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Schwarzer Kater 7 *SA
1
:
緋
:2017/04/05(水) 09:39:38 ID:???
「Schwarzer Kater 6」の続きです。
SAオンリーほぼ初期メンバーのみ。
そしてリアルよりパラレルが多くAさん猫可愛がりなお話達。
自分でもびっくりな7スレ目に突入。
いろいろと迷走中ですがのろのろとあの頃の6人のイメージで書き続けたいと思います。
今スレもよろしくお願いします☆彡
44
:
にゃん
:2017/05/13(土) 23:47:26 ID:???
あっちゃんのinすたliveですんたんのお名前が❤
見れた方いますか?
これだけで一月はご飯食べれます(>_<)
ごちそうさまでした✨
45
:
名無しさん
:2017/05/15(月) 20:00:50 ID:???
酔っぱらいあっちゃん、ふにゃふにゃしててかわいかったですね!
あんなあっちゃんを前にしたら、しゅんちゃんもでれでれせずにはいられないよな〜と妙に納得してしまいました!
ふたりが仲良しでしあわせです!
46
:
緋
:2017/05/31(水) 15:59:47 ID:???
>>44
にゃん様、お返事遅くなりましたがありがとうございます。
あちゅのいんしゅたらいぶ、見逃しましたー!けど、にゃん様のコメントを見てすぐにつぶやいてる場所で動画を探して確認いたしました。
相変わらずあちゅってばすんたん大好きで、すんたんもあちゅが大好きで…もうほんとごちそーさまです♪
これからもことあるごとにお互いの名前が出そうで楽しみですねーw
>>45
酔っ払いあちゅ、ちょっとだけ確認できてあまりの可愛さに突っ伏しました…。
あちゅ、すんたんのいんしゅたらいぶを見て真似したのかしら?
あんまりかわゆいあちゅを公にさらしたら、すんたんにお仕置き食らうよー。
その模様をぜひいんしゅたらいぶで←
本当に2人がいつまでも仲良しで幸せですね〜。
47
:
緋
:2017/05/31(水) 16:00:27 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
「篤志」
この日病室に来たまっちゃんは神妙な顔で俺を呼んだ。
いつもは優しい笑顔を浮かべてるのに…珍しい。
「まっちゃん、どうしたの?」
「あーうん。調子どう?しんどくない?」
「うん平気だけど…何かあったの?」
はっきりしないのも珍しい。
何か困ったことでもあったのかな?
「うーん、実はさ話があるって…」
まっちゃんの目が病室の外へと向けられる。
それだけで…なんとなくわかった。
あの人が、来てるんだ。
「篤志、大丈夫?」
「…っ、がんばる」
怖いけど…いつまでも逃げてばかりじゃダメだし。
ずっと思い出せないならちゃんと乗り越えなくちゃいけない。
記憶をなくして迷惑をかけてるのは俺だから。
「無理はしないでね。俺もいるから」
「うん。まっちゃんごめんね」
いろいろ気を使わせて。
「謝んないの」
俺の頭をぽんぽんと叩いたまっちゃんは扉を開けて外に声をかけた。
「ひろさん、いいっすよ」
「…篤志」
入ってきたひろさんは静かに俺の名前を呼ぶ。
「元気そうだな。リハビリも順調だって聞いてる」
「…はい」
身体的にはもう通院でもいいぐらいには回復してる。
まだちょっと無理したら熱も出るし、上手く体も動かせないけど…。
ちょっとびくびくしながらひろさんを見上げてたら苦笑された。
「そんなに怖がらなくてもいいだろ。別に何もしねーって」
確かにこの前とは違って表情だって穏やかだ。
けど…やっぱり怖い。
「篤志」
「…まっちゃん」
横にいたまっちゃんに名前を呼ばれてなんだか安心して自然に笑顔になった。
「そういうとこ、かわってねえな」
よくわからないけど、そうなのかな。
「……何が、ダメだったんだろうな」
「ひろさん」
腕を組んで、ため息をついて…その顔が疲れて見えた。
きっとすごく大変なんだろう。
申し訳ない気持ちが強くなったけど、同時に怖さも膨れ上がる。
「ちょっと前までは俺がやりたいことに笑顔で賛成してくれて一緒にいろいろ考えて…上手くやってたのにな」
「…っ」
「いつからか、意見が分かれて…その上お前は記憶をなくして」
「っや」
怖い。
何がかはわかんないけど、怖くてたまらない。
記憶を思い出すのが怖いのか、この人が怖いのかわからないけど…怖い。
48
:
緋
:2017/05/31(水) 16:01:00 ID:???
「篤志、大丈夫だから」
「まっちゃん…」
頭を抱えるように抱きしめてくれたまっちゃんにしがみつくと少しだけ怖いのがなくなった。
「ひろさん、知ってました?」
「なんだ?」
「篤志は…合体した時もすごく悩んで、でも自分が反対したらグループにとって良くないからって必死で前向きに考えてたって」
「……」
「今もそうですけど、ちゃんと篤志自身を見てませんでしたよね」
「そんなことは…」
「ひろさんが見てるのは…え ぐざ/いるである篤志です」
「…」
「ソロだって、念願かなって頑張っている篤志に、あくまでえぐ ざ/いるの篤志だって念を押すような売り方とか…篤志が本当に納得してるって思ってました?」
淡々と続けられる言葉とは裏腹にまっちゃんが俺を抱きしめる手は小さく震えてて…俺が何を思ってたのかは思い出せないけど…もうこれ以上言わせちゃだめだって思った。
「まっちゃん、もういいよ」
「篤志…。ごめん。ごめんね。俺達何もしてあげられなかった。頑張って頑張って…誰にも頼れなくて踏ん張ってた篤志に」
「……俺、記憶はないけど、まっちゃんのこと好きだったよ。まきさんもうっさんも。謝ってもらうことなんてない」
「篤志、ありがと」
俺達がそんな会話を交わしてる間、ひろさんは戸惑ったように俺達を見つめていた。
「ひろさんすみません。余計なことを言いました」
「いや…」
「篤志に話があったんですよね」
「ああ。篤志」
「はい」
「退院して体調が戻ったら、もう一度唄ってくれないか」
「…でも」
「たかひろも、ねっさんもしょうきちも、みんな頑張ってくれてる。けどやっぱりお前の声がないと…」
「俺、は…ひろさんが知ってる、以前の俺と、違うから…無理だと思います」
怖いけれど、きちんと言わなくちゃ。
そう思って必死で言葉にした。
声は震えてて情けないけど…でもちゃんと、今の俺には無理だって、伝えられた。
と思ってたのに。
「篤志は篤志だ。記憶がなくてもお前の声は同じだろ。きっと唄える」
「っ…」
俺は俺。
俊ちゃん達も言ってくれたその言葉。
なのに…何でこんなに違うの?
この人は、俺が唄えればそれでいいんだ。
「篤志?」
「俺…っ唄えない」
「篤志」
勝手に震える体をまっちゃんが撫でて落ち着かせてくれようとするけど…俺はただ怖くて怯えるだけしか出来なかった。
「やだっ」
「怖がらなくても、お前なら唄えるって」
「ひろさんっ!」
「ひっ、やぁ!こわっ、怖い…」
49
:
緋
:2017/05/31(水) 16:01:42 ID:???
俺の腕の中で、じたばたと暴れぼろぼろと涙をこぼす篤志。
「篤志、落ち着いて。大丈夫無理やり唄わせたりなんかしないから」
「やだっ」
「篤志」
ひろさんは篤志のそんな様子をただ驚いてみているだけで、俺は嫌だと怖いを繰り返す篤志をもっと強く抱きしめた。
「ふっうぇ…やだぁ…俊ちゃっ」
「篤志、篤志大丈夫。今ここにいるのが篤志だから」
かたかたと震えながら泣きじゃくる篤志。
そんな篤志を初めて見たひろさんは…知らない誰かを見るような目をしてた。
「…ひろさん、今日はもう」
「っああ。わかった」
静かに出て行くひろさんを見送ってから、篤志の背中を軽く叩く。
「篤志、もう平気だから」
「っうぅ」
「怖い思いさせてごめん」
「う、ううん…俺が…ごめん、ごめんなさ」
思い出せない自分が悪い。
きっとそう思ってるんだろう。
「篤志のせいじゃない。謝んなくていいから」
「まっちゃ…」
ぐすぐすと鼻をすすりながらさっきよりは落ち着いた篤志。
だけど、泣き疲れたのか精神的に疲れたせいか…顔色も悪いしちょっと苦しそう。
「先生呼ぶ?」
「だい、じょぶ」
「本当に?」
「ん…けほっ」
「お茶、飲もうか」
「ん」
「ちょっと待っててね」
「っ」
何か飲ませたほうがいいと思って立ち上がると篤志が不安そうに俺をじっと見つめた。
「ほら、飲める?」
「ありがと」
すぐに戻ってお茶を差し出すと、素直にこくこくと飲み干す。
その間に篤志の首に手を当てるとちょっと高い体温。
「熱出てるかな?」
「わかん、ない」
「横になってな」
「まっちゃん…帰っちゃう?」
こんな不安そうな篤志置いて帰るわけないでしょ。
「まだいるよ」
「うん」
「ちょっと横になろ?」
「…ん」
素直に布団にもぐりこんだ篤志だけど、不安からかしばらく俺から目を離そうとしなかった。
ああやっぱり…会わせないほうが良かったかな。
50
:
緋
:2017/05/31(水) 16:02:46 ID:???
お返事
>>46
After a st0rm c0mes a calm
>>47-49
ちょっと前に書けてたけど…これをアップしていいものかどうか悩んでました。
ええっと、これは完全なフィクションですっ!
パパはそういう演技をさせられてるだけでっ←
なのにこの先もっと意地悪パパも出てきたり…。
いつかパパ視点も入れたいとこですが今のところ余裕がなさそうです。
次回は電話でパパモードのすんたんとお話するあちゅ&真剣モードのまき兄登場予定。
なるべく早めに更新しようと思います。
ちょっと心配なりあるすんたん…。
しっかり休養してらいぶで全力を尽くせますように。
51
:
緋
:2017/06/02(金) 15:57:55 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
「俊ちゃん今大丈夫?」
『大丈夫やけど、あっしになんかあった?』
あれからしばらくして漸く眠った篤志を見ながら俺は電話をかけていた。
相手はもちろん俊ちゃん。
さっきのこと早めに伝えたかったのと、しばらく来れない俊ちゃんに篤志を頼むって言われたのに泣かしちゃったから。
「俊ちゃんごめん」
『何?』
「ひろさんが、どうしても会って話したいって言うから…」
『まあずっと会わんわけにもいかんわな。仕事のこともあるし』
「うん。それでね、篤志も最初は頑張ってたんだけど…」
『おう』
「でもやっぱり会わせるんじゃなかった」
『ちょ、声がこえーんじゃけど』
「篤志がどう思ってるか全然わかってない」
『まっちゃん』
「篤志を傷つけるだけだった。ほんと、ごめん」
『仕方ねーじゃろ。記憶がのうてもあっしがメンバーなのには変わりねえし』
「…記憶がなくても篤志なら唄えるって」
『まあ確かに、唄えるじゃろうけどな』
「時々口ずさんでるもんね。でも…ひろさん無意識だけど今の篤志ですら利用しようとしてるから」
『ああ、無意識か、そうじゃな。多分篤志にもグループにも良かれと思って言うとんじゃろ』
そう。
ひろさんはひろさんなりに篤志やグループのことを思ってる。
それは昔から変わってない。
「だから厄介なんだけど」
『まっちゃん』
「あ、ごめんごめん。それでとりあえず俊ちゃん次いつこっちに顔出せる?」
『来週予定じゃったけど…出来るだけはよう顔出すわ』
「仕事大丈夫?」
『自分が頑張れば何とかなるから』
「無理しないでね。と言いたいけど出来れば早めにお願い」
今の篤志は俊ちゃんが傍にいることが一番の薬だからさ。
『わかった』
「じゃあまた…」
『ん』
「っ、あ、ちょっと待って」
『どした?』
眠ってる篤志がぎゅっと布団を握り締め眉間にしわを寄せて魘されてる…。
「篤志」
「っやだ」
大丈夫だと安心させたくて頭を撫でたけど、かえって怯えさせたのか声を上げて頭を振った。
52
:
緋
:2017/06/02(金) 15:58:30 ID:???
『あっし?』
「魘されてるみたい。ちょっと待ってて」
起こして俊ちゃんの声聞かせたほうが安心するはず。
「篤志、起きて」
「やだっ、しゅ、ちゃん…俊ちゃんっ」
起こそうとしても目を覚まさず、助けを求めるように俊ちゃんの名前を呼んでる。
俺よりも俊ちゃんのほうがいいかも。
「俊ちゃん、篤志に声かけてくれる?」
『ん』
篤志の耳元に携帯を置いた。
『あっし』
「っ…しゅ、ちゃ」
『大丈夫やから、落ち着け』
「俊ちゃん…?」
『傍に居れんで悪かった。けどなるべくはよう会いにいくけぇ』
「んん?」
俊ちゃんの声にぼんやりと目を開けた篤志が次第に意識をはっきりさせる。
やっぱり俊ちゃんの声が一番だね。
「…まっちゃ?」
「電話、俊ちゃんだよ」
いまいち状況がわかってない篤志に携帯を持たせた。
『あっし、大丈夫か?』
「俊、ちゃん?」
『おう』
「俊ちゃんっ、俊ちゃん…会いたい…よ」
『俺もじゃ。傍に居れんですまん』
「…ううん、お仕事だもん。俺の、ほうこそ…ごめん」
『いやええよ。叶えてやれんときもあるけど我慢しとらんと言ってくれるほうがええ』
「うん。俊ちゃん、ありがと」
ふわりと笑った篤志に安心する。
そのまま、また目がとろんとするのはやっぱり疲れてるからだろう。
声もふにゃふにゃしてるし。
『このまま寝ろや。な?』
聞こえてきた俊ちゃんの声がなんていうか甘くて聞いてるほうが恥ずかしい。
「うん…そーする」
『あっし、お休み。一緒に唄う夢でも見れるとええな』
「んー」
俊ちゃんと唄うのは篤志にとって不安なことじゃないんだね。
生返事をしてうとうとしたかと思うとそのまますうっと眠った篤志の手から携帯を取り上げる。
「俊ちゃん、ありがと」
『まっちゃんこそ、ありがとな。忙しいじゃろうに』
「大丈夫。今は個人活動控えてるし」
『なるべく傍に居るようにするわ』
「お願い。俺はもう少しひろさんと話してみる」
『……大丈夫か?』
「うーんどうかな。でも、このままじゃダメだと思うし。今の篤志は…戻らないほうがいいと思う」
『そうかもしれんけどそんな簡単なことじゃねえやろ』
「そうだね。でも篤志にとってはそれが一番幸せな未来かなと思って。出来れば俊ちゃんといさせてあげたいし」
『俺のときとは状況が違うし、もっと大変じゃと思うで』
「うん」
『なんか俺で出来ることがあったら言ってな』
「ありがと。何かあったら頼むよ。じゃあ…またね」
『ん』
篤志も俊ちゃんもそれから俺達もみんな、それぞれが納得のいく未来にしたい。
きっとできるはず。
話せばわかり合える…はず。
53
:
緋
:2017/06/02(金) 15:59:45 ID:???
「あー結構熱出たね」
先生が体温計を見ながら苦笑してる。
昨日のことはまっちゃんが話してくれたらしく朝起きたら先生がちょっとだけ心配そうに俺を覗き込んでてびっくりした。
「今日はリハビリはなしでしっかり休むこと」
「はい」
「何かあったらちゃんとコールするんだよ」
「はい」
「よし。じゃあまた後で様子見に来るから」
「ありがとーござい、ます」
「気にしないでいいよ。これも仕事だしね」
「ん」
忙しいのに迷惑かけてるなんて思ってたら仕事だって言われた。
多分俺が気にしなくていいように言ってくれてるんだろうな。
これ以上迷惑かけないためにもちゃんと休もう。
熱があるせいかうとうとしては目を覚ます。
「っ!…あ」
どのぐらい経ったのかわからないけど…何度目かのまどろみで怖い夢を見て目が覚めた。
今日はみんな忙しいのか意外と広いこの病室に俺一人。
俺…このままでいいのかな?
みんなに迷惑しかかけてないのにいいのかな?
急に不安が押し寄せてきて静かな病室が怖くて…CDを再生する。
大好きな俊ちゃんの唄声が響き渡った。
「…俊ちゃ…」
何かあったら連絡しろって言われた携帯を握る。
逢いたい。
声が聴きたい。
でも声を聴くともっと逢いたくて仕方がなくなる。
だから…電話をかけることもできない。
俊ちゃんの声が流れる病室でいっぱい泣いた。
昨日俊ちゃんはなるべく早く逢いに来るって言ってくれた。
それは嬉しいけど…俺は俊ちゃんの仕事の邪魔をしてるんじゃないだろうか。
まっちゃんもうっさんも、俺のためにひろさんとぶつかってるんじゃないだろうか。
まきさんだって…忙しいのに体を休めたりやりたいことだってあると思うのに…俺のところに来てくれてる。
俺が…いなかったら。
もし俺がいなかったら…。
「あっちゃん?」
「っ」
「あっちゃん!」
「っ…ま、きさ」
「わっ、どしたの?目真っ赤じゃん」
「…ん」
いつの間にかまきさんが病室にいた。
心配そうに覗き込んでくれるまきさんを見てなぜか涙が止まらなくなる。
「なんかあったの?って、篤志、めちゃめちゃ熱あるじゃん!」
「っふ…けほ…」
涙拭いてくれたまきさんがびっくりして俺の額に手を当てた。
その手が冷たくて気持ちいい。
「あっちゃん、先生呼ぶよ?」
「…いらな、い」
「でもしんどいでしょ?」
「へい、き」
「大丈夫じゃなさそうだけど…」
「まきさん…」
手を伸ばした俺を抱きしめてくれるまきさん。
昨日、まっちゃんもこうやってくれた。
頼ってばかりの俺をみんないつも心配してくれる。
「何で泣いてんの?怖い夢みた?それとも寂しくなった?」
昨日のこと、聞いたのかな?
優しく背中をなでてくれるまきさんに安心もする、けどそれ以上に…自分の存在が嫌になる。
「俺…いなかった、らよかった。そし、たら、めーわく、かけな…のに」
「え?」
まきさんの手が止まった。
それからちょっと体を離されてじっと見つめられる。
「あっちゃん。何でそんなこと言うの?」
「っ」
あ、まきさん怒ってる?
怒らせたのはきっと自分。なのに…怖い。
嫌われるのが、見捨てられるのが…怖い。
54
:
緋
:2017/06/02(金) 16:01:33 ID:???
病室に入ると目を真っ赤に染めてぼろぼろと涙をこぼす篤志がいて驚いた。
昨日のことはまっちゃんから聞いてたけど…なんとなくそれだけじゃない気がして熱い体を抱きしめる。
そして…篤志が泣きながらこぼした言葉に、心配してた気持ちが一気に怒りに傾いた。
篤志の不安な気持ちもわからなくもない、だけど…。
「ごめん。怖がらせるつもりじゃないんだけどさ。ねえ教えて?何で?」
「だ…て、俺がいる、から、まっちゃんにも、嫌な思い、させたし…まきさんにもうっさんにも…俊ちゃんにも…めーわくしか」
「篤志」
「まきさん?」
もう二度と味わいたくないあの時の気持ちがよみがえってくる。
間違いなく篤志がここにいるのを感じたくて、もっと強く抱きしめた。
「篤志は知らないだろうけど」
「…」
「事故にあって、記憶どころか命さえ危なかったときに…俊ちゃんがさ」
「俊ちゃん?」
「集中治療室のガラス越しに、篤志のこと呼んで、必死に呼んで、死ぬなって…見てらんないぐらい必死でさ。
俺らだって篤志の笑顔がもう二度と見れないなんて、思いたくなくて…」
「あ…」
篤志が俺を見上げる。
「その後も命は助かっても…意識が戻らない可能性があるって聞いて怖くて…」
篤志の熱い手がいつの間にか涙が流れる俺の頬に触れた。
これ以上言うのは良くないって、篤志が気にするだけだって…わかってても言葉は止まらなかった。
「なのに奇跡的に意識を取り戻して…記憶はなくても、篤志が目を開けてて、話して笑って…。それだけですごい神様に感謝して。
もちろんたくさん思い出があるから記憶が戻ってくれたら嬉しいけど、でもこうしてるだけで本当に嬉しいのに…なのにっそんなこと言うな!」
「ごめ…」
「ばかやろうっ」
「まきさん、ごめんなさい」
「どんな思いしてもどんなに大変でも篤志がいてくれればそれだけでいいから、だから、だからもう二度と言わないで」
「うん、うん…もう、言わない。言わない、から…ごめん、まきさんごめん」
「…」
しっかりと抱きしめた熱い体は篤志が生きてると感じさせてくれる。
「それから…ありがと」
静かな言葉と共にいつの間にか肩に乗せられた篤志の頭にはっとする。
「あっちゃん、しんどいのに…ごめん」
「んーん、俺…自分の、ことばっかりで…まきさん達の気持ち、考えて、なかった」
「あっちゃん、そろそろ横になろっか」
「ほんと、に、ごめん」
「二度と思わないって約束してくれる?」
「うん。もーそんなこと思わ、ない」
「じゃあ、いいよ。ほらちょっと熱が高いから先生呼ぶね」
「…ん」
かなりしんどいのかぐったりと目を閉じた篤志。
俺は慌てて先生を呼んだ。
55
:
緋
:2017/06/02(金) 16:02:29 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
>>51-54
お付き合いしてない設定なのにすんたんとあちゅを会話させるとどうしても甘くなるw
次回は電話越しじゃないすんたんと久しぶりのうさちゃん登場というか兄ちゃんズが揃って出演予定。
まっちゃん、ぱぱ、ちょっと過ぎましたけど…おたんぞーびおめでとうございます♪
またいつか6人揃った姿が見れるといいなぁ。
お話では大変な役を押し付けてますが、ちゃんと解決しますからっ←
あちゅをべったべたに甘やかすぱぱとか欲しい…(欲しがってないで書け)
56
:
緋
:2017/07/06(木) 13:41:09 ID:???
双子ちゃんシリーズ
「え?!…はい、わかりましたすぐに行きます」
仕事をしている最中に入った電話。
それは双子達を預けている保育園からで…その内容に俺は慌てて仕事を放り出し車に飛び乗った。
「あの」
「うわーーんっ」
「あ、ほら篤志君お父さん来てくれたよ」
「うえっ…ひろ、しゃ」
「篤志」
保育園に入るぐらいから聞こえていた大きな泣き声の正体は篤志だったらしい。
さっき電話で聞いたことを思えば当然か…。
床に座り込んでひきつけをおこすほど酷く泣いていた篤志を抱き上げる。
「びっくりしたな」
「うえぇっ」
ぎゅうっと抱きついてくる体が熱く感じる。
かなり長い間泣いてたんだろう。
「このまま病院に向かいます」
「はい。俊君には先生が付き添ってますので…」
「わかりました」
「しゅっ…うぇしゅんた…」
「大丈夫だ。すぐ会えるから」
「ふぅっ」
「これ荷物です。あと…」
「ありがとうございます?」
篤志と俊のかばんをもらいながらまだ何かと先生を見ると、篤志の方を心配そうに見ていた。
「俊君を病院に連れて行ってから篤志君も痛い痛いと言っていたので…」
「ああ」
もしかして俊が痛かったからか?
「怪我はしてないと思うんですが…」
「わかりました」
「このたびは本当に申し訳ありませんでした」
「いえ、話に聞いた限りだと運が悪かった事故ですから。じゃあ行きます」
「はい」
泣きすぎて喉をひゅうひゅう鳴らす篤志の背中を撫でながら足早に車に向かった。
流石に抱いたまま運転は出来ないから少しの間篤志には我慢してもらうしかねえな。
「やだぁっ」
「俊のとこ行きたいだろ?」
「うぇ…」
「すぐ着くから」
「……ん。しゅんたぁん…ふぇ」
ぐすぐすしながらもさっきよりは落ち着いた篤志の顔を軽く拭いてやってそれからチャイルドシートに座らせる。
安全運転を心がけながらもできるだけ早く病院へと向かった。
57
:
緋
:2017/07/06(木) 13:42:53 ID:???
教えられた病室に入ると先生がすぐに気がついて立ち上がる。
車から降りてまたしがみついてきた篤志を抱いたまま軽く頭を下げベッドへ近づいた。
「…ひろさん」
「俊、大丈夫か?」
思ったより落ち着いて見える俊の頭を撫でる。
「だいじょーぶじゃっ…このぐらい……ひくっ…う…うわーん」
「俊」
平気そうな顔をしていたのに突然泣き出した俊。
多分今までいろいろ我慢してたんだろう。
「しゅんたっ…いちゃい?じょぶ?」
パタパタと暴れる篤志をおろすとベッドによじ登りさっきまで泣いていたのが嘘のように俊の頭を撫で始めた。
「あっ、あちゅし」
「しゅんたん」
ぎゅうぎゅうと抱き合う双子。
ついてきてくれていた先生も安心したように微笑む。
「ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ…怪我をさせてしまいすみませんでした」
頭を下げる先生にいやいやと手を振って、泣きながら俺を見上げてくる俊の頭をなでた。
「こいつも悪かったみたいですし、たまたま落ち方が悪かったのもあると思うんで」
「ぐすっ、ひろさ…ごめん」
「俺じゃなくて先生に謝らねえとな。びっくりさせたんだし」
「…ぅ、せんせーごめんなさい」
「先生もごめんね」
「ううん。おれがのぼったから」
いつもの元気も強気もなく頭を垂れる俊を見てそっとその小さな体を抱き上げる。
ギブスのはまった足が痛々しい。
「ひろさ…」
「今度から気をつけろよ。それより怖かっただろ?もう大丈夫だからな」
「ふぇ…う、うわーん」
幸い足の怪我はひびが入っただけで、そんなにひどいものじゃないらしい。
しばらくは苦労するだろうが少し安心した。
「しゅんたん」
ベッドに登っていた篤志が俊を抱いた俺を見上げてまた瞳を潤ませる。
けど俊が泣いてるからか、小さな手で俺の上着を掴んで泣くのを我慢してるようだ。
とりあえずその頭をなでてやる。
いつもなら2人とも抱いてやるとこだけど、足を怪我した俊と一緒には抱いてやれねえからな。
受付で手続きを済ませ薬局で薬を貰って家に帰った頃には篤志も俊もだいぶ落ち着いていた。
「俊、のど渇いただろ?ジュース持って来てやるからここで待ってろ」
「ん」
リビングのソファに座った俊は疲れたのかぼんやりしながらこくっと頷く。
「篤志、俊に何かあったら教えてくれよ」
「あいっ」
いつも俊のほうがしっかりしているが、この状況で自分がしっかりしないとと思うのか、
家に戻ってきて泣き止んだ篤志はいつもより3割増しなきりっとした顔で返事をして見せた。
すげー可愛いけど、そのやる気が危なっかしくて少しだけ不安だ。
58
:
緋
:2017/07/06(木) 13:45:08 ID:???
「ええっ?!」
仕事から戻ってきたらひろ兄から俊ちゃんが怪我をしたと聞かされた。
「待てコラっまき」
「いってぇ!」
思わずダッシュしようとしたらひろ兄にがっしりと掴まれる。
思いっきり踏み込んでたのとひろ兄の握力のせいで、掴まれた肩からぎりぎり音が聞こえた気がするんだけど…。
「何で止めるの〜」
「お前そのままの勢いで突っ込んでくだろ」
「いやだって俊ちゃんが心配で」
「気持ちはわかるけど、今は薬飲んで眠ってるから」
「あーうん、ごめんなさい」
「見てきていいから絶対起こすなよ」
「りょーかいっ」
素直に頷くと漸く離された手。
…絶対指の形に痣になってるよこれ。
「入るよー」
小さく声をかけて扉を開けるとベッドの横にペったりと座り込んでる篤志が見える。
「まきしゃ」
「あっちゃん」
「…まきしゃん」
そばに寄ると珍しくあっちゃんからぎゅっとしがみついてきた。
いっつも一緒な俊ちゃんが怪我しちゃって心配で仕方がないんだろうなぁ。
「すぐに治るよ」
「ん」
ひょいと抱き上げると丸い瞳をうるうるさせて抱きついてくる。
うああ、あっちゃん可愛い。
いつもなら奇声を発してるとこだけど、さすがの俺でも今はね。
鼻をぐすぐすさせてる篤志の背中を軽く叩きながらベッドの俊ちゃんを覗き込んだ。
「顔色も悪くないし、ひろ兄もそんなにひどくないって言ってたし…しばらく大変だろうけどこのぐらいですんで良かった」
「しゅんたん、たいへ?」
「うん、そうだね。しばらく歩けないし、きっと俊ちゃんも退屈するだろうからあっちゃん傍にいてあげようね」
「んっ。おれ、しゅんたんといる!しゅんたんのおてちゅだい、しゅる!」
「あっちゃん……」
ぐっと小さなお手手を握り締めて宣言するあっちゃんが可愛くって可愛くってもうっ!
「ぐふっ」
「まきしゃ?」
叫ぶの我慢してたら変な声が出て、篤志に心配そうに?(ぴったりくっ付いてたのに少し体離された…)見上げられた。
59
:
緋
:2017/07/06(木) 13:47:15 ID:???
「なんでもないよー。あ」
「んー………まきさん?」
「俊ちゃん、おはよ。って、夜だけど」
「ん、はよ……、あちゅし」
「しゅんたーん」
「わわっ、ちょっと待って」
急に俊ちゃんのほうに手を伸ばす篤志を落としそうになって慌てて抱えなおしてから下ろしてやる。
そしたら篤志は普段からは想像もできないような素早さでベッドによじ登った。
「しゅんたん、じょぶ?いちゃい?」
「いたくねえ」
「ん」
きゅうっと手を握り合って見詰め合う双子に思わず後ろポッケからスマホを取り出して連写。
家の双子達の可愛い写真が増えた。とちょっとだけ満足。
本当は怪我も病気もしてない元気な双子達が一番だけどね。
まあ、ちょっと、ちょっとはほら、弱ってる俊ちゃんとか、心配で泣きそうなあっちゃんとかも、いい、かなーなんて。
ひろ兄にばれたら殺されるからそんなこと口にしませんけど!
……ひろ兄だけじゃなくてまっちゃんにもうっさんにも殺されそうな気が…。
あ、なんか今悪寒がした。
「まきー?」
「っひ!」
「何その反応」
「ま、まままま、まっちゃん!いや、何でも、ちょっとびっくりしただけ」
「ふーん、まあいいけど。あ、俊ちゃん起きたの?大丈夫?」
「ん、へいきじゃ」
「ならいいけど、痛かったら教えてね。あと、おしっことかのど乾いたとかちゃんと言うんだよ?」
「おん」
素直に頷いた俊ちゃんの頭をまっちゃんがなでる。
あっちゃんもそんなまっちゃんの真似なのか俊ちゃんの頭をいい子いい子していて…ああ、マジ可愛い。
「…まき、交代で誰かついてることにしたから、とりあえず先にご飯食べてきて」
「へ?ああ、うんわかった」
「それと…」
「?」
「くれぐれも、暴走しないように」
「っ、はいはい」
あっちゃん達には見えないように俺の耳を掴んでひっくい声で言うまっちゃんに怯えながら返事を返す。
ひろ兄といい、まっちゃんといい…俺に対する愛がなさ過ぎない?
部屋を出る前にベッドに視線をやると、あっちゃんが俊ちゃんに「はやくなおりゅよーにの、ちゅー」とか言いながら俊ちゃんのすべすべほっぺにふっくら唇を押し付けてて…
手にしたままだったスマホが再び酷使されたのは当然の結果でしょう。
まっちゃんにあきれたようなため息つかれたけど…仕方ないと思わない?
だってうちの双子ちゃん達が可愛すぎるもん。
うちの子達マジ天使!!
60
:
緋
:2017/07/06(木) 13:48:27 ID:???
双子ちゃんシリーズ
>>56-59
多分半年以上ぶりの双子ちゃんw
すんたんばかりかまう兄ちゃん達に拗ねちゃうあちゅも書きたかったのですが時間がなくて断念。
久しぶりすぎて兄ちゃん達の呼び方とか忘れかけてました(>_<)
明日の更新が無理そうなので一日早いのですが……2号姉様はぴばで双子ちゃんを(内容全然関係なし)♪
2号姉様〜お誕生日おめでとうございます☆彡
ふふふー今年も姉様のおたんぞーびをお祝いできることが嬉しいです。
日々いろんなことがあると思いますが、毎日小さくても幸せを感じる瞬間がありますように(^人^)
あー来年はどんなお話にしようかなぁ←今から?
まったりどころか忘れ去られた頃に更新と言うペースですが、お暇なとき気が向いたときに覗いていただければ幸いです(^^)
そしてそんなめでたい日…正確には明日ですが…の更に前日にあちゅからすんたんへの恋文が公開される(違)なんて!
すんたん日記であちゅのことを匂わせてくれただけで狂喜乱舞していた日々もあったのに。
止まって欲しい瞬間もあれば、時間が流れたからこその幸せもあるんだなぁとしみじみ。
こんなペースですがきてくださったお姉様方に少しでもほっこりしてもらえるように頑張ります。
と思ったけど長編はあんまり和めない話だった……。
61
:
名無しさん
:2017/07/09(日) 19:21:42 ID:???
緋さまっっっっっ
すっかりお礼が遅くなってしまいましたが
↑何回も何回も読んではニヤニヤ満足して画面閉じてましたm(__)m
ありがとうございます!
ありがとうございます!
ありがとうございます!
とてもとても大事なことなので3回言いましたw
特に今年はワタクシの大好物の双子ちゃん♪
ゴチソウいや、ありがとうございました\(^o^)/
ヘンタイ兄さんのスマーホ、なんとか入手出来ないかなぁ
せめて、チビすんをイイコイイコするチビあちゅだけでも何とかならないかな←真顔
あちゅからすんたんへの恋文(ハート)
愛しい人wからの嬉しい言葉に、ただただ嬉しいという気持ちだけではいられないあちゅが、可哀想だとは思うのですが...
やっぱりインスタのコメントとしては長いよ、あちゅ...(´A`)
62
:
名無しさん
:2017/10/16(月) 16:18:21 ID:.Wn0Qdv6
緋様、姉様方みなさん元気かなぁ?
san号は元気です。
あちゅ、筋肉ムキムキですんたんと会うの避けてたみたいだけど⬅決めつけ
すんたんの男まちゅりにお花も送ったし、ちょっぴり減量もしたし、ナイスばでぃですんたんを誘惑に行く日も近いと思ってるsan号です。
あちゅと緋様と姉様方がみなさん笑顔でお過ごししてる事を祈るばかりです。
63
:
名無しさん
:2017/10/16(月) 16:19:53 ID:.Wn0Qdv6
ごめんなさい下げたハズがあがってしまいました(泣)
64
:
名無しさん
:2017/10/26(木) 08:37:31 ID:fuOEAgMw
緋様♪お元気ですかーっ!じゃなくて!
本日はっ!
お誕生日おめでとうございます☆彡
今年もお祝いできて嬉しいです\(^^)/
まつママが、ハッピーうさちゃんとヘンタイ兄さんとお祝いの舞に夢中で、お腹を空かせたチビすんあちゅがケーキをつつきだしたので、ロン毛を買出しに行かせましたw
そのスキに、ヘンタイ兄さんの秘蔵おさしんを探しているのですが、なかなか見つかりません( ー̀дー́ )チッ!
2号も頭の悪さ全開で元気にしておりますw
san号様もお元気で何よりです♪
1号様はじめ、皆様お元気でしょうか?
また1年、緋様にとってステキな日々になりますように☆彡
65
:
緋
:2017/10/26(木) 13:54:14 ID:???
>>61
>>64
2号姉様っ、いったい何ヶ月待たせるんだ!?な更新ですみません…。
少しでも喜んでもらえたらこちらこそありがとうございますと額を床に擦り付けて←お礼を申し上げたい所存です(いや、本当に)
その上、おたんぞーびを覚えていただいてたなんて…ふふふー♪
本人が誕生日を忘れていてちょっと前にすんたんからのメールで気がついたという事実(笑)
ママと兄ちゃん達の舞にちび達のつまみ食い、からの〜ロン毛の買出しで爆笑中w
ヘンタイ兄さんの秘蔵お写真は厳重に管理されてそうですね。
いやでも部屋の壁一面に貼られてあったりするかも…す○ーかーのようなので考えないことにしよう。
2号姉様もsan号姉様もお元気そうで安心しました〜。
またこの1年もすんあちゅと兄ちゃんずを素敵なお姉様方と一緒にまったりと楽しんでいければと思います。
「にごーおねーちゃん、あーと!」
「おれーにいっしょにあそんじゃる」
とりあえず、ちびすんあちゅを差し出しておきますw
2号姉様本当にありがとうございました(〃∇〃)
>>62-63
わーんsan号様、お久しぶりです!
ばたばたとあれやこれやに振り回されてるうちにすっかりご無沙汰してしまいました。
お元気そうで嬉しいです♪
あちゅったら少しでも綺麗な自分ですんたんに会いたいのね←
さすが乙女w
すんたんもあちゅもそれぞれやりたいことをやりつつもちゃんと繋がってて相変わらず連絡を取り合ってることにほっこりしてます。
うさちゃんの結婚のお祝いとかで例のお歌を2人で唄ったりしないかなー。
さてさて、少しずつ長編も久しぶりに書いたお話も続けて行きたいと思いますのでまだまだこれからもよろしくお願いします♪
66
:
緋
:2017/10/26(木) 13:56:46 ID:???
中編になるかもしれないお話?
「何でそういうこと言うの!」
「思ったこと言うて悪いんか」
「だからそうじゃなくて、もうちょっと言い方があるじゃん」
「お前みてーに器用じゃねーんじゃ。悪かったな!」
「はいはい、2人とも落ち着いて」
「まきさん…」
「とりあえずちょっと休憩ね」
「はあ…頭冷やしてくるわ」
「あ、俊ちゃ…」
ため息ついて部屋を出て行く俊ちゃんに手を伸ばしても届かない。
怒らせたいわけじゃないんだ。
俊ちゃんが真っ直ぐなこと曲げられないことがあること、よくわかってる。
でも…最近考え込むことが増えて、時々みんなとぶつかることもある俊ちゃんを何とかして上手くまとめたかった。
それが余計なお世話だったとしても。
だってずっと一緒に唄っていくんだから。
ずっと隣りで競い合って支えあっていくんだから。
俺達はお互いになくてはならない存在なんだから。
そう思ってたのは俺だけだったのかな?
この頃、俺達は少しずつ人気が出てきて2人一緒の部屋に泊まる事がなくなった。
仕事がさらに忙しくなって、抱き合うこともなくなって…けんかすることも増えた。
時と共に体だけじゃなくて…心も離れていく。
そして…。
「篤志、ちょっと話があるから飯食いに行こう」
「いいですけど…」
なんだろう?
今日のらいぶのことかな?
よくわからない俺を連れてひろさんが向かったのは最近みんながお気に入りの焼き鳥屋さん。
いつものように注文をしてそれから…ひろさんが言った言葉がわからなくて俺は首をひねった。
「篤志、意味わかるよね」
意味?
俺が呼ばれた意味ってこと?
え、わかんない。
戸惑う俺にひろさんは淡々と続ける。
「今回のツアーで俊ちゃん辞めるから」
「俊ちゃん、自分のやりたい唄があるからって。でもちゃんとツアーをやってあるばむ出すまでは責任持ってやるって言ってるから」
なんで…。
え?
ひろさんの言葉が俺の脳内を上滑りしていく。
心がついていかなかった。
それでも時間は転がるように逃げるように過ぎていく。
気がついたらいつの間にか次のらいぶ当日。
無意識にいつものように声出しして衣装を身に着けて、ちょっとだけいつもと違う心配そうな俊ちゃんの視線を感じながら舞台裏に控えた。
そこでふと気がつく。
俊ちゃんと一緒のらいぶはもう数えるほどしかないんだ。
最後へのカウントダウンは…始まってるんだ。
これは変えようのない事実。
それなら俺は精一杯唄うだけ。
俊ちゃんとの時間を大切にするために。
来てくれたみんなに楽しんで貰うために。
精一杯…。
そしてあっという間に別れの時はやってきた。
「俊ちゃん、ありがとう」
「こっちこそ」
「頑張ってね」
「お前もな」
「ん」
俺達は付き合ってるわけじゃなかった。
ただ一番近くにいて支えあってた。
だから…1人ずつに戻る時、別れようだとかこれからどうしようだとかそんな話をするわけがなかった。
たとえ寂しくて不安でどうしようもなかったとしても。
67
:
緋
:2017/10/26(木) 13:57:26 ID:???
ありがてぇことに俺達のぐるーぷはだんだんと人気が出て仕事も増え日々めまぐるしく変わっていった。
ロケやツアー先でも誰かと一緒の部屋じゃなくそれぞれの部屋が割り振られ、唄うこと以外にも詞を書いたり曲を決めたりと忙しい毎日。
自分の心がついていかんまま、大きな波に流されて溺れんようにするのが精一杯やった。
納得がいかんことを口にして周りとぶつかり、支えあっていたはずの篤志と以前のように触れ合うことも無くなっていく。
そんなときに考え始めたこと。
いや、最初からずっと心のどこかにはそれはあった。
それが表面に出始めたんじゃ。
この世界に入れたことも唄っていけてることも金が手に入ることも…全ては自分の力じゃないことぐらいわかっちょる。
流されるのはラクじゃ。
けど、自分の力で自分の歌を唄わんと、自分が自分でなくなっちまう。
そんな恐怖がだんだんと心を占め始めた。
篤志と唄う歌が嫌いなわけじゃねえけど…俺の本当に唄いたい歌は他にある。
それが唄えんで俺が唄い続ける意味はあんのか?
そうして俺の心はだんだんと自分らしい歌を唄うことに傾いていった。
篤志と歌。
較べるもんじゃねえし、天秤にかけるもんじゃねえ。
それでも選ぶしかなかったんじゃ。
俺が俺であるために。
唄いたい歌を唄うために。
篤志を捨てるしかなかった。
篤志と一緒にいる自分を捨てるしか…なかった。
「俊ちゃんのやりたいようにやったらいいよ。俊ちゃんの気持ちもわかるから。大変だろうけど頑張って」
自分が決めたことなのに不安に押しつぶされそうだった俺の背中を笑顔で押してくれた篤志。
その時は篤志の言葉を素直に受け取って単純に嬉しかった。
けど、今ならわかる。
お前は…行かないでと泣き叫ぶ気持ちを抑えて不安も寂しさも精一杯我慢して俺の背中を押してくれたんじゃ。
言いたいことを全部飲み込んで。
俺のために。
一人になってがむしゃらに突っ走って必死で走り続けふと気がついた時、心のどこかがぽっかりと空いとることに気がついた。
すぐ傍にあった…いつも隣にあった温もりがない。
なんかしらんが急に寂しくて仕方が無くて心がゆらゆらと揺れた。
篤志に逢いてぇ。
抱きあって温もりを分け合って、ちょっと甘えたような声で俊ちゃんって呼ばれてぇ。
唄う歌は違ってもすぐ傍で笑っていてぇ。
ああ、俺は…あの頃からずっと篤志のことが好きじゃったんか。
お互いを支えあうためだけに傍にいたわけじゃなかったんじゃ。
遅すぎる自覚をした時、元いたぐるーぷは大きな波に乗って俺がいた頃よりも遥か高みに上っていた。
68
:
緋
:2017/10/26(木) 13:57:58 ID:???
「篤志、そろそろ止めな」
「ええーもうちょっと」
「もうだめ」
「うっさんのケチ」
「ケチでいいから。はいおしまい」
離さないと言わんばかりに両手で掴んでいたグラスをするりと抜き取ると、目に見えて篤志が拗ねた。
酔っ払ってるのが一目でわかるほど目がとろんと溶けてるし。
「明日も午後から仕事でしょ。そろそろ帰って寝ないと」
「やだ」
「やだじゃなくて」
「……どうせ眠れないもん」
「篤志」
ぽろりとこぼれた本音。
俊ちゃんがいなくなって喉の手術があって、メンバーが増えて…篤志はちょっと変わった。
責任感が強くなって前よりもしっかりした。
でもお酒の量が増えた。
と言っても喉のことがあったから気をつけてはいるみたいだけど。
そして…眠れなくなった。
「仕方ないなぁ。眠るまで付き合うから帰ろう」
「うっさん」
「ほら」
飲んで酔っ払って眠れないんだと泣きついてきたのはいつだったかな。
一応仕事に差し支えないように睡眠薬を処方してもらったり、眠れる方法を調べては試してるみたいだけど…それでも眠れない日が続いてる時、俺は篤志を飲みに誘う。
酔っ払いを連れて何とかたどり着いた篤志の家。
どれだけ酔っててもちゃんと手を洗ってうがいをして加湿器を稼動させる篤志は偉いと思う。
「うっさぁーん」
「はいはい」
「んー」
子供みたいに呼ぶ篤志の元へ行くとぶちゅっと音を立てて頬にキスをされた。
俺にそんな趣味はないから。
そう思ったのはもうとっくの昔で、酔っ払いにキスされるのにはすっかり慣れた。
嫌がるほうが余計面倒なことになるし。
そのうち口にまでキスを仕掛けてきた篤志の顔を掌で押しのけてベッドに放り込む。
「うっさーん」
「何」
酔っ払いの面倒を見るのはすごく嫌だけど…篤志は弟みたいなもんだし、俊ちゃんがいなくなってからの危うい感じの篤志は放って置けないと思う。
思うけど…正直めんどくさくはあるわけで。
「ハグ」
「あーはいはい」
子供みたいに両手を上げてニコニコ笑う篤志。
これにももうすっかり慣れた。
ベッドの上に乗り上げて篤志の体に手を回す。
酔ってるからか、少し熱い体を抱きしめるとぎゅっとしがみついてきた。
すりすりと頭を擦りつけるのは…まあ可愛くないこともないかな。
けど。
「んぅー」
「あっ、コラ篤志」
首筋にキスを落として服を脱がせようとするのは止めろ。
「むぅ」
「拗ねない。ほら水飲んで寝な」
「えー」
「寝ないなら帰るよ」
「やだ」
「んじゃ、目閉じて」
「はーい」
素直に手を離して持ってきていた水を飲んで横になる。
目を閉じた篤志は眉間に皺を寄せてどことなく苦しそうな顔。
伸ばしてきた手を握ってやると、ほんの少しそれが緩んだ。
しばらくしてすうすうと寝息が聞こえてくる。
「お休み」
そっと手を離して篤志の家を出た。
鍵はちょっと前に貰った合鍵で。
最初は時々だったのに、最近は頻繁になってる。
あー、篤志と俊ちゃんって…やっぱりそうゆうことしてた関係なのかな?
酔った篤志のあの態度が俺とかメンバーにだけならいいけど…他の人にもああなら危ないんじゃないかな。
いやでも、仲間と他では飲み方も違うし大丈夫か。
…大丈夫だよね?
そんな俺の不安は遠からず現実のものになったりする。
69
:
緋
:2017/10/26(木) 14:00:22 ID:???
お返事
>>65
中編になるかもしれないお話?
>>66-68
あまりにも久しぶりすぎて確認したら前回書いたの1年ほど前だった……。
なぜ急にこのあちゅを書きたくなったのかは謎ですがとりあえず何とか時間を作って編集してた長編がうっかり消えてしまったせいかも←
ちなみに「Schwarzer Kater 6 *SA」( ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14554/1429747853/l50)の823-830と920-923が前回のお話です。
実は同じスレの短編707-710がこのお話の未来だったり←珍しく自分でも気に入ってました。
いやー本当に長い間放りっぱなしで申し訳ない(´-ω-`)
とりあえず大体の流れは決まってるのでこっちも続けたいとは思ってます。
そろそろ題をつけたほうがいい気がする。
そして更新自体すっかりご無沙汰してしまってすみませんm(._.)m
すんたんらじおも編集時間がなくて何とかあぷにこぎつけたら音源とすんたんの声がかぶっててブロックされたりして力尽きました(笑)
その部分だけ切り取って再編集する時間がなくて溜まっていく一方。
そのうちまとめてあげられたらいいなぁ。
ぼちぼちと今回のお話も長編も続けていきたいと思います。
現実に追われている間になんだかいろんなことがありましたねー。
王子の突然のアレやあちゅの過去のお話やうさちゃんの話。
でもとりあえずあちゅは楽しそうにすとーりーで遊んでるしすんたんともきちんと連絡とってるようなので安心しています♪
そして1日早いしお話にも出てこないのですが…まき兄ハピバ!
次はまき兄の番かな?
まき兄のあちゅを見るデレたお顔が大好きなので、来年のらいぶ舞台裏映像(そこ?)で見れることを願っています。
久しぶりの書き込みでちょっとドキドキしてる小心者(^-^;
70
:
名無しさん
:2017/10/28(土) 00:43:16 ID:???
ぽんです!緋さまお久しぶりですぅ!!!お元気でしたでしょうか
中編読みました、泣きました。天音久々に読んでいたのでこのお話と重なって涙が(笑やっぱり緋さまのお読み物が好きです。
緋さまのペースでお話楽しみにしてます
71
:
緋
:2018/01/17(水) 11:55:34 ID:???
>>70
ぽん様、ご無沙汰しております〜。
あ、明けましておめでとうございます♪
そして嬉しい感想を下さりありがとうございます!
それなのに2ヶ月以上開くというこの体たらく…。
今回は長編更新でしばらくはこっちを優先させる予定←ですが、中編のほうもなんとか終わらせたいと思います。
このペースだと何年かかることやら(||゚Д゚)
そんな緋ですが、これからもお時間のあるときに時々お付き合いいただけたら嬉しいです。
今年もすんあちゅともどもよろしくお願いします(^^)
72
:
緋
:2018/01/17(水) 11:57:37 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
まきさんからかかってきた電話で急遽時間を作って篤志に逢いに来た。
「俊ちゃん?」
「熱だしたって?」
来る予定じゃなかったからか驚いた篤志の顔色はあんまり良くねえ。
「ちょっとだけ」
「顔色わりーけど」
「……」
額に触れると結構な熱さ。
「すぐ来てやれんですまんな」
「ううん。俺の方こそ、いつまでも迷惑かけてごめん」
「別に迷惑じゃねえけど…あんま心配させんな」
「うん」
「まっちゃんとまきさんから聞いた」
「あ…」
「馬鹿じゃな」
「むぅ」
馬鹿と言った瞬間に膨れる篤志に苦笑する。
こいつは記憶のあったころから自分の価値を良くわかっとらん。
「お前が居ってくれるだけでええんじゃ。別に記憶があろうがなかろうがお前はお前じゃし。こうして話して笑うて、それだけで十分じゃ」
「俊ちゃん」
「じゃけ、居らんようになるな」
もうあんな思いはこりごりじゃ。
人間いつかは別れがくるとはわかっちょるが…それはもっと先でええじゃろ?
「うん。ごめんなさい」
まきさんにも言われたからかしょんぼりして謝る篤志に思わず噴出しかけた。
「ふっ、ええよ。しゃあねえわな。不安なんはあっしじゃし。こっちこそちゃんとわかってやれんですまん」
「俊ちゃんはいてくれるだけでいいの」
「ん」
ふにゃっと笑う篤志は熱のせいでしんどそうではあっても思いつめた感じではねえからほっとする。
73
:
緋
:2018/01/17(水) 11:58:24 ID:???
「なあ」
「?」
「もうちょっとして退院したら…」
「うん」
「……」
「俊ちゃん?」
「わしのとこ来るか?」
「俊ちゃんの、とこ?」
篤志がきょとんとして聞き返した。
そりゃまあそうじゃわな。
「別に事務所移って唄えってわけじゃのうて…。一緒に居ったほうが安心じゃし。あー……俺がな」
これじゃ告白みてーじゃねえか。
内心自分で突っ込みながらもふらふらと彷徨わせちょった視線を篤志に戻す。
「いいの?!嬉しいっ、俺も俊ちゃんと一緒にいたい。けど…」
「まあそんな簡単じゃねえとはわかっとるけど、絶対無理ってわけでもねえじゃろ」
「そうかな?」
「やってみんとわからん。やらんかったら何も変わらんじゃろ。現に俺も一人でやってこれとるし?」
「そうだね。…俺、俊ちゃんといたい。それで、出来ればいつか…俊ちゃんと唄いたい」
「あっし」
記憶をなくしても…唄うのが怖いと思うとっても…お前はまた一緒に唄いたいとそう言ってくれるんじゃな。
「俊ちゃん?」
「あっし、いつか一緒に唄おうな」
「うん。俊ちゃんが嫌じゃなかったら。俺きっと俊ちゃんにみたいに上手じゃないから」
「あほか。嫌なわけねーじゃろ。前からそう約束しとったんじゃ」
「そうなの?」
「おう。じゃけえすげぇ嬉しいわ。お前とまた唄える日が来るんが」
「うん」
ほんまに嬉しそうにニコニコ笑う篤志を見て、思わず泣きそうになって息を止める。
ぐっと歯をかみ締めていたらいつの間にか伸びてきた手がわしの頭をなでた。
堪えちょった涙がするりとこぼれる。
くそっ、かっこ悪いな。
「わりぃ」
「ううん。俊ちゃん可愛いね」
「あほかっ、お前目がおかしいんじゃねえか?」
「えー可愛いのに」
首をかしげけらけらと笑う篤志の頭を軽くはたいて(一応病人じゃし手加減しといた)もう一度額に手を押し当てた。
「さっきよりはましになったか?」
「うん、だいぶラクになった」
「そか。もうしばらくこっちに居れるから、はよう熱下げろ」
「うん。…もーちょっと寝る」
素直に頷いたあっしは口元を緩めたまま目を閉じた。
74
:
緋
:2018/01/17(水) 11:59:19 ID:???
「入るよー」
「うっさん、久しぶりやな」
まきから篤志が熱を出したって聞いて仕事の合間に篤志の見舞いにやってきた…ら、俊ちゃんがいた。
しばらく来れないとか言ってなかった?
「あ、俊ちゃん久しぶり。篤志どう?」
「もう平気」
とりあえず篤志の様子を見たら思ったより顔色も悪くない。
「良かった。あ、プリン買ってきたから食べよう」
持ってきた箱を机に置くと俊ちゃんが軽く噴出す。
「食べてじゃのうて食べようってとこがうっさんらしいな」
「いいじゃん。このプリンおいしいんだから。そんなこというなら俊ちゃんの分は俺と篤志で食っちゃうよ」
「悪かった。食うっ食うから」
「ふふ…俺も食べる」
「うん」
ふにゃりと笑った篤志の答えに食欲もありそうで安心した。
「ほれあっし」
「ありがと」
「一応な」
俺がプリンを箱から出してる間に俊ちゃんは篤志が体を起こすのをかいがいしく手伝ってる。
篤志の表情は俊ちゃんがいるからか安心しきってて…うん、俊ちゃんが来てくれて良かった。
「相変わらず、俊ちゃんがいると篤志が落ち着いてるね」
「…そうかな」
首をかしげながらはにかんだ笑みを見せる篤志。
その頭をなでる俺の横で俊ちゃんが無言で口元を押さえてる。
どうせ「あっしかわええ」とか思ってるんでしょ?
「俊ちゃん…何考えたかまるわかり」
「うっさんも思うじゃろ?」
「まあね」
開き直ったのか言い返す俊ちゃんに…まあうん、俺も思ったから今回は素直に頷いておいた。
さて、それよりプリンプリン。
「はい、篤志」
「ありがと、うっさん」
「俊ちゃんも」
「さんきゅ」
んー美味い。
程よく甘くて優しい味のプリンはまだ少し熱があるだろう篤志も食べやすいのか、嬉しそうに次々と口に運んでる。
…次に来るときもまたここのプリン買ってこようか。
「あっちゃーん」
「あ、まきさん」
プリンを食べ終わってしばらく話をしていたら、からからと扉が開いてテンション高めのまきが入ってきた。
「あ、俊ちゃんにうっさんまで」
「まきさん、電話ありがとな」
「いやいや。あっちゃん熱どう?」
「もう平気、まきさん」
「なあに?」
「あの…この間はごめんなさい」
篤志が言った言葉は俺もまっちゃんもまきから聞いてるからそのことだろうと検討をつけて黙ったまま二人のやり取りを見守る。
「いいのいいの。もう気にしてないし、あっちゃんも気にしない」
「わかった」
目じりを下げてにこにこ(ニヤニヤの方があってるかも)しながら篤志をなでるまき。
気持ちはわかるけど……その顔ちょっと怖いよ。
75
:
緋
:2018/01/17(水) 11:59:58 ID:???
すっかり慣れた病室までの道。
近づくにつれなんか楽しそうな声がかすかに聞こえてくる。
一般の病室から少し離れてるからいいけど…ここ病院だからね?
「入るよー」
「あ、まっちゃん」
「あれ、今日はみんないるんだ」
「うん」
にぎやかだからなんとなくまきとかいるんだろうとは思ってたけど、俊ちゃんもうっさんも揃ってて驚いた。
ちょっとにぎやか過ぎる気もするけど、篤志が楽しそうだからいいか。
「揃うと嬉しいね」「そうじゃな」と顔を合わせてニコニコしている篤志と俊ちゃんにまきもうっさんも、もちろん俺も嬉しくて笑顔になる。
「篤志、調子どう?」
「まっちゃん、心配かけてごめん。もう大丈夫」
「ならよし」
頭をなでるついでに額に手を当てたけど、熱も下がってそう。
顔色も悪くないし良かった。
「なんかほんと久しぶり」
「ここのところばたばたしてたから俺達もほとんど顔合わせてなかったしね」
ああそうかも。
まきもうっさんも別々に仕事があって時々見かけることはあってもこうやってちゃんと顔を合わせるのは久しぶり。
「やっぱりこのメンバーで居ると落ち着くな」
「うん」
穏やかな顔の俊ちゃんにふにゃふにゃ笑ってる篤志。
いろいろあったし、いろいろあるけど…それでも昔と変わらない二人の雰囲気が見られるのが嬉しい。
と思ってたら…横から不穏な空気を感じた。
「あっちゃん」
「?」
あ、まずい。
と思うよりも…まきの行動の方が早かった。
「もう、あっちゃん、かんわいーー!!」
「わっ、ちょ、まきさん?!」
今まで篤志の怪我のことや記憶のことがあったから比較的大人しかったまきだけど、この雰囲気に我慢が出来なくなったんだろう。
がばりと篤志を抱きしめ頬ずりをする(紛うことなき変態だ)まきにわたわたわたっと慌てる篤志。
まき…知らない人が見たら通報するレベルだよ?
「ちょっとまきさんっあっしから離れろや」
「えーいいじゃんっ」
即座に引き剥がす俊ちゃんと不満そうなまき。
俺達にとっては見慣れた光景だけど、記憶をなくした篤志にとってはびっくりすることだったようでちょっと固まってる。
「大丈夫か?あっし」
「びっくり…した」
きょとんとつぶらな目を丸くした篤志は特に嫌がっても怖がってもないようで安心した。
「しばらく大人しかったけど、まきさん普段はこういう人じゃからな」
「そうなの?」
「そうだよ、気をつけたほうがいいよ。まきの篤志可愛いーは突然来るから」
言いながらまた飛びつきそうなまきの襟首を捕まえてるうっさん。
ねえそれ、首絞まってない?
「……」
「あっちゃーん?」
「まきさん、あんまりやると篤志に怖がられるで?」
「それはやだ」
「えっと…俺、まきさんにぎゅうってされるの好きだよ」
そんなやり取りをしてるまきをじっと見つめた篤志はしばらくしてふにゃっと笑って爆弾発言を落とした。
76
:
緋
:2018/01/17(水) 12:00:54 ID:???
「ああああ、あっちゃーん!」
「うわっ」
「あ」
篤志に飛びつくまき。
一瞬の隙をつかれたうっさんがかなり呆れた表情でまきを見てる。
もちろん俊ちゃんは瞬時にまきの体を篤志から引き離した。
「あっし、まきさんに好きとか言うたらダメじゃ」
「…うん」
「ひどい」
「いや、自業自得だし」
真剣に言う俊ちゃんに頷く篤志、それを見て泣き崩れるまき……。
なんていうか、懐かしいな。
「変わんないね」
「?」
思わず漏れた言葉に今度は俊ちゃんに肩を抱かれた篤志が不思議そうに俺を見た。
「篤志、俊ちゃんはいいの?」
「…ん」
まきのことも嫌がってはいなかったけど、俊ちゃんのときとは顔が全然違う。
「俊ちゃん、いいなぁ」
なんて口では羨ましがってるまきも2人を見て笑顔だ。
「そういえばあっし、だいぶ髪伸びたな」
「うんうん。昔のあっちゃんみたいだねぇ」
「そうかなぁ」
「あれ、あっちゃん知ってるの?」
「DV/D見たよ」
「そっかぁ。あの頃のあっちゃんかわいいっしょ?もちろん今も可愛いけどっ」
「いや…自分では全然思わないけど。恥ずかしいからあんまり見てないし」
「わかった。俊ちゃんだけ見てんでしょ」
「……」
「……」
笑いながら言ったうっさんの言葉が図星だったらしく、照れたように頬を染める篤志と、それを見てそっぽを向く俊ちゃん……。
「俊ちゃん耳まで真っ赤!」
「うっさいっ!」
「ぶはっ」
耐え切れずに笑ったらみんなも笑って、ここが病院だってことうっかり忘れてしまった。
77
:
緋
:2018/01/17(水) 12:03:57 ID:???
お返事
>>71
After a st0rm c0mes a calm
>>72-76
前回のお話
>>51-54
久しぶりの長編続き。
まだ付き合ってないハズ……と思うの何度目か。
次回は後2人ほど病室に現れる予定?
更新速度を上げないと終わらない(>_<)
明けました!←
年越してから半月ほどたってますが…
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
ほんとーにのろのろで亀更新にも程がありますが、ちゃんと終わらせたいしあちゅを幸せに(このあとどん底に突き落とすけど)したいので
気が向いたときにチラッとのぞいてもらえたら嬉しいです。
それからすんたん、お誕生日おめでとうございました♪
たとえ苦しくても険しくてもすんたんの思う道を走り続ける姿に自分も頑張らなくてはと思います。
息抜きをしながらそして体に気をつけながら信念を貫いていってください。
すんたん携帯ないけどあちゅと連絡はついたのか…?
からの〜♪様!
お誕生日おめでとうございます☆彡
今年が♪様にとって小さくてもたくさんの幸せが降り注ぐ年になりますように。
ううぅ…今年もなにか捧げようと思っていたのに新しいお話が出来ず、無念です(/_;)
とりあえずほとんど進んでない長編だけでも何とか←本当に進んでない
ああ…黒ちびがいい加減出番をよこせとほっぺぱんぱんに膨らませて涙目で拗ねてる気がする。
78
:
緋
:2018/05/02(水) 20:04:14 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
近づいた病室からにぎやかな声がする。
そっとのぞいてみたらなんだか懐かしくて入れない雰囲気。
どうしようか。
せっかく来たけど邪魔したくないし、帰ろうか。
けど…。
頭の中で思い浮かべたスケジュールはいっぱいいっぱいで今を逃したらこの先しばらくここに来ることは出来なさそうだ。
ほんの少し会話が収まった時を見計らって小さく声をかけてみた。
「あ、あの」
「あ、たかひろ!」
「何やってんの入っておいで」
「い、いいんすか?邪魔じゃ…?」
まきさんが気がついてくれて、まつさんが入れと促してくれる。
「いいよ。久しぶりだね」
「はい、お久しぶりです」
にっこり笑ってくれる篤志さんは以前来たときよりも表情が明るくて、少しふっくらして…なんか安心した。
のはいいんだけど、この状況つっこんでもいいんだろうか?
「……俊さんも」
「おう」
「いや俊ちゃん、たかひろ驚いてるからね?そろそろあっちゃん離そうか」
「ええじゃろ、別に」
「まあいいけどさ。あ、たかひろ、こっち」
にやりと笑って答える俊さんに呆れたような顔をしながらまつさんが俺に椅子を勧めてくれた。
「ありがとうございます」
「たかひろ、ちょっと痩せた?大丈夫?」
「あ、大丈夫です」
「忙しそうだもんね」
「まあちょっと。あ、これ良かったら食べてください」
入院してる篤志さんに心配されるのも変だけど、忙しくて少し体重が減ったのは事実。
原因は忙 しさだけじゃないけれど。
79
:
緋
:2018/05/02(水) 20:05:06 ID:???
「元気そうで安心しました」
「うん。大丈夫、ありがと」
篤志さんと話し始めると今まで篤志さんの肩を抱くようにベッドに座っていた俊さんが離れる。
以前から仲が良いとは思ってましたけど、そんなべたべたしてましたっけ?
なんて思いながら篤志さんをまじまじと見つめてしまった。
「たかひろ?」
「篤志さん髪伸びましたね、その長さ生で見たの初めてです」
映像では見たことあったけど。
「変?」
「いいえっ、似合ってます」
本当に。
坊主の時はいかつい感じだったけど…今はなんか、可愛く見える。
なんて口に出したら俊さんに殴られそうだから言えない…。
「それならいいけど」
「病院で毎日剃るわけにもいかんしな」
「剃るって剃髪してるんじゃないんだから!」
「ふはっ」
「って言っても記憶ないから今まであんまり気にしてなかったんだけどね」
「俺らもついさっき初めてその話題になったしね」
「ね」
ニコニコ話すまきさんやまつさん、後ろでこっそり俺が持ってきた見舞いの箱を開けてつまみ食いしてるうささん。
それから篤志さんの髪をぐしゃぐしゃにして笑ってる俊さんと、やめてよぉと言いながら笑ってる篤志さん。
なんだろう雰囲気が違う。
篤志さんの記憶が戻ったわけじゃないのに、昔と同じ空気がある。
「たかひろ?」
「いや、なんとなく…雰囲気が」
「あー、だいぶ落ち着いたからの。みんな揃っとるし」
「いつまでも暗くっても仕方ないしねぇ。昔から俺達はこんなもん」
「はい」
まきさんがそう言いながら篤志さんにちょっかいを出して俊さんにチョークスリーパー決められて。
ああ、なんかすげぇ、いいなぁ。
羨ましい。
「たかひろ、良かったら無理しない程度にまた来てくれると嬉しいな」
「っはい」
じゃれてるまきさん達を放ったまま篤志さんが俺に言葉をかけてくれた。
この中に俺も入っていいんだ。
そう思ったら、目頭がじんわり熱くなった。
80
:
緋
:2018/05/02(水) 20:06:09 ID:???
「たかひろ、泣くなー」
「たかひろ頑張ってるからね、いろいろ」
まつさんとうささんの声で余計泣いちゃいそうだけど、ぐっとこらえる。
「今度、時間があえば気分転換にでも飲みにいこうや」
「ぜひっ!」
俊さんからのお誘い!
すっげぇ嬉しい。
「すっげー笑顔」
「……」
「あっし?」
あー…篤志さん、もしかしてヤキモチっすか?
そんな牽制しなくても俊さんの一番は篤志さんですって。
俊さんの後ろからぎゅっと抱き着いてじーっとこっちを見る篤志さん。
行動が子供みたいで可愛いんですけど。
「とりませんよ。俺の一番は篤志さんですし」
俊さんの声にも歌にもあこがれているけど。
「やらんで?」
「……俺の立場って」
何で俺がどっちもからヤキモチやかれなきゃいけないんですか。
「俺、かわいそうじゃないっすか?」
「まあまあ、これが篤志と俊ちゃんだし」
「はあ…そうですね」
「そこで納得すんのおかしくない?」
「気にすんな」
「ん」
俊さんに頭をなでられて不満そうだった篤志さんが素直に頷いてる。
ほんと、可愛いんですけど、この人。
「あっちゃん、かんわい〜」
にこにこってよりにやにやするまきさん。
まきさんと一緒ってのもなんだかなって思うけど…。
「ほんと、かわいいっすね」
「だしょ?これこそ篤志って感じ。ここ数年は大人になったってのもあるけど、無理もしてたからねー」
「俺らには今の篤志のほうが篤志って感じだから」
「…?」
今見てる篤志さんはきっと俺の知らない頃の、俊さんがいた頃の…あこがれていた頃の篤志さんなんだと思う。
みんながうんうんと納得してる中、一人わけがわからない篤志さんが首をかしげてる。
落ち着いた感じの篤志さんもめっちゃ色気があって好きだったけど……可愛い篤志さんも…いいっ。
まきさんがあっちゃん可愛いーとじたばたしてる横で思わずぐっと拳を握ってたらまつさんとうささんに爆笑された。
「まきとたかひろが壊れるのも久々に見たわ」
「……たかひろもまきさん属性なんか」
まきさん属性ってなんなんすか。
81
:
緋
:2018/05/02(水) 20:07:27 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
>>78-80
前の話を遡って確認する暇が無いままリメイクしたので、うっかりミスがありそう…。
思ったより王子の出番が多くなりました。
王子視点は初ではなかろうか。
話し方がわからず誰これ?なのはいつものこととして開き直ることにします。
あちゅのたんぞーびも出現できずあちゅが喜んでるのを見ながら可愛いなぁとにまにましておりました。
あちゅ、おめでとう♪
でっかくなって(いろんな意味で)帰ってきたあちゅに安心しています。
これからもいろんなこといっぱいあると思うけどあちゅの歌を聴き続けられますように。
82
:
緋
:2018/05/10(木) 13:50:18 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
「あっしー行くぞ」
「うん」
「ほれ」
差し出してくれた俊ちゃんの手に掴まってベッドを降りる。
リハビリもほとんど終了して、まだ少し足は引きずっちゃうけどもう1人で歩けるのに。
でも…嬉しいからいいや。
俺の手を引いた俊ちゃんは病室を出る時にちょっときょろきょろと辺りを確認してから歩き出した。
病院周りにいた記者の人たちももうほとんどいないから大丈夫だと思うけど念のためだって。
「いい天気だねー」
「じゃな」
ゆっくり歩いて屋上へ到着。
気持ちいい風と青い空。
俊ちゃんに連れられて屋上に置かれたベンチに座った。
「疲れたか?」
「ううん。そんなに気にしなくても大丈夫だし」
「まだ時々熱だすじゃろうが」
「もう平気だって」
「まあそろそろ退院じゃしな」
「うん」
退院かぁ。
記憶を無くしてから俺が知ってるのはこの病院の中だけ。
だから退院するって言われても嬉しいより不安の方が大きい。
「家に戻ってお前1人にするのも不安じゃし、しばらくうちに来ちょけばええよ」
「俊ちゃんのとこに?」
「わしも仕事があるけぇずっと一緒に居れるわけじゃねえけど、覚えてねえ自分の家に1人よりはええじゃろ」
「うん」
「ついでにうちの子の面倒頼むわ」
「あ、わんこたち?」
「おう」
俊ちゃんから時々話しを聞いたり写真を見せてもらったことがある。
「でっけぇ犬じゃねえから怖くねえと思うけど」
「うん大丈夫。会えるの楽しみ!」
退院しても俊ちゃんがいてくれるんだって思ったら不安なんてどっかいっちゃった。
人や仕事の記憶を無くしても生活に関してはほぼ覚えてるからすごく迷惑かけることも多分無いと思う。
本当はあの人のことや仕事のこと、ちゃんと向き合わなくちゃいけない時が来るってわかってるけどもうちょっと先でもいいかな?
もう少しだけ…このままでいたい。
「あっし」
「んー」
「病室戻るか。眠くなってきたんじゃろ?」
「や」
ぼんやり考えてたら暖かい日差しについうとうとしてきちゃった。
でもせっかく俊ちゃんとここまで来たし、屋上気持ちいいし…まだ戻りたくない。
「や、じゃねえ。ここで寝たら風邪引くぞ?退院延びるで?」
「うー」
「子供みてーじゃな。ほれ」
もう少しー。
ってぐずぐずしてたら俊ちゃんに笑われた。
大きなあくびをひとつして、ほれって手を出してくれた俊ちゃんの手に自分の手を重ねる。
そして俊ちゃんとゆっくり戻ってきた病室の前で大きな影を見つけた。
83
:
緋
:2018/05/10(木) 13:51:05 ID:???
「あ…」
まだ階段下りるのは辛そうじゃな。
そう思いながらゆっくり戻ってきた病室の前。
でっけぇやつがうろうろしとるのを見つけた。
知らん人が見たら完全に不審者やぞ、おい。
「あきら」
「あ!」
声をかけるとぴたっと動きがとまる。
ついでに俺の横におった篤志が少しだけ俺の影に隠れた。
「あっし」
「俊ちゃん」
「もう平気じゃろ?」
以前あきらが来た時はまだ知らん人らに怯えちょってまともに会うことも出来んかったけど、今なら大丈夫やろ。
「…うん」
「あ、あの…」
「とりあえずあきらは落ち着いてそこに座っちょれ」
「はい」
病室に入って篤志をベッドに連れて行き、あきらは椅子に座らせる。
「あっし、茶飲め」
「ん」
「しんどくねえか?」
「大丈夫。ありがと」
「おう」
お茶を飲んで一息ついたあっしの頭をなでると後ろから視線を感じた。
篤志も同じらしく困ったように見上げてくる。
「そんなに見られたら穴が開きよるわ」
「あ!すみませんっ」
「っ」
「あほ、お前声でかい」
「…すみません」
びくっと体を震わせたあっしに気がついて注意するとでっけぇ体を縮こめて謝るあきら。
「ふふ」
「あ」
犬みてーにしゅんとした姿が面白かったのか、篤志がくすくすと笑う。
それを見たあきらは目を見張って驚いちょる。
「あきら、言いたいことあるんじゃろ?」
「はい。篤志君、この間は驚かせてすみませんでした」
「あ、ううん。俺の方こそごめん」
「いえ、俺が悪いんで」
「そんなこと……んー、じゃあお互い様だから謝るのなし。ね」
「…はい」
突然あきらが目を潤ませて鼻をすする。
「え?俺、なんか変なこと言った?!」
慌てるあっしが不安そうに俺を見上げてくるが、お前は何も悪くねえで。
「気にせんでも大丈夫じゃ。あっしのせいじゃねえから」
「はい。篤志君のせいじゃなくて…なんか、安心したら泣けてきて。すみません」
「ならいいけど」
「篤志君が元気そうで良かったっす」
「えっと、あきらはちょっと元気なさそう、だけど、大丈夫?」
「…はい」
「忙しいんじゃろ?」
個人活動もいろいろやっとるみてーじゃし。
「そっか大変だね」
「はい」
篤志がすぐ傍に座っているあきらに手を伸ばし、ぽんぽんと頭を軽く叩く。
84
:
緋
:2018/05/10(木) 13:51:46 ID:???
「体壊さないように気をつけてね」
「っ、はい」
「お前さっきからはいしか言うちょらんで」
「俺…」
「何?」
「踊りたいっす。なんにも考えずに篤志君の歌で」
ああ、こいつもまきさん達と似たようなこと言うんやな。
「ええんじゃねえか」
「俊ちゃん?」
「退院したらどっか小さなスタジオ借りてあっしが唄うのにあわせて踊ればええじゃろ」
「俊ちゃん、俺、前みたいには唄えないよ?」
「前がどうとかは関係ねえよ。あっしの声で踊りたいんじゃから」
「はい。俺篤志君の声が好きだから…」
「そっか。そうだね。今の俺で良かったらいいよ。あ、でも少しだけ時間頂戴ね。人に聞かせられる程度には練習したい」
「はい!いつまででも待ちますっ」
そこで練習したいっちゅうのがあっしらしいな。
今でも十分じゃと思うけど、自分が納得いかんのじゃろ。
その気持ちはよくわかる。
「そん時はまきさんとかまっちゃんとか、うっさんにも声かけんと怒られるな」
「そうだね」
あの人らも踊りたいって言うちょったし。
「ぜひ!」
「あ、どうせなら俊ちゃんも一緒に唄おうよ」
「ええの。じゃあたかひろにも声かけちゃるか」
泣いて喜ぶんじゃねえか?あいつ。
「それいいっすね。楽しみだなぁ」
「喜んでもらえるなら頑張るね」
「はい」
「あきら、よかったの」
「俊君、ありがとうございます!」
「俺は別になんもしとらんし」
突然立ち上がって頭を下げるあきらに思わず笑っちまう。
けど…俺もその日が来るのが楽しみじゃ。
「あ、時間やべっ。すみません、今日は失礼します。あ、また来てもいいっすか?」
「いいよ。気をつけてね」
「はいっ」
返事をしたかと思ったらすぐさま出て行くあきら。
「慌しいやつじゃな」
「そうだね」
笑うあっしに不安そうな色は見えん。
「もう平気みたいじゃな」
「うん。怖くなかった。俊ちゃんありがとう」
「なにがじゃ?」
「俊ちゃんがいてくれるから怖くなかった。俺1人だったら今でもきっと誰とも話が出来てなかったと思う」
「俺が居ることでお前の役に立っとんならええわ」
記憶を無くした時も大変なリハビリの時も今も…俺はただ傍に居ってやることしかできんからな。
「俊ちゃんいてくれないと困る」
「ん」
俺もお前が居らんと…ダメじゃ。
85
:
緋
:2018/05/10(木) 13:52:41 ID:???
After a st0rm c0mes a calm
>>82-84
次回からまた不穏な空気が…。
退院で半分ぐらいかな?
終わる気がしない(笑)
86
:
緋
:2018/05/16(水) 13:59:45 ID:???
短編
「…はああぁ?なんじゃこれ!」
今日は昼からの仕事じゃから、昨夜はあっしと一緒にうちで飲んだ。
数年前からそーいう関係なわしらは酔った勢い(だけじゃねえけど)で、がっつりともつれあっちょったはずなんじゃけど…。
「誰じゃこいつ!つうか、あっしは?!」
広めのベッドには一緒に眠っとったはずのあっしの姿はなく、代わりに布団から覗いている小さな子供の頭。
「おい!」
どこから入ったんじゃこいつ。
「…んぅう〜」
ごそごそと子供が身動きしてむっくり起き上がった。
パチッと目を開けて俺を見たガキの第一声は…
「おあよー、しゅんちゃん」
「…は?」
声は高いし姿形は違うにも程があるが、面影がねえわけじゃねえ…し、昔見せてもらった写真と瓜二つじゃ。
ちゅうことは…。
「お前あっしか?」
「あたりまえじゃん。なにいってんの、しゅんちゃん」
不思議そうな目で見る篤志(推定)の言葉はあっしらしいが、声としゃべり方は子供のもので…こりゃ夢か?わしゃまだ寝とんのか?
「しゅんちゃん?…んん?」
あっし(推定)は自分でも何かおかしいと気がついたんか、首をかしげると自分を見下ろす。
起こした体は昨夜抱き合ってシャワーを浴びた後にそのまま寝たせいで何も着ちょらんから…子供体系がはっきりわかる。
「へ?」
ぴたりと止まった後、声を上げた推定あっし(もうあっしで決定じゃろな)は今度は自分の掌を見てそれからわしを見上げた。
混乱して不安そうで泣きそうな顔をして。
「しゅんちゃ…おれ、こどもになっちゃった」
「やっぱりあっしか」
「えええっ、なんで、どして?!どーしよう!?」
わたわたと声を上げ、みるみるうちに潤んでいく瞳。
「ちょ、あっし」
「ふ…わーん!」
子供に戻っちょるからか、すぐ泣きはじめた(子供じゃのうてもすぐ泣くが)あっし。
その泣き方も子供らしいもので、とりあえずは泣きやまんとどうしようもねえから小さな体を抱き上げてみた。
87
:
緋
:2018/05/16(水) 14:01:00 ID:???
「あっし、泣くな」
「だって…ぅう、しゅんちゃ、おれ…ひくっ」
「原因は思いつかんか?」
「わっかんねーよ…ふぇ…きのーえっちしてねておきたらこーなってたもん」
子供の口からエッチと言われるとなんか悪いことした気分じゃ。
あっしは子供じゃねえけど。
「なんか変なもん食ったり飲んだりした記憶もねえしな」
「どーしよしゅんちゃ…おれ、ずっとこのまんまだったら…」
「わしだってどうしたらええかわからんわ」
とりあえず誰かに相談……。
「やべっ!」
仕事!
「風邪で休みって…わけにもいかんか」
今日はそれで良くても明日からの仕事がどうなるかわからんし。
それにこいつ1人で置いて行くんも心配じゃ。
ぎゅうっとしがみついて(爪立てんな、いてーから!)まだえぐえぐと泣いちょるあっしを抱いたままベッドを降りる。
わしはええけど…ガキの服なんか置いちょらんし…どうすっか。
「子供服は後で何とかするとして…とりあえずこれでええか」
「しゅんちゃん、ぶかぶかー」
「仕方ねえじゃろ。諦めろ」
「うぅ」
一番小さいシャツを選んで着せ…行く途中コンビニでパンツぐらい買えるじゃろ、多分…自分の着替えを済ませて更にジャケットであっしを包んで抱き
上げた。
「今日が打ち合わせで助かったわ」
「しゅんちゃん、しーとべるとできない」
「そりゃ無理じゃろ、転がらんように気をつけちょけよ」
「うん」
多分3歳かそこらぐらいか?
さすがにチャイルドシートなんてねえから、警察が居らんことを祈りつつ安全運転で事務所に向かった。
あ、ちゃんとコンビニには寄ったで。
88
:
緋
:2018/05/16(水) 14:01:30 ID:???
スタッフに会わんようにこっそりあっしを抱いて入ると、すでにみんな揃っとった。
まあ時間ぎりぎりじゃしな。
「はよーっす」
「おはよう」
「はよ、って、俊ちゃん誰その子!?」
「もしかして隠し子?」
びっくりしたようなまっちゃんに、なぜかにやにやと近づいてくるまきさん。
隠し子なわけねえじゃろう。
「違うっちゅうの」
「ええ、だって、急に小さな子連れてくるからさ」
とりあえず存在を隠すために顔まで上げていたジャケットをはずすと、あっしは震えならがしがみついてくる。
まあ、どう思うかって考えたらこえーわな。
「俊ちゃん、なんでそんな格好させてんの、趣味?」
「なわけあるか!子供の服が無くて仕方なかったんじゃ」
「…拾ったの?」
「まだそのほうがましな気がするわ」
それなら警察に預けるとか出来るし。
「ねえ、もしかして篤志?」
「は?」
「え?」
「いきなり何言ってんのうっさん」
うっさんが突然言い出した言葉にひろさんはじめみんなが声を上げた。
なんでわかったんじゃうっさん…勘か?もしかして霊感的ななんかか?!
「うっさん」
わかってくれたのが嬉しいんか、あっしが顔を上げて目をうるうるさせてうっさんを呼ぶ。
それを見たみんなが更に混乱した。
「え?え?まじであっちゃん?!いやでもちょっと待って」
「篤志?……の親戚とかじゃない、よね?」
「………可愛いな」
は?ちょっとひろさん、その感想おかしくねえか?!
ま、まあええわ、とりあえず経緯を話すか。
理由はわからんけど起きたらあっしがこうなっちょったとみんなに説明した。
「本当に篤志なんだ」
「そーだよまっちゃん」
「面影はあるよね、ちゃんと」
「だってほんにんだし!」
「腹へってねえか?ジュースかなんか飲むか?」
「じゅーすのむ!」
「……ひろさん」
なあ…もうちょっとこう、真剣に悩んだりせんのか?
完全に親戚の叔父さんと化しとる気がするんじゃけど。
むしろまきさんの方を警戒しちょったわ。
そのまきさんは結構まじめにまっちゃんと今後どうするかって話をしちょる。
うっさんは相変わらず我関せずじゃねえけど、ニコニコ見とるだけじゃ。
「とりあえず、このままじゃかわいそうだから俺が適当に服見繕ってくるね」
「ありがと、まっちゃん」
まっちゃんなら任せても大丈夫じゃろうな。
さっさと出て行くのを見送ってまきさんと話を続けた。
89
:
緋
:2018/05/16(水) 14:02:16 ID:???
「仕事をどうするかだけど」
「ん」
「ひとまず様子見かな。戻らないことにはどうしようもないし、しばらくは次のアルバムの曲作りとかだから子供の篤志でもなんとかなるっしょ」
「そうじゃな」
まきさんの言葉にあっしを見ると、ひろさんが買ってきたジュースを嬉しそうに飲んじょる。
「しゅんちゃん?」
「なんでもねえよ」
幼児化したせいか思考も子供っぽいと思わんでもねえけど、記憶が無いわけでもないし仕事も何とかなるじゃろう。
「家に1人で置いとけないからしばらく俊ちゃん篤志のこと頼むね」
「おう」
「なんかあったら手伝うから連絡して」
「頼む」
「篤志、こっちおいで」
「んぅ?」
大雑把やけど(いつ戻るかわからんからどうしようもない)先の予定を決め終わったと思ったらひろさんが腕を広げてあっしを誘っちょる。
「ひろさん…」
あんた社長じゃろ?
一番予定を考えんといけん人じゃねえんか。
普段やったら絶対いろいろ考えて意見出しとるのに…。
「軽いなぁ篤志」
「だっていまおれこどもだもん」
「そうか」
見てられんぐらいデレデレなんじゃけど。
「なんならうちに来てもいいぞ」
「しゅんちゃんがいい!」
「…そうか」
「ぶはっ」
「くっ…」
「あはははっ」
落ち込んだひろさんを見て俺らが思わず笑ったのは仕方ねえよな?
90
:
緋
:2018/05/16(水) 14:03:28 ID:???
寝て起きたら子供になってた。って、おかしいでしょ!?
わけがわからないまま俊ちゃんに連れられて事務所に行って、よくわかんないまま、まっちゃんが買ってくれた服を着て俊ちゃんの家に戻ってきた。
俊ちゃんに抱っこされての移動はあんまり身長が変わらないはずなのに新鮮で面白い。
車の助手席では、体が小さいから見えるのは空と車の中だけだったけど、俊ちゃんのシフトチェンジの手の動きとか、
ペダルを踏む足とかハンドルを操る姿とかがいつもより近くて…かっこいいなぁって思った。
仕事が出来ないのは困るけど…子供の視線も面白くていいかもなんて思ってたんだけど、そう思ったのを俺はすぐに後悔した。
だって。
「しゅんちゃん、といれ」
「ん」
子供(っていうより幼児)の身長では扉を開けるのも一苦労。
とりあえずトイレは1人で出来たから良かったけど…丸っこい手はパンツをはくのも時間がかかる。
ボタンなんてもっと大変だし。
「あっし、風呂入るで」
「うん」
お風呂は…まあ前から一緒に入ることはあったけど、体洗うのも頭洗うのもやってもらわなくちゃ無理だし何より浴槽に入るのに抱き上げてもらわない
とダメだった。
子供になった俺は俊ちゃんにいっぱい迷惑かけてる。
自分で自分のことが出来ない。それがすごく悔しい。
「こうやってるのはすきなんだけどなぁ」
「あっし?」
「なんでもない」
お風呂の中で俊ちゃんの上に乗ってぴったりしがみつく。
いつもはほんの少し俺の方が大きいからくっ付いても抱き合ってるって感じだったけど、今は小さいからすっぽり抱きしめられてて女の子とか子供(っ
て今は子供か)になった気分。
守ってもらってるのが嬉しいようなくすぐったいような。
俊ちゃんは俺の想像以上に面倒見が良かった。
俺が子供になってから数日。
トイレもお風呂も手伝ってくれて、ご飯もちゃんと食べやすいものを用意してくれて。
寝る時だって子供の体のせいか寂しくて1人じゃ寝られない俺のために一緒に布団に入ってくれて…。
大事にされてるってすごく嬉しかった。
けど。
「おれ、いつもどるかなぁ」
「あっし」
「もどれ、るの、かなぁ」
「戻れるじゃろ」
「だって……」
俊ちゃんにもみんなにも迷惑しかかけてない。
もしずっとこのままなら…俺はどうすればいいんだろう。
不安で仕方なくて、勝手に涙が零れ落ちる。
「うぅ…」
「あっし」
「うわーん」
最初に子供になったとわかった時と同じぐらい、いっぱいいっぱい泣いた。
91
:
緋
:2018/05/16(水) 14:04:13 ID:???
ぼろぼろと涙をこぼしながらしがみついて泣くあっし。
そりゃ不安にもなるわな。
わしらでも、この先どうしたらええんじゃろう。いつ戻るんじゃろう。
そう不安になるのに、本人ならなおさらじゃ。
しかも1人では生活できんわけじゃし。
「あっし、大丈夫じゃ。お前が元に戻ろうがこのままじゃろうがずっと傍におる」
少しずつ涙がおさまってきた小さな顔を手で覆って真っ赤な目を覗きこんで言い聞かせる。
このままずっと子供の姿だったとしてもお前をちゃんと愛しとるから大丈夫じゃ。
口には出さんけどそう考えてその小さな可愛い唇をそっとふさいだ。
「…ん?」
「あ!」
膝に乗せたあっしの体が急に重くなる。
目の前にある顔が幼い子供の顔から見慣れた大人の顔になっていく。
何が起こったんかわからんままに…気がついたらいつものあっしがおった。
「戻った!戻ったよ俊ちゃんっ」
嬉しそうに笑ってぎゅうぎゅうと抱きつくあっし。
ああ、良かった。
戻ったんじゃな。
これでまた一緒に唄える。
一緒に歩ける。
これで……。
「ちょ、俊ちゃん?!」
あっしを抱ける。
「んっ、ちょっと、やっ」
「あっし…」
「やだぁっ、あんっ、あっ、俊ちゃ…」
幼児でかわええあっしもええけど…やっぱ、こっちの方がええな。
「あああっ、も、イクっ」
衝動のままあっしを押し倒しその場で思う存分貪った。
「俊ちゃんのばかぁ!」
気を失うまで喰らいつくした翌朝、ぷりぷり怒るあっし。
「なあ、あっし。お前はもう子供じゃねえけど…このまま一緒に住まんか?」
そう提案するとぱっと顔を真っ赤に染めて嬉しそうに飛びついてきた。
そんなあっしにまたムラムラして押し倒したわしは悪くねえじゃろ?
今度は篤志の様子を見に来たひろさんに「いちゃいちゃしてねえで戻ったなら戻ったとすぐに連絡しろ!」と怒られながら…これで毎日デキルなとわし
はひとりほくそ笑んでいた。
92
:
緋
:2018/05/16(水) 14:05:25 ID:???
短編
>>86-91
定番中の定番?
子供になったあちゅでした。
似たような話を書いたっけ?と思いつつ気が向くままに書き散らしたもの。
書いててまき兄が変態に走らなかったことにびっくり←
その分パパがちょっとおかしな方向に走りました(笑)
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:
名無しさん
:2018/08/29(水) 23:21:06 ID:???
緋様、皆様 お久しぶりでございます。
1号でございます。
久しぶり過ぎて、どうやったらsageたままで書き込めるのか忘れていまして、
なんとなくこうかしら??っていう感じで一度書き込みさせていただきます。
もし上がってしまったらごめんなさい。
勝手にいってきまーす宣言をして以来、ご心配をおかけしたままで今まできてしまいました。
本当にすみません。
いろいろなことがありましたが、1号元気でやっております。
今回は声を大にして言いたいことが二つありまして、おじゃまいたしました。
ではひとつめ・・・・・・
ひろパパーーー!髪の毛切りやがったな。ただのおじさんになりやがった!ちくしょーーー(涙)
ふたつめ・・・・・・・
サマソ、初参戦してきます!イヤッッホォォォオオォオウ!♪
もひとつおまけ・・・・
スナちゃん人形、get!フフフかわゆいやつめ♪
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