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新西尾維新バトルロワイアルpart6

654解体サーキュレーション  ◆xR8DbSLW.w:2015/11/23(月) 22:35:39 ID:pzCMG7lc0
『いーちゃん生きてるー?』
「…………」

 抜け抜けと。
 案外監視カメラでもハッキングしてるんじゃないか、と疑い周囲を見渡すも、無意味さを悟り項垂れる。
 真宵ちゃんから不審な目で睨まれたけれど、今に始まったことじゃない。嫌われることには慣れている。なんて。

『いーちゃん?』
「……大丈夫だよ、まだ健常さ」

 玖渚の言葉に遅れて頷く。
 監視カメラのハッキングというのは言い過ぎとしても、しかし要領がいいというか、タイミングに優れているというか。
 こうも見透かされていると恐怖を感じるのだな、と内心にしたためながら言葉を続ける。

「しかし、今度はどうした? ぼくたちはこれでも可及的速やかに済ませなければならない火急の用事があるんだ」
『そうなの? 頑張ってね。でもこっちも伝えなきゃいけない用事があったからね』
「用事?」
『そそ。いやさ、僕様ちゃん実は今薬局に居るからネットカフェに行くんだったらやめといた方がいいよっていう用事がとりあえず一件』
「そうか、薬局に、わかっ……ん?」

 あんまりにもすんなりと言うものだから、一瞬スルーしそうになったけれど、おかしくないか?
 薬局に『向かう』じゃなくて、『居る』だなんて、あまりに不自然だ。
 この違和感を解消すべく、電話を繋げたまま地図を取り出して確認するように凝視する。
 やっぱりそうだ。このランドセルランドとネットカフェと薬局とは、ランドセルランドを真ん中に据えるようにしてほぼ一直線上に位置していた。
 寄らなかったと言えばそれまでにしろ、せっかくの合流の機会を逃すだろうか。せめてぼくに一報をくれてもよかったのに。
 よもや日和号の脅威に怯えていたわけじゃあ、あるまいし。あるまいし? どうだろう。
 加えて言うなら、体力面では足手まとい他ならない玖渚を片手に、この短時間で薬局まで行けるだろうか。

「はいはい、いーちゃんの言わんとすることは分かるから順を追って説明するけどね。
 結論から纏めて言うなら、一、『しーちゃん……零崎人識が協力してくれた』。二、『供犠創貴や水倉りすかも協力してくれた、けど絶対的に敵対した』」

 零崎人識。
 ひたぎちゃんを追って袂を分かつ結果となったが、玖渚と一緒にいたのか。
 まあ、そこはいい。あいつの放蕩癖を今更指摘するのも馬鹿らしいし、あいつのために時間を費やすのも阿呆らしい。
 だから、触れるべきは後者だ。
 このバトル・ロワイアルが始まってから幾度も名前を聞いている、その二人。

「……敵対?」
『ん。端的に説明するとね』

 と、本当に端的に説明してくれたが、つまりはこうである。
 供犠創貴らが『仲間(チーム)』の一員である式岸軋騎を。そして『零崎一賊』である零崎軋識を手に掛けたから攻撃をしてしまった。
 しかし紆余曲折あり、敵対したところの水倉りすかの力を借りて、ぼくたちが本来迎えに行くはずだった櫃内様刻らのもとへひとっ飛び。
 そのまま有耶無耶のまま終われば、ぼくからしてみれば御の字であったが、最後の最後で人間失格が供犠創貴らに攻撃を加えたため、和解は無理、と。

「全部あいつが悪いじゃないか」

 ろくでもねえことするな、あいつ。
 確かにクラッシュクラシックでそんな話はしていたけれど。

『まあまあ、おかげで僕様ちゃんが生き残れたんだからいいじゃん』
「……そうかもね」

 何気なく呟かれた玖渚の言葉に一瞬息を詰まらせるも、辛うじて答えることが出来る。
 戯言だ。それで。

「ちなみに真庭鳳凰は?」
『多分死んだ。っていうかそれっぽいのは薬局に転がってる』
「へえ」

 これに関しては素直に驚嘆する。
 あの人も、なかなか一筋縄ではいかなそうな人ではあったけれど、そんなざっくりと死んでしまったのか。
 思えばあの人と出会ったのも約一日前か。男子三日会わざれば、とはいうけれど、よもや一日でそこまで落ちぶれるとは。
 可哀想に。
 心の中でせめてもの哀悼の意を表していると、お気楽な玖渚の声が飛んでくる。


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