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新西尾維新バトルロワイアルpart6

1名無しさん:2013/06/10(月) 21:34:44 ID:r8aCgNWo0
このスレは、西尾維新の作品に登場するキャラクター達でバトルロワイアルパロディを行う企画スレです。
性質上、登場人物の死亡・暴力描写が多々含まれすので、苦手な方は注意してください。


【バトルロワイアルパロディについて】
小説『バトルロワイアル』に登場した生徒同士の殺し合い『プログラム』を、他作品の登場人物で行う企画です。
詳しくは下の『2chパロロワ事典@wiki』を参照。
ttp://www11.atwiki.jp/row/


【ルール】
不知火袴の特別施設で最後の一人になるまで殺し合いを行い、最後まで生き残った一人は願いが叶う。
参加者は全員首輪を填められ、主催者への反抗、禁止エリアへの侵入が認められた場合、首輪が爆発しその参加者は死亡する。
六時間毎に会場に放送が流れ、死亡者、残り人数、禁止エリアの発表が行われる。


【参加作品について】
参加作品は「戯言シリーズ」「零崎一賊シリーズ」「世界シリーズ」「新本格魔法少女りすか」
「物語シリーズ」「刀語」「真庭語」「めだかボックス」の八作品です。


【参加者について】

■戯言シリーズ(7/7)
 戯言遣い / 玖渚友 / 西東天 / 哀川潤 / 想影真心 / 西条玉藻 / 時宮時刻
■人間シリーズ(6/6)
 零崎人識 / 無桐伊織 / 匂宮出夢 / 零崎双識 / 零崎軋識 / 零崎曲識
■世界シリーズ(4/4)
 櫃内様刻 / 病院坂迷路 / 串中弔士 / 病院坂黒猫
■新本格魔法少女りすか(3/3)
 供犠創貴 / 水倉りすか / ツナギ
■刀語(11/11)
 鑢七花 / とがめ / 否定姫 / 左右田右衛門左衛門 / 真庭鳳凰 / 真庭喰鮫 / 鑢七実 / 真庭蝙蝠
真庭狂犬 / 宇練銀閣 / 浮義待秋
■〈物語〉シリーズ(6/6)
 阿良々木暦 / 戦場ヶ原ひたぎ / 羽川翼 / 阿良々木火憐 / 八九寺真宵 / 貝木泥舟
■めだかボックス(8/8)
 人吉善吉 / 黒神めだか / 球磨川禊 / 宗像形 / 阿久根高貴 / 江迎怒江 / 黒神真黒 / 日之影空洞

以上45名で確定です。

【支給品について】
参加者には、主催者から食糧や武器等の入っている、何でも入るディパックが支給されます。
ディパックの中身は、地図、名簿、食糧、水、筆記用具、懐中電灯、コンパス、時計、ランダム支給品1〜3個です。
名簿は開始直後は白紙、第一放送の際に参加者の名前が浮かび上がる仕様となっています。


【時間表記について】
このロワでの時間表記は、以下のようになっています。
 0-2:深夜  .....6-8:朝     .12-14:真昼  .....18-20:夜
 2-4:黎明  .....8-10:午前  ....14-16:午後  .....20-22:夜中
 4-6:早朝  .....10-12:昼   ...16-18:夕方  .....22-24:真夜中


【関連サイト】
 まとめwiki  ttp://www44.atwiki.jp/sinnisioisinrowa/
 避難所    ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14274/

873 ◆xR8DbSLW.w:2023/06/27(火) 23:58:00 ID:Scku84iU0

「不知火袴の目指す世界にはとんと興味はわかねえが、
 摂理を超克することを《完全》と称するならば、俺はそれに興味がある」

 愉快そうにほくそ笑む。
運命の省略を《完成》と呼び、宿命の修了を《完了》と呼び――天命の超克を《完全》と呼ぶ。
世界という荒波を前にしてあまりにも傲岸不遜だ。
――いや、その傲慢さは《鍛冶師》に限った話ではないか。
小さく吐息をすれば、気持ちを切り替えて。

「ときに」
「なんだよ」
「あなた、今回のこの《実験》の結末も視たのでしょう」
「むろん」

 確認するための問い。
当然のことを当然のことと再認識するだけの答え。
《策師》は一度、自分の首元をなぞる。
つぅーっと、左から右へ。
繋がっている。
生きていた。
ならば。
問う。

「教えていただいても?」
「明白なことを言わせるな。理事長のやつも口酸っぱく言っているだろう」
「まあ念のため、ですよ」

 たった一人が生き残るまで、《実験》は続く。
この舞台に課された運命。
この物語に付された宿命。
何度も繰り返された呪詛である。
それは規則でもあり、脅迫でもあり、なによりも純然たる事実だ。
《予知》などと大層なものを使うまでもない。
何事もなければ、何事があったとしても、いずれ訪れる未来。
 またたきをするほどの間。思考を一巡させてから、

「――うんっ!」

 少女は爽やかに、笑った。
場に似つかわしくないほどの明るい声音は、涼やかな鈴のようだった。
呆れた顔をする《鍛冶師》をはた目に、慣れた手つきで携帯電話を取り出す。

「じゃあ、私も成すべきことをいたしましょうか」
「熱心だな」
「私の使命ですからね」
「好きにしな。俺も好きにする」
「あら、どちらへ」
「野暮用だよ」
「まったく、しようがない方ね。使えないったらない」
「年配を無碍にするもんじゃないな」
「亡霊を敬う教育は受けておりません」
「似たようなものだろうに」

 適当なことを言いながら、《鍛冶師》は退室する。
仰々しい男だ。その背中を見送った後、すぅーと大きく息を吸い、一度目を伏せる。
先を見据え、後を見通し、偽を見抜き、真を見下す。
彼女の頭で描く盤上は、《予知》にも劣らない精度を誇る。
――否、《策師》は時に、未来を築き上げる。

「よしっ」

 《実験》というには奇抜なこの催し。
不知火袴も言っていたように、まもなく幕は閉じるだろう。
それは果たして、誰の手によってか。

「そう、私の名前は――」

874檻と澱 ◆xR8DbSLW.w:2023/06/27(火) 23:58:41 ID:Scku84iU0

 ◆Ⅲ  するがイエロー


 【シミュレート1】
 ◆もしも殺し合いの場にいたらどうする?◆
 
「あのぼいんちゃんの前では啖呵をきったものの、本当のことを言えば自制できると断言できるはずもない。
 敬愛してやまない先輩方のことを思えば、――否、思ってしまう私の我儘は、躊躇もなく薄汚れたこの手を汚すだろう」
「それについては私も同感ね。一切の容赦もなく切り捨てるわ」

 ◇

 【シミュレート2】
 ◆もしも自分が願いを叶えるとしたら?◆

「悪魔の所業ならぬ神の御業だとして、私が何かを願えるような立場にはないからな。
 仮に神に寝返るとするならば、どうでもいい99個の願いでも叶えてもらうとするよ」
「そう、あなた謙虚なのね。私は穏やかに過ごしてみたいわ。どうしても、叶えてみたかった」

 ◇

 【シミュレート3】
 ◆もしも人生をやり直すことになったら?◆

「それでもきっと」
「私は同じ人生を歩んでしまうと思う」
 
 ◇

 【リプレイ1】

 神原駿河は自省する人間であれ、自制する人間ではなかった。
猿に願い、阿良々木暦を襲って以来、己の性分に対して向き合う機会もそれなりにあった。
畢竟、もとをただせば猿に願ってしまう性分がために起こった事件といっても差し支えはないだろう。
 猿の手。雨降りの悪魔。レイニー・デヴィル。
三つの願いを己と引き換えに叶える、忘れ形見。
一度は、幼きプライドを。
二度は、拙きプロミスを。
そして今。
三度目。
神原駿河は神か悪魔か、あるいは己に誓い、願いの果てに血を吐いた。

「…………せん、ぱ、いっ」

 殺し合いの場において。
救いのないこの場所で、彼女自身が救いにならんと、彼女自身が役に徹した。
心を投げ捨て悪になり、身を差し出し悪魔になった。
誰を助けたかったのか、意識がもうろうとする中ではもはや思い出すこともない。
 そうして願いに殉じた彼女はひとり、静かに息を引き取った。

 ◇

 【リプレイ2】

 新たに『師』と仰ぐ人間に巡り合えた。
記憶に封をし、信号は青になる。
紫木一姫はまっさらな人生を歩き始めた。

 ――ひゅん、ひゅん、ひゅん

 それでも。
彼女は紫木一姫であった。
カーニバルが始まれば野性に目覚めるように。
戦場に立てば、『危険信号(シグナルイエロー)』は煌々と回る。

「あなたの意図は、ここで切れます」


 【観測結果】

 神原駿河――予備候補
 紫木一姫――予備候補

875檻と澱 ◆xR8DbSLW.w:2023/06/27(火) 23:59:15 ID:Scku84iU0

 
 ◆Ⅳ  人生はゲームなんです。 >>>>> リセットしてください
 
 
 
「刻限だ」

 放送明け。ランドセルランドの一角。
櫃内様刻の前に現れた男は、前置きもなく言い放った。
自己紹介すらしない不遜な態度である。
とはいえ不服でもない。実際のところ、男の正体には見当がついている。
勇猛な獅子のたてがみがごとき金髪、有象無象を見下ろす眼光。
威風堂々、傍若無人、さながら《王者》のたたずまい、玖渚友から伝え聞いていた通りの威容はまさに。

「おまえが都城王土か」
「ことここに至って普通なる俺を探る必要はあるまいよ」

 櫃内としても同感だ。
変幻自在のオルタナティブ、真庭蝙蝠が死んだ今、彼を偽物だと疑う余地はない。必要もない。
彼が主催一派のポーンであることもすでに明かされている。
たとえ参加者のひとりであったとしても、関係がない。
 話は簡単だ。櫃内は炎刀《銃》の片割れを構え、都城の心臓を狙い、引き金を引く――、

「そう逸るな」

 ちいさく、いさめるように都城は零す。
忠告を聞く道理もないが、気持ちとは裏腹に櫃内の指は痺れたように固まる。
動かしたいのに、動かない。くだんの《言葉の重み》か。
 《銃》を構えたままに制止する櫃内の様子を認めれば、都城は本題とばかりに話を戻す。

「死にたいのならばあとにしろ。慈悲もなく殺してやる。だが――ひとまず貴様にも聞かねばなるまい」
「…………」
「行橋未造なる人間を見なかったか」
「…………」
「そうか、まあいい。期待はしてなかったよ」

 櫃内の揺らぎもしない瞳の奥が、何よりも雄弁に物語る。
供犠創貴も、真庭蝙蝠も、零崎人識も、戦場ヶ原ひたぎも、同じ瞳をしていた。
ほんの一瞬の瞑想。つとめて心を平静に。
実験が始まり約一日。
たかが一日か、されど一日か。

「この俺が傀儡とは、皮肉というべきか、因果応報、自業自得というべきか」
「懺悔なら保健室にでも行ってくれ」
「すべてが終わればそれもいいだろうが――もっとも、それを望んでいるのは貴様の方だろう」

 視線の交錯。
櫃内の瞳には敵意も不信もあるが、熱意がない。
生きているから生きている、ただそれだけのがらんどう。
誰の声も届かない非通知のむくろ。
呪い名《時宮病院》、操想術に狂わされた末路と思えばよくこの程度に堪えたと称するべきか。
洗脳の類のおぞましさは、他ならぬ都城にはよく理解できる。
で、あればこそ――、

「櫃内様刻。平凡なる《平和主義》。流るるままの青春を謳歌していた者よ。
 世界は不気味か。未来は素朴か。現実は囲われているか。
 失望しろ――俺たちは劇的に生きるしかない」

 都城は、櫃内に向けて発信する。

「貴様に仕事を選ばせてやろう」

876檻と澱 ◆xR8DbSLW.w:2023/06/27(火) 23:59:57 ID:Scku84iU0
 ◆Ⅴ


「他人の願いを叶える余裕があるならば――自分の願いを叶えてみてはいかがですか」

 臨時講師として学校法人私立千載女学園に派遣されていた病院坂迷路がそんな話をしたのは、さていつのことであったか。
人並みに利己的で、月並みに社会的で、軒並み普遍的な感性を抱いていた彼女――もとい彼らしい至極まっとうな指摘だ。
不可能であるという点に目を瞑れば、ぐうの音もでない正論だった。
 不知火袴は寂々たる部屋の一角で追想する。
すでに息を引き取った骸の言葉ではあるものの、あるいはだからこそか、一定の重みがある。
いくら暖簾に腕押しといったところで、彼がそういう異議を唱えたという事実に変わりはない。

「……ほほ」

 傍系の病院坂。
役割も違えば、性別も違う。
おおよそ無価値な代替品。
無意味な任に就いていたとして、彼は間違いなくバックアップでしかないはずなのに、《自分の願い》とは大それたことを言う。
同じ影武者の出自として可笑しくもあり、微笑ましくもある。
 それでもしかし、繰り返すようだが至極まっとうな指摘であるとも、不知火袴は感じていた。
自分の願い。
不知火袴の願い。
影武者ではない、自分自身の願い。
――それは間違いなく、胸の内に秘めている。

「――懐かしい」
 
 願いの原点。克己の核心。
まだ幼い時分、箱庭学園の生徒として通っていたあの頃。
亡くなった生徒がいた。
級友だった。
いまだ鮮明に想起できるような、もはや色褪せてしまったまやかしのような、記憶のかけら。
仮に人生をロードマップ化したならば、契機や転換点と呼べるものはそこであろう。
 あの時。
自分は何を願ったか。
フラスコ計画を立ち上げ、《十三組の十三人》を集結させ、《-十三組》を終結させるまで至らせた願い。
ひいてはこの《バトルロワイアル》を開幕させるほどの――。

「あひゃひゃ、おじいちゃん、急にどうしたのさ」

 物思いに耽る老爺の姿を見かねたのか。幼い声が降りかかる。
後方のソファに鎮座するのは孫娘、不知火半袖。
手持ち無沙汰を誤魔化すようにふらふらと足をぶらつかせる様子はさながら無垢な少女のようだ。
祖父の家に帰省した小学生の図――ともすれば、そんな風にも映るだろう。
しかし当然、これは平和な一コマなどではない。
主催者の居城で交わされる密会だ。

「いえ、いよいよ大詰めといった具合だと、そう思っただけですよ」

 すすす、と。
湯呑みをゆっくりと傾けながら、言葉を落とす。
参加者たちに殺し合いを通達した主催者。
好々爺然としたゆるりとした所作に似合わないほど、
モニターをしかと睨め付ける視線はひどく鋭い。

「影なる我々の手引としては、上々な仕上がりと言えましょう」

 不知火の里――影武者の一族。不知火袴。
天才に踏みにじられるための影(ふみだい)。斜道卿壱郎。
無私を貫き誰がための機能と生きる、日陰の策師。萩原子荻。
表舞台に立ちながら舞台装置に徹する日向の鍛冶師。四季崎記紀。
フラスコチャイルド、次善の王。都城王土。
所詮は何かの《代替品》に過ぎなかった我々にしては――上等だ。
 半袖はわらう。いつもの調子で、気軽に。
世間話でもするような朗らかさで、それよりも、と。

「飽きないね、きみも」

 誰でもない声で、誰かがそんな風に言った。

877檻と澱 ◆xR8DbSLW.w:2023/06/28(水) 00:00:41 ID:R64NV3OE0
投下終了です。
指摘感想等あればよろしくお願いいたします。


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