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渡来船2

55カサブタ:2012/03/14(水) 02:23:55


「こんだけ打ち込めば、カタコンベは跡形もないでしょうね。」

すっかり地形が変わってしまった地上を見て、パイロットはつぶやく。 地上にはもうそこに町があった形跡すら残っていないほどに破壊し尽くされている。

「よし、空挺部隊を下ろせ。 ハンター共はゴキブリのようにしぶといから油断するな。まだ生き残っている者がいないか徹底的に洗え。 もちろんカタコンベもだ!! 形跡を残すものは棺桶の欠片でも焼き捨てろ。」

「ひひひ・・・、ずいぶん念入りですね隊長。 そりゃぁ、あのカタコンベを合法的に破壊できるチャンスですからね。枢機卿もさぞや鼻息が荒かったのでは?」

「黙ってろ。一兵士であるお前が知る所ではない。」

「へいへい・・・、 空挺降下開始させます。」

・・・・・・・・・
・・・・・・

激しい衝撃は、町からかなり遠ざかったと思われる隧道の東側まで及んでいた。 後ろから落盤による土煙が迫る中をみゆきは必死に駆け抜ける。 ここで絶対に死ぬ訳にはいかない。教会の罠に嵌った仲間たち、そして志半ばにして倒れた母に報いる為には、今この手の中にある情報を必ず生きて持ち帰らなければならない。

やがて、暗い洞窟の先に光が見え始めた。谷底の河原が見えてきたのだ。
もう落盤はすぐ後ろ。 土煙がみゆきを追い越しつつある。

みゆきは渾身の力を振り絞って跳んだ。 
彼女の体が川に没したその後ろで、岩肌に開いた穴が崩れ落ちた。 間に合った・・・。 

「く・・・っ!!」

落盤には巻き込まれなかったものの、みゆきは体中を強打してしまった。
命は助かったものの、この状態で川を下ってエステルゴムに向かうのは非常に危ういだろう。

と、そのとき。みゆきの目の前を古びた木の棺が流れていくのが見えた。

(ブツを運んでいた棺か・・・、爆発の勢いで飛び出てきたのね。 これは好都合だわ。)

みゆきは、近くに落ちていた流木を拾ってから棺に向かって泳いで言った、みゆきはその上に乗ると流木を櫂にしてカヤックのように川を下っていった。森が開けてくると、やがて目の前に広大な流域面積を持つドナウ川が見えてきた。

みゆきは棺を捨て、そこからは陸路で街を目指した。チェコ・スロバキアとの国境付近にあるハンガリー有数の歴史ある都市、エステルゴムの片隅にトビーから教えられた住所はあった。
トビーから渡された鍵を使って中に入る。その空き家は一見すると何も無いが、これはカムフラージュだろう。

案の定、床板の一部に隠し扉があり、その下の階段を下っていくと、最新の情報機器と武器で埋め尽くされた一室が姿を表した。パソコンの電源がついており、パスワードの打ち込み画面が表示されている。みゆきが指紋認証を行うと、画面には伸びきったプログレスバーとcompleteの文字が出てきた。

「データの解析を自動で行ってたのか・・・。きっと、さっき言ってたカタコンベの資料の解析が完了したのね。」

みゆきは早速、そのデータを見てみることにした・・・。さっきあそこで見たものの正体、そして恐るべき事実がここに書かれているに違いない。母がかつて見つけようとしていた事実が・・・。


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