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中学生バトルロワイアル part6

337天国より野蛮  ◆j1I31zelYA:2014/09/10(水) 22:01:04 ID:A3R4pZ5g0

ディパックを背負い直し、海へと背を向ける。

「もう、いいのか?」
「うん。できるだけ『更生』ってやつ、やってみる。
そのうちあたしも裁かれる時が来るかもしれないけど、それまでは」
「更生か……どこに行くんだ?」
「やっぱ秋瀬との合流になるのかな……あれ? 御手洗とかいうヤツを追ってたんだっけ? とにかく来た道、もどろ」

『もどろ』と口に出してから、そもそも浦飯を付き合わせる義理があるのかな、と気づく。
今まで一緒にいたのは、ほとんど『女一人を放っておけない』という浦飯のお節介みたいなものだ。
しかし当の彼はというと、どんぶりを雑に片付けて出発の準備を始めていた。

「ねぇ」
「なんだ?」
「あたしたちって、結局、どういう関係なんだろ?」

一緒にいるための、これと言った理由はない。
しかし、浦飯はすぐに答えた

「友達(ダチ)じゃねぇか?」

その答えは、常盤の想像を外れていた。

「男と女で、友達?」
「おかしくはねぇだろ。俺にも、螢子は別にしても、ぼたんとかいたしよ」
「ふーん。男友達、か」

まさか、男から”友達”呼ばわりされるなんて思わなかった。
男友達、とその言葉を反復する。
悪くなかった。頼もしい響きがするけれど、しかし近すぎてベタベタしたニュアンスでもない。

「じゃあ、”友達”からの命令。あたしより先に、死なないで」
「おう。てめーより長生きするだけならな」

最初に出会って、殺し損ねて追いかけられた時は、頼ることをよしとしなかった。
他に相手とする女性がいる男に、寄りかかることなんてできないと思っていたから。
でも”友達”なら、少しだけ許せるかもしれない。

「あたしがいなくなったら、その時はよく考えて。
自分のこととか、どうしたいか考えて……その後は、浦飯の好きにしていいよ」
「不吉なこと言ってんな。裁きだかなんだか知らねぇが、てめーはそこまで悪いヤツにも見えねぇよ」

失ったものの代わりにはなれないけれど、せめて前くらいは向いていてほしかった。
彼が諦めかけている地に足のついた幸せを、
常盤が諦めてほしくないと望むのも、”友達”としてのわがままだろうか。

そこから太陽は見えなかったけれど。
会場のどこかではきっと、沈む夕日が茜色に輝いていて。
それは同時に、夜が始まるということでもあって。
ちょうど、地獄の催しが始まってからきっかり十八時間を知らせるコール音が鳴った。





死んでもやりなおしがきく人生を。
しかし、死んだらとりかえしがきかない人生を。

天使の翼を持たない人間は地を這いずって、死ぬまで生きていく。


【E-6/F-6との境界付近/一日目 夜】


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