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仮投下スレ

131どじふんじゃった! ◆AJINORI1nM:2011/09/01(木) 04:41:15 ID:???
 腹立たしい。
 自分の命が、このようなちっぽけな首輪に握られていることが腹立たしい。

 このようなもの今すぐにでも外してしまいたいが、無理に壊せば爆発するのは先程目撃している。
 ゼオンは視線を動かし、海に浮かぶそれを見つめる。
 それには首輪が付いている。
 この首輪と同じものだ。
 いや、もしかしたら参加者に応じて何か差異があるかもしれない。
 それでも、首輪を外すための足がかりにはなるだろう。
 ゼオンは高度を落としそれに近づく。
 首輪を嵌めた、右腕と両足を失った染井芳野に近づいて行く。





 ◆  ◆  ◆





 モチノキ港にある倉庫群。
 近くには豪華客船が停泊し、周囲に人の気配はない。
 そのコンクリートで出来た港の地面に、ゼオンは芳野を仰向けに転がした。

 魔本ととらのリュック、そして芳野のリュックは回収した後、マントを使って空を飛び、
芳野を抱えて一番近い陸地であるここまで運んで来たのだ。
 海水で濡れていたゼオンの服は、マントの回転により乾いてしまっていた。

 地面に仰向けになっている芳野の胸は、小さく上下している。
 息は浅いが、まだ生きていた。
 当初は首を切り落とし首輪を回収するつもりであったが、生きているのなら他に使い道がある。
 ゼオンの右腕には、宝玉の付いた装身具が三つ付けられていた。
 手には獣の槍が握られている。
 ゼオンは、海水で濡れ芳野の体に張り付いてしまっている制服を、胸部が見えるまで捲り上げた(まくりあげた)。
 そして、その小さく上下を繰り返す胸部。心臓に近い部分に向けて、獣の槍をゆっくりと突き刺す。
 槍の穂先はゆっくりと芳野の体に沈んで行く。

 しかし、手応えがない。
 槍を引き抜いてみれば、芳野の体には傷一つ付いてはいなかった。


「使えんな」


 妖怪に対して絶大な力を発揮すると説明書にあったが、人間には効果がないどころか傷一つ付けられない。
 妖怪とは空想の産物だろうに、いや、あの『とら』が妖怪だったのだろうか。
 雷撃を発する時も、火炎を吐く時も、とらという魔物は呪文を唱える事はなかった。
 魔物ならばあり得ないことだ。

 この槍が妖怪に対して作られた武器だとして、では魔物に対してはどうなのだろうか。


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