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渡来船2

54カサブタ:2012/03/14(水) 02:18:33
「空が白み始めたぞ!! もうすぐの辛抱だ! みんな頑張れよ!!」

ハンターたちは一斉に雄叫びを上げた。誰もが生き残れる希望を抱いた。
しかし、ハンターの一人が明るくなり始めた空に複数の小さな影を見つけたことでそれは絶望に変わることになった。

「おいっ!! ヘリが近づいてくるぞ!!」

遠くから聞こえてくるローター音にハンターのみならず、ヴァンパイア達すらも一斉に目を向けた。
見ると、複数の黒い機影が町の上空を旋回しながら近づいてくる。 ハンターの一人が双眼鏡でそのヘリの詳細を捕らえると、震える声で叫んだ。

「畜生やられたっ!! 教会の化物狩り部隊だっ!!」

その声と同時にヘリから一斉にミサイル攻撃と機銃掃射が始まった。 轟音と共にまず上がったのが屋根の上や空にいたヴァンパイア達の悲鳴だった。空に身を晒していたために彼女らは降り注ぐ銃弾をまともに浴びて次々と倒れ建物ごとミサイルの爆炎に飲み込まれていった。

「逃げるぞっ!! 散れ!!」

崩れゆく瓦礫に混じってヴァンパイアの灰や焼けたマントの欠片が降り注ぐなか、地面にいたハンターたちは各々、銃火から逃れようとした。だが、ヴァンパイアとの戦いで優位になった彼らも、近代兵器の圧倒的な火力の前には歯が立たなかった。 時代を感じさせる古い町に爆炎を凌げる建物などあるはずも無く、彼らは

「各機、ハンターと思しき一団を確認したら ミサイルを出し惜しみせずに殲滅しろ!!
一人も生かして帰すなとのお達しだ!」

「まだ、空を逃げているヴァンパイアがいますぜ。 ニンニク入りのマスタードガスをバラ撒いているとも知らずに哀れなもんだ。」  

ヘリの乗組員達は嬉々として地上攻撃を続けていた。 訓練以外でこれほど大規模な攻撃が行える状況など滅多にないために今回の作戦に参加した者たちの興奮はただごとでは無かった。

「隊長〜、もう動いてる影はありませんよ? そろそろじゃないですか?」

「うむ、そろそろだな。」

ヴァンパイアとハンターの殲滅を一通り済ますと、チームの隊長、ジェームスは各機体に次の指令を出した。いよいよ、本作戦の本題に入る時だ。

「全機、町の東側に移動!! 教会の廃墟を目印にしてホバリングだ。地中貫通爆弾(バンカーバスター)でカタコンベを埋めろ!!」

ヘリたちは、一定の距離を保って上空に停止すると、一斉に爆弾を落とし始めた。
バンカーバスターは厚い地盤を貫き、その衝撃は地下墓地と隧道にまで及んだ。古い墓地はたちまち崩れ初め、隧道のあちこちで落盤が起きた。

「な・・・なに・・・?! 一体何が!?」

トビーを徹底的に犯し抜き、そろそろ血を吸おうとしていたエレナは洞窟の異変に慌てふためいていた。

(始まったか・・・、幸か不幸か、どうやら完全にレッサーヴァンパイアになる前に死ねるみて〜だな。)

裸に剥かれ、体は傷とあざだらけ。精神の方も限界に近い。だが、エレナが吸血行為を散々焦らしたために理性だけは失わずに済んだようだ。

「きゃあっ!!」

すぐそばで落盤が起きる。エレナは思わずトビーの体にすがりついた。

「い・・・いやぁ・・・、死にたくない・・・!!」

「・・・・・・・・。」

トビーはエレナの背中に手を回し、話しかける。

「嬢ちゃん・・・、もうあきらめようぜ。気休めかもしれないけど、気持ちよくしてくれたお礼に最後まで俺がついててやるよ・・・。」

彼女は何も言わず、震えながらトビーの胸に顔を埋めていた。

(これでお別れだな姐さん・・・、先に梨香さんの所に行ってますぜ・・・。)
 
爆弾の威力は凄まじく、隧道の真上の地面をまるまる打ち砕いてしまった。岩盤が降り注ぎ、トビーはエレナもろとも土の中へ埋まっていく、頭まで土が被ってしまう最後の一瞬に太陽の光に照らされる空を見た・・・。


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