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複数ジャンルバトルロワアルR2

1名無しさん:2016/07/15(金) 10:32:45 ID:bma5ZPlU0
当企画は2014/1/06に企画され、1/18にパロロワ総合板にてスタートした『複数ジャンルバトルロワイアル』のリスタート企画です。
企画の性質上、キャラの死亡や流血等、残酷な内容を含みます。閲覧の際には十分ご注意ください。

執筆時は以下のルールを参照してください。
ルール
ttp://www65.atwiki.jp/fsjrowa_two/?page=%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB

制限一覧
ttp://www65.atwiki.jp/fsjrowa_two/?page=%E5%88%B6%E9%99%90%E6%A1%88%E4%B8%80%E8%A6%A7

【基本ルール】
全員で殺し合いをし、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。


【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品は基本的には全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器(覇者の剣や艦装等)、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨、アクセサリー、身分証明証・財布などは持ち込みを許される(特殊能力のある道具を除く)。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
1.ディバック どんな大きさ・物量も収納できる。以下の道具類を収納した状態で渡される
2.参加者名簿、地図、ルールブック、コンパス、時計、ライトの機能を備えたデバイス。(バッテリー予備、及びデバイスそのものの説明書つき)
3.ランダム支給品 何らかのアイテム1〜3個。
ランダム支給品は参加作品、現実、当企画オリジナルのものから支給可能。参加外、およびスピンオフの作品からは禁止。
4.水と食料「一般的な成人男性」で2日分の量。

【侵入禁止エリアについて】
・放送で主催者が指定したエリアが侵入禁止エリアとなる。
・禁止エリアに入ったものは首輪を爆発させられる。
・禁止エリアは最後の一名以下になるまで解除されない。

【放送について】
6時間ごとに主催者から侵入禁止エリア・死者・残り人数の発表を行う。

【状態表】
キャラクターがそのSS内で最終的にどんな状態になったかあらわす表。

生存時
【現在地/時刻】
【参加者名@作品名】
[状態]:
[装備]:
[道具]:
[思考・行動]
基本方針:
1:
2:
※その他

死亡時
【参加者名@作品名】死亡
残り○○名

53 ◆AOioqVcMTw:2016/07/19(火) 23:27:51 ID:DIDKuHMw0

含み笑いが漏れ出す。

「フフ…良いだろう、ヴェルザー。余を復活させた義理は果たそう。
しばらくはお前の狂宴に一口乗ろうではないか」

元より、弱肉強食を至上とする彼に、力を誇示することへの躊躇は無い。
そう、今の彼にとって人間とは路上の石ころでは無く、滅ぼすべき敵なのだ。
矮小な割に閃光の様に、鮮烈で、それでいてひどく醜く悍ましい。
魔族とは決して相容れぬ種族。
それを、黒の核晶の爆破を巡る戦いで彼は知った。
故に侮りは存在しない、あの歪な種族が居る限り、魔族に繁栄は無い。
生ある限り『勝利』の二文字を、太陽を、天を目指す。
大魔王としての矜持を捨て、称号を捨て、肉体を捨て魔獣となった経験を経て『勝利』への渇望はより強くなったと言える。

何より、ここにはあの宿敵が―――、

「ダイよ…竜の騎士よ。余は一度お前に敗れたが、それはお前も同じ事。
 生ある限り、殺し合うのが余と貴様の定めよ」

きっとダイもこう思う事は確信している。
もし。ダイが、アバンの使途が此処に居なければ、
バーンは自身に首輪などと言う汚らわしい物を付けたヴェルザーの意思に反し、ゲームに逆らう道もあったかもしれない。

だが、勇者が居る以上、彼は大魔王として相対する。しなければならない。
勝利、その二文字のためならば、この首輪の戒めも、屈辱も耐えて見せよう。

ここには、悠久の時を生きた自分にすら知り得ない“何か”がある。
或いは竜の騎士すら脅かすかもしれないそんな確信じみた予感を彼は感じていた。

「………では、行くか」

この殺し合いに置いて己が宿敵はどう動くのか。
彼の周りにいる者達はアバンの使途と同じく高潔な者達といえるのか。
それとも―――己が守ると誓った人間たちに裏切られるのかもしれない。
全てを確かめ、検めるには、まず自分が動かねば始まるまい。



「ヴェルザー。余は貴様に義理はあっても貴様に従う義務はない
 余を冥府の道から引き戻した事、精々後悔せぬことだ」

大魔王の挑戦が始まる。


【大魔王バーン@DORAGON QUEST ?ダイの大冒険-】
[状態]:健康、真の肉体、鬼眼封印
[装備]:[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・行動]
基本方針:“大魔王”にして“魔獣”として、ゲームに乗る
1:ダイを探す。
2:首輪の解除も検討に居れ動く。
[備考]
※不完全な復活のためある程度力が制限されています。
※鬼眼の力は一切制限されています。

54大魔王の挑戦 ◆AOioqVcMTw:2016/07/19(火) 23:34:10 ID:DIDKuHMw0
投下終了です

また、現在位置が抜けていたので追記を
【H-6/橋上/1日目・深夜】

55名無しさん:2016/07/20(水) 00:57:43 ID:nMDzjO3QO
投下乙です!
バーン様は真の姿か…制限にもよりますが、やはり対主催の大きな壁になりそうですね

一つだけ指摘を
この前の作品「想い想い」と場所が被ってしまっていますので、それだけ修正が必要かと思われます

56 ◆AOioqVcMTw:2016/07/20(水) 08:01:27 ID:fWy2n53M0
失礼しました
現在位置を【G-7/1日目・深夜】に修正します

57 ◆TE.qT1WkJA:2016/07/22(金) 06:19:43 ID:6/32u1/w0
予約分を投下します

58勝たなきゃすぐに崖っぷち ◆TE.qT1WkJA:2016/07/22(金) 06:20:28 ID:6/32u1/w0
遮蔽物一つない平原の真ん中で、長身の女性が苦渋に歪んだ顔をして蹲っていた。
普段の彼女を知る人物ならば、大層驚くことであろう。
彼女は妙高型重巡洋艦3番艦、足柄なのだから。

「提督…」

声を震わせながら、目の前でその命を散らした青年の呼び名を呟く。
艦娘の中でもとりわけ活発で好戦的な部類に入る足柄とて、敬っていた上官の死を何とも思わないわけではない。
むしろ、深い悲しみが足柄を覆っていた。

「死んだ…?あの人が?」

信じたくない。嘘であってほしい。
だが、あの時に起こったことは全て事実だと理性では理解していた。
現に、自分の首を覆う忌まわしき鉄塊と見知らぬ場所に飛ばされたことがそれを示している。

「誰も、あの道化師に勝利できなかった…」

深海棲艦との戦いの日々において、足柄は『勝利』の二文字にこだわっていた。
戦場を求め、次々と出撃していたのも全ては勝利を得るためだ。
無論、そのための鍛錬を怠らない。練度は姉の妙高がさらに上を言っていたこともあり、己の強さを求める姿は一部の艦娘の手本にもなっている。
時には、今は亡き提督に次の作戦をせがんだり、「勝つ」こととかけてカツカレーを鎮守府の皆に振る舞ったこともあった。

「……っ」

今一度、自分達を嘲笑っていた道化師とピエロの姿を思い返す。
憎い。この手で殺してやりたい。提督を葬ったあの主催者の顔を浮かべるだけで心に憎悪の炎が宿る。
だがそれ以上に、足柄の心には大きな風穴が穿たれていた。故に、その場から動けずにいた。

「もうあの人に勝利を捧げることができないなんて…」

勝利だけが、足柄の誇りだと思っていた。
されど、提督へ勝利を捧げることもまた、足柄の誇りであった。
しかし、足柄の勝利を捧げるべき人はもういない。
勝利を捧げて、心から誇らしく思えるあの人はもういない。

あの人なら、自身の命を預けてもいいと思えた。
あの人の元でなら、力を全て出し切れると思えた。
仮にこの殺し合いが終わったとして、元の世界へ戻った足柄は誰の元で戦えばいい?
提督のいない深海棲艦との戦いなど、想像できなかった。
たとえそれに勝利したとしても、そこにあるのは虚無感。渇き。
勝利が自分を呼んでいると意気揚々に出撃していた姿は見る影もなかった。
そこで、足柄ははたと気づく。

「勝利を捧げることこそが、私の本当の誇りだったのね…」

今更そんなことに気付いても仕方ないのに。
思わず、自棄めいた溜め息を漏らしてしまう。

「私は…どうすれば…」

59勝たなきゃすぐに崖っぷち ◆TE.qT1WkJA:2016/07/22(金) 06:21:11 ID:6/32u1/w0





「そのままではお前は蹂躙されるだけだ」

足柄の背後に、ザクザクと砂利と雑草を踏みつぶす音と共に男の声がかけられる。
軍人の職業柄か、足柄はバッと効果音をつけて振り返り、支給された艤装を構えて臨戦態勢を取る。
赤いシャツに黒いロングコートを着た青年が、いつしかそこに立っていた。
腹のあたりには黒いベルトのようなものをつけている。足柄からすれば民間人の部類に入るだろうか。
だが、鋭い目つきと発される威圧的なオーラから、ただ街角で遊び歩いているような若者ではないとすぐにわかった。

「戦う気概くらいはまだ残っているようだな。…あの時、飛び出した白い軍服の男――提督と言ったか。お前の知り合いだろう。
お前と同じような服を着た気の弱そうな女が声を上げているのを見た」
「羽黒…」

思えば、提督の死を目の当たりにしたのは足柄だけではない。
あまりプライベートに踏み込んだことがない大井や北上はともかく、他の妙高型の姉妹がそれをどう受け取るかはある程度察しがつく。
その中でも特に心配なのが羽黒だ。気弱な一方で芯の強い妹だが、その芯の強さが間違った方向へ行きそうな気がしてならない。
殺し合いに乗っている可能性は…いや、考えるのはよそう。
自分のことで手一杯なのに、身内とはいえ他者のことを考えるほどの余裕は今の足柄にはない。
問題は、目の前にいる青年への対処だ。

「あなたは…『乗っている』の?」
「もしそうだとしたら、どうする?」
「あなたを倒すわ」
「自分が何をすればいいのかも分からないのにか?」
「…!」

男にそう言われて、動き出しそうになった身体が固まる。
今の足柄には、この殺し合いをどうしていくかすらも明確に定まっていない。
あくまで殺し合いを否定して道化師に楯突くか。提督を取り戻すために最後の一人になるべく覚悟を決めるか。
それがままならない状態で戦っても、それは自衛のためのその場しのぎにしかならない。
己を失い、死に怯え、死から逃げるために戦うなど、『飢えた狼』の名が泣く。

「なら…あなたはどうするの?」
「決まっている。この狂った催しを壊し、『力』でキルバーンを屈服させる」

この殺し合いを打破する――そこそこの強い精神と実力を備えていれば、それなりの数の参加者がそう答えるであろう言葉を、男は口にした。

60勝たなきゃすぐに崖っぷち ◆TE.qT1WkJA:2016/07/22(金) 06:21:53 ID:6/32u1/w0

「じゃあ、この首輪はどうするの?生殺与奪を握られている限り、勝利は限りなく遠いわよ」
「いずれ首輪を外す力も、全てを超える強さも手に入れる。こんな巫山戯たゲームなどで俺は死なん!あんな卑劣な手を使う奴が強いなど、俺が認めるか!」

青年はこんなに力強く話しているというのに、自分は随分と弱気をことを言う、と足柄は内心で自嘲する。提督を失ったせいか。
こんな空っぽな自分でなければ、首輪が何だと言って勝利を求めて東奔西走していたかもしれないのに。
対して、この青年はキルバーンの取った行動に対して強い怒りを示しているようだった。
まるで、卑怯な手を使う者は弱い奴しかいないのだと言わんばかりに。

「――けど、『助けない』のね?」

だが、足柄は男の表情からその言葉に『弱者を助ける』という意味合いが含まれていないことを悟っていた。
この男は、所謂一般人を助ける気など毛頭ない。最初から、このゲームの主催者を見据えているのだ。

「この世界のルールは弱肉強食だ。弱い奴が消え、強い奴だけが生き残る。殺し合いなら尚のことだ。
信じられるのは己の力だけ…。戦うことを放棄した者は、生きている資格などない」

もし青年の言葉を聞いている者が他の艦娘だったとしたら、大抵は反発されたことだろう。
だが、足柄はそれを不快とは感じなかった。
この青年は、自身が負けるとはこれっぽっちも思っていない。
そこには、勝利やそのための力を貪欲に求め、卑怯な手を使うでもなく真正面から敵に向かっていく強さがあった。
首輪をつけられても、圧倒的な差を見せつけられても、本気で『力』を以てキルバーンを倒そうとしているのが見て取れる。
自身の限界を認めておらず、いかなる相手に叩きのめされようとも屈服しないのだろう。

――まるで、狼みたいね。

青年の垣間見せた強さに、足柄は心のどこかで共感と高揚を感じていることを自覚し、戸惑う。
同時に、この感覚がかつての提督に抱いていたものと同じだと気付くのに、時間はかからなかった。

――この男なら、あるいは。

「あなた、名前は?」
「…駆紋戒斗だ」
「私は妙高型重巡洋艦3番艦、足柄。駆紋戒斗…私も一緒に連れていきなさい!」
「その調子だと来るなと言っても無理矢理ついてきそうだな。…一応聞いておくが、何故だ?」
「私が何をすべきか、分かった気がしたの。このままウジウジしていると、あなたの言った通り弱者として蹂躙される未来しかない」

ようやく、足柄は元々の活発さを取り戻したかのような笑みを浮かべた。
誇りを取り戻したかのような、満足げな笑みだった。

「見極めさせてもらうわ。あなたが勝利を捧げていい人がどうか」
「…好きにしろ」




【D-1/草原/1日目・深夜】

【足柄@艦隊これくしょん-艦これ-】
[状態]:提督を失った悲しみ、戒斗に対する共感と高揚
[装備]:妙高型の艤装(連装砲、連想高角砲、魚雷)@艦隊これくしょん-艦これ-
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:自分が新たに勝利を捧げるべき者を見極める
1:戒斗についていく

【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康
[装備]:戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、バナナロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを破壊し、力でキルバーンを制する
1:殺し合いを破壊できるだけの強さを手に入れる
2:首輪を外す力を手に入れる
3:卑怯な手を使うキルバーンが強いとは絶対に認めない
[備考]
※参戦時期はデェムシュとの初戦(23話)〜ロード・バロンに変身(43話)するまでです。
※レデュエにつけられた傷の有無は、後続の書き手の方にお任せします。

61 ◆TE.qT1WkJA:2016/07/22(金) 06:22:14 ID:6/32u1/w0
以上で投下を終了します

62名無しさん:2016/07/23(土) 00:22:57 ID:u9wBajr20
投下乙です

かんむすは個性に沿ったスタンスの取り方だなぁ
個人的には別の意味で足柄さんが飢えてなくてほっとしました
戒斗さんはバーン様とある意味通じる可能性が微レ存…?

63名無しさん:2016/07/23(土) 10:51:29 ID:GOhR5VGA0
投下乙です、足柄さんが婚期に飢えてないだと!!

64 ◆uwJySQdXGI:2016/07/23(土) 15:31:21 ID:5CIKJngA0
投下します

65一人戦車道-Lonely&Panzer- ◆uwJySQdXGI:2016/07/23(土) 15:31:59 ID:5CIKJngA0
「むう」

西住まほは考えていた。四次元ディバッグとかいう胡散臭いブツを開けたら
ゴロリと音を立てて転がり落ちてきた、この巨大な金属の球体についてである。
なんかどこかで見たことがある。いや、自分は知っている。
この前、エリカと二人で海へ遊びに行った時に、確かこいつと同じ形をした
バレーボールをドヤ顔で持っていたのを覚えている。名前は確か――。

「……で、私にこれに乗って戦えという事か?」

まほは名簿を確認する。妹のみほの他大洗女子学園の生徒が4人拉致されているらしい。
黒森峰女学園から、というか他の学園から連れて来られているのは自分一人である。
一 体 な ん の 嫌 が ら せ だ。
やや憤慨した後、まほは寂しそうに笑う。本来戦車は数人のチームで運用する物。
幾ら西住流戦車道の後継者とはいえ一人っきりではこの戦車が精一杯なのだろう。
疲れたまほは深く溜息を尽き、諦めたように謎の金属球をポンポンと叩いた。

「まさか本当に実在したとはな。一応ドイツ製らしいが履歴、戦歴の記録が一切残されていない幻の兵器。
 まあいい、これも何かの縁だ、私と一緒に初の戦歴とやらを作ってみるか?」

そう言いながらまほは球体のハッチを開け、他に支給されていた機関銃と共に内部へと乗り込んだ。




「会長ぉぉぉ〜〜どこですかぁぁぁ〜〜!!!」

大洗女子学園生徒会広報、河嶋桃は半泣きになりながら静まり返った学園艦の街を一人彷徨っていた。
冷静沈着で生真面目そうな外見とは裏腹に、人並み外れたレベルで小心者で臆病で逆境に弱い彼女が
理不尽な殺し合いに放り込まれるなどといった異常な状況に精神が耐えられるはずもない。

「だ、駄目だ。しっかりしなくては。それに、会長ならなんとかしてくれる筈!……ん?」

なにやら聞き慣れた駆動音が背後から近づいてくる。キャタピラの走行音だ。
敵かもしれない。しかし、ひょっとしたら大洗女子の誰かが駆けつけてきたのかもしれない。
そんな期待と不安が入り混じった表情で桃ちゃんは振り向く。

「会長!?……えぇ!?」

そこに居たのは、鋼鉄のダンゴムシだった。

この兵器の名はクーゲルパンツァー。日本語に訳すと玉戦車。
第二次世界大戦中のドイツで開発されたとされる装甲戦闘車輌である。
5ミリ厚の装甲を持ち、2サイクル単気筒エンジンを搭載して機動する
一人乗り戦車だが、何故か実際に使われた記録が一切残されておらず
ソ連軍が満州で捕獲した実機がモスクワのクビンカ戦車博物館に
ひっそりと飾られているということ以外すべてが謎に包まれた戦車なのだ。

その戦車道全国大会ですら使われなかった謎兵器がなぜこの会場に。いや、問題は。
こんなもん知っている兵器マニアは大洗では秋山優花里くらいしかいないということだ。

「うわぁぁぁ!!!バケモノだぁぁぁ!!!」

突然現れた意味不明な物体に恐怖が臨界点を突破した桃ちゃんは手に持ったハンドガンを
反射的に発砲する。だが射撃が下手な桃ちゃんは全く当てることが出来ず、いい感じに飛んだ
弾丸も微妙に角度を変えられることで球状の機体や装甲の厚い車輪部を利用して弾かれてしまう。
しばらくするとクーゲルパンツァーの前面の小さい穴から銃口が迫り出してきて
パラララという軽快な音と共に桃ちゃんの足元目掛けて発砲してきた。

「ぎゃあああ!!撃ってきたぁぁぁ!!殺される!!助けて会長ぉぉぉぉ!!!!」

パニックに陥った桃ちゃんはクーゲルパンツァーに背を向け一目散に走って逃げだした。

66一人戦車道-Lonely&Panzer- ◆uwJySQdXGI:2016/07/23(土) 15:32:20 ID:5CIKJngA0

「おい待てキミ!!しまった、私としたことが……」

クーゲルパンツァーの内部でグロスフスMG42機関銃のグリップを握っている西住まほは
いきなり発砲されたので思わず威嚇射撃を行ってしまったことを悪手だったと反省した。
まずハッチを開けて顔を出すべきだったか?だがあの状態ではいきなりヘッドショットを
かまされていた可能性も否定できない。あの制服は大洗女子学園のものだ。
とうことはあのメガネ娘はみほの友達の可能性が非常に高い。
放置していては危険だ。何とか保護しなくては。

「仕方がない。路地裏にでも追い込んで捕獲して落ち着かせるか」

そう判断したまほはクーゲルパンツァーを起動して全力疾走する桃ちゃんを
轢かない程度の速度でゆっくりと追いかけ始めた。

「ひいいい!!!追って来たぁぁ!!!殺されるぅぅぅ!!!」

学園艦の誰も居ない静かな市街の道路を女子高生と球体が直列に並んで走る。
規模は小さくなったがこれもまた一つの戦車道なのだ。




【D-5・学園艦/一日目・深夜】
【西住まほ@ガールズ&パンツァー】
[状態]:健康
[装備]:クーゲルパンツァー、グロスフスMG42機関銃
[道具]:基本支給品一式、MG42の予備弾薬
[思考・行動]
基本方針:西住みほを保護する
1:河嶋桃を捕獲する
2:この戦車、本当に使えるのか?

【河嶋桃@ガールズ&パンツァー】
[状態]:疲労(中)
[装備]:USSRトカレフ(0/8)
[道具]:基本支給品一式、トカレフの予備弾薬、不明支給品0〜1
[思考・行動]
基本方針:杏と合流する
1:化け物だぁぁぁぁぁぁ!!!
2:逃げる

67名無しさん:2016/07/23(土) 15:32:44 ID:5CIKJngA0
終了です

68名無しさん:2016/07/23(土) 16:02:01 ID:u9wBajr20
投下乙です
桃ちゃんのこのダメダメっぷり、実に桃ちゃんだw
まほ姉が嫌がらせか?と自問する所で二度笑わせてもらいました


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