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オリロワアース

152天才と馬鹿はなんちゃらかんちゃら。 ◆/MTtOoYAfo:2015/05/18(月) 02:56:20 ID:MnKKOztk0

ため息ひとつ。
自分の主人はおおらかで優しい、主人というよりもメイド達の父のような存在である。
身寄りのない孤児院の子どもたち、特に親たちが子に向かい入れないような野蛮な子供たちを受け入れ、ストリートチルドレン同様の孤児であった彼女たちに教育や武道、礼儀作法などを一から教え住む場所を与えたのだ。
サラも同様に、身寄りのない孤児であった。
元々サラの家は裕福とはいえないものの仲睦まじく、父と母と祖父母、弟と妹に囲まれて幸せな日々をすごしていた。
だがある日、サラが七歳の時にアイコレクターという殺人鬼が彼女の家を襲った。
本来サラも家に居る予定であったがスクールバスに乗り遅れたために、唯一一人だけ生還したのだ。

その後サラはしばらく親戚にたらい回しにされたあと孤児院へと送られた。
だが凄惨な事件で突如幸せな日常を奪われたサラはその日からまるで死んだも同然に一日を何もせず、外を眺めているだけであった。

その時に、今の主人が自分を引き取った。
最初は反抗をして、モノを壊したり脱走したり、多くの迷惑をかけてしまった。
だが主人やほかのメイド仲間たち、主人を尋ねる仕事仲間たちとの交流を通し、彼女は徐々に人間らしさを取り戻していった。

だからこそ、自分の主人には頭が上がらない。自分に「人と接する」ことを思い出させてくれた主人。
だからこそ名前を忘れるなんて。そんな失礼なことあってはならないのに、とサラは頭を抱え込む。

「…ま、まあ最悪謝るのはあとでいいでしょうけども…あるじ様が巻き込まれてなかったのはよかったです…」

安堵と不安が混じったため息をついたサラの右手に握られていたのは、S&W M29。
アメリカのスミス&ウェッソン社が開発した回転式拳銃(リボルバー)。装弾数は6発だ。
どうやらこれが、例の自分に与えられた支給品というものらしい。
一応、サラも幼い頃にメイド長から主人をいざという時に守れるよう使い方は教わったが…使ったことはない。
弾数も少ないしいざという時に使おう、とロングスカートの右ポケットの中にしまう。
ちなみにもう一つは使いどころが分からない、アイドルグループのライブの時に使われていそうな棒であったのでディパックの中にしまっておく。

「…ところでこれ全員の方が参加者じゃないとしても…ちょっと知り合いが多すぎるような…」

先ほど述べたリストの中には、サラの知人が多くいた。
最初に解決した事件の時に協力してくれたクロダ氏とニシザキ氏。
何故か事件先でいつも一緒になるレイ・ジョーンズ刑事。何故か二人分あるがミスだろうか。
それ以外にも屋敷を訪れた人々の名前が多くある。

「知り合いを殺すなんてことはできないですし…うーん…」

主人が居るならば、彼を守るために行動するのが従者としての役目。
それが例え自分の手を汚すことになろうとも、彼の命令が彼女のすべてだからそれに従えばいいのだが、その本人がいない。
ゆえに彼女はどうすればいいか迷っていた。

「…かといえどもあの女性が行っていた通り強い方もいるようですし…」

先ほどの音声案内で言っていたことを思い出す。
腕利きたちが多くいるということは、ただのメイドである自分が生き残るのは難しい。
だからといえども、この首輪がある限り反抗しようとなると爆破されて死んでしまう。
誰か強力な力を持っていれば対抗できるだろうが、そんな仲間は居ないだろうし。
一体どうすれば───


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