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渡来船2
78
:
カサブタ
:2012/03/16(金) 23:12:02
「もしもしっ!! 貴女がマリアさんかしら・・・?
あなたの目的は何? どこで私のことを知ったの?」
「はじめまして、アイさん。ようやく話すことができたわね。 折角なんだからゆっくり話しましょうよ。
私、貴女にずっと興味があったんだから・・・。」
とても可愛らしい声だった。だが、藍はすぐに相手が黒百合以上に危険であることを予感した。
相手は藍の正体を知っており、七美が彼女を追っていることも知っていた。
いつでも七美を襲えたはずなのにあえて泳がせていた。
おそらく、黒百合のように獲物を襲うこと自体を目的としているのではない。何か別の大きな目的のために暗躍しているのだ。
「貴女は黒百合の仲間・・・?」
「黒百合・・・、あぁ、実際に会ったことはないわね。
お姉様から名前だけは聞いたことあるけど。 でも、仲間じゃないわ・・・。」
「お姉様っていうのが貴女の主人ね・・・。 一体何者なの?」
「うふふ・・・、お姉様は私にとって絶対の存在・・・。
いえ、私だけでなく全ての吸血鬼と人間にとって絶対の存在だわ。もちろん貴女にとってもよアイさん・・・。」
「ふざけないでくれるかしら・・・、私に主人なんていないわ・・・。」
「そうね・・・、貴女はハーフヴァンパイア。 つまり私みたいに人間からヴァンパイアになったわけじゃないものね?
でも、それなら貴女を生んだ人・・・つまり貴女の親が主人ということになるんじゃない?」
「・・・っ!! あなた・・・、 どうしてそんなことを・・・。」
「ふふ・・・、わからないふりはやめなさいよアイさん・・・。そこまで鈍くはないでしょう?
私の主人が誰なのか・・・だいたい目星は付くのではなくて・・・?」
「じゃぁ・・・、やはり・・・。」
「アイさん・・・、お姉様は貴女にすごく会いたがっているわ・・・。
お姉様も日本に来てるの。 貴女を歓迎する準備はもう整うところなのよ・・・。」
そんな・・・、 だってみゆきさんはあいつを倒しにいくためにハンガリーへ行った筈なのに・・・。
そのあいつがどうして日本なんかに・・・。
・・・っ!! まさか・・・、みゆきさんが聞いたっていうあの情報自体が罠・・・!?
私とみゆきさんを引き離すための・・・
「どうしたのアイさん・・・、黙らないでよ・・・。 もっと貴女の声が聞きたい・・・。」
マリアは電話の向こうからますます熱っぽい声で囁いてくる。
「電話越しでもわかるの・・・、 アイさんの声・・・ お姉様の声にそっくり・・・。
今こうして話してるだけでもお腹の辺りがキュンとするのよ・・・。 ねえ、もっと話しましょう・・・。」
「やめて・・・。」
「あ・・・喋ってくれた・・・・・・ アイさん・・・、 もっと声を聞かせて・・・!!」
「やめなさいっ!! 気色悪いのよっ!!」
藍は叫んだ。
「私はあいつのところなんて絶対行かない。 どうしても連れていきたければ自分たちでここに来ることね・・・。 一人残らず返り討ちにしてあげるつもりだけど・・・。」
「うふふ・・・、そんな無謀なことはしないわ。 貴女の力はよく知っているもの・・・。
それに、貴女がそのお店の中にいる限りは手出しができないわ・・・。
でもね、ずっと貴女を張り込んでてわかったけど、貴女は詰めが甘いわ・・・。
この上なく慎重なお姉様とはそこが大違いよ・・・。」
「なんですって・・・?」
「貴女の恋人・・・、和也さんだったかしら・・・? 彼が今、何しているかわかる?」
「な・・・っ!!」
まさか・・・、カズのことまで知ってるなんて・・・。
「彼とはとっても親密にしているそうね・・・。私から見たらまだまだ初々しい印象ではあるけど。」
「カズくんをどうしたっていうのよ?! 彼に手を出したら容赦しないわよ!!」
「まぁ・・・、彼のことになるとムキになっちゃって。 可愛い・・・。」
「カズくんをどうするつもりなの!!? 言いなさいっ!!」
「ふふふふ・・・・・・、彼の身はもう私達の手の内にあるわ。 お姉様が直々に彼を悦ばせてあげるそうよ・・・。
うふふ・・・。お姉様とのセックスなんて私でもおかしくなっちゃいそうなのに・・・。
男の身体でお姉様と交わったらどうなっちゃうのかしら・・・、 その点だけはあの男が羨ましいわ。」
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