせ、木々をへし折った。

閃光が止んだ後には、スバルの前に倒れている本郷とアインハルトの姿があった。
ただし、本郷はほとんど無傷であり、すぐに首を起こす。
だが・・・・・・

「アインハルト!?」

本郷の胸に重なるようにアインハルトがぐったりとしていた。
彼女は背中のバリアジャケットの大部分を砕かれ、痛々しい傷を負っている。

実はディバインバスターが炸裂する寸前に、直感で危険を感じとったアインハルトが、反射的にきびすを返して本郷を押し倒し、両者の直撃を回避したのだ。

11捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:35:31 ID:8JECCMaMO
ところが、ディバインバスターの直撃は回避したものの余波はアインハルトの背中に強烈なダメージを与えた。
本郷が無事だったのは、上から重なったアインハルトが余波のダメージをほとんど引き受けてしまったからである。
さらに背中から伝わる焼けるような“異様な痛み”が、アインハルトにある事実を知らせた。

「この・・・痛みは・・・非殺傷設定が外されている・・・・・・?
スバルさん、どうして・・・・・・?」
「アインハルト!!」

アインハルトは嘆きの言葉を吐き出しながら気を失う、すると持ち主の気絶に合わせてバリアジャケットは解除され、アインハルトの姿も大人から本来の子どもの姿に戻ってしまった。
それには本郷もギョッと驚くが、今は疑問を後回しにする必要があった。
獲物を仕留め切れなかったと見て、スバルが追い討ちをかけてきたからだ。
まだ倒れてたままの二人の横に立ち、何の感情も見せず、スバルは蹴り潰そうとした。
本郷はその前に気絶した小さなアインハルトを小脇に抱えて、空いているもう一方の腕でスバルの蹴りを防いだ。
改造人間の腕と戦闘機人の脚がギリギリと音をたてて押し合う。

「くッ・・・・・・君はアインハルトの仲間じゃなかったのか!?」
「・・・・・・」

本郷の問いかけに、スバルは答えない。

(俺は彼女ーースバルの事を知ってるわけではないが、アインハルトの話では殺しあいに乗るような人間じゃなかったハズだ)

本郷はスバルの表情を観察する。
心優しい人間が死の恐怖から逃れるために、もしくは誰かを守るために殺しあいに乗ってしまう事は十分に考えられる。
だが、今の彼女からは恐怖や怒気・悲しみ、殺意すら感じ取れないマシーンのようだった。
己の意思という物を、今のスバルからは感じ取れないのだ。

(となると、洗脳か!?)

ショッカーからBADANまで悪の組織と戦い続けている仮面ライダーたちは、その過程で組織に洗脳された者はゴマンと見てきた。
スバルも洗脳させられているのではないかと、推測する。
まず本郷は、スバルから生えているあからさまに怪しい植物根に眼を向ける。

(彼女の身体から生えている根・・・・・・最初から生えていたものとは考えにくい。
あれこそが洗脳装置か?)

本郷はスバルが、自分の意思ではなく身体から生えている植物に洗脳されていると推察する。

12捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:36:44 ID:8JECCMaMO


(だとすると厄介だ。
根はどう見ても彼女の身体と同化してしまっている。
無理やり引き剥がせば死ぬかもしれん。
彼女自身は善人である以上、殺したくはない。
どうすれば・・・・・・)
「クウガ!! リント!!」
「ッ!?」

次に彼女の洗脳を解く方法を考えようとするが、かち合う本郷とスバルへ割り込むようにゴオマが襲いかかってきたので中断した。

(今はこの難局を乗り切るのが先か)

本郷とスバルは互いに後方へステップをし、ゴオマの爪攻撃をかわす。
直後にゴオマは標的をスバルに変えて爪と牙を輝かせて叫ぶ。

「リント!!
ゴセン ジャラゾグスバ!!
(リント!! 俺の邪魔をするな!!)」

散々同族に馬鹿にされ続けてきた自分に、強敵クウガ(本郷を自分の知るクウガと同じだと思っている)を殺して、自分の強さを証明する機会が巡ってきた。
その機会に横槍を入れてきたスバルにゴオマは腹を立てているのだ。
獲物をハイエナの如く横取りされる事を恐れたゴオマは、本郷たちより先に乱入者であるスバルを先に始末しようとする。
あからさまに殺意を向けられたスバルも、拳に魔力を収束し、先手を打たんとする。

「リボルバーシュート」

魔力で構成された弾丸が発射される。
威力はディバインバスターほどは無いが、非殺傷設定の場合なら人を殺すには十分だ。
ゴオマはこれを身をそらしてかわし、命中しなかった閃光が流れ弾となってゴオマの後方の森林の中へと消えーー

「きゃあああ!!」

ーー閃光が何かにぶつかった直後に、絹を裂くような少女の叫び声が森の中を木霊した。

(しまった! あの方角には!)

覚えのある少女の叫び声に、本郷の表情は仮面の下で青ざめる。

(あの辺りに、まどかちゃんを隠れれさせたハズだ。
まさか、今の流れ弾でーー)

強迫観念に駈られるように、本郷はアインハルトを小脇に抱えたまま、件の方向へ駆け出した。
まどかの安否を確認するために。

13捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:41:50 ID:8JECCMaMO

だが、叫び声を聞き付けたのはゴオマやスバルも同じ。
なんとしても自分の手でクウガを討ちたいゴオマは、スバルとの戦いを一旦やめて飛び上がり、後を追う。

「ビゲスバ!!(逃げるな!!)」

あっという間にスバルとの距離は離れていった。

「全てはノーザ様のために」
『ウィングロード』

最後にスバルは宙に光る道を形成し、その道に乗るとローラーを最大加速にして追撃を始めた。

〜〜〜〜〜〜〜

時間は少し前に遡る。
まどかは離れた位置にある木の影からずっと、本郷たちの戦いを見ていた。
暗闇であまりよくは見えなかったが、本郷が味方らしい女性と共に蝙蝠っぽい怪人と戦い、突然に乱入者によって本郷が苦境に立たされている所まで見ていた。
本郷のピンチにまどかは焦る。

「このままじゃ、本郷さんが!」

だが、本郷からは戦おうとするなと言われていた。
むしろ、自分に何かあったら逃げろとすら言われている。
それでもまどかは、マミの時のように、さやかの時のように、杏子の時のように、誰かを半ば見殺しにするのはやはり嫌であった。
しかし、魔法少女でもない自分が出ていったところで何もできないのはわかっている。

だが、本郷たちを助けたい。 されど、自分にそんな力は無い。
本郷との約束を破るのか?
自分の安全を可能な限り確保してくれた本郷の気持ちを裏切るのか?
今、飛び出す方が後悔せずに済むのではないか? 後悔より自分の命が大切なのか?

ーージレンマが彼女の焦りを加速させる。

「・・・・・・私は、どうするべきなの?」

今ならば、仮にあの白い悪魔がこの場に現れて誘惑してきてたら、最後には魔女になる運命だと知りつつも契約してしまいそうな焦燥感が彼女の心を包む。
しかし、状況は彼女があれこれ考えている内に動いており、今まで傍観者に過ぎなかった彼女自身もとうとう飲み込んでしまった。

「はッ!?」

スバルの放ったリボルバーシュートが、偶然彼女の隠れていた場所の足元近くに着弾する。

「きゃあああ!!」

まどかは発生した衝撃波に吹き飛ばされて、地面に転がった。
その際にショックで口が空いたディパックの中身の一部をぶちまける。

「う、ううん・・・・・・」

14捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:42:51 ID:8JECCMaMO

幸いにも怪我らしい怪我はしなかったまどかが、ゆっくりと上体を起こすとまだ遠い場所から自分の悲鳴を聞き付けてこちらに向かってくる本郷と、その後ろから着いてくるゴオマとスバルの姿が見える。
また、近くの地面にはディパックからこぼれた見覚えのあるUSBメモリそっくりな形状の物体が地面に突き刺さっており、参加者の名前が記された名簿がページ開いていた・・・・・・

〜〜〜〜〜〜
改造人間としての脚力をフルに発揮し、走る本郷。
ある程度、距離を詰めた所でようやくまどかの姿が見えてきた。
動いている所からすると死んではいないようだが・・・・・・、なぜかそれ以上動こうとしない。
怪我でもしているのか?
ともかく急ぐ必要があると、本郷は駆け続ける。

「クウガ!!」
「邪魔をするなコウモリ男!!」

飛行するゴオマが本郷に追いついた。
ダグバのベルトを取り込む前でも120kmで飛べたのだ、地べたを走る仮面ライダーに追い付けない道理はない。
そして、仲間の元へいち早く辿り着きたいという本郷の願いなど知る気もなく、側面から冷酷なる爪の応酬を加える。
本郷は走りを止めず、アインハルトを抱えてない、もう一方の手で応戦しようとする。
それでも防ぎ切れずに、捌ききれなかった爪が本郷の腹部に一筋の傷を作った。

「ぐおおッ、おのれぇ!」

気絶しているアインハルトを小脇に抱えている分、本郷の戦闘力は低下していた。
少女の重さ自体はどうという事はないが、どうしても腕が片方塞がってしまう。

15捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:43:32 ID:8JECCMaMO
腕二本・足二本の徒手空拳を武器とする仮面ライダー1号にとって、これは戦闘力の低下に繋がる。
少女の安全を考慮するなら、戦闘力は更に悪化、防戦するしかなくなってしまう。
形勢は不利を越えて劣勢だった。
ならば戦闘力の確保のためにアインハルトを手放す? 論外だ。
自分は満足に戦えるが、無防備な彼女が危険に晒されてしまう。
しかし、今の悪戦苦闘に加えてスバルまで襲ってきたら、本郷はいよいよ窮地に陥るだろう。
そして、ゴオマと揉み合っている場所より上空からスバルが光る道に乗ってやってきた。
宙にできた星のように輝く道をローラーブーツで駆け抜ける彼女の姿は、本郷の複眼には死神にしか映らなかった。

「まずい、これはまずいな」

本郷はもっと厳しい戦いを覚悟する。
ところが、スバルは本郷とゴオマをスルー。
そのまま空を行き、ただ本郷たちよりも前へ向かうのみだった。
頭の回転が早い本郷は、スバルの行動の意味がすぐにわかった。

「まどかちゃんから先に殺すつもりか!」

本郷の予想は的中していた。
スバルはゴオマに足止めされている本郷よりも、戦闘力の無いまどかから先に狙うことにしたのだ。
ゴオマはなぜか執拗に本郷を狙っている、無理に介入するとまた三つ巴の泥試合になる可能性がある。
無駄な争いをするだけ時間も体力も浪費し、主であるノーザの野望もその分だけ遠退く。
ならば本郷はゴオマに回して、どこかへと逃げられる前にまどかを殺害する。
そして本郷及びアインハルトとゴオマを戦わせて、生き残って消耗した所を叩きのめす。
その方が効率的だとスバルは判断したのだ。
本郷がゴオマの阻害によって機動力を下げさせられている内に、死神はグングンと前へ進んでいく。

「それだけは、それだけはさせんぞ!」

本郷はそういい放つが、その思いとは裏腹にゴオマはしつこく攻撃を続けてくる。
ゴオマの視点からして、スバルがクウガを狙わなくなったのは好都合、欲しい獲物を再び横取りされそうになる前に仕留めるつもりだ。
相手は今、小脇に小娘を抱えていて自由に戦えない。
クウガを打ち取れる、またとないチャンスであるとゴオマは爪に渾身の力を込めて振り続ける。

16捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:44:23 ID:8JECCMaMO
ここまで悪い状況だと、他者を守ることはおろか、勝てる見込みが限りなく薄い。
本郷自身もそれをわかっている。
だが、わかっているからと言って諦める本郷猛でもない。

「まだだ! 仮面ライダーはまだ死なんぞ!
誰も守れないまま死ぬ気はないぞ!!」

闘志を一寸足りとも衰えさせず、仮面ライダー1号は戦い続ける。
身体のあちこちに傷ができよいとも、パワーと集中力がある分だけゴオマの攻撃を捌き続けた。

ーーその本郷の諦めなかった心に呼応するかのように奇跡は起こった。
これまで守り続けた少女が気絶から醒め、本郷の腕の中から飛び出し、

「武装形態」

少女の姿から大人の姿へ、バリアジャケットを再形成し、その勢いのままゴオマにアッパーカットを食らわせた。
一時的に怯ませるぐらいの効果はあり、ゴオマはたたらを踏んで後退する。
アインハルトはそのまま本郷を守るように、ゴオマの前に出た。

「・・・・・・本郷さん、私を守ってくれてありがとうございます。
お礼は戦うことで返させていただきます」
「大丈夫なのか? 君は怪我を負っているんだぞ!」

気絶から復帰したとはいえ、彼女の顔は青ざめており、戦えそうな状態には見えない。
それでも彼女は構わずに本郷に告げる。

「例え手負いでも数分ぐらいの足止めはできるハズ。
それに私も誰も守れないまま、覇王の強さを証明できないまま、こんなところで死ぬ気はありません」

確かに不安は残るが、無防備ではなくなったアインハルトより戦闘力の無いまどかを助けにいくべきだろう。
ついでに言えば、顔を見ずとも背中でわかるアインハルトの熱い闘気と意思。
同じ戦士である本郷も、彼女の気持ちを無下にしたくない気持ちがあった。
ゆえに、怪人は彼女に任せることにする。

「わかった。
足止めは頼むが、あまり無茶はするな!
まどかちゃんを助けたら必ず君は助けにいく!」
「了解しました」

少女のおかげで自由に動けるようになった本郷は駆け出し、アインハルトは襲いくるゴオマへ拳による足止めを開始する。

だがしかし、遅すぎた。
本郷がいささか距離があるのに対し、スバルは既にまどかの目前にまできているという事に・・・・・・

〜〜〜〜〜〜

17捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:49:46 ID:8JECCMaMO

「どういうことなの・・・・・・?」

まどかは立ち上がって逃げだすことも忘れ、視線が名簿の開いたページに釘付けとなっていた。
それもそのはず、そのページはまどかに状況を忘れさせるには十分すぎるインパクトがあったのだから。
ーーそれは名簿に刻まれた4つの名前。
暁美ほむら・・・・・・言動に謎が多かったが、それはキュウべぇとの契約の危険を知ってるからであると最近になって知らされた。
まどかにとっては魔法少女としては最後に残った友達と言えるのだろうか?
彼女がここにいるということに、頼りになる人がいるという安心感と、殺しあいという場所に連れてこられてしまったという悲壮感で、まどかは複雑な気持ちを抱く。
しかし、それくらいならまどかの感情は“複雑”止まりだったが、問題は他の三人の名前である。
ーー巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子・・・・・・いずれも、まどかの目の前で命を落とした魔法少女であった。
なぜ、亡くなった彼女らの名前が名簿に載っているのか?
まどかは目を疑いざるをえなかった。
目をこすって確信を得ようとするが、その前に何者かによって名簿をグシャリと踏み潰されてしまった。
その何者かとは、スバルである。

「はっ・・・・・・!?」

全身から不気味な根っこを生やし、黄金の目を輝かせれど一切の感情を感じさせない殺人マシーンと化したスバルは、まどかに魔女を目の当たりにした時と同じかそれ以上の恐怖感を与えるには十分だった。

「逃げろ、逃げるんだまどかちゃん!!」

本郷が自分を助けに駆けつけようとしているが、まだ距離がある。
まどかを戦いに巻き込ませないために離れた場所に隠したの仇となってしまったらしい。
せめて逃げるように促すも、別段足の早くない少女が戦闘機人の機動力からは逃れられるハズはない。

まどかは後退るが、すぐにスバルに首根っこを掴まれて、拘束されてしまう。
まどかは必死にスバルの腕を引き剥がそうとするが、全く外れそうもない。
スバルはまどかを掴んだまま、手始めに背面から思い切り地面に叩きつけた。

「がはっ・・・・・・」

鈍い痛みがまどかを襲う。
ショックで瞳孔が開き、気を失ってしまいそうなぐらいの痛み。
苦痛に歪む少女の顔にスバルは何も感じる事はなく、先にシャンプーの頭を潰した時と同じ無慈悲で容赦のない一撃を与えようとする。

18捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:50:58 ID:8JECCMaMO

「まどかーーーッ!!」

おそらく、スバルの拳がまどかを貫ききるまで、本郷は一桁秒間に合わない。
叫ぶのが精一杯だった。



戦闘機人の拳という、理不尽な処刑鎌が降ろされる直前にまどかは願った。

(嫌だ、まだ死にたくない・・・・・・生きていたい!)

まどかの中にも死への恐怖は当然ある。
だが、死への恐怖以上に、ある願いを達成できなくなる恐怖があった。

自分たちを助けてくれた、先輩。
昔から付き合いのあった、友達。
友達になれるかもしれなかった、人。
皆、運命に弄ばれ、まどかの手をすり抜けていった。
どんなに悔いを残そうとも、普通は喪失した以上、もう二度と会う事の叶わない人たち。
だがもしも、名簿に載っていた名前が、自分の知ってる魔法少女たちであるならばーー

(ーー会いたい・・・・・・もう一度生きているみんなに会いたい)

どういう思惑で本郷がこの事を自分に知らせなかったのか、加藤ないしはキュウべぇがどうやって彼女らを生き返したかは、今は考えていない。
ただ“会いたい”、それがまどかの切実で純粋な願いだった。

その願いを叶えるのに必要な儀式はキュウべぇとの契約ではない、生きることである。
逆に言えば、ここで死ねば願いは叶わない。
幸いにもスバルの魔の手から生き延びるために必要な切り札を、まどかは既に握っている。
“C”の文字が刻まれたガイアメモリ、だ。

スバルの拳が届く寸前に、まどかは急いでUSBのようなそれを額に差し込み、叫んだ。


「へ、変身!!」


変身、その言霊を吐くことで強くなれるような気がしたーーまるで本郷のように。

『CYCLONE』

ガイアメモリから発せられた電子音声と共に、姿を変えていくまどかから嵐のような豪風が発せられた。
あまりに強すぎる風はスバルの拳や首を掴んでいた腕を弾き飛ばし、ノックバックさせる。
風はアインハルトとゴオマが対峙する場所にまで届いており、ゴオマは本郷が向かっていた場所を振り向き、言葉を漏らした。

「ボンゾパ バダレンクウガ!?
(今度は片目のクウガ!?)」

まどか自身は、自分が加藤と同じく何らかの怪物に変身した事以外は、何がどうなっているのかわからない。

19捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:53:20 ID:8JECCMaMO
スバルの襲来でガイアメモリの説明書を読む暇がなかった事も起因する。
スバルが強風によって近づけでいるようだが、だとすると、この風は自分が巻き起こしているものなのか?

スバルもスバルで、黙って風に押されてばかりではいられない。
風に押し負けないほどの強力な魔力をまどかだった異形に打ち込もうとする。

「ディバイン・・・・・・」
「きゃあッ!」

異形は敵から放たれそうな攻撃に身を屈めてしまう。

「させるか! ライダーパァァァンチッ!!」

そこへ、今度こそ間に合った本郷の鉄拳がスバルを迎撃する。

「!!」
『プロテクション』

鉄拳は防御結界に防がれてしまったが、攻撃と防御は同時にはできない。
つまり、スバルの攻撃を中止させることには成功したのである。
本郷はすぐさま、まどかの側により、彼女をスバルから守るように前にたつ。

「本郷さん・・・・・・」
「怪我はないか、まどかちゃん?」
「は、はい! 私は大丈夫です」
「そうか・・・・・・しかし、その姿は」

本郷は、今のまどかの姿を見た。
人の形に緑の体色、右側だけだが複眼までついているその姿は、

「ーーまるで仮面ライダーじゃないか」
「仮面ライダー・・・・・・えぇッ!! 私が!?」

サイクロンドーパント。
そのシルエットは、どことなく仮面ライダーに近いものがあった。
こうして少女は、魔法少女よりも先に仮面ライダー(厳密に言えば違うが)になったのだった。

20捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:54:11 ID:8JECCMaMO

「クウガパ ゴセンゲロボザ!!
(クウガは俺の獲物だ!!)」
「あうッ!」

まどかもクウガであると思い込んだゴオマは、自分に狩られるクウガが増えた高揚感と、スバルに横取りされる事への焦りで、いても立ってもいられずに飛び出していった。
今まで足止めをしていたアインハルトも度重なるダメージと疲労で、勢い付いたゴオマの突進を押さえ切れずに弾かれてしまう。

「来るか!」

今まで以上の速度で急接近してくるゴオマに、本郷は構える。
一方、本郷の後ろにいたまどかは、まだ自分が強くなっているという実感を持っていないため、物凄い剣幕で向かってくる怪人に半ば怯えていた。
そして、その怯えがサイクロンドーパントの力を無意識的に引き出した。

「こ、こないでーーーッ!!」
「バビ(なに)!?」

本郷たちとゴオマの間に風の防壁が発生し、突進していたゴオマはそのまま壁に激突してしまう。
石膏や鉄でできた壁ではないのでぶつかってもダメージは無いのだが、基本的に風を使って飛ぶ有翼のグロンギであるゴオマがこの中に入ったのは、致命的なミスであった。

「ギャアアアアアアア!!」

ゴオマは豪風のために翼を煽られ、姿勢の制御ができなくなってしまった。
ここまできて、本郷はまどかの力を理解する。

「風を操る力、どうやら今のまどかちゃんにはそれが備わっているらしい」
「この風・・・・・・私が起こしたものなの?」

まどかもようやく自分の能力を理解したのだった。
風の力が切れた時には、ゴオマは切り揉み状態になってそのまま宙に打ち上げられた。
ーーそれは攻防どちらもできない無防備な状態である。

「はっ! 決めるなら今しかない!!」

今が強敵ゴオマを撃破できる隙ができたと睨んだ本郷は飛び出した。
体勢を建て直させて、まどかが作った絶好の勝機を見す見す無駄にするわけにはいかない。
木々の間を飛蝗のように素早く飛び移りながら高度をあげていく本郷。

21捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 12:59:07 ID:8JECCMaMO
そして、高度が風にさらわれたゴオマよりも数段上をとった所で、あらゆる怪人を倒してきた必殺の蹴撃を叩き込む。


「ライダーキィィィック!!」


本郷の飛び蹴りは一直線にゴオマを向かい、その背中にズドンッと重い打撃を与えた。

「ギャアアアアアアアア!
・・・・・・ゴ ゴセゾ ボソグビパ バスギバ、リゾシギソンクウガ!
(お、俺を殺すには軽いな、緑色のクウガ!)」

しかし、多くの怪人が威力に耐えられずに爆散するライダーキックにゴオマは耐えきった。
ダメージは確かに与えたが、闇の力で強化されたゴオマを倒しきるにはいたらなかった。
このまま、キックの威力によって地上に叩きつけても決定打になりそうにない。
本郷の力だけではゴオマは倒せないのだ。
そう、“本郷”だけでは。

「まだ終わりじゃありません!」

地上ではアインハルトが拳に魔力を貯めて、待ち構えていた!
本郷のキックでゴオマを倒せなかった場合の保険として、アインハルトが追い討ちをかけられるように、わざわざ上からライダーキックをかけたのだ。
二人の間で事前に作戦を立てられていたわけではないが、戦士としての経験と勘が、互いがどのように動くかを予想付けしたのだ。
結果、互いが互いの思い通りに動いてくれた。
息のあったこの攻撃をゴオマは避ける手だてはなく、ただ流星のように墜ちて燃え尽きるだけだ。


「覇 王 断 空 拳!!」


流星となったゴオマの腹にアインハルトの奥義が炸裂する。
背中にはまだキックの張りついている本郷。
キックとパンチのサンドイッチは、今度こそゴオマの芯に届いたのだった。

「ギャアアアアア・・・・・・がふっ」

ゴオマは断末魔の叫びを上げ、吐血。
爆発こそしなかったが、ずるりとアインハルトの腕から落ち、地面に落ちてピクリとも動かなくなった。
決め手を放ったアインハルトは一呼吸し、まどかは二人の側へ、本郷は地面に2つの足をつけた。

「手強い相手だったが、なんとか倒したようだな」
「そのようですね」
「やった・・・・・・」

22捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:00:18 ID:8JECCMaMO

その様子を見て、三人は怪人を倒したと確信を得る。
ーー残る敵はスバルのみだった。

「後は君だけだな」

本郷を筆頭に三人はスバルと向き合う。
スバルは周囲を見回して状況を確認する。
仮面ライダー、魔導士、ドーパントとの1vs3、数の上では明らかに不利だ。
その上、受けたダメージは皆無だが、短い間に魔法を連発し過ぎたせいか体力と魔力の回復が追い付いていない。
本郷とアインハルトの連携技が放たれる間に、まどかを襲ったり、横槍を狙わなかったのはこのためである。
疲労は肩で息をする程度には表に現れており、本郷辺りはもう気づいている。

そんなスバルの次の行動は、ディパックをまさぐり手榴弾らしき物を本郷たちに投げつけることだった。

「質量兵器!」
「爆弾!?」
「二人とも、散開するんだ!!」

爆発による被害を避けるために三人はそれぞれの方向へ散る。
しかし、発破したそれは爆炎を周囲に撒き散らすのではなく、大量の煙を吐き出した。
白煙は三人を飲み込んでしまう。

「スモークグレネードか!」

煙により辺りが見えなくなった。
三人はスバルがこの煙に乗じて襲ってくるのではないかと警戒したが、結局襲いかかってこなかった。
その代わりに、煙が晴れた時にはスバルの姿はどこにもなかった。

「逃げたか・・・・・・」

逃げる時には宙を移動できるウィングロードを使ったのだろう、足跡などの痕跡が残っていないため追跡は不可能だった。
文字通り、本郷たちは煙に撒かれてしまったのだ。

一時の死闘が終わり、アインハルトは地面に力なく腰を掛け、変身を解いて子供の姿に戻る。
身体中にできた傷は生々しく、呼吸も荒く、彼女は気を保つだけでもやっとだろう。
心配した本郷が声を掛ける。

「アインハルト・・・・・・いや、アインハルトちゃんと言うべきか。
ともかく、もう無理をするな。
どう見ても君の体には休憩と治療が必要だ」

アインハルトにはどこか安全な場所で休ませなければならないと本郷は思った。
その気遣いにアインハルトは感謝する。

「本郷さん、心配をかけて・・・・・・申し訳ありません」
「良いさ、君のコウモリ男の足止めと最後の一撃で、俺とまどかちゃんは助けられたんだからな」

23捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:01:49 ID:8JECCMaMO

本郷の労りの言葉が、アインハルトには嬉しかった。
しかし、アインハルトの中にある憂鬱な気持ちを払拭するには至らなかった。
彼女が考えていたのはスバルのことである。

(誰がスバルさんにあんなことを・・・・・・洗脳して操って殺人の片棒を担がせるなんて)

やはりアインハルトも、スバルが何者かに操られていると気づいていた。
スバルから生えていた植物が洗脳の元が原因なのはわかるが、それを植え付けたのはどこの誰か?
アインハルトの怒りはその誰かに向いていた。

(絶対に許さない。
スバルさんを洗脳した犯人は見つけ次第、叩きのめします)

普段は物静かなアインハルトの脳裏に物騒な言葉が出てくるほど、彼女の怒りは深かった。

そして、まどかも腰が抜けて地面に尻餅をついた。

「まどかちゃん?」

こちらはアインハルトに比べれば、怪我も疲労も大した事はない。
だが、酷く怯えている様子だ。
ドーパントからの変身を解いてないのは、またスバルが戻ってきて自分たちを殺しに来るのではないか? という疑いの顕れかもしれない。

「ほ、本郷さん・・・・・・マミさんやさやかちゃんは、いつもこんな怖いを思いをして戦ってたのかな? ははは・・・・・・」

怯え隠しにまどかは力なく笑った。 声もどこか涙声だ。
まどかの双肩に本郷は両腕を起き、眼を合わせてから深々と頭を合わせて謝った。

「すまない、まどかちゃん・・・・・・
結局、君を守るつもりが、危険な目に遭わせたあげく戦わせてしまった。
俺は自分が情けない・・・・・・」

本郷は仮面ごしでも伝わるぐらい、己の不甲斐なさへの嘆きとまどかへ申し訳ないという感情を込めて謝罪した。
実のところ、本郷が謝るべき負い目は何一つ無い。
まどかが隠れていた場所がバレたのは偶然であったし、今回はたまたま運が悪かったのだ。
別にまどかに戦いを強制したわけでもなく、彼女が戦ったのは自分の意思であるし、半ば不可抗力であった。
アインハルトにしては、本郷たちが駆けつけてくれなければ命が危なかっただろう。
それでも責任感が人一倍強い本郷は謝らなければならないと思ったのだ。

「・・・・・・確かに怖かったです、でも本郷さんは悪くない、何も悪くないんです!」

まどかはただ、首を降って本郷に責任はないことを訴えた。

24捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:03:23 ID:8JECCMaMO


そのような少しずつ緩みだした空気も束の間、再び空気は張り積める。
ある者が、目覚めようとしていたからだ。

「リ・・・ント・・・・・・クウ・・・ガぁぁぁ!」
「「「!?」」」

先ほど倒したと思っていたゴオマが、意識を取り戻したのだ。
地面に両手両膝をつけて満身創痍の様子だが、強い殺意を含んだ眼差しを絶えず三人に向けている。

「奴め、まだ生きていたのか」
「蝙蝠なのにゴキブリ並のしぶとさですね」
「本郷さん・・・・・・」
「まどかちゃんとアインハルトちゃんは下がっていろ!」

二人の少女を下がらせ、本郷は怪人の対処を始めようとする。
だが、しかし!

「ボソグ、ボソグ、ボソグぅぅぅ!!
(殺す、コロス、ころすぅぅ!!)」
「な、なにィ!?」

ゴオマの殺意は絶頂に達した。
さらに殺意に呼応すらかの如く、ゴオマの身体に変化が現れたのだった・・・・・・今、絶望が始まる。

〜〜〜〜〜

時を同じくして、地図上でちょうどC-5とC-6の境目に当たる場所。
スバルは主であるノーザと合流していた。
スバルはゴオマが倒れ、本郷たちとにらみ合いをしていた最中に遠方からチカチカと何かが発光しているのが見えた。
本郷たちはその光には最後まで気づかずじまいだった。
それは支給品の懐中電灯で発せられたモールス信号に似たサインであり、サインの送り主こそ主であるノーザだった。
サインの意味は撤退命令であり、スバルは命令に従って本郷たちから逃げてきたのだった。

「ご苦労様、よく働いてくれたわね」
「お褒めにいただき感謝いたします」

ノーザは周囲が見下ろせる程度に高い木の頂上で、双眼鏡片手に立っていた。
この双眼鏡で、C-6の戦いを遠巻きから観察していたのだ。

スバルの戦闘テストの結果、キルスコアは0であったが、スバルにとっても仮面ライダーやグロンギのような未知の戦力に加え、まどかがドーパント化するなどイレギュラーな自体もあったため、これには眼をつむる。

25捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:06:15 ID:8JECCMaMO
パワー・スピードは優れており、周りは全部敵である激戦区で新たに受けた傷は無しというだけでも合格ラインに値する。
結果、スバルはノーザのお眼鏡にかない、非常に利用価値のある“簡単には壊したくない玩具”に認定された。

さらにスバルは、ノーザにとって面白い拾い物をしてきた。

「ガイアメモリ・・・・・・ふ〜ん、あんな形でも、麻薬によく似た危険性を持っていたのね」

スバルが拾ってきたのは、まどかの持っていたガイアメモリの説明書。
まどかが拾い損ねたものを、スバルがドサクサ紛れに掠め取ったものである。
よって、ノーザはガイアメモリの特性と使用のリスクを知り得た。
反対に、まどかはメモリ使用に伴う危険性をまだ知らない。
ガイアメモリは、まどかにとって起死回生の切り札だったが、同時に道化が笑うジョーカーのカードでもあったのだ。
もし、リスクを知らないままでメモリを使い続ければ、やがて体も心も蝕まれて彼女は崩壊するだろう。

「あの小娘が、どのように壊れていくか非常に興味があるわね」

希望のないことが大好きな魔女は、説明書をビリビリと破り捨てつつサディスティックに笑った。

さて、スバルの性能テストも終わり、ノーザの優勝までの次の目標は白紙に戻った。
C-6の争いは一先ず終わったが、この会場のあちらこちらから、戦いの音が聞こえる。
スバルの疲労の色も濃いため、長く使っていくなら、迂闊な戦いはさせられない。
仮面ライダーやドーパントといった、まだ知らぬ存在もまだまだいそうだ。
敵対者のプリキュアも存命して闊歩している限り、次の行動は冷静かつ慎重に決めねばならない。
ノーザは次の行動について考え始める。

「ふぅ、まだ殺しあいは始まったばかりでゴールは遠そうね。
次は何をしようかしら?」

一方でスバルの頭の中では新しい疑問がぐるぐると回っていた。

(あの女の子は、どうしてあたしの名前を知ってたんだろう?)

初めて会うはずなのに、自分の名前を呼んだ少女。
もっとも管理局に与する者でストライカーズを知っていれば、所属する部隊が違ってもスバルの名前は知っていてもおかしくはない。
それでもアインハルトはまるで、面識があるかのように自分の名前を呼んでいた気がする。
それでもスバルには彼女に会った記憶はない。
なぜだ?

26捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:08:10 ID:8JECCMaMO

答えは、アインハルトと出会うことはスバルにとって未来の出来事であり、アインハルトはスバルにとっての未来人であるからだ。
未来人(アインハルト)が、過去の人間(スバル)に対して自身のいた時間の認識で接したため、スバルに混乱を招いている。
この時点でラダムテッカマンたちを除けば参加者の連れてこられた時間軸にズレが生じているなど、ほとんど誰も気づいていない。
スバルも人知れずその事実に足を突っ込んだのである。

スバルはこの疑問をノーザに打ち明けることはしなかった。
なぜなら、ソレワターセに侵された彼女の思考は、ノーザからの次の指示を待つ事を優先とされていたからである。

心を奪われた、悲しき殺戮マシーンの夜は長い。

〜〜〜〜〜〜〜

C-6、そこで新たな戦いは、起こらなかった。

「この男が、コウモリ男の正体なのか?」
「バン・・・・ザド・・・・・・!?
(なん・・・だと・・・・・・!?)」

本郷たちの目の前にいるのは蝙蝠怪人ではなく、黒いコートに黒い帽子を被った人間の男であった。
この姿こそゴオマのもう1つの姿、人間態である。
だが、これは強敵がいる前でわざわざ変身するための姿ではない最弱の形態だ。
本人も何やら困惑しているように見える。
それもそのハズ、ゴオマは自分の意思でこの姿になったのではないからだ。

ーーゴオマの体に、何が起こっているのか?
まず、グロンギ族には共通して腹部にアマダムが埋め込まれている。
アマダムとは、グロンギの命と力を司る霊石であり、怪人への変身もこの石のおかげである。
アマダムが破壊されたり、アマダムと持ち主を繋ぐ腹部神経が切れたりすればグロンギは例外なく死ぬ。

ゴオマは先ほど、本郷とアインハルトの合わせ技を食らった。
背面を蹴られ、腹部に拳を叩き込まれた。
その際に、アインハルトの拳から大量の魔力をアマダムに送られたのだ。

27捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:09:10 ID:8JECCMaMO
アインハルト一人ならゴオマのアマダムまでにある鎧のような筋肉が邪魔で魔力が届きづらかったが、本郷によって背中から腹を押しだされ、魔力が通りやすくなっていたのだ。
しかし、ここで取り込んだダグバのベルトの破片、その中にある闇の力が宿主の危機に呼応して放出されて、2つのエネルギーがぶつかり合った。
魔力は中和・分散させられ、アマダムの完全破壊を防いだ。
そしてゴオマは多大なダメージを受けつつも、死だけはなんとか回避したのである。

が、多少でも魔力は届いており、アマダムは破壊されずとも、その機能に若干の影響は現れた。
アマダムの不調を招き、怪人への変身ができなくなったのだ。
ゴオマがどれだけ念じても、元の怪人へは戻れない。
これが一時的な機能障害ならばともかく、永久的なものであればグロンギとしての人生の終わりを意味する。

「グゴザ・・・グゴザ ゴンバボド・・・・・・」

ゴオマも、先ほどまで感じていた“ン”の力は消えてしまい、それどころか普段の力すら感じ取れない。
アマダム不調の関係で、破片までその力を閉じてしまったらしい。
自分の身に起きた異常事態に、もはや本郷たちへの殺意も忘れて、オドオド慌てふためくだけである。

せっかくゲゲルに参加できる権利を手にいれたと思った矢先、力を失ってしまった。
今のゴオマはゴ集団はおろか、ズ集団にも及ばないリントと同程度の力しか持たぬ非力な存在と化していた。
これではもう、ダグバに勝つことはおろか、“整理”からも逃れる術もない。

ゴオマの絶望の始まりだった。
希望なき未来に、彼は泣き叫ぶ。


「グゴザ ゴンバボドーーーッ!!!」


グロンギ語がわからぬ本郷たちでも、それが嘆きの言葉である事ぐらいは理解できた。

28捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:12:29 ID:8JECCMaMO
【一日目・黎明/C-6 森林】


【本郷猛@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(中)、腹部に切り傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3(移動に使える物はない)
[思考]
基本:この殺し合いを終わらせる
0:まずは怪人蝙蝠男(ゴオマ)の対処を決める
1:まどかを保護する、彼女を絶対に魔法少女にはさせない
2:一文字、結城、沖の三人と合流する
3:他の魔法少女を探す
4:村雨がもし復讐に走るようならば見つけ次第止める、三影は見つけ次第必ず倒す
5:アインハルトを信頼
6:まどかを戦わせてしまった事に後悔を感じている
[備考]
※参戦時期は7巻最終話、村雨と共にライダー車輪を行った後〜JUDO出現前までの間です。
※他のライダー達とは通信ができません。
 これは、加頭が会場に何かしらの妨害装置を置いているためではないかと判断しています。
※まどかの話から、魔法少女や魔女、キュウべぇについての知識を得ました。
※加頭の背後にはキュウべぇがいて、まどかを追い詰め魔法少女にする事が殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※死んだ筈の魔法少女達が生きている事は、まだまどかには話していません。
 これもキュウべぇや加頭の仕業ではないかと睨んでいます。
※ スバルが何者かに操られている可能性に気づいています。

29捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:15:16 ID:8JECCMaMO

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)、若干の混乱
[装備]:サイクロンメモリ@仮面ライダーW(説明書紛失)
[道具]支給品一式、ランダム支給品0〜2(移動に使える物はない)
[思考]
基本:この殺し合いから脱出する。
0:これが戦い・・・・・・
1:本郷と一緒に行動する。
2:他の仮面ライダー達を探す。
3:キュウべぇの思い通りにならない。
4:もし生きてるならみんな(ほむら、さやか、マミ、杏子)に会いたい・・・・・・
5:私が仮面ライダーに!?
[備考]
※参戦時期は11話、ワルプルギス襲来前になります。
※本郷の話から、仮面ライダーや改造人間、ショッカーをはじめとする悪の組織についての知識を得ました。
※加藤の後ろにはキュウべぇがいて、自分を追いつめて魔法少女にすることが殺し合いの目的の一つではないかと考えています。
※名簿を一瞬だけ見て、ほむら、さやか、マミ、杏子の名前があることを確認しました。
※サイクロンメモリの説明書紛失のため、ガイアメモリ使用のリスクを知りません。

【アインハルト・ストラトス@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:魔力消費(中)、ダメージ(大)、疲労(中)、背中に大怪我
[装備]:アスティオン@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3個(確認済み)
[思考]
基本:皆(ヴィヴィオ、なのは、フェイト、スバル、ティアナ)を守るために戦う
0:誰がスバルさんをあんな風に・・・・・・!
1:蝙蝠男(ゴオマ)の対処を決める
2:スバルを追いかけたい
3:皆に害を及ぼす者に容赦しない
4:人の命を奪うことに迷い
5:本郷を信頼
[備考]
※ スバルが何者かに操られている可能性に気づいています。

30捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:16:10 ID:8JECCMaMO
【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、体内のアマダム不調、混乱
[装備]:ダグバのベルトの破片@仮面ライダークウガ
[道具]:バグンダダ@仮面ライダークウガ、支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本:自分のゲゲルを行う
0:変身できない? 嘘だ、そんなことーーー!!
[備考]
※36話、ダグバの力を取り込む前からの参戦です。
※ダグバのベルトを取り込んだことにより強化態への変身が可能ですが、時間が経てば究極態への変身も可能です。ただし・・・・・・
※アマダムの不調により現在は怪人態への変身ができません。
これが一時的なものか、永久的なものかは次の書き手さんにお任せします。
※本郷(仮面ライダー1号)と、まどか(サイクロンドーパント)をクウガと同じものだと思い込んでます。

【一日目・黎明/C-5とC-6の境目 森林】


【ノーザ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡@現実
[道具]:支給品一式×2、ランダム支給品0〜1個、シャンプーの不明支給品1〜3個、水とお湯の入ったポット一つずつ、ソレワターセの実(一個)@フレッシュプリキュア!
[思考]
基本:この殺し合いに優勝し、一切の希望がない世界を作る。
1:次の行動を決める。
2:利用出来る参加者と出会えたら、プリキュアの悪評を出来る限りで広める。
3:ソレワターセの使用は出来るだけ慎重にする。
4:プリキュア達はここで始末する。
[備考]
※プリキュアオールスターズDX2でボトムによって復活させられた後からの参戦です。
※花咲つぼみと来海えりかの存在は知っていますが、明堂院いつきと月影ゆりとダークプリキュアに関しては知りません。
※ソレワターセはある程度力が押さえられている上に、もしも首輪に憑依させたらその瞬間に爆発するかもしれないと考えています。
※DX2からの参戦なのでソレワターセの実を食べなくても変身できます。
※奪った説明書からガイアメモリの特性を知りました。

31捲られたカード、占うように笑う ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:17:11 ID:8JECCMaMO
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、ソレワターセによる精神支配、シャンプーの肉体を吸収
[装備]:マッハキャリバー、リボルバーナックル@魔法少女リリカルなのは、カートリッジの弾薬セット(残り14発)@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、スモークグレネード@現実×2
[思考]
基本:ノーザ様のしもべとして働き、参加者を皆殺しにする
1:ノーザ様の指示待ち
2:あの女の人(高町なのは)は・・・・・・誰?
3:あの子(アインハルト)はどうして私の名前を知ってるの・・・・・・?
[備考]
※参戦時期はstrikers18話から20話の作戦開始前までのどこかです。
※シャンプーの姿を前回の任務の自分(strikers17話)と重ねています。
※『高町ヴィヴィオ』は一応ヴィヴィオ本人だと認識しています。
 また、彼女がいることからこの殺し合いにジェイル・スカリエッティが関わっているのではないかと考えています。
※ソレワターセに憑依された事で大幅にパワーアップしています。
※シャンプーの遺体を吸収し、彼女に関する情報を入手しました(首輪も含まれています)。

32 ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 13:19:41 ID:8JECCMaMO
投下以上です。

最後の辺りのゴオマのグロンギ語の訳が抜けているのは仕様です。
意味は状態表を見ればわかると思います。

33名も無き変身者:2011/11/22(火) 13:28:30 ID:Q/QP2Ydg0
投下乙です
問題点は特にないと思うので、感想は本投下の際に

それと気になった点が一つ
>「え? どうしたのティア?!」
恐らくティオだと思います。

34 ◆udCC9cHvps:2011/11/22(火) 15:48:20 ID:8JECCMaMO
>33の方の指摘の通り、>10を以下のように修正いたしました。


アインハルトの知るスバル・ナカジマという人物像は、とても正義感の強い人物であり、便りになる人物であった。
戦闘力こそ高いが、優しい性格であるため殺し合いに乗る事は絶対しない。
この場においては進んで殺し合いに乗っていない者を助け、殺し合いの破壊を強く望む女性であるーーアインハルトはそう信じていた。

『にゃ!? にゃーーー!!』
「え? どうしたのティオ?!」
『にゃーッ! にゃーッ!』

突然騒ぎだしたデバイスにアインハルトは目を向ける。
それは『強く警戒しろ』と訴えているようだった。
アインハルトがデバイスからスバルへ視線を向け直すと、彼女はもう10m近くまで接近していた。

・・・・・・だが、そこにいたのはアインハルトの知るスバルではなかった。
蒼い髪、高町なのはの物を模した白いバリアジャケット、額の鉢巻き、手甲とローラーブーツ状のデバイス、それらは記憶と同じだ。
しかし、身体の各所に植物の根っこが各所に生えており、何より瞳の色は金色、表情に生気も無く完全に機械と化していたーーこんなスバルをアインハルトは知らない。
さらにスバルがこちらに高速で向かいながら、拳を溜めていた。

なぜ彼女がそんな事をしているのか?
距離はもはや3m足らず。
一瞬の安心と油断が枷になったため、アインハルトの頭の中で状況処理をするには時間が足りない。
防御にまわせる魔力を練る時間がない。
そして、感情が一切籠らぬ声に合わせて、

「ディバインバスター」

スバルの拳から強烈な閃光が放たれた。
閃光は轟音と共にスバルの正面に合ったものを蒸発させ、余波だけで土や落葉を宙に浮かせ、木々をへし折った。

閃光が止んだ後には、スバルの前に倒れている本郷とアインハルトの姿があった。
ただし、本郷はほとんど無傷であり、すぐに首を起こす。
だが・・・・・・

「アインハルト!?」

本郷の胸に重なるようにアインハルトがぐったりとしていた。
彼女は背中のバリアジャケットの大部分を砕かれ、痛々しい傷を負っている。

実はディバインバスターが炸裂する寸前に、直感で危険を感じとったアインハルトが、反射的にきびすを返して本郷を押し倒し、両者の直撃を回避したのだ。

35名も無き変身者:2011/11/22(火) 18:06:03 ID:HMvfXPzY0
投下乙

まどかの状態表について質問
サイクロンメモリはT2ということでいいんですよね?ルール上T1はフィリップが持ってるはずだし

36名も無き変身者:2011/11/22(火) 18:59:30 ID:rlxwSDZQ0
>>36
T2ですね。
ルール上支給はT2だけのはずですし。

37名も無き変身者:2011/11/22(火) 19:00:10 ID:rlxwSDZQ0
まちがえた
>>35

38名も無き変身者:2011/11/22(火) 19:25:38 ID:hEAsqWPw0
仮投下乙です。

内容は問題無いと思います。ただ一点、修正された>>34
>アインハルトの知るスバル・ナカジマという人物像は、とても正義感の強い人物であり、便りになる人物であった。
「便りになる」は「頼りになる」ではないでしょうか?

39 ◆udCC9cHvps:2011/11/23(水) 04:09:50 ID:8JECCMaMO
ようやく戻りました。
皆様、ご指摘ありがとうございます。

まどかのガイアメモリはT2ですが、うっかり表記を忘れてました。
また誤字もそこかしこにあるみたいです。
その辺りを修正して本スレに投下しようかと思います。

40名も無き変身者:2011/11/23(水) 06:24:24 ID:UbGMEgSk0
誤字に関しては他の皆さんが指摘してる通り
内容に関してはまったく問題ないというかむしろ素晴らしいと思います

41 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:02:52 ID:NlMREnaQ0
一度こちらで投下します。

42 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:03:44 ID:NlMREnaQ0
 さやかの足取りはまるで浮浪者のようであった。
 魔法少女という得体の知れない存在になってまで掴んだ「正義」、「存在意義」への全否定。
 彼女の心には傷というより靄として残っている。
 しかしその靄はソウルジェムの濁りとして、確かに彼女を死に近づけていた。


(…………誰か、教えて…………)


 自分が信じたいものへの答えを、他人に求める。
 彼女の正義を崩したのは他人であったから、また第三者の意見を聞きたかったのかもしれない。
 自分ひとりではどうしようもない。
 世界とはどういうものなのか。己の考え方、その答えを若き彼女はまだ掴んでいない。
 ただ、平等にこの世を見られる大人を捜してふらふらと歩いていく。
 あれからかなり時間は経ったが、時間の経過によって晴れる靄ではなかった。


 彼女のふらふらと歩く様子は、否が応でも目に留まった。
 いや、彼女を目に留めた男は彼女の姿以外の何かに惹かれていた。
 彼の口元が歪む。
 邪悪な笑みを見せる男が近付いていることに、さやかは気づいていなかった。


「こいつは良い『材料』だ……」


 溝呂木眞也。
 人の心を弄ぶ卑劣漢の笑みがさやかを凝視している。
 このままさやかがしばらく進んでいれば、五代雄介という至極前向きな男と出会い、或いは三影の捻くれた持論を打ち消すこともできたかもしれない。
 ただ、五代にひっそりと付きまとっていた男の存在が、さやかにとって最大の障害だったのだ。
 溝呂木は笑いながら、もう一つの材料を彼女に闇を放った。


「えっ!? 何────」


 本人が背後から来る「何か」の存在に振り向いた時、既にさやかの体にそれは到達しようとしていた。
 それは、回避することができない「闇」という抽象的な物体だった。
 さやかは一瞬、驚愕した顔を見せたが、そこで生まれた別の人格が彼女の表情を笑みへと変えた。


 闇の道化師が生まれたのだ。


★ ★ ★ ★ ★

43魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:04:48 ID:NlMREnaQ0
「この中で何かがあったみたいだな……」


 照井はただでさえ廃れた教会に、真新しい焦げ痕が残っていることに気づいた。
 いや、おそらく誰であっても気づくだろう。
 まるで大砲でも発射されたかのように教会の壁や天井が吹き飛んでいる。

 ティアナによるものだろうか?
 確かに彼女は銃を使うし、トリガー・ドーパントにもなった。
 しかし、これはあんな小さな銃の口径によるものじゃない。これは間違いなく、彼女よりも強い武器の持主がやったことだ。
 少なくとも、今この惨状によりわかるのは、殺し合いに乗った人間もしくは大量破壊を厭わない危険人物は、照井が思ってい居る以上に多いということだけであった。
 推理をしようにも、参加者全体に関するデータが少なく、それは難しい。大砲やそれに準ずるものを武器として持つ変身能力者がいる可能性が高くなったとして、それがこの傷跡から大雑把にしかわからないならば、対策も立てられない。
 それでも現場から少しでも手がかりを得ようとする照井を心配して、ミユキが口を開いた。


「崩れたりしないでしょうか……?」


 その心配や不安に満ちたミユキの顔を見て、照井も無茶をやめる。他人を心配してこの顔ができる少女の表情を少しでも変えようと思ったのだ。
 それに、テッカマンに変身するたびに危険が伴う彼女を、兄との合流まで護ることができるのは仮面ライダーアクセルである自分だけなのだという責任も簡単には放棄はできない。
 戦闘でもないのに無茶して死んだら世話がない。


「可能性は否定できないな。ここは離れた方がいい」


 場合によっては生死が関わる質問であったためか、照井はいつもの台詞を言わず、少し未練ある現場を眺めつつミユキとともに離れていく。流石にここで「俺に質問するな」と返してしまうのは無責任だ。
 ふと気にかかる点が浮かぶ。
 この攻撃の痕は気にかかるが、ここで何かがあったというのなら、照井たちも気づいたっておかしくないはずだと思った。大砲に値するだけの武器で痕を作るならば、それ相応の轟音もするだろう。
 と考えると、ここで何かが行われたと推定されるのは照井たちの戦闘中だ。あの戦闘から教会に向かうまでの時間は轟音をかき消す声で喋ったりはしていない。
 やはりティアナは違う。それは確証に変わった。
 

(見たところ、死体のようなものはなかった……戦闘というより、誰かが暴れた痕か……?)


 或いは、これだけの砲撃を受けても生存できるような特殊な変身体質の者だったか、被害者がこの攻撃によって死体ごと消滅してしまったか……。
 いや、後者ほどの威力があるのならば戦闘中でも気がついたかもしれないし、この場からは焼肉のような匂いはしない。人の体が焼けたような匂いは残っていないのだ。
 とはいえ、説が複数あり、どれも証拠がない以上は詳細不明と同じ。深く考えてわかることでもないので、今はこの教会から遠ざかることを優先する。
 どちらにせよ、仲間たちが此処にいないならばすぐに村へと向かう予定であったが。


(もしかしたら、この痕はテッカマンの力によるもの……?)


 一方、ミユキもまた己の経験を活かして考える。
 ミユキもこのように壁や天井に大穴を開けることができる能力をもつ戦士の一人だ。だかr、真先に、テッカマンのことを考えた。
 さらに特定するなら、テッカマンたちの究極の技、ボルテッカだ。
 それを使えば確かに天井に穴を開けることなど造作もない。あれだけの威力を持つ攻撃を使えば教会ごと吹き飛ぶ可能性が高いが、ボルテッカを放つ際に威力を調整すればいいだけの話だ。
 そして、威力を調整するということは、大きな破壊や殺戮を生みたくないという意思であるとも考えられる。
 本気で他人を殺すつもりで撃ったなら、教会ごと破壊するだろう。

44魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:05:37 ID:NlMREnaQ0
(威力を調整するっていうことは、相手を殺したくなかったっていうこと……? もしかして、これはお兄ちゃんが──)


 これが兄・相羽タカヤ──テッカマンブレードによるものならば、相手にトドメを刺さないようにボルテッカの出力を抑えることもできるのではないかと思えた。
 精神支配されたテッカマンたちやラダムには容赦はないだろうが、相手が先ほどのティアナのようなドーパントであったなら多少の手加減はするかもしれない。
 その他の理由でエビルやランスが手加減した可能性や、テッカマンでない者がやった可能性も否めないが、やはり一番考えたいと思う理由がミユキの思考の大半を占める。

 本当に兄がここにいたのなら、兄は何処へ向かっただろう。
 わざわざ村に向かう道路があるのに、森林側に向かうだろうか?
 逆方向に向かったならば自分たちとすれ違っているはずだし、村側に向かうに決まっている。


 向かう方向はおそらく間違っていない。
 ミユキはそう確信し、期待に胸を膨らませる。
 できるだけ早く移動して兄に追いつきたいという気持ちであった。

 そうして感情が村へと向かっていて、周囲を見ることを忘れていたミユキに照井が叫んだ。


「……危ないっ!」


 ミユキはその声が聞こえた方向を見る。
 と、同時に目の前で「仮面ライダーアクセルへ」と黒色の気弾がぶつかった。
 一瞬、何が起こったのかはわからなかったが、自分の命が今危なかったことに気がついた。
 そして、今自分を庇って深いダメージを受けたアクセルに、焦って声をかけるのが二番目の行動。


「だ、大丈夫ですか!?」


 何者かに襲撃され、照井が咄嗟にアクセルへと変身して助けてくれたのだと理解したのは彼女の中では三番目の行動となった。
 だとするなら、アクセルの怪我の程度はどうだろうか。
 ミユキを助けたせいで、ろくな受け身もとれなかったのではないかと、心配は増していく。


「俺に質問するな」


 片手にエンジンブレードを構え、それを盾としていたため、アクセル自身の体もほぼ無傷であった。
 ミユキは安心するが、敵がいるだと気づくと即座に不安に見舞われた。安心して息をつくより以前にそれに気づいたせいで、変な息が漏れる。
 また何者とも知れない敵が現われたのだ。
 テッカマンでも、ドーパントでも、ラダムでも、仮面ライダーでもない。二人は心当たりのない相手に息を呑む。

 三本の角の生えた不気味な模様の怪人。
 赤と黒が左右に交互に彩られた奇怪なマークや、胸元に輝くクリスタル状のものが厭でも目を引いた。
 目元に化粧をしたかのような姿は、まるでクラウンのようである。

 ダークファウスト。
 操り人形である闇の魔人であった。


★ ★ ★ ★ ★

45魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:06:09 ID:NlMREnaQ0
 溝呂木眞也は、先ほど手に入れた都合の良い操り人形で遊んでいた。
 ダークファウストは本来、骸である人間が溝呂木の手によって変貌した姿である。
 ゆえに、既に肉体が生存していない「魔法少女」はファウストにする事に都合の良い存在であった。
 溝呂木は知らないが、この場において死者の蘇生は禁じられているゆえ、溝呂木が殺した人間がファウストとなることはない。
 魔法少女という特例中の特例が、この場では唯一ファウストとなることが可能なのである。


(コイツは闇に堕ちるには打ってつけの存在だった……こんなにも簡単に欲しかった物が手に入るとはな……!)


 そのうえ、さやかの胸に秘めたる負の心は溝呂木が今最も求めるものだった。一体、何が理由であそこまで心がすさんでいたのかは、溝呂木が知る由もない。
 思春期という特殊な時期が彼女をおかしくしたのかもしれないし、元から乱れやすい精神状態だったのかもしれない。
 とにかく、闇の中にある彼女の姿は何よりも輝いて見えた。


 さあ、ファウスト そいつらを殺せ


 斎田リコがファウストになった時は、人間である時にファウストとしての記憶を亡くしていた。
 この女に関しても恐らく同じだ。
 だからこそ、尚更面白いと思えた。
 もし彼女が自らの行動に気づいたら…………?
 それを考えると面白くて仕方が無かった。


 ただ、残念ながら今はあのファウストを眺め続けられそうにはなかった。
 五代と凪を見逃してはならない。いずれも、溝呂木にとってはより面白い実験材料となりそうだからだ。
 五代と凪、新たなるダークファウスト────二つの存在を見守ってやりたいと思ったが、二兎を追う者は一兎も得ず。彼にとっての優先順位は因縁ある凪の方が高いのである。
 そのため、彼女のその後は溝呂木の中では想像に任されることとなった。
 自らが生み出した魔人を放し飼いにする────溝呂木はそんな無責任な親だった。


(まあ、今はヤツが参加者を減らしてくれればそれでいい……)


 ファウストは参加者を減らしてくれるだけでも充分便利だ。
 どちらにせよ、弧門や凪、五代もあのようにする気だったため、さやかの元を離れる溝呂木も別に未練はない。
 むしろ、さやかは闇が大きすぎて、「完成されすぎ」だったとも思えた。
 最初から概ね完成しているものは、作り上げていく楽しみというものがない。


(じゃあな、ファウスト……俺の分まで働いて面白く死んでくれよ)


★ ★ ★ ★ ★

46魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:08:06 ID:NlMREnaQ0
「……?」


 先ほどから凪の様子がおかしいことに、五代も気がついていないわけではなかった。
 何かが気にかかっているかのように、突然止まったり周囲をきょろきょろ見回したりしているのだ。
 常に全身の神経を周囲への警戒に務めていて、笑顔を一瞬も見せない彼女に、五代は少し困惑しつつも問う。


「一体どうかしたんですか?」

「尾行されている気がする……勘違いかもしれないけど、念のため警戒した方がいいわ」


 五代もクウガであるがゆえ感覚は鋭敏な方だが、バイオレンス・ドーパントを追うことを最優先と考えていたため、背後にはあまり気を向けなかった。
 目を向ける場所がそれぞれ違う二人は、ある意味で良いコンビネーションを発揮できるかもしれないが、いずれ単独行動を強いられる時は明らかに凪の方が生存に大事なものを持っているだろう。
 言われても尚、どこか緩い五代に、凪は少しだけ苛立ちを覚えた。
 ナイトレイダーにも石堀や平木のようにどこか面持ちが緩い人間はいるが、彼らは任務となると高い技術を活かしてそれぞれの仕事をやってくれる。それに対して五代はそれほど切り替えが見事な性格にも見えない。


「追ってるつもりが、追われてるっていうことですね」

「あのドーパントもあなたのせいで見失ったのよ。既に追っているようには思えない」


 あれからしばらく歩いているが、バイオレンス・ドーパントどころか人間の面影すら見ていない。
 それは当然である。溝呂木が現在、同じように五代と凪を見張っているのだ。もし五代たちにも追っている自覚があるというなら、醜くもお互いに同じ場所をぐるぐると回ることになる。
 そのうえ、本当にその「バイオレンス・ドーパント」に追われているとは彼らも思っていないのだ。


「確かに見逃したかもしれません……けど、俺はあの人がいるなら下山したあたり……地図だと教会のあたりじゃないかと思います」


 とはいえ、五代は自分なりに相手がどこに行ったのかを推測しようとしていた。
 見逃したならば、相手がどこに向かうのかを考えてみればいい。
 凪はバイオレンス・ドーパントの行動が人間としての意思をもってのものとは思えなかったたため、少し五代の考え方には戸惑う。


「どうしてそう思うの?」

「あの人がガイアメモリの副作用に侵されているだけなら、まず人が集まりやすい場所は避けると思います。たとえば、村とか街……いくらこの島が無人だからって、村や街って言ったら人がいそうな気がするじゃないですか」

「彼がどう思うかは知らないけど、確かに人間不信や疑心暗鬼ならわざわざ人が集まるところには行かない。だけど、そういった精神状態は時折私たちに理解できない極端な行動に出るわ。
 例えばだけど、逆に人間そのものを全部消そうとして人が多い場所へ向かうとか。必ずしも他人を避けるという考え方は早計ね」

「けど、わざわざこの位置からかなり距離が遠い村エリアまで行くとは思えないんですよね。彼が向かった方向も、教会の方でしたし」

「確かに、向かった方向も教会の方ね。そして私たちは見失った」

「それに、夜の森ってなんだか怖いじゃないですか。普通の人ですら、いつまでもこんなところにいたいと思わないと思います」

47魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:08:43 ID:NlMREnaQ0
 彼の向かった方向を考えても、途中にある道路からどこかへ去ったとも考え難い。
 二人とバイオレンス・ドーパントの距離感を考えても、見渡しの良い道路にいたらすぐに気づくはずだ。
 身を隠してくれる木々のある森エリアを逃げている可能性が高い。


「とにかく、教会に向かうのは私も賛成だわ。あそこは図書館からも村エリアからも離れてるから、この付近で山から降りてきた人間があそこに向かうと考えるのもわかる」

「でしょう?」

「それに、周囲に障害物がないエリアに出れば、隠れて私たちを狙う何者かも姿を現さなければならなくなる」

「確かに。けど、それって本当に俺たちの命を狙ってるのかなぁ……」

「どういう意味?」

「ほら、西条さんって結構綺麗だから」


 セクハラ紛いの発言ともとれるが、五代は軽い冗談のつもりで悪意はない。その笑顔を見ればそれは確かだ。
 ただ純粋に、「殺人者でなくストーカー」と追っ手のレベルを低めることによって安心感を持たせようとしただけなのだろう。


「ふざけないで」


 彼なりに何かを考えているのはよくわかったが、凪にはまだ彼という人物がはっきりと見えない。
 ただ、ひたすら楽天的で、ポジティブで、緊張感がない。
 そんな性格と見て取れるが、どうすればそんな性格になれるのか──それを知らないのだ。いや、知ってはならないのだろう。
 厳格なナイトレイダーの副隊長は、冷酷さを捨ててはならない。
 ビーストという人の常識を超えた外敵への復讐を果たすためには、人の感情を抑える必要があるのだ。


★ ★ ★ ★ ★

48魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:09:20 ID:NlMREnaQ0
(結局、あいつらも教会に向かうわけか……)


 物陰の溝呂木は、この奇に塗れた偶然に笑みを零した。
 五代、凪、ファウスト──歩測が合えば、彼らは鉢合わせることとなるのだろう。
 ファウストが教会側に向かったのは何となく見えていたし、おそらくはそのまま真っ直ぐに教会に向かっただろう。
 戦いだけの空っぽな人形がランダムに歩いていくとは思えないし、彼女が真っ直ぐに向かっていった可能性は高い。おそらくは、彼らはファウストと合流することになるだろうと思えた。
 そうすれば少なくとも、邪魔なクウガとファウストの戦う様を見ることが出来る。


(まあ、凪が教会に向かうのは確定というわけだ。先回りしてファウストの様子を見てみるか)


 凪の向かった先がわかれば、彼らを追う必要はない。
 突然行き先を変えるとも思えないし、ファウストの様子は気になった。
 溝呂木は凪たちに気づかれぬよう、影に黒衣を紛らせて走っていった。


★ ★ ★ ★ ★


 常人が引きずるほどのエンジンブレードを振り上げて、アクセルはファウストに向かっていった。
 懐までの距離は既に十メートルもない。そこにエンジンブレードヒットが加わることで、敵に一撃を与える。
 ファウストは振り上げられたエンジンブレードを腕で防ぐ。腕も体の一部なのだから、無論防御しようとダメージは大きい。しかし、あのままだと脳天に直撃していたということを考えると正しい判断だろう。
 切れ味以上にその重みによって腕は軋むが、ファウストはエンジンブレードを防いでから数秒間、互いの体感時間が停止していたことに気がつき、アクセルの足元に蹴りをかます。


「ぐっ!」


 ファウストはダメージらしいダメージを与えられなかったが、アクセルはそれによって少し後退した。
 エンジンブレードも彼女の腕から突き放されていった。
 開いた右腕は、即座にダークフラッシャーを発射した。一度突き放せばこちらのものだ、とばかりに何度かダークフラッシャーを放つ。
 アクセルの肩やわき腹に命中した闇の弾丸は、彼の上半身のバランスを崩す。
 彼の上半身はエンジンブレードを持つ指先がただ、必死に離すまいと握り締めるのみで、それ以外の部位はダークフラッシャーの威力に飲まれて体を震わせていた。


(前進は危険だが、避けるわけにもいかない……!)


 彼の真後ろには生身のミユキがいるゆえ、真横に飛ぶわけにもいかない。
 かといって、ミユキもまた動けない。ここでアクセルという盾に守られながら、彼らの戦いを見守るしかないのである。
 ミユキが左右に移動すれば、敵はそれを狙ってくるだろう。この怪物と因縁があるわけでもないのに突如襲ってくるようなヤツだ。アクセルでなくても、参加者を見れば襲撃するだろう。
 照井の言った通り、兄に会うまで生きろというのなら、ここから迂闊に離れるわけにはいかなかった。


(いや、『危険』を選ぶほうが少しマシだ!)


 アクセルは渾身の力を振り絞って、先ほど襲撃されたときのようにエンジンブレードを縦に構える。
 次に自分の体を狙ってきたダークフラッシャーはそちらに命中した。反動で後ずさりしたが、衝撃を覚悟した分、ダメージは小さい。


 ――Engine――

 ──Jet──


 アクセルはエンジンメモリを使い、エンジンブレード本来の力を繰り出す。
 ジェットの力により、切っ先からエネルギー弾が発射され、ファウストの体に命中する。
 それはダークフラッシャーの弾丸よりも遥かに速く届き、アクセルはすぐさま前方のダークフラッシャー弾を切り落とす。
 悠々とダークフラッシャーを回避したアクセルに対し、予期せぬ一撃を受けたファウストは手を大きく振りながら後方に吹き飛んだ。

49魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:10:14 ID:NlMREnaQ0
 ──Electric──


 電気エネルギーを帯びたエンジンブレードを持ったまま、アクセルはまっすぐに駆けて行く。
 ファウストはそれに気づかぬまま、わざわざ狙いやすいように立ち上がってしまう。本能的に撤退しようとしたのだろう。

 ファウストが懐で輝く剣に気づいたとき、彼女の身体は右肩から左腕にかけて斬りつけられていた。
 アクセルのように装甲をまとっているわけではなく、まして元が肉弾戦経験の少ないファウストは、負う傷が大きかった。傷口を伝い、全身に電気エネルギーが流れる。
 そもそも、ファウスト自体は魔法少女としてのさやかと比べても、弱弱しい存在なのだ……。

 深いダメージを負ったファウストの身体を、アクセルは無情にも蹴り飛ばす。
 ファウストの正体を知らないのだから無理もない。彼にとってファウストは、生命の有無さえ曖昧な、不可思議な存在に他ならないのだ。無論、殺害する気は無いが。
 その一撃にファウストは、っまたしても後方に吹き飛ぶ。体制を整えようとするファウストに、彼は好機とばかりにマキシマムドライブを繰り出そうとしていた。


 次の瞬間────


「フハハハハッ!!!!」


 そんな笑い声とともに、アクセルの身体を、不意打ちのビームが吹き飛ばした。真正面からの攻撃ではなかった。
 ファウストではない。真横からの不意打ちであった。
 
 アクセルとミユキは、同時にそちらを見た。
 そこには、ファウストと似通った、不気味な怪人が佇んでいる。


 先回りをした溝呂木──ダークメフィストである。五代、凪の行き先が把握できた以上、わざわざ彼らの後ろをコソコソと歩いていく必要はないのである。
 ファウストの行き先を確認するという意味も込めて、彼は教会に向かっていた。そして、この激戦に入り込む隙を狙っていたのだ。


「仲間がいたのかっ!!」


 勝利を確信した瞬間の不意打ちに転げた体を起こしつつ、アクセルは自分の迂闊さを呪う。
 つかつかと歩いてくる二人目の魔人を前に、アクセルは戦慄した。メフィストの威風堂々とした立ち振る舞いは、ファウストとは違って剛健に見える。


「相羽ミユキッ! 逃げろ!」


 アクセルは己の声の限りを振り絞り、ミユキに叫ぶ。
 二人同時に相手にするのは難しい。ましてや、ファウストとメフィストは遠距離型の攻撃ができるため、ミユキを守りきる自信がなかったのだ。
 ミユキは一度、クリスタルを構えた。この状況で、背を向けて逃げるよりもテックセットしたほうが生存率は高いと判断したのである。
 しかし、メフィストはそれを見逃さない。


「死ねぇ!」


 メフィストの腕が闇の弾丸を作り出す。
 それは二つの個体に分裂し、アクセルとミユキを同時に狙った。
 一直線に向かっていった二つの「それ」が、避ける暇さえ与えずに爆発する。


★ ★ ★ ★ ★

50魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:10:53 ID:NlMREnaQ0

 ミユキにはテッククリスタルを翳す暇さえ許されなかった。
 ある意味で、それは照井が原因でもある。
 彼女は他人を護るために自分の命を捨てることも厭わないほど優しい少女だった。
 しかし、彼の叱咤はどこかでミユキの胸を打っていたのである。


 いや、彼が相羽タカヤに似ていたのが悪かったのである。
 彼の願いは、タカヤの願いに共通しているかのような……そんな感覚がミユキにはあった。


 それがミユキの心に迷いを生んだ。
 この時迷いがなかったとしてもテックセットする暇はなかったかもしれないし、テックセットしたとしても二人に勝つことはできなかったかもしれない。
 闇の弾丸に包まれたとき、彼女はもはやそんな事など考えずに、生を諦めた。


(もうすぐ会えると思ったのに……お兄ちゃん……)


 彼女は優しいから。
 クリスタルを残して消えていくまでの僅かな時間を、兄を想うことだけに使ったのである。


(アキさんと幸せに────)


 強いブラザー・コンプレックスを抱いていた彼女は、実の兄に対しても特別な感情を持っていた。
 だが、それは許されないことだと理解していたし、兄の幸せを彼女は誰よりも願っていた。
 死ぬ瞬間も、自分が兄と結ばれようなどと考えることはなかったのである。


【相羽ミユキ@宇宙の騎士テッカマンブレード 死亡】
※相羽ミユキの消失した付近には、テッククリスタルが落ちています。
※デイパックの状態に関しては不明です。


★ ★ ★ ★ ★


 闇の一撃に全身を呑まれ、既に前も見えないアクセルの身体に、カギ爪が食い込んだ。
 メフィストクローである。硬い装甲をも破る鋭いツメに、アクセルの中で照井が血を吐く。
 続けて、メフィストが一歩後退したかと思えば、別方向からビームが飛んでくる。


「ぐああああっ!!」


 アクセルはボロボロになり、反撃する暇もなかった。
 気がかりなのは、ミユキがどうなったのかである。彼女が今のうちに逃げているというのなら、照井も今、やられ損ではないが、照井はまるで彼女の気配が消えたような不安を感じた。
 悪い予感であってほしいのだが、それを確認する術は今、ない。


(俺自身も、無事ではすまなそうだな……)


 アクセルという仮面の中で、照井の意識は朦朧とし始めていた。
 もはやこの力さえも無意味なほど甚振られているのだ。
 痛みを感じなくなりつつあった身体に、確かな激痛が走る。
 メフィストクローが殻を破って、照井竜の体へと突き刺さったのだ。


 勝ちたい。
 せめて、彼女がどうなったのかを見届けたい。
 そんな思いを裏切るかのように、照井に手招きする何かがある。

51魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:11:23 ID:NlMREnaQ0
『──お兄ちゃん』


 ──春子……──


 兄という単語を聞いて、ミユキという少女の声を自らの妹と錯覚したのかと思ったが、それは間違いなく自らの妹の声であった。
 甚振られ、もはや抵抗する気力さえ失い、痛みさえ感じなくなってきた頃に、その声は聞こえた。


 いや、見えた。


 父が、母が、春子が、照井の目の前にいた。
 竜が育ったあの家の前で、そこに足りない一人を待っているかのように。


 それは異世界において、同じように家族を失った仮面ライダーが見た夢に似ている。
 何より温かく、一人の人間にとって何処よりも安心できる場所が、照井竜を誘惑していた。
 本来ならばいずれ、照井も家庭を持っていくはずだったのだろう。
 彼らはそれを見届けたいはずだった。
 しかし、甚振られて傷ついていく息子を、兄を見て、「もうやすめ」と言っているようだった。


 だが、そんな彼らの想いに気づいた竜は答える。


 ──ごめん、父さん、母さん、春子。俺はまだ、そっちには行けないよ……──


 彼が出す答えもまた、ある仮面ライダーと同じであり、それを見送る者たちの表情をまた、その仮面ライダーの家族と同じであった。


「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」


 握力さえ失ったかのように思われたアクセルの体は、意地によって動かされていた。
 エンジンブレードを地面にい突き刺すと、今度は命をかけて迎撃しようという覚悟でメモリを挿入する。


 ──Trial──


 挑戦の記憶を宿したメモリがアクセルの体を青く染める。
 既に紙細工同然とばかりに壊されていた装甲も、よりいっそう薄いものとなった。
 それは死をも覚悟した行動に他ならない。先ほどまでこれを使おうとしなかったのは、その装甲に守られている方が死期が長くなる……という安心感があったのかもしれないと、この時初めて自覚した。


 同じく敗北し、死ぬ未来があるというのなら、「挑戦」してみようではないか。


 先ほどの小さな臨死体験は照井の心を振り切らせた。


(こいつらを倒すまでは、まだ行けない……!)


 音速を超える幾度もの攻撃が、硝煙さえかき消してメフィストとファウストの体を傷つけていく。
 アクセルと比べて弱弱しいとしても、速さがウリのトライアルは幾度もの攻撃を二つの体の同じ箇所に繰り返した。

52魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:16:37 ID:NlMREnaQ0
 ――Trial maximum drive――


 ────しかし


 蒼き流星が知覚できないスピードを見せたのはいつにも増して短い時間であった。
 僅か2秒。普段の1/5、或いはそれに満たないほどの時間である。


 アクセルの装甲の中で照井竜が胸に受けた傷は深かった。
 青い装甲の内側は、既に致死量に近いだけの赤が充満していたのである。


 メフィストは、突如として視界から消え、自らの体に謎のダメージを残し、そして眼前で倒れ付す戦士を不思議に思いながらも、彼が限界に達して、もう死ぬのだということだけは理解した。


(ゴール…………いや、途中棄権か…………)


 メフィストとファウストの撃退をやり遂げることができなかった自嘲を心の中で済ませる。


(相羽ミユキ……彼女は無事か……?)


 彼は彼女が一足先に家族の下に向かったことなど知らない。


(どちらにせよ、守るという約束は果たせなかったか…………すまない)


 彼はすぐに、この世への未練を悔いることさえできなくなった。
 心臓も、脈も、脳も、全てが途切れ、彼は全ての人間がたどり着くゴールへと向かった。


【照井竜@仮面ライダーW 死亡】
※照井の遺体は現在アクセルの装甲に包まれていますが、数分と経たずに変身は自動解除されます。


★ ★ ★ ★ ★


 ダークファウストの身体は既に限界を迎え、美樹さやかとしての身体に戻っていた。
 トライアルのマキシマムドライブが、不完全ながらファウストの戦闘能力に皹を入れたのである。
 もし、彼がマキシマムドライブを果たしていたのなら、彼女は死んでいたかもしれない。
 そんなさやかの身体を見て、メフィスト──いや、既に溝呂木の姿に戻っている──は、少しばかり笑みを失う。

 二人始末できたのはいいが、それはファウストより溝呂木自身の功績であった。クウガやウルトラマン、アクセルなどと変身能力者の多い現場で、彼女の使い道は非常に限られる。
 他の参加者と比べて能力が劣っているのである。
 無論、マーダーである以上はたとえ弱くても殺しはしない。溝呂木に牙を剥かない限りは、抹殺対象とはならないのだ。それは効率的に生き残るための手段であった。


「凪たちもすぐに来る……あいつらがどういう反応をするか、コイツ自身もどういうリアクションをしてくれるか……それが見られるだけでも良しとするか」


 溝呂木はすぐに教会の陰に姿を隠した。
 彼はこれから、二人の参加者が死体を発見するのを待っている。
 潜在意識にファウストが存在する少女が、これからどうなるのかも楽しみにしている。


 そして、二つの足音が聞こえてくると、男は口元を歪ませた。

53魔法、魔人、悪魔 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:18:48 ID:NlMREnaQ0
【一日目・黎明 F-3/山間部】

【五代雄介@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(小)、胸部を中心として打撲多数
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3個(確認済)
[思考]
基本:出来るだけ多くの人を助け、皆でゲームを脱出する。
1:西条凪と情報交換。
2:教会に向かう。
3:西条凪と共に協力者を集める。
4:バイオレンスドーパントを止める。
5:人間を守る。その為なら敵を倒すことを躊躇しない。
[備考]
※参戦時期は第46話、ゴ・ガドル・バに敗れた後電気ショックを受けている最中


【西条凪@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康
[装備]:コルトパイソン+執行実包(6/6)、T2ガイアメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×18、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×8)
[思考]
基本:人に害を成す人外の存在を全滅させる。
1:五代雄介と情報交換。
2:教会に向かう。
3:バイオレンスドーパントを倒す。
4:孤門、石堀と合流する。
5:相手が人間であろうと向かってくる相手には容赦しない。
6:五代の事を危険な存在と判断したら殺す。
[備考]
※参戦時期はEpisode.31の後で、Episode.32の前
※所持しているメモリの種類は後続の書き手の方にお任せします。


【一日目・黎明 F-2/廃教会】
※タイガーロイドの砲撃により、廃教会の天井と一部の壁が吹き飛ばされました。


【溝呂木眞也@ウルトラマンネクサス】
[状態]:腹部にダメージ(小)
[装備]:ダークエボルバー@ウルトラマンネクサス、T2バイオレンスメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜2個(確認済)
[思考]
基本:より高きもの、より強きもの、より完璧なるものに至り、世界を思うままに操る。
1:姫矢准からウルトラマンの力を奪う。
2:その他にも利用できる力があれば何でも手に入れる。
3:弱い人間を操り人形にして正義の味方と戦わせる。
4:西条凪を仲間にする。
5:ファウスト(さやか)の様子を見るのも面白い。
[備考]
※参戦時期は姫矢編後半、Episode.23以前。
※さやかをファウストにできたのはあくまで、彼女が「魔法少女」であったためです。本来、死者の蘇生に該当するため、魔法少女以外の人間をファウスト化させることはできまえん。


【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:気絶、ダメージ(極大)、疲労(極大)、ソウルジェムの濁り(大)、裏にファウストの人格があります
[装備]:ソウルジェム
[道具]:支給品一式、グリーフシード1個、ランダム支給品0〜2
[思考]
※あくまで気絶前(ファウスト化前)の思考です。
基本:自分の存在意義が何なのかを教えてほしい
1:正義って……何なの?
2:この世界に、守る価値ってあるの?
[備考]
 ※参戦時期は8話、ホスト二人組の会話を聞く前です。
 ※『癒し』の魔法の効果で回復力が高まっており、ある程度ならば傷の自然回復が可能です。
 ※ソウルジェムが濁っていますが、この会場内で魔女化の条件を満たすと死亡します。
 ※正義の味方として戦う事が本当に正しいのかと、絶望を覚えています。
 ※まだ名簿は確認していません。
 ※溝呂木によってダークファウストの意思を植えつけえられました。但し、本人にその記憶はありません。

54 ◆gry038wOvE:2012/01/11(水) 21:21:58 ID:NlMREnaQ0
以上で投下を終了します。
前回のさやかの状態表で「この会場内で魔女化が出来るかどうかは不明です」とありましたが、今回の状態表ではルールに則って記述を変更しています。
何か問題があれば、こちらに指摘をお願いします。

55名無しさん:2012/01/11(水) 23:25:17 ID:rlxwSDZQ0
仮投下乙。
一つ気になったんだけど、溝呂木のファウスト化って、魔法少女以外にも該当する奴がいる気がするんだけど。
NEVERの二人とか、魔弾撃たれた人とか。

56名も無き変身者:2012/01/11(水) 23:25:23 ID:79jL0yyAO
投下乙です。
気になる所は個人的に見られませんでしたね。
感想は本投下の後で

57名も無き変身者:2012/01/11(水) 23:54:58 ID:4LAs9c0A0
ひとまず仮投下乙です。
恐らく、今回仮投下とした理由はファウスト化に関する所ですね。
個人的に少々難しい所があるとは思います。
理由としてはファウストの意思を植え付けたとなると実質ファウストというキャラ追加になる懸念を感じます。
溝呂木が操っている為それはないと言えばそれまでですが、それなら溝呂木が近くで指示を出さないとファウスト化できない事になると思うのですよね。
遠くから操れるとなると、リレーで展開するのが厳しいのでそれは無いとは思うのですがどうでしょうか。

また、何より一番気になるのは幾ら「魔法少女」だけという条件があるとはいえ、何の支給品も無しに溝呂木自身の素の力で参加者を全く別キャラの操り人形にするのは抵抗を感じます。
少々洗脳を安売りしすぎているのではないでしょうか。
同時に、この理屈が通るならば何かしらの理由付けで今後も同じようにファウスト化などの洗脳が横行する様な気がするのですがどうなのでしょうか?


後、内容的に2点ほど気になったのですが、幾らファウスト化したとはいえ既に三影戦で大きなダメージを負っているさやかがここまで戦えるでしょうか(確か原作でもファウストのダメージとリコのダメージは連動していた筈)?
もう1点は照井の支給品は照井の近くにあるという解釈でよろしいでしょうか?

58名も無き変身者:2012/01/12(木) 00:21:07 ID:79jL0yyAO
>>57
>また、何より一番気になるのは幾ら「魔法少女」だけという条件があるとはいえ、何の支給品も無しに溝呂木自身の素の力で参加者を全く別キャラの操り人形にするのは抵抗を感じます。
>少々洗脳を安売りしすぎているのではないでしょうか。
>同時に、この理屈が通るならば何かしらの理由付けで今後も同じようにファウスト化などの洗脳が横行する様な気がするのですがどうなのでしょうか?

えっと、この部分必要なんでしょうか?
大変失礼ですが他の部分はともかく、これはただ展開が気に入らないと言っているように聞こえるのですが……
矛盾があるならまだしも、抵抗があるからと言って指摘してはキリが無くなると思います。

59名も無き変身者:2012/01/12(木) 00:32:04 ID:4LAs9c0A0
>>57
確かに言い方が少々感情的すぎでした。
ただ、それでなくてもソレワターセや魔弾などといった既存キャラのキャラとしての意思を消す洗脳道具が数多くある事を考えると洗脳絡みのネタが多すぎるとは感じています。
安易にキャラを崩壊させてしまう洗脳を簡単に出してしまうのはキャラ物企画では好ましいとは思えないので指摘させていただきました。

60名も無き変身者:2012/01/12(木) 00:32:53 ID:4LAs9c0A0
>>57ではなく>>58に対してのレスです。

61名無しさん:2012/01/12(木) 00:51:25 ID:rlxwSDZQ0
>>57
>同時に、この理屈が通るならば何かしらの理由付けで今後も同じようにファウスト化などの洗脳が横行する様な気がするのですがどうなのでしょうか?

この部分は無視できないと思うけど。
書き手さんも空気読んでそんな展開にはせんだろ…と思ったから>>55で指摘しなかっただけで気になっていた部分ではある

まあ、複数ファウスト化禁止と一定距離でないと操れないって制限つければギリギリ許容範囲かな、と思う。
さやかの戦闘については…メフィストの介入が無かったらあっさりやられてた感があるし、照井もミユキさんかばいながら戦ってたし

62名も無き変身者:2012/01/12(木) 12:14:48 ID:prc9ZAHE0
仮投下乙です。
自分もファウスト化に関するところで疑問があります。
原作・ウルトラマンネクサスでのファウスト化は
死人、躯からしか行われていなかったはずです。
(溝呂木眞也が生きている人間を直接洗脳、操った描写はなかったはず)
さやかが特殊な存在で、肉体・精神状態が極端に弱っていたとしても
このロワで、初めてファウスト化を行おうとする溝呂木が、
さやかをまずは殺す→そしてファウスト化を試みる、
という行為が飛ばされているのは疑問を感じます。
(もし、溝呂木が他の参加者を殺害して、ファウスト化を施す、そしてロワのルールに
よって失敗する、それならばこの特殊な存在ならどうなる、という段階を踏んでいれば、
アリかなとは考えますが…)
そして、さやかの闇の感情を通じて、
なぜ肉体が生存していない存在=魔法少女と見抜けるのかも
疑問を感じます。(哲学的な問題にはしたくありませんが)

また、それならば特殊な存在で、肉体・精神状態が弱っているとはいえ、
殺さずにファウスト化すると考え付く溝呂木が、
前話で、より執着のある凪、さやかと同じく赤の他人である五代を
ファウスト化することを試みていないのと比べると
かなり整合性を欠くと思います。

あともう一点、内容的には、
相羽ミユキがテッカマンブレードや他のテッカマンが近くにいたのなら、
何故自分はブレードや彼らを感知できなかったのか、疑問に思わないのか、
という点も、指摘します。

それにしても、gry038wOvE氏の
素晴らしい着想、原作を昇華しての感情・戦闘描写にはいつも感服します。
以上、長文すいません。

63名も無き変身者:2012/01/12(木) 16:27:29 ID:Q/QP2Ydg0
とりあえず、必要と思われる描写は

・溝呂木がさやかと接触してファウストにする際に、さやかの殺害を試みる。
・複数ファウスト禁止及び遠距離からのファウスト洗脳は不可能。
・何故、溝呂木がさやかを魔法少女であるのかを見抜けたこと。(闇の力で見抜けた……)
・溝呂木が凪と五代をファウスト化しようとしない事の理由。
・ミユキがテッカマンを感知出来ないことに対する疑問。
・照井の支給品に関する描写。

こんな所でよろしいでしょうか?
個人的に、今回のgry038wOvE氏の作品は発想や描写は素晴らしいですし
没にして欲しくないので、頑張ってください。

64 ◆gry038wOvE:2012/01/12(木) 20:08:43 ID:NlMREnaQ0
>・溝呂木がさやかと接触してファウストにする際に、さやかの殺害を試みる。
>・何故、溝呂木がさやかを魔法少女であるのかを見抜けたこと。(闇の力で見抜けた……)
作中では弧門を精神的に追い詰めることで闇に落とそうとしています。
実際は未遂に終わりましたが、未遂にしても溝呂木はそれを行おうとしていましたし、実際できないにしても闇化させようとすることはあるかと。
ザギが三沢にしたように生きている人間に闇化を行おうとし、偶然彼女が魔法少女だったためファウストとなった、というのはダメでしょうか?
また、一応自分も「溝呂木は魔法少女については知らない」という前提で書いていたので、溝呂木が彼女が死人だと知っているような描写はないと思いますが…。
解釈次第ではそうとれてしまうかもしれないシーンはあるかもしれません。できれば、そのシーンを教えてください。

>・複数ファウスト禁止及び遠距離からのファウスト洗脳は不可能。
確かにこのくらいの制限は必要だと思うので、状態表に付け加えておきます。
また、照井の支給品に関する描写も書き忘れですので、こちらも照井の死亡表記の直後に付け足します。

>・溝呂木が凪と五代をファウスト化しようとしない事の理由。
前回の状態表から「弱い人間を操り人形にして正義の味方と戦わせる」というのが目的のひとつとなっています。
溝呂木は本命にはすぐには手を加えない性格だと思いますし、状態表にあるとおり、そのあたりは前回の描写を見ても違和感がないと思います。

>・ミユキがテッカマンを感知出来ないことに対する疑問。
これは考察描写を入れようかと思います。
そんなに大きくない島で互いを感知できないことにも多少の疑問を抱くでしょうし、能力制限や能力減衰の可能性を考える描写を入れることで対応します。

>・さやかのダメージ
さやかの『癒し』の力は健在ですし、ある程度ダメージは回復しています(前回ラストでも魔法少女の変身は説いていないので、今回までにある程度回復していた可能性は高い)。
どちらにせよ、回復には限界があると思ったので、今回のさやかは激しい戦闘というより、攻撃を受けたり、遠距離から技を放つ程度の描写で、敵の攻撃を避けたりなどの激しい動きはありません。

6562:2012/01/13(金) 00:07:30 ID:prc9ZAHE0
>64 gry038wOvE氏、丁寧な補足説明、乙です。

>また、一応自分も「溝呂木は魔法少女については知らない」という前提で書いていたので、溝呂木が彼女が死人だと知っているような描写はないと思いますが…。
>解釈次第ではそうとれてしまうかもしれないシーンはあるかもしれません。できれば、そのシーンを教えてください。

どうも個人的に引っかかっているのは次のくだりです。
スレ番45

>ダークファウストは本来、骸である人間が溝呂木の手によって変貌した姿である。
>ゆえに、既に肉体が生存していない「魔法少女」はファウストにする事に都合の良い存在であった。
>溝呂木は知らないが、この場において死者の蘇生は禁じられているゆえ、溝呂木が殺した人間がファウストとなることはない。
>魔法少女という特例中の特例が、この場では唯一ファウストとなることが可能なのである。

>(コイツは闇に堕ちるには打ってつけの存在だった……こんなにも簡単に欲しかった物が手に入るとはな……!)

>そのうえ、さやかの胸に秘めたる負の心は溝呂木が今最も求めるものだった。一体、何が理由であそこまで心がすさんでいたのかは、溝呂木が知る由もない。

この、{既に肉体が生存していない「魔法少女」}という表記が、
自分の認識である、「魔法少女の肉体は魂を引き抜かれて異質なものに変質している」と異なっており、
「異質なものに変質している」=「既に肉体が生存していない」、は違うのではないか、と思いました。
また、「本来、骸である人間」の「骸」が、骸=骸骨や遺体 という私の認識とも合わさり、
これが、さやかが、「既に肉体が生存していない」=骸骨や遺体、と溝呂木は外見で認識した、で良いのか、という疑問を感じた次第です。

まあ、「魔法少女という特例中の特例」という表現、もしくはその雰囲気で、OKにする、というのもアリかもしれませんが…。

あと、新たに、スレ番64(gry038wOvE氏の補足説明)の

>ザギが三沢にしたように生きている人間に闇化を行おうとし、偶然彼女が魔法少女だったためファウストとなった、というのはダメでしょうか?

で、自分のこのファウスト化への疑問、懸念の正体が分かったのですが
ここまで溝呂木眞也=ダークメフィストは強キャラだったのか、という疑問が、自分のスレ番62や上記の指摘につながったのだと思います。
強さ・能力的にはダークザギ=ダークメフィストなのか?
また、負の心を秘めていても、ある程度ダメージを回復している魔法少女を、骸にしなくともファウスト化できるものなのか?
ダークメフィストは生きている人間(このロワでは凪や一条薫が対象になるのか?)を闇化できるのか?
(ちょっと今、記憶や映像や確認できないのですが、原作でこの溝呂木眞也=ダークメフィストの能力の描写はありましたっけ…)
そして、他のロワ参加者に、この能力はどれほど通用するのか?

ただ、この新たな疑問・指摘は、個人の解釈の違いだと思うので、gry038wOvE氏にこれ以上説明を求めることはしません。
自分は一読者でしかないので、違う書き手さんや管理者さんが、どう感じるか・解釈するか・判断するかに、お任せたいと思います。

以上、またしても長文になりすいませんでした。

66名も無き変身者:2012/01/14(土) 12:42:22 ID:WIyKdxW.0
さやかの状態や溝呂木やファウスト化の能力について、どうももめているみたいですが
62=65さんの、65の最後の方の書き込みは少しまずいのでは。
書き手さんや管理人さんの意見は大きなウエイトを占めると思うけど
もっと自由な意見、議論があってもいいと思います。

6762:2012/01/14(土) 17:20:35 ID:prc9ZAHE0
私の書き込みの表記のせいで
他の人の書き込みを妨げていたのであれば、謝罪します。
この件については、あとは皆さんにお任せします。自分はこれ以上書き込みません。

68 ◆gry038wOvE:2012/01/14(土) 17:39:50 ID:NlMREnaQ0
>>65の箇所も含めて修正中です。
書き込まないなど言わずに、まだ修正すべき点があるなら言ってください。
丁寧で参考になりましたし、自分の意見に応じてくれて嬉しく、そして有難く思っていますので、違和感のあるシーンなどは是非とも教えて欲しいです。

69 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:07:41 ID:wPfLfpwk0
BBQ規制とかで向こうに書き込めなかったのでこちらで投下します

70 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:08:22 ID:wPfLfpwk0
美希と一輝。
二人はこの数時間灯台付近で隅々まで隈なく慎重に他の参加者の捜索を行っていた。
だが二人の努力も虚しく、未だに他の参加者との出会いは果たせていない。
ただただ不運としか言いようがなかった。
それでも二人は決して諦める事はなかった。
次なる目的地は眼前にそびえるホテル。
果たしてここで他の参加者との出会いはあるのだろうか。

【1日目/早朝】
【B-7/ホテル前(東側)】

【蒼乃美希@フレッシュプリキュア!】
[状態]:疲労(小)
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:こんな馬鹿げた戦いに乗るつもりはない。
0:ホテルで捜索。
1:今は孤門と行動し、みんなを捜す。
2:プリキュアのみんなが心配(特にラブが)
3:ノーザには気を付ける。
[備考]
※本編後半以降(少なくともノーザの事は知っている時期)からの参戦です。
※ハートキャッチプリキュア!からの参加者について知っているかどうかは、後続の書き手さんにお任せします。

【孤門一輝@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康、ナイトレイダーの制服を着ている
[装備]:ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
0:ホテルで捜索。
1:美希ちゃんを何としてでも保護し、この島から脱出する。
2:副隊長、石堀さん、美希ちゃんの友達と一刻も早く合流したい。
3:姫矢さんに溝呂木眞也……。
[備考]
※溝呂木が死亡した後からの参戦です(石堀の正体がダークザギであることは知りません)。

71 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:09:24 ID:wPfLfpwk0
投下終了です
タイトルは「暗中模索」です

72 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:10:44 ID:wPfLfpwk0
投下します

73隔世之感 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:11:40 ID:wPfLfpwk0
(あれ……?)

どうするか悩んだ結果、二人の前に姿を現した黒岩。
もしこのまま素通りして後で発覚した場合『東京都知事は我が身かわいさに一般人を見捨てた!?』といった噂が立つ可能性を考えたからだ。
だが「黒岩省吾」の名前を告げても二人の反応は鈍かった。
まるで「誰それ?」状態。
それもそのはず。
黒岩と二人の住んでいる世界は同一ではない。
だから「東京都知事の黒岩省吾」と言われても石堀とつぼみは困惑するだけだった。

【1日目/黎明】
【E-4/森】

【黒岩省吾@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:周囲を利用して加頭を倒す。
0:あれ……?
1:あくまで東京都知事として紳士的に行動する
2:涼村暁との決着をつける
3:人間でもダークザイドでもない存在を警戒
[備考]
※参戦時期は東京都知事になってから東京国皇帝となるまでのどこか。
※NEVER、砂漠の使徒、テッカマンはダークザイドと同等又はそれ以上の生命力の持主と推測しています。

【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康
[装備]:korrosion弾@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:支給品一式、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2
[思考]
基本:今は「石堀光彦」として行動する
0:東京都知事?
1:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る
2:今、凪に死なれると計画が狂う……
3:表面上はつぼみを保護
4:孤門、凪、つぼみの仲間を捜す
5:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する
6:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……
[備考]
※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。
※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です。
※ハトプリ勢の名前を聞きましたが、ダークプリキュアの名前は知りません。

【花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:健康、加頭に怒りと恐怖
[装備]:プリキュアの種&ココロパフューム
[道具]:支給品一式、鯖(@超光戦士シャンゼリオン?)
[思考]
基本:殺し合いはさせない!
0:東京都知事、さん?
1:仲間を捜す
2:石堀と一緒に行動する
[備考]
※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。
※溝呂木眞也の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。

74隔世之感 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:12:19 ID:wPfLfpwk0
投下終了です

75 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:13:31 ID:wPfLfpwk0
投下します

76一日千秋 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:14:05 ID:wPfLfpwk0
相羽シンヤは待っていた。
ただ待っていた。
ただひたすら待っていた。
その時が来るのを待っていた。

だが待ち人は未だ現れず。

【1日目/早朝】
【E-5/冴島邸】

【相羽シンヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:ブラスター化の副作用による肉体崩壊
[装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式、バットショット&バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン&スタッグメモリ@仮面ライダーW、ランダム支給品0〜1個(確認済)
[思考]
基本:タカヤ(ブレード)と決着を着ける。
1:冴島邸に留まり、バットショットで周囲の様子を探りつつタカヤに呼びかけ続けタカヤが来るのを待つ。
2:タカヤと戦う時以外は出来るだけ戦いを避ける。
[備考]
※参戦時期はブラスター化完了後〜ブレードとの決戦前(第47話)です。
※ブラスター化の副作用により肉体限界が近いです。戦い続ければ命に関わります。
※参加者の時間軸が異なる可能性に気付きました。

77一日千秋 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:14:35 ID:wPfLfpwk0
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78魑魅魍魎 ◆6r5Ga0lL6k:2012/03/07(水) 14:16:15 ID:wPfLfpwk0
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延々と続く森を抜けると、眼下には市街地が広がっていた。
当初ドウコクは当てもなく森の中を彷徨っていた。
だが偶然にも市街地に向かっている最中の涼邑零を発見していた。
一瞬だったのですぐに見失ったが、目的地はだいたい勘付いたのでこうして川伝いに移動してきたのだ。
ここまでの道中様々な音が聞こえてきたが、生い茂る木々の葉のせいで正確な位置までは把握できなかった。
だからとりあえず市街地に行く事を優先した。
後の事はそれから決めるつもりだ。

もちろん姫矢の尾行付きで。

【1日目/早朝】
【F-8/市街地手前】

【血祭ドウコク@侍戦隊シンケンジャー】
[状態]:健康
[装備]:降竜蓋世刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:その時の気分で皆殺し
1:追ってくる男に少し苛立ち。殺すか…?
2:昇竜抜山刀を持ってるヤツを見つけ出し、殺して取り返す
3:シンケンジャーを殺す
4:加頭を殺す
5:アクマロ、十臓なども殺す
[備考]
※第四十八幕以降からの参戦です。よって、水切れを起こしません。

【姫矢准@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康
[装備]:エボルトラスター@ウルトラマンネクサス、ブラストショット@ウルトラマンネクサス
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:ビースト(ドウコク)の様子を伺い、危険とみなせば倒す
2:孤門やTLTの者と合流する
3:溝呂木を倒す
[備考]
※参戦時期はダークメフィストとの最終決戦直前です。
※制限によりストーンフリューゲルの召喚、メタフィールドの発現は禁止されています。
※ドウコクを自分が戦ってきたビーストと同種とは考えていませんが、未知の生物の総称としてビーストと呼ぶことにしました。



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