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渡来船2

89カサブタ:2012/03/17(土) 00:24:37
相変わらず、可愛い子を見ると手を出したくなる性分だったが、いつしか藍にだけは軽々しく触れるのをためらうようになった。 野性の本能だけでなく、それを越えた想いを抱き始めていた・・・。

(アイちゃん・・・・・・俺は・・・)

ようやく彼は気付いた、 それこそが、誰かを好きになるということだと・・・。
だから、今ローズの言葉に悟らされてしまうのが怖いのだ・・・。 藍への気持ちがただの性欲の為だと自分で認めることになってしまうから・・・。

俺は・・・・・・。

「藍が好きなの・・・・・・?」

そうだ・・・・・・。

「藍のどこが好き・・・?」

アイちゃんの全部が・・・・・・。

「外見も好き・・・?」

それだけじゃない・・・。

「あの性格も?」

そうだ・・・。

「吸血鬼だけど・・・?」

かまわない・・・、むしろ好きだ・・・。

「匂いも? 声も? 顔も? 体も?」

ああっ!! 全部好きだ!!

「そう・・・、それならば・・・。 私の顔をよくごらんなさい・・・。」

「え・・・。」

胸に埋めていた顔を上げるカズ、 そして、目の前にある顔を改めて見た。

「見て・・・、貴方の藍と同じこの顔・・・。」

「・・・っ!!」

「感じるでしょう・・・、藍と同じこの体の感触・・・、体温・・・。」

「ああぁ・・・っ!!」

「同じ匂い・・・、薔薇の香り・・・。」

「や・・・やめて・・・っ!! あああぁ・・・。」

「成長したから少し声は違うけど・・・、 声帯も同じだから声は出せるよ
ね・・・カズくん・・・?」

藍と寸分違わぬその声にカズの体を衝撃が走り抜けドクンドクンと心臓が高鳴る・・・。
カズは今までローズの言葉責めに耐えるように必死で藍を思いだしていた。

ほんの少し前の、藍と出会う前のいい加減なカズのままだったらとっくにローズ達に陥落しているところだが、 今のカズは吸血鬼の誘惑にここまで耐え抜くほどに強い意志を持ったのだ・・・。

すべては藍のため・・・。 藍への愛情のために・・・。

そして、とうとうカズは自分がアイに抱いていた本当の感情に気付くことができたのだ。

だが・・・!! しかし・・・

それゆえにカズは嵌ってしまった・・・。 ローズが仕掛けた残酷な罠に・・・。

「ふふふ・・・、藍のことをそこまで想っているのなら・・・、 外見の年齢は違えど藍とまったく同じ体を持つ私のことも好きになって貰えるわよね・・・?」

「あああぁっ!!」

カズの中にある藍の血がローズの意志に従うように抵抗を止めたのには理由がある。藍の血はローズのことを藍であると認識しているのだ。 

「マリア、もう放していいわよ・・・。」

「あら、とっくに手は緩めてますけど・・・? うふふ・・・。」

マリアは手足の拘束を解いていたが、カズはもう自分の意思で動けなくなり、ローズの目と鼻の先で、泣きそうな表情になっていた。 

今のカズは先日、渡来船の物置で藍に操られていた時と同じ状態になっていたのだ。体内の藍の血はローズを宿主であると勘違いし、彼女の思うままに彼の体は操られているのだ。 それはカズが深層意識のレベルでローズを藍だと認めてしまった証拠だった

(ふふふ・・・、これであの子の血は完全に私の支配下に落ちた・・・。 あとは吸い出してやるだけ・・・。)


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