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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

68Chain of Destiny♮彷徨える心 ◆JOKER/0r3g:2020/01/23(木) 14:00:54 ID:gXcg.M4c0

馬鹿を言え、自分は直接確認したはずだ。
彼は決してこの殺し合いに乗ることはなく、何よりも大ショッカーの打倒を目指しているのだと。
冷静に考えて、大ショッカーが宣う言葉に従い戦う自分にとって、そんな存在は敵の一人にしかなり得ない。

そうだ、自分はあの時言ったではないか。
彼は彼として、仮面ライダーの道を往けば良い。
自分は王としての道を往き、その二つは決して交わることはないと。

あの言葉には、決して嘘は含まれていない。
彼に自分の罪を背負う必要など微塵もないのだし、自分のような存在は彼にとって汚点にしかならないのだから。
そうして彼を解き放つ意味を込めて自身に関する記憶を消したのだから、裏を返せばそれは自分もまた彼と対等に敵として戦わなければならないことを意味していた。

確かにかつて一度は、彼を見逃した。
だが、もうそんな甘えが許されるはずがない。
あの病院に名護がいようとも、戦うほか道は残されていないのだから。

そんな迷いを捨て彼とただの敵になる為に記憶を消したのは、他ならぬ自分自身であるはずなのに。
それでもなおその可能性に怯えて引き金を引く決断に踏み切れない渡は、苦悩に顔を歪ませてベルトをデイパックへと仕舞い込む。
やはり奇襲は、行えない。

これまでの経緯がどうあってとして、そんな形で自分は名護を殺すことなど出来なかった。
どこまでも捨てきれない自分自身の甘さに唇を噛みしめながら、彼はそのまま病院へと進んでいく。
奇襲も偵察も一切行わない、無防備極まりないその歩みで以て彼が向かうのは、誰もが使うのだろう正面入り口だ。

裏口を使うだとか見つからない為の工夫を弄するだとか、そんなものは一切行おうともしない。
だがそれは決して、王ならばそんなことはしないからなどというプライドから来る誇り高い行動ではない。
寧ろそんな策を弄して敵の裏を掻く為の思考を割くことすら、今の彼には億劫だったのである。

誰がいようと、自分には戦うしか道がない。
そんな悲痛な覚悟が、今の彼からまともな思考力を奪っていた。
直後、依然として覚束ない足取りながら、彼はゆっくりと病院の正面入り口へその足を踏み入れた。

そして同時、すぐに一つの人影を見つける。
薄暗いエントランスの中心、まるで渡を待ちわびていたように立ち尽くす、見覚えのある男のシルエットを。
まさか。そんなはずはないと、渡は首を振る。

見間違えではないのか、そうして数度瞬きを繰り返した渡へ向けて、男は一つ声を発した。

「渡君」

聞き覚えのある声、聞き覚えのある呼び方。
一歩自身に向け足を進めた男の顔を、渡が忘れるはずがない。
何故なら彼は、まさしく数時間前にも同じように自分に呼びかけた男……名護啓介その人だったのだから。





「――大体わかった、じゃあその一条って刑事がユウスケの世話を見てたって訳だ」

彼らが病院に到着して大凡1時間ほどが経過した頃、名護からユウスケの情報を聞いた士は、得られた情報を簡単に纏める。
何でも先ほどまでこの病院にいたという一条薫という男は、ユウスケとずっと行動を共にしていたらしい。
それだけならともかく、彼はユウスケのそれとは違う『クウガの世界』から来たというのだから、運命とは全く以て数奇なものだ。


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