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一時投下・修正用スレッド

199金色の彼に花束を  ◆1yqnHVqBO6:2011/07/27(水) 02:03:13 ID:MgNh.C8k


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ここは雛苺の世界。
第82633世界。
お菓子と、おもちゃ。
たくさんの楽しいものにあふれた世界。

だからみんな楽しく遊んでいる。
ここでは何も辛いことはない。
真紅達と殺しあわなければいけない絶望も。
全てを焼き、喰らい尽くす恐ろしく巨大な龍も。

なにもかもがいない。

「だってここは夢だもの」

たくさんの大好きな人に囲まれながら雛苺は独りつぶやく。

「だって夢は楽しいものだもの。
 明るくきれいなものだもの」

ほんの僅かに目を伏せ、睫毛に影を宿す。

「いつかヒナの眼が醒めて。
 みんなはまた殺し合いを強制されるの」

けれど。
せめて。どうかせめて。
時が経ち。瞼が開かれるその瞬間までは。
この安らかな世界で――――

暗転。焼失。消失。
そのどれかであり、そのどれもである現象が雛苺の世界を覆う。

目覚めの時が来たのだろうか。
そう雛苺は思ったのだけれど。
闇と呼べそうなほどの暗がりに光が射す。

そこは、広いお屋敷の中。
ほんの少し昔。
一緒に遊んでいたマスターが雛苺の前にいる。

悲しそうな顔。
憐れむような顔。

ああ、この顔は知っている。

「かくれんぼしましょう。雛苺。
 静かに。見つかるまで。
 鞄の中で待っていてね」

かつてのマスター、コリンヌは雛苺に諭すように言う。

「わかったわ。
 ずっと待っているわ」


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