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渡来船2

53カサブタ:2012/03/14(水) 02:13:59


一方、街の方ではまだ数名の手練のハンターが生き残り、吸血鬼達を相手に善戦を繰り広げていた。

「なによあいつら・・・、 全然、倒れる気配が無いわ・・・。 誰か倒せないの?」

「で・・・でも、私の下僕はもういないわ。 みんな倒されちゃった。」

「まずいわ・・・、もうすぐ日の出が近い。」

今まで、余裕の表情だったヴァンパイア達にも少しずつ焦りの色が見えてきた。これまで防戦一方だったハンターたちが次第に反撃を始めたのだ。力が劣る者たち、互いに協力できない者たちが淘汰される中で、自然に最高レベルの実力を持つハンターだけが前線に立ち、それ以外の者は彼らのサポートに徹するというチームワークが出来上がっていった。

人数が絞り込まれた今なら、弾薬や兵糧の配分が正確になり、互いに足りないものを補強しあいながら身軽に動くことができる。皮肉にも多くの仲間が殺されたことが、本来少人数で行動するハンターにとって絶好のコンディションを生み出したのだ。

「弾と食料はまだあるか?!」

「安心しろ、この分なら日の出まで十分だ!!」

「深追いは無用だぞ! 襲ってくる相手だけをやれ!
どのみち日が出れば奴等は終わりだ!!」

いかに手強い相手とはいえ、歴戦の勇士である彼らは常に冷静だった。戦況を分析し、相手の強みと弱みを見極め、適切な対応をするだけのこと。

レッサー達も無限ではない。確実に一人ずつ片付けていくうちに、目に見えて数を減らしていった。
屋根の上のヴァンパイア達も焦りを隠せなくなり、ハンターたちに余裕が生まれはじめた。

レッサーが少なくなれば、ヴァンパイア達は自ら出てこざるを得なくなる。力は下僕より数段上の彼女達だが、レッサーと違い決定的な弱点がある。 それは死を恐れることだ。
経験の浅いハンターは、最初から元凶である彼女達を叩こうとする。 彼女達はレッサーを無限に生み出すし、そいつらを倒しきっても彼女達が襲ってくる頃には、体力も弾も尽きていると考えるからだ。 だから、遠くの彼女達に気をとられ、足元から迫るレッサーに隙を突かれる。
しかし、それは間違い。 経験を積んだハンターはもっと賢い戦い方を知っている。

まず第一に、彼女達は襲ってこない。
そもそも彼女らが大量の下僕達を仕向けて自分は後方に控えているのは、身を危険に晒したくないからに他ならない。 ならば駒が無くなればかえって戦意を喪失し、逃亡するか隠れるしかない。

第二に、レッサーは無限ではない
勘違いするものが多いが彼女達はレッサーを“生み出して”いるわけではない。元々いた人間をレッサーに変えているだけなのだ。となれば、住民全員がレッサーになり、唯一の道も封鎖されたこの町にこれ以上人間が増えることはなく、彼女達の駒はいつか底をつくのは道理なのだ。
そしてなによりも重要なのは、無限に下僕を生み出せるという勘違いをするのはハンターよりもむしろ当のヴァンパイアである場合が多いということだ。

現に彼女達は気付き始めた。 レッサーたちはまだまだいるが、直接襲ってくる数は減っている。
保身を第一に考える彼女達は自分が出ざるを得ない状況を恐れて、レッサーたちを出し惜しみしはじめたのだ。

いける・・・!! ハンターたちは確実な手応えを覚えた。この膠着状態こそずっと待ち望んでいた状況だ。 屋根の上のヴァンパイア達はようやく彼らの企みに気付いて慌てふためいている。これが人間同士の戦いならばこの膠着状態は人数が少なく、物資もないハンターたちの方が圧倒的に不利になるだろう。 しかし、ヴァンパイアである彼女たちには日の出という絶対のタイムリミットが存在しているのだ。

「どうするのよ・・・!! もうすぐ太陽が上り始めるわ!!」

「私にいけっていうの?! もし殺されちゃったらどうするのよ・・・。」

「でも、日が登ったら家に入るか、棺桶に入れば・・・。」

「バカなの?! その家や棺桶を燃やされたらどうするのよ!!」

「へい、お嬢さんたち!! あんたらはこないのか? 男共の相手はもうごめんだぜ。」

「もうすぐ朝だがどうするんだい? このまま俺と遊ばないでベッドにいっちゃうなら寝込みを襲っちまうぞ?」

ハンターが挑発すると、女たちは顔をしかめた。 苛立ってレッサーを向かわせる者もいたがもはや彼らの敵ではなかった。


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