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渡来船2

8カサブタ:2012/03/06(火) 23:09:40
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それから2年後、日本にて

「ヴァンパイアとは孤独であり、永遠の愛のさすらい人・・・ヴァンパイア・キス」

わたしはいかにもありがちな映画広告から目をそむけると、
ミントの香るタバコの煙を胸いっぱいに吸い込んだ。
ふぅーッ!

「そうよね、ヴァンパイアほど魅力的で美しい存在はないものね! しかし・・・」

ここは東京は下北沢の一角にあるBAR渡来船。
わたしはこのBARの女船長で穂積みゆき。
もちろん船長っていっても、本物の船を操縦するわけではありません。
ちなみにこのお店は、かつて私の両親が経営していましたが、今は私が総支配人です。
店内は15、16世紀の渡来船をイメージしたつくりになっています。
女の子船員達(クルー)の制服は海軍のセーラー服風にできていて可愛く、
お客さまに大人気なのです。
常連客の中には、この制服姿の女の子を見たいがために通っている方もおられるらしいのですが・・・。

「ねー、カズ君!」

わたしの表の顔は女船長ですが、じつは裏の顔も持っているのです。

「ヴァンパイア・ハンター!!」

わたしの住む世界には「ヴァンパイア」はあたりまえのように存在し実在しているのです!
あたりまえのように存在すると言っても、裏の世界を知っている特殊な存在きりこの事実は知らないのです。
表世界の住人達にしてみれば「ヴァンパイア」という知識はあるのですが、
存在しているという事実はもちろん知りません。

わたしの職業である「ヴァンパイア・ハンター」はお祖母さん、母親、そしてわたしへと受け継がれてきました。
代々直属の女系に受け継がれてきているのです。

なぜ、女ばかりかって…? そりゃぁ、吸血鬼達は乙女の生血が大好物だからです。 自らの若々しい身体と生血をエサに吸血鬼達を誘き寄せて、油断したところを一気に突くのが我が家秘伝の猟法なのです。

とはいえ、別にヴァンパイア・ハンターだけがヴァンパイアを狩っているわけではありません。
世界中の宗教団体、特にキリスト、ユダヤ、イスラムといった教会には、公にはされていないものの大抵「化け物狩り」専門の戦闘集団を有しています。
その規模と戦闘能力たるや恐るべきもので、一国の軍隊にも匹敵すると言われています。

一方、ヴァンパイア・ハンターはと言うと、教会のような大きな組織に依存するわけでもなく、信仰する神がいるわけでもありません。
単純に日銭を稼いで生計を立てるため、もしくはヴァンパイアに対する私怨のために魔物狩りを営んでいる者達が多いのです。

前者が軍隊ならば、後者はいわば傭兵。 
依頼があればすぐに駆けつけて魔物をやっつけます! 

しかし、同業者だからといって仲がいいわけではなく、金のために魔物狩りをする私達を、教会は快く思ってはいないようです。
かくいう私もある事情から教会とは犬猿の仲なのですが・・・。

あと私達の仕事は、ヴァンパイアをこの世から抹殺(=存在をなくす)することを目的としてはいません。
教会のように大きな組織の中にはそれを目標としている所もありますが、我々はちょっと違います。
ハンターの仕事は悪さをするヴァンパイアをその都度討伐するという形になることが主で、表世界に生きる住人をいかにヴァンパイアの魔の手から守るかが問題なのです。


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