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渡来船2

3カサブタ:2012/03/06(火) 22:59:24
「よりによって舞踏会デビューの日に、伯爵様のお相手だなんて・・・」

嬉しくて飛び上がって喜びたい反面、回りの女性達からの厳しい視線を仮面越しからでも感じられます。
そんなプレッシャーの中、彼女のかわいいフリルのついた純白のドレスは、室内の熱気と冷や汗でぐっしょりと濡れてしまいました。

「きゃあ!」

伯爵とリズムをあわせようと必死だった彼女だったのですが、微妙にタイミングが狂ったのです。
足を床に下ろした瞬間、自分のドレスのスカートを踏んで、バランスをくずしてしまったのです。

「おっと、大丈夫ですか?お嬢さん」

「あッ、大丈夫です!」

広間の床に倒れそうになった彼女を伯爵が支えて優しく抱きしめたのでした。

「踊り疲れたみたいですね!私も疲れたから、すこし中庭でやすもう」
「・・・はい、伯爵さま」
まわりの女性達から冷ややかなそして妬ましい視線を感じる中、両肩を優しく抱く伯爵さまの手からは、
白い絹の手袋ごしでも温もりを感じることができたのです。

「今夜の月はいつにもまして輝いている。
お譲さんのその美しさが、月の女神アルテミスを嫉妬させるのだろう・・・」

「そんな嫉妬だなんて・・・」

「だって、そうだろう。私達が広間から出るとき、あそこにいたすべての女達の想いがわからなかったのかい?」

「・・・・・」

伯爵はワイングラスに赤ワインを注ぐと、私に手渡したのでした。
その時の私の気持ちは複雑にゆれ動いていた・・・。

「美しくなるには、どうしたらいいと思う?」

私は伯爵さまに質問されたが、なんて答えていいのかわからず、グラスに注がれたワインを見つめていた。

「美しい」ってどういうことだろう?・・・今までそんな事すら考えもしなかった。
伯爵は答えに窮してる私をみていたのだが、おもむろに庭先に行くとたくさんある赤い薔薇を1本摘んできた。

「答えは、目の前にあるよ」

そう言うと私に薔薇を渡してくれました。
私はおもむろにそれを受け取ったのです。


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