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Schwarzer Kater 6 *SA
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「Schwarzer Kater 5」の続きです。
SAオンリーほぼ初期メンバーのみ。
そしてリアルよりパラレルが多くAさん猫可愛がりなお話達。
とうとう6になりました。
流石に更新頻度が落ちてきましたが、あの頃の6人の雰囲気が残ったお話をまったり続けていきたいと思います。
今スレもどうかよろしくお願いします☆彡
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Feuerwerk
甘いとはわかってるけどなるべく傷つけないように抵抗する相手を捕まえた。
横にいて見守ってくれてるひろさんとけんちの視線が心配そうで、大丈夫なのにと思いながらも心配してくれるのが嬉しい。
結局後で大丈夫じゃなかったって思い知るんだけど…。
そして戦いが終わってから城への帰り道。
俺はひろさんと相談して街を歩くことに決めていた。
まだまだ頼りないとわかってるけどそれでも…俺が水の国の王だから。
少しでもみんなに信用してもらえるように。
驚いている目、不安そうに見る目、冷たい目、たくさん向けられたいろんな視線に怖くなる。
でも俯かずに顔を上げてしっかりと歩いた。
「王様」
「篤志様」
城に近づくに連れて少しずつ声が聞こえはじめる。
名前を呼んでくれるのが嬉しい。
ほんの少しだけど笑顔にもなれた。
ちゃんと笑えてるかどうか自分ではわからないけど。
そして…城の手前で集まった人たちの中の1人と目が合った。
りゅーじだ。
思わず手をぎゅっと握る。
俺が王だって知ったんだよ、ね。
すごい驚いた顔してる。
ドキドキしながら少しの間俺達は目を合わせてた。
それは…りゅーじがふいっと視線をはずし、背中を向けて走り出したことで終わる。
……やっぱり、隠してたこと怒ったかな。
それとも王になんて近づきたくないかな。
ぎゅっと心臓が掴まれたみたいに縮こまった。
「篤志」
「…っ」
そんな俺の背中に大きな手が添えられる。
ひろさん…。
大丈夫。
俺には守人のみんながいる。
それに頼りなくても水の国の王なんだから、きちんとしなくちゃ。
顔を上げ真っ直ぐ前をむいて…そして、俺達は無事に城へと戻っていった。
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「篤志は部屋で休んでろ」
「うん」
いろいろと後片付けがあるらしいひろさん達に言われて、俺は素直に部屋に戻った。
そして一息ついたとたんに震えだした体。
なんで…今更…。
吐き気までしてきた…。
反乱を企んでたとはいえ人を傷つけるかもしれない。
みんなが傷つくかもしれない。
それは俺にとって自分が傷つくよりも怖いことだった。
それでもやらなくちゃいけなかった。
傷を負わさずに、誰も傷つかずに終わったけど…俺が捕まえたあの人達は処刑を免れないだろう。
赦したとしてもまた同じことの繰り返しだから。
そんなことよくわかってる。
わかってるけど、心はついていかなかった。
ひろさん達はこれを心配してたの、かな。
そして、最後に見たりゅーじの目。
何を思っていたのかわからないけど…少なくとも嬉しそうじゃなかった。
この前会った時みたいに楽しそうに輝くことはなかった。
なんとも言えないぐるぐるした気持ちが湧きあがって、さらに吐き気が高まってくる。
我慢できなくてずるずると体を引き摺って廊下へと出た。
「けほっうぇ…」
全部吐き出してしまいたかった。
吐いたからって、気持ちがラクになるわけじゃないのに。
……俊ちゃんに、会いたいなぁ。
何でかわからないけど、ふと火の国の王である俊ちゃんが思い浮かぶ。
笑った顔、ちょっと不機嫌そうな顔、それから照れた顔。
俊ちゃんと眠ると夜が怖くないんだ。
傍にいるだけで何だか暖かいんだ。
「げほっ…」
「篤志君?!」
あきら?
「ちょ、大丈夫?!」
「ん…ごめ」
ばたばたと走り寄ってきて俺の体を支え背中を摩ってくれるあきら。
そのおかげか少しずつ吐き気は治まっていく。
「横になってて、けんち呼んでくるから」
「…ん」
ひょいと抱き上げられ手早く敷かれた布団に下ろされた俺。
じわじわと視界が暗くなって…走っていくあきらを見ながら意識を手放した。
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あれから俺は熱を出して寝込んでしまった。
様子を見てくれるけんちに部屋をうろうろしてあきらに怒られるしょうきち、水や果物を絞って飲ませてくれるけいじ君や
濡らしたタオルをこまめに変えてくれるなおき。
そして…忙しい仕事の合間に心配そうに顔を出してくれるひろさん。
そんなみんなの気配を感じながら俺は怖い夢を見て魘されては起き、熱で体力を奪われているせいでまたうとうと眠るを繰り返していた。
「……っし」
…?
誰かが、呼んでる。
ゆっくりと浮き上がる意識。
右手がなんだかあったかい。
「あっし」
「あれ………しゅ、ちゃん?」
なんでいるの?
体を起こそうとすると弱い力で肩を抑えられる。
「寝とけ」
「なんで」
「てつやからお前が倒れたって聞いた」
「えと…あ、うん」
そういえば火の国から来てくれてたね。
自分のことばかりで…お礼すら言えてないや。
「まだ熱たけーな」
「平気。あの…」
「?」
「今回のこと、いろいろ迷惑…かけてごめん。あと、ありがとう」
「あほ」
「……ダメだった?」
俺何か間違ってる?
「あれには火の国のヤツだって参加してた。お前が謝ることじゃねえ」
「…ん」
「余計なこと考えんとしっかり休め」
「俊ちゃ…」
「なんじゃ」
「すぐ、帰っちゃ、う?」
よね?
だって火の国の王だし。
いくら実際の仕事はまっちゃん達がやってくれてるとはいえ、忙しいはず。
「しばらく居る」
「ほんと?」
「まっちゃんもええって言うとった」
嬉しいって思ってたらふと気がついた。
右手が暖かかったの、俊ちゃんが握ってくれてたからだ。
「ああ、わりぃ」
「このままが、いい」
「ん」
俺の視線に気がついたのか俊ちゃんが離そうとする手を出来るだけ強く握る。
…熱でほとんど力入らなかったけど。
「魘されたら起こしてやるから、なんも考えずに寝ろ」
「…うん」
本当はいろいろ話したい。
りゅーじのことだって俊ちゃんに聞いて欲しい。
でも…何だか眠くなってきた。
熱とは違うぽかぽかと温かくなる気持ち。
今は寝よう。
それで起きたら、俊ちゃんといっぱいいっぱい話をするんだ。
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お返事 >>590
Feuerwerk >>591-593
全然出てくる予定じゃなかったのに勝手にすんたん登場w
この後もしばらく出て来ないせいか、我慢できなかったらしい←
うーん、最近前にもまして纏まらない話になってるなぁ。
いんすたすんたん、確かに犬w
あの体勢での自撮り結構ありますよねー。
あんな体勢であちゅも自撮りしてほしいとこですが…多分あまりのかわゆさにすんたんから禁止令が出ると思いますので脳内妄想でとどめときたいと思います←
寝不足気味のようですが今日もまたいいらいぶになりますように☆彡
今日はあちゅに携帯越しに子守唄を唄ってもらえばいいよ←
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Feuerwerk
「あきら様」
「何?」
後始末もほぼ終わり念のため増やした城内の見回り。
それをこなしていた俺にかけられた声は城の門を守る兵士の1人だった。
「あの……篤志様に面会したいと申してる者が…」
「今は無理。名前は名乗った?」
篤志君はあれからまだ熱が下がらないままだ。
まあ普通なら熱があるなし関係なく王である篤志君への面会なんて気軽に出来ないはずなんだけどね。
「はい。りゅーじと。最初はダメだと言ったんですが、篤志様がダメならあきら様に取り次いでくれと言うものですから」
「……」
すごい聞き覚えのある名前に兵の方を振り返った。
「お知り合い、ですか?」
「あー、それって篤志君ぐらいの子?」
「はい。子供でしたが…」
「とりあえず、俺が行く」
「はい」
ここから門まで結構距離がある。
…メンドクサイな。
力使っちゃえ。
ひょいと飛んだ先は…門の前、そして以前会ったりゅーじの目の前だった。
「っ!」
「あーごめんごめん」
びくぅと後ずさり俺を見るりゅーじに軽く謝る。
あー…普通の人はいきなり目の前に現れたりしないからね。
「あ…あの、あきら……さま?」
「様なんてつけなくていいよ。それよりどうしたのこんなとこまで」
篤志君が王だってことがわかったから自然と一緒にいた俺が誰なのか何となく想像がついたんだろう。
でも様ってつけられんの好きじゃないんだよね。
「…あの、篤志君に…会いたいんです」
「そのためにここに来たってことは篤志君が王だってわかってるんだよね」
「うん」
そうかなとは思ってたけど、びっくりした。
あわよくばおこぼれに預かろうと思って擦り寄ってくるヤツはたくさんいるだろうけどりゅーじはそういうタイプじゃないと思ってたから。
ならなんでわざわざ会いに来た?
「何かお願い事?」
「違う!」
見誤ったかと問い掛けてみたらすごい勢いで否定された。
「じゃあ何?」
「謝ろうと…思って」
「謝る?」
続いた言葉に驚いて聞き返す。
「俺びっくりして…。王様だったなんて思わなくて。だからつい逃げちゃって…。篤志君だって好きで隠してた訳じゃないのに」
「りゅーじ」
そう思ってここまで来た行動力、すげーな。
篤志君が寝込んだ原因はあの争いのせいでもあったけど、多分りゅーじのことも関係してる。
……篤志君がりゅーじの気持ちを知ったら少しは気がラクになるかな。
ひろさんに、聞いてみようか。
「今、篤志君、熱出して寝込んでるんだ」
「え?!大丈夫、なのか?」
「うん。ちょっと高いけど大丈夫。一応聞いてくるからちょっとここで待ってろ」
こくんと頷いたりゅーじを見てからまた俺は力を使って、今度はひろさんの部屋の前へと飛んだ。
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「ひろさん」
「あきらか、どうした?」
「りゅーじが来てるんだけど。篤志君に謝りたいんだって」
「りゅーじって…あの時の子か?」
「そう」
突然部屋の前に気配を現したあきらは真剣な顔で俺に告げた。
昨日の時点での篤志なら会わせられなかったかもしれないが…今日は少し落ち着いているようだし大丈夫だろう。
直接りゅーじを知ってるわけじゃないが、あきらが会わせてもいいと思ったから俺に聞きに来たんだろうしな。
こういう時のあきらの勘は信じても大丈夫だと俺は今までの経験で知っていた。
「………篤志に聞いてみるか」
「いいんですか?」
「俊もいるしな」
「ああ。俊君いると篤志君落ち着いてますもんね」
うんうんと頷くあきらを見ながら立ち上がる。
俊がいる間に熱が下がるといいけどな。
「篤志、俊」
「ひろさん?」
「入るぞ」
「ん」
あきらを連れて入った篤志の部屋。
ちょうど目が覚めていたらしくこっちを見る篤志だが、まだ熱が高そうだな。
潤んだ目に赤くなった頬。
あきらが後ろで篤志君可愛いとか言ってるのは聞かなかったことにしてやろう。
「調子どうだ?」
「んー…もうへーき」
「あほ。んな真っ赤な顔して平気とか言うな」
「だってー」
間延びした声は熱のせいか、それとも俊に甘えてるのか…。
なんにしろ余計なことを考えずにいるならそれでいい。
「篤志に会いたいってヤツが来てる。お前が会いたくないなら追い返すぞ」
「…誰?」
「りゅーじってヤツだ」
「え?」
「こりゃ」
りゅーじの名前に驚いたのか、起き上がろうとした篤志を俊が押し留める。
「りゅーじ、が、きてるの?」
「ああ。どうする?」
「………」
ふらふらと視線を彷徨わせ戸惑っていた篤志が縋るように俊を見上げた。
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夢なんじゃないかとちらっと疑ってたけど、目を覚ましても俊ちゃんはいた。
きっと退屈だと思うのに、ずっとついててくれた。
いっぱいお礼を言ったら「お前は気にしすぎ」だと怒られる。
だって…嬉しかったんだもん。
俊ちゃんがいてくれて安心したんだもん。
ちょっとだけご飯を食べて薬を飲んで、なかなか下がらない熱のせいかまたうとうとする。
もっといっぱい俊ちゃんと話したいのに。
そう思いながらおきるたびに少しずつ俊ちゃんにあったことを話した。
りゅーじのこともそれから反乱を鎮圧した時のことも。
よく考えたら俊ちゃんは火の国の王で…いくら友好を築いていると言ってもあまり良くないこと、だと思う。
だけど……ひろさん達には言えないこと、王の立場のこと、俊ちゃんならわかってくれるから。
そんな時、廊下を歩いてくる音がしてかけられた声。
「篤志、俊」
「ひろさん?」
入ってきたのはひろさんとあきら。
なんか、あきらの顔が変だけどだいじょーぶ?
……りゅーじがきてる?
え?
ええ?
な、なんで?
混乱する俺は思わず縋るように俊ちゃんを見上げた。
「しんどくねえなら会えばええんじゃねえ?」
「…そう、思う?」
「ん。お前が嫌なら無理にとは言わんけど、会わないまま怖がっとったらなんも解決せんじゃろ」
「…」
「とりあえず、なに言われても……」
「俊ちゃん?」
なに言われても?
言葉を切った俊ちゃんを見上げると、いつも真っ直ぐ見る視線がふいっとそらされた。
「……俺も一緒やから」
「っ、うん」
恥ずかしかったのかな?
でもその言葉に大丈夫だって安心した。
何を言われても、ちゃんと受け止める。
もう2度と会えないだろうって思ってたのにわざわざ来てくれたんだ。
きっと城に来るなんて怖いことなのに。
「じゃあ連れてくるぞ」
俺達のやり取りを黙ってみててくれたひろさんに頷く。
ってあきら?
後ろで何だかジタバタしてるけどなあに?
「あきら」
「いってぇ!」
「……りゅーじ呼んでこい」
「は、はい」
ごすって音したよ、今。
時々見かける光景だから俺は驚かないけど…俊ちゃんはちょっとびっくりしてる。
そんな俊ちゃんと目があったから、大丈夫だって笑って見せた。
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寝たり起きたりのあっしからりゅーじとか言うヤツの話を聞いた。
そいつの反応もわからんでもねえ。
けどわかってても寂しくなる気持ちもよくわかった。
ついでにあんまりりゅーじりゅーじ言われるとちょっとむかつくんじゃが。
「篤志君入るよ」
ひろさんに鈍い音をたててげんこつをもらっていたあきらが何事もなかったかのようにりゅーじとやらを連れて戻ってくる。
その声に緊張した表情になるから、そっと手を握ってやった。
「俊ちゃん、ありがと」
「ん」
小さく礼を言われて頷くと俺もあっしもあきらのほうへ顔を向ける。
あきらの後ろから少し俯いてがちがちに緊張した1人の子供が入ってきた。
まあ俺らもそいつとほとんど変わらんガキじゃけど。
「りゅーじ」
「篤志…君」
「黙ってて、ごめん」
「あっ、俺の方こそ…ごめん。びっくりして逃げちゃって」
「…ん」
「でも篤志君は篤志君だと思って。本当はこんなこと言ったら失礼なんだろうけど…あの時、俺の言った事信用してくれたし…。だから謝りたくて」
「ありがとう。嬉しい。俺はこの国の王だけど、でもただの篤志でもあるから」
「……早く元気になって」
「うん」
まだ熱のせいで顔を赤く染めたまま嬉しそうに笑うあっしに…なんかいらっとした。
「俊ちゃん?」
「わりぃ」
「ううん、大丈夫」
つい握った手に力いれちまったな。
「とりあえず、まだ熱が高いから今日はここまでな」
「はい」
「あきら」
「了解っす」
ひろさんに言われてあきらがりゅーじを連れて出て行った。
「ひろさんありがとう」
「何がだ」
「会わせてくれて。ダメだって言われるかと思った」
「あー…まあお前を傷つけるようなら叩き出してやったけどな」
「うん…ありがと」
くすくすと笑う篤志を見て安心したようなひろさん。
さっきまでりゅーじのことを話しながら見せていた暗い顔じゃなくなって…良かったわ。
「俊ちゃんもありがと」
「俺はなんもしとらんで」
「忙しいのに傍にいてくれてるし…話も聞いてもらったし」
「そう思うならさっさと休んで熱を下げろや」
「ん」
「じゃあ仕事に戻るから、俊、篤志を頼む」
「わかった」
ひろさんが出て行って、少し静かになった部屋。
握った手はそのままにはふっと息をついた篤志の頭を撫でる。
「まだ高いな。寝ろ」
「ん」
素直に目を閉じた篤志に、このまま熱が下がって欲しいような欲しくないような…そんな不思議な気持ちになった。
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