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【R-18】雇われサマナーキル夫

1 ◆x0SRSoJXe.:2017/10/22(日) 01:33:33 ID:H96YQWOo0
【真・女神転生デビルサマナー】雇われサマナーキル夫

                     真 ・ 女 神   生
          ャ-、    、               転
    __    .ヾゝ`'゙ ャ、,ィ ',\   ,-ァ         ∧   .∧
    ヽニニつ iヽ    > ヽヽノ  ( {  _|ヘ---┘゙-─‐┘゙─ヘ              |`i
ャー────‐.} ゙l_,ィ彡'゙⌒''゙    } .|   ¨弋弋 ̄{ l ̄ ̄.] .i二二 --─'"`L____ノ .i___
.`´ ̄ ̄フ厂¨¨`i ィ'´     ',\  | .|    > > ヽ」   └i .j──一' ̄`! 「 ̄¨¨''┐ r-、_ノ'´   _, -―--、
     } }   | |、_     .,j } | │  //    _, - ',ノ __,ィヘ_,,-'''´ノ     {  )   -==ニ二_, --、_ノ
  , -‐'゙ノ    ` ‐ 二 - _/,ィ j 「  ',__//    ,-‐' , -'"   ̄ヽ ヤ´    __//
  `''"´         ¨ ー ' .レ゙ .`ヽ'"⌒'゛     `'"´       `ヽ)   ヾニ_r‐'′

       /\       /\       /\       /\       /\
      < 悪 >     < 魔 >     < 召 >     < 喚 >     < 師 >
       \/       \/       \/       \/       \/



●この作品は株式会社ATLUSによって平成七年十二月二十五日に発売された、『真・女神転生デビルサマナー』の二次創作作品です

●原作との相違点も多く、作者の知識の至らない点は自己解釈によって補われています。あらかじめご了承ください

●この作品はフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません

684 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:21:45 ID:jFx9OXCA0

                     , . -:―:‐:-: 、
            ___ ,..-‐:x:'´__: : :-=ミ、`ヽi
      ┌──< _:_:_:_:_;'::.::.::.::.:'´::.:ヽ: : : : :ト、: |
      |        {::.::.::.::.::.::.::.::.:}`ヽ、/  `
.     丿        __ヘ.::.::.::.::.::.::.;イ
    . '′    , < l: : :l: xく::.::.::://
   (__, .ィ.:_:/ l:_:_:l:_:_:l_:_:「 `´〈 : ヽ
     /:/:「   〇     〇   ト、: :i       や、やばくない!?
      レ' ∧          U ハ :ヽ|
      厶/  ヽ  -――‐-  ,   ヽリ       「相当やべえぞ! 結構な数の悪魔が押し寄せてきてる!」
         _>r‐:---:‐r<
        (_^ -‐个、::.::.:/ト 、`_フ         私たちも逃げようよ! えっと、とりあえず一階を目指そう!
         _/ `ー'′ !
        く /  ,     `丶、           「ああ!」
           `丶、_/__j__〉┘
           /、7ー'ー'‐r弋´
        _m/ /    ∨ ヽm
      <\广::V       V^7⌒>
      `丶、/        ∨_/


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自分もサマナーといえど、あんな数の悪魔とは戦える気がしなかった。
何度か幽鬼ガキという力の弱い悪魔を相手取ったことがあるが、その程度だ。

だが、押し寄せてきている悪魔たちはガキより大きい。
恐らく、強さもそれ相応だ。ならば、逃げの一手を取る他あるまい。

織斑と篠ノ之が逃げてくれていることを祈りつつ、喜留夫は教室を飛び出た。
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685 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:22:19 ID:jFx9OXCA0

  ...l′   :l";二゙''''┐       ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、
._...   _.  ´ ,〉;;;;;;゙'ー、,  . _,._..ミ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7            `゙"
;;;l゙   .ヽ;; ̄ ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;.!  .l、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!                     _,,
.、!、   .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ^'''"   ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;>ー'゙゙゙゙゙ヽ             ゙‐' |.l
..l;;;;゙ゝy レ;;;;广'L;;_..コ    l;;;;ン'ッ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./  `''、_;;;;;;;;|        .,,,     . l、;゙¬.
. ゙'''''″ .ミ、;;;;゙''''l:゙'"  ` .、  `''" : l.;;;;;;;;;;l゙ ゙'<;,v、;;;;;;;;;;/'    .`''''"        !;;゙''┐    .゙'ー'"
    ,-シ、;;_ノ   . _, `    .tナ‐' ̄″ ∥ .`'―ー!llt;;. .'          !、;;;丿
;/  ,r./  l;/    '!┘            リ'i                       ´   ,,、   ,、
,! ./  ,i";;{_                  =!.!.l               ,i''';     .|;;;;゙゙''''''";;.l、
!     ゙L;;;;;゙>                    マ , 、,,,           `''".ィ;;-一'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..,i¬―''>.l..、/゙    i'゙゙~゙゙゙'-|!!ゝ         i'''j  .!、,,;l,゙,,r‐ー、        `''-、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ィ
: };;;;;;;;;;;'\_ ゛   .〈;;i ゝ、;;;;;;;;;.ア   ,......、   ,iミ;;/  ,r'''";;;;;;;;;;;;;} ._.. ;;i       .};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
.l゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!    .,ン-. : '!''L,l゙    l.;;;;;;゙ゝ、,i''";;;;; ! !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; l!´二..,,,_,..--'''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゛
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| l゙;l ,!;;;;/   .|'ヘ,    `''''''i_;;;;;;;;;i;;,゙  l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,! ゙'―'''''''^゙゙゙゙゙゙'l,,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..!、_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙!-゙;|,`''″  .,/;;;;;ゝ..r‐┐   i";;;;;;;;i┘  ゝ、;____,,/´        : ,ii;;,゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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.l´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ン- /     ゝ-..、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;¬';;ナ'             l7   l
;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/             |;;;;;;;;;;i¬ー-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´                    !

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二階は血の海と化していた。逃げ惑う生徒たちが無残に食い殺され、
臓物を撒き散らし、四肢をばら撒かれて死んでいた。

四方八方から悲鳴が聞こえる。

「喜留夫! 階段まで突っ切ろう!」

ピクシーに呼びかけられ、悪魔が生徒たちを貪り食っている間を走り抜ける。
中には知っている顔もあったが、構っていられなかった。
自分のことだけで必死だった。醜いほどに。

階段の近くで、織斑と篠ノ之を見つけた。
二人は重なるように倒れていた。

「おい、織斑! 篠ノ之!」

駆け寄り、呼びかける。

すると、織斑たちはゆらりと起き上がった。
よかった生きていた。安堵のため息を漏らし、慌ててピクシーを隠す。

織斑たちはうつむきながら喜留夫の方を向き、よたよたと歩き出した。

「おい、大丈夫か?」

織斑たちは答えない。

「おい……」

織斑の肩に手をかける。織斑が顔を上げた。
そこには、かつての織斑の面影はなかった。赤黒い肌の、屍鬼がそこにいた。
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686 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:22:44 ID:jFx9OXCA0

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     f''`⌒(     ,,,,               !:(',,,,、              ::,,,,,、...
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  π /;::::::::(,.,.(;;;::::(   ,,.,  ・っ                    ;,;;( ):::::;.    c::── '`'''::::::::::;''
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 τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ               :'`'``:!
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織斑と篠ノ之が噛り付いてくる。制服を歯が突き破り、肉が食い破られる。

悲鳴を上げながら後ろに転がる。

「どうしちまったんだよ、二人とも! おい!」

ぐちゃぐちゃと音を立て、織斑たちは喜留夫から食い破った肉を咀嚼していた。

「なんで……」

絶句する。そんな喜留夫を現実に呼び戻すように、COMPの画面に
デビルアナライズの表示が出ていた。

屍鬼ゾンビが二体、と。

「うっ……うあああああっ!」

走った。その場から逃げるように、いや、逃げたのだ。
喜留夫はわき目もふらずに、ぼたぼたと食い破られた個所から血を流しながら、
階段を駆け下りた。
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687 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:22:56 ID:jFx9OXCA0

       ____
     /     \
   /         \
  /. u   (ー)ili(ー)\
  |    (トェェェェェェェェイ) |
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「なあ、俺もああなるのか?」

「ううん、ゾンビっていうのは、瘴気が溜まった場所に置かれた死体が変化した
悪魔だから、生きている喜留夫は平気なはずだよ」

「そうか、映画とは違うんだな」

織斑たちの顔を思い出す。優しかった織斑。厳しくも丁寧に教えてくれた篠ノ之。
二人は、既に死体になっていた。死体になった上で、悪魔にされたのだ。
怒りと悲しみが綯い交ぜになり、腹の中で煮えくり返った。

「とにかく、今は逃げよう。学校から出れば、きっと……」

だが、その認識は甘かった。

学校から出ても、赤黒い空は続き、街には悪魔が闊歩していた。

「だめ、町全体が異界化してる……どこもかしこも悪魔がいるよ!」

「おい待て、それってつまり、俺の家も?」

「あっ……」

喜留夫は駆けだした。自分の家へと向かって全力疾走した。
命のエネルギーの全てを振り絞る思いで走った。
どうか。頼む、母だけは。祈りながら、息を切らして走った。
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688 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:23:22 ID:jFx9OXCA0

                           ` ,
                             ',

           ,、-‐ー‐- 、‐-、 ノ            ',
        、 /        ヾ、 ',               i
        i/     。   ',ヽ    ,
       __ミ|lヽ、_       l    } i ,-‐ 、    ,'
      : : : ヽ`‐、._ニ==ニ二ニi、 ノ ノノ./    ヽ i
     : : : : :i: : :,-:、: : ,、-‐i /: 〉: : :::::::::';  ゚  l/
     : : : : ;ノ: /: : :;': ;': : : l :l: : : ::::::::::::::::``‐-、_/{'
      /,-'´,、-/ !O 丿ノ o        i ,’ }

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遅かった。何もかもが遅すぎた。
家に帰った喜留夫を出迎えたのは、織斑たちと同じような姿と化した母だった。

絶望に膝を折る。
このまま食い殺されるのもいいか。
本気でそう思った。

喜留夫は目を瞑った。母に殺されるのなら、それでいい。構わない。

だが、そうはならなかった。

ピクシーが電撃を放ち、母を焼いたのだ。

「しっかりして! 弱気になっちゃだめ! なんとしても生き残らなくちゃ!
あなたが死んだら、誰がお母さんやお友達を弔うの!
誰が想ってあげるの!? あなたしかいないでしょ!?」
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689 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:23:37 ID:jFx9OXCA0

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           /   u, \
         /  u.      \
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        | (トェェェェェェェェイ)    |
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        :i     U     ):
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       :,-| . |ー-、/ ゞノヽ .|:
      :{_ i、___,l   |    、 |:
       :)ソ(___i)---|    |.ノ:
              ゝ-i--i´ ;
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それから三時間ほど、喜留夫は家の自室に立てこもり、扉にバリケードを積んだ。
もちろん、破られた。そこから先はよく覚えていない。
気づいた時には、白い生地に青い十字架を描いた服を着た男たちに囲まれていた。

これが、喜留夫から見た十年前の災厄の顛末だ。
日本の各地で起こった後にこの大災害は新興宗教による毒ガステロとして公表され、
死傷者は三百九十万人、行方不明者は五百万人に上った。

生き残った者も記憶を処理され、ぽっかりと穴の開いた日常へと戻された。
喜留夫はサマナーだったおかげで、記憶は処理されずに済んだ。
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690 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:23:55 ID:jFx9OXCA0

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   トェェェェェェェェェェイ |>;・;):〉 |
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         (__^)

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喜留夫はその後、高校を中退した。
叔父夫婦の援助でなんとか生活はできたが、心の傷は決して癒えなかった。
いや、心の傷は癒えるようにはできていないのだ。
一度抉られれば最後、その穴を抱いたまま生きていかねばならない。

喜留夫は自暴自棄に陥っていた。

何もかもがどうでもよかった。何度も首を吊ろうとしたが、そのたびに
ピクシーに止められた。

「私が傍にいるから! 何があっても、私があなたを一人にはしないから!」

小さな手で、ピクシーはそっと喜留夫の手に触れてきた。

「これからは、私も一緒にご飯食べる! 一緒に寝る! 私、
あなたから離れないから! だから……だから、そんな目をしないで」

少しだけ、胸の奥の痛みが引いた気がした。
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691 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:12 ID:jFx9OXCA0

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     /      \
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   /::|::\゙_>介 √;ヽ,
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加賀探偵事務所が設立されたのはその五年後だ。
喜留夫はこつこつと小さな依頼をこなし、サマナーとして活動していくようになった。

仲間も増え、ピクシーもハイピクシーへと変異し、喜留夫自身も強くなった。

ある日、ハイピクシーに更なる変化が起きた。
それまで姿形に大した変化は起きなかったにもかかわらず、
今回は稲光に包まれると共に、その体を大きく変化させた。

気づくと、目の前には見知らぬ少女が立っていた。
けれど、喜留夫には分かった。それが今まで寄り添ってきたピクシーであることに。
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692 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:30 ID:jFx9OXCA0

/ / // /|ノ ゝ/ / / / / / // l ト_l_r/  / / ill / . / /  l  /
;/ / / |- └//_/ / /l /l il/ //yγ|/  l /|/ / // | /l /  /
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l  il 〈l〉//ヾ`\ lーl/ll/ / /l/ l  l |  / | / / /l/ / /l  / / //
l   i Y r´ ♂i  ヾl〉ーll / l l / l_/ll/  l // l ト 、/ / /l  / / l/
\τーl  l / yl  l 〉 l/l l l l /ll  //  / // / l / \ノ/ l / / //
` 〉\ ヾ y_て / l ll ll l i ll / / / /  / / / /l/\l // //
;;ー、_\_/l//ヽll l l l   l / /_,--/- /_// //  l\// //
L_ゞーヽーー´ー)l》〉il l i   l / /´ //彡==ー-/  / / // /
   ヽ l\il_/ ̄/ /´     /i/ ´ /  〃 : : ;;;;;;;;;::;;ミ‐_l/ / / /     /
   ) l `´    (/      /  / / ;∥;;;;:..  ::::::::::::::ノ/ l//      /
   !/       ´      ´ /  ´  ̄\::::::::::....℃/\l /     /         ……ずっと、こうしたかった。
  /                         ゛゛ゞ;;;;;;;;/:://l/  /  ;/l
         ヽ_           ―       ゛゛// //   /   / l
                       ―       // / /   / /l
     、_                  ―     //;/   / l l
     \`  ヽ、                    ;/ /    /  l l  /
       ヾ__ >                ///    /  l l  /
、                           /〃     /   i  l /
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l  ̄`;;;;;;;`‐‐=-ー ´;;;;;;;;;;;;〈    ヽ/ /       /     /  / li
   「;;;;;;;;;;「  ̄┐;;;;;::::::::::::l   / /       /    /  / /
l  i::::::::::::::)    lーーー´ /  /        /    /   / /

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「私は夜魔。夜魔クイーンメイヴ。今後ともよろしくね、喜留夫。
それから……」

メイヴは喜留夫のことを強く抱きしめた。
体温が、胸の鼓動が伝わってきて、喜留夫はメイヴの命の熱を感じた。

「これからも、ずっと一緒よ」
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693 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:41 ID:jFx9OXCA0

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                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

694 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:24:59 ID:jFx9OXCA0

______, ----------、
_____/ニニニニニニニ≧====
___/ニニニ:/\/\ニニニニニニ
___∨⌒V : : : : : : \/\/|ニ
____|: : : : : ::ト、: : : : : : : : : : : |/
____|: , 、: fニ}ト、V:\/\∧: : : :
____|// ∨V  } }ハニニニ∨V
___人 fjフ    レ'  }三三三ノ_       ……そうかそうか、なるほどなるほど。
\     }    |又     /
\\   |__     '    /            それでか、君が仲魔と親しくするのは。
:  \\  └ 、    /}  /   /
`> 、\\r‐、.(__/ /::{  }  /          確かに、こんな経験をすれば、そうもなるだろうな。
ニニニニニ∧-\{___{/ニ/ /
ニニニニニニ}   }\ニニ{ /
ニニニニ「ヽ|    __\_|/
ニニニニニ\.   /   ./{
ニニニニニニ>-{__/⌒{|
ニニニニニニニニ{   l| :\

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
目が覚めると、岸辺露伴が凄まじい速さでペンを走らせていた。

「湧き上がってくるぞッ! 次の話のネタがッ! 素晴らしいッ!
……っと、こんな経験を見せられて、喜んではいけないな」

すっと岸辺露伴は真面目な顔になり、スケッチブックを置いた。

隣にはメイヴが座っている。いつの間に出てきたのか。

「君が意識を失っている間、ずっと隣にいたんだよ。
心外にも、僕のことを見張っていたらしい」

「喜留夫を見守っていたのよ。悪い夢を見ていなかったかって」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

695 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:25:28 ID:jFx9OXCA0

       ____
     /     \
   /         \
  /     (⌒) (⌒)\      大丈夫だよ、メイヴ。
  |    (トェェェェェェェェイ) |
  \    \ェェェェェ//      ありがとな。
  /          |





                     _,,、---、  /`ー---、_
           ,   ._,、-― ' ´       `´((,、_ ,ィ-、`!
         ,、((._,ィ'´       ー.'二==テイト、ォハ´`))!ヽ
      /`/ト、`))          ̄__,ィ /乂Yノ少((.  ヽ
      ,イ ./ノ少、'          l  .l    i ((ゞ'´  ` l  ヽ,
     l   弋トン"   /  l     | l!  l!  l! l!  ))  l  l l   l
.    /!    )) ./ / l  l! .l  l l!.l .l!  l l l!l l! ´  l! .l l  .l
   ノ  l.  (( / .′l  l! .l l! i!.l i!  l!.l l!l.l l!    i! l .l!.l  l!
 ./   l   /./  l! l! l.l  l .l l l! l l! i!l.l l! l! l! l  l .l! l l!  /
./    / l .l! l!  l! l! ! ll! .l l!.l l!l.l .l! ll! l.l!l! l l l!  l l .l l / l         そう、ならいいのだけれど。
!  / / ./ i! i!-=ミ.、 l! l l.l((.l!i!.l! l!.l-十十‐!-i! l! l!   l l! l l!/./ l!
 / /  / .l l.l l!  .))l_l! l l ))l l! l!l l从==ュ. l! l .l! / l.l /././  `ー        そろそろ貰うものを貰って帰りましょう。
/ /  /  l! l ll! .ィーイ_,`ヽ.'イ l!l!l .l!イん::ハ.ヽ l l! / ./ //!   __
./.|  /.|  l!  .i! .,イ´`'Z`メ! ヽ     乂z:ソ. './ ./ ./// /.l           今日は何にするの?
./ヽ. l l  l!、  i! フ 〈、Yノ ノ .l          ̄ /  ,′/ / ./ l
  ヽ! .l! i!ヘ  i! >`、´ 、,ノ  '       l   .l   /  /l             「オムライスにしようと思う」
 l  i! ヽ l ヘ .|  i!ヽヽ-イ))      _      ヽ,  ヽ .l!  .l l!
 l  .l!  l!   ト、 l l ヘ ((    ̄    ,ィ‐、ィ‐、  ヽl!  、l l             あら、いいわね。私は好きよ。
 l l l ヽ     l. ヽ l!l i> ,        ゝ,. `´ |  リ__  `ー
./ .l l  ヽ i  l  ヽ.i! l!   >__ , _ , ィ`l´  / / .`ー-
  .l l  ヽ .l! l  l l /l .,ィ、_ノ  ̄ゝイ   / /
  .l!l   l!.l! .l  ./ / l/l .,、- `i   | / /

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
もう、失いたくない。あんな思いは二度とごめんだ。
そのためなら、どんな対価でも払おう。

目の前にいるこの女性を守るためなら、何も惜しくはない。
今度は祈るだけではない。たとえどんな巨大な組織が相手でも、戦おう。

何も言わず、メイヴを抱き寄せる。

「あら、どうしたの? 甘えたくなった?」

からかいながらも、メイヴも腕を回してきた。
とくん、とくんと人間と何ら変わらない温もりと律動が伝わってくる。

この熱がある限り、この鼓動が続く限り、自分の心は折れはしない。
もう二度と失わない。そのためなら、何だってしてやる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

696 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/22(日) 21:25:42 ID:jFx9OXCA0

                    ___
                  ,.ァフ::::::::::::::::::`>.、
                    〈:{:/:::::::::::::::::::::::::::::彡      抱きしめ合う
                      lヽ'^ヽ'^ヽ'^ヽ‐tノ        男女を描く時の
                     l ,ハ、ハ ハ,.-、,ハ |─<\      参考になる
                     ヽ.でjフ レ,ィ.N\  ヽ \
                  / /,       トイ  }`!  }  |
            / ̄\  `‐、    l   //  | ハ    スケッチしとこう
               |  \ ヽ.  こ  /____/'   ∨ 〉
       _r‐=ニ´__n ヽ l  `¨´ー┴┬'o    / ヽ|      「帰りましょうか」
.      ノ      ./||\ノ      ヽ| o_,  V   \
  ー───-----  ./  || l へ、  / o \   {   \|     「お、おう」
  \         | | l | }    ̄     /\  ,ハ-、 \ |
    \          `ヽ{ l_ノ  ̄\  o/   \ |'⌒ `|
     \        `┘      \/    / | l ̄   |
                                     〜また次回〜

697名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 21:55:34 ID:SMR8CCNA0
乙でした

698名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 22:23:36 ID:/J3kDFuw0
乙でした。
キツイ記憶だなぁ…

699名無し-Red-市民-2:2018/07/22(日) 22:32:15 ID:/J3kDFuw0
けど、何か葛葉壊滅も含めてメシア教の計画通りの様な気がするなぁ(汗

700名無し-Red-市民-2:2018/07/23(月) 02:08:40 ID:ZZoNvQ/.0
乙です

701名無し-Red-市民-2:2018/07/23(月) 10:05:30 ID:RDu9t6iA0

他のサマナーたちの悪魔との距離感はどうなんだろうな

702名無し-Red-市民-2:2018/07/23(月) 12:48:25 ID:dJhgPjzU0
乙でした

703 ◆x0SRSoJXe.:2018/07/30(月) 21:12:00 ID:Vft6D23E0
書き上がったよー。

とりあえず来月の一日の午後九時から投下だ。

待っててエブリワン。

704名無し-Red-市民-2:2018/07/30(月) 22:18:20 ID:J590wAVo0
超、乙!

705 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:12:31 ID:PiR9Q05g0
ハロー。今帰ってきたところだ。くじに間に合わなくてソーリー申し上げる。

じゃ、ぼちぼちやってこうか。

706名無し-Red-市民-2:2018/08/01(水) 22:27:16 ID:6HBvoNhQ0
わーい

707 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:33:25 ID:PiR9Q05g0


┌────────────┐
│                  │
│   第十四話『狂死』    .│
│                  │
└────────────┘

708 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:33:44 ID:PiR9Q05g0

                       {\  __  -== ≦⌒ヽ
                    ノ 。s≦ノ っ: : : : : :/⌒Y/⌒ヽ
              _γ。s≦i:i:i-=≦> っ: : /: : : : ̄⌒ヽ: ∧_
             _〈 /}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:>──ァ/: : : : : : : : :.: : .∨:i:i:/
         。s≦ .⌒Y八i:i:i:i:i:i:i:i:> ^´ ̄: : : : : :../: : : : : }: : : ∨ヽ
          〈 \     乂 \i:i:i:i:i:ゝ─ァ./: : : _: : /: : : : : :八: : : ',:.、
     / 、   \    /〈\≧=‐‐ イ/: :../__: ノ`ヽ: : : : __: : : :.::.|i: {i:i\
     く    \   \ ィ(⌒7   〈/〉: : : /fう心、}/: : : ´⌒`::.:../|i: :V⌒
    ィ(ニ\   \./ノ  ⌒7      〉: : : :.| Vソ /: : /f:ぅヽ}:./:::|i〉: .W
 /ニニニ\___/s。{   く      |: : : : |  `  ):/ vソノ/./|.:八: :.:. /
 \ニニニニ ィ(   \ .⌒廴      |: : : : |    _v 、 '    /.〈: ./: : : : ∨ /      お客さん来ないね!
  / }h、。s≦⌒{  V/ `、 ≪⌒   .: : : {ノ\ 乂::::フ   ィ(: : \: : : }\V
    } ≧s。ニ八  ∨/  `、 ≫    v: .|\ .}h、  。s≦ {/: : ./ }: 八 \      「かんこどり?」
./   |: : {乂__ハ  ∨/  \⌒7八  .V八i:i:i:i:i:/´{⌒ヽノ  {: ./: : 八ノ )
    |: .八ニニニ∧ 八     〈⌒Y^7{( \〜、、{  \: /⌒7ノ {: /≫          そうそれ!
    |: : : .\__∧ ⌒≧s。  〉  〈/       }h、(: \: ./、  /\
    |: : : : : : : : : :.:∧     ⌒⌒/``〜、、     〈 \: Y: .} 〈⌒
    |: : : : : : : : : : :⌒≧s。  -=≦=_=_=_=_``〜、、 / (: :\:八 ヽ{∨ /
    |: : : : : : : : : : : : : : ./ニ〈=_=/\=_=_=_=_\\// Y\): .)  ∨./
    |: : : : : : : : : : : : : :./ニニ ̄ニニ \=_=_=_=_\〈ノ^Y乂: \(    V
    |: : : : : : : : : : : :.rノニニニニニニニ〔 〕‐=≦{ 〈ノ〈 Y\ノ: Y  W
    |: : : : : : : : : : /ニニニニニニニ/⌒7ニニ/!     乂: .\ノ⌒Y
    |: : : : : : ィi〔ニニニニニニニニ⌒¨´ニニ/.:       }: : : Y: :ノ
    |: : : : : {⌒ヽ∨ニニニニニニニニニニニ./ {       \: : ):⌒Y
    |/\八::}::ソ \ニニニニニニニニニ‐  !        乂⌒ヽ:八
    |ΞΞ/ィ( ̄} } ≧s。 ニニニニニニ=‐ /ニ         )\: Y: )
    |Ξ/乂=_ ノノ=_=/ }_Y}ニニニニ=‐{ /ニ'.         乂: : Y /

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夏の候、加賀探偵事務所は実に平和だった。

客も来なければ厄介事が舞い込んでくることもなく、仲魔たちはクーラーの効いた
応接間で寛いでいた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

709 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:35:24 ID:PiR9Q05g0

                         __
                     /:::::::::::::::\
                    /::::::::::::::::::::::::::ヽ
                      |::::::::::::::::::::o:::::::l
                      >::::::::::::::rェェェ/    …………。
                     /:::::::   ⌒ヽ
                  /::::::::     |  |
                    |::::::::::     |  |
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                    |:::::::::::    `┬ '
                    |:::::::::::/|    |
                    |:::::::::/ |   i、
                 ゝ___) ゝ__)

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
食材の買い物から帰ってきた喜留夫を出迎える。
だが、喜留夫は買い物袋を下げておらず、代わりにCOMPを抜いて
検分するかのように見つめていた。

「どったの、喜留夫?」

「喜留夫……そうか、この体は喜留夫っていうのか」

何やらおかしなことを呟いている。
加えて、何やら目がおかしい。いつもの喜留夫の目にある、荒々しさと優しさが
仲魔たちには感じられなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

710 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:35:44 ID:PiR9Q05g0

     ____
   /     \
  /         \       む……そうか、夜魔がいるのか。
/     (●) (●)\
|    (トェェェェェェェェイ) |      精神干渉されたら一発でバレるだろうし、最初にバラしておくか。
.〉     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /





                  ____
   _,rーく´\  , --、   /      \
 ,-く ヽ.\ ヽ Y´ /   /         \                 キョウジ
 { -! l _」_ノ‐′/   /  (●) (●)   \      俺の名は葛葉狂死。
 ヽ ゙ー'´ ヽ  /   |  (トェェェェェェェェイ)    |
  ゝ、  ノ_ イ    \ \ェェェェェ/    /      今、こいつの体を間借りさせてもらっている男だ。
    ヽ     |     /             ヽ

711 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:35:54 ID:PiR9Q05g0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
                           │::::::::::::::::│
                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

712 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:36:27 ID:PiR9Q05g0

                -,ヘ‐/:丶、
              /:/:/ : : : : \:.\ 、__
           /7 ア/: :/ : : : : : : : 丶:.\ |7           n .,7 /7
         _,〈 / }: : : ,: : : |: : : : : : : :ヽ: :',ヽ          | |,ル'/, フ
        <ア/}/: : : :{.: : :.|: : : :.l\: l: :',: :',.、ヽ      r 、|    /
          ./ : : /: : : : 从匕: : : :.匕⌒: : l : |: :Y       ヽヾ- ` {
        /: : : :|: : l: : {,ィ苳ミ \ | ィ苳ァリ : }: : :.         丶 ` ノ       まーたまた冗談を……
        /:/ : l\∧: ゞVソ   、 り }: |:./ : }、:.       {ー─}
         {;' {<^¨^〜、`^ゝ、        ノ:./': : : } ',}        'ー─l
         | {く_   r'   7 ヽ ノ /: : : }^ソ- 、l      /- 、 |
         |   `ヽ<    >ー‐'7乂:.イ z‐ミ }     厶=ミ.、 }
         |     \    ミニニ〈: : :ノ    `ー、__/_  ゙v
           〉      ※。 ミ´ ̄〈: : )          /ニニニヽノ
            〈         ノ ゚`''*。(: : )※    /ニニ丶ニニ}





 、   _, .} ,メ    l   ',::   ヽ::::.   ',:  ヽ
   ̄,´/F>`ミi_ i  i    ';::   ' ;:   ';::  ',
  ,⌒Yiー<⌒ハL  i     '::;    ',、   ';::  }
  ,イ冖!/てヾVYjヽ_, l、 ,  ',斗七  '.,ヽ 人,,リ
 从r'弋心ノ',イj从i   l....ヽ/ '; :::\  l ::/イ
.<  ゝ._`フノノハ、 .i  l::::''ゞ从_i⊥、;\j .i
  弋 _、.>√勿/ヽi. ハ   V{ィrャミ <  丶_         いえ、冗談でもなさそうよ。
  )) /´  `.i`...'.,::、 '、 ハ  `.辻,ィ'}      ̄|
    l    :::   ::',::\ iヽ   |下乙     /       葛葉矜持、といったわね?
    l    ::     ;;; ::ヽ| ゞ         /
    ,'  ..::    ,:'::, :::|           (         あなた、何者かしら。
    ,'   ::    .::  ::: ::|`(  Y ヽ、     /
   ,'  .::  .:: .::..  ::: :| ,ゝ‐イ .ノゝ___,,ノ          葛葉に連なる者ってことは分かるけど。
  ,'  .:::  ..::: .:::  ::: :::!" `丶、s ̄`)
  ,' .:::/  ::: .::    :: ::/   l  .l ヽ ̄)
 ,' ::; '  .:: :::    ノ,/ ヽ、 ヽ / /、ゝ
.  / ..::: :::   // `丶、`  '彡,廴`;;;;;
  ..,,,_::,,__.:,,,,::://‐-、__   `丶 .ヽ /∧/|
 Y        ̄ -  ,,,, ` ‐ - 、 .Y..∧/|
               `ヽ     ヽ|∧//|

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「分家の分家だ。四天王の足元にも及ばねえ木っ端よ。
最初に目的を言わせてもらう。この体を使ってメシア教の調査をさせてもらいたい。
お前たち仲魔にはその協力をしてもらう。なに、目的を果たしたら体は返す」

メイヴは葛葉狂死を名乗る喜留夫を睨みつける。
夜魔であるメイヴは精神に干渉する権能を持つ。
そのメイヴの目には、普段の喜留夫とは違うものが取り憑いているように見えた。

喜留夫の魂は、ひどく歪な見た目をしていた。
表面は冷め切った氷の塊と化しているにも関わらず、底の方には燃え盛る炎が
あるのだ。子供の青さと大人の諦観を併せ持っているとも言える。

だが、目の前の男にはそれがなかった。
あるのは、灰色の獣の瞳。優しさなど欠片もない、冷酷な灰色だった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

713 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:37:01 ID:PiR9Q05g0

  ___                     V   ヽ     _  __                            /     /
  ` <≧                 }    ,ゝ≦///////////≧; ,、                   /       /
        `ヽ >                {>//////////////////////>                 /      /
          \   `ヽ        /////////////////////////////\             /        /
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714 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:37:11 ID:PiR9Q05g0
/_ > ´  ̄ ̄ ̄    / /': /: : : : : /: :/ : :∨/////////////////: :`: <///////////////////////イ‐- 、__,..ニ⊃: : : : : : :\
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                l:{ /{: : : : : : l /////////////////////////////////∧ \ : : :\ }      ヾヾ〉  ∧
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一番拒否反応を示したのは、セラフだった。

「喜留夫を返して」

ひどく冷たい声色でそう口にすると、セラフの背に黒い翼が発現し、
あたりに突風を巻き起こした。

その手には神の炎が燃え盛っている。
今にもこのあたり一帯を焼き尽くさんという勢いだ。

「まあ待て。別にこの体がどうなろうと構わんが、これはお前たちの主の体だ。
これを消し炭にすれば、俺はまた魂だけの状態に戻るだけだが、
お前たちの主も同じ末路を辿ることになるぜ?」

「待って。なんであなた、魂だけなんて状態になってるの?
それに、葛葉はあの雷堂を残して全滅したはずよ。あなたが残っている道理がない」

「それがあるんだなあ。十年以上前に、俺は一回魂を抜かれてこのザマよ。
それ以降、体をとっかえひっかえして今に至るってわけだ。
安心しろ、サマナーとしての腕は鈍ってねえ。仲魔として食い扶持には困らねえさ」

「そういう問題じゃないのよ」
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715 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:38:50 ID:PiR9Q05g0

                   .._
                  ,.-‐ ゝヽ'´- .._
               、.. -‐''   ,.‐-´`丶 "、
               >,.   (.,-'`-     丶、
              ヽー,.'   / / ̄_      ` .
              〉,/,    ゙'! i'´,..>___,.    丶.
               {,;'j ;.{ヾ,: `/´ ̄////,`ーi   丶.          あー、つまり、文字通りしばらく貸せってことか。
               ` ゙'l;i`,////,..--' "" '‐ヽ...__ 丶
                   </,'/ ̄\////∧///////,ヾヽ丶       返すもん返してくれんなら、俺は構わねえよ。
              ,.-‐''"´   ヽ. \'///∧////////゙/ヽ ヽ
             /         ゙ . ヽ////////////i//,'i ;      だが、約束を違えたなら、魂であろうが斬るぜ。
               / ゙.           ゙   ∨//,'i///////l//,'レ
          _/.   ゙.   ::      ゙  ∨/,'|//////,'!//,_!
           { ̄     ゙.   :       ゙.   V/,l//////,'!‐'"
         / \       ゙.  :       ゙   V,!//////,'
       / 、   ヽ.     ゙   !     、  ゙   V//////
     / .  丶、 丶   ゙  l     ヽ.   ゙   V///,/
    ,'l i      \  \  ゙ l      ゙   ゙   V///
.     i l !  i    、丶  ヽ : ゙ !       ゙   ゙.   V,/
    ! l.!  i!     ヽ \. 、! ;!  ヽ      ヽ  ゙.   Y
.   l l.!  !     ゙. ヽ`ヾ:' ゙_ ヾ     、.ヽ ゙.  }`ヽ
.    i.l.!. '⌒゙. ..._-‐'',゙- ゙r  ト..._  \     `丶 ゙  ;'.\|
   l.;' _! ゙.  _..Y´_ヽ. (ノ;. !.._`.._`ー――‐--__-‐/ ヽ i
    |;.r'  ヽィ´,......._ ヽ、 l l..._ー -―――-_..}.、 ヽ l

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一方、ヨシツネとパイモンは冷静だった。

「無理やり引き離そうとしたって、喜留夫の体を傷つけるだけだしね。
僕らは今喜留夫を人質に取られてるようなもんだよ。今は従おう、ね?」

「ううう……」

パイモンがセラフを宥める。セラフは納得が行っていないようで、
しきりに葛葉狂死を睨みつけて唸っていた。

「しかし、悪魔くせえ体に事務所ときたもんだ。
最初の体と同じ探偵を選んで、それでサマナーだったもんだからラッキーと
思ったんだが」

そこで狂死はメイヴを一瞥し、「くく、お前、こいつの女か。そういう目してるぜ。
男を取られた女の目だ。奇特な奴だぜ。お前もこいつも」と口にした。

メイヴは自分の手に電撃が走るのを感じ、咄嗟に抑える。
今葛葉矜持を傷つければ、それはすなわち喜留夫を傷つけることになる。
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716 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:39:09 ID:PiR9Q05g0

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     |  卜:::li ./ | x≦ミ八/  ."¨, ≧ミ、 | ヽ} |::: i  .,'
     |  |:::li   |〃 だヽ         |:::::::ヽ ヾ ./ .|:::::::i  ',        ……ところで、ご飯は?
     |  |:::|   《  b ゚::::}      P ゚ 。} 〃/  |:::/   ',
     |  |:::|!  从  ゝ:ン   i    ゝ=ン .//  }/:{     .Y
     |    八  |、             ,イ'   ,イ::: ハ    }
     |    /.:「\ .! ヽ     '⊃    イ|   i::::::| `   イ
.      |   }::::ヽ:::ヽゝ  |!>  、 __  <  ノ .!   ,'::::: |  /::::|
      .|   }::::::::::::::|  |{      ヽ==     |  /::::::::| /:::::::: |
      ,へ ..ノ::::::::::::::::|  .八            | ,イ:::::::::::',::::::::::::::ハ
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     ヽ/:::::::::::::::/ /''7  {::::::::::≧x---x≦::::l |.|::::::::::\:::V:::::::::





           ____
         /     \
       /         \       あ? そんなもん俺が作れるわけがねえだろうが。
      / (●) (●)    \
      | (トェェェェェェェェイ)    |      
      \ \ェェェェェ/   /
 ⊂ ヽ∩  >          \
  '、_ \|               |
     \ \      /  /

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こうして、仲魔たちと葛葉狂死の奇妙な同居生活とサマナー活動が始まった。
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717 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:39:23 ID:PiR9Q05g0

    z''―――、
   //⌒`´⌒ヽ
  /_/   9  __ 9 ヽ、
/( i   (__人_) j)
|   ´jー―'´   `ー<}
|  /   (●)  (●) | |
i  {     トェェェェェェィ i |     ウッキー!
 、.\   ヽェェェェェノ ノノ
  >`ー――――‐´<、
 / ー―- .、__  r、 ヽ
=、____ノ    ヽ l/  /
〃 ,'    |      i l ,/
{{ l    ヽ    ノ |´
ヾ={       ̄ ̄   |
  |           |
  |  j´  ̄ ̄ ̄`i  ,!
   `‐´        `"´

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その頃、喜留夫はニホンザルに憑依させられていた。
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718 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:41:50 ID:PiR9Q05g0

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                               ・

719 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:42:00 ID:PiR9Q05g0

                   _ ...‐─‐- .._
                   .ィ´            `ヽ.
              /  /         ヽ、 :.、
            /    ,'-──────-ヘ ハ
            ,'    /__________}  l
              i   l:i: i:/j/_|:/|  /_j人i: :|  |
               |   |:|: |イ{:::r:l`j/'{::r:}`}: :l  |
.             |   |:|i 八´ ̄     ̄`ムィ|  |         決めた。私、喜留夫が戻ってきたらお料理習う。
           |   |:|| 「:.、  ー ‐  .イ |:|  |
            |   l |:ヽ|:::_:>‐- -‐<::j,ノ |  |
            |   | | :l/ ゝ..___小_..ノl: l i |
            |   | l :|  、.        ,: |:ノ l |
             |   | ヽ|   i:..,:'´  ̄ ` ̄ `ヽ. l |
             |   | i :|   |/  〃  :ヽ.  ハl:|
              |   | | :|   |  :,'     ::.   人|
              |   | | :|__|_.:/::    :::..     \
              |  /jノ:ノ_,)ノ.:::.___.::i:::.___ ヽ、..
          .: :: ̄: : : : : :.:/_:ノ´::( _ヽ:::::/ _ )::::`ヽ.〉:: :.
         : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

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カップラーメンで腹を膨らました一同は、葛葉狂死が「慣らし」として受けた
依頼をこなしに異界化したマンションの一室へと来ていた。

どうも悪霊が異界に居座り、住人が締め出しに遭っているらしい。
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720 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:42:40 ID:PiR9Q05g0

         ____
        /     \    r ⌒j
      /        \  /   /
     /  (○)  (○) \/   /   /  )
    |   (トェェェェェェェェイ)  /  /  /  /
    \   \ェェェェェ/  /   '` ´  /         あばよ。
     r´   (⌒'ー―- イ′     ´廴
    /     > 、     ヽ      _  ̄ ̄ ̄)
   /         -、      }        (  ̄¨´
  /            ヽ._       __  \
                `   --‐'´ `゙' 、_.)

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葛葉狂死は仲魔たちの力を使うまでもなく、悪霊たちを一掃した。

印を切ったと思えば、悪霊たちの体が紙へと変化していき、そこを一気に
火炎魔法で焼き払ったのだ。

「しかし、便利な時代になったもんだよな。依頼の仲介人なんざ消えて、
今じゃネットで依頼者とサマナーが直にやり取りできる。ピンハネもない。いいことだ」

そんなことをぼやきながら、葛葉狂死はその場に立ち尽くす仲魔たちを尻目に
その場を後にした。
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721 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:44:59 ID:PiR9Q05g0

          /´}
        / /
      .i  〈
    / ̄ ̄\二ニ= ―― ― ―
   /
    { O   O   }--- ___n
   \トェェェイ /       }__}i三三三三三三三三>
      ̄、 ̄     ィ〈 ̄ ̄ l」          !  '
     /⌒ヽ    / 二ニ= ――  ― |    ’
      i  / Τ\    '.              |し/
      ‘--└'    \___, '.             `ヽて
              ` 。 \             }(__
                   _}  〉          ̄ ̄ ̄
                  {__/

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葛葉狂死は葛葉の名に恥じない、優秀なサマナーだった。
それから葛葉狂死はメシア教の調査と称して聞き込みを行ったり、
メシア教からの依頼を受けて依頼者に取り入り、その情報を引き出したりしていた。

戦闘においては喜留夫にはない機転と思考の回転の速さを見せ、
的確な指示を仲魔に出し、自身も「短刀は性に合わん」と太刀を持ち出し、
それを振るって怪力乱神の戦いぶりを見せた。

正直な話をすれば、喜留夫の数倍は強かった。

だが、非道さも喜留夫の数倍はあった。
敵の死体を盾に動揺を誘い、狙いは必ず致命傷、一般人への被害など微塵も
考えない。

彼の性質は、単純だった。
目的のためならば罪もない一般人であろうと殺す。
一般人を守ることが目的であろうと、千を守るためなら百を殺す。
普通の人間が切り捨てることを躊躇うものを、いとも容易く切り捨てる。
それが葛葉狂死という男だった。
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722 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:45:11 ID:PiR9Q05g0

     |\_____/|
    /ヾソ   王 ヽソ
  /ヾ   `(・)、 | ,(・)ヽ 
/ヾ^ ミ(   ヾフ   )彡
|三= ィ―'`y―'´`ーy<}
|  /   (●)  (●) | |       ニャーン!
i≡{     トェェェェェェィ i |
 、.\   ヽェェェェェノ ノノ
  >` 三―――三´<、
 / ー―- .、  -==r、 ヽ
 `_||_||_ノミー、   l/ ミ/
  ,' ̄  シ    ャ, ̄l ,/
  l三=‐z     z-=川´
ZZ{___ z    z __|
  | ̄_≧__.≦  |
  し´       `、_,!

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その頃、喜留夫は猫の肉体に憑依させられていた。
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723 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:45:24 ID:PiR9Q05g0

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                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

724 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:47:27 ID:PiR9Q05g0

               __
.───┐      / ...::::::..\
 ̄ ̄ ̄| |     /   ...::::::::::.\       ったく、天下の雷堂が今じゃメシア教の小間使いか。
      | |    ( ●)   ...::::::::::.\
      | |   ェェェェイ)   ...:::::::::::::: |      世も末だぜ。
      | |.   \ェ/ .....::::::::::::::::::/
二二二 」 _ _ ゞ    ...:::::::丶
─┴┐ ⊆フ_)__./     ┌ヽ ヽ┐
二二二二二二l  /      |  |   | |
_l_____| /      |_|   |_|
  |       /  __,    ノ  |─l
  |───/  /lニ/   /二ニ luul.
  |    ___|  |  |   |_|.
 └─(    )(ニ|   |./二ニ)
      ̄ ̄  /   )
            `ー ´

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「そろそろ満足したかしら? 喜留夫を返してほしいんだけど」

一週間が経過した後、メイヴは仲魔たちを代表して葛葉狂死に直談判した。

「くく、お前ら、前のサマナーより俺の方が強いって分かっただろ?
どうだ、このまま俺の仲魔にならねえか」

「お断りするわ。私たちの主は喜留夫ただ一人。それは決して違わぬ契約よ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

725 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:47:37 ID:PiR9Q05g0

        ____
      /     \
     /         \
   /    (●) (●) \        いいだろう。ただし一つ、条件がある。
   |   (トェェェェェェェェイ)  |
    \  \ェェェェェ/ /        「なに?」
.    ノ    / )ヽ   く
   (  \ /__ノi ) , )          葛葉雷堂に会わせろ。
.   \  ゙ / ヽ ヽ/ /
     \_/    \_ノ

726 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:47:59 ID:PiR9Q05g0

                /
                  ィ/      _
              /::/  ,...ィ  ̄
                i::::レィ":::::/ニニ::=..-...._
      __,,..ィ::ニ:ミY.}:::::::/:::::::,.x::^Y:ヽ::::::::::=ニ、
       ̄ ̄ >=-:::: ヽ/,..ィ":::::/::::/:ー..、:::::::::::::::`ー- _
      ,.イ:":::::::::::::::,...ィ::´::::: : /:::::: /:::::::::::i!:::::::::::::\ ̄ ̄
       /:::::::::::/:::::::::: : /::::::::: /::::::::::::::|:::::::\:::::::ヽ
      /::::::: : /:::::::::: : /::::::::::::::/:::::::::::::/:|:::::::::::ハ:::::ハ
    ,.イ::::::::::./:::::::::::::::〃::::::::::::::: /:::::::::::::/::::!::::::::::::::ハ::::ハ
  _,イ-=イ::::/:::::::::::::::/:::::::::::::::::: /:::::::::::::/:::/}::::::::::::::::::::V:::::ト、
       /:::/:::::::::::::::/:::::::::::::::::〃:::::::::::::/|: /',ィ!::::::::::::::::::::i:::: | ̄
.     /イ::/::::::::: ̄≧ミ;、::::イ::::::::::::::≠≦_ |::::::::::::::: : |: : |
      /:ィ::::::::::::/ 不示ミ=ー::::::::/ ̄Y:r尓ケ!:::::::::::i::::ハ::::|
.     /ハ!::::::::://ゝ_辷ソ/::::/ / ゞニz斗|:::::::, イ/ iハ|        ……お前は誰だ。
         |::::: // ,,,,,, ̄ ./:.イ.  /    ̄ ,,,,,,,レ/   //
         レイ .{ハ   ./ ./           , /ハ!
           ,     ヽ;,            i::::::/
           ヽ              ,.イ:::/
               \   ´ ̄ ̄`  ヽ/ .<:..|:/
                 \    ̄   / >´  |フ}、
              ハ >、     ,.ィ    /: :∧
             /: : :}  ー-"     /: : : :∧
             //: : : ハ           /: : : : : :/7
            }: :ィ: :|        /: : : : :.::.:://
            | ̄..^|       | ̄}}: : : : :.//
               |}ヽ    ーイ  ヾ: : :.//


╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ウルフウッドの計らいで、葛葉雷堂と人払いの結界が張られた神社の境内で
落ち合う。

葛葉雷堂は、一目で喜留夫が葛葉狂死であると看破した。
すぐさまスカアハとフェンリルを召喚し、短刀を構える。

「葛葉狂死。元葛葉のゴミ処理係だ。どうだい雷堂様、メシア教の御膝元の居心地は?
俺は外道だが、葛葉の使命だけは最後まで忘れなかった。
魔を討ち人を生かす。百を生かす為に千を殺す。それが俺たち
デビルサマナー、葛葉の召喚師だったはずだ。お前はどうだ?
日の本の守護者の任から解放された気分はどうだ? え? 十六代目様よ。
その剣に葛葉の矜持はあるのか?」

「……黙れ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

727 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:48:23 ID:PiR9Q05g0

              ∠二_ヽ
             l´>,へ`lト
            ,/ /:::.::|ラ ',
           /  ./:.::.::.| | ',
         /;   /.::.:::.::| |  ',. ____
        ./::::::':;..  i'::.:...::.::| | /      \
        /'::;:::::::::::'::,l!.:::.:::.:..:l! /.( ●)  (●)\        言葉は不要ってか。じゃ、抜きな。
       ;!  '::;::::::::::::l:.:.:....:...:.l!. :.(トェェェェェェェェイ)....\
       l.   ''::;;/\:.::.:..:.:.i!. \ェェェェェ/   |       葛葉の使命を忘れた男のお手並みを見せてもらおうじゃねえか。
        |:.:..  /   \:::.:.:.:!.           /
       :!::::./      . \::.::゙:、    /   i
        ゙く          \:.:.゙:、 (⌒)   ./
      .   ` 、          \::゙:.、ノ ~.レ-r┐
            `゙ ‐-  .,,__   _,,.>__ | .| ト、
                    ̄〈 ̄   `-Lλ_レ
                       ̄`ー‐---‐





                             \、ト、
                          ヽ乂_ノ::}:::〉、__ノ{
                        __ ノ:::::::::::::::/::::::::⌒ヽ
                     ー‐ァチ:::::::::::::::::::::::::::::::::⌒≧x
                      /::/::::/::::::::::::::::::::::::::::く⌒
                          /:::::/:::::::/:::::: /:::::::::/:::::::::::::::\
                   _「_\ /:::::::/:::/::/:::::::::/::::|:::::::::::::l「`
                 ┌¬,’ '尓::/:::イ::/::::::/}八トヘ::::::::|
                ┌ _⌒    犲l  /:: イ 弋zソ :|:从ァ〟, _           ……確かに俺は歴代でも最悪の
              _ =ニ气      {ム.    |:  ` ̄ ,リ_ノ    / "'' ァ〟,
              , 气ョ_㍉从_   /≧- _  i:.   メ /l         ノ   i     雷堂だろうさ。だが、それでも……
           , l| l  ,lx '′x个=ゥ'/    丁T ┬ ∠ノ /    // ≦、  |
        , l| l  , r'′ ,x仝く 〈 l   ,x<二>    丁T =≦仝=≦、⌒ l|      俺には護るべき人々がいる。
     , l| l  , r'′  ,x仝ェ__   从r≦──‐く           ̄ミ 、 \  ll
    /l  , r'′  ,xく    __  /  r' ̄「 ̄´              〕   ll      場所が変わろうと、上が変わろうと、
     |, '′  ,xく __    __≧rf   ノ/´{⌒}__                 〃
       ,xく( ___≧=干 ̄  从 /  / ̄  ]〕lト ,,           イ        護るべきものは決して変わらん!
      / x=干 ̄         {  \イ厂       「       〕lト--=====彡ll
        ||                \ 少'll      \\           ll         去ね、古き者!
        ll                \ |l          冫 丶         ll
      从_         ○ ○__,八           〉li|            ll
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    人\          li|:           ll
                     /  \         ,/i|         ||

728 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:49:07 ID:PiR9Q05g0

                    /               丶_
                   /     . . . . . . . . . .       ヽ_
                  /  . : : : : : : : : :_:_:_:_:_:_:_:_: : . . .       ヽ
               / . . : : : : : 。s≦ニニニニニ≧s。: : : . .    ヽ
.              / : : : : : rニニニニニニニニニニ≧s。: : : .   ヽ.
            / : : : : : /ニニニr-─────<ニニニ≧: : : : : .   - _
              〈  : : : :./ニ/:i!     {!:.:.:.:.:.:.:|ヽ:.:.:.:.>。ニニ]: : : : : : :. /
           \ : : :.|/i}:.:.|    .|:.:.!:._i|__.ヽ;|:.:.i!:.:.:>ニi!: : : : : : /
             \ : : 〉:.:i!:._i!-‐‐  ∨!:.:.:.:_!_  ヽ`:|:.:.:.:i}ヽ|: : : : :. /
              \i!:.:.:!ハ:|   ‐- .∨:.:.:.:| ,..zz_V:|:.:.:.|!:.:.:ヽ: : : /
                    |ハ:.:.!.i!、yz==x ヽ|:.イら゚v テゞ:.:.:/.:.:.:.:.:.ゝ,´
                /i!∧:.,.く乂゚v_j 、_{N `¨ ´ .ii:.:./!エ}、:.:.:.:.:.:.≧=-イ_        お話は終わりかしら?
            、__ /:.:.〉:∧:.,!!    _ノ⌒乂_ _ .´|:/:.|:.:.:.:.:|≧=-―― ´
.          ≧s。:.:.:.>.イi!}ゝ`:. ー ´  ′     /:.:.:|:.:.:.:.:|                それでは、我が召喚師を侮辱した報い、
             ̄  ./:.:.:|!:.:.:|:.:ゝ    ー-  ´   .イ{:.:.:.|:.:.:.:.:.,
           /⌒ー==-:}:!:.:.!-/´≧s。_   </}:.:!:.:..i!.:.:.:.:.:.,                受けていただくとしましょう。
     /⌒> ´. : ::|     /:.:!:.:|/ /:i:/i:i:‐-┐Y¨二iト、:.:.:.ト、:.:.:.:.:.,
  _>´      丶. :!    ./:.:.:|:./ /|:i:i:i:i:i:i:ゝ !.//_ノ∧|:.:./、:.:.:.:.:.:.:.,
/     \ \ ∨i!   /:.:.:.:i/ |..|:i:i:i:i:i:ir‐‐‐‐‐┐:i:,i!:.:| ≧s。_:.,
 ‐- ..._     \.ヽ∨  ./:.:.:/|  |..ト:i:i:i:i:i:}|三三] !:i:i:}:.:.!       .〉.,
     ¨ー ..._   ー丶 /:.:./ ∧ !..∨-‐´ ̄ ̄ ̄´ヽ:iハ:.:i      /:.:.:.,
: : : : : :__,   ≧‐- ∨:.:/   ヽ|....>⌒>|   | ヽ  >}:.:.,    イ:.:.:.:.:.:.,
、, ≦     /:.:.:.:.:.:.|/:.:/       |<  ./ーs_ノ⌒y´ ヽ:.:.:,/ /:.:.:.:.:.:.:.:.,
、.      /:.:.:.:.:./:.i.:.:/ / .    |...ヽ//⌒)|/  厂)_ノヽ:.:.,  iト、:.:.:.:.:.:.:.:.,
/    .__/:.:.:.:.:./:.:/:{:.:r i!     !.............ヽ`ー―´⌒´∧ ゝ:.:.:.,イ:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.,
ヽ _/.:.:.:.:.:.::/:.:.:.イ:人:.{ |       ∨............丶i:|||:i:i:i:i:i:/.....}☆.、:.:.丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
 ∨:.:.:.:.:.:.:.イ:.:.:.:.:.:.|:{:|个ヽ:.      ∨.............|i:川:i:i:/........<_ノ个、:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
../:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.≧i! ./:}: : : .     .∨...........ト-.<................|  i|:.:.:\:.:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.,
イト、=‐ ___,  ィ⌒¬ノ | ´ ヽ: : : : : : : : :∨................................./  |:.:.:.:.:.):.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.,

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
それから、葛葉狂死と葛葉雷堂の戦いは優に五時間を超えた。
二体の強大な悪魔を以ってしても、葛葉狂死倒すには至らず、
またその尋常ならざる強さでも、狂死が雷堂を打ち倒すことはできなかった。

これが葛葉のサマナー。
隣で見ていたメイヴはただただ唖然とするばかりだった。

平安から続く日の本の守護者は伊達ではなかった。
喜留夫が一蹴に伏されたのも納得が行く。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

729 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:52:38 ID:PiR9Q05g0

            ,  '´ ,. 、
            '      ゙!
            /,       j}
        ,. --//     〃 ,、、
    /_      ヽ    //イ  ゝ                ぐっは!
   /ェ  ェr       l/ //  人「   ⌒i;
   /{ェ ェ/     /  / ィ´       !|
   i ヽェ/ ....::.      _,ノ‐-、、 厂了 ,!リ
  !  ..:::::::::::::::.          `く   ノ //,
   `ー-r-、:::::               i/ イ//
    _/ _,.ゞ           `ヾ//
    `ヽ''´   \          // ┐
          \      //"-‐、|
            ` ー≠ィ彡彡"
       丶、_ ,,..-=_彡'"





::::::::::::::::/..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..\
:::::::::::::/..:..:.彡ヒ7 フ..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..\
::::::::::/!..:..i / Y/../==¨ ̄下三ミメ}iii{_ > .\
:::::::/:::|..:..| ヽ /イ      {i! γ=≠≦_..:..:..:..:.\
::::/::::::|7::j  ij     彡ィ 人 ( ・c)Ⅶ_.<..:..:..:..\
::;':::::::::|..:{  /       i./  ヾ="x..:..:_,..:..:..:..:..:..:..:..:\
: :::::::::;'..:.77      u       >,.ィ..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:.. \
::::::::::;'.. //        u     /.:..:..:..:..:_;..:ニ=≠ :..:. : :.. \
: : :::;',イ /  u    _     〃  ̄ ̄下ミ ,≧´..:..:._.-=ニ::癶            くっ……
:: :::;'  ,'              ....::::: / /≧テメ≦≧x彡ニ ヲ::\
:::::从 ,'     ..:_ -―、   .:}   /:: / .爪 ( ・c) く ̄ ヾУ:..:..:. \
::∧ }!     <_ーミメ \   ,,ィ<_ノ    ヾ;、ー''  }》 ./..:..:..:..:./..:..\
:::::::} :||       ヽ .\\\   ̄       __ミ=="/..:..:..:..:..:;..'..:..:..:./ \
:::::::| :||       ヽ \ \\\       u 彡ハ /..:_..:..:..:..:,.:'..:..:..:..:/}::.:.::.
:::::::|:从        \ \ \У ノ   u    -=≦イ /..:..:.,ィ..:..:..:..:〃 リ..:..:.
:::: //.∧          ,ヽィ'         , .<イ .ィ..:..://..:..:../  ,'..:..:..
::://./ .ゝ            u    _,.<_ェ.イ/../ ,'..:../   /..:./
: |.| :|    > .      _ , .   <  /   -=彡″ /./.    /./

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
両者が膝を突いたのは、ほぼ同時だった。
互いに血まみれになり、最早余力が残っているようには見えなかった。

「雷堂っ!」

スカアハが雷堂に駆け寄るが、スカアハ自身も決して軽くはない傷を負っており、
その足取りは確かではなかった。

「げほっ……今回はここまでにしておいてやる。
だがな、忘れんなよ小僧。お前の誇りは欠けている。いつかそれを砕く奴が
現れる。その日まで、精々研鑽を忘れんことだ」

葛葉狂死はそう吐き捨て、葛葉雷堂に背を向けた。
ぼろぼろになった葛葉狂死に肩を貸す。

「勘違いしないことね」

「はっ、勘違いしようがあるかよ。とにかく、これでこの体で俺のやれることは終わった。
後はお前らの好きにするんだな。あばよ、一時とはいえ誉れある葛葉のサマナー
の仲魔だった女」

息も絶え絶えに言い切ったと思えば、葛葉狂死は脱力し、メイヴに寄り掛かってきた。
既に、葛葉矜持の魂はそこにはいなかった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

730 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:52:52 ID:PiR9Q05g0

       
        iiiiiiii
     ___]|||{__
   /   ∨  ヽ
  /   ヾフ__ヾフヽ
/     (___)  丶
|    __,-―'´   `ー< .}
|  /   (●)  (●) | |
i  {     トェェェェェェィ i |       コッケー!
 、.\   ヽェェェェェノ ノノ
  >>ー――――‐´<、
 / ー― <      r ヽ
ノ       )     l   /
{ ソソソソソ/''´     l ,/|
≧、ソ/          | ソソj
三¨{            |_/
 ヾ|           |
  ヽ   ____ ノ
    ヾソ ̄ ̄´ヾソ
     kチ    kチ

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その頃、喜留夫は鶏になっていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

731 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/01(水) 22:53:03 ID:PiR9Q05g0

〜その後〜
            ____   _____
           /      \/        \       ‐-、
     、-‐   / u              u  \   ___,ノ-、
   、- !、,__/(@ )ilil(@ )  彡 u ( @)ilil( @)ヽ    ___,ノ      なんで!? なんで事務所がこんな汚れてんの!?
   !、,___ lu (トェェェェェェェェイ      (トェェェェェェェェイ |
        \ !!il|!|!l|!!ii|i  u彡    !!il|!|!l|!!ii|iu/             それにカップ麺まみれだし! ひっでえ!
         / ヽェェェェェ/          ヽェェェェェ/ ヽ
                                         〜また次回〜

732名無し-Red-市民-2:2018/08/01(水) 22:57:01 ID:4WyglO8w0
乙でした。
キル夫は災難だったなぁw
でもなるほどなぁ、とも思わされる回だった。

733名無し-Red-市民-2:2018/08/01(水) 23:15:10 ID:EL7dXfC.0
おつおつ

734名無し-Red-市民-2:2018/08/02(木) 00:24:40 ID:TtdPKYpU0
おつおつ
葛葉最低ですよ!

735名無し-Red-市民-2:2018/08/02(木) 01:04:10 ID:frjwJ8rQ0
キル夫はけだものフレンズなのか

736名無し-Red-市民-2:2018/08/02(木) 01:43:05 ID:EzWdTu9.0

ライドウと互角!?と思ったが十四代目じゃないライドウだったな

737 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 02:25:00 ID:9VK52rQk0
ハロー。早速だけどまたまた書き上がったよ。

今日の午後九時から投下しようと思う。待っててブラザー。

738 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 22:08:09 ID:9VK52rQk0
すまない、今帰ってきた!

これかr投下よー。

739名無し-Red-市民-2:2018/08/03(金) 22:25:47 ID:j0uD2t2Y0
はーい

740 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:21:51 ID:9VK52rQk0
待たせたね、飯風呂済ませてきてた。

今回は別視点のお話よー。

741 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:22:02 ID:9VK52rQk0

┌──────────────────┐
│                           .│
│   第十五話『少年サマナー奮闘記』    .│
│                           .│
└──────────────────┘

742 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:23:59 ID:9VK52rQk0

                             ,
                ハ、       /'i
                   |: :ヾ.       ,':/: :!  __,
             ト、_i: ;、: ;ヽ   ,':/メィ;!,ィ'  /
              ヽ  厶 ゙' メ:.゙、ー‐,':,ゞ` 'ゝ ,/
                  7 ゞ, ,ィ"´¨⌒´¨`ヾ、メ.  〉_
             ,.―‐ヽ、''/.: :: :: ::  :: :: :: :.ヽ/  `ヽ,
            Y   ノ.:: .:: .: ;:   :: i:. :: :. ∨  i´
          /ヽ、.∠,.: : ::, .:ノ!i:  .::i,.゙、:、:.、.i  ノ:.`ヽ.
         /.: :: ::/ヽ.ヘi.:ィ≠=メ|:.ノ!ノ iノ:.ノリ´ヽ::::. ::.\          いやー、今日は絶好の昼寝日和ですねえ。
        ,:′.: .: ./  >'. 弋:リ '´ '‐='!':.゙ゝ  ヽ::. ::.. ヽ.
         /.: .:: ::/   `ー'!:ハ ¨ __'_ ¨ノ::i'´    ヘ:i:. :.、:.ヽ        天照大神のご機嫌もたいそうよろしゅうと
      /,ィ: ::: /     ノ.::::>_ゝ_.'.ィ´|::ハ      リヘ ::iヽ:i
       /ハ: ;i:,′     i .:::ノメ \/ゝリ:: }    '′ ソ.ノ .リ        存じ上げます。これで参拝客からの
     '´_メ ̄`ヽ、   , ´ヽ:〈_,`ヽ(Oゝー'_ノ-、     '´  '´
  ,ィ==/彡'三ミヽ、\.ト'、 _,_'_,ィ=ェ、 Y ,ィ=、_ヽ. 丶.   、.、ー-、         お揚げのお供えとかあったら最高なんですがねー。
 イ'三彡'三三三三ミヽ.\゙シ'二二、゛У彡==゙キ、.メ=!  ヽ:゙: : :ヽ.
 |三彡'三三三三三三ミヽ∨.:.:.:.:.:.:ヽ' ,ィ彡三ミメ'"¨´ ̄i_  i: : : : : ゙、
 レ彡'三三三三三三三ミヽ!ー‐‐'´三ゞ‐--、ノ.:´ ̄ ̄:.:.:〉 l: : : : : : :ヽ.
 ∨三三三三三三三三ミ∧三三,ゝく三三/.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.ノ: : : : : : : : :゙.
.  ∨三三三三三三三三'/.:|ー―ゝ‐'ー―‐!:.:.:.:.:.:.:.:.:.ム'、: : : : : : : : : : : i
  ∧三三三三三三三/;.:.i三三三三三三、:.:.:.:.:.:.:.:.}ミ=\: : : : : : : : : !
  /.:.:ーヽ三三三三 /:.!:.:.:.〉:.:/__`゙v'´`v:.:.:.:.!、:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽヾ;=;、: : : : :ノ
 ,'.:.:.:.:.:.:.:.¨7i´.:.ヽ-.':.:.:./.:.:./.:.:.:´.:イ .i i ´.:.:.:.:.;彡、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`´/`゙ー'-、
 !:.:.:.:.:.:.:.:.:/ i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;_r'イil!:.:.:.:.:.:| .∧ !:.:.:.:.:._」il!_;ゝ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノミヽ、:.:.:.:.:.>
 |:.:.:.:.:.:.:./ i:.:.:.:.:.:.:.:.:./.ゝ,ー=┐:.:.:L!:.:.L!:.:.:.:i彡i'´ V):.:.:.:.:.:.:.:./三三ミミヽ'
 l:.:.:.:.:/  i:.:.:.:.:.:.:./ メイ `!ー‐―.:.:.ー‐‐'.:./  i:.゙):.:.:.:./三三三三ミノ 〉
 ヘ:.:./   .i:.:.:.:.:/  (.::!  l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   !:.)_;ィ彡三三三三//
  V    i:.:./   メ.::!   !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,′   !::ヽ三三三三彡' /
       レ'    /.:":i!   !:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.i    i::::.i!三彡',ニニ-'´
【神獣ウカノミタマ Lv55】

743 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:24:19 ID:9VK52rQk0


              __    .ィ≦{
            <.....゙`<三三三{
         _.=-━>、ヾ...\、三三}-‐:ァ
         >=-/.:.:.:.ゞ_\..)\三{:i:i:{
        /...ケ‐-/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.ノ:.V:i:i:iリ
      ∠=-―W,'.i:.:.:.、:.:.:i:.ト.:.、:.、ヽ!ノ:i:/、                 ええそうですよ、私の祠は寂れに寂れておりますとも。
              j:.{:.:.:.ハ:.:.lリ||ト:.:.i:.ゞWy:.:.:.:}
             ノイ:Vリ!|lV, ||||!リイ:.:.>{:.:,:.:.j                 参拝客は今日もゼロ。管理人もおらず、こうして稲荷に化けて
          ´/.:.ノィ:ゝ,._r‐ュィ|:.rヾ、!イ:./、
              ,'.:.:.:.:ハト:.{ 又oノ'′i  レ,' ヽ                待てど暮らせど誰も来ない。来ても不良が煙草を吹かすくらい。
            ,:.:.:.i:.{  `i` Y  y__j___!ニニス,ィ=-、   >=━―<
             {:.:/∨  rー=f三ミ彡{====={ラ仝、ニ‘,/ . : : : : : : : : : :`:>: .、
             レ'   <二弋_::::{ 」二二二{彡'ヘ三\: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.、
              〈.::::::::::::/¨ヾ):::::::::::::::::〉彡':::::{il{>=、、: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ.______ノレ!;
              「.::::::::::::)  {::::::::::::::::‘,::::::::ノ/´(_)ヾ、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :フ
              /∧::::::::::|  |:∧::::::::::::::,::>'´   | ゙} !≧=―-------------.: : : : : /
                /::∨.::::::::::| /!:∨:::::::::::::::Y´ ̄ `ヽ. j!!リ ノ彡<三`ヽ三 >=-、三三≧=- ._
           /.:/i::::::::::::::::|':i:i/::∧:::::::::::::::‘,:i:i:i:i-‐━‐<_:i:i:i:i:i\ニ><ヽ.ニニニ\三三三三三≧=-._
          /.::::/il|::::::::::::::::゚!:/.::/ili{:::::::::::::::::‘,:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i: ̄ ̄´:i:i:i:i:i:i:`<、_三三ヽ三三三三三三三≧:.
            \:::/ilill|:::::::::::::::::/.::/illili|:::::::::::::::::::‘,:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i〃-、=/  `ヽ三三三三三三>、
          ∠ヽ)Y(|::::::::::::/〈\)Y(|:::::::::::::::::/〉 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`¨¨^¨`ー'´      \>’´ ̄   ̄``
           ーレ!テ¨¨¨´   77┬,-,―――'´
                    ´レレ ´

744 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:24:38 ID:9VK52rQk0

           /::::::::::::::::::::::...            //{
        {:::::::::::::::::::::::::::::ヽ         / ./ l
         ヽ:::::::::::::::::::::::::::::ヽ       / ./  |.    /{
          ヽ:::::::::::::::::::::::::::ト、    / ./  .| ,. // i
              }:::::::::::::::::::::::::}:.:`Y´/ ./マ`ーv' レァ, /  i|
       ,ィ"´ ノ::::::::::::::::::::,.ィ ´  ̄/  /ォ'    く /ィレム
       .>、:.:.:.:.`ヾ;,;,:.:.:/     {,.ィ’-‐ "´ ̄ ̄ ヽ..__く
      ,..ィ ´ ヽ:.:.:.:.:.;/7 ',   ,.ィ´               ヾ'
  ,..ィ ´   ,..' |:.:.:./:.:,:.'  ヽ./     ,.     ヽ.、    }
         !/: : : :!   /      ,.ィ   イ|ト、|| |ヾ  ,' ;
      ,..ィ  / ``y-:、l   ̄フ  //__,.イ | ||  ト、」/  /;
   ./ //   /  .,  ',∠,,.イ´     l -===-/ /;        ギャーッ! 鳥のフン!? ピンポイントでなぜ私の頭に!
  .ヘ       /   ゝ ヽ. /   ,   ヽ._'.、u   '.イ、;
   ヽ      {.ィ  / ヽ.  ノ.ィ'      ノr― ¬  } ;         おたまが何をしたというのですか!
      ヽ       |γ´ `ヽ..二´i|   /`ー ´' |   | /
      ヽ    /    ヽ  i!  ./       |   |ノ           あー、一旦変化解除して……って、なんてタイミングで来客!?
  /`ヽ レ'彡"´  ̄  `゛ヽ   |  ,r ´ `i゛.―|   |
  ::::::::::::::::/   ,.ィヽ.     /   !  .レリ'7`ヽ.└‐‐ ┘            不良なんだろなー! 煙草吹かしてポイ捨てしてくんだろなー!
  :::::::::::::::{  /   ヽ. / `ヽ ', /ノ /  ,ィレ'  _ ;
  ::::::::∠:::::/     ィ彡V .、  } `ヽ ノ ィ彡" ̄  /;
  γ´ {!i|::::{. ,     i:::::ヽ. \   ヾ'⌒ヽ.ィ´ ̄ 7;
   {:::マヾ:::ヲ′    l:::::::::::ヽ \,ィf  /    { ;
   ヽ:::ヽ::/      |:::::::::::::::::ヽ \_,.イ     i|

745 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:25:23 ID:9VK52rQk0

                      _, -ー‐ ー- ._
              _, r= ´          \
              ̄`フ´     i        ヽ
              〃    /  ム  、       ト、__,
              ! i:    |! ! ./_ヽ  }} ! i:    ハ¨
                | . {;   ム l A彡ヘ リ } }: 、    }
                | :小 l/ lAl三  ∨\ヽ` }l!  } |
                レ! ∧j _,ノ三三ュzwx彡、 l! ハli. /`'  、           へえ、こんなところに神社あったんだ。
               jハ lミモツ¨   !|`‐--、 Ⅵj リ|l !  〉 〉
.                  Ⅵ|、  ヽ !|`ー-、.\=彡^ソ●y'´           折角だしお参りしとこっかな。
                  _,≧> .   !|/´/ ̄l、ヽ 三 ●
                  ∠ 三三三≧´ ./  /l l\\  ./
          弋‐-、___`マ彡"_/ ,イ´ 〉\∨`メ
            \ `ゞマ彡" / _/    /   /
           _, -≧‐ 、∀_l¨ /       .!  } |
         ‐=二´____三Y、 ̄ミー、  ィ  /___l
              r-へ `ミ≧_」  /<二/´ _!
             /  人___ヲ┘   / /フ〈.|
              _/  /´ /   〉`ー--=/ ∧\ィ
           /|  / /. _/   リ  { { ヽ. 1
          // . / /  /   _/   ', ヽ、 ヽ!

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
小学校の帰り道、気分を変えて違う道で家へと向かっていると、
小さな祠を見つけた。

本当に小さな祠だった。隣にちょこんと石の稲荷像と手水舎が添えられている。

ふと気づくと、稲荷像の頭の部分にべったりと何かが垂れているのが見えた。

「げ、鳥のフンだ。ばっちい鳥もいたもんだなあ」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

746 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:25:47 ID:9VK52rQk0

                     _
                 __.\ `ヽ、  __
              ,. '´   . ̄   `'´.__/
                ,.'´               ̄ ̄`ヽ、
          ,.'´                     `、
        /    _,..-'''" ̄ ̄"'''- .._        `、
       /   ,.'" -‐‐、        `丶、      `、
      ./  /./    ノ        .r''´ ̄ ヽヽ     .`、
       ./   //    ./         |     ヽ`、      `、
     /   /人___,..'´ _,..-―‐、   ヽ     .ヽヽ       `、
    ./ ,ィ |'    _,..''"      \   `、    `、`、     .l
    .|/ | . | ,r―'''´           .\   ヽ __ノ .`、   ..|       ちょうど傍に水あるし、流しとくか。
        | . |/    .∧          \____     |    |
        |  |     ./ .`、        .lヽ    `ヽ、  l   .|ヽ|       別に僕が掃除する必要はないんだけど。
        |  |   ./‐‐-`、 、     /ヽ . | `、      .`、 |  ..|
        |/|   / r‐‐-.、ヽ|ヽ .   l ̄.ヽ| ̄ `、     r'´ヽ . |
         .|,イ /、 .|.lリ   ヽ  `、 .|.r‐‐-、   ヽl、  //{~)|.∧|
         .//|/ `.ヽ   | .   `、.|.|.lリ  ヽ    \/( .ノ//
       //    l   ̄         ヽ    |     .//
        |.|    ヽ    ,      ――'  ./ ̄ ./`ヽ
        |.`ヽ、    ヽ                 /./   /\ .\
       ヽ ヽヽ、   |>、 ―-、      /l/    |、 .\ .\     ザバー
          .`、 .`、 `ヽ..| 、  ヽ __ ,   '´/     .| \  \ .\
         ヽ lヽ...ヽl ヽ  |     ./  ___.ノ   \  \ .\





            __       ,.へ           っ っ つ
           / : \  _   /: : : :ー‐ 、      _
        r ー': : : : : :\}:::\/: :ハ : : : : : ',  ,.ィ::::::::::/  っ つ
        i: : : : : : } >r:.ヘ::::/: :/  ヽ: : : : :.'r.::::::::::::::::/
          .|: : : : : /> ´  ̄ ̄  `ヽ}\: : :i::::::::::::::::〈
          .| : : : :/             ヽ \:{::::::::::::/、
          .|: : : /   ./    i       ', ',::::::::/: : : :\
        j: : /}   {    .i!      乂 }:::::::',: : : r― `
        }/ ノ / /|    i |_メ ..ィ    >:::::::〉<        ィ
         ∠..ィ__ノ j∧ ト、{ ≦zzー―≦.,-- ''  \     /: {          ちべたっ!
           / ', ==ァ ヽ{   ' ' ' }   ∨  ',    \ ,.ィ: :´ : : :レイ
        、 __ノ  } / /^ヽ   /   乂  ',     \ : : : : : : : /        あ、でも暑いから冷たいの気持ちいいかも?
      _ >ー.ァ八' ' ' .} / jヘ ∠.ィ   i⌒  .',    ', ヽ: : : : : /
       ̄`ヽ/ ./  ヽ  V   }  r.}   { ./: ',    マ⌒ : : : : i
       /  ./   ハ{>  -== ≦//.|  N ./: : : :i      ', : : : : : :|
     ./   ハ { i     // -、  ,  ノ__/ : : : :.}      , : : : : : |
    /    / ヽト. {  .r ≦/乂_ノ..ィ//  `マ : : :!  .iヽ  ',.: : : : :|
    //j/     ヾ / .ィ<//>'___.i     } : : |  .N: : \ ',: : : : |
    /      .rー、 >:::ヘ/,.ィ:::::::::::::::j,.ィfニニニミ、/ : : : : :\{ : : : :
      r≦ミ<}  ム_ \::/::, ⌒ヽィ 二二二≧ 、::::::::::〉: : : : : : : : : : : |
    ////\\  /: :`ヽ/ノ ////////////{ ̄/ヽ : : : : : : : : : :.
    /: : \///\\――‐.}////>.: ´: : : ',:`ヽ-'-、/ : : : : : : : : :/

747 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:01 ID:9VK52rQk0

                   ト、
      X       / }     |、\
     ./        ,:'/  |      | |. \  ,.. --─ァ
    ┼       //  |      | |.  ∨::::::::::::/
       「\ .//    |__,.r‐-、」 /    |__:::::/}
       |::::::::Σ}  ,. - ''"´ ̄ ̄ ̄`'' <r':::::::::/
       |:::::::`くア´             \/、
       |:::::::/       /    ,   |  ヽ. ∨::\
       ヽ:/   /  / .|   /ト、__/|     、|::::::::::`':: ー-
       ∠.,  ,'  / イ∧ /、」__,ハ /  \::::::::::::::::::: |
       /:::;|  | /、_,,.= ∨    ̄xxレ' ̄| ̄「ヽ:::::::::::: <           うーん、これは中々のイケメン魂、略してイケ魂……
     |::/::| ,' ハxx         (\| 八 /:::r‐<´ ̄ `
    r::'´:::::/∠.イ /)  lァ ̄ ヽ  〉 ∨ ., \/   `' 、            成長したら立派な大和男児になりそうな予感もします!
    ヽ::::∠... イ|/ ,{.、  、   ノ ,'  | /---> 、    \
     />-‐ァ' {  、|>,、    ,. イ  〈/ヘ、∠_   ヽ.             逆光源氏、アリですねえ……
     ,'    / ,rヘ   )ソ ‐`7´ /\ //:::\`ヽ.   ',    |
      {    { /::、 \ イ\ /|./ ///:::::::::::::::\,ハ 、| ./|/       ト、
     \__/ア::::::\ \ _/.(o/ / /::::::::::::::::::::::::;>‐へ、レ'        ノ ハ
    r//:::::::::::::::::::ヽ }/ ̄   | {::::::::::::::::::::/  /  Y   ,.. -‐ ''"    | ) )
    / /:::::::::::::::::::::::::|/ / _,,.. -ヘ、\::::::::::::/  /   /| /       /
   { /:::::::::::/::::::::/}::`Y´:::::::;::::::::\ }::/\|      { ∨        /

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「うわ、そこら中に吸い殻が……誰か掃除する人いないのかな?
いないんだろうな」

毒食らわば皿まで、というわけでもないが、一度始めたことを中途半端にする
のも気持ちが悪かったため、吸い殻拾いもやっておいた。
落ちていたレジ袋に吸い殻を拾い集め、ひとまとめにする。

ついでに十円玉を賽銭箱に入れておいた。
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748 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:14 ID:9VK52rQk0

       ト、  }:i:i:i:i:i:i:≧x        ィi   >f:i:i:|
       i \/:i:i:i:i:i:i:i、:i:i:i:\   > / |>f:i:i:i:i:i:i:i:i|
       } }   \:i:i> ´ ̄ >   ,イ }:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{
       xX',  /       `ヽ. / 爻:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i八
      爻 ',./  /         \ 爻:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/
        爻./   :      i!     V マ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/
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     /   /|   j  ,     i!   _/_}_              \    ,
        __r =ニ| >' ノ   __ 斗=ニ//////             ∧
   ./   マ、\ /  ' ,.ィf>__j_ -―━━ ミ            / ',   }       }
  / /   _寸./  /,ィ.> __{_   -- ―――'┐     -――        ,           }
   /   |≧i≧、.//./:.:|: : : : : : : : : : : : : : :/   ´               |  .'
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 | ', {    八: : :.<{_/: : : : : : У: : : : : : : : :.イ! ,                     } /
 |  ミ=-   ≧=-==---=≦ハ:__: : : : : : :.{彡|/_              /
 ',  |      \: :寸ニニニ //∧: : : : : {彡^: : : : =-- __
  \{       /: : : \ニニ.////∧: : : : V: : : : : : : : : }ニ}`''<=-_
         ∧: : : : : マー{/////∧: : : :∨: : : : : : :.:/ニ,   \ニ=-            /
        .//∧: : : : : V/{//////,}: : : : :∨: : : : : :/ニ/`ヽ    ヽ<=- _        /
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      ∧,'////: : : : :i!: : :}/: : : : : :: : : : :\:}/: : |     「 ハ  ',: : ∨\ニニニニ==
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    ./: : :///∧: : : : : :|:{'//∧: : : : : : : : : : : : : : : : \     (^)/:i:i:i:|: : :.:}==.',ニニニニニ

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そして帰宅後、狐耳の美女が三つ指を突いていた。
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749 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:25 ID:9VK52rQk0

                         ┌──────┐
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                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
                         └──────┘

                           ┌───┐
                           │::::::::::::::::│
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                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

750 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:40 ID:9VK52rQk0

                ,ィ,
                .v': i.              .,
               ノ: : ヘ.            /(
               i: : : i:ヽ.          /:.:./´
               j:_)Y゙i: :ヘ     __,/:.:.:.:.イ
  ハ       ト、   -=, ゙ 人: : ゙、  ,ィ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:)
  i: `ヽ、     ヘ:.\  メ,,  ヘ: : .∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:イ
  ヘ: :ヽ: `.ー-.、 〈:.:.,.-`‐.v'-―-、i: : :.トく`´ ̄`ー、'′,-――,-
   ヘ:-=ヽ: : : :`>'.:  ,     `ヽ、i:. ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ __./´
     >廴.`ヽy'.:::   /:. 、.    、.  ヽ .゛、:.:.:.:.:.:.:.:(.. .`ヽ、
     ∠, '' ./.::::   :i::::. . :ト、、  ヽ、 `ヽ、.:∨:.:.:.:.:.:.:`7:::... `ヽー=...__ ,
      '´j,_ノ:;:::: .: :;|:::::.:. :}__心_ト、、ー、ノ::∨:.:.:.:.:.:.(:::::::::::.....  `ヽ‐'´
      ー=..イ::: .:: ,'_/'!:::::::i:i´,二、ヾ`iヾ、 ..`ヽ.i:.:.:.:.:.:.:.メ、:::::::::::::::::......  `ヽ.          というわけで! 頼れるあなたの巫女狐!
      /,:.:.i::::.:::://゙ヽi:.:,イノフん゙`}ヽ:i:::.. .. 、::`ヽ、:.:.:.`i ヽ::::::::::::.、:::::....  ∨
     '⌒ト、:ii、::::,'V/灯ノ '′ 込丿j人::::.. ::...ヽー-=-:.:|   `ヽ、::::ト、::::::::....∨        神獣ウカノミタマ、高天原より参り越してございます!
      ノ:;'´i!:、::i:::ヘ.じ,         ,X::...:::::..`ヽ、:.:.:.:|     ヽ::i ヽ:::::::: |
   ,,'´゙ー/ .::::::::/)!:::人 ` v-‐vフ   , ,.ィ=ヽ::、:::ヾ、ゞ´`    丿ノ  i::::::::;         御傍に置いてくださいね?
 ,'⌒ ./..::::::::; ' ./,::::::::.>、`ー'. - ―く'彡" ̄ヾ、、::::i `ヽ  ー=-‐´ _ノ::::::/
 し ./´ ..:::::::ノ ノイ:::::::::::|  `'´     ー、'三ミiヾ:::|      、__..ノ:::::::/
   i .::;イ::::::,' ´  |::::::::::、! {      ヽ. `ー-゙ノ'リ‐-、     ` ̄ ̄´
   |::,' .|:::::,    !::i!:::::|ヽ 人       `、   ハ  、 ヽ
   ヘ! .ヘ:::i    ヘ:!、:::!   ヽ.      _,.゙ヘ,ヘi  |  i    _______          __,、
    ` `ヽ.    ヽ `ヽ   i `ヽ.   //´  ,〉-、i . ノ  ,ゝ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.`:.ヽ.ー‐'´:.:/i!
                 , '´ ,.--ヽl´/´  /:.:.:.:.:.: ̄`'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:/
                ,ィ'"´____ | |   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::./
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デビルアナライズを起動し、レベルの高さに驚愕する。
喜留夫と同じくらいの強さはある。それなりに高位の悪魔だ。

これほどの強さの悪魔には、喜留夫の仲魔たちくらいしか見たことが
なかった。

「サマナー、コレハダメダ。オレサマタチカチメナシ、ムジョウケンコウフク。
ムケツカイジョウ。アオーン」

慌てて召喚したガルムが首を振る。
もはやこれまでか、と思い目を瞑ると、何かが覆いかぶさってきた。
大きく柔らかい何かが顔に押し付けられ、息が苦しくなる。
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751 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:26:57 ID:9VK52rQk0

       メ゙、
       /;: :ヽ.
        //: : iハ               ,ゝー,.イ
.      //: ;、: i:ヘ. _,         /: /: : i
へ.   ,' ': :_i`ヽィ'´ノ        /: /: : : :,'、
:.:.:.:.\ /:ゞ´ `. ,ゞイー、__==.┐/_:; '人: : ; :/.:.:メ
:.:.:.:.:.:.:.゙/'´,  .:.、メ、.く':.:.:.:.:.:./:,: ゞ`´ ゝ/:/:.:./
:.ヾ、ヽ:.i:´,' ,.、==.、<、´,.:.:.:.:/:,ゝ' メヾ,ィ' ,ノ,: /.:.:`ヽ.
:.:.:.:.:.ヽi:ノ'.:   .::ヽー―‐'‐、ゞ_,、廴フゝ:./.:.:.:.:.:.:.i
冫:.:.:.:./.::     ::::;::::::::::::::::::.ヽ:::::`ヽメ´/:.:.:.:.:.:.:/
:.:.:.:.:.:/.::: /    / i  、:::::::::::::ヽ::...∨,'.:.:.:.:.:.:.(
:.:.:.:./.::/  .::.: /i  il  、  i:. 、  ヽ.:.:.:.:.:.:./
:.:.:/.: '   .::::. / .i  i!  :  i::.  、   ヘ:.,./
:.,'.:    ,.イ ‐メ、、i: i!  ゛:. ト、. `ヽ:. 、ヽ.`ヽ
'.:: __,ィイノ,ィメミミ、`ド、   i  | ∨:.  ∨:.ヾ.∨:.゙ヽ.
メ-'i リ'-ィi行:i:::。!ヾゞ:.  .:ハ:-キ=廴 :::i:.  ト、_゙、::... ヽ、
 |ミi::::.. 八! i!: ー' :j`゙ 乂、.! ィ≠ミ、゙、 、 :i:. :!、:::::::::::::...、         おやおやー? 目なんか瞑ってしまってたら食べちゃうゾ?
 ヘi::::::... 、゙、≠='′  `ヽ!/:i::゚j:iゞハヽ. i、. ! ヽ、::::::::::
  ハ::::: 、:.ヾヽ.     ' ゞ、¨.ノ/、ヾ、!メ ヽ!   `ヽ:::         「アオーン、ニゲロサマナー。オレサマジカンカセグ」
 ,'::::::  i`¨¨` (v ̄`ヽ  ``/i、:.ヽーゝ  (⌒⌒) `
 !:::: i!  ゙ト、   ヽ._ .ノ   ノ::i!:::i¨¨´    \/           冗談の通じない子ですねえ、よしよし、同じイヌ科のよしみ、
 ゝ、 i、 、゙iノ、ヽ.       . </:::リ :i       ____
  メ‐-、 ヾ、ミ.、 ` ァ_' ´  ./::; ' ,'     r┤i三三ミ         仲良くしましょう?
  ,'   ヽ:.i、ヾミ、 ゙iliト、 _i:: i .:ノ   、.  と| |三三三
. i   ヽ トゞ、 ヾミ彡イヾil!!: l ,'`ヽ、/ヽ._. ! !三三三
:゙、!    i`ヾミ、 ○)))彡'!: v 、//彡´/´| |三三三
: : !__ i / , `ミ三彡'  ヽ!ヽ辷彡' /.:.:.:.:| i三三三
二´__`ヽ、/     `ヽ.    `ヽ'.:.:.:.:.:.:.:|/\三三
三三三三ミ,'  ____ヽ.  ,ィ彡三三=、'.:.:.:.:.:.:ヽ三
、 ,      ! ,ノ三三三三ミミヽ彡='¨¨¨¨`゙゙i.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
-―――‐-メ'彡三三三三三ミ彡'   ,==‐.ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〈彡'´  ____  `ヽ、/.:.:.:.:.:.:,:':.、:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.`ヽ、:.:.:.:.\,ィ´;;;;;;;;;;;;;;;;___ヽ-―`―‐‐/.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.
ー―、___:.:.:.:.:.ヘヽ'.:.:.,ィ´;;;;;;;`ヽ;;;;;;;;;;;;ノ;;;;;i:.、:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:


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史門は頭を撫で繰り回してくるこの悪魔について考えた。
一体何がどうなって、自分の家にこんな悪魔がいるのだろうか。

「ちょ、ちょっと待ってよ。どうしてここにいるの? 異界化もしてないのに」

「どうしてもなにも、私、あなた様の行いを見て決心いたしてございます。
あなたは私の冥加を得るに相応しい御方であるとお見受けしました!
この度は素戔嗚尊ならびに伊邪那岐大神の名の下に、あなたの仲魔
にしていただきたく参上した次第でございます」

「仲魔? あんたが、僕の?」

「ええ!」

ウカノミタマが狐耳をぴこぴこさせながら微笑む。
太陽のような優しく明るい笑みに、史門は胸の内が熱くなるのを感じた。

「ツカレタナ、サマナー」

「そうだね、いきなりすぎて疲れた」

「イヤ、ソッチデハナイ。ツキガミダ」

つきがみ、それはつまり、月の神ということだろうか。

「チガウ。ヒトニトリツキ、ノロイコロシタリスルカミノコトダ」
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752 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:27:25 ID:9VK52rQk0

                /|
              ./ /!          ,. ‐ァ
           ., '  /  |       ./ /´|
           /   ,'  .ト、    r/  /  |
      r─- 、 rト、 | _,. -──-< /   /
      |:::::\Σ ,.>'´        `'< ア─ァ
      ヽ;::::::::`ア    /          ヽ;::::/
       '、:::/  /  ./ /__ /        ∨           「ええと、ウカノミタマさん?」
       r‐‐´:7  ,'   |/ ´|/|  /| ハ__/ l |
      |::::::::/ | l  ./ r==、|/ .|/ |/`ノ  ':、          まま、そこはお気軽に、おたまさん、とでもお呼びくださいな。
     /.〉/ /  |  /| "     , ==t/  ノ、>
   /  /: ̄/  // |    _    "/'| イ:::::\          おまえ、とかでも構いませんとも、ええ。
    | .;':::::::/_,,.イ |  |ト,、 l  `ソ  / ト、\:::、_}、
    | レ'"/´ ././|  |/| \    _,.イ|  | ノ ̄:∧ \
    '、  /|   |/ .八 ヽL,rト`て´ァL_/ ,ハ\/ ',  }
     \|ヽ    ,. -‐\__,>(o/ ∠ イ  ̄`ヽ、 .|  /<´ ̄ ̄`' 、
          /  l      ´          \/ヽ,  `ヽ    ヽ,
      _r-/  /‐-、 / ___      T、   ./|:::::::|7ヽ  }       ',
     「、/\_,.rヘ、:::::::Y´:::::::::::::::`>- 、 / ヽ/./:::::/  ∧/      }
   /\\::∨、 ヽ ̄>''"´ ̄ ̄ ̄ヽ_/ r '" /:::/  ./::::}、     /





                  \
          、___,..-‐'''" ̄ ̄``ヽ、
      ー・、  >            .ヽ、_____丿
        `>´            ヽ /ヽ '-'
       / /     ,'          `ヽ |___
        ̄/     ,'           ヽ<‐‐‐`
        /     |    |、       "'''・ ._        ……狐。もしかして、あのお稲荷さんと関係が?
        |     从 、  |>・'´ ̄ |、 ヽ。「 ̄
      ・ ̄|  ∧.土弍|ヽ ´|ー‐ヾ  .| ヽ、 |`           「ええ、私、あのお稲荷さんです」
        //| .|、 .|、 i:j \ |.ij_,ヾ .|  》ヽ|
       .'´  `、ヽ_| .ー'' 、ヽl   uヽ| ,、|             鳥の糞がついてた?
           .|/| |、        ,.‐'´|`l
            ..ヽ| `ゝ._―- _,..'.|||  .〉、            「冷たくて気持ちよかったですー」
             |~``ヽ   ̄|二彡.||ヽ /./‐ヽ、
              ヽ|.| |  , '.ー‐'''丿ヽ_/``ヽ、~ヽ、
             /<ソ| `-'    .).|      `ヽ .~.|

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なんとも奇特な話があったものだ。鶴の恩返しならいざ知らず、
狐の恩返しと来たものだ。

「ささ、COMPとやらをお出しくださいませ。早速契約の儀といたしましょう!
私と契約していただければ無病息災、五穀豊穣、六根清浄でございますよ?」

ずずいとウカノミタマが身を乗り出す。
胸元が露わになり、谷間が視界に入ってきて、史門は狼狽えた。

「分かった、分かったから、離れて」

腕に装着したCOMPを出し、契約画面へと移行する。
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753 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:27:37 ID:9VK52rQk0

                             ./^,{    _
                    }`<  |\       / / .i ,.ィ:i:i:i:/
                ^ 、 \}:i:i:i\     / /  {´:i:i:i:i:i:/
                   i ヽ \:i:i:i:i\_../ {ィィx:i:i:i:i:ir'
                  _{ x \ \> ┴┴ ア  メ:i:i:iリ-―,
                {: : メ   ./       \ メ:イ: : : /
                Y: メ  /   ./       \}: : : :乙
                乂: :y' ./  {    i      _\⌒
                     ゝ/ /   ハ    ハ     \  \
                   ∠∠.ィ  ィzミ、/ ィf=ミ <__ト、!   \
               /  / }/∧vソ ,  v:ソ/ィ   |  \    、  }\         では、これより私はご主人様の守護神なれば!
              /  /  ノ  ゝ 、 ,  ィ  |ヽ!    \    \  ∨i
            /  _/__   ⌒i  }> <ハ.|  |      \    ヽ  レi       天上天下、三千世界の災厄より
             _/___{_ `ミ、\ / ヽト{、./´  / .ノ- 、      \    、 ′
           {: : : : : : : ミ、 マハ} _ノ   `ー ´ {/´   V    /  \   .∨        貴方様をお守りいたしますとも!
             Y: : /: : : : ヽr<_   y ´      、  __V≦彡       \   ∨
           _ノ: /iヽ: : : : r{二`ヽミ、 / ,.ィ=== Yム≦>--┴-、        \ V        
      __/: : : {//∧: :.八: : :`ヽ `ヾイ'"´ _く/  -―― 、/        {\}
    /´: : :>≦: : :.\//}: : : :}≧=--.<,ィf彡. : :.</: : : : : : : : : :ソ      /
 rト、ノ: : 「: : ̄ ̄: : アニニニミ、レリ、ニヘ/ゝ--=≦/: : : : : : : : : :イ       /ィ
 V: : : : : {: : : : : :/ニニ,ィ==ミ、rヘミ{(__)}===ニ/::ゝ-- r彡: : : :.ト,\       /
  i: : : : : :}: : : /ニニニニ〃ソ:.乂/////\//,ム//∧リ: : : : : : :|//ヽ\_ --′
  乂:_:_:.ノ:イ/ニニ./ニニ{/: : : く-,::≧=--- へ  .ノ: : : : : : : {///ヽ:.\: : : : : :\
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こうして、神獣ウカノミタマが仲魔となった。

後で喜留夫に相談してみたところ、「あー、稀にそういうケースもあるんだ。
高位の悪魔が人間を気に入って勝手に仲魔になるってやつ。
ま、そういうのは諦めが肝心だ。機嫌を損ねたら首刎ねられるから気をつけろ。
もし不安なら、俺が今から討伐に向かうが」と言われた。

流石に倒すのは気が引ける。
寂れた祠に一人きり、聞けば数百年は待ちぼうけを喰らっていたそうなのだ。
きっと寂しかったのだろう。一人でいることの寂しさは痛いほど分かる。

とりあえず、マグネタイトの消費を抑えるためのセーブモードプログラムを
送ってもらい、普段は十分の一の出力で一緒に過ごすことになった。
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754 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:27:53 ID:9VK52rQk0

                         ┌──────┐
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                               ・

755 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:28:46 ID:9VK52rQk0

〜TIPS〜
                ,ィ,
                .v': i.              .,
               ノ: : ヘ.            /(
               i: : : i:ヽ.          /:.:./´
               j:_)Y゙i: :ヘ     __,/:.:.:.:.イ
  ハ       ト、   -=, ゙ 人: : ゙、  ,ィ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:)
  i: `ヽ、     ヘ:.\  メ,,  ヘ: : .∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:イ
  ヘ: :ヽ: `.ー-.、 〈:.:.,.-`‐.v'-―-、i: : :.トく`´ ̄`ー、'′,-――,-
   ヘ:-=ヽ: : : :`>'.:  ,     `ヽ、i:. ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ __./´
     >廴.`ヽy'.:::   /:. 、.    、.  ヽ .゛、:.:.:.:.:.:.:.:(.. .`ヽ、
     ∠, '' ./.::::   :i::::. . :ト、、  ヽ、 `ヽ、.:∨:.:.:.:.:.:.:`7:::... `ヽー=...__ ,
      '´j,_ノ:;:::: .: :;|:::::.:. :}__心_ト、、ー、ノ::∨:.:.:.:.:.:.(:::::::::::.....  `ヽ‐'´
      ー=..イ::: .:: ,'_/'!:::::::i:i´,二、ヾ`iヾ、 ..`ヽ.i:.:.:.:.:.:.:.メ、:::::::::::::::::......  `ヽ.
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     '⌒ト、:ii、::::,'V/灯ノ '′ 込丿j人::::.. ::...ヽー-=-:.:|   `ヽ、::::ト、::::::::....∨
      ノ:;'´i!:、::i:::ヘ.じ,         ,X::...:::::..`ヽ、:.:.:.:|     ヽ::i ヽ:::::::: |
   ,,'´゙ー/ .::::::::/)!:::人 ` v-‐vフ   , ,.ィ=ヽ::、:::ヾ、ゞ´`    丿ノ  i::::::::;
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 し ./´ ..:::::::ノ ノイ:::::::::::|  `'´     ー、'三ミiヾ:::|      、__..ノ:::::::/
   i .::;イ::::::,' ´  |::::::::::、! {      ヽ. `ー-゙ノ'リ‐-、     ` ̄ ̄´
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   ヘ! .ヘ:::i    ヘ:!、:::!   ヽ.      _,.゙ヘ,ヘi  |  i    _______          __,、
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【名前】
ウカノミタマ
【種族】
神獣
【レベル】
55
【属性】
Light-Neutral
【相性】
魔法全般に強い
【能力】
力-E 魔-A 体-E 速-C 運-A
【スキル】
マカジャマオン メディラマ ラスタキャンディ ランダマイザ デクンダ デカジャ 吸魔

【備考】
史門の仲魔。コミカルな言動が特徴的な狐耳の美女。
真面目な場面では慈愛に満ちた表情を見せる。

寂れた神社の稲荷像に化けていたが、史門が訪れて掃除してくれたことにいたく感激し、
以降史門の仲魔になる。レベルが高すぎて史門には制御できないが、

本人が史門を気に入っているので危害を加えることはない。また、言うこともある程度聞いてくれる。

相当ピーキーな性能を持っており、強力な補助魔法を駆使するが、
紙切れのごとき打たれ弱さであり、ちょっと集中攻撃を受ければ撃沈する。

756 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:29:15 ID:9VK52rQk0

.     /'.:.::: --.´ ̄`r‐.、:::::\
    イ/.:::/: : :ノ   V: :.\:::::ヽ
      /.:::/、__://⌒\\:__ノV:::::.、
    i::::::ir‐‐r':.ィ::|::::::::.ト:::::i:ヽ. |:::::::.ヽ
     !::::::i:::::ハ/-i::ト、:::::|‐ヽト:::::ヽ:::::!`        「時にご主人様、ご両親はどちらに?」
    ハ::::::i::::i (´ リ ) \!'リ  )、:::i:::::i
     ヽ:::トヘ,, ー‐   , ` ー ,, ,'ノハノ         いないよ。二人とも僕が物心つく前に死んだ。
        Vヽ::、         /ー'/
.       ノヽヽ. ´ `  .イイノ、          ここは僕の叔父さん夫婦の家。二人とも仕事で、九時には帰ってくると思う。
.       /   Yi>.-.<{/    \
     ー‐‐、   !ノ    ヽi  ,.-一        
      ...-/ヽ !',_    _,'_i /\` .、
   . - ´ /  .! ', ` ´ ,' i./ ,'. \ : 、
  ,'   /   i | ヽr4ァ'  .!' /    ヽ. ヽ
  !  ./',    ! |  「王_7 .|       i  ',
  |  j ',     i.|  ∨,'/   ! /   /  |   '
  i  i  ',    j.  ∨   ! /   /  |  i

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自分の両親が既に他界していることを告げると、
ウカノミタマは暫し黙りこくり、それからまた史門を抱きしめた。

「な、なんなのさ」

「それは辛いことをお聞きしました。お詫びと言ってはなんですが、
このおたまの腕に抱かれくださいませ」

乳房の感触が頬に伝わり、史門は顔が上気するのを感じた。
それと同時に、何か胸の奥で針で刺されるような痛みを覚えた。

ふと思った。
誰かに抱きしめられるなど、自分は初めてではないか?

「ともあれ、叔父様ご夫婦にご挨拶をせねばなりますまいて。
亡くなられたお父様のご親友の娘、ということでどうです?」

「え、まさか会うつもり?」

「ご心配には及ばず、この耳と尻尾は霊感無き者には見えないようにしてあります故。
一般人の目にはどこにでもいる町娘に映りましょう」
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757 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:29:29 ID:9VK52rQk0

                             ,
                ハ、       /'i
                   |: :ヾ.       ,':/: :!  __,
             ト、_i: ;、: ;ヽ   ,':/メィ;!,ィ'  /
              ヽ  厶 ゙' メ:.゙、ー‐,':,ゞ` 'ゝ ,/
                  7 ゞ, ,ィ"´¨⌒´¨`ヾ、メ.  〉_
             ,.―‐ヽ、''/.: :: :: ::  :: :: :: :.ヽ/  `ヽ,
            Y   ノ.:: .:: .: ;:   :: i:. :: :. ∨  i´
          /ヽ、.∠,.: : ::, .:ノ!i:  .::i,.゙、:、:.、.i  ノ:.`ヽ.
         /.: :: ::/ヽ.ヘi.:ィ≠=メ|:.ノ!ム=リメ:.ノリ´ヽ::::. ::.\
        ,:′.: .: ./  >'. 弋:リ '´ ' 乂リ!':.゙ゝ   ヽ::. ::.. ヽ.
         /.: .:: ::/   `ー'!:ハ ¨ _ ' _ ¨ノ::i'´    ヘ:i:. :.、:.ヽ         私、どこに出しても恥ずかしくない良妻狐です故?
      /,ィ: ::: /     ノ.::::>_ヽ_ '.ィ ´|:ハ     リヘ ::iヽ:i
       /ハ: ;i:,′     i .:::ノメ \/ゝリ:: }    '′ ソ.ノ .リ         こそこそ隠れてご奉仕なんて性に合いません!
     '´_メ ̄`ヽ、   , ´ヽ:〈_,`ヽ(Oゝー'_ノ-、     '´  '´
  ,ィ==/彡'三ミヽ、\.ト'、 _,_'_,ィ=ェ、 Y ,ィ=、_ヽ. 丶.   、.、ー-、         ここはどおんとおたまにお任せあれ!
 イ'三彡'三三三三ミヽ.\゙シ'二二、゛У彡==゙キ、.メ=!  ヽ:゙: : :ヽ.
 |三彡'三三三三三三ミヽ∨.:.:.:.:.:.:ヽ' ,ィ彡三ミメ'"¨´ ̄i_  i: : : : : ゙、
 レ彡'三三三三三三三ミヽ!ー‐‐'´三ゞ‐--、ノ.:´ ̄ ̄:.:.:〉 l: : : : : : :ヽ.
 ∨三三三三三三三三ミ∧三三,ゝく三三/.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.ノ: : : : : : : : :゙.
.  ∨三三三三三三三三'/.:|ー―ゝ‐'ー―‐!:.:.:.:.:.:.:.:.:.ム'、: : : : : : : : : : : i
  ∧三三三三三三三/;.:.i三三三三三三、:.:.:.:.:.:.:.:.}ミ=\: : : : : : : : : !
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 ,'.:.:.:.:.:.:.:.¨7i´.:.ヽ-.':.:.:./.:.:./.:.:.:´.:イ .i i ´.:.:.:.:.;彡、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`´/`゙ー'-、
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 ヘ:.:./   .i:.:.:.:.:/  (.::!  l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/   !:.)_;ィ彡三三三三//
  V    i:.:./   メ.::!   !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,′   !::ヽ三三三三彡' /
       レ'    /.:":i!   !:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.i    i::::.i!三彡',ニニ-'´

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そうしてウカノミタマは、帰ってきた叔父夫婦と対面を果たした。
妖艶な着物の美女が待ち受けていて、叔父夫婦は面食らっていたが、
ウカノミタマの慎ましやかで礼儀正しい姿勢と丁寧な嘘八百で、
どうにかこうにか丸め込まれてしまった。

その日、史門達はウカノミタマの振る舞う和食を頂いた。
麦飯に鯛のお作り、海老やさつま芋の天ぷら、茶碗蒸し、豆腐の味噌汁という
ラインナップで、ちょっとした旅館の食事のようだった。

食材は自前とのことだが、出所は不明だ。

叔父夫婦も美味しい食事と嫋やかな態度にすっかりほだされてしまった。
かくいう史門もほだされかかった。

一体この先どうなってしまうのか、史門は先を思いやった。
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758 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:30:10 ID:9VK52rQk0

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                   , '      ~"'''‐- ._
             ヽz、_/           <´
               > _,. .-‐― 、       `ヽ
              /..,ィ'´  ヽ   ノ`ヽ      .ア
                /ノ.lノ, '⌒ヽ、二..ノ´ ̄     `ヾ、
              ,イ/.      _ヽ´ヽ、   _   <
                   {  ヽ.ヽlヽlイj`ヽ ヾz、lヽヽー―‐ァ
               ヽl、 泌、l  ヽ__ノ   lソノ    ,'....  /.><ヽヽ、
                _,.-‐'''"<        .<ヽ.    / . /ヽ//ヽ.ヽ.ヽ.|
            ,."  <´ ヽ⌒ヽ  ,   ヽ_ヽ  .人‐=zl lヽ、.   |
          /      >. `ー-<´、    ノヽ_ノ~T.Y⌒ヽl~ヽ   l
          ,',,     /   lヽr‐z ヽー、 '   ヽ.. l...|   }、/.}   /
           .)   /  `ヽ.ヽ  .⌒ヽ`、     .ヽ ヽl ./l>l...l  /_
         ,r‐、ソz.... /     .ヽヽ    ヽl      zヽ. ヽ〈/l/ /  l ヽ
  __,,..-―-`ー‐<三ノ_,..-'''"  ヾ}    ./ッ     _ ヽ ヽ/`ヽ.. |ーヽ.
   ̄.>.      ,.'''"  _,..-'''" |   /         /ヽ . l..r.',rァ..|..  .`ヽ
  <      ノ       ノ..../|  /    /   /`丶ニl .` ( ./ _  . )
   .ヽ__,,.. .''" z,_,..-‐‐、/ /   ,}       ,..-'.|`ヽ... ヽ. ヾノ´/... /
      /_,..-'''"     .ヽ./   ./ヽー‐,z,..-‐ァ_,..-'l, '´.> ヽ__.ノ... /...
     ./_,..-'''"フ ̄ヽ  ノ__,..'.ヽー'''~´   ./_,..-'./ /    ヽ   /
    /   /ー--''´ ̄´       ヽ.___ .l_,..'´ }´l'         `ヾ/
   /   /             /、     l ヽ..... |ノヽ
 ./  ,r´‐‐‐‐ァ          /  `ー- .___l、  `.<   ヽ
.〈  ヽ lヽヽ、/           /         ~"'‐ . ~"'''‐‐ァ
...|ヽヽ`、 ヽ/ヽ          /     、       `゙'' ./ ヽ
 ーヽ'`ー'´ ̄            /      ヽ     _,..-'     ヽ

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一方、サマナーとしての戦いは大分安全度が増した。
鍛練として異界を歩き回ったり、DDS-netに登録して依頼を受けて
悪魔を討伐していたが、そこにウカノミタマという戦力が加わったことで
戦いが安定するようになった。

史門はどうも口下手で、悪魔を仲魔にするのは正直苦手だった。
精々が物々交換程度だ。

その点、ウカノミタマはそのコミカルな言動で場を和ませ、悪魔交渉が
潤滑に行われるようサポートしてくれた。

それだけではなく、戦闘においてもウカノミタマは優秀だった。
決して前に出せるような悪魔ではないが、後方に置いておけば支援魔法、
前衛が傷つけば回復魔法、魔力が尽きても自己回復できる、
などと非の打ちどころがない悪魔だった。

分かりやすい弱点といえば、狙いをつけられるとガキの一撃でも
致命傷になりうることだろうか。
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759 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:33:45 ID:9VK52rQk0

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             `ヽ____~"'''‐-..
          _,..-'''"    `ヽ ̄l´`ヽ `ヽ、
      _,..-'''" /        \.\  \  \
         ̄ ̄/  ,、         .\ \  \ .\  ,'l
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       /,イ __...人  ./`|       .`、   `、   .|
      .l/ ./    `、 /  |   l     `、   l   ノ、
         /      .ヽ'  .|  .人l     `、  . |    .\
       ./ __        .| ../  |      l   .|      ,>
      / '  ̄`ヽ      | ./ ....| .∧   .|  /       .|        疲れた……
       /           |/    |/~ヽ、   | ./        |
       l                  j´-`、 .|/         .|
      l              __ ,、 ー- ノヽ.|ヽ, .     .|
      `ヽ、     ____ /  `ヽー‐'´   /-、     .|
        .|`ヽ、        /~"'''‐..`ヽ、_    .|    lヽ|
  ___  |/l/l/ヽ       |    `丶、  ̄`ヽ、l   .ノ
  ヽ     ̄ ̄ ̄~.|      .|      /  /ヽ,_ヽ__/
   `、        |      .|       /_,..-'''"‐‐、   ヽ
    `、      /.|     .|  ./ /       \  \
      `、    /...|     ./  .//           .\  \
      `、   l .|    /  ./              \   \
       >、 .|/    /  ./                   \   \


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家に帰り、風呂に入って砂やら泥を落とす。
最近はいつもこんな調子だった。
学校に行き、異界を歩く。学校がない日も異界を歩く。

こうした地道な活動が、人的被害を少しでも減らせているのなら。
それが史門にとっての一つの生き甲斐となりつつあった。
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760 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:04 ID:9VK52rQk0

        __,.斗-ミ二、γ: ー<////////7ァ、
     rァ'7////// .:´: :ム: :f: 、: : ヽーミ///////〉
      V//////.: :/: : : : : :ヽ: : : :\:\ ////
       ∨//, .: : 〃: : ; : :i : :ヽ: : : : : : ヽ:.ヽ'//
      ∨/.: : /.: : 〃: : : : : : ヽ:ヽ: : : : ヽミレ: `:. 、
         /.: : :': : : : : i: : : : : : : :!: :ヽ: : :、: :.マヽ: : :丶
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    _ノ'.: :イ: : i.: : +ハ+!:l: : : :イ_レ!:ノレ|: : ト:._\<._\: : :.ヽ
    /イ:/.: i: :|: : :ト,斗ミ、:.:{:! ィfテミ|: : ハ: : マ、 ̄、 ヽ: : : :.
      /.: iイノイ:、: ー《てj1 ヾヽ 辷ソメ:'イ: ト、: :.、//∧  '.: : : '.
     ,': : :/´゙/,!:i: ヽ:ゝ`”゜ 、   " /イ: l: :|∧: : :ゝ/∧ ‘: : : :'.
  r 、: : : ' //ノィ:イ:.:ト"" マ フ  . 1レi:!: :!//>ァ´ /∧ }: : : :.'.         はぁーい、お邪魔しまーす☆
    、\' く/////|:..:|:i/i> _  イ | |:c: V///////  !:/: : : i
   i:..:ヽ r- 、 ̄>|:゚:.!ム __ノ|    ヽ. }: : : } 〜ー '   レ: : : : }
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   '    ノ,′ `r-… "i --- ミ≧≦く=j ‘.
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     ` ′     |/   ;         ∧ ゙ヽ  }
           |     ,′,     〃 '.  ヽ !

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引き戸が急に開け放たれ、風が入ってくる。
叔父さんかと思い、振り返ると、そこにはバスタオルを体に巻いただけの
ウカノミタマがそこにいた。無論、その下は全裸であろう。

一瞬、状況が理解できず、史門は固まった。
それから体の熱という熱が上昇し、飛び上がりそうになる。

「なななっ、なんで入ってきてるんだよっ!」

「はて、なぜと申されましても。私、ただお背中を流しに参っただけでありますれば」

「いいよ、出てってってば!」
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761 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:33 ID:9VK52rQk0

                    /レィ   .トト、
                  /  /    ! 、\
                 /   /    {   ', ',
                   メ/    {      }  i
               メ i  _ .}-― 、 ノ  ム i
                _メ {/   `   <  ./ メ}
               ィレ         \/  メ .ィ
            __.彡′  /           , メ,/ レィ
            ア     {          V  V´ /
          < __ イ /jハ-  } _ハ     ∨ } /
                |  ィfミヽ /!/` }ハ     | ,  レ
                  ,  | ヒj ∨ ィf=ミ、|   }  i/  /
             -=彡 {::::.: ,    Vッイ  /\{  /             まあまあ、そう言わず。
               / 从       .:.:::∠.イ |し彡'
                 }\` -   イ|  .!                 一緒に入りましょう?
             {   |  ≧≦   { ,  .|
              乂ト、 .{,. -- '    乂  .!                 ほら、浴槽の大きさもジャスト・ラァブサイズですし。
               , -n/      ./イ  /
              / ' ノ           }/ Y       ___  __
           .ィi´  r ' {    i   } ,   }    > ´       <
          r' .リ!  i   ,    /   ノ {  //{/             `ヽ
          { { i!  ! /   /   ,   / /                      ',
           ,; } .i!  y   ./   / .ィ/                      i!
           リ :{ゝi .′  /   / //         ィ=-  ー-ミ    ト{
           ,;   .ハ    /     //               /   ヽト、{
         ,;   i ヽ.. ノ   ./ / {                 ′
         ,;  :  ,      ′.,ー}              /
         }!   i!      {  { ノ              /
         ;,    }        ,,ィィ′  ィィ レィ
         ,; ,;  ,      {   \         レレ/

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とりあえず、背中を流されてはこちらの理性が持ちそうにないため、
混浴だけで勘弁してもらった。

しかし、日頃ウカノミタマを見ていて、美人だなとは思っていたが、
こうまじまじと正面から見ていると、まさしく天女のごとき美貌だった。
白魚のような四肢、大きな目に整った顔立ち、形がよく大きな乳房。

「そんなに見つめられると、さしもの私も照れますねえ。
もしや、女性の裸をご覧になるのは初めてで?」

無論である。

「まあ、そういうことならこの無粋なタオルを取ることもやぶさかでは
ないのですが、私、節度を弁えている良妻狐です故?
そういうことはきちんとした関係を持ってからにしようと思う次第ですとも」
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762 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:43 ID:9VK52rQk0


        |ニニニニニ爻      爻爻ノニニニ/   /Λ |.
        |ニニニニニ爻      ノ>‐=ミニィ(     // .爻
  |ニ=‐- ..,,_Lニニニニ爻    >''´      ̄ ̄ \__,少  爻
  |ニニニニニニニニニ/ 爻>''´      //     / \   爻
  |ニニニニニ/ニ=‐''´ /       _//¦  /i   ', 爻
ー ∨ニニ/ニ⌒'┬= /    /   / /'トl   / .|   ゚,.爻
.:..:..∨/ニニニニニニl /  /  /| / ! |    /__   乂ニ\
.: .: .: \ニニニニニニニ/ ィ //   ィL__j / ||i   /7⌒  |i\ニニ〉
 ̄¨¨ア \ニニニニニ/ |// ィ! |⌒ぅ=ァ jノ ! /Λ/;   |i二\/
. /  /\ニニニ/  ノ 八|       ノィiL__ イ ||iニニ「
´   /  ノ⌒ア ___彡   |\ (      ノ^7 | 八|iニノ
  /  /  /⌒.i |    |    ヽ .,__,, 八 lΛ-!厂
.   //  /.:. .:. .:.i |    |\      ィ'゚   ↓ ∨
   /. . {八.{. :>==圦.     |   `ト _ <:::|¦  八ⅱ
イ /.:. .: .: .:/     \  |  | |::::::]I==||/  |i
.:|/ .:..:..:./           }  人   乂ァ'´  |人    |i _
. : . . /          ___,ノ彡へ\         )イ  |i  ̄ ニ- _
>''´        . . .      ) )         | |i ̄      ̄ ニ- _
  ____    _彡 : : : : : . ⌒¨´         \ |i _  --      ̄ ニ- _
 ̄      ̄ ‐-=ニ[ : : : : .         ‐-      ̄¨''  _--           ̄ ニ- _
              ̄ ‐-=ニ[          `        寸_____
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______ ,,..    -‐=宀冖冖宀=‐-       `'く       ',   ;-二-
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: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: /: :          ̄ ニ- _---------

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ウカノミタマはいたく自分を気に入っているようだが、何が彼女をそこまで
させるのだろうか。史門は疑問をまっすぐぶつけてみた。

「最初に申し上げた通り、祠で一目見えた時から、貴方様の魂の美しさに
心惹かれてお家まで駆けつけたのです。神というのは律儀なものでして、
願いには答える、恩には恩を、罰当たりには罰を、という存在なのですよ。
どうぞご自分の行いを誇りくださいませ、ご主人様。貴方様の行いは
伊邪那岐大神に御覧じられても恥じないものでございます」

自分の行動が正しいかどうか。
そんなものは神様くらいにしか分からない、と喜留夫は言っていた。
神様がそう言うのなら、少しは安心していいのかもしれない。
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763 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:34:55 ID:9VK52rQk0

                         ┌──────┐
                         │::::::::::::::::::::::::::::::::│
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                           ┌───┐
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                           └───┘

                             ┌─┐
                             │ :: │
                             └─┘

                               ┌┐
                               └┘

                                   □

                               ・

764 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:35:38 ID:9VK52rQk0

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    ':.:.:.:.:.:.:/ ./:.:.:.:.:.:.: /斗-≠=ム< !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ  }:.:.ハ ` ヽ
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  i:.:.::.:.:.:.l ム:.:.:.:.:.:ハ:.:l. {  0    l  l:/ ,-、 `、1:.ヽ:.:.:.:.:.:',
  .l:.:.:.:.:./r、 ヽ:.:.:/ V !      /     /  ヾ. ,':.:.:.ヽ:.:.:.:.:.i
  l:.:.:.:.:ノ ,ヒ ヽ V       ―-- '       ,'0  l ,':.:.:,ヘ:i:.:ハ:.:.l
 .l:.:.:.:〈 ( `(      _   ```       !   ,',':.:.:/:.:.:l/ ヽ:|       今日の仕事は討伐だ。
 l∧:.:.:.ヽ、`ー  ,, - '' ¨: : |             〉` '.ハ:.∧:.:/
   ∨_:. -`ー '': : : : : : : : :l            ```! V |/          ガルム、いける?
  , ィ´: : : : : :_.. -‐ ''' ¨ ̄l        , -、      .ノ
. f: : :_ ィ: : : :l         ./          ̄     /
. l/  l: : : :l        i          ,  '
 !    l: : : l         l    、...__..、-
 ゝ   ';.:.:.:',      l      /  `ー―――‐‐―ァ
ノ, --‐二:.:.:__ヽ     l       /           /





                         ∧
                    ト 、  //^iV
                    }^i_‘,//__:」 .V
                 r::::::::Z_,, __---、}
               r ァ¨¨::::::弋Uリ }:/ ‘,
               {::::::::::::::__::::`¨´::::\  }  ト 、
                    \,ィ7´-ト、}:::::::::::::__> i!  }  \       マカセテオケ、サマナー。
                 (___}>''::::::::::::::::> {   i
                 「\::::::::::::::::::::::{  {__ノ     }      カイリキランシン、イキケンコウダ。
                }/  }:::::::::::::::::::::}   V     ,
             r.f^Y^く   }/∨::::::∧!  .}     /
             ∧:r 、:::::'´}     V:::/     }__  /
              ` <::::::{_/人   V/}/   !
                ̄辷}”“f―‐彡八   }.、
                        /\/   `く:::::::\
                    {:::::::i       {::::::::::)
                   `ー'       ー‐''

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仕事の依頼はネット経由であるため、依頼人と顔を突き合わすこともない。
死体を写真に収めて送信すれば、指定された口座に金が振り込まれる。
依頼人も、まさか依頼を受けた相手が小学生のサマナーだとは思いもしまい。

今回の依頼は、政府からだった。
夜闇に紛れて近隣住民を喰らう悪魔がいるらしく、それらの処理をしてほしいそうだ。
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765 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:35:58 ID:9VK52rQk0

                /|
              ./ /!          ,. ‐ァ
           ., '  /  |       ./ /´|
           /   ,'  .ト、    r/  /  |
      r─- 、 rト、 | _,. -──-< /   /
      |:::::\Σ ,.>'´        `'< ア─ァ
      ヽ;::::::::`ア    /          ヽ;::::/
       '、:::/  /  ./ /__ /        ∨
       r‐‐´:7  ,'   |/ ´|/|  /| ハ__/ l |
      |::::::::/ | l  ./ r==、|/ .|/ |/`ノ  ':、
     /.〉/ /  |  /| "     , ==t/  ノ、>           では、参りましょうか、ご主人様?
   /  /: ̄/  // |    _    "/'| イ:::::\
    | .;':::::::/_,,.イ |  |ト,、 l  `ソ  / ト、\:::、_}、
    | レ'"/´ ././|  |/| \    _,.イ|  | ノ ̄:∧ \
    '、  /|   |/ .八 ヽL,rト`て´ァL_/ ,ハ\/ ',  }
     \|ヽ    ,. -‐\__,>(o/ ∠ イ  ̄`ヽ、 .|  /<´ ̄ ̄`' 、
          /  l      ´          \/ヽ,  `ヽ    ヽ,
      _r-/  /‐-、 / ___      T、   ./|:::::::|7ヽ  }       ',
     「、/\_,.rヘ、:::::::Y´:::::::::::::::`>- 、 / ヽ/./:::::/  ∧/      }
   /\\::∨、 ヽ ̄>''"´ ̄ ̄ ̄ヽ_/ r '" /:::/  ./::::}、     /

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いつものように天真爛漫な笑みを浮かべるウカノミタマと、
小さな体に闘争心を漲らせるガルムを連れ、夜の九時に家を出る。

叔父夫婦には申し訳ないが、ウカノミタマの暗示で少々眠ってもらった。

今日は月すら出ておらず、空は墨をぶちまけたかのような黒に染まっていた。
装備を確認し、指定された悪魔が目撃された場所へと移動する。
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766 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:36:21 ID:9VK52rQk0

                     ______
                   //////////\
                      |/\//////////>、
                      |///\///__///
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                     __レ l l::::]////l○/o//Y
                .///ll/l l//[::[ 二 ]:::]::::l |〉
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       .r≦////////∧// \__  `゚ イ/////∧
      /// ̄\////// \/「二`=='イ///\\/∧
     .///////∧ ///////\}:::::::::::::::レ'////\\∧
     レ//////// /////////////}///////////\ V}
     i/( )//// //////○///ヽ/_//__//////////V/       チッ、バレたか!
     ト、./////}///o////V三三三レ'//( )//////
       〉  ̄ ////ハ////O///////////o//r‐;////
      }` ̄//////ノ//////r‐ 、////__//0//:////
     /////////_////////レ三三三//////////
      レ///// / }//////////////L ∧/////〈
    ///////   ∧/////r‐、///__/// i//////i
    ///////   /::::V////L三三三],'〈   }/////リ
   .レ/////   ∧:::::::\/////////∧/   i/////{
   .,'/////   ///\:::::::::>二二二]::: ∧   |/////|
  /////∧ //////>-//-≡/ ̄/ ∧. }/////;
 .〈//////∧;/////////二二二  ̄////\',/////i
  \//////\//////[ l 三三三 l ]/////\/// ',
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      ',//////r二二二二ヽ.////////////////\
       .∧////     O   V三三三 ]//////////\
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     ////////////`ー'///////////:::::\///////////// } |
【幽鬼ヴェータラ Lv57】

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悪魔は人間に化けていた。
黒いロングコートに帽子を目深く被っていたが、エネミーソナーだけは
ごまかせない。

デビルアナライズを見て、史門は臓腑を冷水に浸したような感覚に襲われた。
相手とのレベルの差はおよそ三十五。二倍以上はある。

勝てるか? いや、無理だろう。けれど、ここで自分が逃げれば、
この悪魔は後々人を喰らう。誰かが、自分のように大切な者を失う
悲しみを背負うこととなる。それだけは、看過できなかった。
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767 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:37:00 ID:9VK52rQk0

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           ノ:::::::i.=ハ ヽ--- '    ヽ-- '_/ ア/ヾi,
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            ̄7/',:::ヘヽ   , -- 、 ヽ    7: : 7
            , --ヘi---> .      .ノ   .-': : :-.、
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    ////∧//r―ュ//i ̄ ̄i /_   〉l― Y´//////
   .//∧ Vi  |__ii}//|____レ二二二レ';  |/// ̄/
   ////∧ V/////////////////////  ̄/// ̄/
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./////////∧ V´ ̄´      ̄ ̄ >--=//// ∧         ガキが一丁前に銃なんざ構えやがって……
.//////////∧ \ r―― 、      〈 (・ノ 〉 ///// 〉
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/////∧/////// \_≧ュ.__   __ノ_ r≦ / 〉
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ヴェータラが飛びかかってくる。
後ろに飛び退いてそれを躱し、ガルムとウカノミタマに指示を出す。
「ガルムは距離をとりつつ炎で攻撃! ウカノミタマは支援!」

「委細承知!」

ウカノミタマの札が舞い、体が羽のように軽くなるのを感じる。
更に、ヴェータラの動きが先程よりだいぶ鈍らされていた。

「くそ、体が、重い……」

ウカノミタマの呪詛によるものだ。
そこを畳みかけるようにして、ガルムの炎の吐息がヴェータラを覆う。
屍鬼、幽鬼の類は総じて炎と払魔の攻撃に弱い。喜留夫に習ったことだ。
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768 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:37:16 ID:9VK52rQk0

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        /r‐{  ヽ \/ ̄ハ__l/  ; /l∧ \   /
          |    \ \ ̄ 二二 /リ/ l∧   ヽ/
         _____     ヽ 二二二 />/ /ハ ',
       //― / }      }____   /  レ l }  i   r―― 、
       ヽ> / イ     i___ >  / /} }  }  / /⌒ヽ ヽ
          \\ .r≦ ______/ / } }  }  ヽ \ \}
               >´\__/______ / `ヽ }  } // ̄
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     /二二 \:::::::::::::::::::::::::\:: /:: / /::::::::: l  l\ \
    /  ヽ //ヽ:::::::::::::::::::::::::::\ ./ /::::::::::: l} l}: : ヽ  \
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./ /     V∧::::::::::::∧ :::::::::::: l_ノ::::l  ll\ /  /  /   /  / \

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炎でコートが焼き払われ、本来の姿が街灯の下に晒される。
そこには包帯まみれの灰色の肌をした幽鬼がいた。

効いてはいる。史門はそう確信し、銃弾をヴェータラの脛に撃ち込む。
更に動きが鈍り、ヴェータラは地に膝を突いた。
修験僧が清め、払魔の呪文を刻んだ銃弾だ。
弾丸としての威力は低くとも、悪魔への効果は絶大だった。

史門は自分に落ち着くよう言い聞かせ、ひたすら遅延戦闘を繰り返した。
ウカノミタマがヴェータラを弱体化させ、自分が足止めし、ガルムが少しずつ
ダメージを蓄積させていく。誰か一人でも欠ければ、一瞬のうちに食い殺される。
一瞬一瞬の動作が、生死を分ける。
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769 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:37:52 ID:9VK52rQk0

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            /⌒''⌒) :,,゜      '         ,,,,,,,
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     ,,、..   //   ノ'          //'''`'`'` `       ..,,.. _,,,.、 ・         ,, ...:・..
  π /;::::::::(,.,.(;;;::::(   ,,.,  ・っ                    ;,;;( ):::::;.    c::── '`'''::::::::::;''
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 τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ               :'`'``:!
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╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そうした戦闘が何十分、何時間続いただろうか。
命のやり取りというのは時間の感覚を麻痺させる。

ヴェータラの体がぐらつき、地に伏した。

死んだふりかもしれない。史門はエネミーソナーを確認する。
息はまだあるようだった。

「げほっ……ここまでか……メシア教め……」

「メシア教?」

恐る恐る近づき、悪魔の言葉に耳を傾ける。
なぜここでメシア教の名前が出るのか。

「お前、メシア教の人間じゃねえのか……頼む、助けてくれ……
俺たちは捕まえられて、実験台にされて……逃げ出してきたはいいものの、
一人じゃ獲物を狩れない奴らが大勢いる……そいつらを、俺が守らねえと……
頼む……見逃してくれ……」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

770 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:38:32 ID:9VK52rQk0

      ,イ , イ     , イ ,イ         ヽ、     }  ヽ、
     ,イ ∧   , イ , イ ,、      ,、    ,  ̄ ゙̄ヽ    ヽ
    .,イ   / ゙ニニ - '"   / !     ,' .',   !',      ゙,ヽ、 ゙,
   /   ,' ,イ        / !     ,'  ',   ! ',   ,   !  ヾ
   /   !'        ,イ  !    /   ', ., t- ',   !    !
  ./           ,イ    !   , /     ,イ !  ',  !   !
 イ ,,        / / 、   .! /,'/     /, ', !、 ', , - 、  !        ……それで、人を食うんだろ?
 ,イ i!   /    / /ー,->、/ / /  ゙ーイ!・i .', ! ゙,  〉イヽ i  !
   i!   ,' i   ,' /イ.    !・!/!     i ゙"   i! / 、/ /、 !        「食って何が悪い……そうしなきゃ生きられねえんだ。
   ,'   ,イ ,!  ./!' !     ゙ .!          " ,' イ ,イ、ヽ!ヽ
   .,' ./,' ,イ.! ,',.   ゙      ,      ゙ ー '''  i, イ  ヽ、 ヽ 、      なら、そうするしかねえじゃねえか」
  /イ /イ  i .,' ゙、    ー‐ ''".    i}        ! ./ ヽ、  ヽ、  > 、
  ,イ,,,!   ゙ヽ、 ー ',                 , イ ,    ゙ヽ、  ゙ヽ、    ゙',
 "       /゙ ー-'、        ,ー---_-,    , イ  ./      ヾ,ヽ、 ゙'、   !
          ,'     ゙ヽ、    "  ̄ ̄  , イ /  /         ゙ヽ,ヽ '、  !
        ,'       ヾ> 、  _ イ./ /    /           ヾ、',  !
        i        i ヽ、     i ./   "             〉' ゙ゞヽ
        i        ,!  ヽ、   , -! !  ,              ,イー, i

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
何も言い返せなかった。
飢え死にか、人を喰らうか。
自分がこの悪魔の立場であったなら、後者を選んだだろう。
自分だって死にたくはない。この悪魔だって同じはずだ。

「史門様」

ウカノミタマが肩に手を置いてくる。

「誰かが生きるというのは、誰かが代わりに死ぬということでございます。
誰かが生きるために誰かを喰らう。誰かを殺す。それが命の本質です。
命というものは、等しく悪なのです」

ウカノミタマが切なげに言う。
命を育む神が口にした言葉に、史門の引き金にかけた指を止めた。

「止めはしません。ただ、どうかお忘れなきよう」
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771 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:39:08 ID:9VK52rQk0

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: : ヽ.:ヽ{ ' ヽ |.:.:.:/ __{_ /イ::::::::::::::::::::/.:.:.:.:./::::/./:::::::::::::::::::::ハ.:.:.:.:/\.:.:|_      お前がやったことは、お前にとって生きるために
: : : : ̄≧ー┴≠:': : /::::::::::::::::::::::::::/.:.:.:/:::::::/イ:::::::::::::::::::::::ム∧.:./: : :ヽ;|: :
|: : : : : : : : : : : : : : : イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/.:./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ : : ∨: : : : : : : :      必要だったってことはよく分かった。
| : : : : : : : : : : : : : : : |       j/                }: : : : : : : : : : /:
ヽ: : : : : : : : : : : : : : /            >          /: : : : : : : : /: : :       ……でも、見逃すことはできない。
: : \: : : : : : : : : : :,小、                      /: /: : : : : : /: : : : :
  : : ヽ: : : : : : : : / : : : \       ,ィ=――ァ   ., イ: : /: : : : : /: : : : : :
  : : :  : : : : : :/ : : : : : : :>.、   ´ ̄ ̄´,  < : : : : / : : : /: : : : : : :
   : :   : : : {: : : : : : : : : : : : ≧ 、  , ィ: : : : : : ヽ: :/: : :/: : : : : : : :





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   ,イ:/:/    ! ___ ヽ、      } ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
   .ハ:.l,イ   ノ/:.:.:.:.:.`ー ミ..ー--- イ   ';.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
   !::ヘl ヘ...ィ彡':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ ̄ ̄`ヽ、.i`ヽ、____:.:>
   l:.:.:ヽ、, '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ、ヽ、:.:.:.:ヽ、
   l:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.ト、:.:.:.:.:.ヽ、:.:.:.:.:.:ヽ.`>、:.:.:.:ハ:.; -、:.:ヽ、:.:.:.ゝ         ここで死んでもらう。
   .!:.:.:.:.:.:.:lヽ:.:l ヽ:.:.:.:.:.:ヽ`ー- z'ゝ-、 ヽ、:Y/ヽl:.:.:| `ヾ、
   .l:.:.:.:.:.:.:.! ,ゝト 、ヽ:.:.ヘー-`, /0   !  `l イ /:.:.:',             お前の命、俺がもらう。
   l:.∧:.:.:.l l   0`ヾ 、ヘ`=イ     ノ   ノ-'/:.:.:ト-`-
   レ′ヾ:.ヽヽ、  ノ  ``  ー-- '     ,-彡、ト:ヽ
     __..>i`  ̄  ,           ノ'' / l  `
     ヽ.  ハ    く_       ヽー--'´,ィ !  ム
     / \  ゝ、   、__ __  ヽー- ' ! l ,イ ヽ
     i   `、イ l `丶、  ‐  , ィハ   l/ヽ \ ハ
     l   l  ', .l: : ,、: ヽ`ー ' / : : \ ノ    \\\
     ヽ  l  V_:ノ `ーヽ  _j - z - '         \\\
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それでも、史門の答えは変わらなかった。
復讐を遂げられなかったあの時とは違う。

あの時、自分は恐れたのだ。誰かの幸せを奪うことを。
だが、今はそれすらも飲み込んでみせる。

それで、悲しみが少しでも減るのなら。

史門は祈るようにして、頭に向けて引き金を引いた。
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772 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:39:21 ID:9VK52rQk0

                     }v、
          i 、         iレi `ヽ   . --,
          .i| ヽ.      | .{  ∨´: : : : :|
        N|   ', _    | V レ'ィv: : : : |
        } j   ',: : : >-|  ∨  メ: : : ハ
         }ハ   乂. ´ ̄|  ∨  メ :_:_:_:',___
        メ ヘ  /    j    Vメ^ ` マ: : : : : : : : :/ヽ
         く .ハ'       ̄ `ヽ ヽ  ノ∨: : : : : : /: : }
       ..イ: : /      ヾ 、   ',  ',   ノ', : : : : :/ー‐'
      /: : : :.′   i   .ハ \ i ',.  V,  }: : : :./ .、
     {: : : : : :i  __ /,   / 斗 i-ヽ} 、  ∨ 从.イ 、  \
     .ヽイー |   / |`ヽ./  |/.ィf=ァ!  .ハ{/    ヽ  \
      ./  ハ  |ィf=ミ/、   イJん/  / |     ∧   ヽ         ご主人様……
     /  / ∧ ハヾ vサ   弋ソ  イ   乂     ∧    ',
     ,   ,   ハ {  ヘ  '     /ィ>-、   `ヽ     ',     '
     i   {  ./ _,ィ 1 >-r-´、イィ/   i    }- <. i    }
     {   ∨ .ィ´} }/ノ/ /ノ| /ヽ/__  |ヽ.  ト、!    ヽ!    ,
     ゝト、. ∨ィVノ_/  てレレイ=ミ、二ミ 、}/  }    .}   /
       }/__> ´ . ////'|/∧///\ニニ\ /   ./  ∧
       / "´  . ´ V////|//∧///=ミ /    ∠_ イ  '
     /{    . ´  , --∨//j//////{: : :`ヾ            ',
    /{ マ.、 / ,.イ.イ>.}/////////イ: : :/           i
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       ./ __        .| ../  |      l   .|      ,>        大丈夫だよ、おたまさん。
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       /           |/    |/~ヽ、   | ./        |         俺は平気さ。
       l                  j´-`、 .|/         .|
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      `ヽ、     ____ /  `ヽー‐'´   /-、     .|
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  ヽ     ̄ ̄ ̄~.|      .|      /  /ヽ,_ヽ__/
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773 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:42:09 ID:9VK52rQk0

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守るための戦いですらも、血が流れる。
誰かの生活を失わないために、誰かの生活を奪う。
奪われないために、奪う。

それが罪だというのなら、この身に背負ってみせる。
既に、兄貴分の死を背負っているのだ。少しくらい荷物が増えた程度で、
へこたれてなるものか。

「……俺は戦うよ、喜留夫さん。誰かが奪わなくていいように、俺が奪う。
背負ってみせるさ。あんたがくれたこの力に誓って」

そう、史門は静かに誓った。
夜の空には月が出ていた。その言葉を聞き届けるかのように、佇んでいた。
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774 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/03(金) 23:42:23 ID:9VK52rQk0

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       .У: : : : : : : : /  /   _ / |     / }     i  ∨:i:i:i:i:i:i:|: : : .<
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      〈: : : : : : :./: : :∠_ ィ vff .沁ミx  /!/´._ =ミ、    !    V:iイ: : : \: : :}
        \: : :/: : : : : : / 八 ヘ vソ  }/  ィv リ ゞハ.  ト  |\{: : : : : : :.ハ: /
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  / r 、 ./ ./ヘ ∨「{ マニ.′       }ハ }/ 弋 ー -`- \ /         / ヽ   ヽ
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  {ニニニニニニニニ!ニニ{: : : : ::/: : : /寸/ニニニ\ニニニニニ/ニニ|ニニ!: : : :.{: : : : : :}
                                                       〜また次回〜

775名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 00:50:51 ID:SUKO/P3.0
乙でした。
主役のキル夫より、王道な主役してるw

776名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 00:54:35 ID:SFlzKIWA0
乙です。
小学生でもなければこの攻勢から童貞を護ることは出来まい……
中学生になったら?そりゃあ、まぁ、うん、そうね……

777名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 01:52:16 ID:iLOaG5W60
おつおつ

778名無し-Red-市民-2:2018/08/04(土) 10:17:17 ID:pJ9S9N9c0

ウカノミタマがいたとはいえよく勝った
しかし交渉下手かぁw

779 ◆x0SRSoJXe.:2018/08/05(日) 21:20:00 ID:mKRHQHEw0
どうしよ。十五話くらいで終わるつもりだったんだけど、十五話行っちゃったね。

あと頭の中のアイデアが十話分くらいストックがある。

予定と違って多分三十話目くらいまで行きそうなんだけど、みんな付き合ってくれるかい?

780名無し-Red-市民-2:2018/08/05(日) 21:29:37 ID:pdWuVn260
もちろんさあ

781名無し-Red-市民-2:2018/08/05(日) 22:20:24 ID:5Xo8AEn.0
もっと続けてもいいのよ

782名無し-Red-市民-2:2018/08/05(日) 23:04:48 ID:ee.gxxKw0
いいですとも!

783名無し-Red-市民-2:2018/08/15(水) 15:59:14 ID:3AVN.xeU0
ズットツキアウヨー( ´-ω-)つ①①①①


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