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SS投稿スレ

261 ◆Bly7fh4wyo:2013/05/15(水) 16:53:09 ID:fVY.qOZE


ついに、生まれた。生まれてしまった。わたしは、人の親になったのだ。
信じられないほど痛かった。腹が裂けて、そのまま魂が抜けてしまうかと思った。
だが、信じられないのはそれがえもいわれぬ心地よさを伴ったことだ。

それだけ、風ののいちもつが相当に大きく逞しかったということだろう。
わたしの体は、すっかり慣れてしまったのだろう。わたしの心もそれにつられているのだろうか?

初の子は、角の生えただけの人の子だった。股にものが付いていない所から見るに、きっと女の子だ。
ミノタウロスの子はミノタウロスに似るかと思っていたが、案外そうでもないものだ。
よくよく見れば、かあさまの面影を感じる。つまりは、わたしによく似た娘ということなのだろう。

産後、いきなり風のが襲いかかってきたのにはさすがに肝を冷やした。
自分に似ない子に無体を働くのかと思ったら、はるか斜め上を目指していた。
へその緒も未だ外れない私に極太の肉を突き込んで来たのだ。
わたしを何だと思っているのか。わたしは体の良い玩具か何かか?

セレナちゃん可愛いなどと言われても、許すわけにはいかない。嬉しいが。
…わたしは何を思っているのだ。これではまるで…これではまるで、ただののろけではないか。


ここ最近、食生活や住環境が著しく改善していっている。
火を使って肉を焼き、拾ってきてもらった器で煮炊きする。
砂糖の類はないので甘味が恋しいが、渋みやえぐみのきついだけの食事からは間違いなく進歩した。
寝どこも柔らかい藁を敷き詰め、上には冒険者の方々から拝借した布を張り、その様相はちょっとしたベッドだ。
これなら愛しいわが子に与える乳も安泰だろう。

そう、乳が出るのだ。わたしの胸から。
人体の神秘とでも言うべきか。乳房は一向に大きくなる素振りを見せないのが不満だ。
これで我が娘が素晴らしい乳の持ち主になろうものなら、わたしは世界を呪うだろう。

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