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中学生バトルロワイアル part6

371――ただひとつの答えがなくとも、分け合おう。 ◆j1I31zelYA:2014/09/23(火) 22:55:05 ID:rGsWCH4k0
(つっても……一人で抱え込んでちゃ世話ねーよな。
アイツらとまた会った時の対処も打ち合わせしときたいし、まずは相方に相談といくか)

煮詰まってきたことを自覚して、ふぅと吐息する。
なぁ植木、歩きながらでいいから聞いてくれるか。
そう切り出そうとした時だった。
植木が、前方を向いていた。
より正確に言えば、進行方向からはやや東にそれた山際の景色を。

「おい、菊地。あれ……!」

指さされた方角を、菊地も見る。
現在地との位置関係を考えればC-6のあたりだろうか。
山裾の手前、少し丘になった地形の上に、背の高い建物が見えていた。
おそらくはホテルだろう。問題は、そのエントランスが遠目にも分かるほど半壊していることだ。
外壁には巨大な鉄球が貫通したような穴があき、地面が黒ずんだようにぼやけているのは夕闇にも焼け跡だとわかる。
学校周辺の騒動の余波にかかずらっていた菊地たちには、その争いがいつ行われたものなのか分からない。
もしかするとまだ負傷者があの場所にとどまっているかもしれないし、もっと言えばここからは確認できないだけで、戦闘は継続しているかもしれない。
さらに言えば、杉浦綾乃がその争いに巻き込まれている可能性も低いけれどゼロではない。
『海洋研究所で待っているかもしれない』というのも彼女に冷静な判断力が残っていたとしての話でしかなく、急にはぐれてしまった上に知り合いも全滅したショックでどこにさ迷い歩いていくかなど断定できやしない。

「菊地」
「その顔を見るに、そっちも同じ意見みたいだな」

二人は頷き合い、進路の変更を決めた。





ヒュン、と空気を裂くような音。
そして、石の礫が反響する重たくて鈍い音。
それらが連続しながら、山の中を駆け抜けていた。

「どうしたァ!! 逃げてばっかじゃ、俺からエースは取れねぇぞ!」
「そういう貴方こそ! 狙いが、甘くなってますのよ!」

狙い放たれた剛速球の数々を、黒子は木の幹を盾とすることで防ぐ。
道中で補充したらしき石の塊は、人間の腕力で撃ったとは思えない威力で木の幹をドカドカとえぐった。
当たらなかった幾つかの礫は後方の木々にあたって反射し黒子の足元を襲ったが、それを黒子は瞬間移動ではない、ただの跳躍で回避する。

「逃がすかよォ!」

しかしタイムラグを利用して、切原は移動していた。
素早く回り込んだのは、黒子の姿が丸見えになる、木の側面方向だ。
次弾を撃つために、ぐるりと弧を描くようにその位置へと移動して――

「まだまだ、です!」
「ぶはっ……!!」

だが、その眼前を塞ぐように太い枝が落下してきた。
直撃は避けた。しかし枝先が白い髪にひっかかり、はらいのけるための時間を要する。
その落下を生んだのは、黒子が拾って転移させた落ち葉だった。
葉っぱを使って枝を切断する――手品のような芸当だが、これも『移動した物体は、移動先の物体を押しのける』からこその応用技だ。
追撃にうつるべく、さらに瞬間移動で跳ぶ。
頭上からの飛び蹴りは読まれると踏んで、低い位置での足払いを選択。
しかしその払いは、スプリットステップによる横方向への跳躍でよけられた。
体勢を立て直すために費やされた時間は、双方ともにほぼ同時。
そして、さらなる攻防を交わすために両者は駆ける。


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