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中学生バトルロワイアル part6

541スノードロップの花束を  ◆sRnD4f8YDA:2015/10/12(月) 19:06:22 ID:lhrTcDrE0
言いましたよね。アスカさん。私が馬鹿なんだって。私の正義なんて、法がないここじゃあ、何の役にも立たないって。
その通りだと思います。私の正義は、借り物でした。私は風紀委員を大樹にして、影に隠れて正義のヒーローごっこをしていただけなのかも知れません。
守られた世界で、役割を演じて安心する事で、変われた気になっていただけだったのかもしれません。
私、弱い自分から、普通の自分から、少しでも変わりたいから風紀委員に入ったんです。

“己の信念に従い、正しいと感じた行動を取るべし”

白井さんが教えてくれた、大切なこと。私も、自分の信じた正義は決して曲げないと、あの時、誓いました。
ぼんやりとしていた“せいぎ”が、霧に隠れた道が、見えた気がしました。でも、それはきっとまやかしでした。
私の道は風紀委員で、私の正義は風紀委員。私の居場所は風紀委員。じゃあ、私から風紀委員を取ったら、一体何が残るのでしょうか。
それを考えるのが、怖かった。居場所も、道も、依代も。全部失うのが、怖かった。
でも、もうこの島には何もない。だから、きっと旅立たなきゃいけないんです。飛び立たなきゃいけないんです。
自分で正しい事を決めて、向かうべき道を切り開いて、自分の居場所を決めなきゃいけないんです。

あの、御免なさい。私、やっぱりそろそろ行かなくちゃ。とろいから進むのはカタツムリみたいに遅いけれど。
道が見えないから、真っ直ぐは飛べないかも知れないけれど。空には星もないから、ゴールも道標も、見えないけれど。
でも嫌なんです。もう、誰も喪いたくない。いつまでも逃げていたくない。
逃げて助かって、やりたいこともできなくて。それで、何があるんですか。誰が救われるんですか。
アスカさんはそれで満足ですか、自分一人だけ死んで、それで本当にいいんですか。

私は、嫌です。

私は弱いし、何が出来るかなんて解らない。アスカさんにも怒られるに違いない。でもきっと、無様に逃げるよりは百倍マシ。
未来なんて、どうなるかなんて知ったことですか。そりゃあ生きなくちゃいけないんでしょうけど、だって、ね。
想いを貫き通す意思があるなら、結果は後からついてくる。そうでしょ、白井さん。佐天さん。御坂さん。
だから、だから。





「―――――――――――――――――だから、私は此処に来たんです」





少女はぼそりと、飴玉を転がす様な声で呟く。
それは余りにもか細く、か弱く、儚く。
しかしそれでいて何よりも鋭く、凛として、針のように真っ直ぐだった。


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