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仮投下スレ

147最強候補の一角、植木耕介 ◆n0WqfobHTU:2011/10/20(木) 20:55:51 ID:???
 他者を安堵させる、心を暖かくさせる、喜びを分かち合う、そういった要素を一切剥ぎ取った、いっそ清々しい程に自分の感情を顕にするのみの笑い。
 彼は両手を広げ、突然現れた人物に対し訝しげな顔をする植木とナゾナゾ博士へと歩み寄り、言った。
「こんにちわ死ね」
 その男、永井木蓮は右腕を軽く振るうと、長袖服の袖に隠し持っていた銃を一瞬で手の内に納め発砲した。
 周囲は見通しの良い野原、身を隠す場所なぞありはしない。
 そも、こんな突然の攻撃に、反応しろという方が無理だ。
 それでも、植木耕介は動けた。
 木蓮の挙動に不審さを覚えた彼は、ポケットの中のゴミを腕の幅程の樹木へと変化させ盾にしたのだ。
 植木の頬より冷や汗が一筋。
 さもありなん、銃弾は必死必殺、確実に急所へのコースを辿っていたのだから。
 さもありなん、いきなり、無遠慮に、無造作に人が死ぬ行為をされたのだから。
 さあ戦いだ、そう言って始めるのではなく、日常の一コマの最中から突如生死の境を潜るよう強要されれば、如何に戦い慣れた植木とて驚きが顔に出ずには済まなかろう。
 そこで動けなくならず、即座に反撃に出られるのが植木耕介だ。
 彼が恐怖したのは、自分が死ぬかもしれないといった事ではなく、他人が呆気なく殺されるかもしれないという事であったのだから。
 再びゴミを樹木へと変え、伸びた木先が木蓮へと迫る。
「うおうっ!」
 大地を蹴ってこれをかわした木蓮は、興味を惹かれたらしく植木を見て、あの嫌悪感しか招かぬ笑みを見せる。
「へぇ、木を操る、か。いいねぇ、その技、実に面白い技だが……の割に使い方が単純すぎねえか?」
 植木はナゾナゾ博士を庇うようにその前に立つ。
「うっせえ、お前いきなりどういうつもりだよ」
「おいおいおいおい、何言っちゃってんだお前? 話聞いて無かったのか? 殺し合えって言われたろ? 潰し合えって言われたろ? 血溜まりに沈んでカミサマを恨めって言われたろ? 断末魔の悲鳴を上げどいつもこいつも地獄に堕ちろって言われたろ? 腕をもがれ足を千切られ達磨になって転がりまわれって言われたろ? 心配すんな、ぜえええええええんぶ俺がさせてやるからよ!」
 木蓮は植木が伸ばした木に手を添えると、笑みを深くする。
「ん、でだ。こういうのはどうだ?」
 植木の伸ばした木の表面を、木蓮の放った無数のツタが覆いつくしていく。
 ツタに触れたらどうなるかもわからない植木であったが、どうにも良い事はなさそうだとナゾナゾ博士と共にその場を離れる。
 あっという間も無く樹木を覆いつくしたツタは、めきりと一つ音を立てて潰し砕かれる。
「どーよ、面白ぇだろ。ほら、お前もやってみろ」
 何処まで本気か良くわからない調子で木蓮はケラケラ笑う。
 植木は真顔で答えた。
「何で俺がお前の言う事聞かなきゃなんねえんだ」
 ナゾナゾ博士は、心の中だけで全くだと頷いたが、どうにもこの敵の意図が見えないので発言を控える。
 植木はナゾナゾ博士にのみ聞こえるようぼそりと呟く。
「アイツがツタを出した時、特に前フリらしいものは見えなかった。けど、これだけ使い勝手が良さそうな能力なら何処かに限定条件があると思う。ソイツさえ見つければ何とかなるから、博士は少し離れててくれ」
 いずれ戦闘能力のないナゾナゾ博士だ。素直に言われるがまま距離を取る。
 それを待っていたのでもないだろうが、木蓮はあーあと肩をすくめる。
「出来ねえってんなら仕方ねえ。これで終わりだ」
 今度は大地に手をつくとその位置よりツタが大地を覆い広がって行く。
 無制限にそう出来る訳でもないのか、植木を取り囲むようにツタは広がっていき、周囲一体を囲みきった所でぴたりと止まる。


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