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新西尾維新バトルロワイアルpart6

772「柔いしのびとして」 ◆xR8DbSLW.w:2021/09/28(火) 15:42:20 ID:LwlWjwEc0
 真庭川獺の『記録巡り』然り、関連するところでいえば鳳凰さまの『命結び』然り。
人や物の記録――記憶を辿る『術』はいくらでもある。
ましてや、規格外だという『大嘘憑き』。――記憶ぐらい『なかったこと』にするだろう。
ゆえに、出来る出来ないの話は無意味だ。
 問題があるとするならば、なぜそうなったのか。
あの様子では、そう、鑢七実が記憶を消していたように見える。
球磨川禊に心酔する鑢七実が記憶をわざわざ消去させているのだ。
のっぴきならない事情が覗いているが、中身については一度捨て置こう。

「おれもとがめも悪くないんだ」

 本題について。
鑢七花が小うるさいことについて。
諸々含めて結論付けるに、球磨川の『不安』が占める割合も相当に高いとみてもいい。
『忘れている』といっても、球磨川自身、どことなく自分の状態に居心地の悪さがあるようだ。
言葉の端々から察するに余りある。
精神と記憶のずれ、ねじれ、乖離。
あるべき姿と、今ある現実との相違。礎なき牙城。
とりもなおさず、深層心理に根付いた違和感が、球磨川を、ひいては虚刀流を不安に誘っているとするならば――。

「よいよい、七花。これ以上喋らんで良いわ。
 そうだな、ある意味においておぬしは悪くないのだろうよ」

 算数と逆算。始点と終点。現実と理屈。――本質を推し量る虚構の推理。
最悪だ。本当に最悪だ。
上辺を変えないために、根底を変えるようなやつらを、どうしておなじ人間と言える?
気色悪い、気味が悪い。気違いにも程があろう。
なにより最悪なのが、その変態ならざる変質行為がこいつらに生まれた最大の隙というのが、最悪だ。
『だとしたら』、どうする――?
こいつを拾った時、おれは胸に刻んだはずだ。

――『とがめが生きていてくれたら』。こいつが見ているのは、そんな願望が作り出した儚き幻想だ。
こいつに刺さった四本の大螺子によって人為的に植え付けられたものだったとしたら、これほど恐ろしいことはあるまい。

 甘く見ていたつもりもないが、正味、現実はいかにも世知辛い。
球磨川禊の心の空白、鑢七実の肉親の情――おれはこの手札を使って、なにをすべきだ?


  ×


 さて、そうは言っても残り十二名。
たかだか十二ととるか、されど十二ととるかはわかれるところであろうが、
球磨川と七実のことばかりを考えていても仕方がないといえば仕方がない。
早く始末をした一方で、本音を言うのであれば、二度と会いたくない。
ああいった、使う『言語』が違う人外どもには――おれさまお得意の『接待』技術も無用の長物となりうる。
勝手に死んでくれれば、越したことはない。頼むから死んでくれ。

 おれの最終目的はあくまで生還であり、欲を言うのであれば真庭の里の復興である。
ゆえに他の参加者とやらにも意識を向ける必要だってあろうよ。
ところが、だ。


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