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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5
37
:
覚醒
◆JOKER/0r3g
:2020/01/08(水) 16:03:46 ID:6aG2OzYo0
――麗奈が大好きだったこの空と雲。
その眩しいまでの青さの中から、突如として一陣の風が吹いた。
それは修二の頬を撫で、そのまま彼のすぐ側に鎮座する灰を舞い上げて彼方へ運んでいく。
飛ばされたそれは何時しかリュウタロスの成れの果てである砂と混じり、何処かへそれらを乗せていく。
じゃれ合うようにもみ合い同化する砂と灰が自由気ままに風に踊り、空へ溶けていく。
それはまるで、リュウタロスが最後に大好きな麗奈を友に会わせるために、待っていたかのようですらあった。
そうして目的を果たした風は、最後に修二の新たな旅立ちを祝福するようにして一際強く吹いた。
感謝と称賛と、そしてこれから先の彼の行く先への激励を訴えるようなそれに、しかし終ぞ修二は気付くこともなく。
次の瞬間にはもう、風は止んでいた。
◆
「あぁ、王よ……!」
ブラスタークリムゾンスマッシュの衝撃に弾き飛ばされたアークを抱きかかえて、ローズは半ば懇願するような声音でその身体を抱き寄せる。
王は最強のオルフェノクなのだ、こんなところで死ぬはずなどある訳がない。
ピクリとも動かないその肢体はまるで死人のようだったが、それでもなおローズは王の復活を信じ疑わない。
「貴方は、こんなところで死んではならない。さぁこの身を食らいまた再び――!」
焦りと興奮に加熱したローズの言葉は、しかしそれから先を紡ぐことはなかった。
彼がその復活を乞い続けたその王自身が、その身から青い炎を出して崩壊し始めたのだから。
それは、オルフェノク全てに共通する逃れ得ぬ死の現象。
全ての力を使い終えたオルフェノクが自分自身の身体をその炎で焼き尽くし、灰と帰する、村上も寸分違わず知っているそれだった。
――元の世界ではブラスタークリムゾンスマッシュを食らっても死ぬことのなかったアークが死ぬとしても、何も可笑しいことはない。
三本のベルトで変身出来るライダーの容姿には王をモチーフとして取り入れているという逸話から、王がかつて現れたのは周知の事実。
そもそも王を守るベルトの制作経緯からして、復活のため同族を糧とする王を忌まわしく思うオルフェノクが、彼を何度も討ち取っているのは分かりきっている。
史実において幾度となく繰り返された王の死という歴史がここでまた繰り返されたという、ただそれだけの事。
付け加えれば、このアークは仮死状態にあったものを無理矢理入手し、財団Xが蘇らせた、言わば急ごしらえの復活を果たした状態である。
無論、その強さに瑕疵こそないが、それでも数年単位をかけその依り代に相応しい存在を見出す本来の復活に比べれば、些か無理も出ようという物。
故に、王は今その身を無惨に崩壊させようとしている。
自身を抱く忠臣が、その光景をどんな気持ちで見ているのかなど、知るよしもなく。
「あぁぁっ……ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
深く、そして絶望に溢れた慟哭が、天を貫くように高く響いた。
ローズの喉から放たれたはずのそれは、しかし本人にさえそう知覚できないほど悲しみに満ちあふれ、橋の彼方にまで轟くような声量だった。
だが、悲観に暮れる彼の元へ駆けつけてくれる仲間は、もういない。
仮初とは言えこの場で得られたはずのそれを裏切り種としての使命に殉じたのは他ならぬ彼自身の決断だったのだから。
その雄叫びは、どこまでも遠くへ、しかし誰に届くこともなく、ただ虚しく響いていた。
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