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中学生バトルロワイアル part6

547スノードロップの花束を  ◆sRnD4f8YDA:2015/10/12(月) 19:22:05 ID:lhrTcDrE0
ぴくり、と御手洗の肩が跳ねる。泣き出しそうな表情が一瞬顔に浮かんだが、やがてそれは直ぐに鬼神のそれへと変化する。
少女の言うことは正論で、同時に、図星だった。自分は弱くて、泣き虫で、どうしようもなくて。
誰かに助けて欲しかった。許して欲しかった。認めて欲しかった。愛して欲しかった。手を差し伸べて欲しかった。
でも、それを、その台詞をお前にだけは。

「僕も、だって?」

友達も、勇気も、居場所も、想いも。
全部持ってるお前にだけは、言って欲しくなかったんだ。

「僕を、守る? 救う?」

僕とお前は同じだ、弱くてどうしようもない奴で、同じに、ビデオを見た。でも、お前は僕と違ってそうなれた、そんな目が出来るようになれた。

「ふざけるな……」

惨めじゃないかよ。馬鹿みたいじゃないかよ。餓鬼の駄々みたいじゃないかよ。
僕とお前の差が、友達と、勇気と、居場所と、想いの差みたいに見えるじゃないか。僕にどうしろってんだ。そんなものは僕にはない。だからそうはなれないってのかよ。
お前らはいつもそうだ。優しくこっちに手を伸ばして、僕らは一緒だとか、お前も守るとか、助けるとか、下らないこと言ってきやがる。
違うんだよ。人と人の間は、どうしようもなく深い水で満ちてる。他人と不安や後悔を分かち合って馴れ合って生きていくだなんて、クソ食らえだ。

「ふざけるなよ……」

そうじゃないんだよ。僕は、“そうなりたいけど、そうなりたくない”んだ。羨ましいだけで良かった。指を咥えて見ているだけでよかった。
お前には、きっとそれは分からないんだろうよ。死ぬまでな。


「ふッッッざけるなぁあァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」


御手洗は大口を開けて泣く様に叫ぶ。 裏返った声は、びりびりと初春とアスカの鼓膜を揺らした。
どう、と館内の空気が揺れる。床の水が畝りながらぐるぐると渦巻き、その中から獣の形をした水兵が初春達へと襲いかかった。
初春は、襲いかかる獣を一体一体右手で触れてゆく。触れられた水兵は、掌との設置部からぶくぶくと泡立ち、派手な爆発音と共に白い煙と化していった。
その正体は果たして“蒸発”であり、それは彼女の持つ超能力『定温保存<サーマルハンド>』に由来する“熱量操作”であった。

「ふざけてなんか、ないですよ。やっと見つけたんですから。私だけの、現実を!!」

尤も彼女はレベル1で、せいぜいが保温程度の能力限界だった。
それをここまでの短時間で、掌を高温にして水を蒸発させるほどのレベル3後半相当能力に向上させることが出来たのは、
元々彼女がレベル5にも劣らぬ高い演算処理能力を持っていた故でもあったが、『自分だけの現実<パーソナルリアリティ>』の観測が、極めて苦手だった事に起因する。


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