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オリロワアース
419
:
438年ぶり2回目
◆7yHhbHvsLY
:2015/08/10(月) 04:59:53 ID:kGznglRM0
「待てっつってんだろうがァァァ――!!こンの腐れ便器女がァァァ――!!」
久秀は絶叫しつつ、再び血槍を蜘蛛糸で絡め取ると、次いで出現した血槍も天下五剣「大典太光世」で全て斬り落とす。
しかし糸に絡まった血槍や切り落とされた血槍はドロリと溶けてその姿を失くすと、再び血槍の形となって久秀に襲いかかってくる。
「しつけェぞテメ――!!」
少し遊ぶつもりで戦い始めたはずが、気づけば周りが明るくなりかけている。
松永久秀と彼女が殺した魔法少女アリアの血液が化けた血槍は、かれこれ数時間も戦い続けていた。
「いつまでも現世にへばりついてんじゃねェェ――!」
久澄アリアの死体から魔力が枯渇するまで血槍の攻撃は続く……それは久秀にも分かっていたが、まさかこんなに長続きするとは計算外だった。
もともとアースMGでも有数の実力者であるアリアの魔力貯蔵量は、普通の魔法少女に比べてもケタ違いに多い。
だがこれほどの魔力があるのなら、何故彼女は生前にそれを使わず、久秀に一方的に嬲り殺されたのか。
「さっさと地獄に流れやがれェェ――!!このクサレ便所がァァ――!!」
アリアのいたアースMGにおける魔力とは、希望や勇気や想像力などのポジティブな精神力を変換して作られるものである。
しかしそれとは別に、怒りや憎悪や絶望といったネガティブな感情を破壊の魔力に変換する外法も存在しているのだ。
魔法少女の仕事には、そうした外法を使う悪の魔法少女との戦いも含まれている。
然らば、百戦錬磨の魔法少女であるアリアが己が使うかは別としてその外法の術を知っていたとしても何ら不思議はない。
ぎゃりぎゃりぎゃり
「てめェみたいなクソガキが俺の邪魔をしようなんざァ五百年早ェんだよォ――!!」 ぎゃりぎゃり
長時間に渡る拷問の中で蓄積された憤怒・憎悪・屈辱・絶望は、意図してか、それとも無意識の本能的にかアリアの中で膨大な魔力に変換され
それでもアリアの生前は彼女の肉体と精神――無意識下の善意や倫理といったものがブレーキとなり、内に留められていた。
しかし彼女が殺され枷が外された瞬間、魔力は外界へと溢れ出し、アリアの最後の意志の命ずるがまま憎き久秀に襲いかかったのだった。
「小便垂らしの雑魚淫売が調子に乗りやがってよォォォ〜〜〜!!」
キリがないのなら久秀はさっさと逃げればいいのだが、現実は中々そうはいかない。
普通なら恨みに任せた場当たり的な攻撃では妖怪化している彼女を殺すことは不可能だ。 ぎゃり
だが場当たり的でもこう数が多いと、何かの間違いで久秀のウィークポイントである平蜘蛛に中るかもしれない。
久秀の胎内某所に隠された平蜘蛛は、妖怪と化した彼女にとって唯一にして最大の弱点だ。一撃されたら即死亡の部位を庇いつつ離脱することを、血槍の群は許してくれない。
「便所にこびりついたクソの分際で俺様の手を煩わせるんじゃねェェェ!!!」
刀も蜘蛛も血槍を捌くので手一杯だった。
妖怪ゆえに戦い続けても疲労はしないが、こう無駄な戦闘をしている間に貴重な時間は飛ぶように過ぎ去っていく。
このままでは戦場で後れをとる――その考えが久秀を焦らせていた。
「がァ!!クソッ!クソッタレ!!」
ついに業を煮やした久秀は決断する。 ぎゃりぎゃり
血槍を操る魔力の源である久澄アリアの死体を破壊することを。
死体を破壊する――といっても、刀も蜘蛛も槍を相手しているので使えない。
だが久秀はそれらに代わる飛び道具を、すでに久澄アリア自身の支給品の中から見つけていた。
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