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中学生バトルロワイアル part6
299
:
波に黄昏、海に夢、泡沫の聲は銀の浜
◆sRnD4f8YDA
:2014/08/17(日) 03:06:32 ID:TZA2pd2M0
きっと、それでも待っているのは、真っ黒な未来だ。理想なんてものは叶わない。やっぱり、夢は夢で理想は理想。
黙っていてもゲームは進み続けるし、死人は出る。
これ以上死者を認めないとほざくのは簡単だ。言うが易し、行うが難し。
否が応でも誰かが死んで、誰かが壊れて、誰かが嗤って、誰かが喪って、誰かが涙を流す。
綺麗事なんてものは、直ぐに現実に潰される。
それでも少女の願いを尊いと思うのは、少女の愚直さを羨んでしまうのは、きっと、その理想の行き着く未来を見てみたいから。
自分にはもう信じる事は出来ないけれど、少女にも同じ様に諦めて楽になって欲しかったけれど。
自分は間違ってなかったんだと納得したかったけれど。それでもどこかでその理想を、自分の過去を守りたかったから。
過去を殺す事は出来ても、否定する事なんか、誰にも出来ない。
「ええ。きっと」
少女の笑顔に、少年は口を歪めた。
未だに七原秋也を捨てられない未練が、何処かで燻っている事実には、最早笑うしかなかった。
「……だけど多分、それを貫いたらお前は壊れちまう」
血が流れているのを確かめる様に、自分の手を握る。汗で滲んで生温い。
腰に下がった獲物を手に取る。グリップのひんやりとした温度と、ずっしりとした感触が、掌から伝わってきた。
少年はそれを目の前の少女に構えた。紛れもない。これは、いのちを奪う道具なのだ。
「でも、安心しろ。そうなったら、俺がお前を殺してやる」
少年は言って、バン、と銃を打つ真似をする。暗い未来の予感を、撃ち砕き払拭する様に。
「責任持って、殺してやる。だからそれまでは―――死ぬな」
少女は眉を下げたまま、微笑む。希望が砕けるその時まで、その決意はきっと、揺るがない。
「ええ。約束ですの」
太陽に焼かれて落ちる蝋の翼と知っていながら、それでも飛ぶ事は、少なくとも悪とは呼ばない筈だ。
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