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中学生バトルロワイアル part6

43中学生日記 〜未完成ストライド〜 ◆j1I31zelYA:2013/12/05(木) 23:14:57 ID:plMkkY2g0
今が何十周目なのか、もう雪輝はさっぱり覚えていやしない。
数えられなくなったというより、『あと78周……』など意識すれば絶望的な気持ちになってしまうので、
そのうち数えるのをやめたという方が当てはまる。
周回のカウントは、先ほど越前と交代した秋瀬がボタンを押しているので、まず不正はないはずだが、
その三人がふらふらの体で走っている雪輝をさしおいて、別の話題らしき情報交換で盛り上がっているのも恨めしい。
いや、理屈で考えればじっと100周分を待つよりもこの時間を有意義に使った方が今後の為になることは理解できるのだが、
人が未だかつてないほど走らされている時に……という感情論は止められない。
しかも命令した当人である越前は、なんか泣いてるし。本気を見せろと言ったのはお前のくせに。
しかも、女の子と手とか繋いでいるし。
嫌味か。元恋人から命を狙われている独り身への嫌味か!

それでも、なぜか走っていた。



(まさか、『グラウンド100周』なんて答えるなんて……)

気持に収まりをつける手段として、危害を加えられることは覚悟していた。
しかし、まさか走らされるとは。
断りきれなかったのは、好きな人のために何でもできるなら、それぐらいできるはずだという安易な挑発に乗っかってしまったから。
そして、『本気を見せて』と言った声と顔に、こちらを侮ったり見くだしたりする感情が無かったからか。
走る雪輝を見定めることで、何かを変えようとするかのように。

(そっちに歩み寄ってやるから、僕もこっちに来い……って、ことなのかな……)

疲れた。しんどい。息が切れるなんて感覚ですら、長いこと忘れていた。
体を動かすなんて、まさしく一万年ぶりだ。
殺し合いが始まってからも何回か走ったけれど、逃げるためだったり、助けを呼ぶためだったりで、意識する余裕なんてなかった。
いや、一万年前の殺し合いでも、たぶんそんな風だった。生き残るために、殺すために、必死だった。
いつ以来だろう。
ただ駆けるために、走っているのは。



――ちっぽけでも抗ってみるがいいさ。その想いが親父さんに届くように。



(そうか……病院とか、リハビリ室とか、懐かしく思ったわけだ)


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