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渡来船2
57
:
カサブタ
:2012/03/14(水) 02:45:40
「よくも、仲間のハンターたちを沢山殺してくれたわね・・・。 あの攻撃命令は貴方が出したんでしょう・・・?」
「あの村に、危険な吸血鬼が潜伏しているという情報を得たのだよ。 教会としては見過ごせないに決まっているだろう。 それに、君やお仲間だってどこからか同じ情報を得てあの村に集まったのだろう? まさか、ハンター達が死んだのを私のせいにするつもりか?」
「・・・・・・・・・。」
みゆきは黙っていた。
「私に文句を言ってくるとはお門違いもいいところだな・・・。こちらは君たちが頼っている情報屋と違って、村民全員が吸血鬼化していることを事前に掴んでいたんだよ。ならばヴァンパイアを一匹でも逃さないよう、速やかに全火力を持って処理するのは当然のことだろう?」
「へぇ・・・、私が街に向かっている間、検問も何も無かったわよ? 一般人が巻き込まれたらどうするつもりだったのよ・・・。」
「そんなことをして相手に悟られたらどうする。 我々にとってはヴァンパイアが逃げ出す方が一大事なのだ。勝手にやってきたハンター達が巻き込まれようが、それは自業自得というものだ。
納得がいかないか? ならリカの名を出して教会に私を訴えてみるか・・・? もっともハンター一人の言うことなど、信じてくれるとは思えんがね・・・。」
枢機卿はみゆきが仲間を殺されたことへの抗議として電話を掛けてきたのだと思っていた。
だからこそ、枢機卿はあくまで作戦の正当性を謳い、わざとみゆきの神経を逆撫でするような口調で話していたのだ。
きっと彼女はこう思うことだろう・・・
今回の作戦の目的は、ヴァンパイア狩りにかこつけて気に入らないハンター達を一掃することが目的だったと・・・。そして我々教会がその事実を隠蔽しようとしていると。
ならば、そうであるとますます彼女に思い込ませてやればいい。 彼女は教会に対する恨みを一層強くするだろうが、そんなことはどうでもいい。
彼女が作戦の本当の目的に気付かなければそれでいいのだ。
だが、次のみゆきの発言を聞いて彼は凍り付くことになる
「そう、訴えてもいいのね? なら、あんたたち教会があの町の地下に隠した秘密を世界中にバラしてやるわ。」
「・・・っ!! なにっ?!」
「時間が無いから単刀直入に言うわ・・・。 私、母さんが探していたものを見つけたの。
あんたの目の前にあるパソコンにダイレクトメールを送ってあるからチェックしてみなさい。」
枢機卿は急いで、デスクのパソコンから自分宛の連絡をチェックした。
見るとそこには今しがた届いたと思われる画像ファイルとデータファイルがあった。
そして、その内容を見た彼は青ざめる。
そこには、教会の部隊が破壊する前のカタコンベと、その中の棺、そして、棺の中の奇妙なミイラがはっきりと写っていたのだ。
なんということだ・・・。よりにもよって彼女にここが見つかってしまうとは・・・。
とうとう恐れていた事態が起こってしまった・・・。
しかし、彼はなんとか冷静さを保ち、白を切り通そうとした
「こ・・・これがどうしたというのだ・・・、 一体なんなのか私にはわからん。 あの女が何を探していたって?」
「まだとぼける気? これこそあんたたち教会がひた隠しにする秘密でしょ! これで母さんが言ってたことが正しかったことが証明されたわ!! ヴァンパイアはあんたら教会が作り出した物だったのねっ!!」
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