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中学生バトルロワイアル part6
423
:
ぼくらのメジャースプーン
◆j1I31zelYA
:2014/11/30(日) 17:05:53 ID:nKJI5gdQ0
逆ギレされるとは予想外だったな、と内心で反省する。
雪輝にグラウンド百週という無茶振りをさせた意趣返しに、本当ならもっときつい言葉を言うつもりだったのに。
秋瀬が口にしたのは、もっと甘い言葉だった。
「べつに今までのやり方を変えろと言ってるわけじゃないよ。
死を覚悟することと、死を起こさせないという気持ちで戦うことは矛盾しない。
大切なのは、最悪が起こらないなんて『油断』をせずにいこうってことじゃないかな」
そう言うと、越前が目を丸くした。
「アンタ……知ってたの?」
「何を?」
「知らないなら、別にいい」
ふい、と顔をそむけられる。
しかし、さんざん愚痴をこぼし終えた後だからなのか、喋り方には調子が戻っていた。
「無駄だったなんてことは無いよ」
そして、その中身には秋瀬或と共通している部分もあった。
だから、話しておくことにする。
「僕にも、自分のしてきたことを意味がないとリセットされたことがあったんだ。
ここに来るまでは思い出せなかったんだけど、雪輝くんから『世界が二週している』ことを知らされて、少しずつ記憶が蘇ってきた」
「リセット?」
「うん、このままだと破滅する不幸な人たちがいて、僕は依頼を受けた探偵としてその人たちを救けたんだ。
でも神様の手先がそれをなかったことにして、また元の不幸だった状態に戻されてしまった」
それは、少しずつ思い出してきた、たった数日の“逆説の日々(パラドックス)”だった。
一週目の世界とも二週目の世界とも異なる、なかったことにされた世界。
「でも、ぼくはリセットされる前の日々が無意味だったとは思ってないよ。
彼等は確かにあそこにいたし、事件が解決した後は笑っていたんだから。
たとえ消されてしまった笑顔でも、笑顔は笑顔だ。
人にどう言われようと、価値が変わるものじゃない」
意味が分かっているのかいないのか。
ふーんと相槌をうち、越前は背もたれにより深く身体を預けた。
「のど、かわいた……」
「飲み物、買ってきましょうか?」
真横から声をかけられ、その肩がびくんと上下する。
綾波レイが戻ってきたことに、越前はその時まで気がついていないようだった。
ぎこちなく言葉を交わして、また送り出す。
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