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中学生バトルロワイアル part6
412
:
ぼくらのメジャースプーン
◆j1I31zelYA
:2014/11/30(日) 16:50:08 ID:nKJI5gdQ0
それが真実だとすれば、とてつもないことだ。
エヴァに乗っていない自分なのに、人間として足りないものだらけなのに、求められた。
しかし。
そう、自覚した瞬間に。
ぞわりと身の震えが、身体を貫いた。
両腕で身をかき抱くようにして、屋上のタイルを見下ろす。
少しは成長していた証のはずなのに。『ぽかぽか』すべきことのはずなのに。
こんなのは、知らない。
知らなかった。
碇シンジを失った時は、これ以上の喪失など有り得ないと思っていた。
しかし、高坂王子が死んでしまったことで得たのは、碇シンジのそれとは別の喪失だった。
「無理……私は、越前くんみたいに、強くなれない」
今なら、理解できたのかもしれない。
エヴァに乗ることを怯えていたころの碇シンジが、何を恐れていたのか。
己のことを弱くて臆病だと、自嘲していた理由が。
出会うということは、いずれ別れるということだ。
大切なぬくもりを手に入れたそばから失って。
しかも、彼らが命を落とした原因のひとつが、自分にあって。
きっと、これからも手に入れては失うことが、ずっと続いていく。
足元にぐらぐらとおぼつかなさを感じて。
屋上にひとつ、置かれていたベンチに腰を下ろした。
日没の景色が真正面にあった。
太陽のオレンジ色が、優しかった。
数十人の死体が転がっている場所だとは、思えないぐらいに。
この夕焼けを、まだ生きている他の誰かも見ているのだろうか。
今まさにこの時に、綾波レイの知っている誰かは、越前リョーマの知っている誰かは、この夕陽を見ているのだろうか。
だとすれば、それはなんだか不思議で、とても特別なことのように感じられて。
だから綾波は、もうしばらくこの景色をじっと見ていることにした。
世界は、燃えていた。
呆れるほど、綺麗だった。
◆
屋上へ上る階段とエレベーターが見えて、視界を右に向ければ非常口も見えるような廊下の曲がり角。
そこに自販機のそばにあったベンチを持ってくると、外敵への警戒も兼ねて秋瀬或と越前が腰掛けていた。
雪輝はまだ戻っていない。
待っている二人は、どこか疲れた顔をしている。
特にだるそうにベンチに座っている越前は、綾波が階段から降りて近寄ってきたことにも気づかない様子だった。
不在にしている間に、疲れるようなことでもあったのだろうか。
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