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仮投下スレ
134
:
どじふんじゃった!
◆AJINORI1nM
:2011/09/01(木) 04:45:10 ID:???
金属の様に硬質となり、その姿を禍々しいものへと変質させた右腕を振るうと、
港の先、テトラポットの集まりが触れてもいないのにいくつにも分断された。
この会場内にこれと同じ能力を持つ者が居る。
その者はこの技をこう呼んでいる。
『空間の断裂』と。
「空間転移はできるか? 連続で、出来るだけ遠くまでだ」
「やってみます」
そうい言うと、芳野の体は瞬時に透ける。
そして、二十メートル程離れた地点に現れると、一秒程の間を置いて再び空間を移動する。
三度目の移動を追えた芳野は、限界が来たらしく膝を着いてしまった。
「……こ……これが限界です……」
「そうか」
芳野の様子から、空間転移には相当の負担がかかるようだ。
自分も二度程使用したが、いつも以上の疲労が襲った。
故に、二度目の移動の後に反撃を食らうなどという失態を犯してしまった。
使用する間隔を開ければそれほどでもないが、連続で使用すれば多大な疲労で動く事すらままならなくなるのだろう。
「空間に干渉する能力……か」
ゼオンは芳野の動きを見て感心していた。
思った以上に有用な駒を手に入れることができたらしい。
ゼオンが芳野の体に埋め込んだ物はモデュレイテッドARMSと呼ばれる量産型ARMSの核である。
説明書には、これを心臓付近の体内に入れるとARMSの力と空間干渉能力を得られるとあったのだ。
ゼオンはこれを自身に使うつもりはなかった。
己の力のみで勝ち上がってこそ、これまでの血の滲むような日々が報われるというものだ。
ARMS等というわけのわからぬものを自分に使うなどもっての外であった。
だが、他人を利用するのは別である。
虫の息であった芳野を実験台に、強力な駒を手に入れることができた。
説明書にあった空間干渉能力についての記述は、『空間の断裂』と『空間転移』の二つしかなかったが、
干渉と言うからには空間そのものを振動させることも可能かもしれないな、とゼオンは思った。
「おい、いつまで休んでいる」
ゼオンは膝を着いている芳野に右手を翳すと、ザケルを唱えた。
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