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仮投下スレ

149最強候補の一角、植木耕介 ◆n0WqfobHTU:2011/10/20(木) 20:57:01 ID:???
 木蓮はかいた冷や汗を拭きながら、さてどうしてくれようかと口の端を上げた。

 ナゾナゾ博士は呆気に取られた顔のまま勝利した植木の側に戻り、今回の勝因、というかありえない大砲について尋ねてみる。
「耕介君、今のは……」
「鉄(くろがね)だ」
 以上。
「いやそれじゃわからんだろう」
「大砲撃てるんだ、俺」
 そーいう大事な事は最初に言って欲しいと思ったが、考えていた以上のトンデモな拾いものであった植木の能力に、ナゾナゾ博士は頼もしさを感じつつ質問を続ける。
「もしかして、他にも術があったりするのかい?」
「うん。ゴミを木に変える才の他に、後九個ある」
 このレベルの技が後九個。ナゾナゾ博士は、そりゃこんだけ強けりゃ暢気に夜寝もするわ、とちょっとだけ思った。
 戦い方の手の内を明かすのは、相手が誰であれ大層よろしくない行為だ。
 それがわかっているナゾナゾ博士はそれ以上は聞かず、かなり戦い慣れているように見受けられる植木に戦闘は任せると決めた。
「えっと、鉄(くろがね)が一つ目、二つ目の威風堂堂(フード)は……」
 そんな配慮をガンスルーで指折り説明始める植木に、ナゾナゾ博士は慌てず騒がず、植木の前で人差し指を左右に振ってやる。
「待ちたまえ耕介君。戦いの術は出来る限り秘しておくほうがいい。それが例え味方だとしても、だ」
「なんで?」
「もし、だ。ワシが捕まって君の戦い方を話させられたとしたら、君はとても不利な状況で戦わなければならなくなる。もちろん、知ったからとて安易に口にするワシではないが、それでもどうしようもない事態に陥ったとしても、知らなければ口にしようがないだろう?」
「何か不意打ちっぽくてヤだなそれ」
「それはつまり、ワシが知らないとわかれば、逆に捕まったとしても無体は受けずに済むという事だ。ワシの安全の為にも頼めないかね?」
 ぽんと手を叩く植木。
「そっか、なら黙ってる」
「ありがとう」
 植木が納得し、ナゾナゾ博士が笑った所で、声が聞こえた。

「何だよ、せっかく待ってやってたのに魔導具はわからずじまいか? くだらねぇ」

 声のした方へ二人は振り向く。当たり前だ。それは、さっきふっ飛ばしたはずの木蓮の声だったのだから。
 しかし、振り向いた先にも人影は無し。
 周囲を見渡し、そして、植木は自らの失策を悟った。
 さきほどまで正面であった方向より、木の根が無数に延びて来ていた。
 避ける、間に合わない、いや、植木は間に合うがナゾナゾ博士が無理。
 だから植木は声高らかに叫んだ。
「これが二つ目! 威風堂堂(フード)!」
 地面から、巨大な木製の腕が伸び上がって来た。
 それこそ腕の幅だけで人の一人や二人軽く庇えてしまうような大きさは、槍のように鋭い根先を易々と弾き返す。
 引き続き、今度は四方八方より木の根が迫る。
「博士! 頭下げて! 三つ目! 快刀乱麻(ランマ)!」
 先の大砲並の大きさを誇る、それどーやっても持ち上がらねーだろってな勢いの剣が地中より生えて来て、植木はこれを両手で持ちぐるりと一周回してそれだけで全ての木の根槍を斬り飛ばした。
 抱えていた頭を上げ、周囲一体に転がる木切れを見て、ナゾナゾ博士は何とも言えないよーな顔になった。
「……いや、近遠防御と、三つだけでもう充分なのではないのかね? 最後のを近距離用と見なすのに少々の抵抗はあるが」
 離れた場所で、地面がぼこりと盛り上がる。
 そこからゆっくりと、木蓮が姿を現した。
 ぽんぽんと手を叩きながら、下に昇降機でもあるのか自身は手以外一切動かさぬままゆっくりと地面からすり上がってくる。
「いやいやお見事、大したもんだぜガキ。技がスゲェってんじゃねえぞ、お前がこっちの攻撃を認識してからの判断の早さがズバ抜けてらぁ。まだガキにしか見えねえが、それなりには修羅場を潜ってきたようだな」
 植木は黙ったままじーっと木蓮を睨み続ける。


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