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中学生バトルロワイアル part6

98最良の選択肢 ◆jN9It4nQEM:2014/03/27(木) 00:08:52 ID:iIJxFi3Q0
    


手遅れだった。菊地の目から見ても、ヒデヨシの状態は重篤だった。
血を口から吹き出し、息も切れ切れ。どう見ても、もう助からない。

「ヒデヨシ、起きろよ、ヒデヨシ……」

何度も何度も植木は声をかけるが、ヒデヨシの反応は血反吐を吐くだけだった。
浦飯達から離れたはいいけれど、治療道具なんてある訳がない。
病院もここからでは遠い。加えて、治療と言っても植木達は医者ではない。
このままヒデヨシの命が消えていくのを見ることしかできないだろう。
冷静な頭脳は、彼らに諦めを囁いていた。

(畜生……ッ! オレがもっと早く駆けつけていたら……!
 碇も、神崎も、コイツも! どいつもこいつも手に届かねぇのかよ!」

唇を噛み締めて、菊地はそっと腰を下ろす。
素人目から見ても、手遅れだ。ならば、最期ぐらいは植木と落ち着いて話させてあげたい。
全身を朱に染めたヒデヨシをそっと地面に横たわらせ、植木は涙を拭う。
拭っても止まらない涙を必死に擦って、無理矢理笑顔を作る。
最後ぐらいは笑ってヒデヨシとお別れをしたい。そして、ありがとうと言いたい。
彼の献身に礼を言わなくては植木は後悔しきれないから。
 
「うえ、きィ……」
「ヒデヨシ! ありがとな、オレ……助けられちまった」
「ぶっちゃけ、オレの方が、植木に……助けられてるっての。今更、だろ」
「オレがっ、オレがヒデヨシの分まで頑張るから! だから、もう……いいんだ……!」

握られた手の感触が、薄い。開けた目の視界は殆どが黒く、植木が何処にいるのかさえわからない。
けれど、まだ生きている。自分の意志は植木に伝えることが出来るのだ。
ならば、最後に頼まなければ。
全部が終わった後、チャラにしてくれ、と。
だけど、悲しいことに口が一言述べる程度の力しか残っていない。
自分の願い事を彼に託すことはできないだろう。

(ま、大丈夫だろ。植木なら、きっと全てをチャラにしてくれる。いつだって前を向いている植木なら……。
 どんな形であれ、元通りにしたいって願うのは間違いなんかじゃねぇんだ。だから、オレはオレのままでこの選択を選んだ。
 ぶっちゃけ、後悔なんかしてねぇんだよ、可能性がまだ残っている限り、オレは生きていける)

それでも、ヒデヨシは信じている。いつか、植木が全てをチャラにできるといった事実に気づく時、きっとまた会える。
だからこそ、ここで言う言葉は一つだけ。
植木に頑張れとエールを送る激励を込めて。


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