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新西尾維新バトルロワイアルpart6

51×××××&×××××――「あ」から始まる愛コトバ  ◆xR8DbSLW.w:2013/08/06(火) 20:12:48 ID:03.Kayr.0

でも。
でも、だ。
――そんなの諦めたく、ない!

「私……幸せになりたかったの」

一人、語り。
愛を知る双識には、何故だろう。
自分の身の内を話すのも悪くない気がした。
彼はとても真摯に――紳士に彼女の言葉を傾聴する。

「でもね、今まで色々な障害が合って、どれも失敗しちゃった」

彼の言う愛は簡単だった。
支え合うこと。ただそれだけ。
誰かが困っていたら、自分が助け。
自分が困っていたら、誰かに助けてもらい。
それだけにして、彼女には今の今までできなかったこと。
貝木泥舟のために彼女は尽力を果たしたつもりであったが――どれも空回りばかり。邪魔ばかり。

だけど、今は隣に双識がいる。
手を握ってくれて、抱きしめてくれた。
できるのだ。
彼女を助けることは、こうも容易くできるのだ。
双識は腐らない理由を「これが愛の成す業だ!」なんだの吠えていたが、しかしそんなの嘘だと分かっている。
どうみたって、彼女の傍で双識に突き刺さっているくないが原因であろう。
でも、いいのだ。
隣に居てくれる、手を握ってくれる――彼女にとって、こんなにぽかぽかなものはない。

「だけど……私、諦めたくない」

心からの叫び。
元より彼女は、過負荷にして、それでも幸せを願っていた少女であった。
球磨川禊とも、蝶ヶ崎蛾々丸とも、志布志飛沫、不知火半袖とも異なる過負荷。
それが彼女の生きる理由。
唯一にして至上の、絶対の! 彼女がいまここに、満身創痍の状態でも立ち続ける理由なのだから!
自分だけが不幸せだなんて――認めない!
それぐらいなら、周りをみんな陥れる。
それでも、彼女でも幸せになれるというのなら――我儘かもしれないが


「私は確かに『過負荷』だけど――幸せに! 貝木さんと幸せになりたい!」


幸せになりたかったのだ!


「そうだね……」

双識は頷く。
立派な目標だと思う。
家族から貰った命を大事にして、幸せを追い続ける姿は間違いなく『合格』だ。


「きみはきっと幸せになれるさ」
「……零崎……さん」


彼は断言する。
彼女の未来に幸せはある、と。
彼女の姿は実に好感が持てる。
拾われる前は――全てに諦めていた自分とは対照的に、彼女は独りでも、前を向く。
いや、彼女の言い分からして彼女は独りではないかもしれないが、しかし婚約を約束した女を捨てて立ち去るなど、『不合格』もいいところだ。


「私も手伝おう。――きみが幸せになれるのを」


双識は、決意する。


「きみを見ていると、私の奥底に眠る気持ちが疼いてしょうがない」
「……零崎……さんっ!」


江迎は、涙をほろほろと流し双識の腹の辺りを抱きしめるように縋る。
力強く、離さないように、もう二度とこんな素敵な人を手放さないように。
貝木泥舟との恋仲を初めて応援してくれた初めての人――




「だからそのまま、零崎一賊の為に死ね」


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